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第二裏ゲート

87とある世界の冒険者:2012/09/20(木) 00:13:29 ID:Y0bI1VUQ
-KO・JI・IN☆-


ジグザール王国王都の東の端、そこには一軒の孤児院が存在していた。
とは言っても、家主の事情か未だ孤児はおらず、無料で子供を預かるただの託児所のようなもので、基本的に夜は元々の住人しか存在しておらず、孤児院なんて名称も家主が自称しているだけのようなものである。

「〜〜〜♪」

そんな孤児院の入り口である門から見て、庭…と呼ぶにはいささか広すぎる庭の先に見える家の正面玄関から入った左側の部屋。
部屋と呼ぶにはこちらもいささか広すぎる。長いテーブルが何台もおかれ、等間隔で椅子が羅列している上に奥にはキッチンがあるという状況から考えてここは食堂なのだろう。
その食堂の中、キッチンに入り何やら鼻歌を歌いながら忙しなく動く少女がいた。

「〜〜♪」

年は14といった所だろうか、長いブロンドの髪を2つに結び、幼い顔立ちに笑みを浮かばせ小さな体で動き回る様は、さながら物語の主人公のようである。

だが彼女は物語の主人公では断じてない、ただのどこにでもいるような、一人の恋する乙女である。

「アルスさんは座ってゆっくりしていて下さいなのですよー」

その恋の対象である青年に声をかけるべく、少女はキッチンを目まぐるしく動き回っていた顔を一度食堂の方へと向けた。


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