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【ミ】『フリー・ミッションスレッド その1』
1
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2013/09/02(月) 22:31:50
ミッション用の汎用スレッド。
どなたでもご自由にお使いください。
911
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/25(日) 01:20:03
伊織を『裂け目』に突き落とす一手となるか?
それとも、一縷の望みを残すのか?
『いさこ』の手は──
「──ぽん!」
──『チョキ』だ!
912
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/25(日) 01:27:22
ドドド ドドド
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」
ド ド ド ド ド ド ド ド
──切り落とされかけた、『命綱』。
紙一重で手繰り寄せたのは、伊織だった。
「ふぅぅ〜〜〜っ」
大きく息を吐く『いさこ』。
少女の顔には、幼いながらも明らかな『屈辱』があったが、
ギュウウウウゥ
潰れそうに『ぬいぐるみ』を抱きしめた後、冷静さを取り戻す。
「おねえちゃんのかち、だね。
じゃあまた──わたしをおとせるか、ためしてみる?」
ゾゾッ ゾゾゾ
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ
(TO BE CONTINUED)
(次回は25日23時)
913
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/25(日) 23:28:30
>>912
「終わらずに、済んだか」
硬い表情のままそう呟くと、『いさこ』を引き落とす為に階段を上がる。
(とはいえ、喜ぶにはまだ早い)
(このチャンスを生かせなければ、状況は変わらない)
『いさこ』の一段下までこれば、
『いさこ』から見て右斜め前に伊織が立ち、左斜め前に『クロックワーク・クルー』を立たせる。
「では、引っ張るぞ」
目の端で「うさぎのぬいぐるみ」の位置を確認する。
914
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/25(日) 23:54:52
>>913
カッ
カッ
階段を二つ昇る伊織。
『いさこ』からみて右に伊織が、左にスタンドが、
それぞれ一段下に並ぶ位置を取った。
ササッ
『いさこ』は『ぬいぐるみ』を庇うように背中に隠す。
『1段』の奥行きは『30cm』。
『いさこ』は後ろの段にかかとがつくほど後退しているが、
それでも二人の間の隙間は『15cm』ほどしかない。
段差を入れても、『いさこ』の頭の高さは、
伊織のへその上程度にしかならず、さらに身を縮めている。
「・・・・『うさこ』をねらうつもりでしょ」
明らかに警戒した口調で、伊織をなじる少女。
「まえのおじさんも、そういってたもの。
だめだよ・・・・『うさこ』はわたさない」
「『うさこ』はいちばんの『おともだち』なの。
だから・・・・あたしが、まもる」
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ
──どこかで『フナムシ』の動く気配。
915
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/26(月) 00:20:31
>>914
「『うさこ』、か成程」
そう言い終わるかどうかの所で、伊織は素早く左手を伸ばす。
そして『いさこ』の襟首を掴もうとしながら、右手で腰にある『つまみ』に触れる。
ガチッ
『つまみ』が『逆巻き』される音が響く。
しかし、その音は伊織の腰からのものではない。
オーバーロード
『 過 負 荷 』
『クロックワーク・クルー』の左手は自身の腰のつまみにある。
その音は、伊織と反対側に立つ『クロックワーク・クルー』の腰から発された。
供給するのは『スタンドエネルギー』。
パワーとスピードを強化された『クロックワーク・クルー』が高速で『いさこ』の背後に右腕を回す。
そのまま、腕に力を入れて、ぬいぐるみごと『いさこ』を引き落とそうとする。
とはいえ、引き落とす時には全力でやると『攻撃とみなされる可能性が高い。
『パワー』が強化されているのであれば、かなり手加減しよう。
『いさこ』を3段〜4段下げる事が出来れば、今回はとりあえずそれでいい。
916
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/26(月) 01:01:17
>>915
「『うさこ』、か成程」
その言葉が終わるか終わらないかの内に──伊織は、行動した。
──ビュ ア!
伊織自身の左手が繰り出され、『いさこ』の襟首に伸びる。
逃れようとする少女。
年齢と性別を考えても機敏な動作で、伊織の右側へ身を反らす──
『ギャリンッ!』
ゾゾ ゾゾ !
奇妙な『金属音』に合わせて、
少女の首から上が、一気に『フナムシ』の塊と化した。
伊織の右手が『つまみ』に伸びたことへの警戒だ。
万が一、左手が異常な動きをしようとも、これで掴まれることはない・・・・
ド ド ド ド ド ド ド ド
だが──少女は『気付かなかった』。
『つまみ』は──『2つ』。
『逆回転』の不協和音を奏でたのは、伊織に生えたものではない。
ド ド ド ド ド ド ド
『クロックワーク・クルー』に設置した方だという事実に!
──── ドシュ ウ
ボ ッ !!
スタンドの右手が、異常な『高速』をもって、少女の背後に回り込む!
「 ! ! 」
少女は伊織の手を右へと避けた──
即ち、スタンドの右手の間合いに、自ら飛び込んでしまっている。
これは・・・・避けられない!
手加減しつつも容赦ないそ『スケルトン仕様』の手が、
『いさこ』の背中を抑え、階段下へと引き落とす!
「──や だ !」
ゾ バ ァァ ア !
その手の中で、『いさこ』の全身が分解した。
階段一帯にばら撒かれる、無数の『フナムシ』。
『いさこ』はギリギリで伊織の『奇手』から逃れる──
ボ ン ッ
──いや。
逃れては、いなかった。
彼女の『おともだち』は・・・・『うさこ』という名のぬいぐるみは、
今、スタンドの手に撥ね上げられ、
放物線を描きながら、階段下へと落下していく・・・・
「・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・『うさこ』っ!!!」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾォォオオオオ!
伊織の耳に突き刺さった悲痛な叫びは、果たして幻聴か。
次の瞬間、床に溜まった『フナムシ』の群れは、
元の少女の姿を取り戻し、階段から身を躍らせていた。
落下する『うさこ』を捕まえるも、その先は『5段』は下のコンクリート。
両手を抱えた『ぬいぐるみ』から手放すことなく、頭から落ちていく──
917
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/26(月) 01:53:28
>>916
(──やったか!?)
『クロックワーク・クルー』の右腕が『うさこ』を跳ねあげたのを視認。
だが、まだ勝ったわけではない。
ここから『いさこ』がどのように行動するのかをしっかりと確認せねば──
「──!」
『いさこ』は落下する『うさこ』を捕まえるも、
『5段』は下のコンクリートに頭から突っ込んでいく。
「──ッ!『クロックワーク・クルー』!」
オーバーロード
『 過 負 荷 』
思わず口から出たのは、もはや叫びに近い大声。
『クロックワーク・クルー』がもう一度自身に『スタンドエネルギー』の『過負荷』を与える。
連続の『過負荷』は対象にダメージを与えるだろうが、仕方ない。
パワーとスピードを得た『クロックワーク・クルー』が全力で階段を下りながら、『いさこ』を掴もうとする。
──『いさこ』がコンクリートに激突するのを何とか防ぎたい。
その一心で、『クロックワーク・クルー』を操る。
勝敗に左右するかもしれないということもあるが、とにかく今はそれだけだ。
もし、『いさこ』の落下を止められたら、いさこを怪我をさせないように下ろそう。
その時に彼女の手を階段につけられそうであるならば──無理がない程度には狙ってみようか。
918
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/26(月) 23:25:53
>>917
「──ッ!『クロックワーク・クルー』!」
『ギャリンッ!!』
落下する『いさこ』を目にした時、
伊織は反射的に『つまみ』を逆に回していた。
───ド ギ ュ ウ !
『過負荷』による圧倒的な『機能向上』!
感覚的な『焦げ付き』の痛みをものともせず、
『クロックワーク・クルー』は稲妻の如く疾り、
瞬時に落下する『いさこ』の下に移動し、
階段と『いさこ』の激突を緩衝するべく、両手を上下に突き出した。
暴走する『パワー』と『スピード』を前に、細かな操作は期待できない。
『いさこ』の両手を床につける余裕はおろか、
少女を傷つけないことでさえ、かろうじてという『荒業』だったが──
ザ
ン
ッ
パシ ッ
「・・・・・・・・・」
無事、『いさこ』の体を下から支え、救うことが出来た。
──ズキィン!
ブスス
いや・・・・伊織の身体だけは『無事』ではない。
鼻孔に広がる『焦げ付き』の匂い。
右腕の肘に『過負荷』の影響が出たようだ・・・・
『筋』が切れたような『激痛』を覚える。
919
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/26(月) 23:44:35
>>918
「……ふぅ」
『いさこ』がコンクリートに落下するのを防ぐ事が出来れば、思わず一息つく。
『いさこ』は階段へ自分の意思で飛び込んだ。
故に、怪我をしてもこちらの責任にはならなかったかもしれない。
それどころか、最下段まで落下して、圧倒的有利になっていたかもしれない。
(何故、だろうな)
勝つ事を目的と知っていたのに。。
『いさこ』を欺く事にためらいは無かったのに。
(──考えるだけ、無駄だな)
半端な自分自身に呆れたように、少しだけ口元を釣り上げて笑う。
だが、その時には連続で『過負荷』を使用した代償が、伊織の身体に確かに刻まれていた。
「──ッッ!」
ガチリと歯を鳴らしながら、思わず左手で右肘を抑える。
黄金町に来てから味わう、初めての激痛。
このままでは右腕は使い物にならないだろう。
「……少し、待ってくれ。直、痛みに慣れる」
『いさこ』の方を見ながらゆっくりと階段を降り、自分の元居た8段目に戻ろうとする。
結局、『いさこ』は何段目まで下りた事になったのだろうか。
920
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 00:18:41
>>919
「な、なんで・・・・」
『いさこ』の問いかけは、
伊織の浮かべた複雑な笑みに遮られ、最後まで続かなかった。
幼いながら、いや幼い感受性失わない
『幽霊』だからこそ、理屈でなく理解出来るものがある。
そう・・・・『考えるだけ無駄』、なのだ。
ズキ ビリッ
表情を崩さぬよう、痛みを堪える伊織。
右肘が痙攣し、その先が鉛製の付属品のように重い。
腕を抱えるように待つこと数秒・・・・痛みはやや治まったが、
右手での『ジャンケン』は難しそうだ。
「・・・・ありがとう」
立ち上がった『いさこ』が、ぼそりとつぶやいた。
少女の立つ位置は、階段の『4段目』。
伊織の戻った位置である『8段目』とは『5段差』だ。
「まだ・・・・『じゃんけん』、できる?」
921
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 00:21:24
>>920
(訂正)
伊織の戻った位置である『8段目』とは『5段差』だ。
↓
伊織の戻った位置である『8段目』とは『4段差』だ。
922
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 00:56:09
>>921
「……じゃんけんは、するさ」
「まだ、何も終わってはいないのだからな」
痛みに耐えること数秒後、ようやくまともに言葉を八せるようになった伊織は
右腕を抱える事を止め、背筋を伸ばしながら『いさこ』を見る。
顔は無表情を作ってはいるが、時折苦痛にひきつるのが見えるかもしれない。
そんな様子を見せながらも、『クロックワーク・クルー』を自身の傍らに戻す。
『クロックワーク・クルー』の右腕は使えるのかどうか、
その他の場所が損傷していないかどうか、軽く動かしながら確認する。
「『階段ゲーム』をしなければ、『いさこ』との決着はつけられない」
「そして、ここにとらわれている人たちを助けることが出来ない」
「君が降参してくれるというのならば、話は別なのだが」
「では、次へ行こうか」
言葉を言い終えれば、左手を『いさこ』の方へと突き出す。
923
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 01:05:46
>>922
「・・・・・・・・・・そう」
伊織はスタンドを戻し、稼働を確かめる。
右腕の機能不全は、スタンドも同じだが、
それ以外の部分で異常はない・・・・
痛みを堪えれば、左手で『ジャンケン』も出来るだろう。
「じゃあ・・・・いくね」
少女の片腕が、潰れるほど強く『うさこ』を抱きしめる。
そして、もう一方の手を上げる──伊織に向かって。
「じゃん」
「けん──」
924
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 01:12:01
>>924
突き出された左手が作った形は『チョキ』
925
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 01:12:36
「──ぽん」
少女の出した手は・・・・『パー』
926
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 01:15:14
>>924-925
「あっ・・・・」
少女の力ない声が、結果を物語る。
伊織の勝ちだ・・・・これで『2段』上へ。
伊織・・・・・・『10段目』
『いさこ』・・・・『4段目』
927
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 01:26:26
>
>>926
「私が──」
──もう一度『グー』を出すと思ったのか?
──『いさこ』が傷つくことに我慢できなかった、この軟弱な私が。
──もう一度『グー』を出してお前を傷つける事が出来ると、思ったのか?
噛み殺した、いくつかの言葉。
言えるはすもない。
己の弱さを、恥を、矛盾を。
「──いや、すまない。何でもないんだ」
カツ
カツ
ゆっくりと二段、階段を上る。
身体を動かせば右腕に痛みが走るが、気にしている暇はない。
あと、少しなんだ。
「では、続けるぞ。『いさこ』」
自らを奮い立たせるように強く声を発すれば、また左手をつきだす。
928
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 01:39:52
>>927
カツ
カツ
腕の痛みに耐えながら、階段を昇る伊織。
これで『10段』。
ゴールまではわずかに『3段』だ。
対する『いさこ』は、遥か下の『4段目』。
加えて、明らかに『闘志』を失っている・・・・
唇を噛み、伊織を見上げる姿は、精神的な『負け犬』のそれだ。
「だめ・・・・だめ・・・・」
強く掴んだワンピースの胸元が、
手の中でボロボロと崩れ、『フナムシ』となって落ちる。
ピースを欠いたパズルのような絶望が、少女を覆っているのがわかる・・・・
929
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 01:57:26
>>928
『うさこ』を失いかけた事が引き金となったのか。
それとも、劣勢な事が原因なのか。
あれだけ堂々と振舞っていた『いさこ』が、今は見る影もなく
ただのか弱い少女のように、不安や恐怖に覆われているように見える。
──これは、明らかな好機。
「……感情や能力は『エネルギー』」
「それを正しく使ってこその、『力』」
「絶体絶命の状態に陥った時、ようやく私はその事に気がついたんだ」
「『いさこ』はどうしたいんだ?」
『いさこ』に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いた。
助言はしたくないという気持ちと、絶望に駆られたままの『いさこ』を気遣う気持ちがせめぎ合った末の、
──矛盾した行動。
「では、いざ」
突き出したままの左手に感覚を集中させた。
930
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 23:22:14
>>929
「わたし・・・・わたしは・・・・」
ボトッ ボトッ
握り潰され、歪な形になった
『フナムシ』の死骸が、床に落ち、転がる。
「もうひとりは、いや」
「まけたら、みんないなくなる。
だれもかえってこない・・・・」
噛み締めるような少女の言葉とともに、
少女の手の震えが、止まった。
「ひとりぼっちは、ぜったいに、いや!」
──ギ ン !
ゆっくりと、幼い頤(おとがい)を持ち上げる『いさこ』。
伊織を見上げる眼差しは、これまでにない『執念』に彩られていた。
狙ってか、それとも意図せずにか・・・・
伊織の差し向けた言葉は、『いさこ』を立ち直らせた。
勝利までに必要な、あと『3段』。
客観的には伊織の圧倒的有利だが、
対峙する伊織にはわかる・・・・『いさこ』の覚悟を押し切るには、
自身もまた『覚悟』するしかない──でなければ『やられる』。
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「──じゃあ、いくよ?」
「じゃん」
「けん──」
931
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 23:29:35
>>930
「ああ、こい『いさこ』」
また、小さく口の端を吊り上げて笑って見せた。
伊織の突き出した手は、『パー』。
終わらせるため、ではない。守りの『パー』だ。
今、『いさこ』の覚悟のこもった『グー』による引き倒しを防ぐための、『パー』。
932
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 23:29:48
「──ぽん!」
力強く繰り出された少女の手は、『チョキ』。
933
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 23:32:46
>>931-932
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
カッ
カッ
勝利にも然したる反応をせず、無言で階段を昇る『いさこ』。
伊織・・・・・・『10段目』
『いさこ』・・・・『6段目』
「・・・・じゃつづけて、いくよ?」
「じゃん」
「けん──」
934
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 23:37:50
>>934
『いさこ』から感じるただならぬ気迫。
覚悟、しよう。
まだ、
戦いは何も終わってはいないのだから。
出した手は『チョキ』
935
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 23:38:14
>>933
「──ぽん!」
少女の手に、迷いはない。
その手の形は・・・・『チョキ』だ!
936
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/27(火) 23:44:21
>>934-935
「・・・・あいこ」
カツ
カツ
一言つぶやくと、再び階段を二段、昇る少女。
伊織も同様に階段を昇る・・・・が、
その背に燃えるような視線が注がれていることを意識する。
──勝利まで、あと『1段』。
だが、少女に諦めや絶望の色は見えない。
「・・・・これで『8段』。
あと『5段』だから、わたしが『ぱー』でかてば、
『ぎゃくてんがち』」
「でもおねえちゃんは、『ぐー』だけはださない。
『ちょき』か『ぱー』。あいこでもかち。
どっちをだすか、わたしには・・・・わかる」
ググググ
ここで──指を覗く、いつもの『儀式』。
「うん・・・・『見えた』」
937
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/27(火) 23:50:25
>>936
カツ
カツ
「では、行くか」
右肘の痛みは治まることはない。
けれども、もはやそれは伊織を苛ませなくなってきていた。
あとは、もうこのゲームに勝つだけだ。
(覚悟を決めろ)
(迷いなく)
(恐れなく)
(──回れ、歯車のごとく)
左手を突き出し、合図を待つ。
938
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 00:00:21
>>937
「では、行くか」
伊織の突き出した左手に応じて、
「──うん。いくよ」
右手を突き出す『いさこ』。
「じゃん」
「けん」
声と同時にその手が引かれ、そして同時に繰り出される──!
939
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/28(水) 00:04:55
>>938
それは、些細な仮説。
『いさこ』の必勝のポーズは、相手の心を読んでいるわけではない。
『得意な手』を出す前の、覚悟のポーズなのではないのだろうか。
伊織の左手が作るのは『チョキ』。
『いさこ』に克つ為の『チョキ』。
940
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 00:05:16
「──ぽん!」
少女の手は──渾身の『チョキ』。
941
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 00:08:20
>>939-940
ド ド ド
ド ド ド ド
ド ド ド ド ド ド
「・・・・・・・・・・・・・・・」
互いの手は、『チョキ』の『あいこ』。
これで、伊織の『13段』制覇が確定する──
942
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/28(水) 00:18:29
>>942
「『いさこ』は強かった」
「あのメモ帳には、そう付け加えておくよ」
あいこであることを確認すれば、
少し嬉しそうに、少し寂しそうに、笑って、『いさこ』に背を向けて13段目へ一歩踏み出す。
念のため、『クロックワーク・クルー』には『いさこ』を見張らせては置く。
「ただ、このゲームを楽しく出来たらどれだけ良かったかと思うよ」
「もし、次があるのだったら、『いさこ』の為、『いさこを楽しませる』為にやりたいと思うよ」
カツ
──13段目へ。
943
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 00:31:06
>>942
伊織の慰めに──『いさこ』の返答はない。
カツッ
万感の思いを込めて、伊織は最後の『1段』を踏みしめた。
堤防の頂上から見える景色は、
来る時も見た、ごく平凡な海岸の風景に過ぎない。
だが、それは伊織の心に一生残るだろう・・・・
そんな風に思われる感慨が、確かにそこにはあった。
そして──
『いさこ』は約束を守った。
ゾ ゾ
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ・・・・・・
『裂け目』から湧き出す、異常な数の『フナムシ』。
階段に這い登ったそれらが、次々と塊となり、
人の形を取り戻していく。
その数、十数名──老若男女を問わず、
服装から見て、明らかに時代がかった者も存在する。
大多数は目を閉じたまま、意識を失っていたが、
恐らくは最近、『閉じ込められた』者──が、
目を開け、階段上の二人を見上げていることに、伊織は気が付いた。
944
:
西『セブン・ワールズ・コライド』
:2015/01/28(水) 00:39:10
>>943
『闇の中』で一部始終を見守っていた。
『伊織』と名乗った女性が『いさこ』を打ち破るその瞬間まで。
そして………気付くと『裂け目』の傍らに西は居た。
まずは自分の身体を確認する。『群衆』は嫌いじゃあないが、
自分自身が『群れ』となるのはゾッとしない体験だった。
………うん、多分だろう。
起き抜けのようなボーっとする頭を抱えながらも、
西は『勝利者』、そして自分を敗北に追いやった『敗北者』の方を見やった。
945
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/28(水) 00:52:24
>>943-944
──景色が、綺麗。
そんな風に思ったのは、どれだけぶりの事だっただろうか。
「目的は達成、か」
ひとしきり勝利の余韻を味わった後、
意識的に無表情を作って、
階段に這い出したフナムシ達を見る。
それらが人の形を取り戻すのを己の目で確認。
目を開いた一人に、ポケットの中のメモ帳を取り出しながら言葉を投げかける。
「すまない、ペンを持っていないか」
「これに、書き足したい事がある」
そうしながら、『クロックワーク・クルー』の視覚で『いさこ』を探した。
946
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 01:13:30
>>944
(西)
海で難破し、漂流の果てに無人島に辿りついたとすれば、
きっとこんな気分なのだろう。
浮上した意識とともに、西は自分の置かれた場所を知る。
『裂け目』の中からも、伊織たちの『階段ゲーム』は見ていたが、
自分がその場に現れ出たことに、まだ『違和感』があった。
体を見回すが、どこにも『フナムシ』だった痕跡はない・・・・
最後に折った足の怪我も治っている。
「すまない、ペンを持っていないか」
「これに、書き足したい事がある」
階段の上から投げられた声が、自分に対してだと知った。
女が取り出したのは、確かに自分の残した『メモ帳』だ。
同時に、西は『敗北側』──『いさこ』の姿も探す。
>>945
(伊織)
勝利の余韻に浸った後、階段下を振り返る。
何人もの人間が横たわる階段の様子は、
言葉は悪いが『魚河岸』のようなものだった。
その中で、いち早く目覚めた少女に、ペンを持っているか尋ねる。
そして、スタンドの目を使い、『いさこ』の姿も探す──
>二人
伊織と西、どちらも『いさこ』を見つけるのはわけがなかった。
ゾバ! ゾバ!
だが・・・・これは果たして、『いさこ』なのか。 ゾバ!
少女の体に無数に開いた『穴』・・・・
生々しい無数の傷口から、次々と『フナムシ』が逃げていく。
人質が『フナムシ』から元の姿を取り戻したように、
少女もまた、『幽霊』から元の姿を取り戻しつつあった。
『裂け目』におちた少女──
救出されることなく、命を落とした少女──
『フナムシ』の巣食う穴底で、『餌』に成り果てた少女──
ゾ バ ァ !
ボ ト ッ
腐れ落ちた指もろとも手放した『ぬいぐるみ』が、
階段を転がり、西の傍まで落ちて来た。
「 う さ こ ・・・・ぉ」
髪を振り乱し、階下に手を伸ばす『いさこ』。
その顔には腐敗以上に、色濃い『絶望』が刻まれていた。
少女の傍には──『もう誰もいない』のだ。
947
:
西『セブン・ワールズ・コライド』
:2015/01/28(水) 01:35:39
>>946
「………おめでとう」
まずは『勝利者』である、『伊織』に祝福の声をかけ、
まだ持っていれば『筆記用具』を彼女に手渡す。
『手帳』が自分のだという事はなんとなく気恥ずかしくて言えなかった。
一人目の西は、厳しすぎた。容赦なく『いさこ』を攻め立て、『フナムシ』を殺す事で罰せられ、『負けた』。
二人目のモンドは、優しすぎた。『ぬいぐるみ狙い』を『いさこ』に教えてしまう事で対策され、『負けた』。
三人目の伊織は、その両方を持っていた。冷静に策を組み立てて、『いさこ』を落下させながらも、彼女を助けて、『勝った』。
『13階段ゲームの女神』が微笑んだのは彼女のその『バランス』にかもしれない。
>いさこ
ゾ バ ァ !
ボ ト ッ
そして、西は落ちてきた『いさこ』の『ぬいぐるみ』を拾う。
この『いさこ』の変貌は、『敗北した為』なのだろうか?
それならばどうしようもないが、
もし『理由』が『孤独からの絶望』だとするのなら………。
「………『いさこちゃん』、もし、もしも、よ?
………貴女が『ここ』に残れるのなら、
………貴女の孤独は私が埋めてあげる。
………知っていると思うけど、私の能力は孤独を埋めるには『持ってこい』の能力。
………そして、『いさこちゃん』、
………これから私がしっかりと『フェア』って何かを教えてあげる」
正直言えば、西は今、とても私情を挟んでいた。
『いさこ』が無辜の人々を長期間閉じ込めていた事は事実。
そういう観点から見れば、彼女は『悪』で、気軽に残しておける存在ではないだろう。
だが、ある種の個人的事情は、時に『善悪』を容易に飛び越える。
『孤独』にうちひしがれた『幼少期』を送った西は
なんだかもう無性に『いさこ』を救いたくなってしまったのだ。
948
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/28(水) 01:59:13
>>946
「ありがとう」
祝福の声をかけられれば、無表情は自然に笑みへと変わり
差し出された筆記用具を手にとって、メモ帳を開く。
<<『いさこ』は
文字を書き始めれば、これまでに書かれていた文字と同じインクである事に感づく。
──彼女が一人目、このメモ帳の持ち主だったのかもしれない。
「『いさこ』は本当に強かった」
「私一人では『いさこ』に勝てなかった」
「絶対に、な」
「──こちらこそ、ありがとう」
スポーツゴーグルを外すと、もう一度微笑んで、軽く頭を下げた。
>いさこ
<<『いさこ』は強
「かった」と書き記そうとしていたが、西の言葉を聞いてペンを止める。
凄惨な状況になっている『いさこ』を見ると、やはり心が痛む。
こうなった原因は──間違いなく自分にあるのだから。
『クロックワーク・クルー』を『いさこ』のそばに近付ける。
『つまみ』を差して『エネルギー』を送りたいところだが、
どんな『エネルギー』を送れば良いのかはいまだ不明だ。
949
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/28(水) 22:35:38
>>948
を訂正させていただきたいです。
>>946
「ありがとう」
祝福の声をかけられれば、無表情は自然に笑みへと変わり
差し出された筆記用具を手にとって、メモ帳を開く。
右腕は、依然使う事が出来ないので左手で開きながら、
<<『いさこ』は
文字を書き始めれば、彼女から渡された物が、これまでに書かれていた文字と同じ筆記用具かもしれないことに感づく。
──彼女が一人目、このメモ帳の持ち主だったのかもしれない。
「『いさこ』は本当に強かった」
「私一人では『いさこ』に勝てなかった」
「絶対に、な」
「──ありがとう」
スポーツゴーグルを外すと、もう一度微笑んで、軽く頭を下げた。
>いさこ
<<『いさこ』は強
「かった」と書き記そうとしていたが、西の言葉を聞いて文字を書くのを止める。
凄惨な状況になっている『いさこ』を見ると、やはり心が痛む。
こうなった原因は──間違いなく自分にあるのだから。
『クロックワーク・クルー』を『いさこ』のそばに近付ける。
『つまみ』を差して『エネルギー』を送りたいところだが、
どんな『エネルギー』を送れば良いのかはいまだ不明だ。
950
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/28(水) 23:33:50
>>947
(西)
『勝因』はバランス──西はそう考える。
だが、伊織はそう考えはしなかったようだ。
西の『メモ帳』を手に、彼女はそう言った。
落ちて来た『うさこ』を拾うと、
西は崩れかけた『いさこ』に話しかける。
彼女の変化は間違いなく『敗北』によるものだろう。
それが永遠に続くのか、それとも消滅してしまうのか、
それは西にはわからなかったが──
個人的に感じた『情』から、『いさこ』に語りかける。
「こどくを・・・・うめる・・・・どうやって・・・・?」
ゾバァ!
少女の眼窩の隙間から、また一匹、『フナムシ』が零れる。
>>949
(伊織)
筆跡と借りたペンから、
伊織はメモ帳の持ち主が西ではないかと想像する。
約束通り、『いさこ』についての記述を書き加えようとするが──
『いさこ』と西のやり取りに、手が止まった。
──ズギュ!
『クロックワーク・クルー』を飛ばし、『いさこ』の傍に向かわせる。
『幽霊』が『生命エネルギー』で動いていないのは間違いないが、
何かの『エネルギー』が働いているのは間違いない。
さしずめ『幽霊エネルギー』とでもよぼうか。
それは、認識さえ出来れば『つまみ』で補充できるものかもしれない。
951
:
西『セブン・ワールズ・コライド』
:2015/01/28(水) 23:51:35
>>950
「………具体的には、
………そうね」
西はおもむろにカメラで裂け目に近くに倒れている『捕らえられていた人々』を撮り始める。
彼らは『13階段ゲームの結果、捕らえられ、今ようやく開放されて気絶している人々』だ。
捕らえられるほんの直前までゲームをしていたのだから
『13階段ゲームをやる!』という目的は心に強く残っているはずだ。
今後、西が『いさこ』の元を訪れ、『彼ら』を発現させれば、
上手く言いくるめてまた『13階段ゲーム』をやらせる事が出来るだろう。
せっかく解放された人々に再び延々と『13階段ゲーム』をやらせるという絵面は、
倫理的に少し問題があるかもしれないが、西的には所詮は『群衆』なのでその辺は特に気にしない。
『いさこ』にとっては『13階段ゲーム』という一番好きなゲームを大勢で楽しめるし、
何より、今まで培ってきた自分の『コレクション』とも言うべき人々と、
定期的に接する事が出来るという事は『自信』や『誇り』を保つ事にも繋がるだろう。
もちろん彼女が望めば、他の様々な『群衆』を出して他の遊びに興じたっていい。
以上の事を、『いさこ』にかいつまんで簡単に説明する。
「………私はここにちょくちょく来るよ。毎日とはいかないかもしれないけど。
………そしたら『みんな』で『13階段ゲーム』をして遊ぼう。
………そんなの続けてたら噂になっちゃうかもね。『黄金町の新名所!』みたいな」
今はとにかく『敗北』の『ショック』を和らげてあげる事に専念しよう。
果たしてそれが彼女の変化を食い止める事に繋がるのかは………正直分からないが。
952
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/29(木) 00:05:55
>>950
『いさこ』の傍らに立たせた『クロックワーク・クルー』が、腰から『つまみ』を引き抜くと、
そのまま、差し込む事が成功するならば、『幽霊エネルギー』を念じて『つまみ』を巻き始めようとする。
953
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/29(木) 00:38:05
>>952
(伊織)
試しに腰の『つまみ』を『いさこ』に差し込み、
『幽霊エネルギー』を想定して巻き始める・・・・
キリ キリキリ キリキリ・・・・
──『巻ける』。
彼女の存在する『エネルギー』は、『ねじ巻き』の対象となるようだ。
>>951
(西)
自身のスタンド、
『セブン・ワールド・コライド』を使ったアイデアを、
西は『いさこ』に説明する。
丁寧な説明に耳を傾けていた少女だが、
結果から言えば、西の提案は『いさこ』を慰めることは出来なかった。
「だって、それはおねえちゃんの『おともだち』だもの。
『おともだち』あいてに、『階段ゲーム』はむりだよ」
「おねえちゃんがきてくれるのはうれしいけど、
わたしがでるときは、『階段ゲーム』がはじまるとき。
『おはなし』だけはできない・・・・」
「それにいつか、おねえちゃんもこなくなるよ。
おとうさんもこなかった。だれもこなくなった。
『おともだち』は『うさこ』と・・・・さけめのなかだけ」
少女の指摘は、西の心変わりを指しているのだろう。
だが、西は同時に思い当たる・・・・
人は永遠には生きられない。
最善の場合であれ、『いさこ』はいずれ『ひとり』になるのだ。
「もう、ひとりはやだ・・・・だから、『もういい』」
954
:
西『セブン・ワールズ・コライド』
:2015/01/29(木) 00:57:15
>>953
「………ッッ」
『いさこ』の言葉に対し、西は何か反論を紡ごうとするが………咄嗟には出てこない。
本当は『………私は来るよ!いつまでも!』と叫びたかった。
しかし、西にもいつか終わりが来る。
結局のところ『死』という絶壁は、なんぴとたりとも超える事は出来ないのだ。
そうであるならば、これ以上引き止めるのは、
変に自分といさこを重ね合わせてしまった、西のエゴ、という事になるのかもしれない。
「………これから酷いところに行くかもしれないんだよ?
………とても辛い目に遭うのかもしれないんだよ?
………それでも本当に、いいの?」
それでも………西はまだ引き止めてしまう。
『幽霊』だとか『あの世』だとかの仕組みは西には分からない。
このまま『成仏』すれば、あるいは父親と『天国』で幸せに暮らせるのかもしれない。
しかし、『そうでもないかもしれない』。
『無邪気さ』と『孤独』によるものとは言え、人々を長期間監禁するという
罪を犯してしまった『幼い悪霊』を、易々と『天』が許すとは西には到底思えなかった。
955
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/29(木) 01:11:25
>>953
6回ほどねじまきを終えたところで、『クロックワーク・クルー』が『つまみ』を回すのを止める。
「それじゃあな、『いさこ』」
借りていたメモ帳と筆記用具を階段の一番の上に置けば、
一呼吸の後に呼吸の後に、『いさこ』に背を向けてゆっくりと歩き出す。
それに従うように、『クロックワーク・クルー』も『つまみ』から手を離して離れていく。
伊織は、自分がどうしたいのかも、はっきりとは解らなかった。
だから、『いさこ』にねじを巻いた行動も、
それからどうするかなどまるで考えていない、ただの思いつきにすぎない。
──胸に確かにあるのは寂しさ。
「目的は、達成したのにな……どうにも半端者だな、私は」
結っていた髪をほどき、風になびかせる。
もう一度、溜息をついて──帰路へ着く。
956
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/29(木) 01:37:27
>>954-955
(西、伊織)
西の、『いさこ』への想いは強い。
それは過去の自身の投影だからかもしれない。
そして──だからこそ、安易な慰めは言えなかった。
キリ キリキリ……
『ぜんまい』が回り始め、『いさこ』の身体の異変が止まった。
補充される『エネルギー』によって、
無残な『死体』から、元の姿を取り戻したのだ。
だがこれも、仮初の状態。『ねじ巻き』は永遠には続かない。
「………これから酷いところに行くかもしれないんだよ?
………とても辛い目に遭うのかもしれないんだよ?
………それでも本当に、いいの?」
それでもなお、縋るような西の言葉に、
『いさこ』は答えず、ただ強く『うさこ』を抱きしめる。
少女自身、これからどうなるかわからない──
その事実が、ありありと少女の顔から伺えた。
「それじゃあな、『いさこ』」
「じゃあね」
立ち去る伊織を見送り、そして西に早く行くよううながす。
『ねじ巻き』が切れれば、見送ることも出来ないのだろう。
二人は揃って、階段の刻まれた堤防を歩いていく。
目的を果たしながら、やりきれない思いを感じる伊織。
強い潮風がほどいた髪を巻き上げ、思わず振り向いたその先に──
西と伊織は、目撃する。
猫立階段に降り立った、一人の男。
服装から『漁師』と思われる若い男が、
何処からともなく階段に現れ、両手を広げている。
駆け出す『いさこ』。言葉にならない声。
そして、二人は知る──
男が何処からやってきたのかを。
『猫立階段』のさらに上
光に透ける長い長い階段が、雲間まで続いている・・・・
「────────」
「────────」
二人の声は聞こえない。
けれど、何をしているかはわかった。
『いさこ』が両手を伸ばし、指を組んでいる。
その中を覗きこんで、そして──
957
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/01/29(木) 01:53:29
>>956
潮風に煽られて振り向いたその先に有ったのは、信じがたい光景。
『いさこ』が父親らしき者と再会し、そして──
「────」
言葉も出せないまま、立ち止まってその様子をずっと見ていた。
ただただ、これが自分の妄想が生み出した幻ではない事を願った。
そして、自分の戦いが、勝利が──
──『いさこ』の為にもなった事を喜んだ。
気がつけば、目尻から涙が流れていた。
それを拭うことも隠す事もしないまま、『階段ゲーム』を続ける二人を見ていた。
958
:
西『セブン・ワールズ・コライド』
:2015/01/29(木) 01:58:45
>>956
「………!!」
うちひしがれたまま帰路につこうとした西は、その一部始終を『見た』。
そして、自分の浅はかな『思い』を恥じる。
そうだ、もし『天』なんてものがあるのなら、
『いさこ』みたいな娘に『バッドエンド』を与えるはずなどないのだ。
「………よかったね」
搾り出した祝福の声が『いさこ』に届いたかは分からない。
西に出来るのはあの『小さな悪霊』が昇る『階段』が、
『永久の幸福』に続いている事を祈るばかりだ。
959
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/29(木) 02:03:46
>>957-958
(伊織、西)
──何処までも続く『階段ゲーム』。
その先が『幸福な場所』に続くことを願って、
二人はいつまでも、空の彼方を見上げていた──
ザ……
ザザァ…ン
ザ……
ザザァ…ン
『13階段ゲーム』──完
960
:
『13階段ゲーム』(三人目:伊織)
:2015/01/29(木) 02:34:22
『報酬』
西『セブン・ワールズ・コライド』
モンド『サイドウォーク・スラム』 ⇒ 『復活』『26万』GET!
伊織『クロックワーク・クルー』 ⇒ 『28万』GET!
──────────────────────────
『階段の悪霊』、『いさこ』のスタンド。
自身の身体を『フナムシ』に変え、分裂する能力。
『フナムシ』は自在に動かせ、別の部位を再構成も出来る。
これにより、人間以上の『力』を発揮することも『可能』。
過剰に『パワー』を使う為、連続しては使えない。
『フナムシ』へのダメージは元の体へと返るが、
数匹を潰した程度では数に含まれず、攻撃は非常に困難。
『裂け目』に落ち、『フナムシ』に食われたことから、
死後、このようなスタンドが発現したものと思われるが、
『階段ゲーム』の能力や『裂け目』の存在などは、一切が『謎』。
『フィルモア』
破壊力:E スピード:B 射程距離:C
持続力:A 精密動作性:C 成長性:なし
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