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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3985V3:2015/06/21(日) 19:51:19 ID:8FW5AIyk
☆☆☆☆☆☆閲覧注意☆☆☆☆☆☆

これから、V3作のグイン・サーガ二次創作を投稿します
「そんなもの、読みたくない」という方はどうぞスルーして下さいませm(_ _)m



グイン・サーガ二次創作
『星月夜』

何がどうしてかは分からないが、ふとイシュトヴァーンの健康な眠りが妨げられた。
船は穏やかな波に乗り、微かな揺れを彼の寝床に伝えているだけであるにも関わらず、彼の目はふいに覚めた。
「…ん?あ…?」
小さな窓から射し込む星明かりが照らす室内に、何とは無しに目を向ける。
ドキリと、心臓が跳ねた。
どっくどっくと波打つ胸の理由を探すべく、イシュトヴァーンの眠気は完全に覚め、彼は薄い毛布を跳ね除け上半身を起こした。
(リンダはどこだ!?)
室内には、レムスとスニしか居なかった。
今や、イシュトヴァーンが我が命に代えても守りたいと思っている、愛する少女の姿が、眠っている筈の寝床から、かき消えていたのだ。
ドッと冷たい汗が脇のしたに流れる。
(リンダ!)
傍に置いた剣を掴むと、イシュトヴァーンは慌てて室を飛び出し、口から飛び出しそうになる心臓を宥めながら、海賊どもの室内へ直行した。
ガンガンと、頭の中に最悪の想像が浮かぶ。
最悪の海賊どもに、陵辱されている、最愛の少女の姿が——。

「クソッタレ!」
イシュトヴァーンは、歯の隙間から呪詛を吐き出し、おのれの最悪の想像が当たっていた場合には、例え自分の命が失われようとも愛しい娘を救うのだと熱く腹を決めて、全身に緊張を漲らせながら海賊どもの室へと急いで向かった。

しかし——。

イシュトヴァーンを拍子抜けさせるほど、海賊どもの室は静まり返っていた。
いや、ガァァだのグォォだのの、高鼾は聞こえて来たのだが。
(……?)
てっきり、イシュトヴァーンの眠った隙を突いて、船乗りに取っては何より大事な海の神ドライドンへの誓いも反故にして、リンダを攫い陵辱の真っ最中かと危惧した輩達の居住区から聞こえてくるのは、どれもこれも、眠りの真っ最中であることをしめす鼾やバリバリという歯軋りだけである。
それ以外の喧噪は、聞こえて来ない。

ふぅっと、イシュトヴァーンは吐息を吐いた。
どうやらこの様子では、リンダという、とっておきの生贄を手に入れて、邪悪な祭りの真っ最中という訳ではないらしい。
(厠にでも行ってるのか?)
だとしたら、わざわざ探しに行くのもためらわれた。
リンダも、用足しをイシュトヴァーンに知られたくはないだろう。

安堵の息を吐きながら、ばくばくする鼓動を抑えるために何度か深く息を吸い、額にも浮かんでいた汗を拳でぬぐいながら、イシュトヴァーンは、夜風に当たって汗を乾かそうと、最上階の甲板へと向かった。

そこに、リンダがいた。
《つづく》


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