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【場】『私立秋映学園』 三学期

524嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』【中二】:2015/05/24(日) 03:14:33
>>523

「くふふ……」

忍び笑いを漏らしつつも、寝ている姿勢から起き上がって座り直し、緩慢に立ち上がる。
立ち上がったからといって何をするわけでもなく、ヤーコに背中を向けた。

「『大好きな人』がいたの。わたしの生涯の半分以上ずっと想い続けた、一人の男の子」

ゆらりゆらりと『空き缶』がヤーコへ迫る。

「狂おしいほど好きだった。でも、離れ離れになった。
 そうやって中学生になって、いきなり彼は戻ってきた」

彼女の顔は窺い知れない。声も無機質で、感情を悟らせない。

「だから、会いに行こうとした。夜中に忍び込んで、本当にいるのかを確認したかった。
 でも、それは叶わなかった。『殺意』がわたしの世界を一変させた」

暁利は自らの制服の着丈をずらし、スカートのホックを外してずらし、『胸腰筋膜』を見せる。
そこには、緻密で卓越した『刺青』が彼女の肌の上に描かれていた。
『ハクチョウ二匹が頭を合わせたハートマーク』と、『二匹の足元に咲き誇る大輪の赤い薔薇』、『それらを囲む青と赤の二本の茨』。
それはとても美しく、彼女の『華奢な身体』には似合ったものではなかった。

「彼に会うために、これを彫ってもらった。死ぬような痛みが終わった時には、その辺の『超能力』らしい『超能力』じゃなくてガッカリした」

ここでようやく、暁利はヤーコへ半分だけ顔を向ける。瞳孔が開き、ヤーコの胸元を射抜く。
浮遊する『空き缶』がヤーコに迫る。その先は太腿。『大動脈』が存在する場所。

「これでもやっぱり、世界はわたしの望むようなものじゃなかった。
 全部意味のないことだったんだ。上げて落とされて、上げて落とされた」

「ね、もしかして『きらりちゃんはひとごろしじゃない』とでも思ってる?」

暁利がこれから行おうとしていることは、疑う余地なく『八つ当たり』だ。




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