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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3894V3:2015/05/22(金) 00:20:18 ID:qEGe3b9E
「どなたですの、そのもうひとりの少女って」
「わたしのいとこのリンダ。——ご存じですか?顔色がかわりましたよ」
「あら、ちがいますわ——彼女は、あなたの、いいなづけなのでしょう。ちがいます?」
「おお、イラナ、イラナ。いったいだれがそんな考えを、あなたのその黄金色の頭に吹きこんだのです?」
「誰でもありませんわ。彼女を、愛していらっしゃるのではありません?」
「アムネリス。——なぜ、そんなことを?」
「『わたしのいとこのリンダ』とおっしゃったときの声と——そして目の光とで。お顔がかわりましたわ。わたくしをからかうときとはまるでちがう、やさしい、うっとりした光が目にうかびましたわ」
「あなたはまるで戦況を見すかすために小兵を出してみる将軍のようにさぐりを入れるんですね、右府将軍殿!知りたければ教えてあげますが、リンダはまだ十四の、ほんとの少女ですよ。母親ゆずりのすばらしい月光のようなプラチナ・ブロンドの髪と、わたしのように夜の色ではない、たそがれか夜明け前の紫色の瞳をしてね。ふつうの娘ではないのです——それは、パロでは、いつも髪でわかるのですよ。伝説のアルカンドロス大帝の処女姫リンダも、生まれながら雪のような銀髪をしていたそうです。パロの聖王家では、ふつう巫女となる女性はプラチナ・ブロンドの髪をし、男たちは私のように夜の色の髪をしています。そうでないのは、リンダの双児の弟のレムスだけで——なぜ彼が他のパロ王家の男たちのようではないのか、それは七つの塔の博士たちにもわかりませんでした。あるいは彼には何か、他の王子や公子たちとちがう、なさねばならぬなにものかがあり、そのあかしがヤヌスの御手で、彼のその姉と同じ雪の色の髪にしるしとなってあらわれているのかもしれません。パロの聖王家には、いろんな、ふしぎなことがおこるのですよ、アムネリス。——ヤヌスの塔の地下ふかくにかくされている、おどろくべき機械のことを知っていますか?」
「え——ええ。いえ——」
ハッとアムネリスは身をこわばらせた。アルド・ナリスはそのようすを注意深く見守っていた。

グイン・サーガ第七巻『望郷の聖双生児』

梅(*`Д´)ノ♪

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