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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3987V3:2015/06/21(日) 19:56:55 ID:8FW5AIyk
☆☆☆☆☆☆閲覧注意☆☆☆☆☆☆
グイン・サーガ二次創作
『星月夜』

《つづき》
リンダは、固く絞った布を使い、ゴシゴシと胸を擦り、背中を擦り、もう一度その布を桶に浸し、汚れを洗い落とした後、再び固く絞った布を使って、股間をゴシゴシと拭った。

(……)
イシュトヴァーンの胸に、これまで感じた事がなかった感慨が溢れる。
学の無い彼には、その気持ちを上手い言葉で言い表す術は無かったが、イシュトヴァーンが感じた心情を書き表すとしたら、それは、「女神の沐浴を覗き見してしまった人間の男」のそれであったことだろう。

リンダの体は、女神というには豊かさが足りなかったが、小さく膨らんだ胸や、細い胴、柔らかそうな尻、そこから伸びるすらりとした白い両足は、画家ならば絵に残しておきたいと熱望するような、成熟を迎える直前の、少女期特有の神がかった美を宿していた。
女の裸など、腐るほど見て来たイシュトヴァーンの目にさえその裸体は、恋しい相手という以上に何か特別なもの、神秘的なものに思えて、呼吸さえ忘れさせた。

畏怖に打たれたようなイシュトヴァーンが静かに見守るうち、リンダは脱ぎ捨てた服を身に纏い、白銀の髪に手をやりながら、独り言を云った。
「ああ、さっぱりしたわ。やっぱり、思い切って甲板に出て良かったわ。水音を気にしなくていいし、風も気持ちがいい。あんなお風呂場で裸になったら、病気になってしまいそうだもの。気持ち悪い虫もうじゃうじゃいたし」
「——ほんとは、髪も洗いたいところだけど…。でも、仕方ないわ。海水で髪を洗ったら、きっと余計に痛んでしまう。ただでさえ、陽に灼けてひどい有様なのに…」
リンダが、小さなため息を吐く。
その胸に、砂漠の中で行軍していても手入れを怠らない、艶やかに輝く黄金色の髪の女の姿が過ぎった。
キュッと眉毛を顰めたのち、顔を上げ、夜空を見上げる。
決然とした声音で、リンダは神々に祈った。
「聖なるヤヌスよ、そして夜を照らすイリスよ。どうか、従兄弟ナリスが、あんな、高慢ちきの人殺し女と、間違っても結婚などしませんように。どうか、私の大事な従兄弟ナリスをお守り下さい。——おお、そして、グインをどうか、無事に私達の下へお返し下さいますように。グインは私達の守護神です。それ以上に、とても大事な存在なのです。どうか、グインを、一日も早く——」
両手を組み合わせ、こうべを垂れる。その姿から、真摯な思いが伝わってくるかのようだった。

小さな呟きだったが、その声は風に乗ってイシュトヴァーンの耳にも届いた。
《つづく》


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