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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ
3888
:
V3
:2015/05/21(木) 23:58:45 ID:ZVDjidx6
「困りますのは、ケイロニアのアキレウス大帝が、パロ、アルゴスの縁組をかねてから心よく思っておらぬことで」
シンは云った。
「アキレウス大帝は、一説によると皇女シルヴィア姫を、モンゴールのミアイル公子にめあわせてもよい、という意向のようなのですが」
「それは、まずいな。その意向か、密約があって、モンゴールがケイロニア国境からパロへせめこむのを黙認したのだ、とすると、われわれは大国ケイロニアをあいてにせねばならんことになる」
スカールがあごをかいた。
「シルヴィア姫は、いくつになる」
「まだ十三で」
「ふむう、ミアイル公子はやはりそのぐらいなものだな」
スカールは鼻で笑った。
「だから、パロのアルドロス王は、さっさと誰か王子をケイロニアの婿に決めておくべきだったのだ、あの真珠のかたわれ、レムス王子なら年頃もちょうどあったろうし、年が上でもクリスタル公あたりなら、アキレウス大帝もイヤとは云わなかったろう。それを、パロ王家は、聖なる一族の青い血はあまりまぜあわせてはならぬのだ、などと、ばかげた家訓をたてにとって、だから中原で孤立するにいたったのだ」
「パロの王族は、ヤヌスの祭司の家柄ですから」
なだめるように老族長が云う。
「他の血が入りこむと、あの一族に伝わる霊能力がよわめられてしまうのだそうで」
「ふん、霊能力か。いまの文明の世の中に、魔道やあやかし、易卜のたぐいばかりで王国が保てるものか」
疑いぶかい草原の民であるスカールは鼻をならした。
「だから、見ろ。そんな世迷い言は歯牙にもかけぬモンゴールに、あっさりと首都をおとされてしまった。おれの義姉たるエマ女王も、しょっちゅう占い棒や占い盤をいじくったり、交感だ交霊だとさわいでいるが、魔道で敵を滅ぼせるなら、剣や弓矢はいらんわ」
※ここでも設定違いがw ケイロニア皇女シルヴィアは十三とありますが、すぐあとの巻では十八歳に。シルヴィアが本編に登場した時も、十八歳として出て来ます。この辺りはしかし、「情報伝達が不確かな時代だからね」と、生温かく目を瞑れるかなという程度の設定違いw
グイン・サーガ第七巻『望郷の聖双生児』
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