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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3962V3:2015/06/08(月) 23:09:01 ID:3z4GG4Kk
「なにごとだ、タイラン」あわただしく夜着の上に豪奢な部屋着をはおっただけのアムネリスは、あくびをかみころしながらきいた。
「あとせめて、二ザンも待てぬほどに?」
「たったいま、夜に日をついでかけとおした使者が到着いたしまして。すぐお耳に入れねばと思いまして」
「ゆうべは、少し、おそかったかしら」
アムネリスはうっとりと、昨夜のナリスの、彼女の為に作ってくれたすばらしい詩のことを思い出しながらいった。
「お起こし致しまして、申しわけございませぬが、ことはいささか急を要するので」
「それはもうわかった」
アムネリスは云った。
「いったいどこからの使者だ?トーラスか、それとも——」
「カウロス公国よりの使者で」
「カウロス——ずいぶんとまた、遠くから……」
「はい、姫さま、わるい知らせでございます。ついに、アルゴスが起ち、国をあげて、縁つづきたるパロを救えと軍をおこしましてございます。トルースや、アルゴス周辺の騎馬民族も参戦したもようで、アルゴスから兵をかりてパロへと立った、アルゴス滞在中であったベック公を、草原の町リャガのあたりで討たんとしたカウロスの軍勢は、かえってアルゴス、トルース連合軍に包囲され、敗北を喫しました。そのまま、連合軍はベック公を救出し、着々と騎馬民族の軍団の参加をえて数をふやしながら、一気にカウロスをうちやぶるべく北進をつづけているとのことでございます。——カウロスが破られれば、あとはパロの南辺をふせぐものは、ただの自由開拓民の村だけで——」
「トーラスへは?」
「カウロス公国のジラール公は、モンゴールの援軍を要請しておられます。で、ただちにひきついだ早馬がトーラスへたちましたが、トーラスからの軍勢をまっていては、カウロスに手おくれになるやもしれず——それより前に、このクリスタルに駐屯中の部隊を、ただちにさしむけては、と——」
「ガユスは?」
「ただいま、占っております」
「では、ガユスの云うようにすればよい。どのみち、クリスタルは平和なのだし」
アムネリスは面倒くさそうにいった。
「タイランにまかせる。好きにするように。——おお、いまクリスタルの軍をうごかしてしまったら——」
「は——?」
「婚礼のときの、閲兵式が見すぼらしくなるわ。父上の軍が間にあえばよいけど——杞憂ではないの、タイラン?カウロスは勇猛でなる草原の民の国。アルゴスもトルースも小国だし、それに草原は何万モータッドもひろがっている。かれらがそれをこえて、クリスタルへ到達するとは必ずしも考えられない。——もう少しようすをみては?そのうち、カウロスから、鎮圧したという知らせが来るかもしれないし」

グイン・サーガ第八巻『クリスタルの陰謀』


梅(*`Д´)ノ♪

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