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とどく こえ
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遺体を大事にする風習の国の人が見たら、とても野蛮な光景に映るだろう、そう思った。
左の大腿骨が印象的だった。しっかり形が残っていた。太い骨だった。
残った骨は全体の5分の1ぐらいか、とそんなことを思った。
腰の骨を拾おうと思っていた。
若い頃から父親が悩まされ続けた骨だった。
私が子供の頃に、お父さんはこういう骨の、この部分が悪いんだと、魚の背骨を示して話されたことがあった。
腰椎がきれいに残っていた。
それに箸を近づけようとした瞬間、周囲の人から、だめだめ足から、という声がした。
足から遺族と一緒に一つの骨を拾うようにしてください、と担当者から説明された。
母親や弟など、5人ほどとそういうふうにしていたら、やがて痺れを切らしたように、周囲の人たちが骨を拾い出した。
乱暴に骨壷に入れる人もいた。
もはや腰の骨がどうなったかなど分からない。
途中で骨壷に入り切らなくなってきたので、火葬場の担当者が、はみ出た骨を上から棒で押しつぶし始めた。
どうせそんなことをするぐらいなら、足から拾ったところで意味がないだろうに、とそう思った。
誰が考えたかも分からないような儀式に従った結果がこれか、なんて気持ちがした。
人が考えた伝統もなど、所詮はこの程度のものだ、とそう思った。
最後に頭は、また喪主が拾ってくださいと言われた。
皿のように残った骨の隅に、三半規管に似た形状の部分があった。
そこの異常で苦しんでいる私だから、そう見えたのかもしれない。
もしかしたら、父親の気持ちがそこに現れたのじゃないか、なんて考えたら泣きそうになった。
骨壷は弟が抱えて持ち帰った。
家の祭壇に置かれたそれを、ぼんやりとした気持ちで見た。
こういうものなのだろうな、なんて思った。
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