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東亜工作部の作品発表会の場なんだよ(*`д´)ノ
107
:
おっかさん
◆gdngTxqHXA
:2018/11/28(水) 20:50:47 ID:n33lFvtE
湿る布団5話
「…なぜこれ?」
おっさんからの毎月のプレゼントは毎月28日に届く。
いつも意図がよくわからないものが送られてくるのだが、今回はなぜかカップ焼きそばが箱にぎっしり詰まっていた。
「なんでだー!」
クレームをつけようとスマホに手を伸ばすもなんだか寝室に怪しい気配を感じ凍りつく。
急ぎツイッターのDMに一言残す。
「ウリ、焼きそば、緊急」
恐る恐る寝室にのドアを開ける。
「…またですか…」
夜中の一件から怖さはなくなっていた。
布団の上に黒い人が座っていた。
「あなたはカップ焼きそばの幽霊的な何かですかね?」
ひらがなは疑問を投げた。
焼きそば幽霊は答えない代わりにややげんなりした。
「…あのさ…君は普段からずっとパンイチなの?
さっきは昼浮かれてたみたいだからそれかと思ったんだけど…」
「や、こ、これは…ちょっと待って下さい?」
3分後なぜかスーツで現れたひらがな。
「…どして?」
「いえ、服を着ろと言われたので」
「部屋着でいいじゃない…」
「部屋着ないんです!いつも裸だから!」
黒い人がやや透けてきた。
「ああ、そうなの…布団乾いたかね?」
顔は見えないがニヤリと笑ったのは感じた。
ひらがなはややムッとした。
社内では穏健派として知られ、笑顔さわやかさんとして女子社員から人気も高かった。
「ひらがなさんが怒ったとこなんか見た事ないですー」
「ひらがなさん、いつも穏やかでー、ニコニコしててー」
自宅では別だ。
「…いえ、あなたがお湯をこぼした辺りは湿ってますし、手には火傷の跡が」
やや怒りがこもった声になった。
「だろうね…確かに僕がお湯をこぼしたからね…」
ひらがなはもう一つ疑問を投げた。
「あのー…昔カップ焼きそばに悲しい思い出でも?で、成仏できない…と」
幽霊に黒さが戻り締め切ってるはずの部屋には生暖かい風が吹いた。
「…聞きたいの?」
(やっぱいいです、なんて言ったら殺されるかも…)
108
:
ロボ子
:2019/03/19(火) 22:43:52 ID:qnS3twFg
「美味しい……」
スプーンで一口飲んで、西織先生はつぶやいた。
普段なら外で食べてくる、ついでに呑んでくる西織先生。昨夜の徹夜の疲れもあって就業時間が終わるとおとなしく家に帰ってきたのだが、ダイニングのテーブルにきれいに並べられたディナーに目を見張った。
親子三人。
誰かに見せるわけじゃない。かためて作って冷蔵庫に放り込んで、食べるときにレンジで暖めてラップを半分かけたまま食卓に並べる、ずっとそんな夕食だったのだ。
『お帰りなさいませ、お嬢さま』
如月さんが言った。
『無駄に広い家を掃除するのに時間がかかりすぎ、あり合わせで適当に作りました。明日はこの町のスーパー巡りをします。こんな寂れた小都市でどんな食材が揃えられるか、とりあえず確認したいと思います。今夜はこれで我慢してください』
今日もさりげなく小生意気な言葉をぶっこんでくる如月さんだが、西織先生はそれよりも別のところで驚いた。
「あり合わせ!? 適当!? これで!?」
『冷蔵庫の野菜室のタマネギにジャガイモに人参。大根。レンコン。冷凍室に冷凍ウィンナー。迷いましたが、和風ポトフにしてみました。それよりお嬢さま』
「はい、如月さん」
『旦那さま、奥さまがお待ちです。着替えてらしてください』
先生のご両親はテーブルについて、湯気の向こうでほっこりと笑顔を浮かべている。
「そうね」
西織先生、慌ててダイニングを出た。
自分の部屋でパジャマに着替えかけて、「あの夕食に、パジャマはないだろう」と普段着にした。もう何年も、家にいるときにはだいたいパジャマだった。カーゴパンツにトレーナーという思いっきり砕けた姿ではあったけれど、それでもパジャマよりはずっと気分が引き締まった。ダイニングに戻ったとき、ご両親は、パジャマじゃないのに気づいたようだった。
三人揃って手を合わせ、「いただきます」。
そして、冒頭の台詞だ。
ご両親の顔を伺っても、二人とも嬉しそうだ。
そりゃ、この二人は私より育ちがいいんだからなー。こんな夕食、懐かしくて嬉しくてたまらないだろうな。
『お嬢さま、ワインは召し上がりますか』
「うん。これだと白がいい?」
『赤がよいかと思いますが、和風の味つけですので、おっしゃるとおり白にいたしましょう』
「父さんと母さんは、なにを?」
すでに呑んでいるご両親だ。
『リクエストで、吟醸を』
ああ、そりゃ、私の秘蔵のお酒だ。
西織先生、にやっと笑った。
ご両親、その笑顔にびくっとしたようだ。
「ねえ、父さん。母さん」
「はい、なんでしょう、高子さん」
「美味しいね」
西織先生、ふわっと笑った。
自分たちのいいとこどりをした、とびぬけた美人の自慢の娘。たしか高校の頃までは可憐でもあったような気がするのだが、どこでどう間違ったか、今では紛う事なきおっさん女になっている。その娘が、本来の美しさを輝かせて笑った。
「美味しいな」
「美味しいわね」
ご両親も笑った。
残念ながらパンもあり合わせの食パンだったが、それでも見た目はともかく絶品のガーリックトーストに仕上げられていた。
「ねえ、如月さんも食べない?」
『いいえ、私には給仕の仕事がありますから』
「じゃあ、ワインだけ」
『そちらの言葉を待っておりました』
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