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シンが核鉄を拾った・避難所

1727/武装運命 ◆ivYg6fbdiU:2009/12/24(木) 23:48:37 ID:.fhkTlXE0
 何だろうかと思いつつも、部長を待たせるわけには行かないので気を取り直しまた走り出す。
 玄関で靴にさっさと履き替え、駐輪所へ向かう。
 近くのガレージから作業音が聞こえた。おそらくヴィーノとその新しい相棒であろう、前の車はシンがスクラップにしたようなものだし。
 申し訳ない事を思い出しつつも、自転車を転がし一路学校へ。
 大した坂も無い平坦な道を進む事数分、すぐに母校が見えてくる。
 警備の人に何か言うようかな、その考えはすぐ疑念へ変わった。
 正門が全開なのだ。
 この、最早先生達とて各々帰路へ着いていよう時間にも関わらず。
 校舎自体が真っ暗なのも相俟って、異様な雰囲気を感じる。
 ふと昼間にトダカが言った警備ロボットの件を思い出し、もしかして入った瞬間追われ始めるんじゃなかろうかとも思考。
 携帯を出しカガリにメールを打つと、すぐ返事が返ってきた。
 いいから早く来い。
「…………何なんだよ、一体」
 至極当然な言葉を零しつつ、シンは自転車を転がして正門に一歩踏み入った。
 そのまま数秒待つも、音沙汰なし。警備ロボットとやらの登場はないようである。
 ちょっと安心しつつ、駐輪所へ自転車を留めて歩き出す。
 目的は、少し歩く必要のある第二校庭。
 深夜の学校は、側を歩くだけでも凄まじい威圧感を感じた。ホラー映画みたいな気分だ。
 だが、おばけはともかく怪物の方は実際に存在する。
 そして自分は、それに対抗する術がある。
 そう考えると無闇矢鱈に怖がるのもバカらしく思えたので、とっととカガリと会ってくる事にした。
 小走りで数分、正門側からは校舎を挟み反対側にある第二校庭へ到着。
 周囲に副校舎や技術科室棟があるため外部からの目に晒されにくいこの第二校庭は、立地条件上日当たりが悪いので夏場の授業に用いられる事が多い。
 夜は陰がきつく、少し寒く感じる。
 もう一枚羽織って来ればよかったかと思いつつ校庭へ踏み入ると、その中央にはもっと寒そうな格好をした待ち人が居た。
 上下真っ白な胴着袴を身に着けた、カガリ。
 胴着の左肩側を何故か肌蹴させており、比較的豊かな胸はさらしできっちり巻き付けられていた。
「部長」
 一声上げたシンに、彼女が首だけ振り向く。
 踊る金色の髪。
「…………来たか」
「すいません、ちょっと遅れました」
「いや、私も悪かったな。急に呼び出したりなんかして」
 走り寄りながら、シンはふと思った。
 この話の流れ、もしかするか?
 一瞬下世話な想像が脳裏を過ぎるも、直後、カガリを見てそれを一気に霧散させる。
 色事の気配など一切無い、張り詰めた表情だった。
「聞きたい事が、出来た」
「聞きたい事、って、俺にですか?」
 こくんとカガリが頷く。
「ここ最近、行方不明事件が頻発している。この国にも残念ながら警邏の目が届かない場所があるから、実際の被害者は発表より多いだろう」
「…………」
「普通じゃあないと、私は確信している」
「…………確かに、普通じゃない」
 ぽつり、シンの口から漏れた言葉。


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