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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4153うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/24(日) 13:53:55 ID:LNssCYN6
マクシミリヤン、ジュリー、エマニュエルは、このところ立て続けに起こった
モルセール、ダングラール、ヴィルフォールの悲劇について語り合っていた
とはいえ、マクシミリヤンは、ただ無感動にそこにいるというだけの様子であった

モンテ・クリストがたずねてきた
「マクシミリヤン、君を迎えにきたよ」
「どこへいらっしゃいますの?伯爵さま」ジュリーが言った
「まずはマルセイユへ」
「まあ、兄を元気にして返してくださいませ」
「君たちはお兄さんが苦しんでいるのに気が付いていたのかね」
「ええ、私たちと暮らしていたんじゃつらいんじゃないかと」
「私がお兄さんの気がまぎれるようにしてあげるよ」
「用意はできています」マクシミリヤンは言った
「そんなに急に行ってしまうの?!」
「ぐずぐずしていると悲しみが増すばかりだ」
「お兄様のこのしゃべり方!
お兄様はなにか私たちに隠してらっしゃるわ!」
「とんでもない!
お兄さんのことは心配しなくていい
元気で笑って帰ってくるよ」
「お兄様に明るさを取り戻してください」
「まだ船乗りシンドバッドを信じているかね」
「もちろん」
「ならば、安心して待ちなさい」

階段の下に、召使のアリが待っていた
「あの手紙をあの方に見せたか」
アリはうなずいた
「なんと言って、いやどうなされた?」
アリはノワルチエの『そうだ』を真似た
「よし、老人は承諾してくださった
では行こう」
馬車は出発した
途中、台地の上で、モンテ・クリストは馬車を降りた
そこからはパリが黒々とした海のように見えた
偉大なる都よ!
私の使命は終わった
さらば、パリよ
馬車はふたたび走り出す
「モレル、ついてきたことを後悔しているかね」
「いいえ、でもパリにはヴァランチーヌが眠っているんです
パリを離れることは、もう一度彼女から離れることだ」
「モレル、失われた人々はわれわれの心の中にいるのだ
私にはね、そのようにしていつでも私とともにいる人が二人いる
一人は私に生命を与えてくれた人
もうひとりは私に知性を与えてくれた人だ
迷いが生じたときは、私はいつもこの二人に訊ねている
モレル、君のこころに訊ねてみるがいい
いつまでもそんな憂い顔を私に向けるべきなのかとね」
例のごとく、伯爵の旅は素晴らしい速さで進んだ


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