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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ
3889
:
V3
:2015/05/21(木) 23:59:39 ID:ZVDjidx6
「ふーん」
興なげにリー・ファは云った。
「太子さまも、ゆくの」
「ああ、ゆく。おれはどのみち、もうじきパロに出征する。いつ帰ってくるかは、わからん。中原に平和がもどるまでだ」
「わたしも行く」
「来たければ来い。ただし、足手まといにはなるなよ」
「ならない。わたし、グル族の次の女族長だもの」
「そうだな」
二人はしばらく黙りこんでいた。草原に、日はいまおちようとし、壮麗な光をひろびろとした地平にひろげている。あたかもそれは、紅から黄金にいたるあらゆる色あいで築きあげた、何十層もの大理石の宮殿のようにみえる。
「おれは、ときどき、妙な思いにかられることがある」
スカールが夢みるように口をひらいた。その古い傷あとのある横顔も、日に照りはえてあかね色にそまっていた。
「どんな——?」
「いつか、おれは、誰かについてゆくか、誰かを倒しにゆくか——何でもいいが、いつか、おれは、誰かに出会って、そうしてそれきりこの草原には戻らぬのだろう——と。おれは思うことがある、いつもおれはこの草原のすきとおる緑の風を、華麗な落日を、夢にみるだろう、と。おれは、漂泊のさなかで、おれをはぐくんだ草原を、そこを共にウマででかけたお前をずっと夢にみるだろう、と思うのだ」
グイン・サーガ第七巻『望郷の聖双生児』
梅(*`Д´)ノ♪
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