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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4027うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/23(土) 16:49:31 ID:LNssCYN6
エドモンによってもたらされた3か月の猶予によって、モレル商会は人々の予想を裏切って着実に支払いを続けた
そんな中、モレル氏はファラオン号の船長ゴマールのもとを訪れた
怪我のため他の船員より遅れて帰国した船長を見舞ったのだった
そうでもしないことにはゴマールは給料を受け取りに来ないとわかっていたからだ
玄関先で出会ったペヌロンは、上から下まで新調の服を着ており、ばつが悪そうであった
新しい主人を見つけたのだな、皆が幸せになりますようにとモレルは思った

順調な支払いもついにはどうにもならぬときがやってくる
モレルはその日、馬車でパリへと向かった
本能的な反駁によって、取ることを控えていた方法をついに取ったのである
ダングラールに会いに行ったのだ
彼がスペインの銀行へ転職する際、モレルは少なからぬ労をとってやったのだった
いまや彼は大富豪であり、多大な信用の持ち主である
しかしその本能的な反駁は正しかった
モレルは屈辱的な拒絶にあって、うちひしがれて帰宅した

とうとうこの家ももうおしまいかもしれない
モレル夫人とジュリー嬢は軍人である長男のマクシミリヤン・モレルに手紙を出した
マクシミリヤンはしっかりとした青年であった
モレル氏は息子に自由に道を選ばせたのだ
彼の母と妹はやがて見舞われる不幸な事態に心の支えとなってもらおうと呼び寄せたかったのである

モレル商会に残された現金は7、8000フラン
9月5日までの入金は4、5000フランである
つまり28万7500フランの手形決済にたいして1万4000フランしかない
9月4日
モレル氏は落ち着いていた
二人の女性にはかえってそれが恐ろしかった
エマニュエルは懸命に安心させようとするが、力はない
寝室にとじこもるモレル
夫人は遺書を書いているのだと悟る
お父さまをけっしてひとりにさせてはいけないとエマニュエルはジュリーに言う

9月5日8時
マクシミリアンが帰宅した
そのことをジュリーがモレル氏に知らせようとしたとき、ひとりの男が1通の手紙をもってやってきた
「ジュリー・モレル様ですね」
ひどいイタリア語訛りのその男は
「この手紙をお読みください お父様の浮沈にかかわることです」と言った
ジュリーはその手紙を奪い取るようにして、急いで封を切った

直ちにメラン小路に行き、15番地の家にお入りください
管理人に6階の部屋の鍵をもらい、その部屋に入り、暖炉の隅の赤い絹のレースの財布を取り、その財布をお父上にお渡しください
11時までにこれをなさることが必要です
あなたは私の命令に忠実に従うという約束をなさいました
その約束をお忘れにならぬよう

船乗りシンドバッド

ジュリーは歓声をあげた
イタリア訛りのその男はすでに姿を消していた
そしてもう一度読み直そうとして追伸に気づいた

この役を、あなたご自身おひとりでなさることが必要です
もし誰かをおつれになったり、あなた以外の方が現れれば、管理人は、そんな話は知らぬと言うでしょう

追伸を読んでジュリーはためらい、エマニュエルに相談する

行かなければいけません
おひとりで行くんです 
私が近くの角でお待ちしますから、お嬢様のお帰りが遅ければすぐに助けに参ります

あなた、この手紙の指示通りに行けと言うのね

そうです
お父様の浮沈にかかわることだと言われたのでしょう?

でもお父様の危機って・・・?

一瞬ためらうエマニュエル
今日は9月5日ですね
今日の11時にお父様は30万フラン近くの支払いをせねばならないのです

ええ、もちろん知っています

ところがお父様の金庫には1万4000フランしかない
誰かが手を差し伸べてくれなければ、破産です

ああ、一緒に来てちょうだい


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