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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3943V3:2015/06/08(月) 21:24:16 ID:3z4GG4Kk
「下のようすはどうだ」
イシュトヴァーンは、何やら奇妙なものをせっせとつくる手は休めぬまま、きいた。
「また、何やら、集ってわるだくみをしているようか」
「いいえ——いまのところ、それは大丈夫だと思うわ。ダボたちは、船室で、ずっとばくちをしているわ」
「レムスは」
「かれらと一緒なの。あれ、どういうのかしら」
リンダは不服そうに、眉をしかめた。
「こないだのことでは、少し見直したまではよかったんだけど——あの子ったら、変に、海賊たちに気に入られてしまったらしいのよ。度胸がある、とか何とかいって。その上、あの子まで、何のつもりなんだか、あの不潔な連中あいてに、いろいろ話しこんだり、ばくちを教えてもらったり、船のことをあれこれきいたりしているの。あんな、下等な連中と気のあうような、そんなところのある子だと思わなかったわ。いやあねえ、スニ」
「そう云ったもんでもないさ」
イシュトヴァーンはしきりに小刀で木切れのはしをけずりながら、上の空の返答をした。
「いずれ国王にもなる身なら、かっこうの、しもじもの事情に通じる勉強ってものさ。おれなら、あの子は、したいようにやらせとくね。あいつにゃ、自分の考えってものがあるんだろうよ」
「それが、気にくわないんだわ」
双子の姉は、腹立たしげに云い、日にやけたひざをそろえてイシュトヴァーンのかたわらにすわりこむと、可愛い口をとがらせた。スニが、リンダのとなりにちょこんとすわる。
「その、自分の考え、なんてものを、いつの間にあの子がふりまわすようになったのかと思うと。——いつだって、あの子、わたしのあとをくっついてまわって、わたしのうしろにかくれて、ちょっと何かからかわれたり、いじめられたりするとすぐにぴいぴい泣いたものよ。双児に生まれて——パロのふたつぶの真珠、と呼ばれて。わたしたちが生まれたとき、一人はパロの偉大な王となり、一人は偉大な予言者となる、と占い師たちは占ったわ。いつでも——そうよ、ほんとにいつでも一緒で、一ザンとはなれていたことはなくて。何かわけがあってひきはなされると、わたしたち、赤ん坊のころから、わあわあ泣いて、一緒になるまではどうしても泣きやまなかった、とお母さまが話して下さったわ」
リンダは淋しそうに、スニの小さな頭を、そっとなでながら続けた。


グイン・サーガ第八巻『クリスタルの陰謀』


梅(*`Д´)ノ♪

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