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政治・選挙アーカイブス

1片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2005/09/21(水) 15:22:34
政治・選挙に関わるさまざまなことについて

65片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/04/28(土) 19:37:58
慎太郎、東知事に激怒「田舎モンがとやかく言うな」
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_04/t2007042801.html

 東京都の石原慎太郎知事(74)が26日の定例会見で、宮崎県の東国原(ひがしこくばる)英夫知事(49)への怒りを爆発させた。東国原知事のホームページ(HP)発言に端を発する“遺恨バトル”だが、日に日に過激さを増してきたようだ。

 「どこの出身の人か知らんが、田舎モンが東京のことをとやかく言うな。恥をかくのはそっちだ!」

 石原知事は会見で、こう怒気を強めた。

 都知事選翌日の9日夜、東国原知事はHP上の日記で「東京は創造(変化)を一旦拒否した。東京の傲慢(ごうまん)は復活した。これでしばらく、東京は変わらない」などと持論を述べた。

 これに対し、石原知事は当初、「あまり軽率にものを言わない方がいいんじゃないかな。知事にまでなられた人なら」と軽く応戦していたが、先の会見で記者から「東国原知事は『都知事が傲慢なのではなく、変革を求めない都民が傲慢だ』と言っているが?」と問われると、表情を強ばらせて、こう言い放った。

 「俺の前で言ってみろ。(東国原知事の発言は)日本語になっていない。都民は変革を求めている。大変意欲的でいろんな注文が来ている。その実態も知らないで、(東国原知事は)もう一度、政治を勉強して出直した方がいい」

 現職知事同士が「ゴーマン」「田舎モン」と罵倒し合う、前代未聞のバトル。東国原知事の再反撃はあるか!?
ZAKZAK 2007/04/28

66片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/04/30(月) 08:51:15
大仁田議員から主役奪った!宗男議員「夕張ファイヤー」
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070430-OHT1T00107.htm

 財政破綻(はたん)からの復活を目指す北海道の夕張市で29日、大仁田厚参院議員(49)によるチャリティープロレスが開催された。メーンイベントの有刺鉄線デスマッチには新党大地代表の鈴木宗男衆院議員(59)が特別レフェリーとしてリングイン。党派も常識も超越した壮絶なパフォーマンス合戦は、紆余曲折(うよきょくせつ)の末に宗男氏の完勝に終わった!?

 有刺鉄線トルネードタッグデスマッチ。大仁田軍に対する敵軍を率いるのは公設秘書の中牧昭二氏。しかし本当の対戦相手は、レフェリーを務めた宗男氏だった。

 会場となったゆうばり文化スポーツセンターに詰めかけた1000人超の観衆。その目は白黒ストライプのレフェリージャージー姿で有刺鉄線で囲まれたリングに登場した宗男氏にくぎ付けとなった。東京マラソンを完走する体力と過剰なサービス精神。レスラーに求められる条件はクリアしている。初体験とは思えないほど宗男氏はリングで輝きを放った。

 中牧組の矢口による火炎放射で薄い頭を焦がされそうになりながらも果敢に左フックを死神に見舞う。この一撃でダウンした死神を大仁田氏がサンダーファイヤーパワーボムで押さえ込み勝負は決まった。宗男レフェリーはカウント3を入れた後、大仁田の手を挙げる前に感極まって1人で勝手にバンザイ。「真の勝者は私」と言わんばかりの振る舞いに観客も大爆笑で応えた。

 「有刺鉄線は本当に痛かった」という宗男氏だがパフォーマンスは止まらない。大仁田プロレスでは試合後、ファンにペットボトルの水を口に含んで吹きつける“聖水ショー”が恒例となっているが、宗男氏はこれにも挑戦。大仁田氏から無理やりペットボトルを口に突っ込まれながら、リング下に向かって「プハーッ」。恍惚(こうこつ)の表情で“59歳の聖水”を浴びるファンとともに「夕張のみなさん、がんばれー。1、2、3、ファイヤー」と絶叫した。

 夕張でチャリティープロレス―。7月に改選を迎える大仁田氏は、選挙アピールと見られるのを防ぐため党派の違う宗男氏に参加を呼びかけたという。「参院選と結びつけないで。夕張には政党とか関係ない」と強調するが、宗男氏のレフェリングについては「30点」と辛口採点。“おいしい役”を奪われたのは想定外だったようだ。

 試合前、両雄は22日に当選したばかりの藤倉肇市長(66)と対面。宗男氏は「夕張には土地がある。繁殖牛の牧場を造るんですよ。お年寄りが餌をやって体力をつける。お金もかからないし一石二鳥ですよ」と再建プランを提案した。藤倉市長は「市民のあんな笑顔は見たことがない。大仁田さんも鈴木さんも、すごい発想ですね。元気をいただきました」と感謝しきりだった。

(2007年4月30日06時03分 スポーツ報知)

67片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/04/30(月) 13:46:02
そのまんま知事“石原知事とはケンカしない”
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/04/30/07.html

 ブログでの発言をめぐり、東京都の石原慎太郎知事(74)とバトルがぼっ発している宮崎県の東国原英夫知事(49)が29日に放送されたテレビ朝日「サンデースクランブル」で「けんかするつもりはない」と語った。

 都知事選に出馬し石原氏に敗れた前宮城県知事の浅野史郎氏(59)と東国原氏が宮崎県内で28日夜に対談。石原氏が3選を果たした翌日の9日付のブログで東国原氏が「東京の傲(ごう)慢は復活した」と記したことから発生した騒動について、浅野氏に聞かれると、東国原氏は苦笑い。「刺激しない方がいいんじゃないですか?全然けんかするつもりもないんで」とかわした。

 石原氏は27日の定例記者会見で「オレの前で言ってみろ!」と声を荒らげ、「田舎もんが東京のことを偉そうに言わん方がいい」とまで言い放っており、東国原氏の反応が注目されていた。東国原氏はこれまで取材に「ごう慢は都知事を指した訳ではない」として「変革を求めず、保守を願った都民を指している」などと説明していた。
[ 2007年04月30日付 紙面記事 ]

68片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/08(火) 15:38:08
そうぞう 国民新党と院内会派
参院比例公認も視野
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705081300_03.html

 政党「そうぞう」(代表・下地幹郎衆院議員)は七日までに、国会で国民新党(綿貫民輔代表)と院内の連立会派を結成することに合意した。八日、下地代表と綿貫代表が覚書に調印を交わす予定で、会派の名称は「国民新党・そうぞう・無所属」になる。七月の参院選比例で、そうぞうの呉屋宏代表代行ら幹部の公認候補擁立に向け、詰めの協議をする。「そうぞう」のような地域政党が国会の会派名に取り上げられるのは異例。
 下地代表は今年三月ごろ、国民新党への入党を要請されたが、固辞。会派名に「そうぞう」を並列させる条件で協議を続け、四月下旬、連立会派の結成で合意した。七日に開かれた「そうぞう」の役員会で了承された。

 両党は中小企業の振興や医療介護の政策の見直しのほか、沖縄の経済自立確立、基地の過重負担軽減のための米軍再編の推進と、日米地位協定の抜本改定などの項目で合意した。

 国民新党は衆院内での勢力拡大のほか、安保の重要課題になる沖縄の基地問題などで発言力を高める効果を狙ったとみられ、下地代表は院内活動の充実と公約に掲げている「地域からの政治発信」という狙いがある。

 それぞれ自民党を離党した保守系議員で、反自公を標榜し、郵政民営化反対などで基本的な政治姿勢が一致した。

 下地代表は「ローカル政党が国会の会派名に入るのは画期的。地域の声を中央に発信するきっかけになる」と述べた。

 国民新党は二〇〇五年八月、小泉内閣の郵政民営化に反対して結成。現在、綿貫代表や亀井静香代表代行、亀井久興幹事長ら衆参両院で八人の議員が所属している。

69片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/15(火) 09:03:01
テレビカメラ配置…“黒川紀章面会”で官邸騒然も
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_05/t2007051427.html

 政治家から民間人まで数々の来客を日々迎え入れている首相官邸。ここで9日、ちょっとしたから騒ぎが起きていた。官邸正面玄関内で来客のチェックをしている首相番記者の間で、先の都知事選で落選した世界的建築家の黒川紀章氏=写真=が、なんと安倍晋三首相との面会のためやってくるという情報が流れたのだ。これにはマスコミ各社もビックリ仰天。さて、ことの顛末(てんまつ)は…。

 「いやー、びっくりしましたよ。何せあの黒川紀章氏が官邸に来るっていうんで、夏の参院選で自民党から出馬するのかと思ったぐらいですよ。うちのデスクも『カメラ出せーっ』と張り切っちゃって」

 こう振り返るのは某テレビ局記者。首相番記者は、官邸に来た人にぶら下がり、その人物は誰で、官邸の誰に会うのかなどを取材するのも大事な仕事。9日昼のこと、ある記者が官邸中枢スタッフから黒川氏が来るという情報を事前にキャッチ。それが他の番記者にも伝わった。

 しかし、待てど暮らせど黒川紀章氏が来る気配はない。そうこうするうちに1人の人物がやってきた。この人物、実は同じ黒川でも別の黒川氏だったのだ。首相は「イノベーション25戦略会議」という有識者会議を設けているが、この黒川氏は、同会議の座長、黒川清内閣特別顧問だった。

 ある番記者も「どうやら最初にこの情報をとった記者が聞き間違えたらしいんですよ。『きしょう』と『きよし』で響きも似てますし。今から考えれば黒川紀章氏が来るはずないんですが、伝え聞いた多くの記者は、黒川紀章氏と思い込んじゃいまして。黒川清座長が首相と会うなんて当たり前のことなのに…」と苦笑い。

 都知事選でスポーツ紙を中心に紙面をにぎわした黒川紀章氏。「黒川」といえば「紀章」というのが世間の相場になっていることの証とも言えそうだが…。
ZAKZAK 2007/05/14

70片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/15(火) 10:03:12
あす党首討論 共産の発言に「幻」に 民主の時間配分、公明が横やり(05/15 07:47)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/25982.html?_nva=11

 安倍晋三首相(自民党総裁)と野党党首による十六日の党首討論をめぐり、民主党から共産党への発言時間の配分が公明党の横やりで実現せず、共産党の志位和夫委員長の発言が封じられたことが十四日分かった。志位氏が国会内で記者団に明らかにした。

 党首討論は与野党の申し合わせで衆院、参院のいずれかで所属議員が十人以上の野党会派が行うことができる。共産党は両院とも九人で基準に達していないため、民主党が小沢一郎代表の発言時間の一部を共産党に譲る方向で調整していた。

 志位氏によると、自民党も民主、共産両党で合意すれば認める意向を示していたが、公明党が反対したため、態度を翻したという。

 公明党の漆原良夫国対委員長は「申し合わせを順守すべきで、例外を認めると、毎回行うことになる」と反論するが、支持層が重なる共産党への対抗意識が表れたようだ。

71片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/21(月) 10:09:53
特定郵便局長会、新会長に中川氏・普通局に加入促す
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070521AT3S2000O20052007.html

 全国特定郵便局長会(全特)は20日、広島市内で定期総会を開いた。小泉純一郎前首相の郵政民営化路線に反対してきた高橋正安会長(68)が在任5年で退任、新会長に中川茂・東北地方会会長(五所川原松島郵便局長、64)を選出した。

 来賓として出席した郵政公社の西川善文総裁は「民の力の源泉は現場にある。日本郵政グループでは、顧客との接点となる郵便局会社が成功のカギを握る」と強調。特定局を営業戦略で、有効活用する考えを改めて打ち出したとみられる。

 全国に約1万8900ある特定局は民営化後、郵便局会社(窓口ネットワーク会社)の下で日本郵政直営の普通局との区分がなくなり、登用・給与など人事制度が一本化される。総会では郵便局同士の連携を円滑にするため、普通郵便局の局長に全特加入を働きかける方針も打ち出した。(22:25)

72片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/22(火) 20:17:57
「巨星落つ」「大樹失った」 平岩氏の死、惜しむ政界
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070522/skk070522003.htm

 元経団連会長の平岩外四氏が22日死去したことを受け、政界でも死を惜しむ声が上がった。

 宮沢喜一元首相は談話で「昭和、平成を通じて政界にも大きな影響を残した。巨星落つの感がある」と悼んだ。

 中曽根康弘元首相はコメントで、自ら推進した原子力発電に関し「反対の世論をものともせず、勇敢に協力した。強い理想を静かな行動力で広め、戦後日本の発展を支えた数少ない文化的財界人だった」と指摘した。

 民主党の小沢一郎代表は「若いときから大変目をかけていただいた。大樹を失った悲しみをかみしめ、心からご冥福をお祈りする」との談話を出した。

(2007/05/22 19:25)

73片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/25(金) 09:37:56
田中真紀子氏、国民新党会派入り きょう最終合意へ
5月25日8時0分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070525-00000009-san-pol

 田中真紀子元外相(無所属)が、衆院会派「民主党・無所属クラブ」を離脱し、「国民新党・そうぞう・無所属の会」に入る方向で調整していることが24日、わかった。25日に国民新党の亀井久興幹事長と会談して最終合意する見通し。国民新党は知名度の高い田中氏と連携することで夏の参院選の集票効果を狙ったとみられるが、自民党に“真紀子アレルギー”が強いだけに、参院選後の政局を見据えると、自民党との関係修復は遠のきそうだ。

 関係筋によると、田中氏の会派入りを働きかけたのは下地幹郎衆院議員(無所属)。今月8日、国民新党会派入りした下地氏は、党幹部の意向を受けて田中氏と接触を重ねてきた。「田中氏の知名度と発信力は参院選にプラスになる」(関係者)と踏んだようだ。

 田中氏にとっても、少数会派にいた方が国会での質問回数が増え、活躍の場が広がる。田中氏は会派入りに意欲を示し、25日夜、亀井氏と都内の飲食店で会談して会派入りの最終条件を詰める。

 参院選の結果次第では国民新党がキャスチングボートを握る可能性があり、自民党の一部には国民新党との連携を模索する動きが出ていた。小泉政権で外相を更迭された後、小泉純一郎前首相や自民党批判を続けてきた田中氏の会派入りは、こうした動きに冷や水を浴びせる可能性がある。

74片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/26(土) 11:34:05
真紀子、国民新党入り情報…亀井幹事長と会談予定も
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_05/t2007052502.html

 田中真紀子元外相(無所属)=写真=が、衆院会派「民主党・無所属クラブ」を離脱し、「国民新党・そうぞう・無所属の会」に入る方向で調整しているとの情報が25日朝、永田町を駆けめぐった。

 関係者によると、国民新党の一部幹部が「彼女の知名度と発信力は参院選にプラスになる」として、下地幹郎衆院議員(無所属)を通じて真紀子氏に会派入りを打診。真紀子氏も、少数会派にいた方が国会での質問回数が増えるとして前向きだったという。

 しかし、国民新党内には、真紀子氏が唯我独尊で協調性に欠け、自民党内から毛嫌いされているため、「会派入りさせれば参院選後にキャスチングボートを握れない」と反対する勢力もある。

 25日夜、国民新党の亀井久興幹事長と真紀子氏が会談する予定というが、会派入り情報が先に漏れたことで、今後、紆余(うよ)曲折がありそうだ。
ZAKZAK 2007/05/25

75片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/26(土) 18:28:43
大阪市選管:「市民の義務」はあるのに… 世論調査の設問選択肢、変更の方針 /大阪
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/osaka/news/20070526ddlk27010281000c.html

 投票は市民の義務? 大阪市選挙管理委員会が79年から市議選後に実施してきた「選挙に関する世論調査」で、投票した理由をたずねる設問の回答として「市民の義務」との選択肢はあるものの「市民の権利」という選択肢がないことが分かった。05年度から新成人に郵送している選挙啓発用メモ帳にも、この項目を転記していた。

 25日の市議会財政総務委員会で、多賀谷俊史議員(自民)が「おかしいのでは」と指摘。世論調査は比較のため、ずっと同じ設問で続けられてきたが、市選管は質問項目の選択肢を変更する方針を示した。

 市選管によると、世論調査は4年に1回、無作為抽出した市民を対象に実施。投票した理由を聞く設問の選択肢は▽市民の義務▽政治を良くするには大切▽当選させたい候補者がいた−−など8項目で「権利」はなかった。03年度の前回調査では「義務」が31・1%とトップで、啓発用メモ帳では、表紙の裏でこの結果を紹介していた。【堀雅充】

毎日新聞 2007年5月26日

76片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/27(日) 11:08:05
『花と音楽の館』鴻巣にオープン 青木衆院議員親子の遺族、寄贈の土地と屋敷活用
2007年5月27日 埼玉
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20070527/CK2007052702019436.html

 鴻巣市関新田に二十六日、「花と音楽の館かわさと 花久(かきゅう)の里」がオープン、約二百七十人が出席して開館式が行われた。旧川里町で親子二代続けて衆議院議員を務めた青木正、正久氏の遺族が寄贈した土地と屋敷を活用した。

 特に正久氏は、自宅の庭に世界のさまざまな品種を集めたバラ園を造るほどのバラ愛好家。さらに文化、芸術振興を図って「音楽議員連盟」事務局長を務め、音楽文化振興法制定に尽力した。

 遺族が二〇〇二年に旧川里町に「文化施設として使ってほしい」と寄贈。同町は改築して地域の文化振興の拠点にすることにした。母屋は平屋で床面積約五百十六平方メートル、敷地面積約九千七百七十平方メートル。江戸時代末期の一八五一年の建築で“関東の民家の完成形”とされ、直径三十センチの大黒柱と四段組の梁(はり)で造られている。

 母屋はホールとして使用され、指定管理者の特定非営利活動法人(NPO法人)「花と文化のふるさと委員会」が定期的にクラシックやジャズなどのコンサートを開催する。かつての離れは移築され茶室に。別棟では埼玉産小麦を使った手打ちうどんを提供する。また、約四千平方メートルの花壇は、同法人がバラを中心に植栽して英国式庭園に整備する。 (高橋恒夫)

77片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/05/27(日) 11:29:32
新ムネオハウス誕生!北海道・足寄の生家に民宿「大地」開業
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070527-OHT1T00081.htm

 北海道足寄(あしょろ)町にある新党大地・鈴木宗男代表(59)の生家が26日、「民宿」としてオープンした。宗男氏をはぐくんだ生家は10年以上使われないままで、「空き家にするよりは、夏の季節だけでも宿として生かしてもらえれば」と宗男氏。道東のへき地で観光客も少ない足寄町。誰もが泊まれる“新ムネオハウス”が、故郷の活性化に一役買うか。

 「私にとってはかけがえのない故郷。実家が有効に使われるのはありがたいことです」。宗男氏が生まれてから高校卒業まで過ごした生家(2階建て)があるのは、足寄町大誉地(およち)地区。足寄町の市街地と、「日本一寒い町」として知られる陸別町の中間に位置している。

 10年くらい前から空き家状態となり、地元の人からは「何かに使わせてほしい」との声が上がっていた。宗男氏は「北海道観光で自転車やオートバイで来た人が、『ちょっと休んでいこうか』という時など、気軽に使ってもらえれば」と語る。

 その名も民宿「大地」。素泊まりで3000円(朝食付きは500円増)と少し高めだが、地元の民宿に配慮した価格設定だという。4部屋あり、計10人まで宿泊可能だ。宗男氏の高校時代の同級生が管理人として常駐する。

 道東のへき地とあって、周辺は生家がぽつんとあるだけだが「ガスも水もあるし、自炊はできる」という。生家の裏手には清流があり、釣りも楽しめ、山菜も豊富。野生のエゾジカ、キタキツネが出没するなど、“スロー”な時間を過ごせそうだ。「使っていない畑もたくさんあり、そこで野菜を作ることもできる。夏に植えて、秋に収穫に来てもらってもいい」と宗男氏は言う。

 最寄り駅は「大誉地」駅だったが、昨年4月に第3セクター鉄道「ふるさと銀河線」(北海道北見市―池田町)が廃止されたため、現在は帯広から車で2時間ほどかかる。今回の民宿のオープンにあたり、宗男氏は「足寄町に来てもらうことによって、今度は『住んでもいい』という人がいるかもしれません。そういう時は、うちの土地を提供してもいい」と話す。足寄町の“ムネオハウス”が、地域活性化のため動き出した。

 ◆足寄町 帯広から車で約2時間。道東に位置する。人口は8493人(2006年度)で毎年200人ほど減少を続ける過疎の町。総面積1408平方キロ。ほぼ全域が山岳地帯。内陸気候の影響で冬でも晴れの日が多く、放射冷却現象により、氷点下30度を下回る日も少なくない。夏冬の寒暖の最大差は60度以上。コメは育たず、主要産物は豆類、小麦、飼料用牧草など。

(2007年5月27日06時01分 スポーツ報知)

78片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/06/10(日) 13:03:23
ニセ首相が街頭演説!映画「選挙」のPRで超過激政治トーク
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200706/sha2007061008.html

 参院選が迫る中、安倍晋三首相と小泉純一郎前首相が9日、東京・渋谷駅前でツーショットで街頭演説を行った…ん?よく見るとちょっと、いや全然違う!! 実は同日公開されたドキュメンタリー映画「選挙」(想田和弘監督)のPRでニセ安倍&ニセ小泉が登場、アブな過ぎる政治トークをさく裂させた。





 「参院選で安倍クンは惨敗でもいい。私コイズミの再登板だ!」とライオンヘアの小泉氏は意欲満々。隣でやや猫背の安倍氏は「私の政権はいつまでもつか分かりません」と超弱気…。久々の師弟そろい踏み、と勘違いした聴衆が大勢集まったが、ニセものだ。

 社会派コント集団「ザ・ニュースペーパー」の松下アキラ(42)=ニセ小泉=と福本ヒデ(35)=ニセ安倍=で、付け鼻にメークもバッチリ。口調もソックリの応援演説に立った。

 「コムスンさんありがとう。国民の関心を年金からそらせてくれた」と過激なニセ安倍。「美しい国より美しいヨメが欲しかった」「私は歯に物が挟まったカミカミ王子」など、本人激怒必至の発言を連発した。ニセ小泉も「私は変わらず道楽で政治をやっていく!」「私の改革は1%の思いつきと99%の脅し」と聴衆を笑わせた。

 肝心の映画「選挙」で“主役”の元川崎市議、山内和彦氏(42)も街頭に立ち、「映画を見れば選挙が10倍楽しめます」とアピール。ニセ小泉は「この映画に感動した! 痛みに耐えてよくやった!」とエールを送っていた。



★「選挙」

 平成17年10月の川崎市議補選で、公募により自民党公認で出馬した切手コイン商の山内和彦氏の選挙戦に、東大で同級生だった想田和弘監督が舞台裏まで密着したドキュメンタリー。当時の小泉首相が応援演説する場面も。2月のベルリン国際映画祭に正式招待され話題を呼んだ。

79片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/06/10(日) 13:04:43
こちらの安倍首相は…コムスンありがとう
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070610-211040.html

 9日、東京・渋谷の街頭で、ドキュメンタリー映画「選挙」のPRが行われ、安倍首相と小泉純一郎前首相のそっくりさんが登場した。安倍首相は「サミットで成果を挙げたと言っても信用されない」「カメラ目線でテレビに出ると視聴率が下がると言われた」など、愚痴だらけで支持率低下を嘆いた。

 小泉前首相まで「参院選で安倍内閣が惨敗すれば、やはり小泉という話が出る」と援護なし。安倍首相の頼りはなぜかコムスンで「年金問題から関心を引き離してくれたコムスンありがとう」。時事コントで知られるザ・ニュースペーパーの福本ヒデが安倍首相、松下アキラが小泉前首相にふんした。

 映画に出演した前川崎市議の山内和彦さんは「自民にも民主にもいますが、人気取りだけのために参院選に出馬したタレントや著名人が、ことごとく落ちるのを願ってます」と痛烈に批判した。

[2007年6月10日8時55分 紙面から]

80片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/06/15(金) 01:28:44
映画を語る:市議選出馬の山内さん描く 想田監督の「選挙」公開 /京都
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kyoto/news/20070614ddlk26200572000c.html

 ◇疑問を議論する題材に−−想田監督のドキュメンタリー

 05年10月の川崎市議補選に出馬し初当選した山内和彦さん(42)の選挙活動を追ったドキュメンタリー映画「選挙」が23日から、大阪・十三の第七芸術劇場(06・6302・2073)、7月7日から下京区の京都シネマ(075・353・4723)で公開される。東京で切手・コイン販売業をしていた“山さん”が自民党の公募で選ばれ、「地盤、看板、カバン」を持たずに落下傘候補として選挙区に送り込まれ、「電柱にもおじぎせよ!」を合言葉に、日本型のどぶ板選挙に巻き込まれていく。

 監督は山内さんと東大の同級生で、ニューヨークで映画を制作している想田和弘さん(37)。公開を前に2人に話を聞いたが、終始笑いの絶えない会見となった。(共同インタビューの内容から構成)【小川信】

 −−撮影のきっかけは。

 (想田・以下、想) 05年秋に山さんが自民党から出ると聞いた。友人から送られてきた、川崎市内に山さんのポスターが張られている写真を見た時に映画のイメージが浮かんだ。自由で型破りな人なんで、(出馬を)聞いた時には、山さんと自民党の取り合わせに驚いた。

 −−撮影期間は。

 (想)選挙は10月14日告示・同23日投開票。同2日に立候補を知り、7日から12日間かけて撮影した。山さんのその後を盛り込む方法もあるが、あえて選挙に絞った時に何が見えるかということに興味があった。計画も立てずに撮ったが、ドキュメンタリーはイメージに合わせて撮ると、自分自身に規制されてしまう。だから、なるべく先入観なく撮影するようにした。山さん夫婦がけんかをしているシーンも、後から編集して重要だと分かったぐらい。

 (山内・以下、山)普段は(妻は)あまり怒る人じゃないんですけど……。怒り出してからますます怒りがぶり返したみたいで。こっちはカメラ回ってるの分かってるから、「頼むから落ち着いてくれ」って思ってましたよ(笑)。

 −−自民党に撮影許可を取ったのか。

 (山)選対本部長を務めた地元の自民党県議に許可を受けた。彼(想田監督)は不信感を与える行動を取らなかったのでいいシーンが撮れた。

 (想)「観察映画」と言っているが、人の自然な振る舞いや無意識に興味があるので、なるべく水か空気のようになろうと思っていた。

 −−公募に参加したきっかけは。

 (山)以前、選挙の手伝いをした衆議院議員から誘われた。冗談半分で「選挙に出たい」と言っていたのを覚えてくれていたようだ。

 −−現在の肩書きは。

 (山)「主夫」です。4月の選挙に出なかったので失職しました。選挙に出なかったのは、組織が作れなかったから。自民党から出ている以上、組織を作って党のために活動できなければ責任を果たせないと思ったし、無所属で出馬はできないと考えた。

 −−政治に未練はない?

 (山)たった1年半で辞めたのは心残り。組織を作らず、無党派に働きかけるやり方をしたかったが、同じ選挙区内の自民党議員と違うことはできなかった。(参院選への出馬打診は)あったらいいな〜(笑)。今のところないです。

 −−監督は政治に関心は。

 (想)昔から興味はあるが、選挙には出ないと思う。今回はイデオロギーが出ないように気をつけた。政治的メッセージはないし結論もない。僕自身、撮影を通じて政治に対して疑問がわいてきた。それを議論していく題材になればいい。

 −−映画を見た感想は。

 (山)最初はあぜんとして監督に食ってかかった。でも、冷静になって考えると、自分が恥さらしにされたと思って見ていたことに気づいて反省し、一切修正させなかった。今は映画が選挙について考えるきっかけになればと思う。(映画のおかげで)にわかムービースターにもなれたのでうれしいです(笑)。

毎日新聞 2007年6月14日

81片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/06/24(日) 11:04:45
国会の時計を止めろ 廃案阻止ウルトラC
6月24日8時0分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070624-00000001-san-pol

 時計を止めて「会期内延長」−。国会は7月5日まで12日間延長されたが、与野党対決ムードの中、公務員制度改革法案など重要法案の行方は不透明だ。今年は参院選があるので、7月6日午前0時を過ぎれば、参院で審議中の法案はすべて廃案となる。そこで国会史をひもとくと、国会の時計を止めて「会期は終わっていない」とするウルトラCが存在した。ハイテク化が進み、現在は困難とされているが、会期末、事態が緊迫すれば、この奇策が浮上する可能性もなくはない。

 過去の国会資料や国会関係者の証言によると、会期末に時計をとめたケースは戦後2回ある。

 終戦後、第1回国会最終日の昭和22年12月9日夕。連合国軍総司令部(GHQ)民政局国会担当のウイリアムス課長が参院を訪れ、占領軍の食糧支援を容易にするため、食糧管理法関連4案の会期中の法案成立を強く要求した。

 しかし、この法案はまだ衆院審議中。同日中に衆院を通っても参院の委員会や本会議に諮る必要があり、9日中の成立は絶望的だった。

 そこで参院事務総長が出した案が「時計を止めろ」だった。当時国会の地下には振り子式の親時計があった。これを電気仕掛けで国会内の全時計につないでおり、この親時計の振り子を止めることで会期は終わっていないことにして、審議を続行したのだ。

 国会議事録によると、午後11時56分に関連4法案が衆院本会議で可決。1分後の11時57分に参院農林委員会、同じ時刻に参院本会議で可決、成立したとなっているが、これが振り子を止めた結果であるのは間違いない。加えて、「実際に成立したのは午前0時を過ぎ、日付は変わっていた」(国会関係者)という。

 国会の時計は昭和40年12月28日、第3次補正予算案の審議でも止められた。補正予算案が廃案になり、同案に盛り込まれた公務員ボーナスの追加支給ができなくなるため、与野党合意のもと、時計を止めたのだ。

 今も、「時計を止める」ことはできるのか。時計を管理する衆院電気施設課では「まず無理だ」と説明する。

 国会地下の親時計は平成10年2月、完全デジタル化された。週1回、日本標準時を受信し、院内すべての時計の日時を修正するシステムとなった。人手で時計の針を戻したり、電源を切るのは「不可能に近い」というのだ。「デジタル化の波の中で人間くさい伝統を失ってよいのか」(閣僚経験者)と残念がる声もある。

 もっとも、今国会では、安倍晋三首相が成立に執念を燃やす公務員制度改革法案はじめ、社会保険庁改革関連法案、年金時効撤廃特例法案が成立しなければ廃案になる。参院選への影響は大きいだけに、最終段階で与野党ぎりぎりのせめぎ合いになった場合、「不可能」なはずの「電源を切る」荒業が取りざたされる場面もあるかもしれない。

                   ◇

 ■安倍政権が延長国会で成立を目指す重要法案(参院送付済み)

 ・社会保険庁改革関連法案

 ・年金時効撤廃特例法案

 ・公務員制度改革関連法案

 ■継続審議が固まった重要法案

 労働関連3法案、放送法改正案、安全保障会議(日本版NSC)

 設置法案、地方公務員法改正案、年金一元化関連法案

82片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/09/06(木) 09:04:50
年金・テロ特措法、対決へ布陣 「逆転国会」10日召集
2007年09月06日03時03分
http://www.asahi.com/politics/update/0906/TKY200709050400.html

 参院で民主党が第1党となった「逆転国会」が10日に始まる。5日の衆院議院運営委員会理事会で臨時国会の10日召集を了承。民主党はこの日、「次の内閣」(NC)の顔ぶれを決めた。安倍内閣が舛添厚生労働相を目玉にすえれば、民主党は年金記録問題を掘り起こした長妻昭政調会長代理を「年金担当相」に抜擢(ばってき)して対抗する。自民、民主両党が総力を挙げた全面対決の布陣が整った。

 「年金はまた横領、着服、使い込みが明るみに出てきた。たぶん氷山の一角。まさに国民のもっとも関心事だ」

 小沢氏がNC発表の記者会見でアピールしたのは、参院選前の年金論戦をリードして「時の人」となった長妻氏だった。長妻氏は衆院本会議での代表質問にも登壇する。記者団に舛添氏について問われ、「追及しがいのある大臣だ。意見を雄弁に披露されると思うが、具体的にどういう対策をいつまでにやるのか。『実行』の話をきちっと議論していきたい」。

 小沢氏は会見後、新党日本の田中康夫代表と会い、田中氏の参院民主会派入りで合意した。小沢氏は「議席が一つ増える以上の意味がある」と語り、国会を舞台に田中氏が切り込んでいくことに期待を寄せた。

 政府・与党には「逆転国会」への危機感が募る。5日朝、与謝野官房長官と自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長が都内で集まった。話題は11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法の延長問題に集中。自衛隊による補給活動を続けられるよう、対応することで合意した。

 だが、見通しは立たない。町村外相は5日、訪問先のシドニーで「現行法延長だと11月1日を過ぎると審議の意味がなくなってしまう。万一を考えて新法という形にし、内容も検討課題になる」と記者団に語った。民主党の主張も取り込んで打開の道を探ろうという思いがにじむ。

 だが、衆院で取り扱うテロ対策特別委員会の筆頭理事に起用される民主党の鉢呂吉雄氏は5日、周囲にこう語った。「国政調査権の発動も含めて情報提供を求める。期限切れまで時間がないから審議を急ぐとか、そういうことは許さない」

83片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/09/26(水) 08:34:48
平沼氏は福田首相に投票、江田憲司氏は白票
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070925i316.htm?from=main3

 25日の衆院本会議の首相指名選挙で、無所属議員9人のうち郵政民営化に反対して自民党を離党した平沼赳夫・元経済産業相のほか、河野議長、玉沢徳一郎・元農相、中村喜四郎・元建設相の4人が福田首相に投票した。

 横路孝弘副議長、鈴木宗男・元北海道開発庁長官、滝実氏、西村真悟氏は小沢民主党代表に投票。江田憲司氏は白票を投じた。

 参院では、国民新党の自見庄三郎・元郵政相が決選投票前に退席し、棄権した。7月に民主党会派を離脱した無所属の松下新平氏は1回目は白票、決選投票で小沢氏に投票した。川田龍平氏ら無所属の3人が1回目から小沢氏に投票した。

 一方、自民党の長勢甚遠・前法相は衆院の首相指名選挙で自らの名前が記された木札を2回提出するミスをした。

 衆院では首相指名選挙で投票する際、議員は木札と投票用紙を事務局職員に渡すことになっているが、長勢氏は投票用紙を忘れ、木札だけを渡した。その後、改めて投票したが、この時にも木札を渡したという。

 福田首相に投じた一票は有効と認められたが、野党側は「首相指名選挙で投票用紙を忘れるとは、たるみきっている」(民主党の川端達夫・議院運営委員会理事)と強く批判。河野議長もその後の本会議で「国会議員の重大な使命を真摯(しんし)に受け止め、任務を遂行して欲しい」と苦言を呈した。

 民主党の石川知裕氏は議場への到着が遅れ、投票締め切り直前の河野議長の注意喚起後に投票した。「飛行機が遅れたため」と言う。

(2007年9月26日1時1分 読売新聞)

84片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/10/06(土) 21:45:03
日本会議国会議員懇:設立10周年…保守路線後退を懸念
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071007k0000m010045000c.html

 保守派の有識者による「日本会議」と国会議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」は6日、設立10周年の記念大会を東京都内で開いた。同会議会長の三好達・元最高裁長官はあいさつで、福田康夫首相について「はなはだ遺憾ながら、靖国神社に参拝しないことを明言し、所信表明演説で憲法改正にまったく触れなかった」と批判。「戦後レジームからの脱却」を唱えた安倍晋三前首相の退陣を踏まえ「これまでの流れに対する揺り戻しが危惧(きぐ)される」と指摘し、保守路線後退に強い懸念を示した。

 大会には、同懇談会会長の平沼赳夫元経済産業相のほか山谷えり子首相補佐官、民主党の松原仁衆院議員ら国会議員を含む約3000人が出席。平沼氏は「守るべき伝統をしっかり守っていくことが必要だ」と強調した。【堀井恵里子】

毎日新聞 2007年10月6日 19時49分

85片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/01(木) 15:52:45
クローズアップ2007:話し合い解散?大連立? 憶測呼ぶ党首会談
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071031ddm003010068000c.html

 福田康夫首相(自民党総裁)と小沢一郎・民主党代表の30日の党首会談で、新テロ対策特別措置法案の審議をめぐり与野党対決一色だった臨時国会の様相が一変した。特措法問題では平行線のままだったものの、「ねじれ国会」の打開に向け仕掛けた首相に対し、小沢氏は協議に応じることで「徹底対決」から「対話容認」へと軌道修正した。首相が小沢氏に「新しい日本の政治の動かし方」を提起したのは、将来的な自民党と民主党の「大連立」も視野に入れた言動との受け止め方が与野党から出始めている。【中川佳昭、鬼木浩文、須藤孝】

 ◇「ねじれ」打開に動く

 大連立って言うか知りませんけど、何か動かす方法を考えなければいけない。まだ見つかっていませんけどね。

 首相は30日夜、記者団にこう語り、民主党と政策で連携する枠組みの構築に強い意欲を示した。首相は小沢氏との会談で「外交も内政も(首相就任後)1カ月やってみて、なかなか前に進まない。衆参のねじれ現象の下での新しい日本の政治の動かし方を一緒に考えたい」と「ねじれ国会」下の事態打開を呼びかけた。

 新テロ対策特別措置法案に小沢氏が反対を鮮明にし、11月1日に現行特措法が期限切れを迎える直前での会談実現。首相には同法案にとどまらず、政策全般が民主党との対決で停滞することへのいら立ちが募っていた。「参院の与野党逆転が解消されない限り、衆院選を何度も行い、自民党が勝ち続けても状況は変わらない」。政府高官が首相の思いを代弁した。

 トップダウンの調整は前日進められた。首相は29日午前10時すぎに自民党の大島理森国対委員長、午後1時に伊吹文明幹事長を官邸に呼び出し、会談申し入れを指示。守屋武昌前防衛次官の証人喚問の終了後、大島氏が民主党の山岡賢次国対委員長に会い、「突然ですが、福田総理が小沢代表にぜひ会いたいとの意向なので、取り次いでいただけないか」と要請。小沢氏も応諾した。

 小沢氏との間の根回し役について政府筋は「メディア界の重鎮が仲介した」と指摘。森喜朗元首相が介在したとの見方も出ている。森氏は29日、講演で「今は政府が二つあるようなもの。お互い意地を張ったら、ますます政治不信を招く」と党首会談を後押しした。

 とはいえ、11月2日の再会談に際して、小沢氏が新特措法案の扱いで歩み寄る余地はほとんどないとみられる。会談直後は「民主党は協力政党と信じている。会談をやったという達成感(がある)。中身はともかくね」と語った首相。30日夜、党首会談が民主党にもたらすメリットについて記者団から問われ、今度は「損得っていうことですか。国民のためですよ」と気色ばんだ。

 ◇全面対決路線、修正

 首相が話し合いたいと言うから話し合う。国会論戦でやるべきことは国会でやる方針は変わらない。これを密室と呼ぶなら、見解の相違だ。

 小沢氏は、記者団から「密室ではないか」と問われ反論した。だが、党首会談に応じなかった安倍晋三前首相の際に比べ、軌道修正は明らかだ。約80分の会談の半分以上が首相と2人きりだった。

 しかも、小沢氏は31日に開催予定だった党首討論の延期にあっさりと応じた。自民党幹部は「延期は小沢氏から『自民党から申し出たことにしてくれ』ということだったらしい」とも指摘する。

 小沢氏は新テロ対策特別措置法案をはじめ、一貫して政府・与党との対決姿勢を鮮明にして早期の衆院解散・総選挙を求めてきた。対決姿勢をアピールするなら、党首討論の延期や再会談に応じる必要はない。

 このため、会談に応じた真意をいぶかる声は民主党内に強い。小沢氏は会談後、役員会などで「拒否すればマスコミが書き立て、党に迷惑をかける。(会談は党にとって)プラスもマイナスもない」と釈明。「政府は判断能力がなくなっているんじゃないか。(首相は)本当に弱りきって、行き詰まっている感じを受けた」と自らの優位を強調、「中身のない会談だった」と繰り返し、会談を「軽く」見せるよう努めた。

 小沢氏が望むのは民主党が圧勝した7月参院選と同様、生活実感や格差是正を争点とした政権選択選挙だ。世論調査などで「賛成」も少なくない給油継続問題が最大の争点となってしまう形の総選挙は、小沢氏にとってベストの選択ではない。小沢氏は必ずしも年内解散にこだわらない、との見方は根強い。

 福田氏との会談を通じた解散時期誘導も状況次第では可能だ。こうした計算が柔軟対応の背景にあったとみられる。

86片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/01(木) 15:53:15

 ◇自民、「百戦錬磨の小沢氏」警戒感/民主、応諾自体に驚き

 小沢さんが衆院の解散・総選挙を求めても応じないでください。大連立を要求しても、自民党内が収まらないから拒否すべきです。

 自民党の伊吹幹事長は党首会談に先立ち、首相にわざわざこう念を押した。首相は「分かった」と応じたが、会談をめぐる憶測が政界に急速に広がる様子を物語った。

 多くの与野党幹部にとって今回の会談は「寝耳に水」だった。新テロ対策特別措置法案など重要法案の成立と引き換えに両党首が衆院解散・総選挙で合意する「話し合い解散」や、将来的な自民、民主両党による「大連立」への布石ではないか、との憶測を呼んだ。首相も小沢氏も「(国会会期)延長や解散の話はしなかった」と否定したが、2人きりの会談内容はベールに覆われている。

 特に自民が懸念するのは党首会談が「さし」で行われ、百戦錬磨の小沢氏ペースで進むこと。伊吹氏は29日の時点で大島国対委員長とともに「さし」形式への反対を首相に伝えていた。しかし、首相はこの点では譲らず、公明党はもとより、自民党内ですら「密室」批判が出ている。

 一方、自民との対立軸を明確にして、次期衆院選を戦おうとしている民主党にとって、小沢氏が党首会談に応じたこと自体が驚きだ。小沢氏側近の山岡国対委員長も記者団に「夜討ちにあったような気分だ」と戸惑いを隠さない。

 首相が「新しい政治の動かし方を一緒に考えたい」と言及したことを、民主党幹部は「首相は大連立に向け踏み込んだ。最大の『クリンチ(抱きつき)』戦略だ」と警戒した。他野党も反発しており、野党共闘に影響する可能性もある。

 ◇小沢氏、節目で存在感

 政局の節目で行われる党首会談。とりわけ、トップダウン型の小沢氏の場合は会談が政治決断のシグナルとなるケースが多い。

 97年4月には橋本龍太郎首相と小沢新進党党首が、沖縄米軍用地の強制使用に関する駐留軍用地特別措置法改正案を巡り会談。橋本氏の協力要請に対し、小沢氏は反発したが、翌日の再会談で橋本氏が譲歩したため、一転賛成に回った。

 小沢氏は自由党党首としても98年11月、小渕恵三首相との間で自自連立政権の樹立で合意(発足は99年1月)。99年10月に自自公連立政権に発展したが、00年4月、政権運営を巡って意見が対立、自由党は連立政権を離脱した。その後間もなく小渕氏は病に倒れ、退陣した。安倍前首相のように、小沢氏との会談が実現しなかったことを退陣理由に挙げられたケースもある。【中田卓二】

87片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/03(土) 23:21:03
大連立:自民の賛否割れ、民主はほぼ反対…地方組織アンケ
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071104k0000m010085000c.html

 福田康夫首相が小沢一郎・民主党代表に持ちかけた「大連立」について毎日新聞は3日、自民・民主両党の47都道府県連幹部に緊急アンケートを実施した。自民党の賛否は大きく割れ、民主党はほぼ反対一色。両党首の行動が突然だったことを物語る結果となった。

 アンケートは地方支局を通じて都道府県連の幹事長にインタビューする形で行った。幹事長でない場合は、それに準じる幹部に聞いた。

 自民で大連立を明確に支持したのは9人。反対は15人だった。「どちらとも言えない」などが23人だった。

 反対派には「地方の現場レベルではついていけない話」(栃木・梶克之幹事長)などと戸惑いの声が目立つ一方、「全国の党員の意見を聞くべきだった」(岐阜・猫田孝会長代行)▽「参院選の敗北を総括し、有権者の信頼を回復することが先」(岡山・小田春人政調会長)▽「次の総選挙で民主党に勝つために頑張っているのに」(長崎・末吉光徳幹事長)といった批判の声が上がった。

 逆に賛成派は「法案が通らない局面を打開するなら仕方がない」(三重・山本勝幹事長)との追認が大勢。

 福田首相の地元、群馬県連の金子泰造幹事長は賛否を明確にしなかったが、「いささか唐突の感があるが、窮余の一策。一定の理解はできるが、大政翼賛会的な印象を与えるのは避けるべきだ」とした。

 一方の民主党は反対の声が圧倒的。政権交代を目指してきたことから、「政治の枠組みは選挙で国民に問うのが民主主義の常道」(北海道・佐野法充幹事長)など、強硬な反対が目立った。

 こうした中、京都府連の宇都宮壮一幹事長は「反対」としながら、「民主への政権交代に国民の不安感が払拭できていない現状では、過渡的な連立はあっていいと思う」と話す。

 賛否を明確にしなかった小沢代表の地元、岩手県連の佐々木順一幹事長は「現段階では賛成でも反対でもない。大連立と言う前に解散・総選挙をすべきだ」と語り、福井県連の糀谷好晃副代表は「外交防衛問題は自民・民主が一致して取り組むべきで、大連立は悪い話ともいえない」とした。【まとめ・日下部聡】

毎日新聞 2007年11月3日 21時59分

88片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/04(日) 08:27:54
自民、打診評価6割 民主、拒否支持大勢 大連立で調査
2007年11月04日07時00分
http://www.asahi.com/politics/update/1103/TKY200711030228.html

 福田首相が民主党の小沢代表に対し、連立政権樹立に向けた政策協議を提案したことについて、「評価する」と考える自民党の地方組織の幹部は47都道府県の6割だったことが、朝日新聞が3日実施した一斉調査で明らかになった。一方、民主党は、ほぼすべての地方組織が連立拒否を支持。「大連立」への抵抗感が強い現状が浮き彫りになった。インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための補給支援特別措置法案については、自民党の6割が、「衆院で3分の2以上の賛成で再議決してでも今国会で成立」を望んでいた。

 調査は、朝日新聞社が全国の取材網を通じ、自民、民主両党の47都道府県連の幹事長ら幹部を対象に実施した。

 連立協議の提案という首相の高度な政治判断について、自民党で「評価する」としたのは全体の6割の28都府県。「安定政権の模索へ努力する姿勢は評価できる」(渡辺和喜・宮城県連幹事長)という声が一般的だ。「評価しない」は、国政選挙で民主党と激しく争う首都圏の埼玉、千葉、神奈川各県を含む13府県。「総選挙が目の前だとわかっているのに、こうした行動はあまりに唐突で解せない」(竹内英明・神奈川県連幹事長)と批判的な意見も目立った。

 民主党では、44道府県連が「参院選で政権交代への国民の意思が示されており、当然だ」(中村秀樹・福島県連幹事長)と、最終的に役員会で連立拒否を決めた党の判断を支持した。

 しかし、小沢氏が首相の連立協議の打診をいったん党に持ち帰ったことについては「本来なら、その場で断るべきだった」(倉田竜彦・長野県連幹事長)と批判的な指摘も少なくなかった。

 補給支援特措法案について、自民党は6割に当たる30都道府県が、再議決してでも今国会で成立させるべきだと回答。民主党との大連立が難しくなった現状を反映し、正面突破を求める意見が多かった。

 望ましい解散・総選挙の時期について、「年内」「来年の通常国会冒頭(1月)」「来年度予算成立前後の来年春」「来年春以降」「その他」から選んでもらったところ、自民党では「年内」「来年の通常国会冒頭」は一つもなく、「来年春以降」が22府県で最多。

 「地方と都市の格差是正を盛り込んだ予算を成立させなければ国民が困る」(洲浜繁達・島根県連幹事長)など地方に配慮した予算編成を最優先とする意見が強いためとみられる。

 早期解散を求めている民主党は、「年内」13県を含む33府県が遅くとも「来年春」までだった。

89片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/04(日) 08:54:21
民主「政権交代」、公明「複雑」
「大連立」打診 自民は賛否両論 讀賣群馬

 福田首相から小沢・民主党代表への「大連立」打診は3日、県政界に波紋を投げかけた。

 自民党県連の笹川堯会長は「(会談で)心を通わせる意義はあるが、大連立はいけない。戦時中の大政翼賛会になってしまう」と否定的だが、金子泰造幹事長は「戸惑いを感じるが、誠実に思いを伝えることで(民主党の)理解を得られると考えたのだろう」と前向きにとらえる。真下誠治政調会長は「拒否されるのを承知のうえで国民に一生懸命やっている姿を見せたかったのではないか」と、首相の胸の内を推察した。

 解散時期が早まったとの見方について金子氏は「先のことは分からないが、解散して民主党だけ得をすることはない」と言い切る。尾身幸次元財務相は「我々にできることは解散・総選挙に備えて全力で戦うことだ」と語った。

 民主党の石関貴史衆院議員は「大連立は政権交代を求める国民の期待を裏切ることになる。(打診は)政権の行き詰まりを示す」と、あくまで総選挙で政権交代を目指す考えだ。

 公明党の加藤修一県本部代表は「大連立は一つの選択肢だ。小沢氏も国の状況に対する危機感を共有していたのではないか」と理解を示しつつ、「第三党としてどう存在感を示して総選挙を勝ち抜くか、常に腐心している」と、連立与党の立場から複雑な心境をのぞかせた。

(2007年11月4日 読売新聞)

90片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/04(日) 09:00:58
「大連立」…波紋自民県連「打診は当然」 民主県連「ありえない」 讀賣大分

 2日夜の自民党総裁・福田首相と民主党・小沢代表の党首会談で、突如浮上した「大連立」。民主党は拒否したものの、政界再編をにらんだ新たな火種がくすぶる結果となった。会談から一夜明けた3日、県内関係者の声を聞いた。

 自民党県連の志村学幹事長は「政権政党として、連立の打診は当然だ。公明党との友好関係も変わらず、心配は要らない」と強調。民主党が拒否したことについては「相手のことなので」とコメントを避けた。

 公明党県本部の竹中万寿夫代表も「自公関係に変化はない。小沢代表は、総選挙で政権をとると言っていたはず。連立に色気があるとすれば、国民への裏切りだ」と批判した。

 一方、民主党県連代表代行の足立信也参院議員は「自民党は、どこと組めばいいか数合わせばかり考えている。考え方が違うので、大連立はあり得ない」ときっぱり。小沢代表が、連立拒否を即断しなかったことについては「自民党の窮状を国民に知らせ、『密室会談』の批判を逃れようとしたためではないか」と解説してみせた。

 社民党県連合代表の重野安正衆院議員は「受け入れなくて正解だ」としながらも「小沢代表が即座に断らなかったことは気になる。民主党は野党のリーダーなのだから、しっかりすべきだ」と注文をつけた。

 「小選挙区の選挙協力が気がかりだ」。民主、社民両党の支持労組を抱える連合大分の嶋崎龍生会長は気をもんだ。県内では、両党が候補者調整を巡って、ぎくしゃくしているものの、中央の調整機能に一定の期待感があった。「(今回の一件で)小沢代表の求心力が低下すれば、地方に判断をゆだねられ、(連合大分が)余分なエネルギーを費やすことになるかもしれない。民主党に得なことはなかった」とまゆをひそめた。

(2007年11月4日 読売新聞)

91片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/12(月) 21:31:47
解散めぐり自民・民主“舌戦” 伊吹氏牽制に鳩山氏「受けて立つ」
11月12日17時8分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071112-00000011-san-pol

 ■新テロ法案、衆院委通過へ

 12日、衆院テロ防止特別委員会で可決される新テロ対策特別措置法案をめぐり、与野党の幹部らがテレビ番組などで、取りざたされている衆院早期解散などを絡めて“舌戦”を繰り広げている。

 町村信孝官房長官は11日、札幌市内のホテルで講演し、「年末は平成20年度予算案を編成し、来年3月末までに成立させる。7月には主要国首脳会議(サミット)も行われる。そう考えると解散している暇なんてない」と早期解散を否定。同法案の成立などに全力を挙げる考えを強調した。

 町村長官は「重要な政策テーマを1つずつ丁寧に話し合いをして、答えを出していく。いろんなレベルでの働きかけを強め、日本が国際社会の一員としてテロ対策に取り組むようにしなければいけない」と述べ、民主党との政策協議にも意欲を表明した。

 しかし、自民党の伊吹文明幹事長は同日のNHKテレビ番組で、同法案をめぐって、参院で福田康夫首相の問責決議が可決された場合や、民主党の引き延ばしなどで会期内に法案が採決されない場合は、首相が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性があるとの考えを強調し、民主党を牽制(けんせい)。

 再議決について「憲法上の権利だ」とした上で、「問責決議は法律のどこにも書いていないが、出されると(平成20年度予算案と)予算関連法案の審議ができなくなる。重大な決意をすることも選択肢のひとつだ」と指摘した。

 これに対し、民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日、同番組とフジテレビの番組に出演し、総選挙準備が「完了していない」と認めつつも「逃げ腰になっていることは一切ない。受けて立つ」と言明。また、自民党との連立に関連し「衆院選後は何が起きるか分からない」と、衆院選後に再び議論されることがあり得るとの見方を示した。

 その場合の協議については「党首2人で決めるのではなく、国民の意見を聞きながら何カ月も議論すればいい」と指摘した。衆院選前の大連立については「二度と話はしない」と否定した。

92片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/16(金) 23:48:01
特集ワイド:この国はどこへ行こうとしているのか 石原信雄さん
http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2007/11/16/20071116dde012010061000c.html

 <おちおち死んではいられない>

 ◇地方自治、真理は中間に−−元内閣官房副長官・80歳・石原信雄さん

 ◇小泉改革による格差、なじまない競争原理、その“恨み”選挙に出た

 「非常につらい。残念だ」

 かつて日本の官僚の頂点に上り詰めた石原信雄さん(80)は、何度も、そう繰り返した。

 官房副長官として初めて官邸入りした竹下内閣で発覚したリクルート事件の時、高級官僚が逮捕された。約20年後の今も防衛省前事務次官が接待問題で国会で証人喚問されている。

 「官僚の生き様に対する指導の仕方、本人の自覚に問題があったと言わざるを得ません。正直言って、小泉、安倍政権時代には社会保険庁問題など官僚の負のイメージを強める問題が続きました。それで厳しい公務員改革が浮上しましたが、福田内閣になって、官僚全体を悪者にしたら士気も低下するし、国際競争力にも影響するというムードが出てきたのに残念です。当分、官僚バッシングは続くでしょう。しかし、この国の将来を考えた時、官僚機構を政策の企画立案過程から全く排除するのには、賛成できません」

     ■

 「官」の混乱と同時に「政」の迷走もあった。自民党と民主党との大連立騒動までに発展した今回の自衛隊の海外派遣をめぐる論議。1990年8月のイラクのクウェート侵攻から翌年の湾岸戦争にかけて起きた論争の繰り返しのようだった。当時の海部内閣で「官邸の主」と呼ばれた石原さんは、日本に突き付けられた国際貢献策作りに奔走した。

 民主党の小沢一郎代表が辞意を撤回した今月6日から2日後、全国町村議員会館(東京都千代田区)3階にある地方自治研究機構の会長室を訪ねると、17年前と同じ笑顔が迎えてくれた。

 「国全体が変わってないんですよ。ずっと憲法9条の制約の下、武力行使につながらない範囲で国際貢献はすべきだということで苦心してきたんです。小沢さんのように国連の指揮下であれば海外で自衛隊は武力行使できる、とは今の憲法では読めません。ただちにその解釈を変更することは、私はすべきではないと思う。でも憲法改正の手続き法ができたのだから今後は大いに議論したらいい」

     ■

 最初から地方自治を志していたわけではなかった。まさにその「憲法問題」に阻まれた。大学を卒業した52年、日本の再軍備と共産党の非合法化が大きな政治問題だった。民間の就職試験ではどこでもその二つを聞かれ、大学で習った通り、両者とも「憲法に反する」と答えると、はねられた。そこで旧制二高の先輩で、大蔵官僚から政界入りした愛知揆一氏に相談したところ、「これから日本が復興していく過程で地方財政というものが非常に大事だ」と諭され、地方自治庁(当時)入りを決めた。

 財政畑を歩み、財政局長や事務次官時代には国庫負担補助金カットなど地方財源をめぐり、大蔵省(当時)と論争を戦わせてきた。だからこそ、小泉改革の「国から地方へ」で進められた地方分権の三位一体改革で拡大してしまった都市と地方の格差については力がこもる。

 「戦後今日まで日本の繁栄を支えてきた地方が、高齢化や人口減少によって自己努力だけでは立ちゆかないところまで来てるんですよ。『限界集落』を抱えるような自治体に自己責任だけで何とかしなさい、というのは、あまりにも酷だという声が強まっています」。その“恨み”で、自民党は7月の参院選で29の1人区のうち23区で負けたと、分析した。

 「それぞれの地域が自己責任で競争しなさい。その結果、格差が生じても自分の努力ではい上がりなさいというのが竹中(平蔵元総務相)さんの主張でしたね。でもそんな競争原理はやはり、我が国の風土にはなじまない。さりとて『ふるさと創生』時代のように全国同じレベルの行政水準を保とうとすると本当の自主自立は生まれない。一定レベルの行政までは保証するが、それから先は自治体の自己努力で差が出るようにするのが本当の地方自治じゃないでしょうか」。そして断言した。「長年地方行政をやってきた人間として思うのは、『真理は中間にある』ということです」

     ■

93片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/11/16(金) 23:48:15
 リクルート事件後、「政治とカネ」の問題を解決しようと政治改革の機運が盛り上がった。その結果、自民党は分裂し、93年、非自民の細川連立政権が誕生した。「自民党政権の番頭だから」と官房副長官続投を断ったが、引き留められた。殺し文句は「自治省出身なのだから政治改革法案を仕上げる責任があるだろう」。自身も「小選挙区が導入され政党主導の選挙になれば、政治腐敗もなくなり政権交代が起きるということで期待しました」と振り返る。

 しかし、現実は違った。政党助成金は最初、国民一人につき1000円を負担するはずだったが、500円にして企業献金も残せ、となったことを悔いる。

 「その結果、完全に政党主導型の選挙にならなかった。特に自民党はそうでしたね。結局、選挙区で地盤を持っている現職が子供とか一族を立てることで地盤が継承された。選挙地盤の世襲という形が一層強まってしまった。それが今の政治の停滞の一つの原因じゃないかと思うんですね。完全に政党が最適の人材を候補者として自由に立てられる環境ができていない。この国の民主政治の進展の上で一つの制約条件となってます」

 それにしても今回の大連立構想は、当時の政治改革の志に反するのでは?

 「現実の政策遂行のためには連立もやむを得ないという考え方もあり得るでしょう。でもそれは本来、健全な民主政治を実現するために2大政党制が早く実現することを願っていた人からすると後退ですな。私はね、もう一回選挙制度改革の原点に立ち返って見直したらいいんじゃないかと思ってますよ」

     ■

 「私は役人ですから、政治の話はしません」が口癖だったが、最後に憂えた。

 「今、中国の力が飛躍的に強くなり、米中の軍事的緊張関係は常にある。さらにアメリカに民主党政権が誕生すれば、民主党は伝統的に米日関係より米中関係を重視する。そうした中で日本の外交防衛政策がアメリカ一辺倒でいいのか、あるいはもう少し主体的に中国との関係を構築したほうがいいのか。そこらが今後の課題になってくるのではないでしょうか」

 一番の趣味だった山登りも、最近はさすがにしんどいと言う。でも、政治家がバタバタしているのを上から冷静に見つめる。石原さんのまなざしも変わっていなかった。【山田道子】

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 ■人物略歴

 ◇いしはら・のぶお

 1926年群馬県生まれ。東京大法学部卒業後、地方自治庁(現総務省)に入り、自治事務次官で退官。87年11月、竹下登内閣発足時に官房副長官(事務)に就任し、村山富市内閣まで7年4カ月、7人の首相に仕える。現在は財団法人地方自治研究機構会長。

毎日新聞 2007年11月16日 東京夕刊

94片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/03(月) 01:46:08
読む政治:3分の2ルール 「首相問責」巡り論争
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071202ddm002010057000c.html

 ◇新テロ法案衆院再可決、憲法規定か民意か

 新テロ対策特別措置法案について、与党は「3分の2」ルールで再可決も辞さない構えでいる。背中を押すのが、再可決は憲法に規定された衆参ねじれ解消の道であり、首相の問責決議の理由にはならないという統治論だ。一方民主党は、直近の民意は参院選にあり、再可決は民意を無視するものだと反論する。統治論と世論をにらむ政治論の攻防が続いている。

 「何のための問責なのか、さっぱり分からない。僕を問責できるような人、いるかな」。福田康夫首相は先月21日、記者団に語った。憲法にのっとった再可決が何で問責の対象になるのか、という問いかけである。

 首相を先頭に政府・自民党の幹部からは再可決の正当性、問責決議案に大義名分がないとの主張が相次いでいる。

 「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調、共同代表・佐々木毅東京大前学長ら)は11月6日、この衆院の権限について「憲法に優越する国内法、政治慣行は存在せず、問責決議で封じることはできない」という内容の緊急提言を発表した。

 21世紀臨調は参院選後から、「ねじれ国会」下の政治のあり方について議論してきた。メンバーの曽根泰教慶応大大学院教授は「当時から(自民、民主両党の)大連立の予感があった」と明かす。

 政権交代が可能な2大政党制の定着を目指す21世紀臨調にとって、大連立は受け入れ難いものだった。国会運営が困難だからといって大連立ではなく、再可決の実施をはじめ、党議拘束の見直しなど新しい国会のルール作りを求めている。

 民主党とも交流がある山口二郎北海道大大学院教授も「憲法に書いてあるからどうぞという立場だ。『3分の2』で問責は無理がある」と語る。

 一方、民主党は参院選で年金や農業、子育てなどをマニフェストに掲げ参院第1党の座を獲得した。選挙結果が無意味になる衆院での3分の2ルールでの再可決は容認できない。簗瀬進・参院国対委員長は「憲法が規定する3分の2ルールは国民の大方が認めるような決定についてだ。この基準を使った異例な議決をするのなら、解散して民意を問うべきだ」と語る。

 民主党が参院選の民意にこだわるのは、与党が衆院で3分の2以上の議席を獲得したのが05年の郵政選挙だからだ。党幹部は「あれから安倍晋三前首相、福田康夫首相と2回も首相が代わったのに一度も衆院では民意を問うていない」と指摘する。3分の2以上の議席は「郵政民営化」で獲得したもので、インド洋での自衛隊の給油活動を継続させるためではない、という理屈だ。

 五十嵐敬喜・法政大法学部教授は「自分たちの意見が通らないので首相問責決議案を出すというのは、政治論としてはありえる。小泉純一郎元首相が郵政民営化法案が参院で否決されたから衆院を解散したのと同じ論理だ」と語る。

 与党内にも「3分の2ルールは国民にあまりなじみがない。強行採決と同じように受け止められるのではないかという危惧(きぐ)がある」(浜四津敏子・公明党代表代行)という慎重論がある。

 しかし、民主党が「再可決=民意の無視=首相問責決議案」にこだわると、民主党の思惑とは別に衆院解散・総選挙が現実化してしまう。そのため、小沢一郎代表は問責決議案提出について明言を避け続けている。

 民意を盾に再可決に反対することは可能だが、その場合は民主党も改めて民意の審判を受けることになる。参院選勝利の重みは、民主党にものしかかっている。

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 ■ことば

 ◇「3分の2」ルール

 衆院で可決し参院で異なる議決をした法案は、衆院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決できる憲法59条の規定。過去28件あるが1957年以降ない。参院否決法案の再可決は1件(モーターボート競走法案)だけ。参院が60日以内に議決せず否決とみなした再可決は1件。他は参院の修正可決を衆院が認めず修正前の法案を再議決した。

毎日新聞 2007年12月2日 東京朝刊

95片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/04(火) 03:05:47
国民新党パーティーで自民・民主両幹事長が秋波
2007年12月03日21時28分
http://www.asahi.com/politics/update/1203/TKY200712030327.html

 3日夜、東京都内で開かれた国民新党の亀井久興幹事長のパーティーで、自民、民主両党の幹事長が、国民新党をめぐり、さや当てする場面があった。

 自民党の伊吹文明幹事長は、国民新党が民主党と参院に共同提出し、4日審議入りする郵政民営化見直し法案について、「早く参院で審議して衆院に送っていただかないと困る。それから我々がどうするかを判断する」と賛否の態度をぼかして秋波を送った。

 一方、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、国民新党の亀井静香代表代行が「参院で可決できないなら(民主党との)統一会派を解消する。自民、公明にも賛成をお願いする」と述べたことを受け、「統一会派を離脱すると毎週のように言われる」とぼやき、「今日は与党の幹事長もお見えで楽観できない」。会場をわかせた。

96片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:25:02
読む政治:検証・大連立構想(その1) ねじれが契機、第1幕
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071212ddm010010128000c.html

 参院選での与野党逆転の結果、「ねじれ国会」が生まれた。未踏の舞台に立った政治家はその処方せんに悩み、出した一つの結論が大連立構想だった。民主党の反対で頓挫したものの、再び第2幕が開かれるとの見方も根強い。関係者の証言をもとに、参院選直後から始まったプレーヤーたちの動きを追った。(文中敬称略)

 ■第1場 胎動

 ◇8月10日 渡辺恒雄氏「大連立しかない」−−ゴルフ場で綿貫氏を説得

 大連立は、読売新聞グループ本社会長兼主筆・渡辺恒雄を抜きには語れない。

 参院選投票日の1週間前、マスコミはすでに自民党の惨敗を予測していた。そのころ、政治評論家・三宅久之は渡辺から巨人戦のチケットが同封された手紙を受け取った。

 「自民党の大苦戦は疑いなく、野党の同意がなければ重要法案がストップする最悪の事態になる。実力のある知恵者が打開策を講じ、政界の部分的再編が必要だ。最重要課題は消費税のアップだ」という内容だった。

 政治記者として渡辺と同時代を生きてきた三宅は今、語らない渡辺の気持ちを代弁することが多い。「大連立構想は6月ごろから聞いていた。今の政治家で、誰が仲介役の芸当ができるのか。渡辺さんしかいないではないか」

   ★  ★

 7月29日、投票日。予測通りに与野党が逆転し「ねじれ国会」が生まれた。首相・安倍晋三は続投を決めた。

 民主党は民意を無視した首相の居座りに反発。代表・小沢一郎は「与野党談合して足して2で割るのは古き良き時代の手法だ」と政府・与党との対決姿勢を鮮明にした。

   ★  ★

 8月10日朝、長野県・軽井沢のゴルフ場。家族とともにスタート地点にいた国民新党代表・綿貫民輔の前に突然、カートに乗った渡辺が現れた。

 渡辺は「いいところで会いました」とカートを降り、綿貫に説き始めた。

 「国会がこの状態ではどうにもならない。3年も6年もこのまま(のねじれ国会)では、何とかしないといけない。もう大連立しかない」

 「その時は、綿貫さんにも声を上げてもらわないと」

 綿貫と小沢は、自民党旧竹下派時代からの仲間である。

 綿貫は「そうですね」と相づちを打ったが、心中、「民主党がまとまるか」と半信半疑だった。

 ゴルフ場の食堂では、自民党を離党した元経済産業相・平沼赳夫も渡辺から声をかけられ、安倍退陣を前提にした大連立の必要性を説かれた。

 「安倍さんはもたない。命旦夕(めいたんせき)に迫るだよ。次は福田(康夫)さんがいい」

 綿貫らが、渡辺構想を小沢の耳に入れたかは不明だ。

 だが、それ以来、自民党側にも、小沢サイドも大連立に関心を持っているという情報がもたらされるようになった。

 首相になる前の福田が渡辺と会ったのも8月上旬だ。「ポスト安倍」問題や大連立が話題になったと見られる。

   ★  ★

 16日、読売新聞は、「民主党も『政権責任』を分担せよ」と題する、大連立を求める社説を掲載した。直後、与謝野馨も渡辺に食事に誘われ、大連立構想を打ち明けられた。与謝野は渡辺の盟友、元首相・中曽根康弘の秘書も務めた。

 ただ、与謝野はこの時期、安倍改造内閣での官房長官就任を打診されていた。与謝野は「安倍政権をどうするか頭がいっぱいで、なかなか本気にできなかった」と漏らしている。

 21日、渡辺は民主党幹事長・鳩山由紀夫を、自分が主宰する政治評論家らの集まり「山里会」に招いた。鳩山は、この時の様子を自身のメルマガで明らかにしている。

 渡辺は「年金問題や税制、憲法や安全保障など多くの懸案事項を一挙に解決するために、大連立が必要だ」と力説した。これに対して鳩山は「大連立を組んでも、その後の選挙では敵味方になって戦うことになり、連立もうまく機能しない」と疑問を呈する。

 すると渡辺は「大連立を組んで懸案を解決した後、選挙制度を中選挙区制に戻せばよい」と切り返した。

97片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:25:39
   ★  ★

 まだ安倍政権下の8月下旬から9月上旬、小沢と渡辺は会談した。この事実は小沢が11月7日の記者会見で、「2カ月ほど前、さる人から呼び出された」と、相手の名前を明示せずに明らかにした。

 小沢は大連立を勧める「さる人」(渡辺)に、「民主党は今、衆院選も力を合わせて頑張ろうという雰囲気だ。そういう話は現実に政権を持っている人が判断すべきだ」と話したという。

   ★  ★

 渡辺によって大連立の種がまかれ、小沢も関心を示した。ただし、大連立は安倍退陣が前提だった。選挙で民主党と激しくぶつかり合って敗れ、求心力を失った政権下では誰もが大連立は難しいという認識だった。

 「第1場」では、大連立へのリアリティーは希薄だった。

 ■第2場 加速

 ◇9月20日 加藤氏「for whatが大事です」/岡田氏「悪魔のささやきですね」

 9月12日、安倍は突然、辞任を表明した。心身ともに追い込まれた安倍は、背後で進む大連立構想をどこまで意識していたのか。

 キーになるのが、辞任会見での「小沢氏に党首会談を断られ、辞任によって局面を打開したい」との発言だ。

   ★  ★

 8月の段階で、安倍降ろしによる福田内閣誕生と、その下での大連立政権の動きがあることは、情報として首相秘書官・井上義行から安倍に伝わっている。

 体調のすぐれない安倍はどういう思いだったのか。

 安倍はオーストラリアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した際に、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続に「職を賭す」と宣言した。

 これは小沢との党首会談で突破口を開こうという最後の賭けでもあった。

 安倍は側近らと小沢の動きについて、幾通りかのシミュレーションをした。

 その中には次の1項目も盛り込まれた。

 「小沢が政策協議に応じる条件として、安倍の辞任を求めた場合」

 何の根回しもない党首会談が成立するわけもない。断られた時点で、安倍は「小沢は辞任を求めている」と判断したらしい。

 強気の野党と身内の与党からの退陣論に安倍は絶望し、辞任しか局面打開の方法はない、と思い詰めたとみられる。そして言葉通りに、辞任は大きな局面転換になった。

   ★  ★

 首相が福田に代わり、一気に大連立構想は加速した。

 元幹事長・中川秀直は9月の「山里会」で、「連立をしないと政策は実現しない」と強調した。出席者の一人から「大政翼賛会になりはしないか」との疑問が呈されると、渡辺とともにドイツなどの「大連立」の事例を挙げて、反論した。

 9月20日には渡辺と元幹事長・加藤紘一との会談もあった。加藤は強い体制ができたら、崩壊している地域コミュニティーの再生はできないものか、と持論を語った。そして目的の設定を求めた。

 「for what(何のためか)が大事ですね」

 一方、加藤と盟友の山崎拓は、渡辺に反対論をぶち、激怒されている。

 大連立を組む上での民主党のキーパーソンは、副代表・岡田克也だった。連立反対派の代表格で、「ポスト小沢」の有力候補。かつて民主党代表に就任した時から渡辺とは年2回ほどの会合を持っている。

 今回、岡田とも大連立構想を話し合った。岡田は渡辺に言った。

 「悪魔のささやきですね」

   ★  ★

 10月中旬になると、前防衛事務次官、守屋武昌のゴルフ接待スキャンダルなどで国会は見通しのつかない状況になっていた。11月1日のテロ特措法の期限切れは確実となった。与党内からは混乱を避けるためにも、11月10日の会期末に国会を閉じるべきだとの意見も出ていた。

 一方、国会の対立とは逆にしばらく音さたのなかった小沢サイドから、福田のもとに人を介して大連立への具体的な動きを促す声が入った。

 福田、小沢、渡辺、元首相・森喜朗らが互いに意見交換を重ねるうちに党首会談、大連立協議への流れは熟成していった。

 10月19日、小沢は京都大学で講演をした。その際に「ねじれを日本国憲法は想定していない。こういう事態で国民のための政策を実現するのは枠組みを変えるか、仕組みを変えるしかない」という趣旨の発言をした。

 講演は非公開。記者への説明役の元議員は振り返る。

 「代表は何かやる気かもしれないと思った。瞬間、これは記者に知られるとまずいと思い、ブリーフではその部分に触れなかった」

98片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:27:25
   ★  ★

 そして10月25日を迎える。

 福田・森会談▽渡辺・中曽根・与謝野・氏家斉一郎(日本テレビ取締役会議長)の会合▽森・小沢会談−−三つの会合が重なったこの日は、党首会談に向けた最終準備となった。

 東京・紀尾井町の日本料理店「福田家」では、中曽根らが会合を催した。官房長官を退いた与謝野の慰労が名目だったが、年少の与謝野が写真係となった。こんなやりとりがあったという。

 中曽根が口火を切った。「渡辺さん、衆院選前にも大連立が実現するんですか」

 中曽根89歳、渡辺81歳。2人は50年近い交際があるが、口調は互いにていねいだ。

 渡辺は「うんうん、できます。近々おもしろいことが起きます」

 党首会談を暗示する一言だった。

   ★  ★

 28日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタル東京で開かれた与謝野と小沢の「囲碁対決」は話題を呼んだ。 政界屈指の打ち手である与謝野が15目半の大差で負けたのは、大連立のパートナーに気を使ったためだという憶測も流れた。

 小沢は同ホテル内の囲碁サロンの常連。対決の仕掛け人の一人は、サロン・マネジャーのアマチュア棋士・稲葉禄子だ。参院選投票日前後にも、このサロンにいたという目撃談があるほど、小沢は囲碁にはまっている。

 与謝野は「囲碁は小細工はできないし、仕掛けなどない。小沢さんが、あれだけマスコミにさらされるのは珍しいケース。大連立になった場合は友好関係の証しになったと思う」と話す。

 そして小沢は、党首会談で強烈な一手を打ってきた。

 ■第3場 対決

 ◇11月2日朝 小沢氏、役員会設定を指示

 ◇同日夕 青木氏「うまくいきそうだ」

 「私は小沢さんと個人的に話したことはない。エレベーターの中ですれ違うぐらい。評価までは、とてもまいらない」(9月21日、日本記者クラブ主催総裁選討論会)

 福田が小沢についてこう語るように、2人は森、渡辺らを通じて互いの意向を探りつつ、10月30日の第1回会談に臨んだ。

   ★  ★

 国会内の常任委員長室で、2人の会談は45分に及んだ。

 年金など社会保障問題も話題に上ったが、主題は自衛隊の海外派遣問題だった。

 新テロ対策特別措置法案をベースとして日米同盟の重要性を説く福田に対し、小沢は国連決議が海外派遣の前提とする原則を譲らなかった。

 また小沢は大連立を組む場合、公明を外せないかと迫ったという。「公明党外し」は10月25日の森・小沢会談でも話題になり、森は拒否していた。福田は強く断った。

 この日の会談では、大連立も話題になったが、まだ合意はない。福田も記者団に「そこまでいかなかった。考えるのは自由だが、実行可能なことを考えてもらわないといけない」と話している。

 1回目と2回目の会談の間の数日、福田と小沢の対応には違いが出た。

 福田や森は大連立へ発展することも想定して、中川や官房長官・町村信孝を党内調整に走らせた。

99片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:27:59
   ★  ★

 一方、小沢はすべてを自分の胸にしまい込んだ。

 11月2日朝、小沢は党首会談終了後に役員会を設定するように鳩山に指示した。

 その話が流れると、民主党内には緊張が走った。金曜日だが、地元には帰らずに国会周辺で待機する幹部が目立った。

 岡田は振り返る。

 「大連立の話が出る、これは危ないと思った。金曜日の夕方だとそのまま週末を迎え、何かあればそのことが既成事実化するという不安感がよぎった」

   ★  ★

 第2回会談は2日午後3時から始まった。自衛隊の海外派遣問題が引き続き話し合われた。

 小沢はその場で自分の考えをメモにして福田に渡した。

 福田は「国連決議だけの有無でいいのか。相談させてほしい」と検討を約束した。

 小沢が書いたメモには「特定の国の要請で派遣はできない」という文言も入っていたらしい。福田は「それはアメリカしかない。そんなの入れない方がいいですよ」と言った。小沢は「米国の言いなりにはならない」とまで口にしたという。

 国連のお墨付きがあれば何でもできるという論法は、憲法違反にならないか。福田は携帯電話でその場から防衛相・石破茂らにも問い合わせた。

   ★  ★

 福田は政策協議から大連立に発展させるプロセスを考えたが、小沢は大連立の約束にこだわったという。

 福田にすれば、党内の小沢アレルギーは根強く、それは町村らの党内調整でも感じ取った。まず政策協議をして、どんな形であれ新テロ特措法案をはじめ他の法案が成立すればいいと思っていた。

 結局、福田は小沢の熱意と「まとめる」という自信に乗った。大連立への最終調整のため会談は、午後4時過ぎにいったん中断した。

   ★  ★

 同日夕、都内のホテルでは元首相・竹下登の実弟の衆院議員、竹下亘の政治資金パーティーが開かれた。亘の妻は小沢の妻の実妹でもある。

 会場には渡辺や前参院議員会長・青木幹雄もいた。会談内容の報告を受けた青木は、旧知の議員を見つけ、興奮状態で「うまくいきそうだ」と告げた。

 かつてのような影響力を失った津島派(旧竹下派)の大幹部として、一度はたもとを分かった小沢と手を組むことへの興奮だった。

 青木は周囲に「ナベツネ(渡辺)さんは情に厚い人。私とは兄弟のような付き合いだわね」と話した。

   ★  ★

 会談は午後6時半に再開された。福田は、恒久法に自衛隊派遣は国連の承認を必要とする原則を盛り込むことを承知した。

毎日新聞 2007年12月12日 東京朝刊

100片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:29:45
読む政治:検証・大連立構想(その2) 第2幕のカギ、消費税
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071212ddm010010151000c.html

 <右面からつづく>

 小沢は後の会見で、新テロ特措法案の成立にはこだわらないことでも合意したと語り、与党側は反発した。同法案の扱いは互いに党内に説明できるよう、きっちり詰められなかった。両者とも大連立になれば、いかようにも処理できると思ったのだろう。

 最後に、小沢は「総理、あなたから連立をもちかけたことにしてもらえませんか」と切り出したようだ。福田は「その方が都合がいいのなら、それで結構ですよ」と即答した。小沢は「党内を説得してくる。決めてきます」と常任委員長室を後にしたという。

   ★  ★

 連立を呼びかけたのはどちらか。福田は後に、どちらともなくという「あうんの呼吸だった」と語った。互いに傷つかないようにと、福田が知人と練った表現だ。

 ただ、大連立への小沢の熱心さは福田や森も驚くほどだった。

 それは、小沢自身が後の会見などで、大連立の必要性を強調していることでも容易に想像できる。

 ■第4場 挫折

 ◇11月2日 「総理から(大連立を)もちかけたことに…」「結構ですよ」

 ◇11月5日 党首の辞意−−鳩山・菅氏必死の慰留

 11月2日の民主党役員会では、「大政翼賛会だ」など大連立に対する反対論が噴出した。小沢は自分の選んだ役員の反発に悔しさを隠しきれなかった。小沢は根回しをせず、党首の一言ではまとまらないサークル的な党体質を過小評価し過ぎたようだ。

   ★  ★

 11月3日、小沢は側近の樋高剛(前衆院議員)に、鳩山に辞表を提出するよう指示した。樋高は4日午前5時半にJR名古屋駅前の「名古屋マリオットアソシアホテル」に宿泊していた鳩山を訪ね、小沢からの辞表を手渡した。

 鳩山は「受理しない」と言い残し、午前6時過ぎの名古屋発特急で、集会予定のあった岐阜県高山市に向かった。

 同乗していた副代表・石井一や岡田に小沢の辞意を伝えると、2人は「早く東京へ戻った方がいい」と帰京を強く促した。鳩山は岐阜駅で途中下車して東京に向かった。

 しかし、4日の辞意表明会見を食い止めることはできなかった。

   ★  ★

 小沢が辞意を表明すると、党内では各グループが一斉に走り出した。小沢と距離を置く中堅・若手グループは、小沢が離党する場合も想定し「参院で最低9人、最高なら20人」という数字をはじき出した。「小沢留任、大連立続行」なら「こっち(若手)が党を割る」という主戦論も一部で出始めた。

 こうした動きを押しとどめたのは、代表代行の菅直人だった。菅は5日午前、小沢と会談し「連立にはこだわらない」という言質を引き出す。

 その時点まで党内では小沢は大連立構想に固執し、(1)民主党が大連立を受け入れるか(2)小沢が離党するか−−の二者択一を求めるという見方が大勢だった。

   ★  ★

 小沢は5日夜、慰留に訪れた菅、鳩山らに対して目を潤ませ「時間がほしい」と漏らした。辞意は身内の小沢グループからも、小選挙区で戦う若手の衆院議員を中心に「大連立」へ強い反発が出たことも影響したようだ。

 小沢支持の若手でつくる「一新会」の衆院議員は、「出馬前からお世話になったが、今回は小沢さんの間違い。一新会からでもついていく人は2、3人だ」と言い切った。

   ★  ★

 参院からも大連立への悲観論が相次いだ。自民、民主双方から「確実に離党する」と見られた参院議員も「言葉としては最後までついて行くと言うが、実際の離党は厳しい」と語った。5日には、ねじれ解消に必要な「参院議員17人」の離党は、不可能という見方が定着した。小沢は党の大勢に従うしかなくなっていた。

101片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:30:21
   ★  ★

 小沢が大連立を目指した最大の理由は「衆院選での勝利は厳しく、それなら政権の一翼を担い、参院選の公約を果たすことが政権への近道だ」というものだ。

 なぜ小沢は勝てないと思ったのか。

 「自民党は毎日、一生懸命、冠婚葬祭から入学だ、就職だ、あらゆることについて世話焼きをやっている。勝つのは難しい」(11月18日のテレビ番組)

 選挙区が都道府県単位の参院選に比べ、衆院選の小選挙区は日常活動の比重が大きく、参院選のようにはいかない、というのが小沢の主張だ。

 先の大阪市長選で民主党が推薦する候補が勝利した時も、小沢はこう言った。

 「首長選挙とか参院選では人間関係が衆院ほど厚くないから良識的な意見が票数にも表れる。衆院は日常活動を通じて、人間関係が非常に密なので勝てるとはいかない」(11月20日の記者会見)

 かつて自民党の中枢にいた小沢には、地べたをはいずり回るような保守型選挙への信仰があるようだ。

   ★  ★

 小選挙区で民主党の勝利は03年の105議席が最高だ。小沢は10月5日、党本部であった全国幹事長・選対責任者会議で「300(小選挙区)のうちの150議席以上、過半数は何としてもとる」との目標を示した。

 民主党にとって小選挙区150議席は高いハードルだが、小選挙区150議席を獲得しても必ずしも過半数(241議席)につながらない。

 例えば03年衆院選挙では、自民党は小選挙区で168議席を獲得したが比例代表は69議席で、議席数は237議席にとどまった。

 選挙に精通する小沢が、150議席という目標を掲げた真意は、この時点で次期衆院選では、民主党単独での過半数獲得が困難だと見切っていたことにあるのではないか。

 ■第5場 未練

 ◇11月22日 政策協議拒んだ小沢氏、その本音は…

 「長妻昭(民主党「次の内閣」年金担当)が厚生労働相になれば国民の目が変わる。その方が選挙に勝てるのに……」

 11月7日、辞意撤回会見の党内打ち合わせでも、小沢は大連立への未練を漏らした。

 「(大連立は)手法として間違っていないと思う。みんながやめろと言うのでやらないだけだ」(11月29日のテレビ番組)

 自分の判断は間違っていなかったとの小沢の発言が続いている。

   ★  ★

 11月22日、福田の「米国、シンガポール歴訪報告」を名目にした党首会談があった。

 政策協議を迫る福田に対し、小沢は「国会で審議すればいい」と拒否した。

 しかし、会談の最後に小沢の本音が吐露されたという。

 「天下国家のため、お国のためということを言われると弱いものがある」

 自民党も小沢の気持ちを見逃していない。福田はこの党首会談で、恒久法とともに年金問題を挙げた。28日、福田は民主党の支持団体である連合会長・高木剛と会談した。

 「社会保障で国民会議のようなものを作りたい。党首会談で民主党は断ったが、入るよう頼んでくれないか」

 福田が大連立を意識した政策提言を続けるのは、「衆院選後」を意識しているからだ。衆院選で民主党が過半数に届かず、一方で与党が衆院の3分の2の議席を失えば、与野党対決のままの国会では、政府・与党提案の重要法案が成立しなくなる。

 福田、小沢ともその一点を見据えている。

102片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:30:45
   ★  ★

 問題は、加藤が口にした「for what」だ。

 渡辺は、社会保障制度の財源となる消費税の税率引き上げ問題を、大連立によって政治決着させるべきだとの考えを持っている。そのために、ドイツの大連立の例が教材になる。

 2大政党がぶつかり合う時に、選挙で負ける可能性が高い消費税アップの公約は掲げにくい。平時に大連立で、解決しようというものだ。福田が社会保障をテーマとして挙げるのも、消費税を意識してのことだ。

 渡辺の考えには、増税路線が悲願の財務省も呼応していたという。

 細川政権下で小沢と組んで国民福祉税を導入しようとしたのが元大蔵事務次官、斎藤次郎(東京金融先物取引所社長)。斎藤は取材に対して否定したが、斎藤が大連立協議に関与したという説があるのも、大連立=消費税ととらえられているからだ。

   ★  ★

 今回、ねじれを解消して新テロ特措法案を成立させたいという与党側の国会対策的側面が前面に出た。小沢は自衛隊の海外派遣は、国連決議が前提という国連中心主義にこだわった。そのために、消費税問題は陰に隠れた。ただ、消費税は憲法改正などよりも差し迫った課題だ。

 中川は「成長路線」の信奉者であり、増税路線を強く批判している。中川は周辺に「税の大連立にするわけにはいかない」と述べ、税率アップ阻止のために大連立構想に加わったことも示唆する。

   ★  ★

 中川と、増税派の与謝野は、大連立サークルに同居するが、同床異夢だ。一方、衆院選後に小沢が大連立を目指せば、岡田らは反発し、民主党は分裂含みになるかもしれない。

 中曽根は次の衆院選の公約に、選挙後の大連立について書き込めと主張している。

 自民、民主両党の候補は激しく過半数を争う。一方で「ねじれ国会」が続くことを想定し、大連立に対する見解が問われる−−。次期衆院選はそういう複雑な選挙になる。

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 なお、小沢一郎氏と渡辺恒雄氏にはインタビューなどを申し込みましたが、応諾の回答はありませんでした。

毎日新聞 2007年12月12日 東京朝刊

103片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/12(水) 11:31:15
読む政治:検証・大連立構想(その3) 小沢代表・再編呼ぶ「二面性」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071212ddm010010152000c.html

 ◇改革者か、壊し屋か

 目指すべき国家像を明確に掲げる「改革者」と、権力闘争のたびに側近の離反を招いてきた孤独な「壊し屋」。90年代から本格化した連立政権時代は、小沢一郎・民主党代表の「二面性」とともに揺れ動いてきた。「権力は政策実現の手段」と割り切って「55年体制」の常識を打ち破り、与野党が入り乱れる合従連衡の扉を開けた小沢氏も、目指した2大政党化が進まず、自らが起点になった政界再編にもまれ続けている。【政治部副部長・因幡健悦】

 ◆脱・55年体制

 「55年体制」後の連立政権の原点は、80年代末に小沢氏が築いた公明、民社両党との「自公民協調体制」だ。東西冷戦の終結と、直後の「湾岸戦争」(91年1月)が背景にあった。自民、社会両党のイデオロギー対立を基礎にした「55年体制」が国際紛争への対応で機能不全に陥ったためだった。

 当時、小沢氏は自民党幹事長。国際貢献策の取りまとめに迫られた。しかし、リクルート事件や消費税批判で、89年の参院選に大勝した社会党は自衛隊派遣に頑強に反対した。その打開策が中道勢力の公明、民社両党抱き込みだった。閣内協力こそなかったが、小沢氏と公明の市川雄一書記長は「一・一ライン」、民社の米沢隆書記長を含め「ワン(一)ワン(一)ライス(米)」と呼ばれる親密な関係となり、自衛隊海外派遣の根拠となる国連平和協力法案にいったん合意。米国などの多国籍軍に対する130億ドルの拠出も取りまとめた。同法案は廃案となるが、自公民は新たな国際貢献策作りで合意し、宮沢内閣の92年にPKO協力法の成立にこぎつけた。

 ◆こだわる「安保」

 小沢氏は憲法と国際貢献策に整合性をつけるため「国際社会における日本の役割に関する特別調査会(小沢調査会)」を組織し、現行憲法下でも国連軍への自衛隊参加は可能とする提言をまとめた。小沢氏の国連中心主義の源流はここにあるが、金丸信元副総裁の脱税事件に伴う竹下派分裂で具体化の道は閉ざされた。

 福田康夫首相との大連立構想に至るまで、小沢氏が政局の節々で安保政策を持ち出すのは、「未完の提言」へのこだわりがあるからだろう。

 小沢氏は93年に自民党を離党、羽田孜氏(元首相)らと新生党を結成する。衆院選では議席を伸ばし、38年ぶりの非自民政権となった細川連立内閣を樹立した。「一一米」を土台に、自民党時代は切り捨てた社会党も抱き込む離れ業だった。しかし、自前の安保政策を社会党にのませようと、統一会派「改新」構想を進めたことが社会党の政権離脱を招く。自民党の渡辺美智雄元蔵相の担ぎ出しも失敗し、少数与党の羽田内閣を経て下野。自らの失策で自社さ連立のおぜん立てをしてしまった。

 再起を期して新進党、自由党と新党を結成したものの、立ち行かないと見るや、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だった野中広務官房長官(当時)に「悪魔とでも手を組む」と言わせて和解。99年に小渕内閣の与党となるが、公明党が加わった自自公政権では思うように主導権が握れなかった。自ら政権離脱を宣言するものの、閣内残留派と対立し、右腕だった二階俊博・自民党総務会長らが離反した。

 ◆「表技」と「裏技」

 小沢氏の強みは、選挙(決戦)と合従連衡(政略)を縦横に展開できるノウハウを持ち合わせていることにある。小選挙区に対応するため野党勢力を集めて新進党を結成し大勝した95年参院選▽自由党党首として民主党への吸収合併を決断、その効果で潜在的保守層を掘り起こし、民主党が177議席を得た03年衆院選▽1人区重視で民主党に勝利を呼び込んだ今年の参院選−−にその感覚の鋭敏さがみてとれる。

 一方で、秘密裏に進められる合従連衡策は暗転を伴ってきた。2大政党実現の看板を掲げた新進党時代の97年、自民党の梶山静六氏らとの「保・保」連合に動き、党内とのあつれきを深めた末に解党の憂き目をみたのがその典型だ。「選挙による政権交代」を掲げながら、「合従連衡による政権奪取」もうかがう戦略は、福田首相との大連立構想でも繰り返された。

 今回は民主党にとどまったが、小沢氏は自身の判断が間違っていないとの姿勢を崩していない。大連立構想は一時的に水面下に潜っただけにみえる。

毎日新聞 2007年12月12日 東京朝刊

104片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/19(水) 20:23:58
通常国会:決戦、次は道路暫定税率 民主、期限切れ狙い攻勢
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071219ddm005010169000c.html

 来年3〜4月に暫定税率の期限が切れる道路特定財源の取り扱いが、与野党の「天下分け目の決戦」となりそうだ。民主党税制調査会(藤井裕久会長)は18日、揮発油税(ガソリン税)などの暫定税率の「撤廃か引き下げ」の方針を確認した。来年の通常国会で、民主党が参院で否決して暫定税率を期限切れに追い込めば最大2・7兆円の歳入不足が生じ、予算執行は困難となる。民主党は同じく3月に「政府公約」期限となる年金問題と併せ、一気に解散・総選挙に追い込む構図を描いている。【近藤大介】

 与党は税制改正大綱で暫定税率の10年間維持を掲げたが、民主党は「無駄な道路は造らない」との立場で継続に反対している。

 特定財源の税収は年間約5・6兆円だが、うち約2・7兆円が暫定税率分だ。暫定税率で1リットルあたり24・3円が上乗せされているガソリン税だけでも、来年3月末で期限が切れると1兆円以上の歳入不足になり「税財政の破綻(はたん)」(財務省幹部)につながる。一方で消費者からすれば、ガソリンが一気に20円以上安くなり、原油高の状況で影響は計り知れない。

 政府・与党が最も警戒するのが、参院送付後60日を超えて採決しなければ否決とみなす「60日規定」が適用されるまで、民主党が参院での審議を引き延ばすケース。この規定を適用して3月末までに衆院で再可決するには、1月18日開会予定の通常国会で、1月末には衆院を通過させなければならず、事実上、期限切れとなる可能性が高い。政府関係者は「同じ『期限切れ』でも、新テロ特措法とは比べ物にならないほどの心配事だ。一度下がった税率を元に戻すのは至難の業だ」と危機感を募らせる。

 期限切れとなっても再可決で成立は可能だが、消費者から見れば政府・与党が「ガソリン値上げ」を強行すると映るため、政治的決断を迫られる。民主党から参院での首相問責決議案の提出も想定される。自民党幹部は「どちらに分があるかを世論に問う戦いになる」と警戒を強める。民主党税調幹部は「国家の骨格を大転換するチャンスだ」と意気込みを語る。

毎日新聞 2007年12月19日 東京朝刊

105片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/22(土) 19:50:26
重野氏に幹事長要請 福島党首
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2007122201000513_Politics.html

 社民党の福島瑞穂党首は22日、重野安正国対委員長に幹事長就任を、又市征治幹事長に副党首への転出をそれぞれ要請した。党大会初日の日程終了後、両氏と会談し「新しい体制で党を活性化したい」と提案した。

 両氏は回答を留保したが、福島氏は記者団に「党首が参院議員なので、衆院選に向け幹事長は衆院議員がふさわしいと考えた。重野氏には幹事長を受けてもらえると思っている」と述べた。

 福島氏は阿部知子政審会長も交代させる意向で、後任には保坂展人衆院議員の名前が挙がっている。又市、阿部両氏ともに党運営で福島氏と対立する場面が多く、事実上の更迭との見方もある。

 3期目を迎え人事でも「福島色」を打ち出したい考えとみられるが、反対を押し切る形で人事を強行すれば、求心力が低下する可能性もある。

 福島氏は20日の役員選考委員会に幹事長交代などの人事案を提案したが、反対論が強かったため、いったんは取り下げていた。

106片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/22(土) 21:06:38
幹事長に重野氏起用の方針 社民党、執行部刷新へ
2007年12月22日20時16分
http://www.asahi.com/politics/update/1222/TKY200712220224.html

 社民党は22日始まった党大会で福島党首の3選を正式に決め、次期衆院選に備えて執行部を刷新する。同日の役員選考委員会では、又市征治幹事長(参院議員)を副党首に、重野安正国会対策委員長(衆院議員)を幹事長にする方針を確認。福島氏が同日夕、又市、重野両氏に就任を打診するなど最終調整を進めており、23日には新執行部が決まる見通しだ。

 福島氏は22日夜、記者団に「重野さんは国会対策の経験があり人柄も誠実だ。(総選挙を控え)幹事長は衆院議員の方が据わりがいい」と語った。党重鎮の村山富市元首相が人事案を了承したことも明かした。

 又市氏をめぐっては今年6月、一部週刊誌で女性スキャンダル疑惑が報道された。又市氏は「事実無根」として出版社を提訴したが、地方組織などから「又市氏が幹事長では総選挙を戦えない」と続投に反対する声が上がっている。

 重野氏は自治労大分県本部書記長、大分県議を経て00年に大分2区で立候補、比例で復活し初当選。03年に落選後、05年当選し、現在2期目。05年から国会対策委員長。

107片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/24(月) 01:59:18
社民党、執行部人事を決定 党大会閉幕
2007年12月23日18時10分
http://www.asahi.com/politics/update/1223/TKY200712230105.html

 社民党大会は23日、新執行部人事を決めるとともに、次期衆院選で2けたの議席獲得を目指す運動方針案を採択し、閉幕した。幹事長に重野安正国会対策委員長、国対委員長に日森文尋副幹事長を起用し、政策審議会長に阿部知子氏を留任させる。又市征治幹事長は、渕上貞雄氏(選対委員長兼務)とともに副党首になる。

 3期目に入る福島党首は記者会見で「民主党だけ勝って二大政党制が強まれば大連立が復活するかもしれない。社民党の議席を増やして与野党逆転を目指す」と語った。

 執行部人事は又市氏の去就が焦点だった。6月に一部の週刊誌で女性問題が報道され、又市氏は「事実無根」と出版社を提訴したが、地方から「又市氏が幹事長では選挙を戦えない」と続投反対論が浮上。福島氏は無党派層の支持も厚い辻元清美衆院議員の起用を模索したが、「辻元氏は自身の小選挙区での当選に向けた活動を優先すべきだ」との意見が強く見送った。

社民党:幹事長に重野氏を選出 党大会閉幕
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071224k0000m010026000c.html

 社民党は23日の党大会で、重野安正国対委員長を新幹事長とする新役員人事を正式に決定した。大会は「2ケタ以上」の議席獲得を目指す次期衆院選闘争方針案などを採択して閉会した。

 重野氏の後任の国対委員長には日森文尋副幹事長が就任した。又市征治幹事長は副党首に就く。福島瑞穂党首は当初、阿部知子政審会長も交代させて「執行部一新」を図る狙いだったが、後任を要請した保坂展人衆院議員らに固辞された。今後、福島氏の党内求心力にも影響しそうだ。

 重野氏の地元の大分県連は、村山富市元首相の地元で、今夏の参院選でも民主党と選挙協力せず、独自候補を擁立した。次期衆院選の選挙協力を巡り党の独自性を強調したい福島氏が起用を決めた。【田中成之】

毎日新聞 2007年12月23日 18時20分 (最終更新時間 12月23日 19時23分)

108片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/24(月) 02:06:25
幹事長・重野氏、国対・日森氏=衆院選勝利に全力−社民党大会閉幕
12月23日19時1分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071223-00000048-jij-pol

 社民党本部で開かれていた党大会は23日午後、2ケタの議席獲得を掲げた次期衆院選方針などを採択し、閉幕した。大会では、福島瑞穂党首の3選と重野安正国対委員長の幹事長起用を柱とする新役員人事が了承された。閉幕後に記者会見した福島氏は「(今大会の)テーマは衆院選勝利だ。新体制の下でみんなで勝利に向けて頑張っていきたい」との決意を示した。
 福島氏は会見で、次期衆院選に関し「命と暮らしを軽視する福田政権と対峙(たいじ)し、これを争点に衆院選を勝ち抜く」と表明。重野幹事長は「かつてここ(党本部)には130人近くの国会議員が集った。現在の勢力(衆参計12人)に甘んじるわけにいかない」と述べ、衆院選での2ケタ議席獲得に全力を尽くす考えを強調した。
 役員人事では、国対委員長に日森文尋副幹事長が就任。政審会長は阿部知子氏が留任した。福島氏は当初、辻元清美政審会長代理を政審会長に昇格させる方向で調整したが、辻元氏が固辞した。

社民党大会が閉幕、新執行部が発足
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071223AT3S2300U23122007.html

 社民党は23日、幹事長に重野安正国会対策委員長を起用する新執行部を正式に発足させ、党大会を閉幕した。重野氏の後任の国対委員長は日森文尋副幹事長。照屋寛徳副党首は退き、又市征治幹事長が後を継いだ。党大会では今後2年間の運動方針案とともに「(自民・民主の)大連立話を復活させないために、議席を増やさなければならない」などとした大会宣言を採択した。

 副幹事長には保坂展人衆院議員が就任。交代するとみられていた阿部知子政審会長は、後任を打診した辻元清美前政審会長が固辞したため、留任となった。

 福島瑞穂党首は党大会後の記者会見で、人事刷新の理由を「気持ちを新たに衆院選を勝ち抜こうと思った」と説明。幹事長の交代は積極的に野党共闘を進めた又市氏と、独自路線を主張する福島氏の路線対立の結果との見方もある。福島氏は他の野党との関係について「衆院選に勝利するため一定の選挙協力は必要。従来の野党共闘、選挙協力に何の変化もない」と強調したが、今後に火種を残した。(23日 21:57)

109片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/24(月) 02:43:03
新執行部体制が発足 社民党大会閉幕 路線対立が表面化(12/24 00:23)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/67504.html?_nva=7

 社民党大会は二十三日、福島瑞穂党首が人事刷新を断行して閉幕した。自民、民主の二大政党体制が定着しつつある中、党の独自色を発揮したい福島氏の意向が強く反映された。ただ、野党共闘を重視してきた又市征治幹事長の副党首「棚上げ」で、党内の路線対立が顕在化。党内にも批判があるトップダウンの人事は、民主党との選挙協力の行方にも波紋を広げそうだ。

 「又市さんは副党首に、むしろ格上げになってもらい、重要な役割を果たしてもらう」。福島氏は大会後の記者会見でこう強調した。

 しかし、今回の幹事長交代劇の背景に、野党共闘に対する福島氏と又市氏の姿勢の違いがあったと指摘する声は多い。

 民主党との選挙協力を抑制し、多数の独自候補擁立を目指す福島氏に対して、野党共闘なしに党勢の回復は困難とみる又市氏は、選挙協力に前向き。

 福島氏は民主党との本格協議を前に、又市氏の「事実上の更迭」(幹部)に踏み切ったとみられる。

 福島氏は、自らと距離を置く阿部知子政審会長を、辻元清美衆院議員に代えようとする人事も画策した。辻元氏に固辞されて不発に終わったが、阿部氏との確執は一層深まった。

 「党の顔」として三選を果たした福島氏だが、党内では土井たか子前党首に比べ「軽い」との評価がぬぐえない。福島氏は求心力回復を狙って人事で攻勢に出たものの、次期衆院選を前に逆に党内のぎくしゃくをあらわにしてしまった。

110片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/28(金) 01:04:18
【政局検証】 首相に思わぬ援軍が登場 「激動2007 永田町メルトダウン(下)」 (1/3ページ)
2007.12.27 20:43
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071227/plc0712272043008-n1.htm

 9月25日の発足以来40〜50%の安定した支持率を得てきた福田康夫内閣だが、12月中旬に支持率急落に見舞われた。きっかけは安倍政権と同じく年金問題だった。

 7月の参院選で自民党は誰のものか分からない年金記録約5000万件を「来年3月までに統合する」と公約したが、945万件が統合困難と判明。これに福田が「公約違反というほど大げさなものなのか」(12月12日)と発言したことで国民の不信を増幅させた。

 加えて薬害肝炎訴訟の和解協議で、原告団は20日、政府が示した和解案を「被害者が線引きされる」と拒否。泣き崩れる原告の主婦らの姿が大々的に報じられた。

 窮地に陥った福田に救いの手を差し伸べたのは、意外な人物だった。安倍政権末期で官房長官を務め、町村派に「クーデター説」を流された与謝野馨だった。

 与謝野は21日午後、首相執務室を訪れ、疲労の色がにじむ福田を厳しい言葉を浴びせかけた。

 与謝野「世論は福田政権に非常に厳しいですよ」

 福田「うん、あの和解案では一律救済にはならないことはわかっていたが、司法を前に行政では限界がある。どうしたら一律救済に応えられるのか…」

 与謝野「議員立法でやるしかないですね」

 「それで本当に大丈夫なのか?」

 首相の表情がパッと明るくなった。与謝野は、司法、行政の壁を超えた「政治決断」として議員立法で薬害肝炎被害者を救済する手だてを一気にまくし立てた。

 与謝野はオウム真理教の活動規制を目的とした団体規制法制定などを通じて、法務省と太いパイプも持つ。今回の進言も法務事務次官の小津博司らと長い協議の末に編み出した方策だった。

 首相はすぐに自民党政調会長、谷垣禎一に議員立法策定を指示したが、谷垣の返事は要領を得ない。与謝野は首相官邸から直接自民党本部に乗り込んだ。

 「首相の意向に自民党が応えられないでどうするんだ!」

 与謝野の一喝に谷垣はようやく動き出した。福田、与謝野、谷垣はともに麻布高校出身。「親身に相談できる政治家がいない」といわれる福田だが、思わぬ援軍に救われた形となった。

× × ×

 政権発足後3カ月。衆参の「ねじれ」で福田政権はつねに倒壊の危機にさらされてきた。この状況から脱するために福田が決断したのが、民主党代表の小沢一郎との党首会談だ。

 10月30日と11月2日の2回にわたり行われた2人だけの会談で自民、民主両党の大連立構想が協議されたが、福田は「阿吽(あうん)の呼吸だ」などと言葉を濁し、会談の詳細はいまも明かしていない。

111片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/28(金) 01:04:42
 会談直後に小沢の代表辞任騒動が起き、与党側は「対岸の火事」に呆気にとらわれたために事なきを得たが、一歩間違えれば与党が大混乱に突入した可能性もあった。「小沢アレルギーは自公両党の方が強い」(閣僚経験者)からだ。福田と小沢が手を組めば、「反小沢」の枠組みで再開再編構想が浮上してもおかしくなかった。

 しかも小沢が、のちに会談の仕掛け人として明かした「さる人」は政治家ではなく、読売新聞グループ本社代表取締役会長の渡辺恒雄、その「代理人」は元首相の森喜朗だった。

 渡辺は昨年の総裁選でも福田擁立に向け、いち早く動いた。昨年2月16日に自らが主宰する秘密勉強会「山里会」に福田を招き、総裁選出馬を強く後押し。結局、福田は出馬を見送ったが、その後も元幹事長、加藤紘一らと接触を続け、「安倍包囲網」構築を続けた。

 今年7月の参院選で自民党が大敗すると、首相、安倍晋三の早期退陣と福田擁立に向け、渡辺は福田、小沢を含め、自民、民主両党の議員らと次々に会談。「ねじれ国会は6〜9年続く。年金や安全保障などを一挙に解決するには大連立しかない」と説いてまわった。「大連立で憲法を改正し、その後中選挙区制に戻すべきだ」と口説かれた派閥領袖もいた。

 小沢は当選同期の森に電話で「自民党は本当にまとめられるのか」と問い合わせた。これを受けて森は10月25日、首相官邸を訪れ、福田の意向を確かめた上で、都内で小沢と会談、大連立の条件を詰めた。

 党首会談までは渡辺の青写真通りに事が運んだが、11月7日に辞任を撤回した小沢は「連立も政策協議もしない」と明言、読売新聞などの大連立にからむ記事を「事実無根の中傷報道」と罵倒(ばとう)した。

 これに渡辺は腹に据えかねたとみえ、12月22日に日本テレビに出演し、党首会談で大連立後の閣僚数は自民10、民主6、公明1で割り当て、小沢氏が副首相に就任することで合意していたことなどを暴露した。その上で渡辺は「(大連立は)小沢からのアプローチだ」「小沢は裸の王様になっている。これが大連立を破壊した最大の原因ではないか」と言い放った。

 渡辺はある自民党幹部にこんな話を打ち明けている。

 「組閣直前、福田に『閣僚人事は居抜きでやれ』とアドバイスした。自分が選んだ閣僚じゃない方が大連立の際にクビを切りやすいからな」

 確かに福田は組閣の際、与謝野と幹事長に就任した伊吹文明以外の閣僚を留任、また横滑りさせている。就任直後から福田も大連立を狙っていたのだろうか。

× × ×

 内閣支持率回復への決定打を見いだせない中、自民党内のきしみは広がりつつある。

 12月18日の国会内で開かれた自民党役員連絡会。年金問題をめぐる官房長官、町村信孝らの失言を受けて、伊吹は厳しい調子で「最新の党の選挙調査では大変に厳しい結果が出ておる。みなさんも言葉遣いには十分注意してほしい」と指示した。

 党の調査結果は都市部で自民党支持が急落し、「いま衆院選をやれば壊滅的な打撃を受ける内容」(関係筋)だったという。野党は来年の通常国会でさらに攻勢を強め早期解散に追い込む構えを見せており、自民党議員の脳裏から解散・総選挙は片時も離れない。

 総裁選で敗れ、無役となった前幹事長の麻生太郎は政権批判を一切慎み、地方行脚に精を出すが、麻生を支持した議員たちは「ポスト福田」をにらんだ動きを強めつつある。

 元政調会長の中川昭一は4日、賛同者77人を集めて派閥横断型の勉強会「真・保守政策研究会」を発足。中川は、安倍、麻生に、元経産相、平沼赳夫を加えた保守派連合「HANA(はな)の会」の結成も模索しており、党執行部をチクチクと牽制(けんせい)する。

 11日の衆院本会議。麻生の席に与謝野が近づき談笑を始めると、安倍が近づきこうからかった。

 「2人でヒソヒソ話をしていると『またクーデターを起こすのか』といわれちゃいますよ」

 =敬称略、肩書は当時。この企画は石橋文登、今堀守通が担当しました。

112片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/28(金) 20:17:37
現場から:「改革」 /神奈川
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20071228ddlk14070425000c.html

 記事を書く際、わたしは「改革」という言葉を使うことを意識的に避けてきた▼きっかけは05年の前回衆院選。郵政民営化が唯一と言っていい争点で、自民党のキャッチフレーズは「改革を止めるな」。民営化反対論者はいつしか「改革の抵抗勢力」になっていた。与党を圧勝させたのは、郵政民営化という政策そのものではなく、「改革」という言葉が持つ麻薬的な力だと感じた。わたしも自民党幹事長の番記者として、そのまん延に寄与したのではなかろうか▼5月に横浜支局に県政担当として赴任し、再び「改革」の渦に放り込まれた。統一地方選で圧勝した知事が二言目には「改革」を叫び、県議会の「抵抗勢力」もほぼ壊滅状態。圧倒的な権力が独善に陥りやすいのは、衆院選後の政府・与党を見ての通りである▼スポーツの世界には禁止薬物の使用を摘発するドーピング検査というものがある。来年は「改革のドーピング検査」ができる記者になりたい。【山下修毅】

毎日新聞 2007年12月28日

113片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2007/12/29(土) 10:23:21
国民新党、強める「苦言路線」 政界再編にらみ独自色
2007年12月29日09時08分
http://www.asahi.com/politics/update/1228/TKY200712280322.html

 国民新党が、与党とも野党とも一定の距離を置く「苦言路線」を強め、参院で統一会派を組む民主党との立場の違いを鮮明にしている。存在感の誇示だけではなく、与党に広い人脈を持つベテランが多いだけに「将来の政界再編」をにらんだ思惑も見え隠れする。

 「税制や道路特定財源で民主党に言われるままにイエスというわけにはいかない」。国民新党の綿貫代表は26日の党定例会で、民主党が決めた道路特定財源の暫定税率撤廃方針を牽制(けんせい)した。

 綿貫氏は「民主党はおごり高ぶった自公政権に愛想を尽かした同志だったが、参院選で勝ちすぎた」。衆参8人の小所帯で、参院選後に政局のキャスチングボートを握る狙いがあったが、民主党大勝で同党と統一会派結成を余儀なくされた。

 綿貫氏は民主党が参院で額賀財務相の証人喚問を決めると江田五月参院議長に、与党が会期再延長を衆院で決めると河野洋平衆院議長に、それぞれ苦言を呈し、独自の立場を鮮明にした。

 民主党への不信感は募る。同党が選挙協力の調整区で公認内定を次々と発表すると「一方的に出したら協力関係は出来ない」(亀井静香代表代行)。13日には道路特定財源の維持を決議した。

 「総選挙後の再編の核に」との思いも捨てていない。亀井久興幹事長は19日夜、公明党の北側一雄幹事長と会食し、憶測を呼んだ。与野党にとって気になる存在になりつつある。

114片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 17:55:09
松下政経塾の門をくぐる:/1(その1) 年1回の100キロ行軍 /神奈川
http://mainichi.jp/area/kanagawa/archive/news/2008/01/01/20080101ddlk14040048000c.html

 松沢成文知事や中田宏横浜市長をはじめ、多くの政治家を輩出している松下政経塾。だが、塾が茅ケ崎にあることは意外に知られていない。まして内部を知る人はわずかだ。「政治不信」が叫ばれる中、なぜこんなに政治家が生まれるのだろう。わたしは塾のアーチ門をくぐった。【内橋寿明】

 ◇助け合う大切さ感じ

 すべての足の指が、親指のように腫れあがっていた。ふとももの筋肉は凍ったように硬い。

 昨年10月5日午前7時すぎ。わたしは鎌倉市の住宅街の歩道を、西へ向かって歩いていた。いや、足を引きずっていた、と言うべきか。黒い上下のウインドブレーカーにリュックサック姿。最寄り駅へと急ぐスーツ姿の大人たちが、不審な視線を投げかけていく。

 前日の朝から歩き始めて21時間余り。夜通しでここまで87キロを歩いていた。あと13キロでゴール。

 でも、もう限界だ。

 ◇ネーミングにつられたが…

 わたしが松下政経塾に取材を申し込んだその日、塾の一大イベント「100キロ行軍」が翌日に行われることを知った。政治家を目指す塾生たちが年1回、茅ケ崎市の塾を出発し、24時間以内に計100キロを歩くという。威勢のいいネーミングに、思わず言ってしまった。「行けるところまで参加させてください」

 10月4日午前10時。政経塾のアーチ門の下に設けられたスタートラインに立ったのは16人。参加を義務づけられている入塾1年目の28期生7人と卒塾生ら塾関係者8人、それにわたしだ。

 参加者たちは4〜5人ずつ三つの班に分かれ、班ごとにかたまって歩くのがルールだ。わたしの班は28期生である▽リーダーの宇都隆史さん(33)▽元高校球児の中西祐介さん(28)▽はきはきと話すショートカットの宮川典子さん(28)▽フランスからの留学生、マリオン・コセンさん(21)−−の計5人。外交官を目指すマリオンさん以外は政治家志望という。

 わたしの不安は大きかった。年齢こそ27歳と年下の方だが、コースを試し歩きするなどトレーニングを積んできた塾生と違い、近所のコンビニエンスストアへ行くのも自転車に乗る怠惰な生活を送っていたからだ。

 ◇日暮れにつれ歌う塾生たち

 スタート後しばらくは、右手に相模湾を見ながら国道134号をひたすら直進した。キラキラと輝く太陽の光が海に反射し、ヨットやサーフボードを照らす。だれかが言った。「今やってることが信じられないね。みんな、去年の今ごろは何をしてた?」

 航空自衛官だった宇都さんが、真っ先に答えた。「演習で操縦桿(かん)を握ってた」。山梨県で中高一貫校の英語教師だった宮川さんが続く。「試験前で夜中までテストを作ってた」。銀行員だった中西さんは「下期が始まった10月は金融商品のノルマを見せられてぞっとした。やっとの思いで上期のノルマを達成したばかりだったから」。思い出したくない様子だった。

 3人と違い、小柄なマリオンさんは黙ったまま。中西さんが「フランス生まれのマリオンは、イギリスの名門大学に通っている秀才。シャイだけどずっとサッカーをやってるから、一番体力があるはず」と言うと、はにかんだように「だいたい大丈夫。100キロは分からないけど」。来日して半年ほどというのに、日本語がペラペラだ。

 日暮れが近づくと、みんな歌い始めた。トンネル内で母校の中学や高校の校歌を順番に歌うと、声が反射して気分が高揚する。「フランスには校歌がないよ」。そう言ったマリオンさんは国歌「ラ・マルセイエーズ」を披露した。

 だが、そんな雰囲気も長く続かなかった。

115片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 17:55:48

 ◇ボロボロの体を引きずって

 午後11時ごろだったろうか。三浦市に入った50キロ過ぎ、体に異変を感じた。

 両足がしびれる。腰に鈍痛がする。リーダーの宇都さんが私のリュックを持ってくれ、勧められた痛み止めを飲んだ。痛む腰をかばい、背中を折り曲げて歩く。

 60キロ地点にたどりつくと、路上に敷かれた毛布の上にうつぶせになり、27期生のマッサージを受けた。腰の痛みがうそのように消えた。「おかげで助かりました」。思わず何度もお礼を言ってしまった。

 わたしたちは個別に歩き始めた。班で歩くことが原則だったが、わたしにはありがたかった。疲労が重なってくると、早くても遅くても、人のペースに合わせるのがつらい。午前4時ごろ、75キロ付近で降った雨が追い打ちをかけた。重い足がますます重くなる。85キロ手前でわたしは完全に取り残され、足はまったく動かなくなった。

 「ついていけるところまででいいゾ」

 前日、デスク(上司)にかけられた言葉が頭をよぎる。こんなに頑張った。周囲にはいくらでも説明できる。だが思い返した。もう少し、いけるんじゃないか。

 ◇拍手の中

 最後の角を曲がると、ゴールである塾のアーチ門が目に飛び込んできた。そこに思いもよらなかった光景があった。

 完歩した塾生やスタッフたちが集まって、わたしを待っていてくれたのだ。ゴールに近づくにつれ、声援が聞こえてきた。拍手の音がした。ゴールのテープがかすんで見えた。

 午前10時25分。制限時間から25分遅れのゴール。途中で中西さんがかけてくれた言葉をふと、思い返した。

 「政治家を目指す人って自分を主張する人が多くて、ぶつかることもあった。でも、こんな体験をすると助け合う大切さが身にしみますね」

毎日新聞 2008年1月1日

116片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 17:56:18
松下政経塾の門をくぐる:/1(その2止) 塾生活を体験 /神奈川
http://mainichi.jp/area/kanagawa/archive/news/2008/01/01/20080101ddlk14040049000c.html

 ◇伝統学ぶ多忙な日々

 ◇塾主の影響、あちこちに

 クリーム色のカーテンを開けて寝ぼけ眼で窓の外を眺めた。塾主・松下幸之助氏の銅像前にある大時計の針が午前6時15分を指している。集合時間まであと15分しかない。あわてて歯を磨き、ジャージーとTシャツに着替えていると、部屋のスピーカーから元気な声が響き渡った。「みなさん、起きましょう」

 11月1日。わたしは松下政経塾の寮で初めての朝を迎えた。寮の階段を駆け下りると、朝の当番の中西さんが事務室で放送器具をいじっている。声の主は彼だった。

 ◇幸之助氏の注文で鐘の音を制作

 目をこすりながら集まった塾生はスタッフらと円を作り、音楽に合わせラジオ体操を始めた。わたしにとってラジオ体操は小学生以来か。空を仰ぐと視界に「黎明(れいめい)の塔」が入り、異国に迷い込んだような気分になる。

 次は竹ぼうきを使って落ち葉の掃除。掃除当番が各人に担当場所を割り当てる。わたしはアーチ門の前を任され、約30分間、慣れない手つきで落ち葉を掃き集めた。休む間もなく、茅ケ崎海岸へ出てジョギングかウオーキング。早朝から動き過ぎて気分が悪くなったわたしは、迷わず歩く方を選んだ。

 「黎明の鐘、清聴」

 午前8時45分。当番の塾生がそう告げると、シンセサイザーが奏でる不思議な音色が反響した。朝会開始の合図となる鐘だ。幸之助氏が「どんな悪の心を持った人間であっても、善をなそうとする気持ちになるような清らかな音を」と注文し、松下電器の音響研究所が国内外の鐘の音を調査、半年かかって作り上げたシンセサイザーの合成音だという。約20秒間、目を閉じて聞いている塾生もいた。

 続いて当番の小原舞さん(33)が前に立ち、巻物を広げて読み上げ始めた。「真に国家と国民を愛し、新しい人間観に基づく……」

 幸之助氏が定めた塾の基本方針「塾是」、研修の指針である「塾訓」、塾生の心構えを示す「五誓」。他の塾生も小原さんに続いて唱和する。この後に塾歌斉唱。塾生たちは前の一点だけを見つめている。なんだか近寄りがたい雰囲気だ。

 幸之助氏が設立したのだから当然なのかもしれないが、塾内には彼にまつわる場所が少なくない。スタッフの仕事場である「本館」には肖像画が掲げられ、研修棟近くには銅像がある。塾内の植え込みが不均一なのは幸之助氏の「さまざまな個性を尊重したい」という言葉を象徴したものだというし、芝生のスペースは幸之助氏が大切にした「衆知」という言葉を取って「衆知の園」と名付けられている。

117片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 17:56:30

 ◇茶道に書道に悪戦苦闘続き

 朝会が終わると、1年生に当たる28期生たちは塾のカリキュラムに従い講義を受ける。塾生は2年目以降は各人の研究テーマを最優先するため居場所は自由だが、1年目は寮に住むことが義務づけられている。

 幸之助氏が宿泊したという茶室での講義に参加させてもらった。紺色の作務衣姿の塾生に交じり、スーツ姿の「客人」役で初めての茶道に挑戦。小原さんが「お客さま、よろしくお願いします」と頭を下げたので、あわててお辞儀を返す。茶菓子の栗(くり)きんとんをはしでつまもうとして、畳に落としてしまった。講義が終わっても、正座を続けていた足がしびれて動けない。「いたたた」。思わず声が漏れてしまった。

 翌日は書道だった。これも小学校以来だ。手本は漢詩の一節だが、フランス人のマリオンさんの方がわたしより上手だった。塾生たちは黙々と筆を滑らせ、書き終わった半紙を次々と重ねていく。一人が冗談を飛ばした。

 「将来、だれの作品が一番高値で売れるかなあ」

 28期生の1日はかなり忙しい。講義に臨むには予習・復習もこなさないといけないが、みんな勤勉だ。日本の伝統精神を学ぶというカリキュラムに参加したせいか、怠け者のわたしが塾生だったら息が詰まってしまう感じがした。=つづく

 ◇松下政経塾とは

 松下電器産業の創業者、松下幸之助氏(1894〜1989)が政財界の指導者を養成しようと80年4月に設立した財団法人。私財70億円を投じ、うち20億円を土地と建物にあてた。08年1月現在、全卒塾生227人のうち、1期生の逢沢一郎氏(自民)、野田佳彦氏(民主)=いずれも衆院議員=ら68人が議員・首長として活躍している。

 塾生の研修期間は3年(以前は5年)。1年目は歴史観、人間観、国家観の講義を受けリポートにまとめるカリキュラムがあるが、2〜3年目は自らのテーマ研究に費やす。国内外のあらゆる現場へ出向き、自ら体験する「現地現場主義」を重んじている。

 塾に残る資産はグループ企業の寄付と幸之助氏の私財を合わせた100億円。うち70億〜80億円を運用し、年間約3億円に上る運用益を塾の運営費に充てている。塾生には毎月、生活費名目で一律20万円が支給され、別に研修費も渡される。

 設立当初は大きな反響を呼び、1期生に約900人が応募、うち23人が入塾した。近年は200人程度が応募(応募資格は22〜35歳)し、書類選考や面接試験をパスした数人が入塾している。

毎日新聞 2008年1月1日

118片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 17:57:43
松下政経塾の門をくぐる:/2 儒学 /神奈川
http://mainichi.jp/area/kanagawa/archive/news/2008/01/03/20080103ddlk14040133000c.html

 ◇塾生に求められる「志」

 靴をそろえて茶室に上がる。難しそうな朗読が流れる。そーっとふすまを開けた。入塾1年目の28期生たちが紺色の作務衣(さむえ)姿で正座をしていた。儒学の講義が始まっていた。

 松下政経塾の取り組みを知ろうと、寮へ泊まり込んだわたし。塾主・松下幸之助氏も宿泊したという茶室は、最も敷居が高い場所に思える。

 塾生が手にした教科書は2冊。古代中国の「孟子」とその教えを吉田松陰が幕末の獄中で講義した「講孟箚記(こうもうさっき)」。縁側から入る初冬の長い陽光が心地よい。庭の飛び石や松の木をぼんやり眺めていると、小原舞さん(33)が読む孟子の一節が聞こえてきた。

 「已(や)む可(べ)からざるに於(おい)て已む者は、已まざる所なし」

 意味は「物事をやめてはならないのにやめる者、そのような人間は何をしてもやめてしまう」ということらしい。小原さんは問いかけた。

 「政経塾に入った志(こころざし)がくじけそうになった時、皆さんはどうやって克服しますか」

 ◇退路なき塾生

 80年4月の開塾以来、一貫して塾生に求められてきたのが「志」だ。政治家になること自体を目標にするのではなく、志を実現する手段として政治家を選ぶという考え方だ。

 小原さんの問いかけに、最年長の寺岡勝治さん(36)がつぶやくように応じた。

 「家に帰って、妻の厳しい審査を受けること」

 塾生の笑いが起こり、張りつめた空気がやわらいだ。

 寺岡さんは静岡県で夜間学校の教壇に立つうち、教育制度に疑問を感じた。既存の学校になじめない生徒が通える学校の設立を志し、教職を捨てて入塾。政治家ではなく、民間の経営者を目指す。長男(8)と次男(4)を抱える妻(35)はパートを始めた。

 「家族は塾を受験する前から、自分の人生を見てくれている。家に帰り、びしっと言われると謙虚に戻る」

 もう茶室内に笑いはなくなっていた。それぞれ覚悟があるのだろう。うなずいている塾生もいた。

 ◇自己暗示?

 「志を磨くのは仁義のみ。仁は思いやりの心、義は是非善悪の判断をすること……」

 講師の古山和宏塾頭(3期)が孟子の教えの解説を始めた。聴き入る小原さん。彼女の名前「舞」は出身地の舞鶴(京都府)から名付けられたという。舞鶴での政治活動を目指す彼女に、古山塾頭が語りかけた。

 「仁を高めるには、大いに努力して思いやりの真心を他人に及ぼしていくこと。小原が舞鶴の人たちに幸せになってもらいたいと強く強く念じていけば、だんだんあんたも仁に近づき、志が高まっていくということよ」

 古山塾頭の言葉に小原さんは「はい」と元気よく返事をした。

 だが、儒教精神を現代の塾生の取り組みにあてはめたことに、わたしは少し戸惑いを感じた。自己暗示をかけるようなものなのだろうか。

 古山塾頭が講義の最後に「リーダーは好んで孟子を読むんだよ」と結ぶと「おー」。塾生から声が上がった。

 全卒塾生227人のうち、3割にあたる68人が議員や首長として活躍する松下政経塾。自己暗示だけではもちろん、これほど多数の政治家は生まれないだろう。「志」とともに塾が重きを置く「現地現場主義」をこの目で見ようと、わたしは四国に飛んだ。【内橋寿明】=つづく

119片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/08(火) 18:15:08
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 ◇松下政経塾を卒業した主な政治家

 【衆院議員】

▼1期・逢沢一郎(自民)小野晋也(同)野田佳彦(民主)

▼2期・松原仁(民主)

▼3期・笹木竜三(民主)鈴木淳司(自民)

▼4期・原口一博(民主)三谷光男(同)

▼5期・伊藤達也(自民)高市早苗(同)武正公一(民主)前田雄吉(同)

▼6期・河井克行(自民)

▼7期・赤池誠章(自民)神風英男(民主)山井和則(同)

▼8期・玄葉光一郎(民主)前原誠司(同)

▼9期・秋葉賢也(自民)松野博一(同)市村浩一郎(民主)

▼10期・坂井学(自民)

▼11期・小野寺五典(自民)

▼21期・山本朋広(自民)

▼22期・松本大輔(民主)

▼23期・三日月大造(民主)

▼24期・川条志嘉(自民)

 【参院議員】

▼2期・長浜博行(民主)

▼8期・徳永久志(民主)

▼11期・福山哲郎(民主)

 【首長】

▼1期・鈴木康友(浜松市長)横尾俊彦(佐賀県多久市長)

▼2期・河内山哲朗(山口県柳井市長)山田宏(東京都杉並区長)

▼3期・松沢成文(神奈川県知事)

▼6期・奈良俊幸(福井県越前市長)

▼10期・中田宏(横浜市長)

▼13期・村井嘉浩(宮城県知事)

▼16期・草間吉夫(茨城県高萩市長)

毎日新聞 2008年1月3日

120片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/09(水) 12:44:51
松下政経塾の門をくぐる:/8止 原点 /神奈川
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20080109ddlk14040218000c.html

 ◇塾主は笑うだろうか

 「カッコよかったね。『この国をどうしようか』とよく議論していて」。衆院議員の河村たかし氏(民主)は当時をそう振り返った。「日本新党ブーム」にわいた93年夏の衆院選。同党から当選を果たしたのが河村氏らのほか、7人の政経塾出身者だった。しかし河村氏は今、塾をこう総括する。「新しい政治勢力を登場させるという第1弾の役割は果たし終えた」

 実家のリサイクル業のトラック運転手から政治家に転身した河村氏にとって、留学経験などがある政経塾出身者は「スマートな好青年」たちだったという。「よく飲みに行ったし、サウナ風呂にも行った」。ただ「研修」ではなく、生きるために零細企業や肉体労働者の現実とかかわってきた河村氏は、塾の取り組みに否定的だった。

 「(生活費や研修費の)お金をもらってやることではない。議員を育てる塾は、実社会です」

 民主党には衆・参議院合わせて17人の政経塾出身議員がいる。河村氏はこの点も「ひとつの派閥」と批判した。象徴的なケースとして挙げたのが、02年9月の民主党代表選。塾出身の野田佳彦、前原誠司、松沢成文(現在の県知事)の3氏が立候補を表明したが、最後は若手の統一候補として野田氏に一本化された。「出身議員の友情の証し。譲り合って次は前原さんと決まったんでしょう」。前原氏は3年後の代表選で党首に選ばれた。

 ◇運と愛嬌

 松沢知事は入塾した82年当時、最初の授業で塾主・松下幸之助氏と交わした会話を今も鮮明に記憶している。知事は大学時代の成績が良くなかったといい、松下氏に「なぜ成績の悪いわたしが合格したのですか」と問うと、こう言われたという。

 「キミには運と愛嬌(あいきょう)がある」

 松下氏は父親の事業の失敗で小学校を4年で中退。9歳で丁稚奉公(でっちぼうこう)に出た。資産も学歴もないのに努力と創意工夫を重ねて数々のヒット商品を生み、「経営の神様」とうたわれた。松沢知事は政経塾が政治家を輩出し続ける理由を「日本人の松下幸之助さんへの信頼度です。それが僕らの信頼度につながっている」と分析してみせた。

 だが松下氏は政経塾開塾から9年後に亡くなり、氏を直接知る卒塾生は多くない。現在の塾生は施設内の銅像を仰ぎ、「塾主研究」という名の講義やゆかりの地の訪問から偉業を知るのみだ。松下氏の存在をよく知らない有権者も増えている。「運と愛嬌」を座右の銘にしている松沢知事は言った。

 「松下さんに直接薫陶をうけた僕らは、道場主がいる道場のようだった。僕ら草創期の連中が塾に行き、直接薫陶を受けた経験を継承していかなくては。先輩と後輩の連携を密にしないと、単なる学校になってしまう」

 ◇隔世

 今から22年前に当たる86年1月24日付の毎日新聞朝刊1面は次のように報じている。

 <数年前に『松下政経塾』が話題になった。次代を担う新しいタイプのリーダーの育成をめざし、松下幸之助氏のポケットマネーで6年前に誕生した。その塾が『一つの壁に突き当たっている』(上甲晃塾頭)という。いくら高まいな政治理論を学んだところで、まず選挙に当選しなければどうにもならない厳しい現実に卒業生、在校生の一人ひとりが直面しているからだ>

 松下政経塾という存在自体がブランド化しつつある現在とは隔世の感がある。世襲議員への反発や既成政党の閉塞(へいそく)感に後押しされ、政経塾が「新たな勢力」を誕生させたことは疑いない。そしてその影響力はますます大きくなっている。

 だが「格差社会」「ワーキングプア」という言葉に代表されるように、生活苦にあえぐ国民は今も少なくない。そこにつけ入るように衣・食・住にニセモノがはびこる社会。政治不信はむしろ高まっていないか。「新しい国家経営を推進していく指導者を」という思いから塾を開いた松下幸之助氏が生きていたら、どう見るだろう。

 河村氏がわたしに言った言葉が、妙に心にひっかかった。

 「中小企業やラーメン屋のおやじとか、僕ら団塊の世代。世の中の理不尽や苦労を体験してきた人たちなら、いい政治をやるはず。そういう人に道を開くと、幸之助さんは墓の中でニコッとされるんじゃないでしょうか」【内橋寿明】=おわり

毎日新聞 2008年1月9日

121片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/17(木) 21:29:27
党大会:自民と民主あわただしく…大連立論議はともに封印
 15日閉会した臨時国会と18日召集の通常国会の合間に、2日続きで自民党と民主党の大会が慌ただしく開かれた。昨年11月に噴出した大連立問題は、どちらの大会でも両党幹部は一言も触れず封印された。両党とも今年を解散必至の決戦の年と掲げる半面、半信半疑の空気も漂う。大連立論議を回避する不自然な沈黙が、政界の疑心暗鬼を象徴していた。

 自民党は早期解散回避の姿勢を明確にしている福田康夫首相に配慮。伊吹文明幹事長が報告で「次期総選挙を念頭に争点と戦略を策定し、候補者選定を促進する」と事務的に言及しただけで、ほとんど解散に触れなかった。むしろ「野党に粘り強く丁寧に謙虚に協力を呼びかける」(伊吹氏)という態度だ。

 これに対し、民主党は道路特定財源の暫定税率の問題で、今春にも解散に追い込む構えでキャンペーンを繰り広げているが、大会で小沢一郎代表は「解散権は内閣にある。解散に追い込むという言葉がよく使われるが、単なる国会対策上のテクニックだけではない」と冷静な見通しも持つよう強調した。

 大連立構想は、小沢代表の辞意表明にまで発展した大事件だったが、大会では質問も発言も全く出なかった。しかし、党内で小沢氏が再び大連立を模索するのではないかという疑念が消えたわけではない。議論を「タブー」視した大会の光景が、大連立の火種が消えていない水面下の事情を逆にうかがわせた。【須藤孝】

毎日新聞 2008年1月17日 20時47分
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080118k0000m010103000c.html

122片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/01/17(木) 21:43:35
<政党交付金>民主が過去最高額…自・民で9割近く
1月17日19時8分配信 毎日新聞

 総務省は17日、政党助成法に基づく08年分の政党交付金について、届け出期限の16日までに6党が交付を申請したと発表した。毎日新聞の試算によると、昨年7月の参院選で圧勝した民主党は、過去最高の118億7800万円(07年実績比7.4%増)を配分される見通し。自民党は158億4200万円で07年より4.5%減った。両党合計で総額の9割近くを占める。

 08年の交付金総額は、07年の交付額と同額の319億4100万円。民主党は、03年11月の総選挙で躍進し118億2000万円を交付された04年を上回り、結党後初めて交付を受けた96年以来の最高額。自民党は05年9月の「郵政選挙」による大幅議席増の「貯金」で、06年の168億4700万円、07年の165億9500万円に次ぐ過去3番目に多い額を確保した。

 他は、公明党27億3000万円(07年実績比2.7%減)、社民党9億200万円(同6.8%減)、国民新党3億8300万円(同16.4%増)、新党日本2億300万円(同14%増)の見通し。制度に反対の共産党は申請していない。

 政党交付金の総額は、国民1人あたり年間250円で決められ、配分額は、半分が今年1月1日現在の所属国会議員数、残る半分が前回の衆院選の得票率、前回と前々回の参院選の得票率平均値から算定される。算定額は毎年4月に正式決定される。【七井辰男】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080117-00000102-mai-pol

123片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 14:54:43
福田と小沢 勝算なき運命共同体(1)
2008年2月9日 文藝春秋
活発化する反主流派の動き。福田は読売・渡邉会長にある決意を告げた
 激動の平成二十年の年明け、首相福田康夫の正月は表向き静かに過ぎた。元旦は貴代子夫人と皇居の新年祝賀の儀に出席、二日は公邸で親族と新年会、東京・東麻布の中華料理店・富麗華で家族と食事会と、いくらかは正月らしい外出をしたものの、三日は終日、東京・野沢の私邸に引き籠もった。政治家の来訪もなく、三が日で一番静かな日であるかにみえた。
 しかし政治は動く。その日、政局を左右しかねない二本の電話を福田は受け、それぞれに重要なサインを送っていたのだ。
 一本目は元首相・森喜朗だった。用件はもちろん、一月の内閣改造断行のダメ押しである。福田も十二月二十九日の中国での内政懇で改造要求の声を「ごもっともなこと」と評し、年末年始の新聞は改造一色でもあった。だが森の予想に反して福田の答えはすげなかった。
「内閣改造をやるなら、いや、やるとすればですよ、私は官房長官を代えるとお答えするしかありません」
 森はうなった。官房長官・町村信孝を代えるとなれば、元幹事長・中川秀直を跡目に据えようとしてきた派閥で新たに町村の処遇を考えねばならず、下手をすれば町村・中川戦争が勃発する。ただ改造を公言してきた手前、それが空振りとなれば八派連合の不満は反福田の空気につながりかねず、何より政権後見人としての自分の信用度もガタ落ちになりかねない……。
 それでも、福田は追い打ちをかけるかのように、腹心の衛藤征士郎の名を後任にあげることまでした。これでは町村が納得すまい。森は諦めた。「わかった。確かにここで町村君を派閥に戻すのは得策ではないものな」と引き下がった。
 二本目の、さらに微妙な電話は、なお自民、民主の大連立に意欲を燃やす読売新聞グループ本社会長兼主筆の渡邉恒雄からであった。新年の挨拶もそこそこに、政治の混乱を嘆き、大連立を説く渡邉に、福田はまず「官房長官人事で折り合わず、一月の内閣改造はやらぬこととしました」と告げた。だがそれに続く言葉に渡邉の頬が緩んだ。
「……大連立の余地を残すためにも、改造を見送ったのですよ」
 福田はなおその夢を捨てていないのか。

124片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 14:55:18
弱気な二人

 オセロゲームのように攻守が切り替わる衆参逆転国会である。年金の公約違反問題に加え、薬害肝炎訴訟で一律救済か否かで政権が迷走し、内閣支持率が急落した際は一月解散の風が吹いた。だが民主党代表小沢一郎が大阪知事選応援のためテロ新法の採決を欠席すると、逆風は小沢へと向かった。それでもガソリン税の暫定税率廃止を旗印に「ガソリン値下げ隊」を民主党が立ち上げ、四月解散に照準を絞ると自民党は衆院と参院で国会対策が分裂、再び解散風が吹きかけたが、今度は民主党で「造反リスト」が出回り、「小沢が代表を辞めたがっている」との噂が党内で蔓延した。
 ただ、福田と小沢の二人の心の内を探れば、弱気の一点で奇妙な一致がある。通常国会直前の党大会で福田が「結党以来の最大の危機」と繰り返し、小沢が「政権交代に命を賭ける」と吠えたとはいえ、言葉の勇ましさとは裏腹に、二人とも現時点では自分の党が選挙に勝てぬと思い、内閣改造や首相問責決議案といった政局を動かすトリガーを引くことをためらったのだった。
 大連立交渉以来、ひそかに福田の相談相手を務めてきた勝負師・元首相の小泉純一郎でさえ、内閣・自民党支持率の低迷にはお手上げの風だ。大連立挫折=小沢代表辞任騒動の直後は「オレが小沢を大事にしろ、と言ってきた通りだろ。チャンス到来だ。オレならテロ新法で衆院再議決なんて胡乱なことはせず、郵政政局同様、参院が否決したら即解散だな」と意気軒昂だったが、最近は「うまくいかないときは、こんなもんだ。港でじっとしていることだ。船を出しちゃいかん」と漏らす始末なのだ。
 福田もそれは百も承知だ。党の選挙を担う選対委員長・古賀誠、副委員長・菅義偉からは、昨秋の極秘の重点選挙区調査から「内閣・政党支持率の好転がなければ衆院選で二百議席を割る可能性がある」との報告と、七月の洞爺湖サミット前の解散回避の強い申し出を受け、その情勢分析は基本的に何ら変わっていない。
 だとすれば、数少ない政治的武器である内閣改造を、解散に向けて使うか、あるいは大連立の発射台にするか、福田が慎重な上にも慎重になるのは理の当然だ。
 昨年十二月二十一日。薬害肝炎訴訟で一律救済を見送り、メディアと世論の逆風に頭を痛めていた福田のもとへ、前幹事長・麻生太郎から電話が入った。総裁選でやりあった仲とはいえ党の危機である。麻生は「総理、小泉政権のハンセン病訴訟の控訴断念の時と同じだと思えばいいではないですか」とアドバイスした。福田官房長官=麻生政調会長で小泉に法務省作成の断念案を用意した共通体験を引き合いに出して、さらに安倍政権末期の盟友だった前官房長官・与謝野馨がまさにその法務省に作らせた妥協案を官邸に持ち込むのを承知の上で、麻生は福田の背中を押したのだった。
 ただその代わり、麻生は政局の眼目で福田の腹を探るのを忘れなかった。
「ところで総理、一月改造なんて声がありますが、本当ですかね。今度の改造は完全な総選挙対応でしょう。そこまでご判断できれば別ですがね」
 福田は、それが特徴の、ふふっと鼻から抜ける笑い声をたて、「解散?改造?それはいつの解散、改造をおっしゃっているのですかね」と答えた。
 確かに、総選挙を意識した布陣で改造を行えば、内閣は「反民主」一色となるしかなく、それはいわば大連立への三行半となる。それより四月解散を回避するには、大連立構想の座席に半分は腰をつけて民主党の牙を抜くほうがいい。そして七月の洞爺湖サミットで「環境の福田」を印象づけた上で、改造をきっかけに民主党と大連立を組めるか、あるいは福田カラーを前面に出す総選挙対応内閣に代えるか判断するしかない……。
 一月三日の渡邉との電話で大連立に秋波を送った福田の真意はやはり、総選挙での勝利を見込めぬ自分の弱点を覆い隠すためのものなのだ。昨秋の一連の水面下の大連立交渉でも、一貫して積極的なのは小沢であり、福田は消極的であり続けた。
 総裁選期間中から渡邉と福田の意向を受けた森からの打診で動き始めた小沢だったが、「自分の神通力は参院選がピークで、一日ごとに落ちていく」と党首会談での素早い決着を望んだ。それに対し、「総裁選が終わるまで待ってくれ」「首班指名の後にしてほしい」「予算委員会を終えてからだ」とずるずる延ばしたのは福田だった。渡邉が意欲を燃やす憲法改正に消極的なのはもちろん、消費税増税や中選挙区制復活に殉ずる気などない福田にすれば、大連立とは基本的に政権維持の道具なのである。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080209-01-0701.html

125片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 14:56:30
福田と小沢 勝算なき運命共同体(2)
2008年2月9日 文藝春秋
 小沢もまた、迷い続けている。
 大阪市長選の勝利と、内閣支持率急落で民主党が一月解散への主戦論でわきたっていた昨年暮れ、政界引退のあいさつに訪れた自民党竹下派時代の仲間の代議士にその心情を吐露した。
「一月解散で騒いでいる党の連中の気が知れない。この程度の風では二百議席を割るぞ。だいいち、政権ってもんを知らない。公明党が政権を経験してどれだけ成長したことか。だからオレは大連立を間に挟んでと言ったのだが……」
 自民党で「剛腕幹事長」の名をほしいままにした小沢にすれば、かつて自らが離党して内閣不信任決議案を成立させて宮沢政権を追い込み、結果、非自民政権誕生につなげたような展開でもない限り、解散時期を決める主導権は圧倒的に政権側にあることは痛いほどわかっている。だからこそ宙に浮いた年金問題への福田政権の対応の最終的な不備が浮かび、なおかつガソリン代が一旦下がって政府・与党の再議決で再び上昇して国民の懐を直撃、さらに防衛省汚職の結末も重なる四月を唯一最大の勝負どころとみてきたのだ。さりとて問責決議案で解散に追い込めるかは心許ない。九月に代表選を控え、解散戦略不発の責任論に火がつく危険を承知の小沢にすれば、やはり大連立はぎりぎりのところで政治生命の維持装置であり続けるのだろう。
 昨年十二月二十一日、国対委員長・山岡賢次、参院議員会長・輿石東との三者会談。
「代表、テロ新法での与党の三分の二の衆院再議決という一本で首相を問責するのは王道でしょうか。やはり年金や予算という政権のど真ん中のテーマで堂々と解散に追い込む方がいい」
 四月解散を念頭に山岡が進言した問責決議案提出の回避策はもちろん、小沢の心境をおもんぱかったものであり、会談で小沢も異論を唱えなかった。

126片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 14:58:11
野田聖子公認の裏

 ただ、福田も小沢も政局の決定力を欠く以上、自民、民主両党の中の政局もまたオセロのように攻守が変わりかねない。四月解散に追い込めなければ、大連立に引きずられる小沢の代表交代論が本格化する。小沢が代表の席を投げ出せば、既に「副代表ポストでよかった。代表に距離を置けますからね」と漏らし続ける岡田克也の出番が来るはずだ。原理主義者が大連立をのむはずもなく、その展開は福田にとって政権維持装置のひとつを失うことを意味する。
 しかも、四月解散を回避しても、福田に残された時間は少ない。来夏、東京都議選を控える公明党は越年選挙を決定的に嫌っており、あくまで連立与党の総力戦を志向するならば、福田は九〜十一月の短い幅で解散を検討せざるを得ない。それまでに支持率が好転しなければ、来年九月の総裁選の一年前倒し論はもちろん、逆算すればサミット花道論さえ出かねない。
 既に自民党に容赦はない。主流派のはずの八派連合でさえ、古賀誠と谷垣禎一がそれぞれの派閥を合併、「中宏池会」をぶちあげた。山崎拓もまた、安倍に近かった前政調会長の石原伸晃を「わしが次の総選挙前に引退したら、派閥の跡目は甘利明や武部勤ではなくあんただ」とかきくどき、山崎派入りを実現させた。防衛省汚職で財務相・額賀福志郎、元防衛相・久間章生が傷ついた津島派でも、青木幹雄がまず厚生労働相・舛添要一を将来のリーダーとして挙げたとの情報が駆け巡り、年金問題で舛添がミソを付けた後は青木周辺で与謝野擁立論が出始めた。すべてポスト福田に向けた明々白々な準備運動である。
「反福田」勢力も黙ってはいない。
 通常国会開会の翌一月十九日の土曜日。千葉県・袖ケ浦のカメリアヒルズカントリークラブに集ったのは前首相・安倍晋三と麻生、そして菅義偉の三人だった。
 スコアは麻生、安倍、菅の順で、ようやく病の癒えた安倍の健脚ぶりが目立った。ゲストハウスで麻生は鶏の照り焼き、安倍と菅はうどんを頼み、途中、安倍が居住まいを正して菅に視線を注いで言った。
「麻生さんには一生かかっても返し切れないほどの借りができた。このこと、覚えておいてください」
 突然の首相辞任で安倍後継をめざしていた麻生の政権戦略が頓挫したことへの詫びだったが、意味はそれだけではない。古賀派で中堅・若手を抑える菅は、中宏池会の動きを横目に、麻生支持の姿勢を崩していない。他方、福田政権に距離を置く中川昭一の保守系勉強会は、かつての安倍チルドレンの再結集も視野に入れて「安倍・麻生連合」の復活も狙う。つまり菅はリベラルと保守のポスト福田の二大集団のつなぎ目にいるのだ。菅は安倍に答えた。
「そのこと、肝に銘じます」
 政局話がひとしきり続いた。その日の朝刊は、福田が施政方針演説で消費者庁の設立と担当相の新設をぶち上げたことと、野田聖子が岐阜一区で公認され、佐藤ゆかりが国替えするニュースが目を引いた。
 自民党消費者問題調査会の会長を務める野田聖子は内閣改造で消費者庁担当相になる可能性が高い。いまひとつ国民的人気が盛り上がらない谷垣だけではもたないと、古賀誠が野田を自前の総裁候補として印象づけるために公認を同じ日にリークしたのではないか……?
「野田聖子ひとりの公認が記事になるなんて、どういうことなの」。安倍がそう水を向けると、菅は苦り顔になって「口が軽い人がいたんですよ」と答えた。
 もっともぎりぎりのところで主流派も反主流派も、政権交代熱の冷めない世論への怯えは消えない。両派相乗りの形となった一月二十一日の「士志の会」。ホテルオークラ別館十二階のバロンオークラでフランス料理のフルコースを食したのは、欠席した平沼赳夫を除く、麻生、古賀、久間、外相・高村正彦だった。
 途中、独壇場となったのはこの会に二度目の出席となる久間である。「十年も延長するなんて話はダメじゃろ。ここは三カ月くらい延長して、与野党とも頭を冷やしたらええ」。ガソリン税の暫定税率を巡り期間を数カ月延長する「期限延長法案」、その一週間後に政府・与党内で急浮上する奇策である。これには道路族のドンでもある古賀も、一瞬ポカンとしたあと、「なるほどな」とうなずいた。
 だが「未知との遭遇国会」である。ともに足元が揺らげば、いま一度、福田と小沢が大連立の誘惑に乗りかねない。事実、全面対決にみえた国会同意人事の焦点、日銀総裁を巡っては一月末、収拾策として党首会談が浮上した。本命の副総裁・武藤敏郎の向こうに大連立と消費税増税で渡邉と気脈を通じてきたかつての大蔵省のドン・斎藤次郎の影がちらつく。二月末とも目される福田と小沢の党首会談で交わされるのは果たして人事の話だけか。どこか運命共同体の二人の勝負である。(文中敬称略)

127片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 15:00:56
大連立の「余り駒」公明党がすがる「中選挙区制復活」
2008年2月8日 フォーサイト
 十一月初旬に降って湧いた自民党と民主党の大連立構想。福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表が党首会談を行なった時、政界は騒然となったが、民主党側の反対で成立しなかった。その後、小沢氏の辞任騒動という余震はあったが、今は「あの騒ぎは何だったのか」と思うほど、自民、民主両党の対立型の永田町に逆戻りしている。だが、あれから一カ月以上経過し年の瀬を迎えても、公明党だけは、その後遺症から立ち直れていない。
 
 十一月二日夜、民主党本部で開かれた民主党役員会。この席で、小沢氏が大連立を提案し、出席者全員から猛反対されたことは周知の事実だ。しかし、あまり知られていない事だが、この席で公明党にとっての死活問題が話題に上っていた。
 
 鳩山由紀夫幹事長が「公明党はどうするのですか」と聞いたのに対し、小沢氏が事もなげに「公明党? 切る」と言ってのけたのだ。出席者は皆、自公連立に民主党が加わる形になると想像していただけに、出席者の一人は「大連立も衝撃だったが、『公明切り』は、それ以上に驚いた。逆に言うと、この時、小沢氏が本気だと悟った」と振り返る。役員会後、小沢氏の「公明切り」発言を報道陣には話さないと申し合わせたことからも、民主党の動揺がうかがえる。
 
 民主党から一報を聞いた公明党そのものの狼狽は、民主党の比ではなかった。情報は瞬く間に広がり、それぞれのチャンネルで確認に追われた。自民党側の公式見解は「党首会談では、そんな話は出ていない」だったが、二人だけの会談の内容は、伊吹文明幹事長らも知らない。公明党の疑念は、今も晴れていない。


太田代表も比例区へ逃亡? 

 大連立問題に限らず、公明党を取り巻く環境は厳しい。その傾向が見えてきたのは、二〇〇六年九月、安倍政権が誕生した頃だった。保守派の安倍晋三首相が打ち出す政策は「庶民の味方、平和の党」を標榜する公明党の主張と相容れなかった。が、結局、公明党は安倍政権の“独走”に追従するだけで、「踏まれてもついて行く」という意味で「下駄の雪」と皮肉られることもあった。
 
 〇七年七月の参院選では惨敗。支える創価学会員が「下駄の雪」への批判票を投じたのが敗因の一つだったとされる。学会関係者は「うちの幹部が会員に支援要請しても『今回は民主に入れる』とあっさり断られることが頻繁にあった。こんなことは初めてだ」と語る。
 
 「ねじれ国会」も公明党の存在感を低下させた。衆院では自民党単独で過半数を上回り、参院は公明党を加えても半数に満たない。公明党が国会で主導権を握る機会は消滅した。
 
 公明党にとって次の衆院選は、参院選以上に厳しい。その根拠の一つが共産党の選挙戦術転換だ。共産党は、全小選挙区に候補を擁立する原則を改め、半分以下に絞る。これに伴い従来の共産党支持層は民主党に流れるため、公明党は不利になる。さらに公明党と共産党の対立の歴史からすると、共産党は公明党の重点区に狙いを定めて候補者擁立を見送ることも考えられる。例えば太田昭宏・公明党代表の東京十二区で共産党が擁立を見送れば、公明の党首が民主候補に競り負ける可能性も出てくる。全国紙政治部デスクは「党内では、幹部が比例区に逃げ込むことも検討され始めたようだ」と明かす。
 
 八方塞がりの中、公明党が生き残りをかけてすがろうとする戦略がある。中選挙区制の復活だ。
 
 小選挙区比例代表並立制が続く限り、公明党は、比例区で細々と生き延びるしかない。しかし定数三―五の中選挙区制なら、十数%の得票率でも浮上できる。創価学会がフル稼働すれば五十人近い当選も夢ではない。公明党の中には、現在三百ある小選挙区を二つずつ合区し百五十とし、それぞれに定数三を割り振る「お手軽」な選挙制度改革(比例区は廃止)を念頭に「僕はこの選挙区から出るのかな」と皮算用する議員もいるという。
 
 「大連立なら選挙制度改革が大義。中選挙区制導入なら賛成」と言い切る幹部もいる。「大連立の大義は中選挙区制」という理屈はわかりにくいが、自民党内にも中選挙区待望論が少なくないだけに、近い将来、一気に具体化するかもしれない。
 
 〇八年、公明党が捨て身で「中選挙区大連立」を仕掛けたら、永田町はどんな化学反応を起こすのだろうか。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080208-01-1501.html

128片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 15:02:51
深層レポート日本の政治 「大連立」消えて「政界大再編」に浮き足立つ面々
2008年2月4日 フォーサイト
 自民党と民主党による大連立構想が頓挫したことで、衆院解散・総選挙の時期は常識的には遠のいたとみるのが妥当だ。国会は衆院では与党が圧倒的多数を占める半面、参院では野党が過半数を制して膠着状態に陥ったままだ。福田康夫首相が衆院解散に踏み切っても、与党にとっては衆院での優位を失う危険を背負うばかりで、あまり得るものはない。二〇〇九年九月の衆院議員の任期までの間のどこで首相が解散総選挙を断行するのか。それが、今後の政局の最大の焦点だ。
 
 民主党首脳部が十一月十三日夜、東京・赤坂のふぐ料理店に集まった。小沢一郎代表が独断で進めた大連立構想と、それに続く辞任騒動によって、民主党役員間には深刻な亀裂が生じた。それを修復するための夕食会、いわゆる「手打ち式」だ。集まったのは小沢氏のほか、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、輿石(こしいし)東参院議員会長の四人。理科系の鳩山氏が得意の科学分野の話題で盛り上げ、「これからは超伝導の時代だ。リニアモーターカーは原理的には垂直方向に打ち出せば、月にだって飛べるんだ」などと、半ば冗談の発言で笑いを誘った。だが、肝心の政局の話になると、会話をリードしたのは小沢氏と菅氏だった。当然のように、話題は解散の時期に及ぶ。民主党は早期解散に追い込む姿勢を打ち出しているが、現実には候補者擁立が完了していない上に、野党共闘態勢の構築が難航しており、今すぐの総選挙は避けたいところだ。菅氏がテーブルに目を落としながら、「ハプニングがあるかもしれないな」とポツリと早期解散総選挙の可能性を指摘すると、宴席を沈黙が覆った。


奇手不発で頭は白紙に 

 年末年始や予算成立後の〇八年三月に首相が衆院解散に打って出る可能性はあるのか。それを占うには、大連立構想が失敗に終わったことによる影響の大きさを測る必要がある。
 
 そもそも首相にとって大連立構想はどの程度の重みがある計画だったのか。最初は乗り気でなかった首相は、国会で重要法案の成立がままならない状況にしびれを切らして、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長の誘いに思わず飛びついてしまったのだと分析する評論家やジャーナリストもいる。
 
 だが、首相はもっと慎重に判断し周到に準備した上で、この構想に乗ったようだ。首相がそんな胸中を打ち明けたのは、十一月六日夜、東京・大手町の読売新聞本社から道二本隔てた大手町ファーストスクエアウエストタワー二十三階のレストラン「トップ・オブ・ザ・スクエア・宴」で開かれた新聞各社役員との懇談会の席上だ。構想の仕掛け人である渡辺氏も同席していただけに、最初は首相の口数は少なかった。だが、話題が大連立を決断した時期に及び、一気に饒舌になった。
 
 「急に大連立に乗ったわけじゃない。これはね、内閣発足時からの考えです。安倍内閣の閣僚をそのまま引き継いだのは、大連立で民主党に閣僚ポストを渡すためですよ」
 
 首相は〇七年九月、それ以前の安倍改造内閣にほんのわずかの手直しをしただけで新内閣を発足させた。このため、「福田カラーが見えない」「居抜き内閣」などと揶揄された。だが、首相に言わせれば、それは数カ月後に民主党との大連立を組むための作戦だった。内閣発足時に大幅な入れ替えを断行してしまっては、大連立時に多くの閣僚を短命で退任させざるを得なくなる。そうなれば、自民党内に不満が募り、首相の党内基盤を揺るがす。それを避けるために大幅入れ替えを避けたというのだ。
 
 本人の説明が真実だとすれば、首相は政権発足時から大連立に大きな期待をかけていたということになる。そして、その起死回生の奇手が不発に終わり、首相の政権運営は今、迷走しているように見える。どのタイミングで衆院を解散すべきなのか。首相の頭の中はまだ白紙の状態なのかもしれない。
 
 ちなみに、町村信孝官房長官は十一月二十六日夜、東京・市ヶ谷の靖国通りに面した中国料理店「中国飯店」でマスコミ各社の首相官邸担当ベテラン記者と夕食会を開いた。席上、早期解散の可能性を尋ねられ、「えっ……解散? 来年のお盆以降に決まってるんじゃない」と言い放った。政権運営に行き詰まって衆院を解散せざるを得ない情勢に追い込まれないかぎり、町村氏の言うように解散はどんどん後回しになる。なにしろ、今のところ首相には解散によって積極的に政局を切り開くアイデアがないのだから。

129片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 15:05:26
いずれは安倍前首相も参画?

 次期衆院選では、与党が三分の二の議席数を維持できる可能性は小さい。国会では衆院を通過した法案が参院で否決されて廃案になる確率が高くなり、国政の今以上の停滞は必至だ。それを解消するには、政界再編以外にない。総選挙がいつあるのか分からない手探り状態に置かれながらも、与野党の有力議員たちは一斉に政界再編に向けた行動を開始している。
 
 まず目立った動きを見せたのは、自民党の中川昭一元政調会長だ。中川氏は十二月四日、新たな勉強会を発足させた。政策的には安倍晋三前首相が唱えた「戦後レジームからの脱却」路線を継承するグループであり、政局的には次期総裁選で麻生太郎前幹事長を支援する議員集団とみて間違いない。実際に、中川氏は発足前に麻生氏と相談している。
 
 今回の中川氏には、派閥を割って出ることも辞さない覚悟がうかがえる。中川氏は現在、伊吹文明幹事長が率いる伊吹派(志帥会)に所属している。十一月上旬、中川氏の議員集団結成の動きが表面化した際、事態を憂慮して調整に走ったのは、伊吹氏とも中川氏とも近い河村建夫元文部科学相だ。河村氏にとっては、中川氏が新グループ会長に島村宜伸元農林水産相を据えようとしているとの情報が特に気がかりだった。
 
 島村氏と伊吹氏には因縁がある。二年前、志帥会後継をめぐり両氏は激しく対立、ついに〇七年三月に島村氏が志帥会を退会する事態に発展していたからだ。その島村氏を会長に据えることは、中川氏が伊吹氏に反旗を翻すことを意味する。河村氏は中川氏に対し、「会の結成はいい。だが、島村さんを会長にするのだけはやめてくれ」と迫った。しかし、そうした忠告は顧みられなかった。島村氏は会長ではなかったが、議長ポストにおさまった。
 
 この会には安倍前首相も一枚かんでいる。安倍氏が本格的に参画した場合、首相を擁する町村派(旧森派)も今のままでは済まない。重鎮である森喜朗元首相のにらみが利いており、当面は安倍氏も行動を慎まざるを得ないだろう。だが、将来的には安倍氏が町村派の何割かの議員を引き連れて派を脱退し、中川氏らと合流する可能性はある。
 
 麻生氏も準備を着々と進めている。「ポスト福田」政局では自民党内を押さえるだけでは政権に手が届かないことを十分理解しているようで、無所属議員や野党議員との連携にも積極的だ。十一月には大胆にも麻生氏と距離を置く古賀派が事務所を構える東京・赤坂のビルの地階にあるしゃぶしゃぶ料理店「ざくろ」で民主党の若手保守系議員と懇親会を開いた。また、以前から麻生氏や中川氏に近く、中川氏の新グループにも参画した無所属の平沼赳夫元経済産業相の動きも目が離せない。
 
 自民党内で麻生氏と並んで「ポスト福田」候補と目される谷垣禎一政調会長の動きも急だ。谷垣氏は麻生氏の動きに対抗して古賀誠選対委員長と連携し、年明けの一月に谷垣、古賀両派の合併による勢力拡大を目指している。いわゆる「中宏池会」構想である。
 
 一方、こうした流れに後押しされるように津島派内部でも地殻変動が起きている。同派の総裁候補と言えば、これまでは額賀福志郎財務相だった。だが、前回の自民党総裁選で出馬を断念したことに加え、防衛省をめぐるスキャンダルで名前が挙がったことで、額賀株は急落した。このまま「ポスト福田」レースが始まれば、津島派は麻生氏や谷垣氏の草刈り場になってしまう。
 
 十一月二十日夜、東京・紀尾井町の「グランドプリンスホテル赤坂」で、津島派の有力中堅議員である小坂憲次元文科相のパーティーが開かれた。津島派会長の津島雄二元厚生相は来賓としての挨拶の最後に、「私もそうは遠くない将来に誰かに後事を託さなくてはなりません。託すことができるのは小坂さんだ。それが私の正直な気持ちです」と声を張り上げた。もちろん、小坂氏へのリップサービスという面はあっただろう。しかし、これほどはっきりした物言いも珍しい。場内はどよめいた。津島派には石破茂防衛相という有望株もおり、この会場にも姿を見せていた。だが、その後にあいさつした同派のベテラン、笹川・元科学技術担当相は「石破君と小坂君。年齢順だと小坂君が先だ」と、あえて優先順位を付けてみせた。津島派内では額賀氏の影は確実に薄くなり、世代交代の波が押し寄せつつある。

130片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/10(日) 15:06:10
民主党「池田喚問」カードの狙い 

 民主党に目を転じると、小沢氏も政界再編に向けて、大連立構想以外に何も手を打っていないわけではない。時計の針を戻して十月十六日の参院予算委員会。民主党の石井一・元自治相が突然始めた質問に、誰もが耳を疑った。
 
 「福田首相は創価学会の池田大作名誉会長に会いに行く予定はあるのか」
 
 委員会は騒然となった。公明党の支持母体である創価学会の選挙協力なしでは、今の自民党の選挙対策はままならない。石井氏は歴代首相がしたように福田首相も池田氏に頭を下げに行くのか、と尋ねたのだ。「行く予定は大いにあるぞお」と野次を飛ばして茶化す議員もいたが、「黙れ!」との怒号も飛び交った。さらに、石井氏は公明党議員から池田氏への献金疑惑などを次々と質問。創価学会の秋谷栄之助前会長の国会発言を「全くでたらめ」と腐した。最近の国会で、公明党と創価学会の問題がこれほどしつこく質《ただ》されるのは異例である。だが、それで終わりではなかった。十二月四日の役員会で、民主党は公明党から脱党し党や創価学会への批判を繰り返している福本潤一元参院議員の参考人招致を求めることを決定したのだ。
 
 証人喚問といえば、額賀氏が〇六年十二月四日に東京・日本橋人形町の料亭「濱田家」で開かれた宴会に出席していたのかどうかを巡る問題への民主党の執着ぶりは異常だった。国会の慣例を破って、野党だけで額賀氏に対する証人喚問の実施を決定した挙げ句に、与党だけでなく共産党などの猛反発をくらってついに喚問をあきらめざるを得なかった。その醜態は記憶に新しい。特に山岡賢次国対委員長はぎりぎりまで喚問の実現にこだわった。ところが、十一月三十日になって、民主党はあっさりと手を引いたのだ。民主党関係者によると、「小沢氏の『今は勝負する所ではない』という鶴の一声で決まった」というが、それなら初めから喚問を要求しなければ良かったのではないか。
 
 その不可解な民主党の行動の背景には小沢氏の戦略があるのだと、関係者は次のように断言する。
 
 「今、民主党内ではひそかに『公明党―創価学会追及チーム』が発足して動いている。福本氏の参考人招致、石井さんの質問もすべて公明党へのブラフ(脅し)。額賀氏への喚問要求も計画の一環だ」と。
 
 「その気になれば、いつでも創価学会の池田大作名誉会長の喚問をやれる」(民主党議員)という力だけを誇示して、民主党は悠々と額賀氏喚問から手を引いたというのだ。将来の政界再編を見据えて、波乱要因となる中間政党の公明党を今のうちに叩いておけば、将来、協力関係になっても敵対関係になっても何かと有利だと、小沢氏は考えているようなのだ。ただ、攻撃された公明党が今まで以上に自民党との結束を強める可能性もあり、こうした戦略が民主党にとって吉と出るか凶と出るかは、まだ分からない。
 
 民主党の公明党攻撃に対して、国民新党がとった微妙な対応も今後の政局を読む上で重要だ。民主党は創価学会追及について、国民新党にも協力を呼びかけたと言われている。だが、国民新党は連携を丁重に断った。国民新党は現在、参院で民主党と統一会派を組んでおり、国会対策で協調態勢をとっている。だが、民主党を心の底から信用しているわけではない。首相問責決議案の提出に向けた民主党内の動きに対しても国民新党は距離を置いている。
 
 首相が十一月二十一日に、外遊先のシンガポールで同行記者団と懇談した際、「誰に対する問責かな? 僕を問責できるような人がいるかな? フフフ」と自信たっぷりに言ったのも、すでに首相の耳には国民新党が問責決議案の提出に反対するという確かな筋からの情報が入っており、民主党は決議案を提出できないだろうと読んでいたからだ。
 
 民主党が決議案提出を強行すれば、国民新党は参院での民主党との統一会派を解消するだろう。国民新党は弱小政党にすぎない。だが、野党共闘を進める民主党にとって、その離反は痛い。国民新党はその立場を巧みに利用し、政界再編時には自らを高く売りつける作戦とみられる。民主党の鳩山幹事長は十二月三日夜、東京・紀尾井町のホテル・ニューオータニで開かれた国民新党議員のパーティーで、「国民新党さんからは『いつでも会派離脱してやるぞ』と、毎週のように言っていただいている」と自虐的なジョークで会場を沸かせた。民主党は駄々っ子のような国民新党の扱いに、今後も手を焼くことになりそうだ。
 
 自民党の「ポスト福田」レースに加え、政界再編への流れを肌で感じて、与野党議員は徐々に浮き足立ってきた。これらの流れの行き着く先はまだ見えないが、一つだけはっきり言えるのは、自民党と民主党が二年後も今の形を保っていることはあり得ないということだ。

131片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/02/28(木) 09:38:56
全特と国民新党、協力維持で一致 次期総選挙向け
2008年02月27日21時56分

 国民新党は27日、党本部で「郵政見直し会議」を開き、全国特定郵便局長会(全特)と次期総選挙に向け協力関係を維持することを確認した。全特の要請を踏まえて同党は、民営・分社化された郵政事業を抜本的に見直す法案をつくる方針で、民主党などに呼びかけて早期提出をめざす。亀井久興幹事長は記者会見で「自民党からも抜本見直しの働きかけがあるが、民営化に賛成した彼らとは一緒にできない」と強調した。

 一方、全特の中川茂会長は総選挙について「国民新党への支援が基本だ」と記者団に語り、自民党への支援再開に否定的な考えを示した。

http://www.asahi.com/politics/update/0227/TKY200802270355.html

132片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:41:38
当選請負人:鈴木精七セオリー/1 初陣で敵地を急襲 /岩手
 小沢一郎や中川秀直、岡田克也らが教えを請うた選挙の神様、鈴木精七(83)。ひところ彼を知らない国会議員はもぐりと呼ばれた。政界を離れて6年、大衆の深層心理を読み解き票を積むことに通暁した当選請負人が初めて、鈴木精七セオリーを明かす。【インタビュー・構成、念佛明奈】

 ◇マイカーで動員、奏功−−「やるじゃないか」認めさせないと

 ■小沢一郎の初選挙は1969年12月だった。父佐重喜が前年5月に死去。その弔い合戦として初陣に臨むことになる。参謀鈴木精七は、小沢の最初の印象をこう振り返る。

「どうにも、あんまり印象がない。のほほんと立ってるだけで何もしゃべらなかった」

 旧岩手2区には昭和の“三賢人”椎名悦三郎がいた。同じ自民党の現職、志賀健次郎や社会党の北山愛郎がひしめく。

 参謀がお互いに事務所を表敬訪問する習慣がありました。公示後すぐだったかな。志賀氏の参謀が小沢事務所にあいさつに来た。その態度に油断が見えたんだよ。ガラ空きだなこれは。それで「地盤の一関を攻撃しろ」と指令を出した。

 1200人集めると言ったら、こっちの陣営から声が上がったよ。「志賀健次郎の出身地に乗り込むのに1200人もどうして集められるんだ」と言うんだな。「そんなことないよ。集めようと思ったら1200人すぐ集まるよ」と言ってやった。

 ■大集会には二つの意味がある。内部の運動がさらに盛り上がること、そして敵陣に向けて強力なけん制になることだ。大集会の出来いかんで弱小候補が当選し、順調な陣営が落選することもある。

 動員するのにバスで集めて、引っ張ってくるなんて感覚じゃだめですよ。自家用車です。1台に5人乗せてくればいい。若い人たちに「金ケ崎町から5台動員できますか」と聞いたら、「10台でもできる」と答える。「じゃ江刺市(現奥州市)で10台できませんか」「すぐできる」。(選挙区内の)各町村に3台ずつ動員して1台5人ずつ集まったら1200人すぐ来るじゃないのって。

 事前に同乗者をリストアップして事務所にもらう。おじいちゃん、おばあちゃんがいれば、「うどんでも食べさせなさい」とか「デパートでも回ったらどうですか」と。自家用車の方が動きやすいでしょ。街に出てくるんだから、家族サービスになるじゃないか。

 一関に縁故のある人も来てくれと言うんだ。嫁さまの実家とか親類に帰りに寄ってもらって頼むの。キツイですよ(笑い)。それで反応が良さそうなら、またこちらから行く。

 バスは駄目。それはね、理由があるの。定員を大体40人として、集落で3〜5カ所の停車場所を決めるでしょ。2番目ぐらいになると「来るって言った人が来ていないから、ちょっと待って」となる。次行けばまただ。最初の人は飽きてしまうよ。

 動員された人たちは義理で来ている。集落の有力者、要するに幹部の人から言われて義理で座っているだけ。自分が大会に行って演説聞こうなんてのは、まあ100人に1人いるかいないか。待たされてやんたな気持ちで会場で座ってもらってもね。

 ■一関市での大集会は約700人を動員して成功を収めた。敵地での集会をきっかけに選挙運動はせきを切って水が流れるように展開する。

 その流れが評判になるんです。「小沢は動いている、攻撃している」というのが起爆剤になるわけです。田舎の政治屋さん、そういう人たちの話題に乗せなきゃ。「小沢やるじゃないか」と認知させないと新人は駄目なんです。

 その次がどぶ板ですよ。

133片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:42:12

 ■新人の場合、鈴木は「火をつける」ことを重視する。1967年1月、新人、山口敏夫(元労相、旧埼玉2区)は落選するとみられていた。

 山口の場合、誰も当選できると言う人がいない。平河クラブ(自民党記者クラブ)の連中に聞いてみても、「行かない方がいいよ、今回は顔見せなんだから」と問題外だった。地元の記者さんもそう。

 その時はマスコミを利用したんだ。ある放送局の記者が来た。「どうですか、そちらからみて」と聞いたら、やっぱり山口はぼろくそなの。どこの社も同じことを言う。

 そこで「山口はそこそこ行きますよ」と情報を流したんだ。そうすると「どこ見られてますか」と聞かれるわけだ。で、「3日後にここ行ってみてください」と言う。3日の間に動員してそこを攻撃する。マスコミはその後を行くわけだから何ぼか香りはするわけです。すると、「そう間違ってないな」とこうなる。それがこっちの作戦なんだ。で次行ってみてくれ、と次はそこに動員をかける。

 ■山口は当選し、労相にまで上り詰める。

 07年の民主党が大勝した参院選で、小沢代表は最後まで郡部中心の「川上作戦」に徹した。あえて都市部に背を向け、人口の少ない山間部や県境の村に足を運んだ。

 その拠点が、小沢一郎が言う「山」ですよ。本当の山の奥、人口2000〜3000人のところへわざわざ党首が行ってしゃべるんだ。

 なぜか。人が少ないからすぐまとまるんだ。それに「党首が来た」ということで握手なんかをする。で、「固まった」となる。政策とか小沢が何言ったとかって、皆が政策聞いてるわけがないもの。新聞に書いてあるもの。「小沢が来て、手握ってこうやったんだ」ってね、「農家のこと一生懸命やるって言ったんだからいいじゃないか」となるんだ。それで支持が変わるわけ。自民党の大票田が崩れた。

 その戦法で自民党を崩さないことには、民主党には田舎で票が入らない。小沢は山村の塊を自民党を崩す拠点にしたんだと思うんですよ僕は。

 当選できそうだとなれば、バッジ族(議員)も有力者も集まってくるんですよ。そこまでは石にかじりついてでも進まなくちゃいけない。手練手管を駆使してね。それはやっぱり選挙参謀の仕事です。(敬称略)=つづく

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 ■人物略歴

 ◇すずき・せいしち

 ◇大物続々、国会に

 新人、小沢一郎の最初の選挙(1969年)を指揮し、初当選させた人物。

 落選確実とみられた山口敏夫(元労相)を初当選させた手腕はいまも語りぐさになっている。

 ほかにも岡田克也(民主党副代表)、中川秀直(自民党元幹事長)ら数々の議員を国会に送り込んだ。李香蘭の名で知られる山口淑子(元参院議員)もその一人。

 1924年生まれ、旧前沢町(現奥州市前沢区)出身。政治家を志し50年、自由党(現自民党)政務調査会事務局入り。83年に元首相、田中角栄が田中軍団の選挙最高顧問に迎えた。続いて竹下派、新生党、自由党でも選挙戦術を指南した。

 病妻の療養のため、6年ほど前に帰郷。政治活動から身を引いて隠れ住もうと平屋を建てたが、今でも選挙前になるとこっそり「鈴木詣で」をする議員が後を絶たない。

毎日新聞 2008年2月28日
http://mainichi.jp/area/iwate/archive/news/2008/02/28/20080228ddlk03010078000c.html

134片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:43:12
当選請負人:鈴木精七セオリー/2 派閥入り /岩手
 ◇ライバルの偽名簿見抜き

 ■今でこそ「選挙の小沢」だが、最初はズブの素人。父佐重喜の選挙を手伝った経験さえ、ほとんどなかった。佐重喜の死後、参謀だった鈴木精七を本人が訪ねた。

 お袋がついて来ました。「奥さん、何で来られたんですか」と聞いたら、「一郎のことで、どうしたもんかなと思いまして聞きに来たんだ」。立候補させるかどうか迷っていたんだね。年を聞いたら、26歳だという。「2回落選したって30代じゃないか。これから2回出て、3回目なら何ぼ何でも取れる」と言ってやったよ。「政治家なんか30代だったら若いもんだ。心配することないからやったほうがいいですよ」とね。

 ■まず派閥選びから。鈴木は党政調会事務局の経験から党内部の議員事情にも通じていた。

 お袋に聞いた。「ところで奥さん、派閥のほうはどうなってんの」と。そしたら「まだ決まってません」と言うんだ。誘われてるのは藤山派だと。親父の佐重喜さんは、藤山(愛一郎)派の大幹部だったから。「そりゃ、過去の人だ」と言ったんだ。まだ現役でしたよ。だけど政治的な流れから行けばもう過去の人です、と。

 それから岩手県の鈴木善幸さんね。「いや、鈴木善幸というのは人を育てるような頭のある男じゃない」と言ったの。そしたら大平(正芳元首相)からも来ていると。大平は面倒見がいいが、大平のところに行く理屈がない。おやじが世話になったとか、同じ岩手とか必然性がないんですよ。

 結局は党の公認決定は幹事長なんだから、幹事長のところへ行くべきだと。その時は幹事長は田中角栄なんです。一郎くんとおれが2人で幹事長室に行ってくる、となった。

 ■自民党本部幹事長室を訪ねた鈴木は、懇意にしていた田中の秘書、榎本敏夫から「オヤジ(田中角栄)の頭には別の候補があるよ」という言葉を聞く。旧岩手2区から別の候補。

 「おれは聞いたこともねえ。どうしてそういうことになったんだ」と言ったら、その候補の後援会名簿というのを持ってきた。しばらく見てから「榎さん、何だよこれは?」と言ったんだ。「これは有権者名簿を写してきたばっかしじゃねえか」ってね。「何で分かるんだ?」。見なさい、筆跡がみな同じじゃないか。ハンコは違うけど朱肉は皆同じじゃないか。おれは選挙の実務をやってるから、底辺のことをみなやってるんだから。

 そしたら、「分かった、じゃあオヤジに話してくる。その代わり条件がある」。条件て何だいと聞くと、「おれは掛け合うけれども、鈴木さんあんた小沢のために参謀をやってくれるか。やってくれるなら、だ」と言うから、「言い出しっぺだから仕方ねえな。やるよ」となった。しばらくしたら榎さんから電話が来て「オヤジOKだよ」と言う。それから角さんとも話をしました。

 おれがまた先生さまだ。表には出ないけどね。一郎くんとは毎晩会って飲む。あれは強いですよ。相当飲む。酒は何だって飲む。自分から飲むんじゃなし、飲ませられれば飲む。後援会に行っても、杯みんな空けてしまう。若いのによくやるんですよ、素質がある。乱れたりするのは今まで見たことがない。

135片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:44:20

 ■学生の小沢が相手にしなくてはならないのは大物現職だった。特に佐藤政権で外務大臣を務め、「外交の椎名」と呼ばれた椎名悦三郎は父親時代からのライバルだ。

 「外国行ったことがあるか」と小沢に聞くと「ない」という。「じゃあまだ選挙まで間があるから行ってきたほうがいい。どこでもいいから好きなところに行って、写真だけ撮って帰ってきなさい」と。そしたらイスラエルとどこ行ったっけな、香港にも寄ったな、それで帰ってきた。

 写真は重要なんです。外務省というのは地方に関係ないんだ。予算はないし、外国の総理がどうだの、それがどうした。小沢も写真だけ(パンフレットなどに)載せればね、対抗できるんだから。椎名悦三郎の1枚看板のツヤは消えていきましたよ。椎名1人だけが外務大臣じゃないぞと、こっちもあるぞとそれを写真だけでやろうってわけでね。

 ■有権者の心をつかむためには特にハンサムでなくてもいい。だが魅力的でなければいけないと鈴木は言う。当時、大学院生だった小沢の服装にも注文をつけた。

 仕立てはどうあろうと生地の良いのはやっぱり全然違いますよ、座った時にね。タレント性がないと。おやじの佐重喜さんのほうは進駐軍の払い下げ着て喜んでるような人で、そういう家風でしたけどね。

 僕は靴はワシントン、ネクタイは田屋にしなさいと言った。洋服は舶来の生地を使って、カラーはオーソドックスにと。それを小沢一郎は実行した。料理屋に行くと帰り際に、靴の良いのは真ん中に並べるんですよ。暑い時は座敷で上着を脱ぐでしょ。女の人はね、田屋のネクタイだと尊敬しちゃうの。票にまでならないけど、イメージは良くなるんだ。【念佛明奈】(敬称略)=つづく

毎日新聞 2008年2月29日
http://mainichi.jp/area/iwate/archive/news/2008/02/29/20080229ddlk03010314000c.html

136片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:45:44
当選請負人:鈴木精七セオリー/3 有権者の中へ /岩手
 ◇「赤提灯」巡って情報取り

 ■自民党の中川秀直元幹事長は故中川俊思(しゅんじ)衆院議員の娘婿となり、76年に初当選した。2回目の選挙では落選。鈴木精七が呼ばれた。事務所には先代の秘書が「ふんぞり返って座って」いた。

 陳情の申し込みを事務所で待ってるんだな。票を取るスタッフになってない。秘書が事務所にいていいのは疲れて休憩しているか、相手の時間が合わないで待っている時だけですよ。もっともらしく事務をやっているのがいたら、それはクビですよ。やる気がないんだから。秘書は票を取ることに1分でも集中していないと駄目。活動家が一生懸命やってるのに、座ってるなんてことが許されますかいな。

 実は外歩きのほうが部屋にいるより楽なんですよ。

 中川の秘書団を集めて「これから団地を10軒ずつ歩くよ」って一緒に歩いた。3軒か4軒歩いて、どうだつらいかと聞くと「つらくない」と答えるんだ。頭で考えると人間は動かないの。

 代議士の中でも秘書が何人もいたって選挙が弱いのがいる。だけど有権者に触れてれば強い。それをやっているのが小沢一郎の事務所なの。

 どこの秘書も選挙区内でいくつか地区を割り当てられる。そこを日常歩かないといけない。毎日歩くわけにはいかないからたまに「いかがですか、お変わりありませんか」とあいさつしてね。代議士の事務所から来ました、と。やったほうが勝ちですよ。

 ■中川は旧広島2区トップ当選で返り咲く。国会議員だけではない。鈴木は首長、地方議員の参謀にも入る。見ず知らずの土地に入って2週間もすると、鈴木は政治情報に精通する。

 なぜ事情を知らない僕が行って作戦を指導できるか不思議でしょう。

 僕は皆から聞いた話を必ずメモするんです。それを夜、地図におろす。わら半紙でいいですよ。前沢町っと書いて「鈴木、平屋建て」とか、年齢まで書いておく。皆が断片的にしゃべる内容を書き込んでいく。集落の中の親せき関係から何からもう全部。「あの町長は彼女がいる、彼女の家はあそこだ」とか、そんな話を書いていく。

 「あそこのおでん屋の母ちゃんには3人くらいシンパの男がいる」という情報があれば、それは誰と誰か名前も一緒に書いておくの。すると飲み屋の常連が分かるんですよ。飲み屋の話が分かれば、業界の動きも分かる。

 10日もすると政治関係の情報が蓄積されていろいろ重なってくる。そんなに量がないからね、整理できる。それで現場に入っていけるんですよ。話をする皆より詳しくなっている。周囲はびっくりするけど、皆が教えてくれたから覚えただけだって。(笑い)

137片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/02(日) 00:47:19

 ■票を稼ぐ者を活動家と呼ぶ。上手に情報をキャッチして流すのが参謀の役割だ。

 小沢の時の話ですけど。夕方になると僕は事務所にいない。赤提灯(ちょうちん)を歩いてるんですよ。水沢の場合でも、いろんな飲み屋でビール1本ぐらいずつ。

 飲み屋に行くと、まず学校の先生がいる。女の子にベトベトして、ビール1本でねばってへ理屈語ってる。女の子はビールも飲ませてもらえずに。

 普段外で飲まない先生が飲んでいるっていうことは、活動費が底辺、つまり有権者まで流れたということですよ。

 学校の先生は教え子のところを歩くでしょ。小沢と同じ選挙区に革新左派の現職議員がいました。日教組が手を回したと推測できる。こっちは小沢事務所に行って「日教組対策をやってくれ」と指令を出すわけだ。

 話を聞いてりゃ、敵陣の情勢もすぐ分かります。こっちはいい塩梅(あんばい)で歌なぞ下手くそなのを歌ったふりしてね。間を取りながら聞かないふりして聞いてるわけだ。

 ■昨夏の参院選。民主党は「1人区」(29選挙区)で推薦も含めて23勝し、自民党を圧倒した。鈴木は「1人区で18、19、もしかすると21議席取れる」との票読みを小沢に伝えていた。次期衆院選では、市町村合併効果で当選する民主党の新人は20人前後、と鈴木はみる。

 昔の実績を分析する必要がある。判断のための基礎数値は、例えば町村の票だ。前沢町(現奥州市)は合併して、20人だった議員定数が5人に減った。06年3月の市議選で前沢町議からの立候補者は20人のうち8人だけ。つまり残りの12人は眠ってるんだ。参院選は7月末でお盆時期だったから、寝た12人の議員さんたちは動けない。あいさつに行くのでも、土産を持って行ったりで金がかかるからね。

 ほとんどが自民党の票です。眠った議員がそのままなら、そのうち2〜3割は民主党に動くはずだという数字が出せる。【念佛明奈】(敬称略)=つづく

毎日新聞 2008年3月1日
http://mainichi.jp/area/iwate/archive/news/2008/03/01/20080301ddlk03010287000c.html

138片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/03(月) 00:44:56
当選請負人:鈴木精七セオリー/4 1週間で活動家 /岩手
 ◇おばあちゃんをその気に

 ■「急に地縁血縁は作れない。だがマニフェストは作れる」と言ったのは増田寛也前知事。鈴木精七は違う。「政策論争より、活動家が自分の足で稼ぐ1票だ」

 活動家は衆院選だったら400人から600人くらい必要かな。市長選なら300人、県議・町長選では100人か120人。最初は活動家15人から始めて、1週間で30人、60人……と倍に増やしていく方法を「倍々ゲーム」というんだ。皆知ってる方法だけど、成功した話は聞いたことがない。婦人会で次は1人が1人ずつ連れて来ましょう、とか言うけどね。次の週は逆に人数が減ってるくらいだから。成功するか否かはね、最初の15人にかかっているの。

 ■鈴木流「倍々ゲーム」の条件は二つ。候補者が本気で依頼する。選挙戦最初の3カ月間は倍々ゲーム以外のことを一切やらない。岡田克也(旧三重1区)は初選挙でお辞儀の練習を始めた。

 本人の真剣さを表現するためです。岡田には、ひざ小僧の下に手が届くまで上体を曲げて、体を起こすときにたっぷり時間を取ってくださいと教えたんだ。静かに起き上がる瞬間に、支持者の人たちの感情は高ぶって涙が流れるんだ、実際に。お辞儀も「あいさつ」じゃなく、「演技」ですよ。もちろん奥さんも一緒に練習しました。大切なのは、必ず夫婦2人で訪問して頼むこと。母ちゃんに内緒で出馬決める人もいるけど、それは駄目。夫婦そろって初めて正式な依頼になるんです。それでこそ相手に本気さが伝わる。

 選挙は有権者に触れることが大前提だからね。活動家を説得しているうちに候補者としての習性を身につける。いい練習になるんだ。

 候補者と一緒に行くと僕は、「当選したら3期目か4期目で大臣だよ。事業やってるあんたがこの先、何か相談するったって一介の代議士より大臣に頼むほうが分がいいに決まってるじゃないか」と言う。「その機会が目の前に来てるんだ。それも1、2年やれと言うんじゃない。あなたのできる範囲でいいんだ」とね。実際は毎晩やることになるんだけど(笑い)

 それでも簡単に動いてくれるもんじゃない。青年団長さんを口説きに行ったときのことだ。それが田舎だからすぐ伝わって、村長からその人へ電話がいくの。「あんなの当選もしないんだから、やめたほうがいい。恥かくぞ」なんて言われて。団長さんの動きが止まるわけですよ。でもこっちもプロだから何回でも行く。その時は3回通ったよ。

139片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/03(月) 00:45:10

 ■ターゲットは候補者自身の人脈を掘り起こして探す。

 社会生活をしていれば、誰でも最低で10人や15人の人脈はある。学校の同級生、親せき、嫁さまの実家や親せき、魚釣りやマージャンの友達。特に同級生はいい。

 同級生がわざわざ来てくれているのに頭を下げない候補者もいる。官僚だ。聞いたら「向こうから頭下げるのが当たり前だ」と言う。官僚というのは、自分が出世して課長補佐とかになる前に、周りを皆切ってきたんです。頼みごとされても「おれの担当じゃないんだ」って。一般の人の頼みを聞いてたら、官僚としては出世しないからね。それで突然、「選挙で頼みます」と言っても、今さら何だという話ですよ。同級生も親せきも業界もそう。

 ■どうしても人脈がみつからないとき。鈴木は探すのをあきらめて「つくる」。つまり普通のおばあちゃんを1週間で活動家に仕立て上げるのだ。

 近所のおばあちゃんを訪ねて行くの。「ヤマダって聞いたことあるか」と聞く。ないって答えるから「東京から来た役人さんで、今度は代議士に出るんだ。そこの事務所で私ら応援してんだ。聞いたことあるか」「ない」。じゃあ1回お茶飲みに来てみてと。

 お茶飲みに来たときがポイントだ。候補者本人は外出てるけど、事務所に親せきやら元市長やらいますから。まず「この人は選挙対策委員長さんだ。この人は幹事長さん、これは事務局長さん」。会わせると、おばあちゃんは「ほぅほぅ」と段々、雰囲気が良くなってくるの。毎日、家の中で針仕事やりながら「息子は何食べたかなぁ」なんて考えてたのが、新聞に出てくるような人たちがいるんだもの。

 その後、知り合いの家に連れて行ってもらう。「私が行ってしゃべるから、紹介だけしてよ。私がその人に言うから」と頼むんだ。その家で、「私はヤマダの事務所の者ですが、紹介されて来ました。何とかよろしくお願いします」というような話をして、2人で事務所に帰ってくるの。帰りに「いやあ、おばあちゃんきょうは本当にありがとうございました」とお茶を出すでしょ。おばあちゃんはそんな経験ないから、うれしいんですよ。

 次に頼めば、「いいよ、行くよ」ってやる気満々だ。3、4回すると「分かった。また行ってきて様子教えるから」って。もう一流の活動家になってるんだ。【念佛明奈】(敬称略)=つづく

毎日新聞 2008年3月2日
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20080302ddlk03010106000c.html

140片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/03(月) 00:46:12
小沢・民主代表:来県 選挙態度に苦言「厳しさ薄れつつある」 /岩手
 民主党の小沢一郎代表は1日、同党県連定期大会に出席するため盛岡市を訪れ、記者会見で「最近は与野党共に選挙に厳しさが薄れているのではないだろうか」と指摘した。

 小沢代表は選挙を「国民の審判を仰ぐ、代表になる、という行為」と定義。故田中角栄元首相を挙げ、「初めて会ったときも非常に厳しい話をされた。ロッキード事件以降、少し甘くなった感じがあったが、すごかった。怖かった」と振り返った。

 小沢代表の初選挙の参謀であり、田中派の選挙最高顧問を務めた鈴木精七氏(83)については、「非常に選挙については厳しかった。そういう意味で、僕にとってはいい相談役であり、いろいろと教えてもらって感謝している」と語った。

 ある同党県議は、「今でも十分厳しいと感じていたが、『昔は非常に厳しかった』と聞いて怖くなった」と話していた。【念佛明奈】

 ◇一問一答

 主な一問一答は次の通り。

 −−総選挙の時期はいつごろか

 今の福田内閣をみると、昨夜のこと(与党による衆院本会議の強行採決)も含めて危うい感じがする。自公のためにも、我々のためにも、国民のためにも早く選挙をやったほうがいい。選挙となる可能性も十分あると思っている。

 −−県内の目標議席数は

 県内のことは2区を取ってパーフェクトの結果にしたい。

 −−東京への「国替え」はあるのか

 僕自身のことがいろいろ言われているが、そのことについては今、一切考えていない。

 −−7月に予定される「平泉」の世界遺産登録について

 世界遺産にぜひ登録してもらいたいと、県民の一人としても期待している。

毎日新聞 2008年3月2日
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20080302ddlk03010107000c.html

141片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/04(火) 01:21:57
当選請負人:鈴木精七セオリー/5 活動家の真がん /岩手
 ◇すぐ「天ぷら」信用できぬ

 ■当選する陣営の事務所は日中人が少なく、夕方には戻ってきた活動家で活気づくという。

 青年部や婦人部ってあるでしょう。票を取る組織になってないのが実態なの。婦人部が何をしてるか。ご飯の接待ですよ、今は食事出しませんけれど。事務所に誰も来なかったら、ただ皆でワイワイ駄法螺(だぼら)吹いてるんだ。そういう人がなんぼいたって1票になっているのかってことです。

 だから来てもらったら「大変申し訳ないんですが、お休みなってからで結構ですから、ひとつご自分たちの集落に行って、中の様子を皆さんでお調べになってきてくださいませんか」と。これが徹底したところは当選しています。

 事務局長をはじめ、お願いすることに違和感があるんだね。頼むセンスのない人が上に立つと皆がダラダラしちゃう。

 大事なのはね、素人に難しいことは言わないこと。達成感を味わってもらうのが一番いいんだ。だから目標を小さくする。早い話が、初めての人に誰かがついて行ってポスター1枚だけ張って帰ってくる。帰ってきたら「どうもご苦労さまでした。ありがとうございました」と言えば、気分いいわけだ。それが達成感になるんです。

142片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/04(火) 01:22:15

 ■事務所の活気を演出する茶菓の出し方にも、鈴木精七流がある。

 おれのとこに来るやつは皆金のない人だから、生菓子なんて出せない。ミカンだ。ピラミッドみたいにきれいに盛りつけてあると手つけられないんだな。最初に手をつけるには勇気がいるでしょう。だからいつまでも残る。

 事務所に置くので、一番いいのは「せんべい」。硬いのを箱で買ってくるの。山盛りに盛っておけば、誰も手をつけないの。食べるとバリバリと音がするからね、皆口の中でなめて、音がしないようになるまで湿らせてから、のみ込むんだ。だからなかなか減らないわけ。特に女性は手をつけない。包装もね、端にギザギザのあるのは駄目。簡単に袋が裂けないようなのを買ってくるんだ。残ったら箱に入れて集会でも使う。

 お茶は熱いのを出すといい。熱いのはゴクゴク飲めないからそんなに減らない。熱いの出せば敬意を表していることにもなるしね。

 ■鈴木が選挙のイロハを学んだ小沢佐重喜(小沢一郎民主党代表の父親)事務所は金を使わないことで有名だった。人と接触して人間関係をつくるのが鈴木の身上だ。

 人を口説きに行くときは「物を持って行ってはいけない」と言います。例えば500円のイチゴを持って行くでしょ。次の人が600円のを持って行ったら、前の人パーじゃないの。物を持って行かないで人を説得ということは、真剣ですよ。

 あとは「物事はドライに頼みなさい」と言うの。小沢一郎をお願いします、と。頼まれて腹立つ人はいないからです。人が金借りに来たとするでしょ。実際は貸さないでも、その夜飲み屋で「知り合いが金貸せって来てさ。困っちゃうね」と鼻高々だ。頼まれて嫌な気はしないということ。

 あまり親しくない家の場合ね。こんにちはって言った後、「ヤマダの事務所から来ました」じゃ、素っ気ないよ。「ああ、菊がよく咲いてますね」と言えばいい。豚を飼ってたら「もうどれぐらいになりました?」なんて言ってね。「お陰さまで10頭にしました」。「そんじゃ左団扇(うちわ)ですねえ」なんて、打ち解けるでしょ。

 例えば、奥さんが台所に立ってお茶を出してくれるとする。お茶出すまでの仕草で深層心理を判断するんだ。目をぱっと外されたらまだ駄目。女性は、「嫌いだ」とか「その用事は聞きたくない」とか、そういう表情を瞬間に出すんですよ。おやじは「よし分かった」と言っても、母ちゃんが目を外してたらまだ票が固まってないということ。大丈夫なときは情報をくれる。「あそこの家にはちょこちょこ見慣れない人が来てる」とか。そうなれば本物だ。

 ■そんな一日を終えて活動家が事務所に帰ってきたら、鈴木は食堂で食事をしてもらう。天ぷらなどを用意させるが、すぐに天ぷらをおいしそうに食べる活動家を信用しない。

 本気で活動してきた人はね、のどを渇かすんですよ。お茶とか汁ものとか、水気の多いものに手が出るでしょう。まず天ぷらに手を出すような活動家の票はゼロだ。

 市議選とか小さい地方選挙になると、票読みをよくやらないといけない。票読みは、活動家の性格と評判を調べておかないと当たらないんです。調子よく「いや、きょうは10票くらい稼いだんじゃないかなぁ」という人は、ゼロだ。表向きはお礼を言うがね、メモ帳には「これは駄目」と書いておく。逆に「きょうは5票だった。大丈夫だとは思うんだけど−−」と言うのは信用できるね。【念佛明奈】(敬称略)=つづく

毎日新聞 2008年3月3日
http://www.mainichi.jp/area/iwate/news/20080303ddlk03010027000c.html

143片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/05(水) 01:57:22
当選請負人:鈴木精七セオリー/6 「中だるみ」逆手に /岩手
 ◇うそ情報、敵陣翻ろう

 ■新人候補の応援に入る田中角栄のために、鈴木精七は収容人数700人の会場を用意した。

 そしたら角さんの秘書が東京から電話かけてきた。「総理大臣が行くのに、どうしてそんな狭い会場なんだ」とこう言うんだ。だから「それは総理に対するエチケットですよ」と言ってやったよ。そりゃ講堂とか体育館を使えば5000人や8000人は集められる。そんなの知ってるけど、総理が来て5000人集めようが1万人集めようが当たり前で、社会的には誰も驚く話じゃない。だけど「集まった人が会場に入り切れず、けが人が出た」となれば、それは大ニュースになる。それが総理に対するおれのエチケットだってね。そしたら「これでやりなさい」となったよ。

 ■活動家がある程度の人数になった時点で、鈴木は本格的に外部へのアピールを始める。

 3カ月間集中して倍々ゲームで活動家を増やしますね。その間に僕が仕草の見分け方や口説きのテクニックをどんどん教えていく。だから600人なら600人になった途端、その人たちは自分で説得に歩けるんだ。

 そこからいよいよ、ポスター張りだとか街頭だとかのPRに入っていく。600人いるから1晩で電柱にポスター2万枚くらい張れるんですよ。1晩でやるとね、他の連中は「この力は大変だ」と目パチパチだ。そりゃ、どの代議士も集会やるって言ったら600人くらいすぐ動員できる。議員や業界関係に声かければ集まるんだから。だけど義理で来た人たちにポスター張れますかって。同じ600人でもこっちは全員自分の足で票を稼げる。選挙のプロが見れば、こっちの陣営には「足がある」、つまりどぶ板作戦の基礎ができてると分かるんです。

 ■一軒一軒をひたすら歩く「どぶ板」。戸別訪問は英米独仏など主な議会制民主主義国では広く認められた選挙運動だ。

 選挙戦終盤になると新聞に、各陣営の参謀の意見というようなのが出てるでしょう。「うちはどぶ板作戦を展開する」「おれたちは最後のローラー作戦を展開する」って。あれは「戸別訪問をやります」と新聞で発表しているのと同じです。選挙違反になるから言えないだけの話だ。

 戸別訪問は共産党から自民党から、社会党も無所属もどこもですよ。選挙が終わって戸別訪問で検挙されることが何回ありますか。警察も皆がやってて、ある意味で平等だから、取り締まりたくないんだ。「あの人が戸別訪問してる」って後をついて歩くほど警察官も人手があるわけじゃない。今、日本の法律は戸別訪問を禁止してますけど、世界各国先進国はほとんど違反にならない。日本もいずれ、民意をもう少しオープンに取ろうじゃないかという流れが出てくるでしょう。

144片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/05(水) 01:57:49

 ■精鋭の活動家集団といえど、大集会の直後は「中だるみ」に襲われる。疲労によって活動家が動かなくなる現象だ。鈴木は「下手に踊らず、腹決めて休むしかない」と言う。

 経験から言うと、大体2週間は頼んでも動かないし、動けるものでもない。だから事務所開きに人を集めたいなら、その前の大会は中だるみに当たらない時期に計画しなさい。

 ただね、それを逆手に取る戦術があるの。公示・告示5日前に2000人集めるって情報を流すわけ。その通り実行したら、告示日が中だるみだ。これはうそ情報なの。でもそれ聞いて対立候補の陣営は「じゃあ、こっちは3日前に3000人だ」と対抗するわね。

 ところが、こっちは元々うそだから土壇場で中止する。あっちは突然中止すれば混乱するからそのまま流れ込むでしょう。

 肝心の告示日にどうなるか。こっちが1000人、敵は3日前に大動員しちゃったから400人しか集まらない。

 毎日のように各集落で集会を開く陣営がある。そんなことしてたら活動家は疲れて、動かなくなるんですから。

 ■多くの泡沫候補を逆転当選させてきた鈴木は、当選後の落とし穴にも注意を配る。

 2度目のジンクスね。衆院議員になると「集会」に呼ばれます。農協、老人会、医師会、建設業界、商工会−−から声がかかる。その合計が10万票だって錯覚するわけだ。集会に出る人なんて組織全体の何分の1。わざわざ集会に来るような人は支持者がもう決まってる。そこに何ら浮動票的な要素はないの。

 あとは「陳情」。代議士は自分が担当の役所に連れていって予算が取れたと思うけどね。田舎に帰れば、「おれたちが行って代議士を動かして予算を取った」と地元の議員の手柄になってるんだ。

 学校の入学問題や就職もそう。ある世論調査の結果で「代議士の世話になったことがある」と答えた有権者が1・4%。その中で世話になった代議士に投票したのは7割、有権者の1%だ。意味がないんです。【念佛明奈】(敬称略)=つづく

毎日新聞 2008年3月4日
http://www.mainichi.jp/area/iwate/news/20080304ddlk03010079000c.html

145片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/06(木) 00:25:26
当選請負人:鈴木精七セオリー/7止 “獣道” /岩手
 ◇「カネが証し」に落とし穴

 ■万歳する候補者と鈴木精七が一緒に写った写真は一葉もない。

 万歳には行ってない。会場にも行かないんだ。別に行く必要ないし、違反が気になりますから。活動家がおれの分からないところで飯食わせたりね、いいと思って酒飲ませてたり。それで警察に捕まって事情聴取されてたことがあるんです。親せきや家族は大変心配する。だからおれはすぐ行って、警察で話を聞いてその情報を伝えたりしなくちゃ。票を稼いだ人が警察に事情聴取されて、家族や奥さんが青くなってるときに万歳なんて言ってられるか。

 ■公職選挙法違反でよく耳にする飲食の接待。

 飲ませ食わせが一番いかん。寿司(すし)屋の2階で会合して、会費500円で食べて解散したなんてことよくあるでしょう。

 皆が会費を払っているかと言えばそうじゃない。自分が来てくださいって頼んだおばあちゃんに、「500円払ってくれ」と言えますか。「そっちはおれが払うから、顔だけだしてくれ」ってなるでしょう。100人いればそういう人が20人や25人はいる。

 会費500円払ったとしても大概1200円か1300円の寿司を配るでしょ。寿司は取り締まりの対象ですからね。寿司、カツ丼、天丼は「飲食物」の中に入るから買収になるんだ。「払った、払った」と言うけど、代理で払ってるのがいっぱいあるんだ。

 そこへ警察が「誰が払った?」って行く。3〜4人事情聴取すれば、誰と誰がここに座って、一番最初のあいさつは誰、最初に刺し身食ったのは誰−−って大体分かってくる。刑事はそこまで調べられるよ。そりゃあんた、店があって仲居さんがいるもの。しかも参加したのは何も分からないおじいちゃんやおばあちゃんだ。聞かれれば正直にしゃべるでしょう。

 だからおれは「やっちゃ駄目」と厳しく言う。それを皆に徹底しないで、よく市議会議員の中に派手にやるのがいるんだ。お巡りさんを出世させるだけだよ。

 ラーメンは大丈夫なんだ。チャーシュー麺がどうかってなるとあれは丼並みに高いからなぁ。うどんやそば、ミカンだとかは「茶菓」といって、大体が取り締まりになった試しがないね。

146片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/03/06(木) 00:27:05

 ■選挙戦終盤に焦った陣営がカネを使うというのはよく聞く話。鈴木は「カネには触れない」主義だ。

 「獣道(けものみち)」、要するに買収のこと。地方で菓子屋の社長さんに2000円差し上げたとする。すると、その社長さんが嬉々(きき)として動き始めたということが現実にあるんです。社長に2000円ですよ。子どものお小遣い以下じゃないですか。

 カネの額じゃないんだ。「代議士がおれのことを認めてくれてる」という証しなんですよ。だから一生懸命動くんです。500円で票を「買う」と言うより、500円を「あげる」と言うほうが近いかもしれない。

 でも獣道はね、帰りの道はないんだ。金を渡した人は、渡したらそれで終わり。あそこで総計50万使った、10万使ったとか、使ってしまえばけろっとしてる。経済効果じゃないけど、カネ使う参謀が本当に動いてくれたのかを後から検討したって話を聞いたことがない。

 それに1回やれば、2回目もカネをやらなくちゃいけない。1回運動した人には次もカネをやらないと、「認められた」という証しがなくなった、となるからね。

 ■福島県のある市長選。新人候補の参謀に入った鈴木は、現職陣営がカネを使ってくると予測し、ある対策を講じた。

 表に出ない話だから、時間をかけて情報を整理しないと浮かんでこない。何回か前の昔の選挙とか、うわさとか情報を仕入れて整理する。敵の参謀の情報を集めてね、以前にも同じ陣営で責任者やってたことが分かった。その時にどんな手段を使っていたのかも調べるの。そしたら「カネを使ってる」という。その時にもらった人が、今回はこっちの陣営に入ってたりするんだから。カネさえあれば使ってくる、と予測できる。

 それをどうやって防ぐか。僕は投票日の3日前にうわさを流したんだ。「そろそろ向こうがカネばらまくぞ」と。そしたら怖くて誰も受け取れないじゃない(笑い)。それこそ渡したって動かない。

 ■鈴木は表舞台から身を引き、奥州市前沢区で静かに妻の介護生活を送る。今でも鈴木を訪ね、教えを請う議員や首長は絶えない。

 東京から前沢に戻ったのは6年ほど前かな。家内が病気で、田舎に行ったほうがいいだろうということでね。誰に言ったわけでもないが、そのとき政治のことはやめる腹だった。

 でも2〜3年したら、むつむつと虫が起きてきて。夜中の2時に目が覚めて、頼まれてもいないのに朝の5時か6時まで票の分析やったりして平気なんだ。体がそうなってるんでしょう。根が政治好きなんです。【念佛明奈】(敬称略)=おわり

毎日新聞 2008年3月5日
http://www.mainichi.jp/area/iwate/news/20080305ddlk03010309000c.html

147片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/04/10(木) 01:20:37
日銀人事で異例の応酬 今国会初の党首討論 '08/4/10

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 福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による今国会初めての党首討論が九日行われた。首相は「ねじれ国会」での綱渡りの国会運営にいら立ちをあらわにし、日銀正副総裁人事案をめぐる民主党の対応に不満を爆発、異例の激しい応酬となった。低姿勢路線を続けてきた首相が攻めに転じた格好で、小沢氏とのパイプが途絶えた現状への焦りが見えた。

 「一つお尋ねしておきたいことがある」―。首相は小沢氏の道路特定財源の一般財源化に関する質問に答える前に、自ら一連の日銀総裁人事をめぐる民主党の対応を取り上げた。

 首相は、この日の日銀副総裁人事での三度目の「ダメだし」(民主党幹部)が腹に据えかねたようで「誰と話せば信用できるのか、ぜひ教えていただきたい。かわいそうなくらい苦労しているんですよ」。小沢氏に対し「副総裁がなぜ不同意なのか。代表からぜひ、説明をほしい」と迫った。

 道路や年金問題で首相を追及するつもりだった小沢氏は、面食らった表情で「党首討論は野党党首が質問するものと思っていたが…」と苦笑い。「大蔵省経験者がいけないとは言ってない。日銀総裁、副総裁の中に必ず大蔵省がポストを占める既得権益がいけない」と答えると、野党議員から大きな拍手が起きた。

 首相はこれがかんに障ったのか「日銀人事は翻弄ほんろうされた。人事権は政府にある」「(民主党は)四人も否定した。これこそ権力の乱用、人事権の乱用と言うんです」と憤まんやる方ない様子で一気にまくしたてた。

 さらに新テロ対策特別措置法をめぐる民主党の対応にも言及し「民主党は結論が遅い。(衆参)二院のうちの一院で権力を持ち、政治への責任もある」。これには小沢氏も「参院では野党が過半数を国民からいただいた。その状況で、政府与党が出したことをみんなのまないといけないということはあり得ない」と激しく反論した。

 一方、首相は、昨年秋の小沢氏との党首会談で浮上した「大連立構想」にも触れ「小沢代表は『一緒になってやらないとできない』との気持ちで会談をセットされたと思っている」と未練をのぞかせた。「その気持ちは今でも忘れてもらっちゃ困るんです。あの会談以来、なかなかうまく話し合いできる機会がない」。首相の恨み節は手詰まり感を浮き彫りにした。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200804100056.html

148片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/04/18(金) 00:38:33
衆院再議決にらみ臨戦態勢/与野党激突想定し“禁足”

 与野党は十六日、衆院山口2区補選や税制改正法案の衆院再議決が想定される今月末の激突は必至とみて、臨戦態勢を整え始めた。例年なら閣僚や国会議員の海外渡航が相次ぐ大型連休中も在京を求める“禁足”とする方針だ。五月初めで調整していた福田康夫首相の欧州歴訪も見送りとなり、自民党内からは「連休明けに内閣改造を断行するつもりではないか」(参院幹部)との憶測まで出始めた。

 「四月二十八日以降は禁足をお願いする。五月二日まで海外渡航は取りやめてもらうことになるだろう」

 十六日昼の自民党津島派の幹部会で、小坂憲次国対筆頭副委員長がこう話すと、その厳しい内容に室内は緊張感に包まれた。

 与党は「財政への影響が大きい」などとして、補選の勝敗にかかわらず三十日に税制改正法案を衆院で再議決する方針。この場合、猛反発した野党が参院で首相問責決議案を可決、衆院解散・総選挙を求めることが予想されている。与党は衆院で首相信任決議案を可決して対抗する考えだが、国会空転が長期化する可能性も懸念されている。

 議員の“禁足”は、こうした国会での動きへの対応に万全を期すためで、自民党国対では既に予定を入れていた議員から不満が出ても徹底を図る方針だ。

 ただ、こうした執行部の姿勢に加え、首相が重要視していた外遊まで取りやめたことで、自民党内からは「問責決議が可決されたら、事態の打開を狙って内閣改造をするつもりではないか。可能性はかなり高い」(参院幹部)との見方も出ている。

 中堅議員は「国会開会中は内閣改造をできないとの意見もあるが、国会が空転しているのなら関係ない。支持率回復のきっかけにすることを狙うかもしれない」と指摘する。

 一方、民主党も補選の投開票日となる二十七日から所属議員の海外渡航を禁じ、税制改正法案の再議決が可能となる二十九日には在京しているよう指示した。

 再議決された場合の首相問責決議案については、十八日にも小沢一郎代表ら幹部が協議し、最終的には補選の結果が出てから決める方向だが、政府、与党に圧力をかける狙いで提出方針だけでも早期に決定する案が浮上している。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/seikyoku/20080416.html

149片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/04/19(土) 19:34:22
スコープ 民主 根強い慎重論 首相 問責無視の構え
2008年4月19日 紙面から

 民主党執行部は十八日、ガソリン税(揮発油税など)の暫定税率復活のため、与党が租税特別措置法改正案を衆院で再可決した際、福田首相の問責決議案を参院に提出するかどうか本格的な検討に入った。基本的には提出する構えだが、可決しても首相が無視して居座る見通しなため、消極論も根強い。 (大杉はるか)

 参院民主党は同日昼の参院議員総会で、この問題を協議。「問責を出すのは簡単だが、その後を考えると極力慎重に判断すべきだ」との意見が出た。小沢一郎代表や菅直人代表代行ら幹部も同日夕、一時間以上にわたり協議したが、結論は出ずじまい。週明けに再協議することにした。

 民主党の基本戦略は、同改正案可決直後に首相問責決議案を可決し、衆院解散・総選挙か、少なくとも内閣総辞職に追い込むこと。ガソリン値上げに怒る世論の支持が期待できるため、党内はこれまでこうした主戦論が支配的だった。

 しかし、首相が問責を無視する見通しとなったことで、微妙に空気が変わってきた。

 首相問責が可決されれば福田内閣の下では「一切の国会審議に応じるわけにいかない」(党内中堅)との理屈になる。このため、最長で六月十五日の会期末まで一カ月半も審議拒否を続けなければならず「さすがに長い。民主党への批判が強くなる」(同ベテラン)といった心配が出てくる。

 民主党は、年金記録不備や後期高齢者(長寿)医療制度問題などで政府を追及しているが、「審議拒否ばかりしていては(党の主張が)明確にならない」(輿石東参院議員会長)との恐れもある。

 かといって、ガソリンが値上げされても首相問責決議案を出さなければ「弱腰」との印象を与える。低空飛行を続ける首相に打撃を与える機会を見過ごすわけにもいかない。

 結局、二十七日投開票の衆院山口2区補選の結果や、世論の流れをにらみながら、判断を固めることになりそう。問責提出に積極的なある党幹部は「こっちが苦しい時は向こうも苦しい。首相が問責無視を決め込んでも、我慢できるかどうかだ」と“我慢比べ”を強調している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2008041902004799.html

150片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/10(土) 13:33:53
赤坂太郎(P.224)より

“政変前夜”小泉・小池コンビの野望(1/2)
ポスト福田争いは麻生、与謝野を小池が猛追。対する小沢の奇策とは?

「四月危機のあとに、五月危機がある」。そして、そのあとにくるものは……。

 永田町には、今や“政変前夜”ともいえる空気が漂っている。いずれ福田政権が立ちゆかなくなる、というのは自民党内でも共通の認識となり、対する民主党も、代表・小沢一郎はもはやカリスマ党首とはほど遠い存在で、九月の代表選に向け、ポスト小沢をにらんだ動きが見え隠れしている。両党首がいずれも求心力を失い、裸の王様に近い存在と誰もが感じ取っている。衆議院の解散・総選挙によって、早く白黒をつけるべきことは明白なのだが、首相・福田康夫が、最後の砦、自民党政権を手放すことになるかもしれない、との一点だけで、容易に踏み切れないのが実情だ。“平成の徳川慶喜”として、後世に不名誉な名を刻むことになるかもしれない恐怖心が福田に重くのしかかっているのだ。

 こうした不穏な空気が充満している永田町において、誰よりもその活発な動きが目につくのが、「三度のメシより政局が好き」な元首相・小泉純一郎である。官邸を去って、一年半余り。これまではオペラや歌舞伎三昧の日々を送り、政治的な発言は極力避けてきた。それでも今も選挙の応援要請は引きも切らず、自民党内でも「現職首相の応援はいらないが、コイズミの応援はほしい」と公然と語られている。

 小泉を駆り立てるものは何か。それは、「政界再編」の一語につきる。この言葉を聞くと、血が騒ぐのだ。

 四月九日夜の東京・「有栖川清水」。日本経団連前会長・奥田碩(トヨタ自動車相談役)と小泉がよびかけた自民・民主・財界人の会合が開かれた。自民からは、元防衛相・小池百合子、元沖縄北方担当相・茂木敏充、民主からは、前代表・前原誠司、元幹事長代理・玄葉光一郎、元政調会長・仙谷由人が出席。財界からも楽天社長・三木谷浩史らが顔を揃えた。

 奥田が「日本を背負っていく次代の方々と様々な問題について論議を深めたい」と口火を切ると、小泉も「ここには二人の総理候補がいる。今後いろんな動きが出てくるかもしれない」と続ける。それを受けて前原も「自民党政治がいつまでも続くわけではない。自民党が割れての再編なら、可能性として現実味が増す」と踏み込んだ。前原が代表時代に小泉が「一緒にやろう」と、“大連立”をもちかけたことは、政界では知る人ぞ知る事実だ。自民党との全面対決路線をひた走る民主党“主戦派”からは、「安易に小泉に利用されすぎる」と、会合の後、前原には厳しい批判も飛んだ。

 翌十日には、小泉行きつけの東京・四谷の「りゅう庵」で、盟友・山崎拓、民主党・岩国哲人、喜納昌吉らと杯を交わした。上機嫌の小泉は、「権力闘争を理解しているのは、私と小沢さんだけじゃないか」、「おれがなんとか風といったら、解散風といわれたが、私が言ったのは“変革の風”のことだ」と酔いにまかせて子供を諭すようにまくしたてた。

 小泉が最も神経をとがらせているのは、麻生太郎=平沼赳夫の連携による新保守勢力が台頭することだ。小泉は、ポスト安倍の総裁選で「自民党をぶっ壊すという人(小泉)がいたから、今度は立て直すことをしなければならない」とぶちあげた麻生を許そうとしない。片や、平沼は、いまだに郵政民営化反対の急先鋒であり、復党せずに新党結成も視野に入れる無所属のリーダー的存在だ。ふたりは、小泉にとって“最大の抵抗勢力”と映っているのだ。

151片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/10(土) 13:34:45
■ポスト福田争いが本格化

「小泉さんが再び首相の座につくことは百二十%ない」と、小泉の偉大なるイエスマンを自認してきた元幹事長・武部勤は同僚議員にこう持論を繰り返している。しかし首相の座でなく、「政界再編の軸」となると話は別だ。いまもカリスマ性を維持し、民主党内からも「小泉となら一緒にやるメリットがある。改革路線を復活するという大義があり、選挙区の支援者の理解も得やすい」とラブコールを送られるほどだ。

「自民党をぶっ壊した」小泉が目指す次のターゲットは“既存の政界秩序”である。小泉にとってねじれ国会というピンチは、これまでの秩序を破壊し、新たな政界の枠組みを再構築する絶好のチャンスなのだ。小泉は言う。「何でも政局と結びつけて言われるが、要は変化についていけない政治家や政党は消え去るのみだ」。

 その小泉が周囲が嫉妬するほど可愛がっているのが小池である。四月九日の宴席に呼んだことも波紋を呼んだ。三月二十三日には、所属する町村派の大幹部である元幹事長・中川秀直と共に中国を訪問し、外交を取り仕切る国務委員・戴秉国、「革命第五世代」のエースとされる共産党組織部長・李源潮らと会談して、存在感を示した。中川が「小池さんはニューリーダーのひとり」と紹介すると、李源潮は「小池さんは中国では有名なリーダーです。さらにビックリしたのは、こんなに優雅な女性が立派に防衛大臣をつとめられたことです」と賛辞を惜しまなかった。防衛相在任中、防衛省のドンだった前事務次官・守屋武昌と対立し、ケンカ両成敗となったが、その後「小池には先見性があった」と評価を上げたことを北京もキャッチしていた。小池は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 四月一日には、「京都議定書目標達成議員連盟(略称・もくたつ議連)」の幹事長におさまった。名誉顧問は、小泉である。町村派は、森喜朗・小泉・安倍晋三・福田と四代続けて総理・総裁を独占している。五代連続は虫が良すぎるのでは、との党内のやっかみも強いのだが、小泉がお墨付きを与えるのであれば、話は違ってくる。何より小池には華があり、小泉とのコンビなら、十分に選挙の顔になるというわけだ。

 ポスト福田として名前があがることに、小池も嬉しさを隠しきれない。これまで顔を見せることがなかった町村派の幹部会には必ず出席しているし、四月二十二日夜の講演では、民主党の前原、枝野幸男ら旧日本新党出身者の名前をあげて、「ごっちゃり私どもの仲間がいる。ねじれ国会のなかで、政局のみではなくて国家の最優先は何なのか、共有し合っているので、大人の対応ができるような、舞台回し役ができればいい」と政権獲りへの意欲をにじませた。

 ただ町村派が一致して小池を推す展開になるかというと、そう単純ではない。派内からは、万が一、政権が行き詰まっての総選挙までの“つなぎ”なら、福田が一定の信頼を寄せ、かつ公明党とのパイプも太い「与謝野馨首相」で、という声も強い。派閥のオーナー的立場の元首相・森も、「小池首相」には否定的といわれる。ある自民党幹部は「冗談でしょ。そこまで自民党はおちぶれていない」と一笑にふす。ただし絶頂期の田中真紀子を念頭に「総選挙だけを考えて、政権維持が目的なら、この際、目をつむってやるしかない」との声は、閣内からさえも聞こえてくるのだ。

152片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/10(土) 13:35:17
“政変前夜”小泉・小池コンビの野望(2/2)
 ポスト福田の本命と目される麻生も、闘志を燃やし続ける。相変わらず地方遊説に引っ張りだこで、衆院山口二区補選の応援にも二度入った。一方、合流を決めた古賀・谷垣両派の宏池会とは一線を画す。四月十一日夜には、東京・港区の東京プリンスホテルで麻生派のパーティーを開き、昨年の三倍のスペースに二千人以上を集めた。終始上機嫌の麻生は「今後も精進して、再び挑戦して参りたいと決意を新たにしている」と演壇から、高らかに宣言した。

 麻生が最も心を許しているのは、町村派の相談役におさまった前首相・安倍だ。二人は頻繁に連絡を取り合う。安倍の側にも政権投げ出しで麻生に迷惑をかけたとの思いが強い。四月五日には、安倍の地元、山口・下関に麻生が入り、緊密ぶりをアピールした。さらに“天敵”といわれた選対委員長・古賀誠とは、選対副委員長・菅義偉らが間に入って、和解への準備を整えた。安倍政権末期、幹事長・官房長官としてコンビを組んだ与謝野からも「ずっと力を蓄えておきさえすれば、チャンスはやってくる」と励まされ、意を強くした。麻生には本命視されながら、一夜にして八派連合による包囲網を形成され、首相の座を福田にさらわれた前回総裁選のトラウマがある。ギラギラとした焦りは禁物だと自戒し、福田を追いつめるような言動も控えて、出陣のときを待つ。

■小沢の仰天シナリオ

 もう一人、永田町でそのはしゃぎぶりが注目を集めているのが、元幹事長・加藤紘一である。「加藤の乱」から八年近くが経ち、現在六十八歳。政界の主役級の座を降りて久しい。それが最近、周囲も驚くほど意気軒昂だという。二月に同世代の李明博の韓国大統領就任に際し、盟友の山崎拓と超党派の訪韓団を組織して、ソウル市内で李と会談、存在感を示した。帰国後も、反省会と称して、民主党・仙谷らと会合をもった。これを拡大して四月一日には、超党派の勉強会「ラーの会」を結成、当初の十六人から六十七人に膨れあがり、加藤はその熱気に久々の手応えを感じ取った。

「日米だけでなく、中国・韓国などアジアとの関係が重要だ」と控えめながら、やや紅潮した顔つきに加藤の復権への意欲を感じ取った者も少なくない。勉強会は政界再編への布石か、と囁かれ始めている。

 これまで“評論家”と揶揄されることの多かった加藤だが、ここにきて表向きの発言は不気味なほどおとなしい。加藤と親しい議員は、その理由をこう耳打ちする。

「小沢が、首班として加藤擁立も選択肢として、あたためている」。そこには「民主党批判もほどほどにしておけ」というメッセージも込められている。これを境に、加藤は民主党や小沢への厳しい批判を控え、沈黙することが多くなったのだ。「日銀総裁だって、民主党の意向をくんだ人事案を出さなければならないのは分かり切ったことだ」、「ねじれ国会では、それを乗りこえるだけの知恵を出す必要がある」。奇妙なまでの物分かりのよさは、オブラートに包んだ小沢へのエールにも聞こえる。

 加藤の真の狙いは「自民党内の争いは、“新保守vsリベラル”が軸だが、新保守では議会の多数派を形成できない。だから必ず“自民党リベラル・公明+民主党”という枠組への流れができてくる。そのときの大将は自分だ」という訳だ。

153片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/10(土) 13:35:45
 しかし、こうした状況は、逆に言えば、小沢の苦境を物語っている。かつてブレない政治家と称された小沢がブレにブレている。そしてそれが福田の判断の誤りを誘発し、結果として責任は自らにはね返ってきている。四月九日党首討論での「誰と話をすればよいのか教えてほしい」との叫びは福田からの決別宣言だった。それまで福田は小沢へのあからさまな批判は避け、細やかな気遣いを欠かすことはなかった。政権発足後、半年間、ひたすら「低姿勢」で我慢を続けてきたのは、いつか小沢が、幻に終わった大連立構想の借りを返してくれるに違いない、との期待があったからだ。

 それが完全に切れたのは、日本銀行総裁人事をめぐってのことだ。総裁に元財務省事務次官・武藤敏郎を起用することに、小沢は内々、承諾の意志を伝えていた。福田とも親しい元大蔵事務次官・齋藤次郎も積極的に後押しをしていた。

 しかし、二月二十九日に与党が、予算案を民主党など野党三党が欠席のまま、強行採決した時点から、小沢は柔軟路線では、党内を抑えきれなくなった。

 代表代行・菅直人、国対委員長・山岡賢次ら執行部は、「議長あっせんは反故にされた」と口をそろえ、「日銀総裁への財務省天下り反対」、「ガソリン値下げ実現」に大きくカジをきった。小沢はそうした声に、口を挟めない状況になってしまった。小沢のツルの一声が、党の方向性を決めるというのは、今ではもう昔話なのだ。小沢は自分の求心力を維持するために「もはや御輿の上にのっただけの存在にすぎない」(民主党幹部)のである。

 小沢は表向き「遅くとも年内には総選挙がある」との見方を繰り返している。しかし本音では、政権獲りの勝負は、九月の民主党代表選挙前でなくてはならないと考えている。求心力の衰えから、代表選挙で、小沢が無投票で再選される可能性はゼロといってよい。必ず反小沢陣営の中から候補者が出て、一波乱起こる、というのが民主党内の一致した見方だ。党内では地方行脚に徹して、民主党支持者の意見に熱心に耳を傾け続ける元代表・岡田克也らの動向に注目が集まる。

 そこから導き出される小沢の政権奪取戦略こそが“加藤擁立”なのだ。側近が明かす。「福田政権をいくら追い込んでも、政権を失う可能性が高い解散・総選挙を、福田があえて決断する可能性は低い。それなら内閣総辞職に追い込み、福田に代わる首班指名で自民党に手を突っ込む」。サミットを花道に福田が退陣し、自民党が後継に麻生をもってくるなら、小沢は、総裁選に名乗りを上げられない加藤を担ぐ。加藤がハラを括りさえすれば、有力なカードになる、と目論んでいるのだ。

 自民党の対極に身を置きながら、自民党に手を突っ込んで、分裂を誘い、政権奪取を狙うのは、小沢の常套手段である。九四年四月、細川護熙内閣退陣の際に、元政調会長・渡辺美智雄に対して、「自民党から五十人連れてきてくれれば、首相候補だ」と、自民党離党を促したことがある。しかしこのときの同調者は十人に満たず、計画は頓挫した。これに懲りずに二カ月後、羽田孜内閣が総辞職した後にも動いた。自民党がそれまで水と油だった社会党の村山富市を首相候補に担ぎ上げると、対立候補として元首相・海部俊樹を擁立、自民党からの造反を誘った。だが、これも失敗に終わっている。

 最後に天下を制するのは誰か――。初夏の訪れとともに、早くも身を焦がすような権力闘争が過熱している。(文中敬称略)
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/akasakataro/index2.htm

154片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/18(日) 22:25:35
全国特定郵便局長会が総会、政治活動に取り組みへ
 全国特定郵便局長会(全特)は18日、松山市で通常総会を開き、会則に「政治的・社会的主張を行い、行動する」との条項を新たに盛り込んだ。

 民営化に伴って郵便局長が公務員ではなくなり、選挙応援などが「解禁」されたことを受け、政治活動に本格的に取り組む方針を明示した。

 今後、郵便局会社と郵便事業会社の統合や、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に全国一律サービスを義務付けるなど、郵政民営化関連法の見直しを求める。

 総会では、中川茂会長の後任に浦野修・昭島中神郵便局長(東京)を選任し、会の名称は「全国郵便局長会」に変更した。ただ、名称変更後も「全特」の呼称は使用する。

 総会には佐藤勉・総務副大臣のほかに、自民、民主、国民新3党の国会議員6人が出席し、国民新党の綿貫代表は「衆院の構成を、民営化法の見直しができるように変えてほしい」と要請した。

(2008年5月18日19時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080518-OYT1T00452.htm

155片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/24(土) 10:33:27
ウオッチ福田・小沢:はや心はサミット
 ◇環境テーマ「神の摂理」
 「環境は大事だ。先頭に立って世界をリードするような仕事がしたい。これからは大きいことにドンと挑戦していく」

 福田康夫首相は23日昼、自民党の当選4回衆院議員約30人を首相官邸に招き、カレーライスを食べながら、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の中心課題となる地球温暖化問題の重要性を説いた。

 「自民党最大の危機だ」「下野(げや)(次期衆院選での野党転落)の可能性が大きい」。出席者のこんな声に対し、首相は「環境問題が大きなテーマとなったのは、神の摂理が働いているからだ」と主な関心は環境と言わんばかり。

 首相の気持ちは完全にサミットに飛んでいる。6月1〜5日、サミット参加国の英独伊3カ国を歴訪する計画で、記者団に「欧州の首脳と、サミットの課題について率直な意見交換をしたい」と、意気揚々と語った。ついこの間までの「道路政局」は首相にとって、すでに過去のことになっており、日本独自の温暖化対策「福田ビジョン」の策定準備に余念がない。

 17日夜には「地球温暖化問題に関する懇談会」委員の末吉竹二郎・国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問らを首相公邸に招き、3時間も勉強会。21日はNGO「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表らと昼食をともにし「しっかりした提案をするので待っていてください」と語った。

 しかし、自分の好きなテーマを巡る「前のめり発言」だけでは、反転攻勢は難しい。足らざるところを点検しつつ、冷静沈着に事を運ぶ必要があろう。「政界は一寸先は闇」。軽はずみな発言が、思わぬ政権崩壊につながった宮沢喜一、橋本龍太郎首相らの例もある。

 首相と同じ上州(群馬県)人で、父赳夫元首相とライバル関係にあった中曽根康弘元首相は23日のTBS番組の収録で、福田内閣についてこう語った。

 「役人の言っていることや、今までの仕事の後始末をやらされている。かわいそうだが、そのままのっかってやるのは能なしの感がする。時代に一番合うものを自分で発明して、国民に訴えることで世の中が良くなる」

 まもなく90歳になる中曽根氏が注文をつけたのと同じころ、「自民党最大の危機」について記者団に問われた首相の答えはこうだった。「私もそう思っています。常に危機感をもってやるということは、これは悪いことじゃないですよね」

 ◇皆でやれば「政権交代」
 「代表も愛想が良くなったな」。23日夕、民主党本部で小沢一郎代表と会った渡部恒三同党最高顧問は面会後、記者団におどけてみせた。1969年衆院初当選の同期生で40年近い付き合い。93年の自民党離党で行動を共にしたにもかかわらず、時には不仲もうわさされる「不思議な関係」(関係者)の2人。誕生日は共に24日。小沢氏66歳、渡部氏76歳で、ちょうど10歳違いだ。

 23日の面会は、党内で意見が割れる永住外国人の地方参政権問題がテーマ。「最後は皆が納得して円満に決まるようにまとめてくれ」と語る小沢氏に、渡部氏は「このことで党が二つに割れていると言われないようにしよう」と応じた。

 その夜、小沢、渡部両氏のために東京・紀尾井町の中華料理店で開かれた誕生会で、小沢氏は「毎日が選挙だ」と力説した。菅直人代表代行が乾杯の音頭で「来年は首相官邸で誕生会だ」と語ると、うれしそうに「ありがとう」。自ら流布させた「東京12区国替え」説には「終わったな」と明言。役員会メンバー13人を前に訴えた。「皆でやってくれたら政権交代できる」

毎日新聞 2008年5月24日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080524ddm005010120000c.html

156片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/05/31(土) 16:00:13
与党と民主の修正合意相次ぐ/雪解けムード?警戒緩めず

 「ねじれ国会」が終盤を迎え、与党と民主党が法案修正で合意するケースが相次いでいる。二十九日も、今国会成立で合意した国家公務員制度改革基本法案が衆院を通過し、道路特定財源問題での対決がうそのように一見「雪解け」ムード。ただ、双方とも警戒心は緩めず、「与党が譲歩している」とする民主党には「問責決議案提出を封じる福田康夫首相の戦略では」との憶測も出ている。

 「ねじれ国会はマイナスイメージで語られてきたが、ねじれ国会だからこそ国家公務員制度改革基本法案はできた」。民主党の山岡賢次国対委員長は二十九日の党代議士会で胸を張った。

 午前の国対会議では少年法改正案や石綿健康被害救済法改正案、オウム真理教(アーレフに改称)事件の被害者救済法案での修正合意が報告され、どよめきが起こった。与党の主張と隔たりが大きく、合意は難しいとみられていた法案もあったためだ。

 民主党は、もともと国民の生活に密着した法案には柔軟に対応する方針で、先の臨時国会でも改正被災者生活再建支援法などを成立させた。ただ今回は、二十七日に修正合意した国家公務員制度改革基本法案をはじめ、与党が大幅譲歩を始めたと受け止めている。

 国対幹部は少年法改正案の修正協議に関し「無理だと拒否されていた要求が一夜明けたら突然通った。不自然なほどの方針転換。『何でも受け入れろ』との首相の指示があったとしか考えられない」と振り返る。

 この状況に簗瀬進参院国対委員長は民放番組の収録で「民主党案をのみ込んで問責決議案提出を封じようとする首相の究極の延命戦術だ」と指摘。同時に「そうは問屋が卸さない」と強調した。

 民主党幹部は「今国会で成立させるべき法案や、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)廃止法案の参院採決は六月六日までに決着させる」と、会期末(同十五日)を控える最終週での問責決議案提出に含みを残している。

 一方、自民党国対幹部は「党の指示というよりは個々の議員が頑張った結果だ」と「問責封じ」を否定。相次ぐ修正合意を「与党にも野党にも何かしなければという機運が生まれ、一致したということだ」と評価する。

 ただ、本音では「少年法改正案などは政局に使うのはなじまなかったということだ。新医療制度廃止法案をみても民主党の本質は変わらない」(自民党幹部)と冷めた見方を変えていない。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/seikyoku/20080529.html

157片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/07/12(土) 00:09:40
「ターゲットは民主党」 追い風生かせるか?共産党 (1/2ページ)
2008.7.11 23:47

このニュースのトピックス:諸政党
 共産党の第6回中央委員会総会(6中総)が11日、党本部で2日間の日程で始まった。志位和夫委員長は幹部会報告で、自公政権への批判とともに、次期衆院選に向け「民主党への批判」も強める方針を表明した。格差問題や後期高齢者医療制度などへの国民の批判を追い風に、総選挙態勢の強化、党勢拡大を果たせるか、志位共産党は正念場を迎えることになる。

      (榊原智)

 

「民主は自民と同じ」

 「政権交代が現実の可能性をはらむ下で、衆院選では自民か民主かの政権選択の大キャンペーンが激しくなるだろう。政権の担い手の選択ではなく、共産党を伸ばしてこそ政治の中身の変革の道が開けることを攻勢的に打ち出す」

 志位氏の幹部会報告は、“ターゲットは民主党”を鮮明に打ち出した。

 続けてこう言った。「大連立の動きは、民主党が政治路線で自民党と同質同類であることを示した…自公政権との対決戦略を前面に出したが、政権交代で政治の中身がどう変わるか明らかにできず、国会対応は審議拒否など政局最優先に終始した」

 「民主党批判を進めてこそ、国民の共感を広げることができる」。志位氏はそこまで言い切った。

 共産党はこれまで、自民党と民主党の対決に埋没して選挙で苦戦してきたが最近は好調だ。6月の沖縄県議選では無党派層の票も吸収して野党第一党へ躍進。東京・狛江市長選でも党員の現職が多選批判をかわして4選している。

 

「蟹工船」もブーム

 社会経済情勢の悪化が同党に有利に働く面があるようだ。また、今年に入って政治問題化し、政府・与党が世論の批判を浴びた派遣労働や後期高齢者医療制度の問題は、もともと共産党が早くから国会で取り上げたり、「しんぶん赤旗」でキャンペーンを張ってきたテーマだ。


 「論戦をリードしてきた」(同党関係者)との自負があるためか、志位氏は幹部会報告の随所で「党への注目と期待が高まっている」「こんな社会でいいのかという党の提言や主張が、国民多数の気持ちと合致している」と強調。さらに「(プロレタリア文学の)『蟹工船』が若者を中心にブームとなり、マルクスに新しい関心が高まっている。テレビ局が『資本主義は限界か』という企画を立て、その答えを共産党に求めてきた。党が体験したことのない新しい状況だ」と胸を張る場面もあった。

 ただ、党勢と連動する「しんぶん赤旗」の読者数(部数)は平成17年の総選挙時と比べ、日刊紙で3万、日曜版で13万8000も下回る。志位氏は「これでは総選挙に勝利する保証はない」として年内に新入党員を2万人超、「しんぶん赤旗」の読者を17年の水準以上に回復させるよう提案した。この目標を含む幹部会報告は12日に了承の見通しだが、どこまで達成できるかは不透明だ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080711/stt0807112347010-n2.htm

158片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/08/28(木) 06:04:22
臨時国会は早くも神経戦  自公対立見透かし野党冷ややか
8月27日21時46分配信 産経新聞


 秋の臨時国会が来月12日に召集されることが決まったことを受け、自民党の大島理森、公明党の漆原良夫の両国対委員長は27日、野党国対幹部にあいさつして回った。国会運営をめぐり自公両党のわだかまりが続く中、太田誠一農水相の事務所費問題も急浮上。野党国対幹部は足元を見透かしたような冷ややかな対応に終始し、大島氏らには針のむしろの行脚となった。

 大島氏「大変お久しぶりです。山岡賢次国対委員長は顔色が大変お黒いですが、安住淳国対委員長代理は焼けてませんね…」

 安住氏「私は潜って勉強していました。事務所費問題などをね…」

 約1カ月半ぶりに国会内の民主党国対委員長室を訪れた大島氏は、安住氏に痛烈な皮肉で出迎えられた。

 社民党の日森文尋国対委員長は「素晴らしい日程がやっと決まったようで。会期幅が70日というのは…」と会期をめぐる自公の暗闘を冷笑した。共産党の穀田恵二国対委員長は事務的に対応し、「ここで嫌みを言うのはかわいそうだからね…」と同情してみせた。

 一連の会談で、大島氏らは補正予算案や新テロ対策特別措置法改正案などの重要案件で与野党協議を開くよう要請したが、野党各党は明確な返答はせず、協調ムードをつくることはできなかった。

 平身低頭の大島氏を尻目に、山岡氏は会談後に国民新党の糸川正晃国対委員長と協議し、太田氏を早期辞任に追い込む方針で合意した。野党内には、与党が9月16〜18日に予定している衆参両院の代表質問に応じる代わりに、衆院予算委員会で「政治とカネ」の集中審議を求めるという案や、代表質問を9月末に先送りさせ、新テロ対策特措法改正案の審議入りを遅らせるという「揺さぶり」も浮上している。

 大島氏は「与野党話し合って結論を出す。そういう姿勢で臨みたい」と語ったが、顔には早くも疲労の色が浮き出ていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080827-00000978-san-pol

159片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/08/28(木) 06:31:58
疑惑残れば厳正対処も 首相、農相事務所費問題で '08/8/28

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 福田康夫首相は二十七日夜、太田誠一農相の事務所費問題を事前に把握していた場合でも農相に任命したかと記者団に問われ「事務所費問題はいろいろな観点から問題がある。任命すると思いますか」と述べた。太田氏が架空計上などの疑惑をはらすことができなければ、進退問題も含め厳正に対処する考えをにじませた発言とみられる。

 同時に「太田氏が説明すると言っている。結果を待ちたい」とも表明。自身の任命責任についても「先走って考えることはない。事実を確認し、その上で判断すべきことだ」と述べ、農相が説明責任を十分果たせるかをみて対応を最終判断する考えを重ねて示した。

 これに先立ち自民党の大島理森、公明党の漆原良夫両国対委員長は、野党四党の国対委員長と個別に会談し、臨時国会を九月十二日に召集、十一月二十日までの七十日間とする日程を説明。野党側は太田農相の事務所費問題など「政治とカネ」の集中審議を求める方針で、与野党の激突は必至の状況だ。与党側は、総合経済対策関連の二〇〇八年度補正予算案審議を最優先とする意向。

 大島氏は代表質問について、九月十六―十八日を念頭に早期実施を要請。臨時国会の課題として、補正予算案のほか(1)新テロ対策特別措置法改正案(2)消費者庁設置法案(3)通常国会からの積み残し案件―を挙げ、与野党協議の必要性を強調した。野党側からは、早期の協議に慎重意見が出た。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200808280105.html

160片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/09/01(月) 12:02:51
共産党:広がる関心、確かに手応え? 地方行脚、「蟹工船」ブームで脚光
 小林多喜二の「蟹工船」ブームに乗る共産党の地方行脚に従来の支持層を超えて関心が集まっている。格差問題に対する取り組みなどが評価され、昨年9月以降の10カ月間で約1万人が新規に入党。次期衆院選をにらんだ幹部の演説会には1カ所平均約1300人が集まる。接点のなかった業界団体や保守系地方議員との対話も行われ、国政の長期低迷脱却への期待がふくらみ始めている。【渡辺創】

 ◇演説会に17万人、党員増も
 8月28日午後、京都市伏見区にある京都府トラック協会事務所。衆院京都1区から立候補予定の穀田恵二国対委員長が初めて訪ねた。協会は杉本守専務理事が出迎え、燃油高騰に苦しむ業界の現状や環境、行政改革で1時間にわたり意見交換した。協会の陳情先は自民、民主両党が中心で、協会員で構成する政治連盟は両党議員のパーティー券を購入してきた。共産党を迎え入れた理由について杉本氏は「弱者への思いやりを感じる」と率直に話した。

 保守系地方議員との接触も増えた。市田忠義書記局長は7月上旬、奈良県吉野郡などの7市町村の首長・議員と会った。下市町の森本晴男議長は「私は与党議員だが、私たちの気持ちを一番代弁してくれるのは共産党だ」と明言した。

 共産党は志位和夫委員長が就任した00年11月時点で衆院20、参院23だった国会での議席が、現在は衆院9、参院7。国会の党首討論にも参加できない低迷状態にある。旧来の支持層の高齢化も顕著で、新たな支持層の獲得が急務だ。同党は次期衆院選で小選挙区候補擁立を140選挙区程度に絞り込み、比例代表に重点を移した。広範な支持獲得を目指した演説会はすでに47都道府県135カ所を数え、参加者も計約17万人に達した。集会の盛況が選挙結果に結びつくかは微妙だが、穀田氏は「何十年も接触がなかった人たちの視野を広げられた意味は大きい」と手応えを語る。

毎日新聞 2008年9月1日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080901ddm002010153000c.html

161片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/09/03(水) 09:42:36
首相退陣50人に聞く 「次は小沢氏」麻生氏上回る
「特にいない」がトップ
 福田首相が1日夜、退陣表明したことを受け、読売新聞秋田支局は2日、県内各地で県民にアンケートを行い、50人から回答を得た。「次の首相はだれがいいか」と聞いたところ、「特にいない」と答えた人が19人(38%)と最も多く、その理由は「だれも期待できない」といった声が多かった。混迷を極める国政に県民が愛想を尽かしたとも言えそうだ。

 「特にいない」と答えた人の理由では、「誰がやっても大きな変化は期待できない」(秋田市、大学職員女性27歳)、「自分の将来展望をしっかり持ち、思い切って政治を出来る人がいいが、そういう人がいない」(横手市、公務員男性57歳)など、政界の人材不足を嘆く意見が相次いだ。

 2位は小沢一郎・民主党代表で14人(28%)、3位が麻生太郎・自民党幹事長で7人(14%)。このほか、小泉純一郎元首相、石原慎太郎・東京都知事や田中真紀子元外相、岡田克也・民主党副代表らの名前も挙がった。

 「次の衆院選では、どの政党に期待(支持)するか」との質問には、「民主党」が23人(46%)と最も多く、次いで「自民党」と、「ない」がいずれも12人(24%)で同数。「自民以外」と「自公以外」が計3人(6%)だった。

 「ない」と答えた人からは「どの政党も信頼が置けない」(能代市、主婦40歳)、「自民党はドタバタ続きだが、民主党にも政権担当能力があるように思えない」(横手市、会社員男性26歳)との意見が聞かれた。

 福田首相の突然の辞任についての感想としては、「民主党には話し合う姿勢を示して欲しかった」(秋田市、自営業女性52歳)、「道路特定財源の一般財源化など、それなりに堅実な仕事をしていた」(由利本荘市、会社員男性31歳)と理解を示す意見もあった。

 しかし、「無責任」といった批判が大半で、「嫌だから辞めるというのは、『忍耐力がない』と言われる若者と同じ」(由利本荘市、大学生男性22歳)、「大人も、子供も我慢できなくなったなという印象」(秋田市、自営業女性65歳)など、痛烈な批判が並んだ。

■予備選を検討

 自民党総裁選で自民党秋田県連は2日、党員党友による予備選を行う方向で検討を始めた。近日中に県連内に選挙管理委員会を設置する。

 鈴木洋一幹事長は「総裁選告示日に複数の候補者が出たら、予備選を実施し、より多くの意思を明確にしたい」と述べた。

■県選出国会議員「情けない」「早く解散すべき」

 福田首相の退陣表明について、県選出国会議員に話を聞いた。

 自民党の二田孝治衆院議員(比例東北)は「与野党のねじれは外国でもよくある。話し合いから活路が生まれるのに、民主党の小沢代表は政局優先」と民主党を批判しながら、「福田さんは我慢強いと思っていたが、こんなにもろいと思わなかった。支持者には説明のしようもなく、おわびしかない。福田さんは指導者としての資質に欠けていた。情けない」と語った。

 民主党の寺田学衆院議員(秋田1区)は「党内には、驚きとあきれとともに、早く解散すべきという声が渦巻いている。あまりに乱暴な政権投げ出しだ。政治全体の失望につながる」と嘆いた。

 民主党の松浦大悟参院議員は「会見の様子は人ごとで、国民の方を向いていない感じがした。政局を乗り切れなかったのは、福田さんの力量の無さであり、精神力の無さでもある。1日も早く衆議院を解散すべき」と話した。

 無所属の鈴木陽悦参院議員は「辞任会見を見ると、精神的に参っているようだった。首相就任から1年に至らないうちに職を投げ出すのは無責任。国民の審判を受けない内閣が2代続いたが、3代続くのは異常事態」と早期解散を求めた。

 無所属の野呂田芳成衆院議員(秋田2区)は取材に応じず、自民党の御法川英文衆院議員(秋田3区)は、公務で海外出張中。

(2008年9月3日 読売新聞)秋田
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20080902-OYT8T00959.htm

162片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/10/20(月) 09:19:09
自由連合、徳洲会に負債72億円返さず 事実上の献金
2008年10月20日3時0分

 徳田虎雄前衆院議員(70)が理事長をしている医療法人「徳洲会」グループから同じ徳田氏が代表に就いている「自由連合」への貸付金が72億6千万円余に上っていることが分かった。すでに法律上の政党の資格を失い、特別な資産もない自由連合が返済する見通しはなく、貸付金は事実上の献金となる可能性が強い。徳洲会グループと自由連合は、徳田氏だけでなく幹部もほぼ重なるという特別な関係にあるが、こうした手法を可能にしたのは、政治資金規正法に借り入れをめぐる規制がないためだ。

 徳洲会グループから自由連合への巨額の貸付金が返済不可能となれば、結果としてこれと同額が献金されたのと同じことになる。当初から献金であれば、限度額などの量的な制限がかかるが、貸付金を名目にすると制限を受けずに済む。献金の量的制限を骨抜きにする手法だ。

 自由連合に貸し付けているのは、病院や診療所、老人ホームなど260を超える施設を擁し、国内最大規模の医療グループとされる徳洲会グループ(本部・大阪市北区)の2社とその役員。医療機器リース会社「インターナショナル・メディカル・リース」(大阪市、IML)と不動産賃貸会社「インターナショナル・ホスピタル・サービス」(同、IHS)で、いずれも徳洲会の系列病院などとの取引が主な業務だ。

 07年分の自由連合の政治資金収支報告書によると、IMLからの借入金は本部と地方支部で計約70億6500万円。ほかにIHSから8800万円、役員から1億1千万円も借り入れている。一方、07年末現在で、貯金にあたる繰越金は1千万円足らずとなっている。

 自由連合は、90年に発足した無所属議員の政策集団が前身。94年に政党となり、徳田代表が衆院議員を4期務める間、各選挙でタレント候補らを多数擁立。一時は国会の議席を失ったが、98、01年の参院選で選挙区の得票率が全国で2%を超え、政党交付金を受けられるようになった。

 しかし、05年9月に病気で引退した徳田氏から党代表を継いだ次男の徳田毅衆院議員(37)=衆院鹿児島2区=が06年11月に離党した後、自民党入り。療養中の虎雄氏が代表に戻ったが、国会議員がいなくなり、昨年7月の参院選で候補者を立てなかったことから政党要件を失い、現在は企業献金も政党交付金も受けられなくなっている。

 自由連合の会計責任者でもある能宗克行・徳洲会グループ事務総長の話 借入金は自由連合の政策を流布するため主に選挙運動に使った。企業でいえば資金が回らなくなったのは事実だが違法ではない。医療を良くするためという信念に基づいており徳田虎雄でなければあんな選挙はできなかった。徳洲会グループは自力で収益をあげ、余力を政治活動に回している。へき地や離島の医療など国がやらないことの重要性を流布するためにも政治活動は必要だ。企業でいえば広告宣伝費にあたり、徳洲会の収益規模に照らせば巨額とはいえないだろう。(西川圭介)

163片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/11/18(火) 07:19:16
党首会談:決裂 首相、さらに窮地 2次補正で持論と党、板挟み
 ◇終盤国会波乱含み
 麻生太郎首相は17日、民主党の小沢一郎代表との党首会談で、追加の経済対策の裏付けとなる08年度第2次補正予算案の今国会提出について、結論を先送りした。2次補正の柱となる定額給付金を巡っては、政府内調整が混乱した経緯があり、国会審議の新たな火種となるのは必至。一方、提出を見送れば、政権が強調してきた「経済重視」のスタンスに疑問符がつきかねず、首相は苦しい判断を迫られている。

 党首会談で、首相は2次補正の今国会提出を求めた小沢氏に対し「(民主党は)審議をしていただけるのか。(早期に)採決していただけるのか」と逆質問。小沢氏は「賛成はできないだろうが、国会として結論を出すことは、代表として責任を持って約束する」などと迫ったが、首相は「急いで(法案を)取りまとめる」と述べるにとどめた。

 首相は金融サミット出席で訪れたワシントンでも、2次補正について「なるべく早い方がいいと私自身は思う」と述べ、今国会提出に意欲を示してきた。しかし、与党内では来年1月の次期通常国会に先送りすべきだとの意見が大勢で、首相には補正提出を明言できない苦しさがある。

 党首会談の中身を聞いた公明党幹部は17日夜、「民主党の徹底抗戦で、審議引き延ばしとなれば、『2次補正も一緒に』となる」との見通しを示した。ただ、定額給付金を巡る混乱の一因として、首相の指導力不足を指摘する声もあり、与党内では「今国会に提出しても、野党からたたかれるだけ。仕切り直しした方がいい」との懸念がくすぶる。

 一方、党首会談の決裂で、今国会の重要法案だった新テロ対策特別措置法改正案と金融機能強化法改正案の会期内成立は一転、不透明になり、終盤国会は緊迫した局面に入った。政府・与党は今月30日までの今国会の会期延長を検討しているが、審議の行方次第では衆院解散含みの展開を余儀なくされる。自民党幹部は「民主党に抵抗の理由を与える党首会談は受けるべきではなかった」と述べ、会談に応じた首相を批判した。【中村篤志】

毎日新聞 2008年11月18日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081118ddm002010046000c.html

164片言丸 ◆MACDJ2.EXE:2008/11/18(火) 07:19:32
党首会談:2次補正時期巡り決裂 政府・与党、国会延長論強まる
 ◇給油延長法案、民主が採決拒否
 麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表は17日夜、首相官邸で約30分間会談した。小沢氏は、政府の追加経済対策の裏付けとなる08年度第2次補正予算案について「直ちにまとめて国会に提出すべきだ」と述べ、今国会への提出を要求。首相は「今の段階で答えることはできない。出せるように努力している最中だ」と明確な回答を避け、会談は決裂した。民主党は対決姿勢を強めており、インド洋給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案や金融機能強化法改正案の会期内成立は流動的になった。30日に会期末を迎える今国会の延長は不可避との見方が政府・与党内で強まっている。

 自民、民主両党の党首会談は昨年11月2日の福田康夫前首相と小沢氏以来で、麻生政権では初めて。

 党首会談が平行線に終わったことを受け、民主党は18日の参院外交防衛委員会での給油延長法案の採決に応じない方針を自民党に伝えた。与党は、野党が多数派の参院本会議での法案否決を経て、20日の衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決する構えだったが、来週以降にずれ込むのは必至。同法案は10月21日に衆院を通過しており、民主党が参院で採決に応じない場合、「60日ルール」によって12月20日までは再可決できない。一方、金融機能強化法改正案は今月6日に衆院を通過したばかり。同法案再可決が可能になるのは来年1月5日以降となる。首相側近は「会期を延長するなら金融機能強化法改正案まで成立させるしかない」と述べ、越年延長の可能性を示唆した。

 小沢氏は会談で、給油延長法案などの採決日程先送りと絡めて、2次補正の今国会提出を首相に強く迫り、「審議をいたずらに引き延ばすことはしない」とも述べた。しかし、首相は「参院で決めた話を党首が一方的に破棄するのは納得しかねる」と反論し、補正提出の有無と重要法案の審議は無関係と強調した。

 会談後、首相は首相記者団に対し、2次補正の今国会提出について「その考えがないわけではない」と語った。また、政府高官は「財務省の検討状況を慎重に見極めて判断する」と語り、延長幅次第では2次補正を提出する可能性に言及した。

 会談は民主党が自民党に要請。自民党の細田博之幹事長、民主党の鳩山由紀夫幹事長、山岡賢次国対委員長、河村建夫官房長官らが同席した。【中田卓二】

毎日新聞 2008年11月18日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081118ddm001010002000c.html


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