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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4163うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/24(日) 15:12:21 ID:LNssCYN6
いったいこの連中は何者だ
誰でも身代金を払えば自由になれるはずなのに、なぜ自分はできないのか
おお、そうだ
いきなり急死でもすれば、奴らの裏をかくことができる
人生ではじめて、ダングラールは死を考えた
死への欲求と恐怖を抱きながら

署名はせぬという彼の決意は2日間続いた
その後、彼は食べ物を乞い、すばらしい食事に100万とられた
この囚人は絶え間なくうわごとを繰り返すようになった
そしていかなる要求にも応じた
12日ほど過ぎて、囚人の所持金はついに5万フランになった
このとき不思議なことに、彼はこの5万を死守することを決意した
5万フランという金は、一人の人間が餓死せずに済む金額である
彼は神に、この5万を守らせたまえと祈った
そして祈りつつ涙を流した

こうして3日が過ぎた
ときおり彼は錯乱に陥った
そんなとき窓越しに、粗末なベッドの上で今はの際の苦しみにあえぐ老人の姿が見えるような気がした

4日目
彼はもはや人間ではなかった
地面のむしろまで貪り食い始めていた
彼は、一口のパンに1,000フラン払うと言った
その要求は無視された
5日目
彼は扉まで身体をひきずって行った
「君だってキリスト教徒だろう
神のみ前では兄弟である男を殺すのか?
首領!首領!」
ヴァンパが現れた
「まだなにか欲しいのか」
「わしの金をとってくれ
そして生かしておいてくれ
もう逃がしてくれとはいわん
わしはただ生きていたいだけだ・・・」
「だいぶお苦しみとみえますが、あなたよりもっと苦しんだ人が多勢いますよ」
「とてもそうは思えん」
「いるとも、餓死した人たちだ」
ダングラールは窓ごしに幻影をみたあの老人の姿を思い出した
彼は呻きつつ、地面に額を打ちつけた

「後悔はしているんだな」
その声に、ダングラールの髪は逆立った
ヴァンパの後ろにマントに身を包んだ男の姿があった
「なにを後悔せねばならぬのでしょう」ダングラールはつぶやいた
「あなたが犯した罪をだ」
「おお、後悔しますとも・・・」
「それならば私はあなたを許そう」
男はマントを脱ぎ捨て、一歩前に出た
「モンテ・クリスト伯爵!」
「いや違う、私は
あなたが売り、身柄を引き渡し、名誉を台無しにした男
あなたにフィアンセが身売りを余儀なくされた男
あなたが財産を気付築くため踏みつけにした男
父をあなたに餓死させられた男
あなたを餓死の刑に処した男
だが、
わたし自身が許されるために、あなたを許す男
エドモン・ダンテスだ」
ダングラールは悲鳴をあげ、地にひれ伏した
「あなたの命は救われた
だが、他の二人にはそのような幸運は訪れなかった
一人は死に、もうひとりは狂った
その5万フランは持っているがいい
私からの贈り物だ
養育院からあなたが奪った500万フランは匿名ですでに返済されている
ヴァンパ、この人が飢えをしのいだら逃がしてやれ」

ダングラールは最高の食事を与えられ、馬車に乗せられると、街道沿いの木の下に放置された
夜が明けて、彼は小川のほとりにいることを知った
水を飲もうと川へ身体をひきずっていき、水面にかがんだとき、彼の髪が真っ白になっていることに気づいた


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