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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4097うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/23(土) 17:49:27 ID:LNssCYN6
モンテ・クリストはダングラールからの依頼事を実行するべく、
モルセール伯爵家を訪問した
その結果、モルセールはダングラールのもとへ正装して赴いたのである

「ダングラール男爵、やってきましたよ
どうも長いあいだ、昔の約束事をうろうろしていたが」

ダングラールはそっけない
「どういう約束だったかな、伯爵」

あなたは形式を重んずるんだな、といってモルセールは深々と頭を下げて言う
「私は、息子アルベール・ド・モルセール子爵の妻としてウジェニー・ダングラール嬢を
いただきに参上したことを光栄とするものであります」

ダングラールは眉をひそめた
「返事をする前に少々考えたいんだがね」
「考える?この話をしてから8年になるのに、考える時間が無かったのかね」
「もう一度考え直す必要のある事は毎日のようにあるさ」
「いったいどういうことなんだ?わけがわからんぞ!」
「ここ2週間ばかりの間に新しい事態が・・・」
「はっきりさせようじゃないか。モンテ・クリスト氏に会っただろう?」
「しょっちゅうお会いする。友人だからな」
「あの人に、私がこの縁談について態度がはっきりしない、と言っただろう?」
「その通り」
「だから、私は来たのだよ。あなたの約束の履行を促しにね」
ダングラールは無言だった
「そんなに急に気持ちが変わったのか?私を馬鹿にしているのか?」
「なによりも私が苦しんでいるのだ。やむにやまれぬ事情があってな」
「なにが言いたいんだ。いずれにせよ、私の家との縁組を拒むんだな?」
「拒んでいるんじゃない、心を決めかねているんだよ」
「まさか、あなたの寵愛が戻るのをおとなしく待っている私だとは思わんだろうね」
「それじゃ、あなたが待てないというんなら、この話はなかったことにしようじゃないか」
モルセールは怒りで爆発しそうになっていた
「ダングラール、我々も古い付き合いだ。お互い思いやりを持つべきだろう
あなたが倅に好意的でなくなったのにどんな事件があったのか教えてもいいだろう」
「子爵個人のことではないんだ。これ以上言わないのをありがたく思うんだな」
「私には聞く権利がある
家内に文句があるのか?
私の財産が十分ではないというのか?
政治的意見が違うからか?」
「そんなことではない
そんなことは承知のうえで約束したんだから、あれこれ理由を探すのはやめたまえ
延期、という言葉を使おう
時がすべてを解決してくれる
一日のうちにひどい中傷がはたと止むこともある」
「この私を中傷する者がおるのだな?!」
「せんさくは止そうといっておるのだ。この私のほうがつらいんだよ」
モルセールは怒り狂って帰って行った
ダングラールはモルセールが一言も「自分のせいではないか」と言わなかったことに気づいた

翌朝、ダングラールは新聞『アンパルシアル』を手にした
ボーシャンが編集主幹をしている新聞である
『ヤニナからの通信によれば』という記事を確認し、にやりとする


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