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三分間のボーイミーツガール

1いさく:2012/07/31(火) 08:50:11
こういうの定期的に立つよね!!

2いさく:2012/07/31(火) 08:50:47
自分が電車通学である事に感謝したい日は、実はよくある。
普通ならば、わざわざ早起きをし、乗り継ぎをして学校に向かうだなんて面倒だ。
そういう意見の方が多いのだけれども。
例えば今日のような猛暑日の場合、少なくとも電車に乗っている間は冷房のガンガンと効いた車内で快適に過ごす事ができる。
徒歩通学ならばそうはいくまい。サンサンと照り付ける太陽にジリジリと焼け付くようなアスファルトの熱気。
熱血パワーなんて出るものか。


そして今日もこうして電車に揺られている。
俺の座っている席は先頭車両、進行方向に向かって右側、一番前の端だ。
個人的に先頭車両が好きなのもあるが、降車する駅の改札がこの地下鉄の路線で唯一先頭から近い所にある為に人が少ないので、過ごしやすいのだ。
家を几帳面な妹と一緒に出るので、必然的に毎日同じ時間の列車に乗る。
が、妹とは別の学校なので同じ電車に乗るわけではない為、常に一人。
この席でゆったりと目的の駅まで本を読んで過ごすのが慣例となりつつある。
学校に入学してから既に三ヶ月以上も同じ時間、同じ座席に座っているのだから、もうこの席は俺の指定席と呼んでも差し支えないのではないか?
いやさ呼んで構わないだろう。
以前ネットでどこぞの不良が電車に指定席を勝手に作り、そこに座っているお婆さんに対して怒鳴り散らすという迷惑行為の話を読み、鼻で笑ったものだが、今やその不良の気持ちがわかるくらいにはこの席に愛着があった。


読書をしつつ、くだらない思索に耽っていると、いつの間にか反対側のドア付近に一人の少女が立っていた。
慌てて電光掲示板を見て、未だ降車駅に着いていない事を確認すると、ほっとため息を付く。
彼女は俺の降車駅の一つ手前の駅から乗車してくるので、彼女がいるという事はつまり、次の駅で降りなければならないという事に等しい。
目的地が近いというわかりやすい目安になっているので、とても重宝している。
どうやら彼女も毎回同じ電車に乗っているようで、彼女の存在に気がついて以降ほぼ常に登校の際に見かけていた。
妹と同じように几帳面なのだろうか。毎回同じ電車に乗り、毎回同じ場所に立ち、いつも窓の外を眺めている。
と、そこまで考えてから気づいたが俺とて毎回同じ電車に乗り、毎回同じ場所に座り、いつも読書をしているではないか。
しかし俺は全く几帳面ではない。目覚ましをかけた時間に起きる事はまずない(というか妹に起こしてもらっている)し、忘れ物は多発するし、部屋は汚い。
とんだズボラである。
以前彼女という目印に頼り過ぎ、珍しく電車に乗ってこなかった日になどは駅を乗り過ごして遅刻してしまった事すらあるくらいだ。


読んでいた本から目を離し、気づかれないようにこっそりと彼女の事を観察してみる。
彼女の制服は見た事がある。妹が来年受験しようとしている学校の制服だ。
何故その学校を受験するのか聞いてみたところ、「制服が可愛いから」などという真面目な妹からは予想だにしなかった答えが帰ってきた。
確かにその学校の制服は男の目から見ても可愛らしく見えたが、まさかそれが受験の第一目的だとは思わなかった。
両親には校風がどうのこうのと説明していたようで、その甲斐あって反対はされていなかった。狡猾である。

3いさく:2012/07/31(火) 08:51:25
彼女の身長は俺よりも多少低いくらいだろう。平均よりも多少低そうではある。
窓の外をじっと見つめる横顔からは多少の硬さは見て取れるものの、未だあどけなさの抜けきらない顔立ちを見て、同学年だと思っている。
しかし最近の女子というものは外見から年齢を見分けるのは困難になってきたように思える。化粧とは恐ろしいものだ。文字通り化けるのだから。
どうやら彼女はあまり化粧っ気はないようなので、きっと第一印象の通りに同学年のはずだろう。むしろそうでなかった時に女性というものに不審を抱きかねない。
自分のクラスには随分と自分を飾って色気まで出して同い年どころかOLなんじゃないかというような生徒や、年齢がやっとふた桁になったのではないか、というような外見の生徒までいて、既に女性というものがわからなくなりかけているというのに。
髪の毛は肩よりも多少長いくらいで、髪質はストレートだ。
先ほどから見ているが、彼女にはほとんど動きが無い。じっと外を見ていて微動だにしていない。
普段もふと彼女の事を見てみる時はあるが、やはり動きは少ない。まるで銅像かのようだ。
几帳面な印象と合わさって文字通りお堅い人なのかと思っている。これで眼鏡さえかけていれば委員長と勝手に呼んでいたかもしれない。
ではなんと呼ぼう。クールビューティーか?確かに清き心を持っていそうではあるが、いかんせん幼い印象がある。
うーむ。お堅い印象と幼い印象を合わせて、かたくり子。というのはどうだろう。はは、失礼か。上手くもないし。


そんなくだらない事を考えているうちに、降車駅に着いたようだ。
手にしていた本を鞄に仕舞い、席を立つ。そして彼女に背を向け、電車から降りる。
心の中で彼女に行ってきますと言い、改札へ歩き出す。
そういえばもう直ぐ夏休みだ。たった数ヶ月同じ電車に乗っていただけの付き合いだけれど、夏休みに入って会えなくなると少し寂しくはある。
明日、おはようございますくらいの声かけをしてみようか。
変な目で見られたとしても直ぐ夏休みになるからどうせ会う事もなくなるのだろうし、問題は…まあ、ないといっても差し支えないだろう。
その場合夏休み明けに電車の時間を変える必要があるが、構わない。
たまにはいつもと違う事をやってみるのも面白いだろう。変化のない生活ほどつまらないものはない。
そう考えていると、不思議と明日の朝が楽しみになってきた。


さあ、今日も一日頑張ろうかな。

4いさく:2012/07/31(火) 08:51:58
私が電車通学である事に感謝したい日は、ほとんどなかった。
近所の学校に通っていれば、朝にもっと惰眠を貪る事ができるのだし。
クラスのみんなだって、そう言っている子は多い。
今日みたいな凄く熱い日には、確かに外を歩きたくはなくて、クーラーの効いた電車に乗って登校するのはとても快適なのだけれど。
とはいえ自転車通学をすれば徒歩の煩わしさからは開放されるのだろうから、やはり近所の学校の方が良かった。
全くハッピーなんかじゃない。


そして今日もこうして電車を待っている。
私の待っている場所は進行方向の一番前、ホーム入口から遠いせいかほとんど人のいない場所だ。
個人的にはあまり歩きたくないので入学当初は入口付近で電車を待っていたが、必然人が多い場所なのでだんだんと嫌気がさして来てすこしづつ離れていくうちに遂には端に来てしまった。
時間をずらす事も考えたのだが、今より早起きは絶対にしたくはないので時間の早い電車は却下。かと言ってこれ以上時間を遅くすると遅刻してしまう。
一本ずらす程度なら電車を降りてから走って行けば間に合うのだが、この熱い中走るだなんて有り得ない。というか走るのがそもそも有り得ない。
という事で結局時間はそのまま、場所を変えるという事で自分の中で結論が出た。
先頭車両まで来てしまったが、その甲斐あってか人はほとんど居らず、なかなかに快適な空間だ。
が、逆に快適過ぎて席に座ってぼんやりしていたらいつの間にか駅を寝過ごしてしまうという失態をしてしまった事があった。
それ以降絶対に席になんか座ってなるものか、と鼻息荒くして遅刻の理由を友達に話していたら笑われてしまった。
そうして昔を思い出していると電車がやってきた。
地下鉄特有の電車がやってきた時の風が汗に濡れた肌に一時の涼をもたらしてくれる。私はこれが結構好きだった。


先頭の扉から電車に乗ると、いつもの彼がいた。私が初めてこの車両に来た時には既にそこにいた、言わば先客だった。
最初に寝過ごして以降、彼のいる席の向かいの扉のそばに寄りかかるようにして私は立っていた。
こうして寄りかかっている事によって足への負担を減らす作戦なのだ。実際は姿勢よく立っていた方が負担は少ないのだろうが、これは気分の問題だ。
そうしてぼーっとガラスに映った彼を見ていると急に慌てたように周りを見だした。どうやら電光掲示板を見ていたようで、現在地を確認して安堵のため息をついていた。
彼はいつも両耳にイヤホンを付けて音楽を聴きながら本を読んでいるので、アナウンスは聞こえないだろうし、現在地も見えないだろうに、よく乗り過ごさないものだといつも関心していた。
でも、そういえば以前に私が寝坊して一本電車を遅らせてしまった日には、彼がいつも降りる駅よりも先の駅で反対側のホームにいるのを見た事がある。
そりゃあいつかは乗り過ごすよね、と可笑しかった事を思い出した。

5いさく:2012/07/31(火) 08:52:30
そのまま彼の事を観察してみる。
男子の制服というものは、夏服になるとほとんど差がなくてどこの学校のものだかわからなくなる。
冬服の上着を着ていたとしても私にはどこの学校のものかなんてわかるわけないのだけれど。
そういえば長ズボンって暑そうだなぁ、と思う。私たち女の子はスカートだから涼しいんだよ、羨ましいかい?と嫌味ったらしく思いながら彼の事を見ていたら、彼も私の事を見ている事に気づいた。


ど、どうしよう、私の嫌味な思いがバレちゃったのかな…と考えて身を固くした。
私はガラス越しに彼を見ているので目が合う事はないが、彼の視線をびしびし感じるのでプレッシャーは凄い。
ご、ごめんなさいぃ…もう変な事は思いませんから許してぇぇ。
冷静に考えれば彼が私の思考を読み取って無言の圧力を掛けてくることなんて事、有り得ないというのは自明ではあったのだけれど、人の視線に慣れてない私は直ぐにパニックになってまともに思考が働かなくなる。
くっそー!睨み合いかー!やってやる!そう心の中で叫んで、じっと彼を見つめ続ける。
実際には私はガラス越しにガンをつけているので全く睨み合ってなどいなかったのだが。
彼はその手に本を開いて持っているが、隠すつもりもないのかこちらをまじまじと見ている。
その落ち着き様は自分よりも年上のような貫禄がある。
適当な長さに切られた髪と特徴のない画一的な服装は所謂普通の男子を想起させるが、逆にその貫禄のようなものが若干の違和感として残る。
もしかしたら年下の兄弟でもいるのかもしれない。


そんな睨み合い(?)がいくらか続いたところで彼が降りる駅に着いた。
実際にはたったひと駅の間の出来事ではあったのだが、私にはとても長く感じてしまった。
彼の視線が外れた事によって緊張が解けた私は、電車から降りる彼にいつものように心の中で行ってらっしゃいと言って送り出す。
彼が視界から消え、私はほっとため息を付く。そういえばもう直ぐ夏休み。そうしたら彼とも会えなくなるのか。
睨み合うだけの仲だなんてちょっと寂しいよね。明日、声をかけてみようかな。
おはようございます、くらいなら言ってもおかしくないよね?
あっ、でも睨まれたらどうしよう、不安だなぁ。電車の時間変えなくちゃならなくなってしまう。
で、でもそうしたらこっちだって睨み返してやるんだから!
首を洗って待ってるんだな!…なんて、明日の出来事に思いを馳せる。

さあて、今日も一日頑張ろうっと。

6ケーン:2012/07/31(火) 15:07:41
('A`)

7新モス:2012/07/31(火) 15:26:11
あまずっぺぇぇぇぇぇ!!!

8いさく:2012/07/31(火) 16:27:20
この続きから学園異能バトル物にするという案もあった。

9プロローグ:2013/04/28(日) 09:55:42
浅い芝と背の低い木々が茂る夜の丘を二人の姉妹が瞳を輝かせ駆け登ってゆく、歳の頃はいずれも十を迎えたかというところであろう。
この丘は彼女らにとって最も身近な遊び場である、住宅地を見下ろすこの丘の山頂には土地の護り神も祭られている。
普段は虫取りやかくれんぼなどをして遊ぶことが多いのだが、今宵彼女たちの目的は違った。

今朝のニュースで20時頃から流星群が観測できることが報道されたのだ、姉の結花(ゆいか)と姉のありすは今日日そのことで頭がいっぱいであった。
「ありす、はやくはやくー!」
「待ってよぉ、おねえちゃん」
人生で初めて目撃するであろう数多の流星に期待を膨らませ彼女らは一気に丘を駆け上がった。
やがて地面の傾斜が平坦になると視界が一気に開けた、不意に少しだけ冷たいゆるやかな風が二人の頬を撫でた。
彼女たちの目に飛び込んできたのは黒いキャンバスに鮮やかな線を描く流星の軌跡であった。

「すごい・・・」
二人は息を切らしながらも頭上の光景に感銘の声をあげた。
「ありす、今の見た!?」
「うん、流れ星!」
そういう間にも新たな星の軌跡が現れる
「あ、またっ…!」
ありすは流星が作った軌跡を指でなぞった
「そうだ、お願い事しなきゃ」
結花は手をポンと叩いて言った、日本では流れ星が流れた瞬間に願い事をすると叶うとされる迷信が存在する、その起源は古来の人々が流星現象を神秘とし土地の豊穣を願ったためとも言われている、星辰信仰でも最もポピュラーなものであろう。
二人は次の流星に身構え静寂の中ぐっと目を凝らす、しばらくの沈黙の後再び星が流れた。

「ありすとずっと一緒でいられますように」
結花はすかさず目を瞑り手を合わせながら祈った、ふと反応の無いありすに目を向けるとありすは空のキャンバスに釘付けになっていた、そんな姿を結花はとても微笑ましく思った。

10ケーン:2013/04/28(日) 09:57:06
そのとき、静寂を突然の轟音が引き裂いた、突然の衝撃にふたりは身体が宙に浮いたような感覚に見舞われた、動悸が急に激しくなるのを感じる、ありすは耳を塞いで芝にうずくまった。
「な、なに…!?」
結花は辺りを見回した破裂音がしたのは彼女たちの後方からだった
「オヤシロのほう…?」
彼女らがいる場所より奥へ進むとそこには少し古い境内が存在する、先ほどの音はそこから聞こえたように感じた。
「み、見てくる…」
「え…やめようよぉ…」
結花は幼いながらの好奇心により音のしたほうへ歩を進めようとしたがありすに服の裾を掴まれた、見るとありすは今にも泣き出しそうな顔で震えていた。
「大丈夫、何があってもお姉ちゃんがありすを守るから!」
結花は妹の頭を撫でて言った
「ほんと…?」
「うん、ほんとほんと!」
ありすはよろよろとふらつきながらも姉のその言葉で立ち上がった、ありすはそんな姉の背中にはいつでも安心感を抱く、ありすは少し怯えながらも姉の背中にぴったりとくっついて歩を進めた。

神社の鳥居付近まで近づいたとき、ふとありすが異変に気づいた。
拝殿の前の参道が青白い光を放っている。
「光ってる・・・」
ふたりは顔を見合わせた、光の正体を確かめるべくふたりは歩を速め光の元へ駆け寄った。
参道自体が光っているわけではなかった、まるで空中にひびが入ったかのように何も無い空間に亀裂が数本浮かんでおり、その亀裂が淡く発光している。
「なにこれ・・・」
「お星様が落ちてきたのかなぁ」
その不思議な光に結花が気を取られている間にありすが亀裂に近づいてゆく
「待ってありす、危ない!」
ハッとした結花はありすを呼び止めようとしたが、すでにありすは亀裂にゆっくり手を伸ばしていた。
「きれい…」
ありすの手が亀裂に触れた瞬間、亀裂が拡大し次の瞬間ガラスのように砕け散った。
境内は一瞬静まり返った。

11ケーン:2013/04/28(日) 09:58:18
「驚かせないでよありす!」
ありすに何か悪いことが起きたりしないかと動揺してしまったが、幸い何事も起きなかったようだ…

いや、なにかおかしい。
よく見るとありすが中空に腕を突き出したまま一歩も動かない。
「どうかしたの…?ありす?」
不気味に思った結花はありすに声をかけた
「おねえちゃん…」
返ってきた返事はあまりに弱々しかった、明らかに声が震えている。

「たす…けて・・・」

結花はハッとして異変の正体に気づいた、ありすが伸ばしている腕の肘から向こう側の空間が靄がかかったように揺らいでいる、その靄は少しずつ膨張し次第にありすの肘から肩までを飲み込んでいった。
「ありす、早く逃げてっ!」
「ダメなの…うでがっ、ひっぱられて…」
結花はありすに駆け寄って体を靄から引き離そうと引っ張る、が、ありすの身体はビクともしない
「おねえちゃん…!おねえちゃん…!」
妹の悲痛な叫びが頭に響いてくる、靄の広がりはとどまらず遂にはありすの頭部まで達していた。
恐怖と涙で歪んでいるありすの表情はゆっくりと靄に包まれ見えなくなってゆく
「ありすッッ!!」
不意に謎の靄が消滅し、結花が力強く握っていたありすの腕の力もゆるんだ
再び夜の境内は静寂に包まれる。

結花はその場に力なく倒れこんだ、遂先ほどまで一緒に星を眺めていた妹の姿はもう何処にもなかった、自分の腕の中で暖かい雫を滴らせるありすの左腕だけが彼女の存在した証と今日起こったことの証明だった。

彼女が悲鳴をあげた頃には空を流れる流星はいつの間にか消えていた。

12あすか:2013/04/28(日) 17:14:17
>>8
で、直球勝負とぴかりんじゃんけんは?


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