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「法律や政策は、単なる決め事である。いつでも変えられる」第43部

348正樹★:2016/07/11(月) 00:33:39
 
 『亡国の密約〜TPPは、なぜ歪められたのか』
 (新潮社:山田優、石井勇人)
 昨年に、難航の末に、大筋合意をしたTPP(環太平洋経済連携協定)。大半の農畜産物の関税が撤廃・大幅削減となる中で、コメは778%と言う高率の関税が維持された。と同時に、米国とは年間7万トンの無関税輸入枠が新設されていた。自由貿易と言う名目とは、ほど遠いことでの、米国との妥結。実は昔から続けられて来た慣習でもあった。本書は、それの“密約”を暴いたリポートだ。
 源流は、30年前に始まった多国間通商交渉・ウルグアイ・ラウンドだ。農政に詳しい著者らが過去20年間のミニマム・アクセス(農産品の最低限の輸入枠)のコメの入札結果を調べると、米国の落札比率は、なぜか47%に落ち着いていた。赤字であっても一定量を米国から購入する仕組み。著者らは公文書から関係者まで丁寧に取材を勧める中で、“密約”を炙(あぶ)り出して行く。
 そしてTPP。過去の交渉では農水省が主役だったが、TPPでは首相官邸と外務省、経産省に移る。それゆえに、TPP交渉では、農業とは異なる種類の“密約”が交わされて行く。この交渉の背景も、日本の国力低下を痛感させる。
 本書から、この20年間の交渉の内幕を見ると、日本はコメのために何を引き換えにして来たのか、を考え込んでしまう。
 
 『自衛隊の闇』
 (河出書房新社:大島千佳・NNNドキュメント取材班)
 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員がイジメを受けて自殺した事件で、遺族が自衛隊などに賠償を求めた裁判は8年に及んだ。本書は、それのドキュメンタリーを制作したテレビ・ディレクターの取材記録。丹念な取材から、自衛隊組織の病理が浮かび上がる。
 遺族勝訴の判決では、イジメによる自殺を否定した海自が、重要な証拠となるイジメの調査文書を隠したことが認定された。隠蔽の発覚は、現役3等海佐による内部告発が切っ掛けだ。
 勇気がある行為は、海自の自浄能力を示すことになるはずたが、本書で詳細に再現されたことでの、3等海佐とのやり取りで告発を責める上司たちの言葉に悪寒を覚えた。「組織の中にいる人間は、やっちゃいかんよ」「自分達に非がある時でも、海上自衛隊の立場を守ることも必要なんだよ」。正義よりも組織防衛に重きを置く上司は自衛隊だけではないと思える。どこの職場にもあり得る問題を浮き彫りにしたノンフィクションだ。
 
        ===朝日新聞2016年7月10日(日)===


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