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シンが核鉄を拾った・避難所

227/武装運命 ◆ivYg6fbdiU:2009/03/18(水) 19:04:12 ID:pYyNBAd.0
 アクセス規制に巻っ込まれたので使わせていただきたく思います。>>1氏に感謝を。

―――――ここから下、本文―――――

 何の変哲も無い竹刀。
 合成革と強化プラスチック製の喉鎧が付いた面。
 ベストの様な形をした面と同じ素材の胴。
 指一本まで独立して包む構造に作られた篭手。
 膝下を覆う緩衝材が仕込まれた脛当。
 黒一色のそれらを学校指定の青いジャージの上に装着し、シンは浮ついた様子で剣道場の外に立ちんぼになっていた。
 明らかに“剣道”をやる格好ではない。
 昨日の雨が微妙に残っているらしく、運動靴で踏みつけた砂利は湿り気と重みを感じさせる。
 剣道場から張り出した屋根の下には、ステラ。
 昨日突然「剣道部の部長に稽古つけて貰える事になった」とシンから告げられ、無茶しすぎるんじゃないかと心配し着いてきたのだ。
 ちなみに、稽古の許可自体はハイネから得ている。そういうのばかり根回しが早い。
 閑話休題。
 ざりざり足の裏で砂利を擦っていると。
「落ち着かないか、まぁ無理も無いよな」
 そこに、シンと同じ装備を纏った人が剣道場から出てきて声を掛けた。
 赤いジャージの上に白い鎧、面の向こうには黄金の髪と目。
 剣道部部長カガリ・ユラだ。
 運動靴をいそいそと履き、小走りでシンの傍に駆けてくる。
「…………あの」
「ん、皆まで言うな! 言いたい事は大体分かる」
 問おうとしたのを先んじられ、シンはちょっと鼻白んだ。
 そもそも、彼がこんな格好をしているのは昨日の剣道部見学が発端だった。
 あの突きが琴線に触れたシンは早速カガリへ指導をしてくれと頼み込み、カガリの方もそれを二つ返事で了承して、じゃあ明日ここへまた来いと言ったのだ。
 で、言われた通りに今日来てみれば、待っていたのは副部長(男子)。
 あれよあれよという間に引ん剥かれてこの剣道っぽくない各種装備を着せられ、「グッドラック!」の一言と共に外へ放り出されたのだ。
 確かに強くなりたいと願いはしたし、剣道を指南してくれと言ったわけでもない。
 だが、まさかこんな珍奇極まる異装を着せられるとは。
「お前も授業でやってるって言ってたから知ってるだろうけど、剣道の打突部位は面胴小手に喉だ」
「そうすね……でも、脛も打突部位に含むのって長刀じゃ?」
「その通り、しかしだ」
 竹刀の切っ先でぺちんと自分の脛当を叩き、カガリはにかりと笑う。
 そして、曰く。
 これからやる事は基本的に一つ。
 お互いの装備がある場所――即ち、面・胴・篭手・喉・脛――を竹刀で打つだけ。
 面・胴・喉に一撃が入った場合、入れた側に得点を一つ加えて仕切り直し。
 竹刀の振り方は自己流で構わない。しかし余りに危険だと判断した時は修正をさせて貰う。
 篭手や脛などを防御のために用いるのも可であるが、攻撃を阻んだ方の篭手や脛は仕切り直すまで防御や構えに使ってはいけない(篭手の場合は両手持ちを不可に、脛の場合は踏み込みに制約を掛ける)。
 両手または両足に攻撃を受けた場合、受けた側は戦闘続行不可能と見做して当てた側に加点し仕切り直す。
 あとは礼儀を大事に。
「…………と、ルールはこんな感じ」
「は、はぁ」
 そう言って長台詞を締め括ったカガリに、シンは生返事を出すのが精一杯だった。
 基本的には、剣道を下に敷き、更に自由度というか実戦じみた雰囲気を増したようなものなのだろう。
 まぁ、こんな装備をつけている時点で実戦もクソもない気はするが。


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