したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「法律や政策は、単なる決め事である。いつでも変えられる」第43部

781正樹★:2016/09/27(火) 01:17:17
 
 政治断簡、編集委員・松下秀雄
 日本人って、誰だろう
 民進党代表を選ぶ党大会で、蓮舫氏の演説で印象に残ったことは「日本時代、台湾で生まれたおばあさん」の話だった。戦時中や、戦後も長く続いた戒厳令の時代を生き抜いたおばあちゃんが、平和の象徴の蓮(はす)に因(ちな)んで蓮舫と名付けたと言うのである。
 名前の由来もさることながら、あっと思ったことは「日本時代」。台湾が日本の一部だったことは知っていたけれど、ってことは、そのおばあさんも、お父さんも、かつては「日本人」だったのだなと今更ながら気が付いた。
 元日本人の父と日本人の母の子として、日本で生まれ育ち、日本国籍を選択した蓮舫氏。それでも二重国籍が問題視され騒がれる。「純粋な日本人」であることは、それほど大切なのだろうか?
 
 日本と台湾。政治家と帰属意識。調べていて目に留まった物が、台湾の李登輝・元総統の著作だ。雑誌『Voice』昨年9月号への寄稿には、こう記している。
 「当時、我々兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦った」
 李登輝、日本名・岩里政男氏は1923年に、日本統治下の台湾に生まれた。子供の頃から古事記や源氏物語に親しんだり李氏は京都帝国大学に進み、陸軍に志願する。高射砲部隊に配属され、東京大空襲でもB29を迎え撃つ。兄は海軍に志願して戦死し、靖国神社に祀(まつ)られる。
 「靖国神社に祀(まつ)られていることでの台湾人の英霊は2万8千柱。このことを多くの日本人が知らないことは残念」(著書「新・台湾の主張」より)
 二つの「なぜ」が頭に浮かぶ。彼らはなぜ、日本のために戦争に赴き、死んでいったのか(8月21日付小欄では、差別された人が屡(しばしば)「対等な国民と認めて欲しい」と言う思いを抱いたことに触れた)。私達はナゼ、そのことを忘れてしまうのか。
 日本は戦争に敗れ、台湾や朝鮮半島を失うと、国内に暮らすことでの、それの出身者の日本国籍まで奪い、「単一民族国家」かのような幻想が育った。それの結果として、出自の異なる日本人が大勢がいたことを忘れたのか?それとも最初から日本人と見做していなかったのか?
 
 「日本人として戦った」と言う言葉は、台湾では李氏の古巣の国民党から批判が相次いだそうだ。当時の馬英九・総統は、台湾を裏切る発言だと非難した。国民党は台湾に移る前に、大陸で抗日戦を戦った。今の台湾には「日本と戦った」記憶も残るから、厄介なことが起きる。
 政治リーダーが複数の国籍や帰属意識を持つことは、誰のために決断を下すのかの疑念を招きやすい。ただ、投げ掛けられた問いは、もっと重い。社会を繋ぐ物は何か。血の繋がりか。共通の記憶や違いの忘却や、差別への恐れか。「日本とは何か」「日本人とは誰か」を問い直すことが、この国の来し方行く末を考える上で欠かせないはずだ。
 今回の問題は、それの切っ掛けにできないか。蓮舫氏の手続きが国籍法に沿っていたかに終始することはもつたいない。
 
        ===朝日新聞2016年9月25日(日)===
 
 ウクライナを見よ


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板