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大型モンスター討伐スレッド

305とある世界の冒険者:2013/11/30(土) 21:39:28 ID:kM/cLqvY
-森-

ギャ、ギィン!
ギ、ガガガ、ガィン!!

夜闇の森の奥。
金属同士のぶつかる音。
何者かが戦っている。

306とある世界の冒険者:2014/01/05(日) 14:09:43 ID:I.Qi/.BU
-森の奥-

草木生い茂る森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。
その大岩にもたれ掛かって地面を這いつくばって居るのは、
赤と黒を綯い交ぜにしたヘドロに巨大なヒトの腕と口をくっつけたような化物。

「……うっわ、なんか生えてきてる」

そして大岩の上で足を投げ出し自身の額に生えた小さな二つの角をさわりしかめっ面をしている存在。
薄汚れ所々擦り切れた革の服を着、眼の下には濃いクマ、半端に長い耳を持つ短髪の少女であった。

307とある世界の冒険者:2014/01/05(日) 22:28:47 ID:I.Qi/.BU
「…あー、月が出てきたわね」

如何でも好さそうに、そして凄まじく暇そうに少女がつぶやく。

308とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:23:59 ID:4RyKYBSM
-森の獣道-

爺の住むなんちゃってログハウスがある道は森の中にある。
もともと安全ではない道のりなのだが…どうにも進行方向に侵負の気配があるようで。

309とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:30:02 ID:xS.QddpI
とりあえずの修行も終わった。これでダメならしなおせばいいだろう。
問題は修行で時間が経過したことで何が起こったのかが全くわからないということだ。

「………はぁ。この気配は間違いなくアレだな。
……強い奴が来なけりゃいいんだけど。」
自身の腕前を試すために戻ろうかと思っていたところ、気配を感じて困った様子。
正直、強くなっている自信はあってもどれくらい強くなっているかはわからないのであった。

310とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:32:33 ID:4RyKYBSM
>>309
見えた、どうやら道のど真ん中に突っ立っているようだ…

ヒト?「…ぅぅぅ」

……えーっと、どうみてもヒトだ。
多分、負に汚染されている。
汚染はされているが侵負ではない、でも明らかに敵意を持って此方を見据えている!!

311とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:43:49 ID:xS.QddpI
>>310
「んー、ありゃ完全になりきっていないって感じなのか?初めて見る感じだ。
……いや、ベルもこんなかんじだったか……アレまで自我はなさそうだけど。」
感情もほとんどなさそうな汚染された人を見て、困ったように。
……結構手間取ったことを考えるとアレをもう一度出来るのかが怪しく思えるが。
というよりそれで助けられるかもわからない。対処に困る。

「とりあえず、殴ってみるか?
浄化できるか別として、ベルみたいな事すればいいはずだし」
相手はやる気満々だ。できるかどうかは別としてしようと努力はすべきだろう。
右手に魔力を集中させつつ前進するのをやめない。どう出るかはわからないが、ヒトガタとほぼ同じであれば近接格闘を主にするだろう。

312とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:47:18 ID:4RyKYBSM
>>311
ヒト?「…ぐっ……しゅぅ……」

ガタガタと小刻みに震えていたヒトがガクンと膝から崩れ落ちそうになる。
その半ばで体勢を立て直したのだがその瞬間から一気に雰囲気が変わった。

ヒト?「…」

構えた。
その手足に黒い瘴気が炎の様に纏わりついている。

313とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 22:55:16 ID:xS.QddpI
「………もしかして、一気に殴りかかるのが最適解だったりしたか?」
もしかすると、即効で竜の魔力叩き込んでおけばこうならなかったんじゃないかと思い半ば後悔している。
……負けこんでから、積極的に攻撃するのをためらっているのが裏目に出たようだ。

「……このまま突っ込むわけにゃあ行かないか。」
相手が構えたのを見てからバカ抄紙機に突っ込むのをためらい、こちらも構える。
そしてジリジリと距離を詰める。相手のリーチ内に入らないように、地道に。

314とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 23:01:49 ID:4RyKYBSM
>>313
ひゅん、と空を切る音と共に繰り出される蹴り。
無論物理的な間合いを考えると牽制にすらならない距離だが…
やっぱし、瘴気が魔弾となって飛んできた!

とりあえず面倒くさそうな相手だ!!

315とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 23:08:15 ID:xS.QddpI
「………くっそ、同じタイプじゃねぇか!」
明らかなリーチ府外からの攻撃を不審に思うもそこから飛んできた瘴気にはきっちり反応してサイドステップで躱す。
自身と同じような攻撃方法故に反応はできた。

「だったらどうする………決まってる、クロスレンジだ!」
遠距離での牽制のし合いには自信がない。はっきり言って魔力が上がったとか言われても普通の魔力弾じゃ避けられる。
故に相手の空振りを機に身を低くしつつ接近。ボディーに向かってのフックを放つ!
フックを放つ右腕には魔力がまとわれていて、追撃に魔力弾をぶつけようという考えである。

316とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 23:15:08 ID:4RyKYBSM
>>315
ヒト?「っ」

だがその考えを読んでいたかのようにヒトがバク宙を繰り出す。
しかも瘴気を纏った鋭い蹴りを放ちつつ。
この戦法…待ちガイルだ!くっそウゼぇ!!!

317とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 23:23:54 ID:xS.QddpI
「うぉっと……!あっぶねぇ!」
あっさりと避けられつつきれいな反撃を喰らい、顔をギリギリで逸らして頬を掠らせるだけですますが、蹈鞴を踏んで仕切り直される。
が、ここで下がったら先ほどの繰り返し。ジリ貧だ。
故に愚直に突っ込む。

「…………ふぅ……行くか………!」
が、今度はリーチ内に入っても殴らない。
確実に、捕まえられる距離。先ほどと同じようにバク宙を繰り出しても殴れる距離まで接近する!
まぁ、その前に相手の攻撃が飛んでくるだろうが。

318とある世界の冒険者:2014/03/11(火) 23:27:02 ID:4RyKYBSM
>>317
そんなこんなで戦いは続く…まて次回!

319とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:00:19 ID:UPNux21Q
-暗い森の中-

「やっと見つけたよ。随分あちこち逃げ回ってたみたいだね」
『・・・・・』

4本の柱を支点として構築された結界に金髪の女が閉じ込められ、
その結界の前には柔和そうな笑みを浮かべた黒髪の青年の姿がある。

320とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:02:41 ID:aQEm4mAw
「おやおや、なんだか穏やかじゃあないなぁ」

黒ランニングと柄物半パンを不思議と着こなし
襤褸外套を纏う白長髪のひょろ長体躯な爺さんが
何処からともなくぬぅ、と現れる。

321とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:04:24 ID:UPNux21Q
「もう限界だよね。それだけガルロアと同化してるんだもの、
闘争心だとか破壊衝動だとかが凄い事になってると思うけど」
『・・・・・!』

結界内に閉じ込められた金髪の女は赤黒い粒子を腕に纏い、
結界を殴りつけるが相当高度な術式で展開されているのか結界はびくともしない。

322とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:05:49 ID:UPNux21Q
>>320
結界内に閉じ込められた女は結界を内側から破壊しようとしており、
黒髪の青年はそれを何かの文献に目を通しつつ、観察しているようだ。

323とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:11:06 ID:aQEm4mAw
>>321
「…如何したもんやら」

リアクションが返ってこないと肩透かしってなもんである。
それとも声が小さかったか?
いやいや、集中しているようだし気が付いていなかったのかもしれん…とブツブツ。

「まあ、4つ柱を使わないと展開できてないんだから、
 普通に考えれば柱を一つでも使えなくすれば言い訳だ。
 しかし状況が分らんねコレは。
 俺としては女性の味方をしたいがね」

324とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:15:22 ID:UPNux21Q
>>323
4つの柱は細く、一見すれば簡単に破壊出来そうにも見える。

「勘違いしないでもらいたいな。
僕はこのヒト・・今は"ヒトだったモノ"か。
まぁともかく"コレ"を回収して守りたいだけなんだ。
別に危害を加えようとしているわけじゃないよ」

古文書のようなものを懐へしまい老人へ向き直る青年。
外見だけなら穏やかで、どこにでも居るお人よしそうな青年という印象を受けるだろう。

325とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:25:07 ID:aQEm4mAw
>>324
「ヒトだったモノ、か。もうそれだけで穏やかじゃあないんだがなあ。
 古今東西、ヒトから転じるもので良いものなんざ、そう多くはない。
 加えてアノ様子じゃあ好ましいものであると受け取るのは難しい」

かりかりと左手で頭をかきつつ爺が言う。

「回収する目的を聞いた所で答えてくれるかね、キミは?
 懐に収めたものを開示してくれれば爺の妄想を超展開する必要もないんだが」

襤褸外套を右手で纏め持ちながら。

326とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:37:39 ID:UPNux21Q
>>325
「興味があるなら差し上げるよ。
と言っても読めるページはもうほとんど残ってないけれどね」

老人の言葉に素直に懐に収めた古文書のようなものを取り出し、差し出す。
目的の方は言わないが。

327とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:40:07 ID:aQEm4mAw
>>326
「おいおい、てことは何かい。消費型の魔術文字を記載してあるのかこれは?」

まあ、何が書いてあるのか興味はあるね。と左手で受け取り、
肩に纏めた襤褸外套をひっかけ読み始める。

「…ふーむ?」

328とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:46:39 ID:UPNux21Q
>>327
単純に古文書自体が酷く傷んでおり、
破れたページや掠れた文字、古い文字ばかりでまともに読むことが出来ないが、
青年が開いていたらしきページには原文の下に現代語訳が書かれており
『ガルロアの器はガルロアの欠片の解放と共に
理性を失って行き、抑え難い破壊衝動と闘争衝動に駆られ
最終的に完全にガルロアの一部となる』と書かれているのが読める。

「このまま野放しにしておいたら大変な事になりそうだからね」

フフ、と青年はどこか怪しげに笑う。

329とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:51:51 ID:aQEm4mAw
>>328
「ガルロア…何だったかな?聞いたことがあるような無いような。
 ……生クリーム状の飲み物をゼラチンで固めたものだったか?」

いやいや、とかぶりを振る。

「成程、野放しは危険だという意見には賛成だが。
 回収といっただろう?そんな危険なものを一個人が回収するというのは如何なんだね?」

330とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:53:42 ID:UPNux21Q
>>329
「それはババロアだね」

フフフ、と青年は楽しげに笑う。

「下手に国家権力に預ける方が僕は危険だと思うけれどね」

笑顔を崩さず青年は言う。
通らなくもない道理ではあるが・・・。

331とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 22:59:53 ID:aQEm4mAw
>>330
「それだ。嫌だね、年をとると語呂が似ているものばかり浮かんで肝心のモノが浮かばん」

うんうん、とすっきりした様子で頷く。

「そうかね、ここ最近の情勢をみる限り個人の方が危険だと俺は思うよ」

そういって受け取った古文書に白紙のカードを乗せると宙に放る。
カードが光を放って古文書ごと虚空に消えるはずである。

「さて、そういう訳だからして如何するね?
 俺としてはアノ娘、連れて帰りたいのだが」

332とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:04:12 ID:UPNux21Q
>>331
「それは困るね。
僕が先約だしね」

金髪の女はまだ結界を破ろうとしている、が。
青年が指をパチンと鳴らすと結界ごと4本の柱が浮かび上がり、
空中に発生した転移陣に吸い込まれ消えた。

333とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:12:13 ID:aQEm4mAw
>>332
「…随分と無茶な術の展開をするもんだ。
 結界の術自体だって高度だろうから安定性は保証できんだろうに。
 それを更に転移させるかね」

まあ、それほどしても手放すのは惜しいか、と爺。

「しかしこうなるとハテさて此方には何も残ってないな。
 この場で君を仮にのしたところで事態の好転はなさそうでもある」

334とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:18:12 ID:UPNux21Q
>>333
「僕単独じゃあんな芸当無理さ」

肩をすくめる青年。
術式自体は合同のモノだったらしい。

「これ以上何もないなら僕も引き上げようかな。
あぁ、そうそう。あの古文書を完全に消し去ったワケじゃないなら
最後のページを見てみるといいよ。それを見れば僕の目的もわかるんじゃないかな」

335とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:22:01 ID:aQEm4mAw
>>334
「だとしても、だ。
 余程のもんだぞありゃ」

どうやら褒めているようで。

「それは送った先の専門家にでも見てもらうさ。
 分ったところでロクでもなさそうだからなあ……」

336とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:27:13 ID:UPNux21Q
>>335
「それじゃ、僕は失礼するよ。
また機会があるのか、もうないのかはわからないけれどね」

そう言って青年は微笑むと森の闇に溶け込むようにして消えた。
古文書の最後には山のような巨躯をした8つ腕の魔人が
どこかの城、町、そして人々をその巨大な腕で殴り潰している様子が描かれていたという。

337とある世界の冒険者:2014/03/14(金) 23:30:25 ID:aQEm4mAw
>>336
「んー…厄介な事になるだろ、これ」

爺はそう呟きながら場を去ったそうな。

338とある世界の冒険者:2014/04/13(日) 21:02:43 ID:mDPpputk
-とある噂のある森の奥-

最近王都で囁かれている噂がある。
草木生い茂る森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。

其処で兵を待つ武芸者が居る、と誰かは言う。
武芸者は打ち破った者たちの得物を集めている、と。
集まった得物の中には伝説級のものもあるらしい、と。

いやいや、そこにあるのは異界に通じる門だ。
異界からはガラクタが不法投棄されてるんだぜ…と他の者が言う。

お尋ねモノが潜んでいるらしい、と賞金稼ぎ。
さる村の教会からうら若き乙女を連れ去った極悪非道の男だ、と。
うら若き乙女かどうかは知らないが、女の歌声が聞こえるって話がある、と酔っ払い。
歌が聞こえる場所には湖があって其処に鳥だか魚だかが居たとか居ないとか…と言うモノも居る。

そういや化け物退治している奴がいたなぁ、と少数。
見たような顔から全く見かけない騎士だかゴーレムだか分らんのまで色々遭遇した、と。
岩が喋ったなんて話を聞くが…化け物っぽいよな、と便乗して誰かが。

大きな黒い卵があった気が…あれ、場所違ったっけ?
そうそう、巨大な生物等によって蹂躙された様な木々のある場所だったわ、と違う話も飛び交う。

「にーちゃ〜ん!コレ!間違いないよコレ!噂のやつ!!」
『……ああ』

木々の倒壊した森の奥でヒト程もありそうな大きな黒い卵の前に、
両端を垂らした紅いマフラーとゴツいヒップバッグが目を惹く徒手空拳のチビ女と
両端を垂らした紅いマフラーと二本角の鉢金を身に付けたボサボサ黒長髪の長身男が居た

339とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 22:51:04 ID:i7fJ7BPo
【王都/路地裏/なんでも屋Dmc/1F/居住エリア客室】


「――さて。」
「……そろそろ、目覚めても良い頃だが。」

少し前。 蜂蜜の怪物と呼ばれる化外を駆除した。
……その体液を採取し、肉体と精神を再構成「させた」。

その精神の内にあった、浄眼にこびり付くような悪性を取り払って、だ。
肉体はホムンクルス、ゴーレムに近い生体品。 魔力燃費が少し悪い以外は、ほとんど常人と変わりない。

――問題は、目覚めた中身の方。
精神を弄った事から、全くの別人か、或いは記憶が無い可能性が高い。

「世界に対する穴埋め行為。 引いては、唯の自己満足行為……だが)」

……これは、実験も兼ねている。
そう思って、ベッドに寝かせた蜂蜜の怪物に瓜二つの少女を見下ろす。

着替えは、簡素な寝間着だ。

340とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 22:58:32 ID:lNxlbmhA

「…………。」

【不意にパチリ、と目が開く。
まるで永い眠りから覚めたかのようなそんな様子。

しかし、まどろんでいるわけではなく頭は冴えているらしく視線を動かす。
体を動かそうとしているが上手く動かないのか、痙攣するように動いている。】

「……ぁぅ……ぁ…………。」

【言葉も上手く発せない。まるで赤子だ。
もっとも、目覚めたばかりの弊害で時期に馴染んでいくのだろうが。】

341とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:01:29 ID:i7fJ7BPo

「……落ち着け、ゆっくりでいい。」
「少し永く眠っていたから、身体が驚いているだけだ。」

話そうとする少女に、内心で舌打ちともう一つして、
その手を取って、ゆっくりとした声で言い聞かせるように。

「落ち着いて、一語ずつでいい。」
「……先ずは深呼吸からだ、身体も、その後でいい。」

342とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:11:30 ID:lNxlbmhA

「(……長く、寝ていた……?)」

【言葉が出ないことに焦りつつもどこか冷えた頭で
目の前の〝見知らぬ男〟の言葉に耳を傾ける。

そして、ジャキの方を改めてみた瞬間に彼女の心の様な部分に一つ、シミが現れた。


――――怖い。恐ろしい。


そんな感情の様なもの。
もしかすれば〝あの時の彼女〟は恐怖していたのかもしれない。】

「……ぃ……い、ゃ……。」

【そして、絞り出すようにして放たれた言葉として意味を成す第一声はあろう事か
目の前にいるジャキを拒否するような言葉であった。】

343とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:14:52 ID:i7fJ7BPo

「……話せる様で何よりだ」
「まだ、混乱はしているようだがな。」

自分を認識した第一声に、そう返し、手を離して立ち上がる。
今ので確証を持てた、――記憶と人格は飛んでいる。

恐らくは、無理な悪性の除去の所為で、だ。
今から切り取った「それ」を入れ直せば戻る可能性はあるだろう、が。

「(それをする気は、【無い】)」

「……落ち着いたら呼ぶと良い。」
「――事情を、説明しよう。」

ベッド側のテーブルに水と、何かの薬、……蜂蜜の掛けられたホットケーキを置いて。
男は一度、予想していた結果かのように同様する事なく、部屋から出て行った。

344とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:21:53 ID:lNxlbmhA

【結果として、彼女が部屋から出てくるのにはかなりの時間を要した。
事情を説明され、状況を整理する前に彼女なりに整理をしたかったのだろう。

また、彼女の中に生まれたジャキへの恐怖心。それも時間がかかった要因のひとつだ。
ジャキに聞こえたかは分からないが、一時は部屋からすすり泣く様な声が聞こえていたとか。

そんな時間を経て、彼女はようやく外に出てきた。】

「…………。」

【少しばかり覚束ない足取りであるが、これもすぐに普通に戻るであろう。
開け放たれたドアの隙間から見る限り、ジャキの用意した水やら薬やらには手を出していない。

…………もちろん、ホットケーキにも。】

345とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:24:04 ID:i7fJ7BPo

当然、聞こえる。
平時であってもその聴力は人を凌駕している。

嫌でも聞こえるし、眼を介せば何を考えているか、程度を読むのは容易く。

今回の場合に置いて、それを躊躇する理由は無い。

「…………落ち着いたか。」
「一先ずは……無駄に怖がらせて済まない、と謝罪させて貰おう。」

出て来た少女の方を見ずに、壁に凭れたまま。
浄眼――自身の特殊な眼を介して、少女の感情の波を、見る。

346とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:34:25 ID:lNxlbmhA

「…………。」

【彼女の内に秘める感情は恐怖と戸惑い。
彼女からすれば、つい昨日まで両親の元で幸せに暮らしていたはずだ。

尤も〝本来〟はそうでなかったのだが精神操作によって、悪性が除去されているため
それに関連する記憶はほとんど失っているとか。】

「……だれ、……なんです、か?」

【こちらは部屋から一歩出たところから動かない。酷く警戒している。
いざとなれば、先ほどの部屋に逃げ込もうとしているようである。】

347とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:38:22 ID:i7fJ7BPo

「ジャキ・カルレオン、……何でも屋だ。」

返答には目を伏せたままそれだけを返して、一度話を切る。
その後、少しだけの間を置いて。

「……お前と、お前の家族は、「事故」にあった。」
「その事故で大怪我を負ったお前を、俺は依頼の序で助けて、治療した。」

「ここまでは、良いか?」

348とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:42:06 ID:lNxlbmhA

「じゃき……かる、れ……かるれ、おん……。」

【まだ、上手く舌が回らない。
どこか言葉自体も舌足らずな様子である。】

「…………ここは、病院……?」

【視線だけを動かして、周囲の状況を確認しようとする。
事故で大怪我を負って、治療されたのならばここは病院であろう、と。

とすると、目の前のこの男は医者、というわけなのだろうか。

……人間としては壊れていないらしく、真っ当な思考ができるらしい。】

349とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:45:25 ID:i7fJ7BPo

「病院では無い。 ……酷い状態だったからな。
 下手な所に任せるより、俺がやった方が早かった。」

一部が本当で有り、一部が嘘。
此処が病院で無いのは本当で、「他にどうしようもなかった」のも本当。

廊下は木造の、それなりに新しい建築。
壁には風景画やアルコールランプもあり、病院、と言った装いではない。

「何でも屋、と言ったな。 ……俺は医者も兼ねている。」
「それで、お前を治療した訳だ。 ……ここまでは?」

350とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:53:01 ID:lNxlbmhA

「……何でも、屋……。」

【状況を一つ一つ咀嚼するように確認し、飲み下していく。

到底、納得できる状況では無いが、今は目の前のジャキ・カルレオンなる男からしか確認は出来ない。
信用できるはずは無いが、今はこの地に足がついていないようなこの感覚から抜け出したい、と。

とりあえず、病院で無いことは内装などから判断できたらしく、頷いた。】

351とある世界の冒険者:2014/04/19(土) 23:55:57 ID:i7fJ7BPo

「……良い子だ」

子供に言う様にそう言って、目を開ける。
その表情は何かを言い澱んで居るかのようにも、先の言葉を悩んでいるかのようにも見える。

「先ず、お前の家族について、だが」
「……事故で、……行方不明だ。 恐らくは。」

――裏付けは取ってある。
周囲一帯――とは言え王都、帝都、その周辺に置いてだが。
メヤズ=イェノーと言う人物の親類は確認出来なかった。

恐らくは蜂蜜の怪物に、と睨んでいるが。
真相は定かでは無い、男にとっては。

352とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:02:46 ID:Jy2oIL6k

「…………っ!?」

【その言葉に目を見開いた。まさかの事実だ。
わけもわからぬままに目覚めたかと思えば、たった一人になってしまった。

……蜂蜜の怪物として恐れられていた頃はそんなことはなかったのだろうが
彼女はまだ年齢から言えば、まだまだ幼い。

そんな少女が易々と受け入れられるようなことではない。】

「…………!」

【つぅっと涙が零れ落ちるが、唇を噛み、キュと口を真一文字に結ぶ。
こんなわけの分からないところで、わけの分からない男性の前で泣くべきではない、と。】

353とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:07:44 ID:YhWKvs/E
「……我慢しなくても良い」
「泣きたい時は泣け、身体に悪い」

娘の方は見ずに、廊下の窓から外を眺めてそう言う男。
内情では、どう思っているのか分からないものだが。

そして話す内に確信は形になっていき、
そこから、彼女を「どうするか」も確定していく。

「……それで、お前の事について、だが」

354とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:12:29 ID:Jy2oIL6k

「…………。」

【その言葉に首を横に振った。
結ばれたその唇は僅かに震えているが、その言葉には甘えない、と。】

「……はい。」

【そう。実はここが彼女にとっては重要な部分である。
これで自分の運命が決まるようなものだ。

もちろん、追い出されて、彷徨うことも覚悟している。
だが、ジャキに対し恐怖を覚えている彼女からすれば、それはそれで悪くは無い道だ。】

355とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:20:54 ID:YhWKvs/E

「……強い子だ」

それを横目で僅かに見て、そう言う。
最も奪ったのはこの男であるのだが。

「当面の住居と……学籍は用意した。……衣食住は与える。
 使うも使わないも自由だが、落ち着くまでは使ってくれて構わない。」

そして聴こえて来たのは、予想だにしない言葉。
即ち家も、食事も男の川で用意する、と。

356とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:26:27 ID:Jy2oIL6k

「……ぇ?」

【その言葉に思わず唇が解けて、消え入りそうな声が漏れた。】


「……どう、して?」

【当然の疑問が口から漏れる。
先ほどの様な食事とか今着ている寝巻き程度なら、まだありえる話だ。

しかし、その全てと……よもや家まで提供されるとは彼女からすれば考えてもいなかったことだ。】

357とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:29:39 ID:YhWKvs/E

「…・・責任だ」
「俺はお前を助けた責任がある。 生命だけ助けて、その後放置は、主義に反する。」

予め用意しておいた言葉を何でも無いかの様に吐く。
それは常に実践している事で有り、それ故に多くに関わらない理由でもある。

「何より……子供は笑って過ごすべき、が。俺の信条だ。」
「お前が固辞するならば何も言えないが、な。」

これも嘘では無い。
その為に子供を殺す事が無い訳でない事も、そうではあるのだが。

358とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:39:42 ID:Jy2oIL6k

「…………。」

【当然、悩むところだ。
とんとん拍子に進んでいく話は非常に怪しい部分がある。】

「…………分かりました。ありがとう、ございます……。」

【だが、まだ目覚めてそれほど経っていない彼女の頭では打算的に物は考えられない。

とりあえず、ジャキなる男性は自分に良くしてくれようとしているのは理解できている。
しかも内容は彼女が最も助かるものだ。……受け入れないはずは無い。

だが、いまいち素直になりきれていないのは内に潜むジャキへの恐怖心があるからだ。】

359とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:43:36 ID:YhWKvs/E

「……何でも屋をやっている様な男なんぞ、怪しくて信用出来んと思うが。」
「そこは、我慢してくれ。」

身長差から娘を見下ろして、だが何処か優しい声色で。

「……必要以上に君には干渉はしない。」
「怖がられてもいるようだしな、……君は心の傷を癒して、落ち着いたら普通に暮らしていけばいい。」

言って、軽く頭を撫でた後、直ぐに離す。
少女の恐怖に対しては心当たりが男の方にあるように見える。

男からすればそれは当然の事なのだが。

360とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:49:30 ID:Jy2oIL6k

「…………は、はい……っ!」

【頭を撫でられると驚いたようにピクリと震えた。
恐怖している対象からいきなり頭を撫でられれば、驚くのは当然だ。

だが、この感情は自分で分からないものだ。
本来ならば、感謝しても感謝しきれない、とそのような気持ちで一杯になるはずなのに。

頭である程度、考えていることと自分の心のズレに困惑している。】

「……分かり、ました。
……あの、さっきの薬、って……?」

【寝かされていたベッドのところにおいてあった薬のことだろう。
もちろん、何も知らなかったため服用しておらず、そのまま残っている。】

361とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 00:53:46 ID:YhWKvs/E

「……いい子だ」

手をコートの中へと戻し、口元を歪める。
この調子なら、蜂蜜の怪物となって荒れ狂う事は無いだろう、という思いと。

自身への嘲笑。

「魔力の安定剤だ。
 ……事故で魔力経がやられている、苦いが、できるだけ食後に服用してくれ。」

362とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:05:25 ID:Jy2oIL6k

「……安定、剤……。」

【何とも聞きなれない言葉である。そんな魔力などを意識したことは無い。
……というよりこれから色々と習うはずだったのである。

だが、本来の彼女は魔法に関しては長けていた。
それを自身の欲望を満たす手段として使う程度には……。

すると――――。】

「そう、いえば…………私、っは……!」

【どろり、と右の指から〝蜂蜜〟が垂れ始める。
そして、頭が痛むのか手で押さえながら、うずくまるように。】

363とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:08:09 ID:YhWKvs/E

「ああ、一日三つ。ちゃんと飲めば問題は無い。」

――が、その矢先に娘が頭を抑え、うずくまるのを見て。
内心で悪態をつき、同じ様にしゃがみ込む。

「……大丈夫だ、落ち着いて、ゆっくり呼吸しろ。」

彼女に目をあわせ、半ば暗示に近い形で、精神を鎮静させようと。

364とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:13:00 ID:Jy2oIL6k

「……っ…………ふぅ〜〜〜〜……。」

【目を見つめられたまま、ほぼ従う形で深呼吸を始めた。
恐らく、先ほどは彼女の欠落した部分に触れてしまったのだろう。

彼女の一部でもあった悪性を除去してしまったが故の弊害。
しかし、ある程度の再現はされているため、無いはずのそれを呼び起こそうとする。

いわば、読み込みのエラーだ。】

「すいま、せん……なんだか急に。」

【だが、すぐに落ち着いたらしく、荒い息をつきつつも、大丈夫であると。】

365とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:16:15 ID:YhWKvs/E

「……よし、良い子だ、落ち着いて、……そうだ。」

呼吸を整え、落ち着いた様子の娘を見て、そう言う。
不用意な発言――特に彼女を知る物との接触は危険か、と判断する。

とは言え、そう王都の外に出させる気も、今は無いが。

「きっと、疲労から来る混乱だろう。」
「……大丈夫だ、此処に君を害する者は無い」

366とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:22:06 ID:Jy2oIL6k

「……はい。」

【いつの間にか手から垂れ落ちていた蜂蜜も無くなった。
手から蜂蜜が出ることについての動揺は無い。

一応、自身が蜂蜜を生成できることは知っているようである。】

「確かに……ちょっと疲れ、ました……。」

【目覚めて間もないからなのか、少しの対話、移動でもそれは
予想外に彼女に疲労として蓄積しているようである。

どちらかと言えば、先ほどのエラーに対する部分の方が大きいが。】

367とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:25:19 ID:YhWKvs/E

「ああ。 ……食事を採って、ゆっくり休むと良い。」
「好きなものを用意しよう、可能な範囲で、だがな。」

流石にもう少女に手を触れる事はせず、自分で立ち上がるのを待って、
バグの修正も考えなければ、なんて人離れした思考を浮かべて。

「……大丈夫だ、ゆっくり休んで、それから考えれば良い」
「誰に傷付ける事も、誰を傷付ける事も、無いんだからな。」

先ずは、と食事の用意に赴くのだった。

//とりゃえずこちはこのへんでー?

368とある世界の冒険者:2014/04/20(日) 01:37:08 ID:Jy2oIL6k

「…………私、あれが良いです。」

【と言って視線を移したのは手をつけなかった蜂蜜がかかったホットケーキである。
それは彼女の最も好きな食べ物である。

先ほどは動揺と警戒から手はつけなかった。

しかし、今となってはジャキに対しては感謝をしており、少しだけ警戒も解けた。
無論、完全に信じたわけでも無いしジャキへの恐怖心も拭い去れてはいない。】

「蜂蜜が、好き……なんです。蜂蜜、が。」

【疲労で一杯の体を持ち上げつつ、とりあえず薬を飲もうと
先ほどの部屋へと戻って言ったとか、FO】

//そうですね。お疲れ様でした!

369とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 21:48:36 ID:wnJgIc6.
【王都郊外/森林/奥地】

「―――――。」

森林の奥地、黒一色のコートに碧色の髪の男が二振りの長剣を構え、呆然と月を見上げる。
表情からは何も読み取れず、その眼は細められ、意思を読み取りにくい。

「……馬鹿馬鹿しい。」
「何を、考えているのやら。」

かと思えば、青年は空から視線を外し、無心で剣を振るい始める。
研ぎ澄まされたそれは、見る者を魅了する「剣舞」、――剣を振るう度に舞う、黒い翅の様な魔力が合わさって。

まるで、人外の――悪魔か、何かか。
その類が、踊っているようにも見えた。

370とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 21:52:48 ID:x7/0pVRE
「……ハッ……ハッ……!」

始まりは、いつも自分が息を切らしてせっつく所からだった。
エネルギー消費の非合理極まりない鬼ごっこ。

銀光を躍らせる主は、たびたび"これ"に付き合っていた。
ありありと、ここに居ると、そう主張する様な気が近付いて来る。

371とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 21:58:48 ID:wnJgIc6.

「……、……。」
「しつこい、な。」

溜息一つと共に、気分が沈む。
会いたくない訳ではない、――向こう側に非は無いのだから。

悪いとすれば、全て、自分。
そして自分がその馬鹿げた呵責に、潰されてしまいそうになるが故に。

背中から自罰の意味を込めた、黒鴉の翼を顕現させて、翔ぶ。
逃げるように。

372とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:05:48 ID:x7/0pVRE
「……待っ、……て、下さい……――!」

事は簡単だ。
くだんの一件でお前等にはほとほと愛想が尽きた。迷惑だから関わるな。
そう言ってしまえば、この単純な女は自ら身を引いただろう。

だが、彼はそれをしなかった。

否、出来なかった。

故に彼はあがないでこの"児戯"に興じている事だろう。
しかし、今宵の彼女はいささかしつこかった。

373とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:11:18 ID:wnJgIc6.
「(……ダメだ)」

会えば、あれ等はまた、以前来た珍しい客人の様に赦す、等と言うのだろう。
なんて、惨め。 そんな事は許されない。

いっそ完全に拒絶してしまえば、とも思う。
だがそれをすればまた元の狢、未だ仕留め切れてはいないアレ等がその隙を狙うかもしれない。

「(なんて)」

胸中で自分に毒を吐く。
――要するに全て我が身可愛さの癖に、と呪いを吐いて。

翼を一度羽ばたかせて、速度を上げた。

374とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:16:07 ID:x7/0pVRE
「………ッ」

何で、と言いたげに表情がくしゃりと歪んだ。
何故話をしてくれないのか。

自分達は、あれから何も聞かされていない。
イリュージョンも、邪気の事を思って口を噤んだままだ。

何も、何も知らされていない。

理不尽に感じ、感情を吐露するには十分な時間が経った。

「どうして……何も、話してくれないんですか……!!」
ミラナには、心当たりがあった。
事の顛末ではなく、邪気がこの様な行動に出る理由にだ。

375とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:22:12 ID:wnJgIc6.

……言葉に、中空で一度動きが止まる。
翼が揺れて、彼女を思わせる――いや、恐らくは残っている彼女の魔力なのだろう。

或いは、死の際にでも喰った魔力か――その翅が舞う。

「話して何になる。」
「俺がミルダを殺したのは変わらん。」

「それが、全てだ。」

そちらを向く事もなく、翅だけを揺らしてそう告げる。

376とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:31:03 ID:x7/0pVRE
「……上辺を、全部って言うのなら………!!」

虹色のまばゆい光が、翼の形を作る。
それは、適格に邪気を追う為に編み出した、一つの技だ。

そう、その為だけ。
くだらない事だ。

「じゃあ、何で……っ、ちっともスッキリしないんですか……!」

彼女は怒っていた。
怒りのあまり、くだらない術まで編み出した。
そうまでして邪気を追う原動力を、ミラナは自覚していた。

「何で、何で全部……!!」

独りで抱え込んでしまうんですか、と。

377とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:38:45 ID:wnJgIc6.
「”何で”?」

ハ、と嘲りを含んだ声が却って来る。
表情は見えない、顔を合わせない青年がどんな顔をしてるかはうかがい知れない。

「――これ(ノロイ)は、俺の物だ。」
「誰かを殺す様な情念も殺した後の後悔も、延々と鳴り止まないこの呪詛も。」

ただ、確かな事がある。
彼は彼女達に悪感情は欠片も持っていない。

以前と同じ様に。ともすれば以前よりも強く、護るべき、護らなければ"いけない"と思っている。
違うとすれば。

「狂いたくなる程の衝動も、悪意も、敵意も、――"虚無"も。」
「全て、俺だけの物だ。」

彼は、他者の代わりに、自分を呪っている。
他所に、――外に向けるべき、向けても良い呪いまでを全て、自分に。

”彼の知る誰もが等しく笑っている為に”。

378とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:49:09 ID:x7/0pVRE
「……〜〜ッ……!!」

その言葉に、恐らく、彼女は生涯で一番"怒った"。

「何が………」
一度だけ俯き、顔を上げる。
楚々とした普段の印象とは似ても似つかず、歯を軋ませる表情がそこにある。
抑え切れない感情は、透明な雫となって飴色の瞳から流れ落ちる。

寸、彼女は驚くべき程の推力を見せた。
邪気に追いつく事が可能であると言わしめる程の。

そしてその瞳は、追う者の瞳ではなかった。
打ち当たる者の瞳に、いつしかその飴色の光は変わっていた。

379とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:53:11 ID:wnJgIc6.

「……怪我をしなければ解らんのか。」

そこで初めて、青年が振り向く。
表情は、苦悶。苦痛に歪んだ様な、何かを耐える様な、悲しみにくれるような。

お世辞にも良い、とは言えない暗く淀み沈んだ物だった。
振り向きざまに黒い翅が中空に舞い散り、それが進路上の斯界で弾ける。

――めくらましだ。

380とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 22:59:12 ID:x7/0pVRE
「その程度じゃ……引き下がりません……ッ……!!」

――あの子ねぇ、見掛けによらず頑固なのよー……

ふっ、と。あの声で、あの間延びした声でそんな言葉が邪気の脳裏に過ぎる。

「覇あああァァァァーーーッ!!!」
弾けた翅の中。
まるで黒い森を飛び抜ける様に真っ直ぐ突き進んでいく。

381とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:02:41 ID:wnJgIc6.
「っ゙^――。」
視界に姿がフラッシュバックする。

「(やめてくれ――)」
彼女が遺した魔力と言葉は、青年に正しく届かない。
青年は、「そうなった」彼女を見てしまっていて、自分が尚酷い事になるのを"知"っているから。

それは、歪む。呪詛と悪意に捻じ曲げられて伝わらず。

「……しつこいと――」
振り払う様に右腕を振り上げて、――イメージが想起される。
振り上げた自分の右腕が、目の前の娘を引き裂いて血風を

「っ。」

――動きが、止まる。
自分の考えた光景と、やろうとした行為に。

382とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:16:57 ID:x7/0pVRE
「虹……」

黒い森を突き抜け、真正面に黒衣の"悪魔"を捕える。

「天……!」
姿勢の制御を虹彩の翼に任せたまま、拳を腰だめにする。
その瞳は、いつになく輝く。飴色が光の反射で虹に変わる。

「拳ッッ!!!!」
邪気は恐らく、自分自身がミルダを救ってやれなかった事を悔いていた。
そうして、理不尽を盾にしてミラナやユンヌを避けていた。
しかし、ミラナはそれに対して理不尽で踏み込んだ。

何の変哲も無い、理不尽で、感情の並に任せた我儘の為せる、ただの拳で。

383とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:22:06 ID:wnJgIc6.

「――っ。」

咄嗟、ほぼ反射の行動で異形化していない右腕で防ぐ。
ご、とすさまじい音が響き激突の余波で翼が揺れ、黒翅が大量に舞い散る。

びりびり、と拳から衝撃が伝わっていく感じが、ミラナに伝わるだろう。

「……ッ、は……ッ。」

……正面、間近から見たその表情は。
何処か、泣き出しそうな少年の物に近かった。

384とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:36:24 ID:x7/0pVRE
「………ッ!!!」

自らも溜め切れなくなった涙を、瞼を強く閉じて一旦追い出す。
そして殴った衝撃もおさまらぬまま、邪気の腕を自らに絡め

「邪気、さん、の……ッ……!」
詰まり詰まった嗚咽混じりの声で

「馬鹿ああぁぁぁあぁぁッ!!!!」
地面へと、己の持ち得る精霊の力を"無駄遣い"して、体ごと投げた。己ごと。

385とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:40:07 ID:wnJgIc6.

「――っ。」
一瞬の遅れの後、正気に戻る。
拙い、と。

このままでは自分はともかく、娘の方が地面に叩き付けられる。
自分は傷一つ付かないだろうが、飛行を覚えたての娘の方は――


「っ――ユンヌか、お前は……!!」
咄嗟に魔力を展開し、右腕を異形に"戻す"。
着地――というよりは落下地点か。 

そこが不自然に"削れ"、直後に魔力で柔軟質の「クッション」が造られて、落下。
――特に傷無く、地に、落ちる。

386とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:45:41 ID:x7/0pVRE
「……っ!!」

一瞬の静けさを置いて、二人は地面へ不時着していた。
しかしながら、これでもおさまらぬか。

ミラナは我を忘れた様に、馬乗った状態で邪気の胸ぐらを掴んでいる。

その表情は、様々な感情で塗り潰されていた。
悔しさと、怒りと、そして悲しみと。

「……っ、ひぐっ、う……ぅ゙……!」

387とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:49:29 ID:wnJgIc6.

「…………。」
「泣くぐらいなら、最初から、近寄るな。」

ばっ、とつかむ手を振り払うようにして。
自分はさっさと立ち上がる。

――余り、長時間顔を見たくないし、見られたくない。
逃げるように顔を背け、土埃に汚れたコートを手で払う。

388とある世界の冒険者:2014/05/08(木) 23:54:43 ID:x7/0pVRE
「嫌です……ッ!!」

詰め寄る。詰め寄って再び襟をつかむ。
あれほどパーソナルスペースの広いミラナが、ここまで我を忘れて。

「ひ……」

「独りで恰好つけて、私達の為、とでも言うんですか……!?
私達は、そんなに弱いですか……!!」
細い腕が、襟を掴んで揺らす。
その言葉は切羽詰まっており、脳から直接口を通して言葉が零れてゆく様だった。

「邪気さんは、そんなに強いつもりなんですか……ッ!!?」

389とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:01:42 ID:g4TwrN7U


襟を掴まれ、正面から顔を合わせたまま。
僅かな間の後に、答えが帰って来る。

「戦いで言えば、そうだろう。」

「お前が例え何人居ようが、俺はお前を殺せる。
 それはユンヌでも、イリュージョンでも。 ……ミルダでも変わらない。」

それは事実。
彼が「その気」になれば、精霊――特に魔力の強い精霊は、それ故に勝てない。
全身を瘴気で侵され、文字通り魔人になった青年に嬲られる。

「俺は、強い。」
それ故に、誰より【弱い】。

「……だが、俺が戦うのは――お前等の、為なんかじゃ、ない。」
「徹頭徹尾、……俺は、俺の為にしか、戦って、無い。」

内側から軋む音が聞こえる程に。
いつの間にか、彼は、弱くなっていた。

強いが故に。――何時の間にか、「ひび」だらけだ。

390とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:09:22 ID:zZH38W.I
「じゃあ、じゃあ……!!」

再び、飴色の瞳から大粒の涙が溢れて来る。
しかし、ミラナはそれを拭う事をしなかった。
この人の前で、畏まる必要なんかない。それを教えてくれたのは、他ならぬミルダであった。

「自分の為だけなのなら…っ、私を殺せば良かったじゃないですか!
簡単なんでしょう!? そうすれば良かったじゃないですか……!!」

稚拙な挑発にも聞こえる。
だが、彼女は思う通りに言葉を発している。

「ミルダさんを……いちばんに契約を結んだミルダさんを殺したみたいに……

私もそうすれば良かったじゃないですか!!」
しかしそれは、言葉と心の内では大分と意味が異なる。

何故そうしなければいけなかったのかを、切実に問いたい。
そんな気持ちが、痛い程に伝わってくる。
否、文字通り、痛いだろう。

391とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:12:52 ID:g4TwrN7U
「……っ。」

ずきん、と脳髄が痛む。
視界にまた黒い翅の女性がフラッシュバックし、歪む。

自分の身体の、蓋をしている何処かから声が聞こえる。
そうだ、殺してしまえ、と。 それが望みなら尊厳を奪い、魔力を奪い、蹂躪してしまえ、と。

――いつも、こうだ。

「……そこまで、」
「そこまで、暇じゃあ、無い。」

「何より、っ」

お前たちの為に、殺したんだ。 なんて、言葉が出てきそうになって、
また吐きそうになって、言葉が途切れ、黙りこむ。

392とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:24:55 ID:zZH38W.I
「……ほら、出来ないじゃないですか……!」

心の臓を貫く。魔力で焼き尽くす。瘴気で溶かす。首を刎ねる。
やり様は、いくらでもある。痕跡が残る事すら困難な事も当然。

しかし、未だ以て彼はそれをしていない。
それが答えだ。

「暇だったから、ミルダさんを殺したんですか……?
……違うじゃないですか……。そんなの絶対、違うじゃないですか……!」

ドン、と胸に細腕の当たる感触があった。
それは、とても"重かった"。

「話して、下さい……どうして、ミルダさんは……」
気付けば、少女の様な外見の精霊は、邪気の胸に顔を埋めていた。

393とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:29:43 ID:g4TwrN7U

「……。」

言える訳が無い。
言える訳が無い、”言って良い筈が無い”。

ユンヌを何かに利用しようとしていた、人間を憎んでいた、マルエスに協力していた。
ともすればミラナにも被害が行く可能性が高かった。  だから殺した。

そう言って、どうなるか。
――決まっている、この娘も、あの少女も。 『無駄な気負い』をするに決まっている。

「……お前、に」
「話しても、仕方のない、事だ。」

言わない。言えない。 ――癒えない。
言える筈が無く、遺された怨嗟の声が癒える事も無い。

「殺した事に、代わりは、無い。」
「その事実だけあれば、充分だろう。」

394とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:45:39 ID:zZH38W.I
「……………。」

答えは無い。
邪気が望む"十分だ"という答えも。
ミラナが言う"違う"という答えも。

ただただ、胸に顔を埋めたままで暫し沈黙を預ける。

「……ミルダさんは……私にとって、姉の様な存在でした……。」

そうして返って来た言葉は

「……邪気さんは、やっぱり、馬鹿です。」
幾多もの峰々を超えた様な

「…………そんなに、すぐにその想いが変わる訳無いじゃないですあ……。」
全てを知っている、悲しみに満ちた微笑みが添えられていた。

395とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:49:26 ID:g4TwrN7U

「……。」
「俺が、殺した。」

フラッシュバック。
嘔吐感しか、こみ上げて来ない。
その声が耳を擽る度に、呪われて、気が狂いそうになる。

「……これ以上、話す事は、無い」

ミラナを押しのける――にしては、随分と優しく、身体を引き剥がすようにして。
黒い翼を散らして、銀翼を顕現させる

396とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 00:57:28 ID:zZH38W.I
「……違います!!」

引き剥がされても、めげずに背より抱き着く。

「何で……何で邪気さんが悪いんですか……?
悪いのは、ミルダさんを……お姉ちゃんを、貶めた人達じゃないんですか……!?
何で邪気さんが、そんな人の罪を背負うんですか!? おかしいじゃないですか……!!」

最早喉が掠れて、言葉も正しく発せられているか分からない。
それでも、声を振り絞る様にして邪気へと言う。

397とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 01:04:04 ID:g4TwrN7U

「俺が殺したからだ。」
「――他に選択肢はあった。」

幾らでも、あったのだ。あった筈なのだ。
無理矢理に叩き伏せて記憶を弄りでもすれば良かった。 ――それが出来た。

叩き伏せた後でミラナやイリュージョンにまた説得させれば良かった。 ――それも出来た
自身が何度でも、何度でも話してその想いを共有してでも止めるべきだった。 ――出来た筈だ。
そもそもが、ああなる前に契約者である自身が気付き、労り、とうにかすべきだった。 ――出来た筈だ。

「――ッ、俺はッ!!」
「俺は、解って、殺したんだ!」

背から抱きつく娘を思い切り振り払って、ぶちまけるように。
――全身からは、おぞましい呪いが"漏れだしている"。

「”全部解って、他に集団がある上で、殺したんだ”ぞ!!」
「恩もあって、情もあって、誰かの大切な相手である事を、知って、――殺したんだ!!!」

「どういう、”過程”があれ、俺が、……【俺が殺した】んだ……!!」
「それを、お前が――お前に……!!」

――悪魔王の仮面が、剥がれていた。
ここに居るのは、ただの、。

398とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 01:20:47 ID:zZH38W.I
「……何なんですか、自分だけが全部知ってるみたいに……っ!!
私達だって、闇を晴らせなかったんです……!!
私達だって、気付けなかったんです……!!」

地に転げ、何度も振り解かれて泥まみれになりながらも、娘はばかみたいに同じ事を続ける。
邪気に詰め寄り、掴みかかり、心の内を、言葉をぶつけ合う。

「それにッ!!
貴方は契約したんでしょう!? 心の内を、一瞬でも通わせたんでしょう……!?
悔しいんなら、悔しいって言って下さい!! 哀しいんなら哀しいって言って下さい!!
悪い悪いって、それだけじゃないのなんて分かってます!!
でもそれは、口にしなければ意味が無いんです!独りで抱え込むなんて絶対無理なんです!!」

一挙にまくしたて、肩で息をしながらも最後に大きく息を吸う。
ミラナは、邪気が何も言わない事に怒っているのではなかった。
自らと一緒に、殻の中にしまってしまった事が、嘗ての自分を見ている様で
そこから成長する切っ掛けをくれた人が、そうなってしまっている事に

「意気地なし……ッ!!!」
ただただ、怒っているのだった。

399とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 01:28:32 ID:g4TwrN7U
「っ――お前にっ、何が分かるっ!!!」

まるで、子供。
何時もの表情からは決して伺い知れない――今となれば家族ですら余り見なくなったような。

「ああ、そうさ、哀しいさ!!悔しいさ!!そうに決まってるだろう!!!
 アイツを救えなかったのも殺す羽目になったのも!!誰が好き好んで殺す!誰が好き好んで戦いなんぞする!!!
 試合ならともかく、殺し合いなんぞ元々嫌いなんだ、俺は!!!!!」

ぶちまける。感情を――どろどろとした、呪いを。

「皆、死ねば良い!!!俺は家族と、お前等と、本当に少しだけ居れば良かったんだ!!
 人が憎いだと!? ――そんなもの、俺だってそうに決まっている!!俺は、俺と――
 俺と、俺の家族以外なんて、どうでもいいんだ!!そこだけ、あれば、良かったんだ!!」

恐らくは誰にも言わぬであろう悍まし、生の感情。

「ただ、それでも俺は、俺の様なのが、生まれない様に、っ、
 俺の――俺の様な思いをさせないように、俺は、人間を、っ、俺は……!!」

……最後の方は、支離滅裂だ。

400とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 01:51:13 ID:zZH38W.I
「だったら……。」
わなわなと拳を震わせ、下唇を噛む。

「……ッ、だったら、自分を責めるのなんて……一番止めて下さい……!!」
邪気が溜め込んでいた呪い。
それに心が再び動き、何度流したか分からない涙が再び流れ始める。

「邪気さんは、私が上辺だけで……
かっこよくて……優しくて……頼り甲斐があって……
……それだけで……それだけで慕っていると思っていたんですか……?」
ずるり、と袖を掴んだまま地へと膝から崩れ、顔を俯かせて言った。

「……違いますよ……ッ……」
絞り出す様に、ミラナが言う。

「数百年……神だと崇められ……愚象にされて……
露だけを糧に生きて……形を得たら、棄てられて……!
それでも、私は人間になりたくて……!でも、信じられなくて!!
私を棄てた人達の事を信じられなくて……!!」

嗚咽を漏らす声と、不規則に揺れる銀の長髪。

「占いなんて……嫌いです……
自分の事を……自分で決められないのなんて……嫌いです……!!」

「でも!!」
再び、涙でぐしゃぐしゃになった顔が邪気を必死の形相で見据える。

「好きになろうって思ったんです、頑張ってるんです……!!
私に、こんな私に手を差し伸べて下さった皆さんのお陰で……!!」

「……私の生き方を変えてくれた、邪気さんのお陰で!!
だから、だからこの人を愛したいって……
それなのに、それなのに……どうして……ッ……」
洪水の様に溢れた言葉はそれきり。
ついには、堰を切った様に大声で泣き出してしまう。

401とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 01:58:05 ID:g4TwrN7U

「……ッ、は、ァ――はッ――。」

――ぶち撒け終えた、後で。
正気に戻る。 ――なにを。と手て口元を抑える。

何を言った? 自分は。
呪いを。――

「……っ、。」
――自身を苛む間もなく、目の前で娘がまた、感情をぶちまける。
止め処なく溢れる感情の波を、双眸が読み取り、言葉として、意識としても、認識する。

「……、。」
――深呼吸を一つ。
冷静、になる。精神も……大丈夫だ。

今は、落ち着いている。落ち着けている。
逆にぶち撒けて、ぶち撒けられた事で、少しだけ、すっとしたのかもしれない。

だから。

「……もう、良い。」
「(これ以上は、互いに、不毛だ。)」

泣きだした娘の頭に手を置いて、呼吸を整える。
これ以上は――ただ、抉れるだけだ。どうせ、ぶちまけたのだから。

「互いに、止めだ。……おれが わるかった。」

402とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:05:09 ID:zZH38W.I
「……〜〜」
すん、すんと鼻をすする音が聞こえる。
らしくない事だ。恥ずかしがって人前では絶対にやるまい事を。

「……好きな人に、逃げ続けら…れるの、とても、辛いんです、から……。」
顔を両手で覆いながら、言う。
寂しい思いをさせるだけで誤魔化すのは、天秤の上で見れば問題は無いだろう。
しかし、今回はその邪気が持つ天秤が取り上げられてしまった。

まさか、ミラナがその様な事をするのかと想像出来た人間は、恐らく少ないが。

403とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:08:33 ID:g4TwrN7U
「……済まない。」
だが俺は――とは、今はいうまい。
それはきっと、彼女も分かってる事だから。

「……今、俺が言ったのは、忘れろ。」
「らしくない事を、言った。……俺も、お前の言った事は……、忘れる。」

それこそ、そう。今自分がぶちまけた言葉を覚えていられれば、
彼が持つ天秤そのものが、おかしくなる。ミラナの認識からしても自分からしても。

「……出来る限り、会う様にもする。」
「だから、……何だ、……泣くのは、やめろ。」

404とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:20:04 ID:zZH38W.I
「…………――。」

袖で、やや乱暴に目元を拭いながら、立ち上がる。
ミラナの心は、妙に前向きだった。

「……いいえ、覚えていて下さって結構です。
私は結局……私ですから。」
泣き止んだ表情はとても穏やかで、首を横に二度振りながら言った。

「まだ、邪気さんより弱いみたいですから。
横に立てる資格が、出来るまでは……それまでは。」
後に続けようとした言葉を飲み込みそして

「私、しつこいんです。」
にこ、といつもの様な笑顔を浮かべて言った。

405とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:24:00 ID:g4TwrN7U
「……詭弁を。」

自分の詭弁に、向き合わないで次を探せ、と何度も思う。
今度の事でも、そうだ。無駄に傷付いた。

「(横に並ばせる気など)」
無い。――無いのだ。
そもそも、居る筈が無い、精神的には、別としても。

「…………ユンヌと、イリュージョンに、謝罪を伝えておいてくれ。」
 イリュージョン、には。 ……俺から、挨拶に、行くと。」

笑顔と、その言葉には応えず。
余所を向いて、それだけを告げる。

406とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:35:17 ID:zZH38W.I
「ええ。言うなれば人間らしく?」
クスリ、と口元に手を当てて笑みながら冗談めく。

「……分かりました。確かにお伝えしておきます。」

その表情には、少し寂しげな物が浮いて出ていた。
やはり、まだ。とでも言う様な。

407とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:37:57 ID:g4TwrN7U
「……。」
その動作に、一瞬ぽかん、と。
間の抜けた表情をする。

「(こう云う風にも、笑える様に、なったのか)」
言う慣れば、ジャキの知る「彼女」らしからぬ動作だったから。

「俺のやったことは、消えない。それを、譲るつもりは無い。」
「唯……イリュージョン、とは、話を、付けておくべき、だろう。」

できれば、ユンヌとも。彼女はきっと怒るだろうけれど。

408とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:44:59 ID:zZH38W.I
「…………」
恐らく、彼女もまた背負っているのだろう。
"あの人"を。

「……ええ。分かって、ます。
……私は……己も、邪気さんも、赦すつもりはありませんから。
だって、そうしてしまったら……お姉ちゃんが可哀想です。」
再び、寂しげな微笑みに変わってそう言う。

「……ユンヌには、なるべく早く遭ってあげて下さい。」
今度は、微笑みも落ちて真剣な表情で眼を瞑る。

409とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:48:22 ID:g4TwrN7U
「――ああ、それでいい。」
「お前はずっと、俺を赦さないでいてくれ。」

表情を引き締めて、「赦さない」、の言葉を聞く。
それだけで、――随分と、救われる。


「……解っては、いる。」
彼女は、ミルダと自分が決別した時に、居た。
何より、攫われる寸前――否、自分が彼女を本気で殺そうとしていなければ、攫われていた。

「……分かっては、いる。」
だから、本来なら、逃げていないで会うべきだった。
ミラナやイリュージョンに放り投げずに。

410とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 02:58:33 ID:zZH38W.I
「……………。」
声を返さぬ代わりに、力強く、ゆっくりと頷くミラナ。
本当に変わった物だ。
ユンヌの後ろに居なければ、言葉一つ発せられなかったのに。

「……もう、時間も無いんです。」
表情は陰る。
己でも述べていたがそう、ユンヌには寿命が迫っているのだ。

411とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:04:20 ID:g4TwrN7U
「……方法は、探す。」
「何か在る筈だ、似たような例だって。」

これ以上は、冗談では無い。
大体が、理不尽だ、どうして、こうも。

そういう「運命」である言えばそれまでだし、その通りなのだが。
理不尽が過ぎる、どうしてこうも自分ばかりが失わなければならないのか。

それも大切な物に限って、だ。
誰かが裏で糸を引いて嗤っている、と言われた方がまだ納得出来る。

「無理でも、助ける。」
「(何をしても、だ)」

412とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:17:37 ID:zZH38W.I
「………。」
ミラナは、困った様に微笑んで首を横に振った。

「詳しくは、ユンヌと直接話して下さい。
私から話してしまうと、怒られてしまいます。」
その言葉の意図は測り兼ねたが、様子を知らないと手の打ち様が無いのも事実だ。

413とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:22:21 ID:g4TwrN7U
「……解った、そっちにも近い内に行く。」
「ケーキでも、土産に持って行くよ。」

困った様な表情で言うミラナにそう返しながら、頭の中で構想を組み立てる。
確か――そう、精霊を別種の存在に昇華させる術や、存在をより固着させる術があった筈だ。

それが無理なら、自身と契約して変換したミラナの魔力で存在を保てば良い。
ユンヌの魔力も、以前貰っている。自身の魔力を限りなく近い形質に変換して受け渡す事だって可能な筈だ。

とにかく、何でもいい。
一度家に帰って思考を纏めよう。

そう思って、また黒い翼を顕現させ、て。


「……あー、……ミラナ。」

少し、真面目な。
けれど、「悪魔王」の仮面でもなく、ジャキ・カルレオンの仮面でもない、どちらかと言えば――

先程見せた、「素」に近い表情でミラナに向き直った。

414とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:35:05 ID:zZH38W.I
「えっ……! あ。」
明らかにケーキという単語に反応したが、口元に手を当ててはしゃいだのを恥じる。

「……はい、何でしょうか? 邪気さん。」
下腹部で手を組み、微笑み混じりで小さく首を傾けて返答する。

415とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:40:45 ID:g4TwrN7U
「……好みがあるなら、言っておけ、ユンヌの分もな。」
「(リリーユの時の様に後から言われるのも難だしな)」

以前、とある娘にケーキを買っていった時は欲しかったのと違う、と言われた覚えもある。
女の好みは、良く分からない。


「あー……俺の――そう、だな。
 立場や、……俺という存在、だとか、そういう物を抜きにして、考えれば。」

珍しく歯切れが悪い。何だろうか……?

「俺は、お前たちを、何だ。 ……そう言う意味でも、憎からずは、思っている。
 見た目も、性格も良いs…………クソ、何を言っているんだ、俺は、忘れろ。」

言うだけ言って、黒い翅――先程よりも、何処か「本物」に近く思えるそれを広げて、
一人でさっさと飛んでいってしまう。 ……追いつける速度だが。

416とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:48:38 ID:zZH38W.I
「私は、ケーキなら何でも良いです……♪」
よっぽど好きなのだ。
致し方無い、水と桃が主食では他の食べ物はみな新鮮だろう。

「……?」
小さく首を傾げ、眼をぱちくりとさせていたが

「……………」
はた、と言葉の意味が何となく拾えて来て

「え、あ、え……それって……あ!ま、待ってください!!」
己の自意識過剰だろうか。
あろう事か評価されていた気がした。
主に、女性のその、なんというか甘酸っぱい恋愛対象と言うべきか。

ともあれ、思考がまとまらないので負わねば気が済まない。
虹色の翼を生み出し、追い掛ける。

「じゃ、邪気さん!さっきのってどういう意味ですか!」
御叮嚀に、質問内容を繰り返し。

417とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 03:53:40 ID:g4TwrN7U

「喧しい、忘れろ、知らん。俺は何も言ってない。」

あろう事か自分の発言を完全に無かった事にした。
確かに何でも消し飛ばす能力を持っているがそれは無理だろう。

「知らん!忘れた、お前も忘れろ!」
「それとユンヌやイリュージョンには言うな、他にもだ、良いな!?」

黒い翼を羽撃かせて、逃げるように翔ぶ。
……置いていかない速度で、だが。

「(くそ、――俺は何をやってるんだ)」
と言うか、あちらが悪い。無防備過ぎなのだ全員が全員。
仕事でそういう経験こそ積んだとは言え此方はまだ19――

「……っ、知らん!!」

……何やら勝手に怒って、勝手に飛んで行くのであった。
……一先ずは、少し間をおいたらユンヌの所にいかねば……。


【FO】

418とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 04:13:44 ID:zZH38W.I
「……苦しいです、無理があります!」

つっけんどんな態度に、頬を少し膨らませながら言う。
しかし、イリュージョンに話が漏れるのだけは何としても防がねばなるまい。
先の話と合わせ、何度胸が当たったか聞かれるのが関の山だ。

「私、気になります!気になるんです!」
と言いながら、楽しそうに後追いして行くのであった。

【フェードアウト】

419とある世界の冒険者:2014/05/09(金) 04:15:35 ID:g4TwrN7U
//Oh、したらば明日……居るのかわからんけど明日にしよう、おやすみー?

420とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:55:28 ID:QBYcn24.
-ホワイトトランク2階 雪子の私室-

「恋、私思ったの。」
いきなり呼び付けたかと思えば、持て成しもそこそこに言う金髪に眼鏡の女性。
今や正式にホワイトトランクの店主となった女性は、来月に結婚を控えている。。

もちろん相手は彼女の目の前に居る、飄々とした男性。
しかし未だに二人きりというものに慣れていないであろう彼は、恐らく緊張している事だ。
まさか、先の結婚に対して不満があるのかと空を陰らせる様な事を思わせぶるが

「ムトウって、音だけなら無糖とも書けるわ!」
無論そんな事は無かった。

421とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:59:33 ID:fNYe7pxA

「んー? 何かなー、何でも聞いちゃうよん?」

等といつもの調子で軽口を叩くものの、内心穏やかではない。
この時期に部屋に呼んで、ふたりきりで話だなんて。

若しかして散々ネタにしてきたナリタ(ネオベイの地名)離婚とか、
そういうたぐいのアレ的なアレだろうか、何かバレただろうか、等と思っていたのだが。


「ブラックコーヒーの話かー☆、こりゃ一本取られたや!」
その心配は皆無であった。バカかあんた等。

422とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:04:24 ID:QBYcn24.
「つまり、結婚したらいっそう珈琲めいた名前になる訳よね!?」

コーヒーめいた名前が如何ほどのものか分からないが、別に無糖は珈琲に限った話ではない。
本人は楽しそうだが。

「あ。あともう一つ。
私、結婚式は二人だけで良いと思ってるの。」
とか思ったら突然こういう事も言い出すので少々おっかない。

423とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:10:00 ID:fNYe7pxA
「だがしかし待って欲しい、砂糖入れたのが好きな人も居るんじゃないだろうか!?」

ああ、ちっちゃい子とかブラック飲めませんよね。
ノリの良さは変わらず。

「んえ?
 ……や、そりゃ、俺はいいけど。」

呼ぶような知り合いはディーノ先輩だとか、Mr.ギャルゲ、だとか。
そういう共通のばっかりだし、と。

何処か疑問符を浮かべて。

424とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:15:40 ID:QBYcn24.
「甘い、甘いわよ恋! カフェラテぐらい!」

不敵にドヤった横顔を決め、ビシッと指差す。

「まず無糖って言っても……
いえ、長くなりそうなんで先に本題にしましょっ。」
が、お得意のコーヒートークは不発に終わる。
それよりも優先すべき話らしい。

「恋が折角舞台から降りてきてくれたんですもの。
私と、恋だけでもう一度"はじめから"をしたいの。」

425とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:17:31 ID:fNYe7pxA
「なんかもうそれ決め台詞になってるよね!?」

カフェラテ、いや嫌いではないのだが。
と言うかブラックよりは好きだが何だろうか。

「あれ珍しい、別に付き合うのに。」
そりゃどっかの砂糖くんほどガチに付き合えないが。

「……ん、……そういうのは、嬉しいけどさ。
 良いの? クラーチさんとか、呼びたい人、結構居ると思う、けど。」

426とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:22:37 ID:QBYcn24.
「……大事な、話だから。」

拗ねた様な、恥じた様な表情で少しだけ口を尖らせて俯く。

「一緒に集まろうと思えば、いつでも出来るじゃない?
でも、二人きりの思い出は、もっと沢山作りたいなって。
コーヒーしか見てなかったからなぁ、私。」

参ったなぁ、という風に頭に手を当てつつ

「……………後、ちょっと………
……ほんの、ちょっとだけ、その………

……恥ずかしい、し?」
今度こそ、しっかり照れた顔で言う。

427とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:26:02 ID:fNYe7pxA
「……ん……。」

そう言われれば茶化す事はせず。
恋人関係になってから解った事でもあるが、やっぱり、相手側を察してくれるタイプである。

「そりゃそうだけどさ、んー……や、何だろな。
 俺もあんま、ド派手にー、とかは考えて、なかったけど、
 っていうか俺はそういう小いw……雪子ちゃんが好きな訳だし。」

うーん、と唸りながらもそう言うが……。


「…………。

 ……それ、反則。」

直視したその顔に何故かこっちが茹で蛸になった。

428とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:39:29 ID:QBYcn24.
「………………あの、その……。」

気まずい沈黙が部屋の中に流れる。
否、決して悪い雰囲気ではないのだが。

寧ろ逆。
互いが互いに苦手とする様な、なんというか甘ったるい雰囲気である。

以前たまたまあったワカメ頭ことユアンには「お前等ユズとカボスみたいだな」と言われた物なのに。

429とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:44:23 ID:fNYe7pxA
「……や、まぁ、雪子ちゃんがいいなら、俺は、ね?」
「雪子ちゃんの好きな形でやろー、って思ってたし、うん。」

ちょっと冗談めかした様子で言って、勝手にうんうん頷く。
私生活ではともかく割と仕事で経験とかはあったし情報聞き出す際にまぁそういうこともあった筈なのだが。

なんだろうかこの空気。
ふわふわして地に足が付かない、マダオどころかもうただの幸せボケっぽくなってしまう。

「あー……ほ、ほら、じゃああの、二人でどんなのにするか決めよう、うん!」

全力で必死だ。

430とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:51:32 ID:QBYcn24.
「……でも、私に合わせてばかりもなんか……申し訳無いっていうか……。
恋はいつでも私を気遣ってくれるけど、恋の主張はあんまり無いっていうか……。
その、何かあるなら言ってくれて良いのよ?」

利己主義の極みがここまで変わるのだから、二重の意味で恋とは恐ろしい物だ。
さておき、恋の方から何か無いかが雪子としては気になるらしい。

「…………。」
言うだけ言った後は、俯き加減でちらちらと恋に視線を送って様子をうかがっている。
とても忙しない。

431とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:54:39 ID:fNYe7pxA
「ん、や、俺としてはさ、ぶっちゃけ、そのー……怒るかもしんないけどね?
 こうやって雪子ちゃんと居れる所か、あー……結婚出来る、ってだけで
 今までの人生吹っ飛ぶぐらい幸せだから、ホント、無いというか。」

本人は気付いているだろうか。
今、物凄く恥ずかしい事を言っているという事に。

「……んー、っと、じゃあ、あー……」
「どっか二人で、旅行行って……そこで、する?」

ごまかし気味に、そういう。

432とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:03:14 ID:QBYcn24.
「……………。」
新緑より涼やかな碧の眼を丸くし、しばらく絶句する。

「……れ、恋の……ばかっ……。」
そして顔を真っ赤にして俯きつつ、そう漏らし

「………――。」
その姿勢のまま、はっきりと恋へ分かる様に二度頷いた。
拍子で、金糸の束の様な髪が揺れる。

433とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:07:09 ID:fNYe7pxA
「や、そこはホント。
 身に余る幸せ、っていう、か……。」

と、ごまかす様に本音を述べていたが、
そのもうドストライク,というか可愛い動作にまた硬直。


「…………雪子ちゃん、その表情、絶対俺以外の前でしちゃ、ダメね。」

並の男ならこの二人っきりの状況、間違いっなく襲っている。
と、言うか襲いそうになった、頑張れマダオ理性。鋼の救世主になるんだ。

434とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:19:08 ID:QBYcn24.
「……しないもん。」

俯いたまま、頬を膨らせたままの様な声でひっそりと呟く。
膝に置いた手は堅く握られており、緊張が伝わる。
俯いてはいるも耳まで真っ赤になっているその顔からは、恥じらいが伺える。

435とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:21:41 ID:fNYe7pxA
「……ん、うん、俺だから、いいけどね、うん」
「雪子ちゃん可愛いんだから、……うん、襲われちゃうから、……うん。」

こちらは、真っ赤な顔を極力平静に保ちつつ、不自然にうんうん頷いて。
余り雪子を直視しないように……いや、見てるのだが。

「あー、……え、ー、……う、うん。
 何処行こっか、色々風景きれいな場所とかも知ってるけど!」

ごまかしがてらに空元気ハイリャーッス

436とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:39:40 ID:QBYcn24.
「………恋、が?」
えっ。

「そ、そうね。やっぱり綺麗な所がいいかな……。」
俯いてボソボソと呟きながら、大きく深呼吸をする。

437とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:43:49 ID:fNYe7pxA
「…………い、いや、俺はオソワナイヨ?」
「そりゃ、あの、うん、そういう気分になる様なアレも無いでもないけどこういうのはね、ちゃんと合意の上っていうかほら、結婚してからでも遅くないし、うん」

HAHAHA、とごまかし笑いを浮かべながら何か必死な様子で。
別の意味でマダオになっている。

「あー、あー、うん、じゃあほら、アラゲイジアとかどうだろ!後はー……ネオベイとか!
 あっちの方は綺麗だよー、ああ、建物だったらイタリーとフラネアとかも、うん。」

全力でごまかしに入っている。必死過ぎる。
多分知り合いが見たら大爆笑ものだ。

438とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:59:13 ID:QBYcn24.
「…………。」
誤魔化しが分かり易過ぎたのか、ついには黙ってしまう雪子。
姿勢は案の定先程のままだが、隠した顔の視線は全く定まっておらず。
やがて、沈黙を預けた内に

「………つに、………いけど……。」
ぽつり、とこう言った。

439とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:01:39 ID:fNYe7pxA
「……あー、あー……」
「そ、そろそろ一回、お暇、しよっかなー?」

ヘタレた。 隠しきれてないのは察知した。
が、そこから沈黙を挟んで生み出した応えはそれだったが。


「……ぇ。」

不幸にも耳がいいのが災いした。

440とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:04:21 ID:QBYcn24.
「……………。」
腕だけが動き、浅く恋の上着の裾を掴む。

「……恋が……その気、なら……
…………良い、よ……って………。」

気まずい沈黙の二回目。
なお一回目とは比べ物にならないもよう。

441とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:07:32 ID:fNYe7pxA
「……………。」
「……………。」

フリーズ。 顔が真っ赤のまま固まった。
いや、勿論、経験が無い訳ではない、と言うか豊富な方だ。
情報聞き出す為にそういう事した覚えもあるし悪い先輩に女遊び教わったりもした。

が、これは違う。 こういうのは違う。未経験ゾーンだ。
真っ赤になって目を逸らしてそんな事を言ってくれる間違いなく相思相愛の、冗談抜きで凄い好きな女の子。


「……あ、……っ、と。」

いつもよく回る舌はなんかもう意味のある言語を発し無くなっていた。やばい。

442とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:12:01 ID:QBYcn24.
「……………。」

最早、掠れ声すら聞こえなくなっていた。

外から聞こえる梢の揺れる音、部屋の中の時計の音。
どれもこれもが答えを問う様な"騒がしい"ものに聞こえた。

事実、雪子は彼と交際した時から"そういう"準備はしていた。
が、なにぶん初めての経験につき、これ以上は無く精一杯なのである。

「…………。」
しまいには、互いの動悸まで聞こえて来そうだった。

443とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:16:18 ID:fNYe7pxA
「…………っ。」

喉が酷く乾いて、言葉がでなくなる。
勿論そういう想像をしなかった訳では無い。

そういう事はするだろうし――とはいっても、想像も付かなかったが。
何せ、相手が相手であるし、そういったものと無縁なイメージがあった。

が。

目の前で、好き合ってる相手にこうもされては。

「……いい、の?」

我慢出来る男の方が少ないだろう。
上着を掴んだ手を取って、やけに早い動悸を抑えて、それだけ、絞りだす。

444とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:20:36 ID:QBYcn24.
「……………――」

先の様に、再び首を縦に振る。
片手は緊張で握られ過ぎて、スカートに皺が寄ってしまっていた。

声での返答は、無い。
取られた手を握る力は、少しだけ強くなった。

445とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:23:26 ID:fNYe7pxA
「…………っ。」

ごく、と唾を飲む音がやけにうるさく聴こえて。
首を動かすその動作が、いやにゆっくり、見えた。

「……その、……あー……、」
雪子の手を取って、ぐ、と自分の方に引き寄せて。
ちょっとだけ無理やり気味に、顔を正面から見て。


「…………ほんっとに、俺で良いの?」

真っ赤で、どこか不安そうな顔でもう一度だけ問う。

446とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:26:33 ID:QBYcn24.
「…………っ……。」

緊張で、びくりと体が震える。
顔を真っ赤にさせ、瞳に潤みが差した雪子は色々なものが綯交ぜになった表情をしていた。
不覚のもそれは、厭味無く艶めいていた。

「……しつこい……」

弱々しく、恋の胸元に当たる拳と言葉があった。

447とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:28:46 ID:fNYe7pxA
「……ん、ごめん。」

返答に、はにかんだ様に笑って。
自分の方から唇を重ねて、そのまま、ベッドの方に押し倒してしまう。

……キス自体も、恋の方から余りしない事を考えると、
なんだか、状況が状況なだけに色々と、よけいにはずかしいものがある。

448とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:42:15 ID:QBYcn24.
「……ン………っ……。」

驚く程に軽い体。
ふわりと羽が落ちる様に、ベッドへと倒れ込む。
拍子で眼鏡が外れ落ち、金の髪が川の様に広がった。

「……恋……」
上ずった声で、名を呼ぶ。
好意的に、解釈をするならば、続きを優しく促す声だろう。

449とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:44:46 ID:fNYe7pxA
「……ぅわ……。」

唇を離して、目の前に広がる光景に息を呑む。
らしくもなく手が震えて、声が上ずってしまう。

「…や、……優しく、する、から。」

なんとも、ムードも、へったくれもない言葉が出たものだと若干残った理性がダメを出す。
だが仕方ない、こんな風にいれる、なれるなんて予想もしなかったのだから。

450とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:50:29 ID:QBYcn24.
「……うん。」

小さく、小さくそう返事をしてゆっくり腕を伸ばす。
首を通り抜けた腕は後ろで組まれる。
違いの緊張を表す様に、それはぎこちなく震えているが

「…………恋……


……いっぱいして、いいよ……」

やがて二人の距離は縮まり、遠間の影が重なった。

【フェードアウト】

451とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:51:34 ID:fNYe7pxA

「……だから。

 男の人に、そういうこといっちゃ、ダメだって。
 ――我慢、できなくなっちゃううでしょ。」


【FO】

452とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 21:41:28 ID:4lWz9KS6
-あらすじ-

日も高く登った頃。馬車はガタゴトと辺境に向かう。
そろそろ砦の近くへと向かう一本道の途中、
大きな川が流れそこの渡された橋の真ん中で、それは起こった。

ドムス「誰か、居るね?」
クレエ「そろそろ砦も近いからな、あれは―
?「ストォォォップ!!」

橋のど真ん中、声を張り上げ馬車を止めるのは
黒の修道衣を纏い目深に被ったベールと長い前髪で目を覆う猫背で背の低い女。

そして止められた馬車は2台。
一台はもちろん自分たち。
そしてもう1台は…砦の方からやってきたものだった。

453とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 21:49:38 ID:ma8DO/Ew
>>452
「っ!?」
【急停止に大きくバランスを崩すも、すぐに馬車から少し顔を出し外を確認するラーナイ】

「……今回の関係者か?」

454とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 21:58:22 ID:4lWz9KS6
>>453
クレエ「いや、修道女の方はそうだが…あの馬車は……」
ドムス「砦から来た…」
修道女「降りなさい、此処を通すわけにはいかないのデすよ?」

男「通してくれ!あんなところからは一刻も早く遠ざかりたいんだ!!」

男だ。
中年の男が馬車を御していた。
ひどく慌てており、その後ろには誰かがいる模様。

455とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:05:15 ID:ma8DO/Ew
>>454
「……『あんなところ』?」
【取り乱してる男の言葉に首を傾げる。
そして、友人であり今回の斡旋者であるドムスへと振り返った】

「ドムス、私も少しだけ馬車を出てもいいだろうか?」

456とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:16:33 ID:4lWz9KS6
>>455
ドムス
「…止めておいた方がいいんじゃないかな。
 何だか嫌な予感しかしないんだけど」

修道女「…駄目デす。貴方はいいデすが…その二人は駄目デす」
男「だ、大丈夫だ!妻はちょっと疲れているだけなんだ!!」
クレエ「2人?……おい、エピス。私には女性しか見えないのだが」

エピスと呼ばれた修道女が指さしたのは男の後ろ。
どうやら女のようで、その姿から妊婦であるらしい。
しかし先程から後ろを向いたまま男の背にもたれて微動だにしない。
…それになんだか急に血の匂いがしだした。

457とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:22:20 ID:ma8DO/Ew
>>456
「嫌な予感しかしないから行くんだ。
それに、身重な人がいるならなおさらだろう。
もしヤバそうだったらすぐ戻る」

【飛んで火に入るなんとやら。
親友の忠告を振り切って、ラーナイは馬車から降りるべくドアを開けた】

458とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:27:22 ID:4lWz9KS6
>>457
男「いいからそこをどけぇっ!!」
エピス「!」
クレエ「双方落ち着け!エピス!説明しろ、何故彼らを行かせない!」

男が持ち運んでいた剣の切っ先を修道女へと突きつける。
眼前に切っ先を突きつけられても修道女はひるまない。
クレエも馬車から降りた。

459とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:36:02 ID:ma8DO/Ew
>>458
【馬車から降りたラーナイは、冷静さを欠いている男の方へと向かった】

「急いでいるのは判るが、まずは落ち着いてくれ!
後ろの奥方は大丈夫なのか?」

【なるべく刺激しないようにたしなめつつ、身重な女性の方を覗きこんだ】

460とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:43:58 ID:4lWz9KS6
>>459
…ぐったりとしているその姿。
不自然なまでに頭が小さい。
否、頭の半分が削げ落ちているのだ。
こんな状態で生きているヒトなんて居るわけがない。

だと言うのに、その膨れた腹は大きく脈打っている。
女同様、不自然に。

クレエ「…なんだこれは……」
男「どけ!どくんだ!まだ間に合う!まだ間に合うんだ!!」
エピス「手遅れデす。だから先には―
男「黙れえええええええ!!!」

ビッ、と吹き出る赤いもの。
それがクレエやラーナイの顔を染める。
エピスがドウ、と倒れる。
男が剣を奮って修道女を斬った…

461とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:53:38 ID:ma8DO/Ew
>>460
「な……!」
【斬られ倒れた修道女、斬った男。
そのどちらにもに言葉を失ったラーナイ。
次の瞬間、男が繰る馬車の前に立ち塞がる。
そして馬車馬の視界を塞ぐべく、黒霧を出す魔法陣を手早く描いた】

462とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 22:59:51 ID:4lWz9KS6
>>461
クレエ「ば、馬鹿!それだと我々も視界が!!」
ドムス「やばい…駆け出すぞ!!」
男「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

現場は橋のど真ん中。
しばらくは一本道だ。
だからこそ男は馬を走らせた。
最悪、この場から逃れられるなら馬が事故っても構わなかったのだろう。

結果、馬が駆け出す。
ぼさっとしているとひき殺されるぞ!!

463とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 23:11:45 ID:ma8DO/Ew
>>462
「チッ!」
【魔法陣が完成する直前、動かしていた利き手の動きを変える。
馬の視界を奪うはずだった黒霧は、対象を変え術者であるラーナイの首から爪先までをすっぽり覆い隠した。
それは、言わば黒いみのむしの如き姿だ。
黒霧に覆われ体が見えないことをいいことに、手早くペンダントを外すと、宙を飛んで突撃馬車を避けた】

464とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 23:14:53 ID:4lWz9KS6
>>463
馬車が駆ける。
しかし、突如として馬が嘶き前足を宙に浮かせた。

男「うわあっ!?」

チャンスだ!

465とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 23:32:00 ID:ma8DO/Ew
>>464
【空いている土地へ降りると、黒霧が消え始める前にペンダントを手早く着ける】

「(すまない!)」
【嘶く馬へ心の中で謝りつつ、複数の炎矢を産む魔方陣を手早く描く。
目標は馬車馬だ】

466とある世界の冒険者:2014/05/19(月) 23:35:06 ID:4lWz9KS6
そんなこんなで次回に続く…

467とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:37:06 ID:z1Xc7j.I
【王都郊外/森林】


mob槍「はーいと言う訳でアレがイャンガルルガでした、クック先生と同じと舐めて掛かったお前は死にます(断言)」

森に居るのは全身金色のリオゴールド装備に身を固め、槍……では無く、
教導用の初心者向けアイアンソードを背中に背負った槍を持っていない槍の人。

「教官、プライペートだと、そんな喋りなんですね……っはぁ。」
mob槍「お前が休日返上して俺に教えてくれとか言うからね!!!プライペートだからね!!」

その傍らに居るのは大柄な槍の人と較べても、尚少し大きい青年。
顔には幾つかの傷があり、背中には此方も初心者用のアイアンソードを背負っている。


mob槍「っていうかね!!!どうせなら女の子に誘われたかった!!!1僕は!!!!」
「なんか、すんません。」
mob槍「惨めになるから謝罪はやめろォ!」

今日は休日――、本来彼のしごとである教師は休みなのだが。
先日出来た生徒の一人に請われ、加害学習をしているのである。

468とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:44:17 ID:dope4t8Q
>>467

「うるっせー! って、なんだ、オメーですか」

がさっと茂みをかき分けて登場したのは茶髪が特徴的な、幼い外見の少女である。
といっても、彼女一人ではない。彼女は大きく立派な、翼が生えた、金縁の銀鎧の鎧霊に跨っているのだから。
長く生きた個体でなければ、なかなかこうはならないのである。

「その女、女、と騒がしくするクセはどーにかなんねーんですかオメー」

ちょっと高い位置から言いたい放題の幼女である。

469とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:47:51 ID:z1Xc7j.I
>>468
mob槍「ほら騒ぐから怒られたァ!!おこだよ!!」
「俺騒いで無いっす先生。」

教え子らしき大柄な青年に何故か怒号を飛ばす金ピカ。
本日はチャームポイント、と言うか唯一の個性の槍を持っていない。

mob槍「いや、ちゃうんですよ、ちゃうんです。 最近はもう全く騒いで無いんですよ、ガス抜きなんですよ。」
「キャラ、っていうか、人違いますもんね、先生。」


しかし姿勢は低い。勝ち目のない相手と女子には姿勢を低くするのだ。

470とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:55:05 ID:dope4t8Q
>>469

「ああ、別人のようだってリスティルの奴がいってるのを聞いたです」

「器用なやつですねオメー」

感心するやら呆れるやら。
鎧霊の頭の上に顎をつけて脱力した姿勢。

471とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:58:04 ID:z1Xc7j.I
>>470
mob槍「真面目な教官先生(三十代)で行ったら女の子受け良いかなって思ったら男ばっかだよ!!」
「そりゃ、ハンター学科ですからね。」

若干見てみたい気もする。
一体どのような人物に変貌するというのだろうか。

mob槍「ありのままの自分、始まる!」
「いや、もう無理でしょう。」

472とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:05:20 ID:dope4t8Q
>>471

「動機が不純ですねオメー……。というかオメーがありのまま始めたら獣と変わんなくなりそうで怖いです」

このまま年寄になったらどんな人間になるのやら。
そんな冷ややかな目線でしばらく見ていた後、ようやく青年に興味が移る。

「んでそれは教え子ですか。かわいそうに。運気低そうな顔してやがりますね」

おはらいでも受けてはどうか、とあんまりにあんまりな一言。

473とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:08:04 ID:z1Xc7j.I
>>472
mob槍「いや、最低限の常識はありますがな、ほんま。」

どうだか、怪しいものである。
これで三十過ぎている、という事事態で大分驚きだが。


「あ、どうも。 俺……自分はランディと云います。」
大剣が少し小さく見える程大きな身体に、何かの傷跡が残るスカーフェイス。
短めの黒い頭髪、威圧感のある見た目とは裏腹に腰の低い青年だ。

mob槍「俺よりモテなさそうだから気に入ってます。」

ひどい。

474とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:14:18 ID:dope4t8Q
>>473

「ランディ?」

身体を起こして、手を顎に当てて考え込む。
何か聞き覚えのある単語だったかのようだ。

「いや。大丈夫。こういうタイプはモテます。少なくともオメーよりは」

「ふわふわした金髪の小娘あたりに人気そうですよね」

何の偏見なんだか。そう決めつける。

475とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:16:32 ID:z1Xc7j.I
>>474

「はい、ランディ・オルヴィンと……あの、何か有りましたか、自分。」

スカーフェイスに不安げな顰め面を浮かべて。
意外に小心者だろうか、ハンターにしては珍しい。

「はぁ、どうも……?」
mob槍「俺は?」

よくわかっていない様子で変事をする青年と、鎧。
諦めろ、試合終了だ。

476とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:19:18 ID:dope4t8Q
>>475

「いや。ちょっと。往年の乙女向け創作物におんなじ名前のイケメンがいたのを思い出しただけです」

雰囲気は近いから、爽やか系目指せば世の少女の人気をかっさらう、とかなんとか。

「オメーは……なんですかね。しょーじき、森の引きこもりの人生経験じゃ何とも」

もっと都会で暮らす人間に聞いてくれ、と回答拒否。

477とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:21:27 ID:z1Xc7j.I
>>476

「それはまた……何とも。」

名前かぁ、と頭を捻った様子。
変な印象をもたれるよりかは良いのかもしれないが。

mob槍「なんやねん!真面目になればええんか!真面目なら素敵なんか!」
「顔はそう酷くないと思いますけど……」
mob槍「おめーに言われたかねーよバーカ!!」

勝手に怒って勝手にキレる槍の人。
スカーフェイスの青年の方が大人d.あ

478とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:30:33 ID:dope4t8Q
>>477

「まぁ、それがありのままの時点で、どう取り繕っても覆せないのはお察しです」

やれやれ、と肩をすくめる。

「ま、懲りずにまっとうに頑張ればいつか何かがどうにかなりやがりますよ」

日々頑張っていれば誰かが見ているから、と気休めを言う。

479とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:32:59 ID:z1Xc7j.I
>>478

mob槍「ちゃうんですよ、取り繕うっていうか真面目にはできるんですねん!」

じゃあやれよ、と言いたい。

mob槍「真面目にはできますし真面目に真っ当にも努力してきたんですねん三十路まで割りと!!
     でもこうなの!!真面目にやっててもこっちでもこうなの!!!」
「はぁ。」

金色の鎧が光に反射して頭を抱えている光景はとてもシュールである。

480とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:39:15 ID:dope4t8Q
>>479

「……ま、人生これからなのには違いないの」

「その二面性をどーにかするんですね。顔がたくさんある人は疲れますから。凡人には」

あくびをして、再び脱力。鎧霊に身体を預ける。

「まー、人に教える立場になったなら、そっちで十分頑張ればいいーんじゃないですかね」

481とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:45:05 ID:z1Xc7j.I
>>480
mob槍「いや、あのね、魔女さん、一応僕ちゃんと生徒の前では統一してるんですよ、顔。」
mob槍「頼りがいのある教官先生? みたいなね? 別にそれはいいんですよ」

良いらしい、と言うか何か必死だ。なんなのだ。

mob槍「ただね? あの……何ていうかね、張りが無いの。
     男子生徒だったら男子生徒だったでこう……GTOばりのアレが欲しかったの。」

「先生、割りと慕われてますよ。」
mob槍「ちゃうねん!!!」

何がだ。

482とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:51:55 ID:dope4t8Q
>>481

「ぜーたくなやつですね」

ならそれが露見しないように頑張りなさいと言い捨て、殆ど興味を失ったように瞑目する。
それから、鎧霊に歩くよう命じた。

「んじゃこれで失礼するですよー。次はもーすこし上等な土産話の一つ用意しないと引き留められんですからね」

そのまま過ぎ去っていったとか。

483とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:55:24 ID:z1Xc7j.I
>>482
mob槍「ファーwwwwwwwwww」

「ああ、先生が壊れた。」

過ぎ去っていく魔女を引き止める事もせずに自分を嘲笑。
尚その後狩りして帰ったそうです。

484とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 21:31:47 ID:9.wwn4lw
-あらすじ-

>>465からの続きなのである!

放たれた攻撃は馬と車を繋ぐ部分を壊し、そのまま馬は走り去ってしまう。
そうなると取り残された車とその搭乗者は…

男「ぎゃ!」

橋の上に叩きつけられる。
無論屍となった女も。

485とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 21:45:25 ID:Ccph3Q8M
>>484
【ペンダントを着けたことによって宙に浮くために必要な魔翼が背から掻き消える。
その結果、ラーナイは2階よりもやや低い位置から急降下した】

「っ、いたた……」
【尻餅着地(?)と同時に、体に纏っていた黒霧もきえる】

486とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 21:51:30 ID:9.wwn4lw
>>485
遅ればせながら駆け寄ってくるクレエとドムス。

クレエ「大丈夫か!」
ドムス「てか、そっちのヒトまだ諦めてないの!?」

見れば男が立ち上がり女を背負って尚も橋を行かんと歩き始める!

?「いやいや、ここを通すわけには断じていかないのデすよ…?」

橋の終わりに黒いモヤが集まったと思うと形を成す。
それは修道服に身を包んだ血涙を流す泣き女。

487とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:01:40 ID:Ccph3Q8M
>>486
「何が何だかわからないが……」
【おしりを擦りながら立ち上がるラーナイ。
男とシスターもどき、二人を警戒しながらドムスたちに告げる】

「あの二人、どちらからも危険な感じがする。
止めないと」
【言いながら、利き手に魔力を籠め始める】

488とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:09:26 ID:9.wwn4lw
>>487
クレエ「…あー、多分片方は大丈夫だ……大丈夫かな?」
ドムス「なんで不安そうなのさ…って、あれ?あの服さっきみたばっかりのような……」
クレエ「ああ、エピスだからな。当然だ」
ドムス「え、だってさっき斬られて其処に倒れ―てないっ!?」

男「ど、どけえっ!!」
泣き女エピス「クフクフ…駄目デす。決して」

錯乱している男。
微動だにしない泣き女化したエピス。
そして、辺りに漂い始めるえも言われぬ嫌な雰囲気。

ドムス「…ん?」

489とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:17:39 ID:Ccph3Q8M
>>488
「海老だかエキスだか知らないが、どう見てもいじょ……っ!?」

【辺りに立ちこめるただならぬ空気に、辺りを見回すラーナイ】

「何か、来るのか……?」

490とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:21:57 ID:9.wwn4lw
>>489
クレエ「ん?どうした二人共?」
ドムス「……駄目だ、すぐに離れろ、おじさん!!」
エピス「でなければ、アナタが死にますよぉ!」
男「うるさ―

ぞぶり、と嫌な音がした。

男「ん……な…」

どさ、と糸の切れた人形のように。
前のめりに男が倒れた。
嫌な感じはますます強くなっていく!!

491とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:28:07 ID:Ccph3Q8M
>>490
「な……?!」
【崩れ落ちる男をみて、ラーナイは息を飲む。
反射的に駆け寄ろうとするが、異常な雰囲気になんとか踏みとどまった】

「……っ」
【厳戒態勢バリバリで倒れた男とシスターへと視線を注ぐ。
利き手には、いつでも魔方陣が描けるよう魔力が集まっている】

492とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:41:37 ID:9.wwn4lw
>>491
エピス「…嗚呼、嗚呼」

物悲しい声で泣き女がなく。
歌うように泣き女がなく。

ドムス「来るっ!!」

そして緊張が一気に高まると男と女の身体が爆ぜ散った!

?「オギャァ……ァァァ」
クレエ「な…何だ、アレは……」
エピス「嗚呼、嗚呼……可哀想、可哀想………」
ドムス「待て待て待て待て、そんな筈ない、そうであって良いわけがないっ!!」
エピス「嗚呼、何故生まれてしまったの?可愛い可愛いヒトの子よ……」
ドムス「っ……アレが、そうだって言えるのか……?」

そうして周囲に血肉をばら撒いて、それは生まれた。
見ようによっては胎児だろう。
不自然なほどに青白い肌と、
白目と黒目の色合いが反転している事と、
だらだらと涎のように口から垂れ流す紫がかった毒液を無視するなら。

493とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:47:22 ID:Ccph3Q8M
>>492
【見るからに異常な赤子。
その誕生に、思わず動きが止まる】

「……ドムス、あの赤ちゃんは何なんだ?
何か知っているなら、教えてくれ」

【事態を一番理解していそうな親友へ視線を向け、尋ねる】


//ホラー展開だと……(((;゚Д゚))

494とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 22:53:59 ID:9.wwn4lw
>>493
ドムス「僕だって知らない…だけどあれがそうなんだろ?」
クレエ「ああ、アレがグール、だ」
ドムス「……赤ん坊だぞ、赤ん坊だったんだぞ!!」
エピス「嗚呼、嗚呼……」

ベビーグール「グァァァァァァ!!」
ドムス「くそっ、来る!?」

グールが迫ってくる。
這うその速度は赤ん坊の比ではない。

495とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:00:23 ID:Ccph3Q8M
>>494
「っ!」
【手早く魔方陣を描くと、赤子の進路上に氷矢の雨を降らせる】

「つまり、母体が何かに感染していた……ということか?」

496とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:07:06 ID:9.wwn4lw
>>495
ゾゴジュアッグッ
降り注ぐ氷矢の雨がいとも容易くグールを屠る。

クレエ「そうだろうな…」
エピス「嗚呼…嗚呼、嗚呼」
ドムス「……で、あれはどういう状態なんだろう」
クレエ「おそらくは先ほどの男女の残留思念を受けてああなっているのだろう」
ドムス「………なにそれ」

497とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:18:01 ID:Ccph3Q8M
>>496
「残留思念が突き動かしていたというのか……?」

【些か信じられず、自分が倒した赤子へと視線を向ける】

498とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:27:47 ID:9.wwn4lw
>>497
グールはしゅうしゅうと音を立て蒸発するようにして消えていく。

クレエ
「そういえば紹介がまだだったな。彼女はエピス=テーメー。
 フリーの死霊術師だ。
 所謂魂に感応して幾つかの存在に姿を変えることができるらしい」
ドムス
「今、泣き女になっている理由はそういうことか…」
クレエ
「それはそうと問題はグールだ。
 此処から先は出会う人物全てに注意しなければならないぞ」

499とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:45:20 ID:Ccph3Q8M
>>498
「疑ってごめんなさい、エピスさん」
【紹介を受けて、素直に頭を下げる。
そして、すぐにクリエへ振り返った】

「もしかして、普通の人のような外見のグールもいるのか?」

500とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:49:06 ID:9.wwn4lw
>>499
クレエ「それは何とも言えないな。何が起こっているのか把握できていないんだ」
ドムス「だからこそ僕たちが向かっている訳だしね…で、彼女はどうする?」
クレエ
「そもそもエピスにはこの場で砦の方からくるものを足止めしてもらっている。
 今の状態の彼女に話しかけても無意味だし、
 かといって使命を忘れるものでもないから我々は先を急ごう」

501とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:54:28 ID:Ccph3Q8M
>>500
【同行者たちの会話をききながら、エピスのいる辺りをじっとみつめる。
そして、クレエを振り返り尋ねた】

「……出発の前に。
あのグールを生んだ夫婦の肉片は、触っても大丈夫だろうか?」
【指差した先はエピス……ではなく、飛び散った男女だった肉片だ】

502とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 23:57:11 ID:9.wwn4lw
>>501
クレエ
「止めておいた方がいい。
 自身の肉体のみならず赤子にまで影響を及ぼす呪だ。
 触れずに燃やし尽くすほうがいいだろう」
ドムス
「それには同意するよ。
 女のヒトは勿論のこと、今となっては男のヒトの方も安全と言えるかどうか」

503とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 00:03:16 ID:pVpRHaP.
>>502
「そうか……」
【肉片を触れないとわかって、残念そうに項垂れる】
「なら、見える範囲で燃やし尽くそう」
【そういうと、見える肉片たちへ炎矢を注ぐべく魔方陣を描き始めた】

504とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 00:06:43 ID:.jDGutZU
>>503
そんな感じで次回に続く…

505とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 22:42:07 ID:UGXh/cIM
王都某所、森林奥地。

空き缶や、的が並ぶ硝煙の匂い立つ森林の一角。

「ここが、そうなのか?」

そこに銀色の髪、褐色の肌。何処か俗世離れした雰囲気の少年が。
記憶を失う前の友人の少女に連れられ、やってきていた。

506とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 22:48:06 ID:DHj6yo7w
「そうだよー」
連れて来た割に説明もそこそこに、野草を採取している少女。

507とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 22:49:27 ID:UGXh/cIM
「……? エンジュは何をしてるんだ。」

周囲を見渡した後、エンジュを視界に入れて。
何って何。

508とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 22:54:44 ID:R2JYac6o
「ん? 見ての通りだけど」
薬草や毒草を分けて摘みながら。
わからないから聞いてるんですがそれは。

「豊作ですなぁー」

509とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 22:56:40 ID:UGXh/cIM
「それは……薬草か?」
しゃがみこんで、足元の草を見てみる。
いや、何しに来たんだお前は。

「豊作……何かに使うものなのか、これは」

510とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:09:39 ID:R2JYac6o
「薬とかにするんだよー。混ぜ混ぜ調合してねー」
ポーチにギッチリと野草を詰め込み。

「うん、こんなもんかな!」
満足した様子である。

511とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:11:01 ID:UGXh/cIM
「成る程……、エンジュは薬剤師か、何かなのか?」
聞いてばっかりである。

「そうか、良かったな」

512とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:15:01 ID:R2JYac6o
「んやー。野草で簡単な薬作れると旅してるときに便利だしねー」
適当な切り株に腰掛けて。

「あ、そうだ。銃、撃ってみたら?
 いつもしてるみたいにすれば何か思い出すかもー」

513とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:17:07 ID:UGXh/cIM
「確かに、そうだな」
「止血剤代わりにもなる物も、あるそうだし」
そういう知識は残っているのか。

「……そうか、俺は此処で銃を撃っていたんだったな」
言われ、腰から抜くは大口径回転式実弾銃。
ごつい。

514とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:22:17 ID:qSd4LKF2
「そうそう。持ってて損はない知識だしね」

「よし撃てさぁ撃て今すぐ撃てー!」
うるせぇ急かすな。

515とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:25:02 ID:UGXh/cIM
「そうだな」
「良ければ、教えてくれるか?」
なぜに。

「……解った。」
言われ、狙い、引き金を引く。

どぉん、と言う凄まじい破裂音と共に破壊音。
予想通りか予想の外か、弾丸は的の中心を射抜いていた。

516とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:32:41 ID:E7Byvey2
「んぇ? 別にいいけど……なんで?」
キョトンとした様子で。

「おお……。銃の腕もヘタレじゃなくなってる……」

517とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:35:09 ID:UGXh/cIM
「?」
「持ってて、損はないんだろう?」
と、不思議そうに。

「そう、なのか?」
「……変わった感じはしないが」

確かに。
記憶を失って銃の腕があがる、というのもおかしな話だ。

518とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:42:29 ID:E7Byvey2
「お、おう。まぁ別にいいけどさ」

「記憶を失う代わりにヘタレ病は治ったんだね……」
病気扱いである。失礼な。

519とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:46:30 ID:UGXh/cIM
「……?」
「何か間違ったのか、俺は」


「……だが、失った物の方が大きい事に変わりはないだろうな」
がちん、がぢん。
再び引き金を引いて、今度は連射。

一度弾丸に射抜かれた空き缶が宙を舞って、二発目の弾丸で砕け散った。

520とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:49:32 ID:E7Byvey2
「いや、そうじゃないけどね……」

「まぁそうだけど。……記憶戻ったら戻ったでまたヘタレ化するのかぁ…」
銃の腕前を見てもったいないなぁ、と。

521とある世界の冒険者:2014/05/31(土) 23:54:14 ID:UGXh/cIM
「……?」
よく、解っていないような顔だ。

「……戻らない方が良いのか?」
その言葉で、若干、わかりにくくだが表情を変える。

522とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 00:01:51 ID:kOJ9G2Q.
「まぁ、教えて欲しいなら教えたげるよ」
高くつくけどね、とニンマリ笑い。

「んや、そうじゃないけどさ。
 前は前で、今は今で良いとこあるし」

523とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 00:08:51 ID:EXOCWrK2
「……金が掛かるのか?」
「いや、教えをこうなら当然、か」
むぅ、と少し顔を顰める

「そう、か」
「早く、戻るよう、努力はしよう」

524とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:08:34 ID:XS7ABNRo
-とある噂のある森の奥-

森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。
草木生い茂る視界の悪い森の奥で今日も何かが潜んでいる。

聞こえてくるのは歌だ。
綺麗で儚く物悲しい。

525とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:15:10 ID:gd6KOXGM
>>524
「歌声……こんな時間に?」

【ある日ある時。
夜の森中を歩いていた黒髪金目女ラーナイ。
ふと聞こえてきた歌声に首を傾げながら声の聞こえる方へと足を向けた】

526とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:18:05 ID:XS7ABNRo
たどり着いたその先で

「〜♪」

大岩に足を投げ出して座り、月光に照らされて歌っていたのは、
薄汚れた革服を着、眼下に濃いクマ、
半端に長い耳と小さな二つの角を持つ短髪の少女だった。

527とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:21:36 ID:gd6KOXGM
>>526
【見るからに人外です。
だがラナ子には関係なかった】
「こんばんは。
こんなところで何をしているんだ?」

【人外少女に声をかけつつ、ゆっくりと近付いていく】

528とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:26:35 ID:XS7ABNRo
>>527
ノイエ「…」

ぴた、と歌をやめラーナイを見下ろす少女。

ノイエ「アンタみたいなモノ好きを釣っていた所」

にぃ、と口の端を吊り上げ笑う。
あまり感じのいい笑みではない。
というか危険な感じすらする。

529とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:32:19 ID:gd6KOXGM
>>528
「物好きだろうか?
こんな時間に歌が聞こえたら気になるものだろう?」
【真顔で首を傾げながら、少々をじっと見つめる。
やや緊張はしているものの、警戒までには至っていないようだ】

530とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:37:49 ID:XS7ABNRo
>>529
ノイエ「君子危うきに近寄らず。普通はこんな時間だからお家に帰るものよっ!!」
異形「グァ」

ゴボボッと音を立ててラーナイの背後に何かが出現する!!

531とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:42:36 ID:gd6KOXGM
>>530
「あいにく私はこれから――ッ?!」

【いきなり背後へ現れた気配に流石に驚き、振り返る】

532とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 22:46:08 ID:XS7ABNRo
>>531
赤と黒を綯い交ぜにしたヘドロに巨大なヒトの腕と口をくっつけたような2m超えの化物。
それが両腕を広げて今にも食らいつかんとしていた。

ノイエ「いっただっきまーす」

533とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:03:19 ID:gd6KOXGM
>>532
【ヘドロ怪物を射程外へと避けながら、困ったように溜め息をつく】

「生憎私は食べても美味くない。
それに、食べられてやるつもりは更々ないから逃げるしな」
【そういったあと、少女の背後にあるヘドロよりもやや背の高い木を指差した。
木を指す手には長い白手袋がはめられているため、闇のなかでもよくみえる】

「空腹ならその木になっている果物を食べたらどうだ?
美味しいぞ」

534とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:07:15 ID:XS7ABNRo
>>533
ノイエ「生憎、嗜好がヒトのそれとは違うの」
異形「ガァ…」

異形が手を伸ばしラーナイを掴もうとするが、その動きは緩慢だ。
少女は相変わらず大岩の上。

535とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:25:21 ID:gd6KOXGM
>>534
「そうか、残念だな。
この辺りには美味しい木の実が選り取りみどりなんだが」
【どこぞの貧乏騎士辺りが聞いたら大喜びしそうな情報だが、豚に真珠である】

「ちなみにこの巨体と君は、なんて名前なんだ?」
【ヘドロの攻撃を避けつつ、飼い主(?)少女に尋ねる】

536とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:30:06 ID:XS7ABNRo
>>535
ノイエ「…考えたこともなかったわねー……んー、じゃあ侵鬼にしますか」
侵鬼「ガァ」
ノイエ「あと私はノイエよ。アンタを喰らうもの」

相変わらずの動きをする異形。
いまいち緊迫感のない少女。

537とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:44:15 ID:gd6KOXGM
>>536
「侵鬼とノイエか。覚えておこう。
だが、先ほども言った通り私は逃げるからな。
食べるのは諦めてくれ」

【侵鬼の動きが遅く、簡単に避けることができるため、ラーナイにはあまり緊張感がない。
のらりくらりかわしつつ、肩をすくめた】

538とある世界の冒険者:2014/06/12(木) 23:46:07 ID:XS7ABNRo
>>537
のらりくらりと次回に続いてしまう

539とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:37:08 ID:YuCR4Oms
-王都領内 メタ・ヴァプールへの道-

以前の襲撃から暫くは、平穏な道が続いていた。
否、平坦と言った方が適切かも知れない。

村を抜けた山沿いの道は、禿山と隣合った平地だ。
隠れようにも、何も隠れられない場所である。

結果的に、このルートを辿ったロザリーは正解を選べていたと言う事だろう。

「…………スー………」

何せ、もう一人がこの調子では、まともに戦闘など出来ないのだから。

540とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:47:07 ID:kwS6Bz6.
「」
この前とは違い、オートバルケを前に座らせつつ馬を歩かせている。
マレンゴよ寄りかかさせてるとずれ落ちてしまうかもしれないので、こちらに寄りかからせている。
……荷物扱いするのはどうかと思ったのでこのようにしたのだが、正直馬車でも引っ張って来るべきだったと後悔している。

「……しかし、こんな状態じゃあ魔物が来ても一大事だ。
できれば、休みたいところだが、追撃が来るかもしれんからなぁ。」
それでも、馬を歩かせている理由はその場を離れたかったからだ。
できれば、日が落ちる迄に人がいる村にたどり着きたいところではある。

541とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:51:48 ID:YuCR4Oms
あれだけ大立ち回りした後だけあってか、暫く追撃の気配は無い。

だがこの状況は頂けない。
どうするかと途方に暮れているロザリーへと……

【キィーーーン…………】

仄かに、何か音が聞こえてくる。
と同時に、眠っているオートバルケの上着のポケットから燐光が漏れる。
暫くその音と光は鳴り続けた後

『……おーい。聴こえるッスかー。』
聞き覚えのある女性の声が耳に届いた。
今回の事件の真相に近付く橋渡しをした、あのルニアとかいう女学者の声だ。

542とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:05:00 ID:kwS6Bz6.
「………ん?
敵襲……というわけでもないな。」
聞こえてきた耳鳴りめいた音に眉をひそめてあたりを見回すが、影も形も見えず。
光ってるそれには気付くものの、これから何かがあると思って一旦は手を出さずに様子を見る。

「……おおっと、何か仕込んでたみたいだな。
光りだしたことを考えると……コレか?」
突如、ここにいないはずの声が聞こえたことからそれが通信用の何かであると目星をつける。
オートバルケの上着ポケットに躊躇なく手を突っ込んで、光っているそれを取り出そうとする。

543とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:09:55 ID:YuCR4Oms
ポケットの中には、拳大のいびつな魔石が入っていた。
何やら幾何学的な非対称の紋章が刻まれており、光はそこから生まれている。
あまり眼にする機会は無いが、通信用の魔石……それもかなり高度な物である。

『あー……アンタは確か……ロザリー。
この石はオートに預けてあったと思ったんスけど……何かあったッスか?』

544とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:17:04 ID:kwS6Bz6.
「……ああ、あいつなら今はぐっすりと眠ってる。
一度、村についたと思ったら悪漢どもの群れに絡まれてな。
何やら大規模な魔術を使ったみたいで、数日は魔法も使えないとのことだ。」
物珍しそうに魔石を眺めつつ、ルニアの疑問に答えていく。
……実際に現場を目撃していないから曖昧にしか言っていないが、あの場でオートバルケがおそらく何かしたのは確かだろう。

「だから、私が寝てるオートバルケに変わって連絡してるのさ。
それより、なにか連絡があるんじゃないか?それとも、定期報告の時間か?」

545とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:22:18 ID:YuCR4Oms
『……数日……って、あの馬鹿はホントに寿命すり減らすの好きッスね。』

呆れ顔が、魔石越しでも伝わって来る程の声色で言い

『……まぁ良いッス。
ああ……そうッスね。定期報告……というよりは個人的な用件ッス。
大事な事だからよく聞いといて欲しいんスけど……
ま、アンタなら大丈夫っぽいスね。

……まず一件。さて問題ッス。
小型化した蒸気機構エウロスを駆動機関に組み込んだ人造人形の名前は、なーんだ……。』

用件、と言いつついきなり問題を吹っ掛けてくる学者。
しかし、その人造人形には聞き覚えがあるだろう。
かつてのエウロスの事故が無ければきっと量産され、皆の生活を支えていた……スチームロイド。

546とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:32:44 ID:kwS6Bz6.
「だが、私はオートバルケに礼を言わなければいけない立場でな。あまり強くは怒れん。
私には、あんな大技があったりはしないからな。」
遠回しに、叱っておいてくれと頼んで

「………たしか……スチームロイド、だったか?
……あー、なんか嫌な予感がしてきた。続きを頼む。」
嫌な予感を感じつつ、片手を額に添える。

547とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:39:25 ID:YuCR4Oms
「大方、女性の前だから張り切り過ぎたって所じゃないッスかね。
ま、こっちも調査が終わる前に倒れられちゃ困るんで……」
了承した、という風なニュアンスを遠回しに返して

「正解。
1体だけ、ドナ・スーヴァリ謹製の……ナンバリングされたスチームロイドが居るんスよ。
式番はエイト。
封印されてた筈なんスけど……どうやら、今図書館に確認したら……それが解かれたらしいんスよ。
蒸気機構の粋を集めたスチームロイド……連中、これ放っておくと思うッスか?」

否。
その様なものがあれば、一体どれ程被害を甚大に出来る事だろうか。
ロザリーの懸念通り、ややこしいでは済まない事に違いない。
最悪、以前よりもっと大きな事態になるかもしれない。

548とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:50:03 ID:kwS6Bz6.
「まぁ、このまま追撃がなければ無事に辿り着けそうだ。安心しといてくれ。」

「……奴らが余程の馬鹿でもない限りは放っておく理由がないな。
私達が襲われたのもそれに関係がありそうだな。
………と言うより、なんで封印が解かれているんだ。どうなるかは目に見えているだろうに。」
中々に面倒な問題があったことに、思わずため息をつく。

549とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:53:28 ID:YuCR4Oms
『……その様子だと、もう目と鼻の先っぽいッスね。』

こちらの様子が見えてはいないだろうが……確かにそうだった。
マレンゴの向かう先から、点々と蒸気が上がっているのが見える。
鉄で出来たむさ苦しい大都市が、着々と視界へと昇って来る所であった。

『解いたのが利用したい張本人らだからじゃないッスか?
他にそんな事をする奴も、出来る奴も居るとは思えないッスよ。
第一、あの場所は隠されてるんスから。』

550とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:10:13 ID:ON7Y60s6
「……っと。どうやらそのようだな。
成程、聞いた通りに物珍しいところのようだ。
いやぁ、楽しみだな!」
意識を目の前に向けるとそこには聞いた事こそあれど初めて見る蒸気都市の姿。
自分の知らないことが多くあることを考えると、自然と気持ちも浮ついていく。

「それもそうか。わざわざ封印を説かれるのを待つよりはそっちが効率的だろうな。」

551とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:18:20 ID:HbeHlMpU
不揃いな煙突、無骨な鉄色。
継ぎ接ぎだらけのドーム状の建物が、大小立ち並ぶ。
時折ごく小さい地鳴りの様な物が起こり、中の建物が役割を果たしているのだと遠目にも察する。

『……とりあえず、あともう一つはナットに連絡を寄越す様にと。
例の鉄片、調査内容に違いは無いんスけど……研究機関名の記入忘れてるみたいッスから。
……兎に角、スチームロイドは見つけ次第、最優先の確保頼んだッスよ。……それじゃ。』

「……ん……ぐ……。
………ん……?」

言う事だけ言うと、通信を切ってしまったルニア。
しかしそれと同時に、寝こけていた男性がようやくと眼を覚ます。

552とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:30:09 ID:ON7Y60s6
見た目からして他の都市では見ない、斬新とも言える都市につくことを楽しみにしている様子のロザリー。
逆に、マレンゴは時折起こる地鳴りが不快そうで時々身を震わせている。
騎手と馬との関係は良好ではあるのだが、そういう感性は食い違うのであった。

「了解。ナットに連絡、それとスチームロイドは確保……だな。
まとめて伝えておくから安心しておけ。それではまた。」
こちらはさほど気にした様子もなく、通信が終わるとオートバルケの上着ポケットの中に魔石を戻す。

「………ん、ようやく起きたか。
おはよう、よく眠れたか?」
起きたことに気付いたのか、クスクスと笑いつつ軽く髪を撫でる。
……直前まで上着ポケットを弄っていたので内心はなんとも言えない気持ちなのだが。

553とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:43:46 ID:HbeHlMpU
「…………そうか……俺は眠って……。」

ぼんやりとする視界に、蒸気の街が見える。
血の廻りを正しく受け取った脳が、思考をクリーンに。

あの罠を、闘って切り抜けた事は?
覚えている。

それからか、眠ってしまっていたのは。
所で何故ロザリーの声が後ろから聞こえるんだ?
疑問は尽きない。

「…………?」
尽きないが

「わぁ……ッ!?
す、すまない……ッ!!」
髪を撫でられた事で気付き、はっと焦り顔になる。
が、勿論今はマレンゴの上。暴れる訳にもいかない。
つまりどうして良いか分からない。

554とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:55:27 ID:ON7Y60s6
「……そこまで驚かれるのも心外だな。
いや、起きてこの状況なら仕方ないか。」
けらけらと面白がるように笑いつつもオートバルケの髪を撫でる手は止めない。

「さて、目は覚めたか?
もうすぐ街につくだろうから用意しといたほうがいいぞ。
まだ疲れてるならもう一眠りしても構わんが。」

555とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 01:05:01 ID:HbeHlMpU
「す、ストップだロザリー。
もう起きた、ちゃんと座れる。だから大丈夫だ。」

どもり気味で言う男性。
しかし、当然と言えば当然か。
女性に寄り掛かった上、あやされる様にして髪を撫でられていては。

「大丈夫、大丈夫。
えーと……、まずは、すまない。少し調子に乗り過ぎたみたいだ……。」

自身の無様でこの様な事になっているのは分かる。
が、目の前にメタ・ヴァプールがあると言う事は相当に眠っていたのだろう。
その間に荒事を一人任せきりにはしてなかっただろうかと、彼は懸念していた。
尤も、ロザリーが告げられた問題からすれば、まだその方がマシだったかもしれないが。

556とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 01:19:29 ID:ON7Y60s6
「くく……っ、あぁわかった。
言ったからにはシャキッとしてくれよ?男の子。」
どもっていたのがよほど面白かったのか髪から手を離して口元に添えて堪えるように笑っている。

「そのことか、それなら気にするな。
実際、アレのおかげで助かったからな。私からは何も言えないさ。」
なにせ、叱るのは自分の役目ではないからな。と心のなかでは思っていた。

557とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 01:25:07 ID:HbeHlMpU
「全く、そういうからかい方は卑怯だぞ……。」

心臓に悪い物でも見た風に、顔に手を当てる。
いや、実際に心臓には宜しくないのだが。男性として。
ロザリーの場合、自覚があるのか無いのかを訊いた所で煙に巻かれそうだが。

「……。
ああ、君がそう言うのなら気にせずに……」
『………………デート、楽しい?』
「…………!?
あ、アンニュイ……!?」

次から次へ、である。
二人の視界の少し下に現れたのは、事の大きさを皆に知らせた密偵、アンニュイである。
何故だか少し片眉を吊り上げ、男性へと言う。

因みに驚くべき事に、馬と並走する程の脚力である。

558とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 01:38:49 ID:ON7Y60s6
「ふふ、すまないな。
反応が面白いと、ついやりすぎてしまって……な。」
クスクスと笑いつつ
実際悪く思ってるのか思ってないのか、おそらく後者だろう。

「おおっと……!
男と女がよろしくやってるんだ、そういう言葉は無粋だと思うぞ?」
突如としてやってきたアンニュイのジョークに、同じくジョークで返して。
……アンニュイの言葉は、おそらくジョークのつもりなのだろう。おそらく。

「さぁて、そちらも良くないニュースを持ってきたのか?
今さっき、ルニアからも厄介なことを聞いていたものでね。」

559とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 01:54:42 ID:HbeHlMpU
「………………。」
一矢報いようにもひょうと躱されてしまうのが眼に見えている。
中々に強敵だ。旅のお供には申し分無さすぎる位に。

「こ、こら。誤解を招く様な事は……!」
『……………おじゃましました。』
口元に手を当てて頬を膨らませる。多分笑った。

『…………ううん、悪い報告は……無い。
……ルニアからはこっちにも……連絡があった。把握済み。
…………ナットは宿。……ふたりも、そこへ行って…………。
ワタシは……暫く、一緒には居られないと思うから……。』

元々、彼女は密偵として向こうの組織に紛れ込んでいる身。
敵の腹の中の様な街である以上、そう一緒には動けない。
言うなれば別れの挨拶だろう。

通行証と宿の地図を二人へ投げやって

『…………じゃあ、気を付けてね。
……頼れるのは、アナタ達だけだから…………。』
そのまま風の様に消える。

そうしている間に、巨大な蒸気門が眼前へと立ち塞がる。
馬を釣れた人の列も出来ており、街へ入る為の審査待ちだろう。

自分達が渡された通行証は……大丈夫だ。ご丁寧に王都発行の朱印まで押されている。

560とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 02:08:52 ID:ON7Y60s6
「わかってる、もちろん冗談だ。
………向こうだってわかってるだろうさ。」
向こうの態度から、わかっていていったのだろうなぁと判断してこちらもクスクスと笑い。

「ああ、そっちにも行き渡ってるなら問題無いと。ナットにも言ってるだろうしな。
っと。これは……地図と通行書か。助かる。」
地図と通行書を受け取って、軽く中身を見たあとに礼を言う。
……通行書のことをすっかり頭から抜け落ちていたのは内緒だ。
忘れていたことに気付いて、軽く冷や汗が出てしまったが。

「……しばらく後だろうが、またあとで会おう。
終わったら一杯引っ掛けるのも悪くないな。」
消えていった後にそんなことを言うのであった。

「さて、並ぼうか。オートバルケ。
良くないニュースは宿についてからにしよう。」

561とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 02:19:14 ID:HbeHlMpU
「全く……」
融通の利かないのは彼一人である。
最後には、諦めた様に楽しそうな笑みを零すのだが。

「ああ。気を付けてな、アンニュイ。」
己が仕事を果たす密偵を見送り

「二つあっても困り物なのだが……まぁ良いか。
更新し損ねたと言う事にしておこう。」
彼は彼でちゃっかり持っていた様である。先に言え。

「そうだなロザリー。
あまり時間は無いが、ゆっくりと話をする時間も必要な様だ。」

こうして、遂に蒸気の街へと入り込んだ四人。
そこで起こる事とは。
そして不可解な問題とは。テロリスト達の思惑とは……

様々な運命を乗せて、歯車は蒸気で回り出す。

【フェードアウト】

562とある世界の冒険者:2014/06/21(土) 22:26:15 ID:ACboQCzM
-森の奥-

森の中に花畑があった。
傍らには朽ちた石碑と枯れかけた見上げるほどに高い大樹。

ギ、バタン、ギ、バタン

機織り機の動く音がする。

563置きレス用RP:2017/02/11(土) 12:15:33 ID:na8Ahlwk
-嘗ては城へ至る門-

堅牢を誇った王城へと至る門。
それは見るも無残に破壊され、嘗ての姿を窺い知る事は出来ない。
周囲に散乱しているのは獣と兵の骸。
獣は元々王都に住まう無辜の民であり、兵はその民を守るための剣であった。
瓦解した門の先にあるべき城は遥か上空へと向かい此の場にあるのは、
ただただ無意味となったものばかり。

そんな中、ソレは立っていた。
右腕を半ばで切り落とされ、左の脇腹を大きく食い千切られた鎧姿の屍。
白銀であったその姿は赤黒い色と破損によって大きく損なわれている。
本来救うべき民をその手にかけ、守るべき門も城も失い、魂とも呼べる王国騎士としての誇りは地に落ちた。
それでも尚ソレは其処に立っていた。

何かが駆ける音がする。
興奮した獣らの咆哮。
無意味が転がるこの場に知らずと駆けてくるのは、
首から虹色に煌く宝石を提げ土と血で薄汚れた白のワンピースを着た虚ろな目をした裸足の少女。
石からは何かしらの魔力が感じられ、それが獣らの興味を引いたらしい。
必要以上の数の獣が少女のその爪と牙を食い込ませる為に群がりつつあった。

564とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:35:37 ID:eALarJe.
石の魔力に反応したのか、その場に現れたのは白い魔女帽子を被り、白いローブを身に纏い、箒を持った小さな魔女
一見すると未成年の少女にしか見えない幼い顔つきと控えめな身体、身長であるがれっきとした23歳の成人した魔法使いである

「・・・魔力の反応があった場所ってここよねって!危ない!!」

魔法使いは箒を構えて、獣に囲まれた少女に向けて叫ぶ

「そんな無防備な格好で何してんのー!?おこちゃまは安全な場所で隠れてなさいよ」

少女に向けて、避難を促す
レオナから見てとても少女は戦えるとは思えず、こんな危険な場所にいることが信じられないと言った様子であった

565置きレス用RP:2017/02/11(土) 21:39:37 ID:na8Ahlwk
>>564
少女「…」

レオナの存在にはきっと気が付いているだろう。
しかし周囲を獣に囲まれ其方に構っていられる余裕は今の少女にはなかった。
どこを向いても獣、獣、獣、袋のネズミだ。

獣「ルシャアアアアアアアア!」

血気盛んな一匹が少女へと躍りかかる!!

566とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:55:55 ID:eALarJe.
>>565
「んもう!!」
少女に獣が飛びかかる刹那、レオナも1つ魔法を発動させる
「バリアー!!」
簡単に発動させたその魔法は、少女を球状の光で包み込んだ
これは効果時間こそ短いが、その間、その障壁が守ってくれると言う魔法である

「んでもって、これで・・・」
そして左手を天に翳す

「燃えちゃえ!フレアスター!!」

バリアーに囲まれた少女中心、半径3mくらいの範囲に大きめの炎球が数十個降り注ぐ、勿論目的は、少女を襲う獣の殲滅である

567置きレス用RP:2017/02/11(土) 22:08:45 ID:na8Ahlwk
>>566
かくもあっけなく獣らは業火に焼かれ塵と消える。

?「いやあ、おそれいりますねえ…この王都に未だこれ程のヒトがいらっしゃいましたかあ!」

ぱちぱちぱち、と手をたたく音。
音のほうを見れば半壊した建物の屋根に腰かけ、少女を見下ろす存在一つ。
全身白色でかためたシルクハットにマントとスーツ姿の仮面野郎だった。

仮面野郎
「しかしですねえ?獣を倒した程度でいい気になっては困ります。
 戦いはこれからってやつですよぉ!!」

パチン、と仮面野郎が指を鳴らす。
少女を囲むようにして今度は地中から複数の腕が飛び出す。
その一つは少女の足首をがっしと掴んだ!

少女「!?」
仮面野郎「アハハ!所謂リビングデッドってやつですねえ!やっぱりエンタメにゾンビは必須です!!」

568とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:23:12 ID:eALarJe.
>>567
獣を塵に変えた後、少女の方へと駆け寄ろうとするが、突然現れた、聞こえた声に反応し、立ち止まってしまう
「・・・つまりあんたがこの王都の惨劇の、黒幕の1人ってワケ?」
そう言うと、仮面の男を睨むレオナ
「悪趣味なのは仮面だけにして欲しいね」
そう言うと、やれやれと言った感じに両手を動かして呟く

すると、地面から現れたゾンビの群れ、レオナはそこで遅れてしまい、少女の首を掴まれた光景を見て焦る

「しまった!!」
そして思考を巡らせる
どうしよう、私の魔法は基本的に規模も大きめになるしあそこまで掴まれたら巻き込んで・・・!でもかと言って・・・ん・・・リビングデッド・・・死者・・・こうなったら一か八かよ!!

考えがまとまったようで、少女を掴んだゾンビへと、箒に乗って飛び出す、そして、右手にはとある魔法を、魔力を込める
それは”癒しの魔法”
「ヒーリング!!」
攻撃魔法を得意とする彼女は、それほど高等な治癒魔法は使えないので下級のそれ、それを直接ゾンビにぶち当てようとする
そして箒の先端は少女のボロ布を引っ掛けるような軌道で飛ぶ

569置きレス用RP:2017/02/11(土) 22:32:30 ID:na8Ahlwk
>>568
仮面野郎「ハハハッ!いや面白い発想ですが…ざ・ん・ね・ん!!」
ゾンビーズ「「ぐるっしゃああああああああああ!!!!」」

逆に元気になって妙に筋肉質なゾンビが三体地中から飛び出すようにして現れる!!

少女「!?」

足首を掴まれていた少女は自然とゾンビの一体につられているような形に!

570とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:39:31 ID:eALarJe.
>>569
「ち・・・ゾンビの癖に・・・その子に触れんなーー!!」
レオナはその、少女の足首を掴んだゾンビに箒で突撃する
箒の先端がゾンビへと当たるように突撃すると同時に左手をゾンビに翳す
「光に呑まれなさい!スピリチュアルレイ!」
その手のひらから放たれるは光属性の、直径50センチメートルくらいの太さのあるレーザービームです

571置きレス用RP:2017/02/11(土) 22:45:56 ID:na8Ahlwk
>>570
ゾンビA「グガア!?」

ビーム直撃!
ゾンビAは少女を手放し地面を滑るようにして後方に吹っ飛んだ。
しかし倒れてはいない!!

ゾンビB「ガアアアアア!」

そして間髪入れずレオナ目がけ他のゾンビがドロップキックである。
すごいアクティブ!!

ゾンビC「…グガ」
少女「っ!」

数の暴力である、残りの一体が地面に落ちて伏した少女へと口を開き噛みつかんと動く。
流石にレオナ単体でBC両方の相手はできない!!

572とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:55:10 ID:eALarJe.
>>571
レオナはゾンビBのドロップキックは無視した!
そのままドロップキックは直撃し、吹き飛ばされるレオナ
「あぅ・・・」
そのまま吹き飛ばされ、地面に尻餅つくが、ただで蹴られた訳ではない!
優先したのは"少女の安全の確保”
箒を操り、少女を回収するように、箒を少女の服へ引っ掛けるように飛ばして
そして自分の側まで連れて来ると言った算段である
「あの子の安全さえ確保すればでっかい魔法で一網打尽にしてやるんだからね!この腐れきもいのと悪趣味仮面!!」
そう叫ぶ

573置きレス用RP:2017/02/11(土) 23:09:29 ID:na8Ahlwk
>>572
仮面野郎「ハハッ、確保できれば、ですねえ!!」

レオナの捨て身の行動は少女をゾンビCの魔の手からは救った。
しかしゾンビAとゾンビBの魔の手から自らを守り切る事は…

バシュッ

仮面野郎「おんや?」

レオナに迫っていたゾンビABの上半身がきれいに吹っ飛んだ。

王国騎士?「……」

右腕を半ばで切り落とされ、左の脇腹を大きく食い千切られた鎧姿の屍。
それが振り抜いたボロボロな剣の刀身を犠牲にしてレオナは危機を脱した。
残るはゾンビCである。

574とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:20:18 ID:eALarJe.
>>573
ここまで・・・か、そう思った矢先の出来事であった
王国騎士の亡骸?なぜ動いているのかわからない、理解できないが確かに其れに救われた
「ありがとう」小さな声でそう呟くと残ったゾンビcへと狙いを定める

「昔っからアンデッドの弱点って、聖なる力、即ち治癒魔法か、光属性の魔法とかその辺りって相場は決まってるよね」

そして、炎の魔力を使い、魔法陣を宙へと描く

「でもその両方でだめだったし残りはこれしかないっしょ、若干ムカついたからフレアスターなんて生易しい物じゃないよ、これは私の十八番魔法の1つ」
魔法陣を完成させるとそれの中心へ左手を突き出し魔法を発動させる

「クリムゾンフレア!!!」

するとゾンビcの真上には直径3メートルはある巨大な高温火球が現れる
それは激しい炎を降り注ぎながらその火球自体もゾンビ目掛けて落ちていく、ゾンビを焼き尽くさんと、襲いかかる


「変態仮面さん、よーく覚えてなさい、私はレオナ・アーデルハイト。とっても偉大でとっても美人な大魔法使い様だからね」
と、そう名乗りを上げる

575置きレス用RP:2017/02/11(土) 23:37:08 ID:na8Ahlwk
>>574
仮面野郎「…やれやれ、ではその偉大で美人の大魔法使い様に敬意を表し」

今まさに火球に飲み込まれ燃え尽きる筈のゾンビに向けて、
仮面野郎が懐から取り出した紫色のもやを発する魔石が投げ放たれる。

仮面野郎「少しだけ、ほんの少しだけ私のチカラをお見せしましょう」

炎が天高く燃え盛る。
レオナ魔法が最終的にどんな動きを見せるかは関係なしに火柱が立つ。
そしてその中から現れたのは…

ビッグマッスルゾンビ「フシュルルルルルル…」

口や体の表面から水蒸気を吐き出し、所々から炎を吹き出すゾンビ…
…いやもうこれゾンビじゃない何か別もんだコレ!!

仮面野郎「さあいけBMZ!そのチカラを見せつけるのです!!」

576とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:45:12 ID:eALarJe.
>>575
「な・・・なにこれー!!?火吹いちゃってるしこれもうゾンビじゃないよ!!」
正にそんな突っ込みを入れて

「・・・流石にいきなり大魔法・・・なんて虫のいい事は許してくれなさそうだし・・・」

等と呟きながらもまずは小手調べの一撃を放ってみる
「ライトニング!」
左手から迸るは一筋の雷撃
其れがBMZと呼ばれたゾンビへと走る

「何か戦わせてばっかで自分は見てるだけの仮面野郎もムカつくー!」
等と愚痴も零しています

577置きレス用RP:2017/02/11(土) 23:58:04 ID:na8Ahlwk
>>576
仮面野郎「ハッハッハ!上に立つものに必要なのは戦わぬ状況を生み出すことなんですねえ!」
BMZ「グルウッ!!」

仮面野郎は相変わらず屋根の上。
そしてべシン!と音を立てBMZの額に雷撃がヒット。
強力なデコピンをくらいムカつく、程度の被害は与えたようだった。

屍騎士「……」
少女「…私が時間を稼ぐ、奴を凍らせることは可能か?だって」

愚痴をこぼすレオナの傍にいつの間にか少女。
屍の騎士はレオナに背を向けBMZの前に立つ。

578とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:06:39 ID:nBNhxcZE
>>577
「むーーー!!!そのお高く止まった感じもより一層ムカつく!!!」
上に立つ者、偉そう、そのワードから大嫌いな実の父親を思い起こして更に仮面野郎に腹を立てているところ
さて、状況はどうだ、やはり下級雷魔法だと大したダメージは与えられない
そんな中、屍戦士からの提案、その代返する少女からの言葉を聞く

「え?・・・あの鎧さんそんな事言ったの?てか、鎧さんの言葉分かるなんて・・ただの子供じゃない感じ?」
一緒困惑したのかそんな事葉を発するがすぐに我に帰り
「と、今はそんな事どーでもいいよね、凍りつかせる事ならできると思う・・でも問題が1つあるの
私、火属性が得意な反面氷属性魔法って苦手なのよね・・・だからちょっと時間は長くかかっちゃうけど・・耐えられる?」
そう、鎧さんへ向けて言います

579置きレス用RP:2017/02/12(日) 00:16:52 ID:DgpN.AqA
>>578
屍騎士「…」
少女「此処で耐えられずして何が騎士か、だって」

レオナへの問いに答えず騎士の言葉?を発する少女。

仮面野郎「やれぇ!!」
屍騎士「!!」

BMZの炎をまとう拳が繰り出すストレートを屍騎士が残っている左腕で受ける。
重々しい音が周囲の空気を震わせ衝撃さえ生む。
双方が弾かれる様にして間合いが開く。
BMZが堂々たる足取りで屍騎士へと歩き出す。
屍騎士は周囲に転がっていた欠けた盾を拾い上げ構える。
片腕しかないこともあり騎士が俄然不利である。

580とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:24:12 ID:nBNhxcZE
>>579
「了解、ならお言葉な甘えて、あいつ凍りつかせるのに集中するからね、耐えてね!」

そう言うと、ネックレスに手をかけ、其れに何か語りかける
その後箒を横に構えておもむろに詠唱を開始する
「白銀の世界を統べる氷の女王よ、我が呼び掛けに答え目覚めよ」

何やら冷気が集まってきて、周囲は若干寒くなり出す

581置きレス用RP:2017/02/12(日) 00:29:59 ID:DgpN.AqA
>>580
ゴン!ガスン!ガイン!

仮面野郎「そうだそこでフックだアッパーだストレートだ!」

ボクシングの試合を見るオッサンのように仮面野郎が騒ぐ。
BMZの繰り出す拳を只管屍騎士が盾で防ぐ一戦。
強度に大分問題が生じているのだろう、一撃食らうごとに盾が軋み拉げる。
ついには盾が吹き飛び、両手を組んで振り下ろされた一撃をもろに受け屍騎士が膝をつく。

582とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:44:02 ID:nBNhxcZE
>>581
「其の力、悠久氷を生み出す、我が敵に迫るは蒼き終焉への道しるべ」

そして、BMZの周囲により低温となったその冷気が収束していく

「お待たせ!鎧さん!もうオッケーだよ!!アブソリュートゼロ!!」

するとその冷気は氷と化し、BMZ、ビッグマッスルゾンビへと襲い掛かり、みるみるとその身体を凍りつかせていくだろう

そしてレオナはまた、仮面の方を睨む
「あんたもふんぞり返ってられるのは今のうちなんだからね」
そう言って

583置きレス用RP:2017/02/12(日) 01:03:21 ID:DgpN.AqA
>>582
パキパキと音を立てBMZが氷の彫像となるのに時間はかからなかった。

仮面野郎
「おやおや、まあ今回はここらへんで勘弁してあげましょう。
 目的は半分達成しましたし…モナドさん、せいぜい足掻いてみてくださいねえ!!」

言うが早いか仮面野郎は踵を返しレオナ達からは死角になる方角へと屋根を降り去っていく。

屍騎士「…」
少女モナド「さて、君達をどこか安全な場所まで送り届けないとな、だって」

始めのころより更にボロボロになった屍騎士が立ち上がりレオナらの所に戻ってきた。

584とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 01:10:49 ID:nBNhxcZE
>>583
「あ!逃げんなーー!!!このヘタレ仮面ー!!」
そう叫んで、仮面を見送る
「ちぇ、せっかくあいつ用に仕込んだ魔法が無駄になっちゃったや」
そう言い、左手でパチンと鳴らすと光の隕石みたいな、星属性のエネルギー体がそこら辺に一個落ちてきました

「ところで、モナドって君の事?」
少女に対してそう尋ねて
「見た感じ、戦えるってわけじゃ無さそうだけどなんでこんな危険な所出歩いてんの??避難とかしてた方が・・」

等と言って、今度は白鎧の方にも語りかけます
「送り届けるって・・鎧さんの方もボロボロじゃん・・治癒魔法あんまり得意じゃないんだけど、私ので治せるかなぁ・・」
見た所立つ事すらやっとの鎧さんの心配もする

585置きレス用RP:2017/02/12(日) 20:46:55 ID:DgpN.AqA
>>584
モナド「…」

何故か少女はレオナの問いに答えない。
話は通じていると思うのだが…

屍騎士「…」
モナド「問題ない、見てくれは悪いが動くことに支障はない、だって」

やはり代弁はする。
というか代弁しかしていない。

屍騎士「…」
モナド「あくまで予想なのだが、モナド嬢は自分の言葉を喋れないのではないか?だって」

586とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 22:24:56 ID:nBNhxcZE
>>585
「・・まぁ私レベルの治癒魔法じゃそこまで損傷した身体を復活とか元々無理よね」

そう言いながらもかんがえます
何故か、返答しないモナド
そして、屍鎧の言葉は代返できる様子

「・・・案外そんなもんかも知れないわねー、一種の呪いみたいなもん?」

口元に手を当てて考えてます

「さっきの変な仮面と言い、王都で何が起きてんのー・・・はぁ・・」

とため息吐いて、鎧の方に目をやる

「つーかあんたもかなーり謎な存在よね、王国騎士かなんかの慣れ果てとか?
あ、一応自己紹介しておくよ、私はレオナ・アーデルハイト。さっきの戦闘中聞いたかもだけどとっても偉大で美人な大魔法使いよ」
と名乗る

587置きレス用RP:2017/02/13(月) 21:38:39 ID:mLpWHlHY
>>586
モナド
「私は王国魔導騎士が一人、シャッフェン。シャッフェン=エリタージュだ。
 まあなんか気が付いたらこういう状態になっていたのだが原因は知らない、だって」

最早屍騎士の通訳と化した少女。

モナド
「王都で起きている出来事か?何でもヒトが獣に代わる病が蔓延しているという話でな?
 王国騎士の実力者が真相解明に動いているという噂もあったな、だって」

屍騎士は自身に起きている出来事はほったらかしだ!

588とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 21:48:20 ID:Gg8PwmlM
>>587
「シャッフェンさん・・・ね、王国魔導騎士団っと」

うんうんと頷いた感じで聞いています

「んで、獣化の病が流行り出した、騎士団が原因を探求中っと」

と、考えていて

「つーかさっきの仮面はなんか関係者なのかな?めちゃくちゃ怪しいんだけどー、つーかとりあえずムカついたし吹っ飛ばしてやりたいよね」

感情を露わにするとレオナはモナドの方へと歩き出します
そしてモナドの両肩に手を当てると

「あの変態悪趣味仮面、あんたに語りかけてたけど、もしかして知り合いなの?あー、喋れないなら首を縦に振るか横に振るかで答えてくれたらいいよー
てか、足掻くってあいつ言ってたけどなんかこの状況解決する方法でも知ってるんじゃないの?
ひたすら解決を待つなんて事まどろっこしいっしょ。とりあえずさー、安全な場所への避難なんて辞めて、この状況なんとかしない?」
シャッフェンさん方にも向いて話だします

「一応大魔法使いだからね、9属性の魔法使いこなすしまだ切り札ならあるし。わたしそーとー戦力なれると思うよー
あー、モナドちゃんは避難した方がいいかなー」
そしてウインクして言います

589置きレス用RP:2017/02/13(月) 22:02:49 ID:mLpWHlHY
>>588
モナド
「あれは…仮面の道化師、だろうか?
 誰かから聞いたことがある、騒ぎを起こして回る不届きな道化師がいる、と。
 芝居がかった語り口調で突飛な格好を好む輩だとも、だって」

屍騎士の言葉はスラスラと淀みなく伝える少女。

モナド「…」

しかし自身への問いかけに対しては驚くほど反応がない。
首すら振れないわけではあるまいが…?

モナド
「状況の解決といってもな…現状知っている事が裏の取れていない話。噂話レベルだ。
 情報を集めようにもこのありさまではな…と言うか今気が付いたのだが王城が空に浮かんでいるな。
 ………うん、軽く引いてるぞ私は、だって」

あからさまに獣化の病とは別件な現象に屍騎士はげんなりしている。

590とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 22:12:30 ID:Gg8PwmlM
>>589
「ほーん・・・て事はあの黒幕気取りの変な奴はとりあえず、悪い奴って認識で良さそうよね」
そう言うと、次に会ったらぶっ飛ばしてやろう、なんて悪い顔になってます

「モナドちゃんはなんで反応しないんだろー、こんなんじゃ意思の確認も取れないし、むー、とりあえずこの子は安全な場所で大人しくさせてた方が良さそ・・・
あ、そいやこの子の持ってる魔力石?これがなんか関係あるのかも」

そう言うと、モナドの持つ魔力を放つ物に、手を伸ばす

「空を浮かぶ城・・・怪しいね手を・・突入してみる?」

なんとも無謀な提案

591置きレス用RP:2017/02/13(月) 22:17:40 ID:mLpWHlHY
>>590
モナド「高度は相当高そうだが……流石に生身では厳しいのではないか、だって」

と言う言葉をレオナは最後まで聞けただろうか。
幸か不幸か、それなりの実力を備えていたが故に。
魔石に手を伸ばしたレオナは一瞬にして、白色以外何もない空間に自身が立っていることに気が付く。
少女も騎士も此処には居ない。

592とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 22:21:46 ID:Gg8PwmlM
>>591
「ドラゴンの背中にーーー」
そう言った矢先の事であった
飛ばされた空間、見渡す限り真っ白の世界にいきなり飛ばされたレオナはまた混乱する

「な、ななな何ここーー!!?」
とりあえず叫びます

「なんて言うか色気の無い場所に来ちゃった・・・うーむ・・・」

とりあえず、ちょっと歩き出します

593置きレス用RP:2017/02/13(月) 22:39:11 ID:mLpWHlHY
>>592
視線の先、白い空間にふと沸いて出た黒い染み。
それはあれよあれよという間に大きく広がっていく。
ぼこぼこと気泡を立て、ガソリンのようなキツイ臭いを放ち。
果てには至る隙間から黒い粘液が滴っている色形がチグハグな全身鎧の姿をとった。
何だか奇妙な全身鎧に縁のある日であるが、
屍騎士の姿も良いモノではないが目の前のこれは屍騎士とは比較にならないほど醜悪に感じられる。

「ふ…ん……器、には…足ら、んな」

594とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 22:44:51 ID:Gg8PwmlM
>>593
突如として現れたそれを目の当たりにするとまず一言
「・・・気持ち悪い・・・」

などと言います
そして、それは器には足らんと言った、器?ようするに
こいつが乗ったる身体でも探しているのだろうかと推測する

「足りなくて結構、あんたみたいなんに乗り移られるとか、まっぴらよ」

そういい放つとそいつを睨んで

「とりあえず、一つ知りたい事あるんだけどねー、この変な場所から出たいんだけど、あんた出してくれたりするの?あ、モナドちゃんって女の子の持った石に触れたらここに飛ばされたんだけどなんか関係あんの?」

2つ質問する

595置きレス用RP:2017/02/13(月) 22:51:37 ID:mLpWHlHY
>>594
「言葉は正しく使え、魔女よ。
 言霊を蔑ろにするモノは魔術使いとしては三流だ」

表記では流暢に喋っていますが、
目の前のヘドロ鎧が発する言葉は常にくぐもり水っぽく途切れ途切れ、
そういう感じです。

「だが愚か者であろうが解をくれてやる。
 一つと言わず二つな……
 貴様は自分で入ってきた、出るときも自分で出ろ。
 それとアレは私の介添えだ……吊り下げた石は私そのものといっても良い」

596とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 22:59:58 ID:Gg8PwmlM
>>595
「む・・・まぁ私も子供じゃないし、こんな事でもう怒らないけど・・気をつけますよっと」
三流と言われた事にむすっとしつつもそう答えて
「もう魔法の腕前は一流だと思ってるんだけどなー・・・」
と、相変わらず自己評価高い
「自分で出ろって言われても辺り一面真っ白だし出口らしき所ないじゃん!
あとあの石があんた自身?ほー、んじゃもしかして、あんたが器とやらを見つけたらモナドちゃんは今の喋れない、反応出来ない状態から解放されんの?」

疑問がつきないようで

597置きレス用RP:2017/02/13(月) 23:15:20 ID:mLpWHlHY
>>596
「アレは元来ああいうモノとして其処にある。
 奏者がいなければ音も立てられぬ楽器と何ら変わりはしない。
 …目でモノを見るな、魔の術を使う者。
 そも他者の強制転移が石ころ一つで出来る訳もあるまい」

598とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 23:22:48 ID:Gg8PwmlM
>>597
「なるほど・・・つまりは・・・まぁいいや、大体の事は理解出来たかも」
と言うと、ため息ですね。
よーするに、彼女はただの、これの為の世話人?そんな感じなのね・・・なんて思ってたりする

「そして、出る方法も魔法で探って見たら分かるって事なのかな?まぁこーんな空間で周囲見渡しても仕方ないもんね」
と言うと目を瞑ってみる
そして、周囲の空間の魔力を探ってみる事にした
多分魔力感知していけば何か分かるかもといった考えに至ったようで

599置きレス用RP:2017/02/13(月) 23:34:55 ID:mLpWHlHY
>>598
周囲からは何も感じない。
というか探ろうとしている周囲の空間というものが存在していなんじゃあないのか?
てか魔力的な話をするならば自身の目の前に3つの反応がある。
一つは希薄。おそらくは少女のものではないだろうか。
もう一つは先ほど触れようとした石のもの。
最後の一つ……それに行き着いた途端、又も意識が飛んだ。

「ふん…意図したことではなかろうが……あちらこちらに意識を飛ばす忙しない輩め」

そんな声が聞こえたかどうかはレオナのみぞ知る。

600とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 23:46:17 ID:Gg8PwmlM
>>599
石・・・あの石に触れたら・・・ん?何これ・・・この最後の一つ・・これはーーーー

と思った矢先の事で、意識を失う
果たして、これから目覚めたなら、何処にいるのやら

「・・・うぅ」
なんかうなされてる?

601置きレス用RP:2017/02/15(水) 21:08:10 ID:gCggU36M
次にレオナが見たものは何十何百という人物らの物語だった。
『ノブレス・オブリージュ』
一言で言ってしまえばレオナが見た全ての物語はその言葉で表現できた。
それが一つの存在として今、王都にある。
屍騎士の中にあるものがソレである、と認識した途端にレオナの意識は現実へと戻るだろう。
そこそこ魔術師として大成したばかりに異様なまでの存在感を秘めた魂二つに振り回されたのだ。
時間にして数秒の出来事であったがレオナの精神に何らかの影響を与えている可能性は否定できない。
魔術師として一つ上の段階に至る可能性も微粒子レベルで存在しているぐらいの衝撃と思いねえ。

602とある世界の冒険者:2017/02/15(水) 21:30:50 ID:.L9QpGG2
>>601
「な・・・にこれ・・・」
入って来たのは様々な人生、様々な物語
その膨大な情報量
その全てを垣間見て、流石にこの魔女も感じる事があったのか言葉を失う

そして現実へと引き戻された時に、彼女は一瞬、思考が止まる

「こ・・こは・・あ、私、戻って来たんだ・・」
などと口ずさみ

「・・・えっと、あの空を浮かぶお城に行くのは十分な戦力、力を蓄えてからの方が良さそうね」
と、こんな事を言い出す
「まずはなんつーか、仲間?同士?そー言うのを集めてからの方が良さそ。たった一人二人で突入してもまずやられるよね・・・
突入に関しては、精霊の王を名乗る奴の力借りたらなんとかなるとは思うんだけど、甘いかなぁ?一応私の契約精霊にそんな奴いるのよねー、まだ完全に認められた訳じゃないけどさ」
星の精霊の王と呼ばれる存在と、契約は結んでいたりする
どうやらそいつの力を使って空を浮かぶお城への突入を考えていたようだ

603置きレス用RP:2017/02/17(金) 19:31:15 ID:SSbc3BDw
>>602
モナド
「ではまず拠点探しからだな。
 何をするにしても身体を休める場所を見つけないと話にならん。
 長丁場になる、何処かに良い場所はないものか…だって」

屍騎士は周囲を見渡すような動きを見せる。
しかし、今の王都で都合のいい場所がどれだけ残っているやら…

モナド「…」

そんな中、ふらりと少女が歩き出す。

604とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 19:36:35 ID:70YbCiwo
>>603
「拠点・・・確かにそれ必要よね」

レオナは手をぽんっと叩いて言います

「バッカスとかもう機能してないのかなー?後は安全そうな場所・・・学校とか、病院あたり?」

などと言ってると、モナドが歩き出す

「あー、モナドちゃんどこいくのー!?」

とか言ってそれについていきます

605置きレス用RP:2017/02/17(金) 19:49:47 ID:SSbc3BDw
>>604
少女はレオナの問いかけに相変わらず答えない。
なんかこうリアクションの一つも欲しい所である、何とかならないだろうか。

それはさておき少女が向かった先には何やら奇妙な物体一つ。
人の顔の高さあたりに吊り下げられたランタンである。
真昼間から煌々と魔力の灯りが灯っており、明らかに王都の惨劇が起きた後に取り付けられている。
夜道を照らす街灯としては些か取り付けられている場所が悪い気もする。
ランタンを吊り下げている支柱も何だが魔術めいた波動を発している…

モナド「…何かの魔道具だろうか、だって」

屍騎士も不思議そうにそのランタンを見ていた。

606とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 19:58:39 ID:70YbCiwo
>>605
なんか私一人言言ってるみたいじゃんー
などと思いながらも、そのランタンを見やる

「んー・・なーんか魔力感じるし何かしらの魔道具ってのは間違い無さそうよね」

と言ってじーっと

「何の目的でこんなの置いたのか知らないけど・・・危険な感じはとりあえずしないかな」

と言ってとりあえず右手で触れてみます

607置きレス用RP:2017/02/17(金) 20:04:53 ID:SSbc3BDw
>>606
ぶぃん、と音を立ててランタン近くの空間に画面が展開される。

?「うん?どちら様ですかー?」

気のせいだろうか、画面に映った背中に蒸気を吹き出しガチャガチャと音を立て忙しなく動く謎機関を搭載した
全体的に丸みを帯びたフォルムでモノアイヘッドのメタルゴーレムが可憐な少女の声を発して問うている気がする。

608とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 20:15:15 ID:70YbCiwo
>>607
「これまたとってもミスマッチな見た目と声ね」
一言、いきなりこんな事いいやがります魔女

「どちら様って言われたらまぁ、レオナ・アーデルハイト。とっても偉大で美人の大魔法使いよー」

と言ってる。実際に23歳なんだがその童顔っぷりかつあまり色気はないから少女に思われるかもね。美人ってより可愛いって言われそうな顔です

「・・・もしかしてこれ、魔力通信装置?」

そこでふと呟く

609置きレス用RP:2017/02/17(金) 21:18:55 ID:SSbc3BDw
>>608
ゴーレム
「こちらはフルークガストカンパニー王都支店所属、ラフメイカーです。
 そうですね、魔力通信装置の一種と思っていただいて結構です。
 現在、本店との繋がりを再構築する為この装置を王都各地に配置している最中です」

モナド
「ああ、フルークガストか…だって」

屍騎士は何か思い当たる節があるらしい。

610とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 21:36:32 ID:70YbCiwo
>>609
「ほー、へー、て、騎士さんなんか知ってんの?」
と反応

「これを王都の各所に設置・・・それってその社員さんがやってんのー?なかなか危ない気がするけど」

などと言ってるが

「・・・とりあえずそのフルーツガスト?って場所、いい拠点になるかも」

閃いたように

611置きレス用RP:2017/02/17(金) 21:44:52 ID:SSbc3BDw
>>610
モナド
「ああ、ざっくり言うと商人ギルドの一種だ。
 かなり手広く色々な事をやっている。
 で、あるからして今回も何かしようとしているのだろうな、と思ったんだ、だって」

ラフ
「危険ですが、本店との繋がりが出来れば王都の状況をかなり改善できると考えています。
 早急に物資転送の機能だけでも回復できれば、ですが。
 拠点をお探しですか、見たところ…ええと……死霊術師さん御一行、ですか?」

屍騎士とモナドを見てそう反応するゴーレム。
まあなんか無理もない気がする。

612とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 21:53:28 ID:70YbCiwo
>>611
「なるほど、ならなんか役に立つかもね!そのフルーツガストと協力しちゃったら事態も解決に向かいそう・・な気がする!」

にっこり笑顔になって

「とりあえずこの会社?に向かっちゃうか、今からそっち向かうよー、よろしくねラフちゃん」

と言った矢先に死霊術師と言う言葉を聞いて

「ちっがーーう!!この鎧と女の子はさっきたまたま一緒になっただけで私は正真正銘魔術師よ魔術師!!あー・・霊は霊でも精霊は使うけどさー」

声を荒げて死霊術は否定します

613置きレス用RP:2017/02/17(金) 21:57:07 ID:SSbc3BDw
>>612
ラフ
「そ、そうですか…ええ、と……とりあえず其処から北へ向かった所に
 新たにポータルを設置している協力者がいます。
 彼女と合流してこちらに戻ってきて下さい。
 流石に単独行動をするには支店からも離れすぎている状態ですので」

614とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 22:03:51 ID:70YbCiwo
>>613
「ここから北ね、りょーかい!そのポータル作業員を回収したらいいのね」
とそんな事を言ったら鎧やモナドの方を振り向いて

「らしいよ、とりあえずんじゃその人と合流しよっかー」

二人にそう伝えたらまたラフメイカーに声をかける

「んじゃ今からその作業員とやらに会いに行くね、んじゃまた後で会いましょー」

そう言うと北の方へと歩き出した!、と思ったら戻ってきた

「えっと、その作業員ってどんな人?」

ちょっと苦笑いで

615置きレス用RP:2017/02/17(金) 22:09:41 ID:SSbc3BDw
>>614
ラフ
「そうですねえ、巨大な刃を持つ片手斧をぶん回す配達員さんです。
 特徴的な武器なので直ぐに分かるでしょう」

そんな訳でレオナ一行は北へと歩を進める。
その先に待つものは…

仮面野郎「私だぁ!」

次回、『仮面野郎敗北』 デュエルスタンバイ!! 続く!!!

616とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 22:41:36 ID:70YbCiwo
>>615
「大丈夫なんでしょうねそれ・・なーんか危なそう」

などといいながら

「んじゃ今度こそいくよー、また後でね」

ウインクして、ラフメイカーにそう言うと、北へと歩き出しました

617「??????」:2017/02/23(木) 11:27:27 ID:g8wZhBjY

??????????
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

??「…ノックも無しに入れといった覚えはない。」

人気の無い部屋で…一人の男が、虚空に向けて話しかける。
先程まて虚空だった場所には、二人の青白い男女が立っている。


男「――――入るなと言われた覚えはないな。」

燕尾服を着た吸血鬼と

女「――――扉を開けたわけじゃないよ、最初から"此処に居た"んだからね。」

ドレスに身を包んだ吸血鬼

??「―――何の用だ。」

背を向けたまま、答える男
目線や手元は机に向かっている…何かを作っているようだ…

女「――――此処に辿りつきそうな"者達"がいるんだ」
男「――――事前に伝えておく方が、君も混乱がなくて良いだろうと思ってな。」

男が振り向く。
一見細身だが、筋骨が凝縮されたような体
どこの人種か判別しにくい顔つきには、若干の皺が刻まれる

??「―――ほう。」

男「―――君からそのような反応を引き出せたのは初めてだ。」
女「―――君の目的の為に"利用"してもかまわないさ、ただし危害を加えない方向で、ね。
  もちろん、君の"友人"を助ける為に"協力"を仰いでもいい。」

??「―――俺がそんな善人に見えるか?」

男「――それは君の台詞ではないな。」
女「――まぁ、どうするかは君次第だけどね…けれど期待しているよ――――






  ―――― ゼ オ ・ ウ ッ ドフ ィ ー ル ド 助 教 授 」






その一言を残して二人は消えた。
男は再び机に向き、作業へ戻るのであった――――

618とある避難所のプチイベント:2017/04/10(月) 22:30:31 ID:ZWHShhZc
ここは王都にある小さな避難所

そこは何処にでもある問題を抱えていた

避難所にある青空会議室では様々な人間が話し合っていた

「ここより大きな避難所に進むべきだ!」

「死ぬ気か!? 病人や怪我人がどれ程いると思っているのだ!」

「そもそも、本当に此処より大きな場所などあるのか?」

「もう、物資も底が見えているの……女子供を助けなければ……」

進まない議題。解決しない問題。そして会議は踊り続ける

誰かがこれに介入しない限り、全ては踊り続けるのであった

619うさぎ:2017/11/06(月) 03:23:10 ID:a0l8AeZg
tp://ssks.jp/url/?id=1451


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