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東亜工作部の作品発表会の場なんだよ(*`д´)ノ
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:
ロボ子
:2019/03/19(火) 22:43:52 ID:qnS3twFg
「美味しい……」
スプーンで一口飲んで、西織先生はつぶやいた。
普段なら外で食べてくる、ついでに呑んでくる西織先生。昨夜の徹夜の疲れもあって就業時間が終わるとおとなしく家に帰ってきたのだが、ダイニングのテーブルにきれいに並べられたディナーに目を見張った。
親子三人。
誰かに見せるわけじゃない。かためて作って冷蔵庫に放り込んで、食べるときにレンジで暖めてラップを半分かけたまま食卓に並べる、ずっとそんな夕食だったのだ。
『お帰りなさいませ、お嬢さま』
如月さんが言った。
『無駄に広い家を掃除するのに時間がかかりすぎ、あり合わせで適当に作りました。明日はこの町のスーパー巡りをします。こんな寂れた小都市でどんな食材が揃えられるか、とりあえず確認したいと思います。今夜はこれで我慢してください』
今日もさりげなく小生意気な言葉をぶっこんでくる如月さんだが、西織先生はそれよりも別のところで驚いた。
「あり合わせ!? 適当!? これで!?」
『冷蔵庫の野菜室のタマネギにジャガイモに人参。大根。レンコン。冷凍室に冷凍ウィンナー。迷いましたが、和風ポトフにしてみました。それよりお嬢さま』
「はい、如月さん」
『旦那さま、奥さまがお待ちです。着替えてらしてください』
先生のご両親はテーブルについて、湯気の向こうでほっこりと笑顔を浮かべている。
「そうね」
西織先生、慌ててダイニングを出た。
自分の部屋でパジャマに着替えかけて、「あの夕食に、パジャマはないだろう」と普段着にした。もう何年も、家にいるときにはだいたいパジャマだった。カーゴパンツにトレーナーという思いっきり砕けた姿ではあったけれど、それでもパジャマよりはずっと気分が引き締まった。ダイニングに戻ったとき、ご両親は、パジャマじゃないのに気づいたようだった。
三人揃って手を合わせ、「いただきます」。
そして、冒頭の台詞だ。
ご両親の顔を伺っても、二人とも嬉しそうだ。
そりゃ、この二人は私より育ちがいいんだからなー。こんな夕食、懐かしくて嬉しくてたまらないだろうな。
『お嬢さま、ワインは召し上がりますか』
「うん。これだと白がいい?」
『赤がよいかと思いますが、和風の味つけですので、おっしゃるとおり白にいたしましょう』
「父さんと母さんは、なにを?」
すでに呑んでいるご両親だ。
『リクエストで、吟醸を』
ああ、そりゃ、私の秘蔵のお酒だ。
西織先生、にやっと笑った。
ご両親、その笑顔にびくっとしたようだ。
「ねえ、父さん。母さん」
「はい、なんでしょう、高子さん」
「美味しいね」
西織先生、ふわっと笑った。
自分たちのいいとこどりをした、とびぬけた美人の自慢の娘。たしか高校の頃までは可憐でもあったような気がするのだが、どこでどう間違ったか、今では紛う事なきおっさん女になっている。その娘が、本来の美しさを輝かせて笑った。
「美味しいな」
「美味しいわね」
ご両親も笑った。
残念ながらパンもあり合わせの食パンだったが、それでも見た目はともかく絶品のガーリックトーストに仕上げられていた。
「ねえ、如月さんも食べない?」
『いいえ、私には給仕の仕事がありますから』
「じゃあ、ワインだけ」
『そちらの言葉を待っておりました』
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