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【なんでも】ネタ投稿スレ【あり】

19名無しさん:2007/10/30(火) 01:16:00 ID:9X1xsZ5E

結局かがみが折れてシンに送ってもらうことになり、そして駅から家までの道のり――
なぜかかがみはシンの背中に乗せられていた。
「うう……この年になっておんぶされるとは…」
「年は関係ないだろ。あんなフラフラされたら周りに迷惑だ」
年頃の女子にとって男子におんぶされるなど抵抗があるのだがシンはまったく気に
した様子はない。教室での件もそうだが、感覚がズレている上に空気が読めないのだ。
いちいち意表を突いてくるシンにかがみはペースを崩されっぱなしである。
ちなみにタクシーという選択肢が二人の頭に浮かぶのは当分先の話になる。
「はぁ……なんか今日はアンタに迷惑かけてばっかね……ゴメン……」
「一応、その、原因の一部は俺のせいだからな」
少し恥ずかしそうに言うシンにかがみも”アレ”を思い出し赤くなる。
「あ! そ、そうよアンタ、人の胸触っておいてどう責任とるつもりよ!」
「うわっ、背中で暴れるなよ! 髪も引っ張るな!」
ひとしきり暴れて疲れたのか、かがみが再び大人しくなるとシンが溜息をつく。
「まったく、病人なんだから最初から大人しくしてろよ」
「アスカ……なんかイメージと随分違うわね」
「ハァ? それは今まで喋ったことなかったからだろ」
「もっと冷たくて、他人に興味ないって感じかと思ってたんだけど案外お節介なのね。
別に親しくも無い相手にここまでするなんてちょっと意外」
「べっ別に意外ってほどでもないだろ! それに目の前で人が倒れたらアンタだって
そうするんじゃないか? こなたが言ってたぞ。かがみはなんだかんだで良い人だって。
こっちの言葉ではツンデレって言うんだってな」
「ア、アイツは何を勝手に……っていうかアスカ、間違った言葉教えられてるわよ」
良い人と言われて照れつつも微妙な突っ込みドコロは見逃さない。どうやらシンは
良い人イコールツンデレと認識しているようだった。
「違うのか? くそっ、またやられた!」
「アンタ達の普段の会話が気になるけどとりあえず私はツンデレじゃないからね。」
一概には間違いとは言えないのだがかがみとしては否定しておかねばならない。シンは
以前にも同じような事があったのだろうか何かブツブツと呟いていた。それからバツが
悪そうに少し笑ってかがみの方に振り向く。夕日を受けて紅い目が輝きを増していた。
「そ、それはいいとして……とにかく早く元気になれよ。こなた達も心配するだろうし」
「そうね、手のかかる子ばっかりだから私が面倒見てやらなくちゃ」
「そうだな。でも今日みたいな時は、俺で良ければ力になるから無理はするなよ?
なんか妹よりしっかりしなくちゃとか思ってがんばりすぎてそうだからな」
「無理なんかしてないわよ!」
「そうか? それならいいけど」
「けっこうあっさり引き下がるのね……」
「どっちなんだよ! ああ、なんかよくわかんなくなってきたけど! とにかく!
何かあったら俺が守ってやるから。一人であんまり色々抱え込むなってことだ!」
守ってやる――どちらかと言えば守る側であることが多いかがみにとってそれは新鮮な
響きだ。それを今日初めてまともに会話した相手は大真面目で言っている。しかも話が
大袈裟になっているというかズレてきている。それでも彼の不器用だが真っ直ぐな
優しさはかがみに伝わって重い気分を軽くしてくれた。
「……ありがと、シン」
「んあ、何か言ったか?」
「別に!」
「何なんだよ一体……あ、おい柊。この道で……」
「……かがみ。私の名前、知ってるんでしょ?」
「ん?ああ、そうだな。かがみ、この道こっちでよかったか?」
「そうよ。よく覚えてるわね。それから……」
かがみの、シンの肩を掴んだ手に少し力が入る。細身だがその背中はがっしりしていて、
身体を預けるとなんだか安心できるような気がした。
「ま、たまにはこういうのも悪くないわね」
「また何かいったか?」
「何でもない!」
「変な奴だな……」
「アンタもよ。とりあえず今後ともよろしくね」
「そうだな、こちらこそヨロシク頼む」

幾つかの偶然が重なったことでこの日本当の意味で出会い
しばしば喧嘩しつつも笑いあう二人の姿はこの時と変わらない。


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