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6
:
まっちゃん
:2006/01/03(火) 09:48:59
北条氏康は、早雲の孫、左京太夫氏綱の子で、左京太夫に任ぜられ、後に髪を削り萬松軒(ばんしょうけん)と号し、小田原城に住まう。幼名は国王丸(くにおうまる)。
小田原北条氏の三代目として、父祖の業を継いで関東制覇を成し遂げ、元亀二年十月三日卒、五十七歳で没す。
氏康が退隠して国を子息氏政に譲り政令を任せて様子を見る。
のち氏康は氏政に「国を譲り受け、今、何をもって楽しみとするか」と問う。
氏政「家臣を能力により選んで適材適所に分けることを最も楽しみとします」
氏康「よし。しかし主将が家臣を選ぶのは普通のことだが、また、家臣が主将を選ぶということがある。隣国と戦いに及んだ際、日頃家臣を愛さず庶民に恵みを与えていなければ、彼らは国を去り他国に行って、よい主、よい将を求めてこれに仕えることとなる。故に良き臣を愛し、領民を慈しむということは、主将の職分であるから、必ず主将が自らこれを為し、老臣にもこれを任してはならない。富貴の家に生まれ、暖衣飽食に育って下情に通じず、部下が功を積んでもこれを取り立てず、労を尽くしてもこれを賞せず、皆が怨みを抱き人心既に離れている時に、変事が起こった際になって急に甘言を与えても、誰がよろこんでこれに従うだろうか。そうであるから、部下の功績は寸功といえどもこれを忘れずに時々褒賞して励ますようにしなければならない。これを部下の機嫌取りのように考えて嫌う者もあるが、これは大きな心得違いである。」
氏康は、決して部下の功を盗むことをしてはならないと常々教えていたという。
吏士を愛し、庶民を恵むは主将の職分なれば、主将自ら為して、家の長臣にも必ず任すべからず
寸功をも忘れず一労をも捨てず時々褒美していよいよ励まし進ましむるを事とせよ
部下を愛し領民を恵むことが領主の職分ということには深い意味があるのではないでしょうか。
組織論においてリーダーは人事、特に賞罰権を手放してはならないといわれています。
人間である以上、上司も部下を愛すといっても性格の不一致やフィーリングが合わないなど難しい点もたたあるでしょう。仕事をよくする者、できる者は可愛いが、仕事にミスが多いと見る目は自然と厳しくなるでしょう。
氏康は、愛とは別に功を賞するということを述べていますが、大なり小なりはともかく功績を賞することは公平に行うことができるのではないでしょうか。公平・公正は心掛けでできるものではないでしょうか。
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