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シンが核鉄を拾った・避難所

1527/武装運命 ◆ivYg6fbdiU:2009/12/24(木) 23:47:12 ID:.fhkTlXE0
「そうだ。そして行方不明者が出た時には、必ずといっていいほど同時に不審者も出没している」
 一瞬脳裏を過ぎったのは、あの乳デカ性悪バラ女。
 確かにありゃ不審者だと苦い思いを噛み締めつつ続きを聞いたところ、要するに今回の面談はそういった不審者がこの辺で出ていないか訊ねるためのものらしかった。
 だが、それなら教室中で皆がいる時に纏めてアンケートでもすればいいだろうに。
 そう思ったので聞いてみようかとも考えたが、先程ウエからの指示だと彼が言っていたのを思い出したので口を閉ざす。
 しかし、不審者。
「当校でも今年度から警護用のロボットを導入しているが、そういうものに出番はやはり無い方が良い。アスカはそういった者は見ていないか?」
「あー、ケバい服と仮面つけた頭の悪そーな女は、こないだ見掛けましたけど」
「…………それは、まぁ、個人的な趣味かも知れんなぁ」
「言ってから俺も思いました」
 2人して苦笑い。
 ふぅと息を吐き、シンはふと思い返した。
 トダカはシンにとって、今のところ最も心を許せる大人であった。
 シンが嘗て両親を喪い妹を失った際、混乱と動揺と失意と絶望の最中にあった彼を一番親身になって助けてくれたのが、アスカ邸の近隣に住んでいたトダカだったのである。
 自分で自分の記憶を封じ込めるほどのトラウマを刻まれ、触る者全てに敵意を返す荒れに荒れた精神状態。
 それを一所懸命に宥め、時には叱り、時には涙しながらも真っ当な道に戻してくれたのは、他ならぬ眼前のこの人だ。
 妻に早く先立たれ子供も居なかったトダカは、シンをそれこそ実の子のように守り護ってくれた。
 この学校の寮に入るまで自分を下宿させてくれたりもした。
 あれから幾年。
 あの時の全てはホムンクルスの暴挙だと思い出せてしまった今こそ、改めて思う。
 この人を、この人達を、今度は俺が護りたいのだと。
「と、時間も時間だな。ありがとうアスカ、次の人を呼んでくれないか」
「分かりました」
 程ほどに話したところで時間が来たらしく、トダカはシンを促した。
 立ち上がって部屋を辞しようとするシンの背に、ふとトダカが声を掛ける。
「無茶はするなよ、シン」
 シン。
 そうトダカが呼ぶ時、彼は教師でなく一人の人間としてシンに呼び掛けているのだ
 胸中にこみ上げるものを感じながら、シンは振り向いて笑った。
「ありがとう、オヤジさん」



「ありえん! こんな、これはっ!」
「ちょっと、落ち着きなよ」
「えぇい、落ち着けるものか!」
「そんな事言ったって、それは確実な情報なんだよ。残念だけれど、ね」
「信じられない!」
「そうだね、ボクも信じられないよ。けど、今までの事を考えたら彼らが嘘を報告するとも思えない」
「…………確かめに行く」
「え?」
「あいつの剣は、真っ直ぐだった! 強くなりたいって熱意が在ったんだ!」
「でもそれは、今まで見せられてきた一側面だけじゃないか。本当の意思がその通りかは分からないだろ」
「だからこそ自分で確認するんだろう! しなければ気が済まない!」
「…………そう、か」


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