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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4073うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/23(土) 17:34:17 ID:LNssCYN6
裁判所にヴィルフォール検事を訪ねるエルミーヌ・ダングラール夫人
ふたりきりで話すのはずいぶんとひさしぶりである
ヴィルフォールは亡き妻ルネ・ド・サン・メラン侯爵令嬢との婚約発表の場で
ナルゴンヌ氏の妻であったエルミーヌと出会った模様である

昨日のモンテ・クリスト伯爵の夕食会ではずいぶんと罰せられましたわ

ヴィルフォールは夫人の手を握りながら言う
気の毒に・・・
でもそれ以上に打ちのめされることがあるのです・・・
モンテ・クリスト氏は、あの木の下を掘ったところで、
子供の骨も、箱の金具もみつけたはずはない
なぜなら、あの木の下には、そのどちらもありはしなかったはずだから

なんですって?でも、あの子をあそこへ埋めたのではなかったの?
わたくしを騙したの?

この20年間私が背負ってきた重荷を、いま話そう
私たちは赤ん坊が死んでいると思った
私は箱にその子を入れ、庭に穴を掘り、埋めた
私が土をかけ終えたそのとき、あのコルシカ人の男に襲われた
決闘の傷だと偽って、私は三ケ月間、死と戦った
どうにか命をとりとめ、さらに半年間マルセイユで療養した
その間に、ナルゴンヌ氏の未亡人であるあなたはダングラール氏と結婚したね
私はパリへ戻るが早いか、あのオートゥイユの家に残された私たちの痕跡を一切隠さなくてはと思った
あのコルシカ人は、私が庭に埋めるところを見たかもしれないと思った
だから庭を掘り返してみたんだよ
でも、いくら掘り返しても見つからなかったのだ・・・

なんですって・・・?

一瞬、気が狂ってしまえばいいと思った・・・
私はなぜあの男が死骸を持ち帰ったのだろうと考えた
もしも我々を脅すためならば、当局へ持ち込むだろう

・・・どういうことなの?

もっと致命的な、さらに恐れねばならぬなにかがある
たぶん、あの子は生きているのだ
あの人殺しが、あの子を救ったのだ

ダングラール夫人が凄まじい叫び声をあげた

誰かが私たちの秘密を知っているのだ
モンテ・クリストは私たちの前で、あの子がもはや埋まってはいなかった場所からあの子を掘り出したと言ったのだから、この秘密を知っているのは、それはあの男だ

正義の神様の復讐だわ・・・
夫人はつぶやいた
あの子は?あの子の行方は?

あの夜、育児院にひとりの赤ん坊が預けられたらしい
男爵冠半分とHの文字のついた布にくるまれて

まちがいないわ、私の名、エルミーヌ(Hは発音しない)・ナルゴンヌの頭文字よ!
ああ、坊やは生きていたのね!

だが、私が育児院へ行った半年ほど前に、ひとりの女が布の半分を持って、子供を引き取りに来たらしい
その後の行方はわからない
だが、私はもう一度捜査を再開するつもりだ
私を駆り立てるものはもはや良心ではない、恐怖だ

でもモンテ・クリスト伯爵はなにもご存知ないのでは?
知っているならあんなふうに私たちに交際を求めるかしら

いや、人間の悪意というものはきわめて底の深いものだ
われわれに話をするときのあの男の目に気づいたか?

たしかに不思議な目だけれど
れよりも私がおかしいと思ったのは、あの素晴らしいご馳走に、あの人がまったく手をつけなかったことよ

あの男には何かたくらみがある
一週間以内にモンテ・クリスト氏の正体をつきとめてみせる
彼がどこから来たか、これからどこへ行くのか、なぜ我々の前で庭から赤ん坊が掘り出されたなどと言ったのか


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