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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ
3949
:
V3
:2015/06/08(月) 21:35:17 ID:3z4GG4Kk
イシュトヴァーンは狼狽した。
「悪かった」
ふだんの彼らしくもなく、ほとんどおろおろして、彼は口走った。
「悪かった。つまらんことを云っちまったよ——悪気でいったんじゃない。本当だ、ヤヌスにかけて、サリアにかけて、イリスにかけて誓うよ。だから泣かないでくれよ。リンダ——なあ、リンダ……」
彼は、当惑しながら手をのばし、なおもしゃくりあげている少女の肩にそのぶこつな手をおき、何とか少女の心をなだめ、やわらげようとした。
が、その手がリンダの、うすい服一枚につつまれた、やせたきゃしゃな肩にふれたとたん、彼はびくっと、まっかにおこっている炭火にでもふれたように手をはなした。
リンダもはっと身をかたくした。彼女のすすり泣きは止まっていた。
リンダは両手を口にあて、泣き腫らした瞳で、息をつめて、じっとしていた。それから彼女は、まるでそこに何を見出すのか、それを少しも知らない、とでもいうような、おどろきと、そしてわななきにみちた目で、ゆっくりと頭をまわし、イシュトヴァーンの方をみた。
彼女の長い睫毛が激しくまばたき、そしてその、夜明けのスミレ色の大きな眼は、なにか、云い知れぬ激情と、期待と、そしてやさしい思い——そう、女らしくやさしいあふれる思いをたたえて、ゆるやかに大きく見はられた。
「イシュトヴァーン——?」
彼女は、どこか甘やかな、かすれた声でささやいた。
「リンダ」
イシュトヴァーンは唾をのみこんだ。
グイン・サーガ第八巻『クリスタルの陰謀』
梅(*`Д´)ノ♪
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