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第二裏ゲート

2329とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 21:52:35 ID:6kbk8ork
>>2328

以前可能性を捨てたので、少々驚く命令だったが――。
このぐらいでは彼女の表情を崩すには至らない。彼女は恭しく頭を垂れて、はいと頷くのみだ。

――

しかし、その時の承諾と、彼女が行う準備の温度差は相当なものである。
彼女は彼の注文を、要するに夜伽をしろと認識したのだ。
何か仕事ならば、その場で言えばいい。わざわざ”消灯時間後に、私室で”でしか行えない命令。
つまりは、彼女を”使う”ということであり、彼女はそれをそもそも拒むつもりもなかった。

「……われながら派手」

彼女は部屋で香を焚いていた。東国では、程度が強ければ媚薬だとされるものだ。
ザー・サルデフェクトという男は、如何にもな悪人のような面をしていながら、時折全うな聖職者としての面を覗かせる時もあった。
そんな彼が、何らかの原因によって、自分を抱きたいのだ、というような旨の命令をしてきたからには、自分は最大限彼を興奮させなければならない。
彼女はそんな風に考え、今自分が出来る最大の準備を行おうとしているのだ。
身を清めるのは勿論、こうして香を焚き、人が興奮するような香りを自信に纏わせる。
それから、度数の強い酒をほんの少し、自分でも摂取し、彼女の肌に朱を刺す。
化粧は下品にならぬよう、自然に、しかし自分の美が目立つように行う。
衣服は、ほんの少し自分の肌が透けてしまうような服の上から、上着を羽織る。

「……で、一応」

避妊具を、忘れることはあってはならない。
時と場合にもよるのだが、今身重になるのは流石に避けておきたかったが、命令如何ではそれは敵わぬかもしれない。彼女はそれも覚悟する。

「よし」

準備を終え、意を決し、彼女は私室を出て、廊下を渡り、ザーの私室の前にたどり着く。
彼女はドアを三回、丁寧にノックする。

「私です」


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