したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

3728V3:2015/05/18(月) 21:06:28 ID:GIZdUa.Q
はっ——と、すべての人々が踊りも、料理をとる手もやすめ、好奇にみちた目を、入口にそそいだ。
庭園はざわざわと、狂風にゆれる芦の原のようにさわいでいる。
その中を、ゆっくりと、いったんとじられた扉が再びあけはなたれた。
「——アムネリス殿下!」
すべての目が、くいいるように見つめる中を、——二人の白騎士隊長を従え、きびきびと歩み入ってきたのは……
一人の女神、戦いの守護女神——そして、ルアーの妻なるイラナであった。
白絹のトーガ、緋のサッシュ、左手にたずさえまがりくねった杖にまきついた蛇の彫刻——そして白と赤のかぶと。
すべてが、ルアーと対を思わせ、そしてまた、なんと彼女はイラナにふさわしかったことだろう。
パロ宮廷の華麗な貴族、姫君たちの満場の注視を、いくぶんあらさがし気味にあびせかけられて、アムネリスはその白いほおをさらにきつくひきしめていた。かぶとはとって右手にかかえたまま、ゆたかな黄金色の髪が光にはえて背中へ流れおちている。くちびるはきっとひきむすばれ、(なんと、ばからしい——!私はこのような暇人あいてに社交など、しているいとまはないというのに)とでも、さけびたさをこらえているかのようだ。
するどく深いエメラルドの瞳は、軽蔑しきったように、華麗な室内をねめまわした。

グイン・サーガ第六巻『アルゴスの黒太子』


梅(*`Д´)ノ♪

※小説スレの中身は、1〜2097レスまでです


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板