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きな

37名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/07/15(月) 10:37:43

 ■深夜 豪華客船「希望」内部。 大雨。

天気予報通りに雨が、船外に降り注ぐ。その音を聞きながら、〝人質〟眺めているのも余りに暇なもので窓から景色を覗けば、変わらぬ景色に飽きが下あいに淡々ついつい睡魔が襲い頭(こうべ)が下がる。

 「――――――。」


久しく────夢を、見た。


───“それ”は昔の話だ。〝清村渡季也〟という存在に出会った日の夢だ。

 己とは正反対な性格である 彼の口から語る理想は『御伽噺』の様で純粋で滑稽だった。ホントは、“刺激”が欲しかっただけなのかも知れない。―――ただ、それでも良かった。
 気付けば、俺は渡季也に惚れ。その“陽だまり”に手を掴んだ。 ───最初は〝正しい〟だけの“理想”が眩しくて羨ましかった。俺も渡季也の傍に入れば、何か『変われる』気がした。


 切っ掛けは些細な“ズレ”だった。
正確には一方的に俺が「理想」とする〝清村渡季也〟が神聖視して傾倒し啓蒙し過ぎて「現実」の〝団長〟が掛け離れていく。―――今は、〝間違え〟だけの〝現実〟が鈍く嫉ましかった……。


───泡沫の泡が、弾けた。


 「………そろそろ、か 。」

 頭が回らない。眠気眼(まなこ)では、世界が見えない。……此処には、彼は何処にもいない。


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