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きな
44
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2019/07/17(水) 23:49:08
―――カツン。
―――カツン。
「一度目は偶然で在るならば、二度目は必然で在った。
……然し、三度目が運命で在れば―――が。四度目は“無い”。……何故なら、俺の運命の赤い糸は既に別の奴に結ばれてンからな。」
革靴の音と共に澄んだ声が暗闇の船内に響き渡る。
その声は、何処か気怠げでありながらも、その足は軽々とした足取りである。───そして、その足は意図的に止まる。
不意に、“光”が船内全体に伝播していけば、その足音の主の正体が表す。
「……よォ、待ち侘びたぜ。」
豪華客船に似合いそうな高級そうな上下シックな黒いスーツを身に包み、二階へ続く階段の頂上にて志垣を見下ろしながら、そう告げる。―――その後ろに、恐怖の顔に歪んだ『人質』達の集まり。
「解放師団はお前を軽視しているが、これ以上は渡季也の理想を妨げる事は。―――ま、折角の最期の晴れ舞台なんだ。
精々、華麗に“踊って”みせろよ?」
背後の泣き喚く人質の少女の髪を引き摺る様に掴めば、下の階に目掛けて躊躇無く振り落とす。―――その間に鏑木が軽やかに指鳴らせば刹那。突如として少女の肢体が所々と光輝き、血飛沫が飛び散る。
ダスト・ブレイカー
「―――人屑、束ねしの光砲……。」
少女の体を媒体に、光のエネルギーが濃縮し“小さな光球”に形を変え―――反撥し、弾ける。
強烈な眩い光で辺りを包み込み、数秒後、熱量を持った貫通性のある光線が東西南北と無差別に放たれれば。更に周囲に被害を与える。
もしも、落ち行く少年を助けに行こうと目論んだ者が存在するならば、その行動はまさに鏑木が言う「正義の味方気取り」と嘲笑うだろ。―――何故なら、もう息絶えているのだから。
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