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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4111うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/23(土) 17:58:14 ID:LNssCYN6
アルベールはボーシャン宅へ飛び込んだ

その記事をのせた新聞は政府与党のものであるだけに事態は一層深刻だった
ボーシャンはすぐにその新聞社の支配人をたずねた

支配人は言う
モルセールの記事、あれは面白いとおもわんか?

おもしろすぎて名誉棄損になるかもしれんぞ

なるもんか
証拠は全部そろってるんだ
モルセール氏はおとなしくしているしかあるまいよ

誰がそんな詳しい情報を提供したんだ?
口火を切ったのはわが社だがその後は黙らざるをえなかったのに

向こうから飛び込んできたのさ
昨日ヤニナから来た男が、膨大な資料を持ち込んだんだ

ボーシャンはしかたなくその新聞社を出た
そして、記者として委員会を傍聴し、アルベールに報告する

その日の貴族院ではこの記事の話題でもちきりだった
ところが悲しいことに、モルセール伯爵自身はこの記事をまったく知らず、いつものように傲慢な様子で議会へ登場したのだった
一人の議員が演壇にたち、ヤニナ、フェルナン大佐という言葉を発した
モルセール伯爵は思いもかけぬ打撃に打ちのめされた
議長は調査の可否を求め、採決の結果、調査が行われることになった
モルセールは「必要な書類いっさいを提出する」と宣言した
調査委員会が開かれた
モルセールは書類を持参していた

このとき守衛が委員長に一通の手紙を渡した
委員長は開封しながら、モルセールに発言を許可した

モルセールは、アリ・パシャがトルコ帝国との交渉をする役目をモルセールに与えたという書類を持参し、アリ・パシャがモルセールに全幅の信頼を寄せていた証拠であると主張する
そして指揮権の象徴である指輪も見せた
パシャが封印に使用していた指輪であり、モルセールが後宮へ入れるように与えたものだった
モルセールによると、不幸にして交渉は失敗し、恩人の身を守るために戻ったときはすでにオアシャは死んでいたという
パシャは最愛の寵姫とその娘を自分に託すほど、自分は厚い信頼を寄せられていたのだと

委員長はモルセールの発言の間にその手紙を何度も読み返していた

モルセール伯爵、あなたはパシャが妃と娘をあなたに託したと言いましたね

はい、しかし私が戻ったときにはすでに、妃のヴァジリキと娘エデは姿を消していたのです

伯爵、そのことについて証人を出すことはできますか

残念ながらおりません

委員諸君ならびに伯爵、いま私が手にしているこの手紙には、妃とその娘のその後について証言できるという証人がいるという情報が載せられています
その証人はパシャの死に際にその場に居たとのことです
この証人をこの場へ呼ぶべきでしょうか


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