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財布ブランドコピー

1山本:2013/10/14(月) 14:01:32
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2ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/06(火) 22:14:57

 1

岩塊が押し付けられているかのような圧力が感じる、苛烈ながら瞼をこじ開ける。


 ソレ を 見た  いや、 ソレ は 

在るけども無く 無くとも在った

何も 映らない 匂いも 音も 寒気も暖かみも痛みも渇きも飢えも

心臓の鼓動さへ ナイ

周囲には正しく『全て』なかった 次元も空間も色も重力も概念も

ソレは集束しながら発散されて球体の中に帯と線状を刻み 嘲っていた

ナニを?    ・・・誰でもない誰かヲ

ソノ中に「   」は収まっていた。いや、一番端っこで全ての中心に佇んでながら
一番近くも遠い場所。「   」は居る  「   」は居ない


 ・・・歌が聞こえた。 一歩   足を踏み出そうと   歩くと言う概念がない世界で
その霞のような存在を、ふり子のようにそのナニかを動かして前のめりになろうとしてみた

 ソ シテ何が起きた? 

                      崩壊だ

 球体のような楕円形のモノに、不細工な継ぎはぎで出来ていたものは
その動作一つでソレ全体の構成されるソレは最初から砂粒であったかのように
上から 下から 心臓と思われる箇所から 何処からでも正しく間違いである
場所から崩壊しだした 

悲鳴はあげない あげれない いや あげている

ソレは嘲う 聞こえない 聞こえる 

崩壊 回帰 旋律 消滅  暗転 何処か懐かしき野太い唸り声

 
 「…      」

3ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/06(火) 22:35:43

 2

 蜂の羽音のような音 空気の捻じり  瞼を開ける。

 最初に見たのはプロペラだった。 ドン・キホーテが手綱を操り
遮二無二突撃した風車小屋よりも、そのプロペラは大きかった。

 プロペラは回る 時計の針の音よりも正確にヴゥン ヴゥンと
勇ましく また冷徹にその眼差しを向けながら無限の回転をしていた。

 規則正しい、その子守歌に似た一定のリズムに ブツンと汚らしい音が混じる

何だ? あぁ 左腕と右足が引き千切られる音か   

 痛みは無かった いや 感じる暇を与えない神性ヲ 音速で回転
スル回転の刃は 僅かに飛び散った汚れた血を付着する事すら煩わしい
とばかりに旋回の波に任されたまま羽音を鳴らし続ける。

 今更ながらに気が付けば、全てがその旋風の刃であった

 歯車のように 決してぶつかり合う事のない回転刃達は ただその存在のみ
を誇張しつつ 異物である誰でもない誰かを引き裂く

 旋回のダンスは 大小のソレ等で補われていた 決して逃さぬように
隙間なく、その空間に必ず差し込まれる刃の通り道を作り上げながら
ソレは美しく舞っていた  美しかった  ただ  冷たさと美しさを秘めていた

 痛みを感じた それを苦しみや恐怖と感じるよりも先に 痛みと言うものに久しさを覚えた

 ゆっくりと だけども迅速に肉体は刻まれる 刻まれて刻まれて 肉も繊維も骨も
脳梁も眼球や神経の端一切までも その『プロペラ』は刻むのだろう

 全ての視界に旋回が満ちる 消滅 回転音 空気の唸り それに伴う獣の笑い声

 旋律が聞こえた気がした  熱と刃の冷たさを感じながら意識を暗転する

 「・・・    」

4ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/06(火) 22:49:18

 3

香りがした ペパーミントとバニラエッセンス 果実の芳醇と胸いっぱいに
吸い込むだけで唾が湧いてきそうな空気が鼻の中へと押し込まれた 瞼をあける

 雪が降り注ぐ いや 違う             これは砂糖だ

手のひらに、小さな粒ながら溶ける事のない白い結晶が置かれる

無垢なる硝石は 至る場所も視界一杯に遅く 早く 時間を感じさせず降っていた

 足を踏む。沈む 下を向く   ホイップクリームだ

マシュマロマン見たいなその重力を全て飲み干しそうな色彩のソレは足の
膝半分までクリームに達しさせていた。抗う 動けない 

コンクリートのように意識する間もなく固いソレに 足を切り落とす事を考える間もなく
ソレは起きた 洪水だ    アールグレイ  ダージリン レモンティー

 灼熱の、その液体は体中を覆う めぐるめぐる鼻と口から押し寄せる
一抹の苦渋と初夏と涼やかな秋の平原を感じさせる味は血管を沸騰させ
やがて一瞬にして気管を塞ぎ  脳を緩やかに停止させる

 幻聴か その一瞬だけ猫の鳴き声を聞いた   そして 猫に似た何かの嘲う声も

熱湯 紅茶   窒息   迫り 視界を覆う暗幕   旋律


 「・・・    」

5ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/06(火) 23:04:57

 4

冬が作られるような ミシミシ と言う何かを感じた 瞼を開ける

 最初に見たのは人だった 身構える 相手も同じ動作をした

いや、それは人でない 自分だ 常に模倣する実像を受けて理解した時
 全ての凹凸のガラスは一斉に動き出していた

 笑う自分 泣く自分 嘔吐する自分 思考をする自分 自慰を行う自分 様々な
自分がガラスの向こう側に居る  けど それは自分でないのだ

 伸ばされる肌色の二本の壁を視界の端に見据えた 次の瞬間に
自分は凹凸のニヤニヤと薄気味悪く 趣味が決して良くないだろうモノを
鑑賞する下卑な視線で 首に感じる圧力に抵抗しながら全方位にソレを受けていた

 視界が赤黒く点滅する 嗤い声がする 自分だ  あいつではない あいつに似てるも

万力のように締め付けるソレにもはや抗う余力はない ならばすべき事は一つだ

 強い激痛  ぶあつい口蓋にあるピンクと白とも思われる肉は次の
瞬間には吐き出されていた 血しぶき   一瞬の瞠る自分の表情

 万力が一瞬だけ無くなった 崩れ落ちる結末は変えられない

けれども倒れる瞬間に中指を上げる事は出来た ガラス向こうの自分は見えてたろうか?

 冷たい感触が強く打ち付けられる力と同時に前身に至った

徐々に遠のく意識 耳元に遠くからも小さくも感じる罵倒の音は小気味良かった

 暗転  罵倒  獣の嗤い声   旋律   

 「…     」

6ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/08(木) 00:32:51

 5

瞼を開く 両手を強く押して顔を起こす。土の味が口中に広がっていた
久しぶりの、痛みを感じさせない味だった

 全ての空間に黒いオブジェが形成されていた いや あれは塚だ 蟻塚

アンコールワットを縮小させたような美術作品を感じさせる蟻塚は 
蟻塚であることを認識した途端にサムライアリの大群がありとあらゆる場所から
這い出てきた。 黒い大河は全ての方角から ただ全てを黒く食い尽くす事だけを考え

 踏み潰してみる、潰れた だが潰れた死骸の梯子からすぐに無尽の増援は
足を這い上がっていく、一匹の強靭な顎が食らいつく 痛い 削げていく肉は
まるで出来損ないのビデオフィルムにように皮膚の中の筋肉を喰らっていく。

 徐々に群がり削げ落とし、骨を内蔵を咀嚼していく群れの中で
視界の中に黒い人型の群れが一体 嘲るようにゆっくりと無力さを
嘲るような動作で指をつきつける

 ないはずの足をふみだそうとする 重心はあっと言う間に崩れていき
その肉躯はすぐさま黒い大河に呑まれ食い尽くされ消えるだろう。

 それは予言でもなく確実な結末だった。数秒 一瞬の終焉

 視界が咀嚼される中 這い回る足音に交じり聞こえた 獣の嗤う声…

暗転 肉を蝕む咀嚼音 獣の嗤い声   旋律

 「…   」

7ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/08(木) 00:48:48


 6

瞼を開く  其処には大勢いた 巨人が  小人の自分が そして 巨人が

 巨人達は人類と同じ服装をしていた 巨人達は人類と同じ顔つきをしていた

 巨人達は人類と同じ発生をしていた 巨人達は人類と同じように動いていた

 ああ、理解した  巨人は人類だ おれが『小人』なんだ

小人の群れの自分たちは同じく右往左往している 地響きを感じた
 小柄? と思われる巨人達が走ってくる 踏み潰されて一瞬に血液と
肉のピザになる他の自分を見るのが、とても他人事のように見えた

 潰されていく自分たち  隠れる場所がなく自分たちが潰されていく

 投げられる自分たち 立ち向かう意志もなく自分たちが飛ばされていく

 突如 明るいと思えていた地面に巨大な影が出来た 影は巨大な
手の形をして近づいてくる  身構える  何もかもか無駄に帰す

 肺を潰されながら漏れ出る吐息と血は 天空と思える高度の小人を
面白可笑しい眼差しで見る小柄な巨人達の中で悶える

 両腕は折れた 両足は撮まれた時に砕けた  なら  やるべき事は一つだ やれ

 鼓膜を破るほどの悲鳴を聞いた 彼らにとっては小さな悲鳴の中で
天空より投げ出された 口には自分ではない血が充満する 

 巨大な靴底の裏を 虚脱感と全身の骨が砕ける激痛の中で捉えた

 あと少しで踏み潰される中で 確かに聞こえた 獣の嗤い声

 小人達の地獄  巨人達の楽園 獣の嗤い声 旋律…


 「…     」

8ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/08(木) 00:59:10


 7

 振動を全身で感じ取っていた 振動は確かにあった

 瞼を開くよりも先に聞いた 音楽だ モーツアルトやショパン
ベートーヴェンやシューベルト ありとあらゆる魂が残された『音楽』の
振動を耳より先に体が感じ取っていた

 瞼を開く あぁ、やはりだ。楽器だ 楽器達のオーケストラが場違いな
自分を他所にセレモニーを開いていた   
 錆が付きかねない古いものから真新しく磨かれたものから何から何までもが
心を震わせる大オーケストラを響かせていた。心が震える 心が飛び出る

 心臓の部分から『楽器』が出た さぁ 奏でよう 壊れるまで 奏でるのだ

 楽器達と共に 奏でる 叩き 弾き ろくに吹けない口笛でコードを引いて

 永遠に思しき中で楽器達は響かせ 罅を枷に音響の果てを目指していた

 心臓に罅が入るのを 最後のエチュードの部分で感じ取っていた

 その旋律の中で釘付けになっていた楽器を見る  だが  あの楽器は
最後に思い出のなかにあったものと残念な事に似ても似つかわしくなかった

 演奏 筝曲 音   獣の笑い声   旋律


 「… ♪    」

9ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/08(木) 19:48:51


8

 暗転の中に夕焼けのような色彩がちらついた 瞼を開く 眩しい

 光 だ 全てが光輝いていた だけども 知るような優しさは感じ取れない

 オーブが降り注ぐ そのオーブは限りなく多数が存在して雨のように降り落ちる

 反射 交錯 光る球は反発するとその煌めきをより一層と眩いものへと変貌させる

 渦 それを目が押しつぶさせるほどの輝度の中で見た そして翳した手が崩壊するのを

 全てが呑み込まれる 光へ  そして崩壊がより緩やかで激しい最中に 確かに聞いた

 獣の嗤い声  光  崩壊  オーブ  …旋律


 「…    」

10ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/09(金) 23:31:16


 9

 胸焼けがする 異臭  鼻がねじ曲がりそうな臭気が押し寄せる

瞼をひらく 原因はつかめた 肉 肉 肉だ  赤と黒と茶と 真新しいような
そうでないような血肉が混ざった大地と壁と天井でそれは補われていた

 息づくように大地は震動する 鼓動の中で立ち上がれば 混ざり合った肉は
隆起をせりあがらり 段々とそれを明確なる形へと至った

 黙示録を再現するかのように その突起を宿したソレは大地から脚を築き
焼け焦げた吐息を漏らした  歓喜を呼応するように壁は揺れて天井は震えた

 振起の中に穹窿の念は刻まれ ただその意思は全ての肉を欲していた 欲していた

 拳が振るわれる ミートボールのような赤黒い輪郭 すべてがミンチで合成された
化け物は襲い掛かってくる。逃げ場はない  肉の要塞はそれ自体に意思を宿し
後退を完全に阻止させる わかっている  その結末は

 駆ける 拳を振るう  その終わりがこの肉の空間に溶け合う事と知ろうとも
吠えずにはいれなかった   埋没する拳がひしゃげ その半身が砕け散るのを
視認しながら 肉で組成されたピースのひしめく音の中で 獣が嗤う声を聴いた

 肉  獣の嗤い声  …旋律


 「…    」

11ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/15(木) 16:48:21


  10

 じっとりとした 薄膜の意思を感じ取った  せせらぎの音を捉えた

瞼をひらく  水流の音  大河へ向けていく小河の振動  歩く

 冷たく肌を鈍く突き刺す感触が足首までを覆い尽くす   渇きを覚え
膝を屈めば 青緑色の伸ばした自身と異なる腕を眼の端で捉えた

 顎先に決して弱くない衝撃が響く  視界一杯に青だけど青でない空が
渦巻いて体はせせらぎの中へ沈む  ソレは胡散臭そうに見つめ 鼻を鳴らし
微かな地下水道の香りをさせていた   頭には皿が生やしている

 人とは異なるその目つきに生気はなく かといって狂えているわけでもなく
えらの張った手は開き 握られ  審判の短針が一握りの中で降られる中で
終わりと同時に屈み絶叫をあげていた  いや あれは宣告だったのだろう


 せせらぎの中から緑色のそいつ等は生まれていく 我武者羅に流れの中から
生み出されていく生命は輝きと殺意を融合させながら生まれると同時に群がってきた

 打撲音や骨を砕き皮膚を切り裂く音がせせらぎに交じり響いていた
緑色の水猿達は青と水色に交じって新たに流れてくる赤色に狂喜の咆哮を
異口同音に上げていた  金切り声に交じり  聞いた 低く強いアノ嗤い声を


 せせらぎ   獣の嗤い声   旋律…


 「…    」

12ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/21(水) 12:43:46


11

 急激な刺激臭と、息も吸いかねないヘドロやアンモニア 何処か懐かしい
嘔吐物の腐った繊維や肉の匂いが襲い掛かる

即ち 最初から窒息死か? と思いきや目を見開く いや そんな生易しいものでない
 目の前には神がいた  いや   神のような何カ  だった

 腰まで浸かるコールタールのような油や糞尿かヘドロか いや それら全てが
入り混じったかのような暗黒色で形成された海で その女神は天を仰いでいた

響く声は劈くように膿の海を震わせる 鼓膜まで引き裂きそうな野太くそれでいて
細くかん高い発生と共に 女神の後ろから幾筋もの黒い線が舞い上がった

 髪だ 黒い海から生えたような億を優に超える髪であろう触手は絡み合い
引き裂きあい そして愛撫しあいながら女神の前で舞曲を続ける

 そのおぞましい光景と 胸をえづく悪臭に固まる体に 気づけば既にテグス
のような髪の束は体を絡めとっていた 急速に重力の行き場が消える

 血を噴出させながら吊り上げられる 女神はその僕(シモベ)等を指揮しつつ
興味深げに一度その濁った瞳の焦点を合わせ そして直ぐに興味の色を消した。

 黄ばみと煌びやかなな緑の染色のした歯が笑顔を象る それと同時に
血を噴出させる線の威力が強まっていった

 淀み切った世界の中 女王はただ一人に使徒を束ね永劫の時を腐海で過ごす
劈く慟哭に似た鳴き声の傍らに しっかりと微かに嗤い声を聴く 獣の声を

 腐の女王   獣の笑い声   旋律…


 「・・・      」

13ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/23(金) 23:02:39


12


 熱砂が頬を焦がす 目を開く  背が妬けつき 足が燃える。

黒  鄢イ火  いや、これは火なのだろうか? それすらも解らない

くろい炎が世界を覆っている。夜空が、大地が 全ての色彩が黒い炎によって
形成されている。黒い火の世界 その真ん中に佇む事がとても小さく感じる

親子連れや 老人のように猫背で歩いて横切るその人型も全て黒い炎だ
 呼吸するたびに、喉がゆっくりと焼け焦げ 肺の中にじわじわと灰が積もるような
息苦しさと熱を感じた  黒の炎の輪郭を  その内の一体がギョロリと見つめてきた

 伸ばされる手  反射的に後ずさる体  全ての世界から疎外される存在を 修正せんと
人型の黒い炎は緩慢に だが着実に捕まえようと形を変えて伸ばされる

 唾でも吐ければ、多少は躊躇させられるか? 考えるものの時は確実に
己の中から一秒単位で生命を蝕むに相応の潤沢を口内から奪っていく

 ついに喉笛に伸ばされた  妬ける  皮膚 血管 神経が 何もかもが
黒い炎へ同化していく。それでも   炎のチリチリと言う音の中で途切れない
 獣の嗤い声   それが野太く激しく愉快そうに耳元を震わせていた。

 鄢イ炎  獣の嗤い声   旋律…


 「…      」

14ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/23(金) 23:14:42


  13

 
 目を開く  空気の些細な通り道を体に感じた

 扉 扉だ。全ての平面に幾多の構造も材質も異なる扉が形成されている

 1番目の扉を開く   隙間から除くギラギラとした緑色の目  閉める

 2番目の扉を開く   真っ白な空間  全てに黒点も除かせない 閉める
 
 3番目の扉を開く 全てが脈動する肉と屍肉で形成されてる 閉める

 4番目の扉を開く  虹色の巨大なオーブが眩き 迎え入れようと輝く 閉める

 5番目の扉を開く あらゆる生命の恐怖と悲鳴で形成された心音が浮かぶ 閉める

 開ける 違う 開ける 此処でもない 開ける 閉める 開ける 閉める

 開ける 閉める 開ける 違う 開ける 避けて閉める 開ける 閉める

最後に残る扉  深い黄昏 音も色も匂いも全てを吸い込む闇が広がる

 タッ

 飛び込んだ  飛び込んだ   四肢は投げ出され 直ぐに全ての方向感覚が
消えていく。自分と言うものが知覚出来ない程の時間 時間と言う概念が消える
落下が続いていく   けど  それでも意識は続く

 落ちていく 落ちていく   終わりは     ない  

 ただ ただ ひたすら ひたすら下に 

 いや これは上がっているのか?


 獣の嗤い声がした   ただひたすらに残酷で それでいて耳澄ませば
優し気に感ずる事も取れる嗤い声がした    

 扉  落下   獣の嗤い声   旋律…



 「…      」

15ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 15:50:05



14


 瞼を開く  絵具の匂い  クレヨンの落書き  踏みしめるキャンパス

 全てが 落書きで埋め尽くされている  青 赤 橙 紫 黒 緑 ・・・

 全ての色が其処には存在していて  全ての色以外の存在は何も無い

 空気までもが色で構成されており  原子と分子も 色で描き分けられている


様々な彩りで埋め尽くされた落書きの中に自分はいる 足を踏み出す 鋭い風鳴り音が聞こえる

 鋭い痛み 見下ろして足を見れば貫通する黒い矢じり 引き抜こうと屈んだ

 また風鳴り音がした 胸を貫く痛み  足を射抜いたときに飛び散る赤い斑点の中から矢が飛び出す

 膝をつく  彩られた12色の世界の中で  キラキラと飛び出していく矢が最後に見えた

 全ての色が射抜く瞬間  風鳴り音の中に  あの獣の嗤い声を確かに聞いた

 12色の世界  風鳴り音  獣の笑い声 旋律…


 「…      」

16ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 15:57:49



  15


 打撃音 衝撃  それを内蔵に感じる  吐き出される吐息と開けられた景色に
白銀色の十字が飛び込んでくる    胸には轟々と光る十字星が在る

 
 光がそこに存在していた   ただ光だけが視界にあり 十字と光だけが
躰に刻まれる  それ以外は不必要で  それ以外は存在しえない

 天(そら)を  彼方を見上げた  ただ一点 南十字座の標は見下ろし
ただ無常の道を指し示す  頬に描かれた座も同調するように疼く気がした

 次の時が一秒足らずであれ  その光と光の交差の中にあるべき世界は
ただ悲しくも美しく  その筆舌できぬ感慨は血潮の中に埋まれてく

 白銀の拳が一瞬だけサブリミナルと共に脳に映える  

共に同時に 刹那  十字に刻まれた幾多もの箇所の肉体は飛び散っていった

 消えゆく瞬間に 光速の白銀の中に  獣の嗤い声を見た気がした


 白銀と光速  十字  獣の嗤い声   旋律・・・


 
 「…      」

17ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 16:06:10



   16


 風船のような膨張面を伴った感触が足元に佇む 目を開けろ

世界が張子で形成されている  人も 動物も 景色も  何もかも

 手を上げる  自分の肉体さえも鋭い針で突けば破裂しそうな質感をしてる

 見渡す  パルーン人間達はフワフワとした動きの中で 雑談をしている
それ以外は何一つ現実と変わりえない  ふと  捨てていってしまった人達が思い浮かんだ

 一つの針が浮かぶ    世界を破る   熱いマグマのような液体が放出する

  暴虐を秘める、その溶岩は張子に触れると共に破り その中から更なる残虐を醸す鋭利な
物質達を放出していく   逃げる  だが 逃げ切れる事はない

 最後に見える景色に  パルーンで構成されながら逃げ惑う家族の姿を見た気がした

 その光景と同時に 肩に 腰に足へ  刃物や酸に近しい液体が躰を突き破った 世界が消えてく

 消えてく張子の世界の断末魔の中に  最後に聞こえる 破裂音に混じる獣の嗤い声を


  張子  放出される混沌  獣の嗤い声  旋律・・・


「…     」

18ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 16:14:31



   17


 視界を開く 蠢く翡翠の光沢が見える 絶望が一挙に押し寄せる

 カメムシだ、だが鋭い刺激臭を出すわけでもなく  ソレは更なる悪意で全てを包む

 溶ける  溶けた虫たちの触れる足は瞬く間に浮かす事も出来ない程に固まる

 殴りつけようと腕を振るう  だが その先にあるカメムシ達は更に溶けて 腕の
振るった場所はまるで何もかも衝撃を吸収するように何の意義も齎さない

 妬け付く痛みが背中を襲う  カメムシ達は溶けていく  周囲一体は全て翡翠の蟲で
埋め尽くされており、潰そうと何を成そうと無限に夢幻に湧き上がっていく

 抗おうと伸ばされた手は  ツルリと磨かれたガラスを撫でるように溶けた虫達により
空を掴む   溶けていく背中に  モゾモゾと肉を穿ち無数の小さなものが入り込んでいくのを感じた

 喉を 肌を妬かれ  静かに確かな死を覚えながら 翡翠の色の中に彼の獣の目を見た


 「…     」


 呟こうとする声帯は溶ける蟲に阻まれる。 だが その獣は嗤った


 それを最後に意識が浮上していった   翡翠の色 旋律・・・



 「…      」

19ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 16:22:06



    18


 視界を開く   頭の中にノイズが響く   アンテナ・・・それが在る

 天井 壁  それら全てがアンテナで形成されている アンテナの王宮だ

 それらは適当に勝手な話を垂れ流しにしていた。
ヨハネ・・・  胡蝶・・・  よく意味の理解がわからない適当な事から天気について
 脳をシェイクさせるように情報の洪水で溢れさせていく

 ふと ピタ・・・ とその情報の波が突然止んだ   悪寒が過る だが遅い


 グシャ・・・と気づけば胸にアンテナが生えていた  そうだ 寄りかかる壁には
何も在らず 生やされたアンテナに百舌の贄の如く体が吊るされる


 『 ノ\  ノ\  ・  ・  ・ ノ\   ノ\ ・  ・   ・』

 意識が途切れる間際   獣の嗤い声が貫いたアンテナからノイズ混じりに聞こえた

 その嗤い声の裏側に  幻聴かも知れない けどはっきりと  あの  音を・・・


   アンテナ    獣の嗤い声    ・・・旋律


 「…       」

20ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/13(金) 16:35:27



    19


 木椅子にもたれ掛る女性の姿が瞼を開く先に見える  歩き 近づく

 どちら? と彼女は尋ねる   名を明かす    あぁ、そうかと彼女は頷いた

 立ち上がる全貌   その彼女は鰐であった 半人半鰐  
驚く事もなくまじまじと見る中   彼女は告げた。貴方は餌であり これから食べられるのよ と

 それに恐怖はなかった  それは当然であり この永遠の破壊と再生の中では当然であるから

 鰐の彼女は 少しだけ憐れんでいた 大きな鋭い肉を切り裂く歯が開かれる

 腕が千切られる  だが  破壊が終わる一抹の希望と共に闘う  

 千切られながら彼女の柔い肌と思える箇所に爪を突き立ててみた 

だが 彼女が自身の腕を咀嚼すると 瞬く間に彼女に突き立てられた点のような傷は
塞がれていく。  ご馳走様  と彼女は行儀よく告げた。

 血が滴り落ちる。動きたくも金縛りのように躰は動きを得ない

 彼女は最後に告げた    何時まで続けるか?  と


 その鋭い牙と問いかけに   獣の嗤い声を思い返した

 返す自身の言葉に   鰐の彼女はそうかと呟くと 苦しむ事のないよう大きく口を開いた

 暗転させる大きな口を見ながら  確かに感ずる無限の果てを見つめようとした

 鰐の彼女  獣の嗤い声  旋律・・・


 「…    」

21ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/15(日) 10:34:38


20

瞼を開く   行きかう人々を見た  見下ろせば裸の自身 ここは元の世界だろうか?

 すぐに思い浮かべた淡い奇跡は くべられた一つの狭まれた視覚と共になくなった

 ここは『ピンナップ』の世界   至る場所でよく何処か懐かしい光景の中ながらも
全てが立体像と平面図の境界を行きかっている   あの人も  あいつも居ない

 観衆達は何も己へと注意を払っていなかった  ただ 全てが決められた通りに動かされていた

 歩く  歩く  この場所から抜け出せる滴程度の穴を探そうと

 数十歩歩いたとき  強大な熱と冷気を狭間が轟かせた

 ピンナップの至る箇所から上がる火  それは恐怖も何も感じさせず
機械的に動く群衆達を消し炭へ変えながら刻一刻とこちらまで迫ってくる

 別の個所からも風景を大地を湿らせフヤフヤの形状へと変化させ回帰を
成そうと静かな滅びと破壊は全方位から囲い そして消失は恙なく行われた

 痛みはない  消し炭とフヤフヤの存在に成り果てながら

 聞き取れた気がした  燃え盛り溶け合う狭間から轟く 獣の嗤い声を

 『ピンナップ』  獣の嗤い声  旋律…


 「…      」

22ようこそ、名無しの世界へ…:2015/02/18(水) 22:44:35



  21

 火と水の匂いが噎せ返るように鼻と口を突き抜ける  瞼を開き世界を刻め

  ふざけた光景だった  燃え盛る炎が飛び交う銃弾により水へと変わる

 降り注ぐ雨は文字通りの火の雨であり 家々の屋根から水飛沫が舞っている

 あらゆる生き物が放出する液体は瞬間的に燃え盛り 世界は火となり水へとも変化する

 強大なる予測する事すら困難な熱の世界 地球の核は水色へと転換する

 世界の半分は火の海であり あらゆる箇所に申し訳程度の泉が生まれている

 火の波が襲い掛かってくる  手のひら程度の水たまりが周囲にあるばかり

 逃げることは許されないと理解していた  腕を交差させ  波に呑まれる

 燃え盛る世界に 目元から流れるのは火の滴であり 胸に宿る火はこの世界の
条理に沿って一滴の水のように心から垂れ流れるようにか細い

 
 炎の音が遠ざかる中 チリチリと焦げる中に獣の嗤い声が広がっていた

 
 火 と 水   獣の嗤い声  旋律…


 「…    」

23ようこそ、名無しの世界へ…:2015/03/15(日) 13:18:24



22


瞼を開く   匂いが鼻に流れてくる 水の匂い…

 唸り声がした 犬の唸りだ  振り向く  体を反転させると同時に吼え声が響く

 風景全体が仄暗いその中で 石作りの犬は その灯籠のように赤い瞳で
歯を剥き出して飛びかかる姿勢を向けている

 無意識に後ずさる中 ピチャッ! と水飛沫の音が届くと同時に冷たさが体の
幾つかを襲う  同時に敵意の音が産み出される。

 周囲にいるのはガーゴイル ギリシャ細工のように精巧なソレは狛犬と同じく
牙を剥き出してその視線を全てこちらに向けている

 すべての視界の端々でそいつ等はただただ敵意と縄張りを犯すものたちへの
怒りを漲らせている  許しはない と 見える水面から生まれる波紋が暗示している

 最初の狛犬の吼え声が昇った 同時に 複数の足を跳ばし水飛沫を舞う音も轟いた

 肉を裂く痛みが体中に産み出され血飛沫が流れる 狛犬と石細工の怪物たちの
唸りも一層と振るえ揮えられ…  やがて其の鋭利な刃の数々が
 足 手 胴体 内臓 頭部…全部を全部咀嚼していく音が遠くから聞こえる

 倒れる最中に聞こえた気がした その唸りにまじって奴の嗤い声を


 狛犬 水 ガーゴイル  獣の嗤い声  旋律…


 「…     」

24ようこそ、名無しの世界へ…:2015/03/15(日) 13:30:30


   23


 瞼を開く   ふと 小さな痛みが何処か体を襲った  

 何処となく女性のように華奢な形状したソレは ただ無機質に見つめる
よくよく見れば親指以外のすべてが黒く艶やかに艶めかしく輝きを帯びてる…

 また 小さな鈍い痛みが 襲う  爪 が飛来したと気づくのは消失したあとだった

 ふと 手を見る

  透けている…   指 足 纏う服も…  全て幽鬼へ化すように

 逃げねば と ふと思った 走ろうと足を動かす だが それより早く
黒い爪が飛来する  重い衝撃が足へきて地面に強く横へ倒される

 流れてくる血さえ普段赤いものが透き通ってきている…

 無機質なソレが見下ろすなか 人影が見えたきがした

声を出す  その人影は一瞬振り向いてこちらを見ようとしたが…
 首を傾げて体をもとに戻す  あぁそうか…  見えないのか

 時刻は迫った  体の大部分が自分でも見える見えないか危うい部分まで
透き通っている    体を何とか起こす  ソレは見つめている

  天を見た   曇る空だ    光が射す兆しも見えない

 だが今はまだ消えていない 猶予が少しだけある   考える時間がある

次に瞼が開く時に 何をすればいいか? 何を成すか? 考える 考える

 …そして考えて 決めた  次は…次も同じだ 

    諦めず   動いてみよう


   そう決めたと同時に  全ての思考 全ての肉体が 何もかも無くなる


 意識が全て消え去る最中   獣の嗤い声を仄かに聞こえた気がした



 消失の爪   獣の嗤い声  旋律…


 
 「…

25ようこそ、名無しの世界へ…:2015/03/23(月) 19:46:04


  24


 瞼を開く 上体を起こす時に土と鈍く柔らかいものを押す感触

 粘り気のある土 ゴムに似た香り ポト と頬に落ちる柔らかなもの

触れる 硬くない  僅かに肌に吸い付く   ・・・粘土だ

 世界が粘土で形成されてる 全ての視界のものが粘土だ 

人 車 ベンチ 標識 雨 ありふれたもの全てが粘土 粘土で出来てる

 ジリ・・・  小さな痛みと焦げ臭さを指に感じた  見る 黒い焼け焦げが
何時しか粘土をつまんでた指に出来ていた  既視の死が横影で微笑む

 すぐ目前にあった粘土の標識 鼓膜が破れるぐらいの音響と共に発火と煙
そして爆風と衝撃が体を襲う けれども全てが粘土だ  倒れても中々死ねない

 横を見る 砂利の束  予感がした 目をつぶる 直後 瞼に壮絶な熱と痛みが走った

 耳の中で打ち上げ花火が轟くように 頭の中で戦火が起きたように轟音が続く いつ死ぬのか?

 皮膚が爛れ落ち 足は何度目かの音と光 熱の狭間で焼け落ちた 次は両の手かも知れない

 赤子のように這い 逃げ延びようとする 逃げて そして・・・ 

 爆音 轟音とは違う足音が聞こえた  顔を上げる それは何の邪悪なるものの仕業か?
 何処かとても見覚えのある体躯の髪の長く ドレスを纏った誰かの姿を伴っていた

            爆音が轟く前に 即座に残る意識を全て振り絞る

               舌に激痛が湧き上がる  意識が遠のく


  燃え上がるような痛みと熱の中 それでも意識の途切れる前に爆音は聞こえなかった

 ただ聞こえたのは              ・・・あの獣の嗤い声のみだ


  粘土と爆発    獣の嗤い声   …旋律



 「…     」


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