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第二裏ゲート
2912
:
とある世界の冒険者
:2017/01/22(日) 23:17:04 ID:Vm8lkfdw
王都北東の森‐鬼門‐
バスン!と大きく重い音が周囲に響き渡る。
次いで空高く跳ね上がる何か。
『RUGAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
水をたっぷり口に含んでから放ったような咆哮が木霊する。
此処は王都北東に位置する森。
本来であれば静か過ぎる位で少し不気味な雰囲気漂う場であった。
だが今となっては木々は薙ぎ倒され、周囲は腐臭漂う泥に塗れ、
先ほどから響き渡るのは巨大な何かの蠢く音と水っぽい咆哮。
少し離れた位置からでも見て取れるそれは泥の塊。
目と口と腕らしきものがある以外は止め止めとなく流れ出る泥で構成され、
木々よりも遥かに大きいそれは動く度に周囲に泥をまき散らしている。
飛び散る泥は例外なく腐臭を放ち、放っておけば此の地を汚染するのは明白だった。
そして先ほどからソレは幾度となく両腕を振りかぶり度々何かを宙へと叩き上げていた。
「っっ!?」
スパーン、と小気味いい音を立てて又何かが宙を舞った。
中止してみればそれがヒトの姿。
加えて女と呼べそうな容姿のものだと分かるだろう。
早朝、ワイバーンを駆り巨大な汚泥の化け物を見つけた乙女はソレが向かう先にあるモノの危機を救わんとすぐさま攻撃に出た。
だが決着はあっさりと着く。
ワイバーン、グランツ種が放つ巨獣をも屠った一撃を喰らい汚泥の一部を吹き飛ばされた化け物のカウンター。
振りかぶった左手から放たれた泥の塊が攻撃直後のワイバーンに命中、これを撃墜。
化け物の動きに攻撃を食らった前との違いはなく、墜落したワイバーンへとゆっくり近づいて行く間にその身体は完全に形状を戻していた。
大きく振り上げられた化け物の右腕は先端があからさまに硬質化し、地に臥すワイバーン目がけ振り下ろされんとしていた。
刹那、化け物の身体が大きな爆発によって一瞬ぐらつく。
「…大した打撃にはなっていな――がはっ!?」
乙女の持ち出したスクロールより放たれた魔法の一撃は化け物の攻撃をワイバーンから乙女へと変えただけだった。
地を抉るようにして振り放たれた一撃によって乙女がいとも容易く宙を舞う。
たった一撃で装備品などバラバラのグチャグチャになって周囲へ散った。
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