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【個】異能博物館『ロフト・シンガーズ』

59晴之丞『ロフト・シンガーズ』:2013/09/02(月) 22:55:59
>>58

「あくまで持論だが。」

芥川はコーヒーを淹れる。
・・・インスタントである。これなら失敗はない。

カップは二つある。

「スタンドがその人間の精神性だというのなら・・・」

瓶から何か粉を掬い、右側のコーヒーに入れる。
それを、混ぜる。

「その『可能性』は即ち、君の可能性というわけ。」

「コーヒーは勿論無料だよ。私が好きで淹れるんだからな。」

左側が、貴方の分らしい。
何か入れて欲しいなら、注文すべきだろうか?

60古崎 達郎『イージー・ワールド』:2013/09/03(火) 21:04:30
>>59

手を合わせて―――

「ゴチになります!」

ちびちびと飲む。
一気にガブガブと飲むタイプじゃないからね。

「『可能性』と言っても良い可能性ばかりじゃないと思う」

「『スタンド』の可能性に振り回されて悲惨な結末に至る可能性とか」

「まぁ、僕次第ということかな?」

アレだ、アレだよ、日本刀みたいなものなんだ。
扱い方が悪ければ、すぐに折れる。
上手く使えない奴は死ぬ。

61晴之丞『ロフト・シンガーズ』:2013/09/05(木) 01:43:22
>>60

「きみは割と、なんだ、悲観的なタチらしいね。」
「人はスタンドによらない、か。」

・・・貴方は珈琲を口に含む。

なぜだろうか。
確かにインスタントだった筈なのだが……まずい。

ひどい味だ。だが、コーヒーの味ではある。
訴えて勝てないレベルのまずさだ。

「お気に召したかね、古崎くん。」

彼自身はいたって真面目な顔で、自分のコーヒーをぐっ、と飲み干す。

62古崎 達郎『イージー・ワールド』:2013/09/05(木) 11:03:36
>>61

ねぇねぇ、インスタント珈琲にしちゃ不味いよ!
と、言う前に飲む。

「うん、不味い」

正直なのは良いことだって学校の先生が言ってました。
僕は悪くないよ。

「楽観的なよりマシだと思わない?」

なんとも言えない表情で答える。
本当に不味いね。

63晴之丞『ロフト・シンガーズ』:2013/09/12(木) 01:30:42
>>62

「うん、君は正しい。」

「正直者はバカを見る時代とはいえど、嘘は良くない。」

自分の珈琲を飲み干してから、大変不快そうな顔を作る。
どうやら、彼にとっても、まずい味らしい。

「さて。」

「私は用事に戻るよ。大したものは無いが、まあくつろいで行っても構わない。」

そう言って、芥川は奥の方に歩いて行った。
着いて行く必要はなさそうだ。

「帰るときは、来た時の扉を潜ってくれよ。」

奥から声が響く。
絵の扉が『ロフト・シンガーズ』の出入り口。
芥川はいつでも、そこにいる。

64古崎 達郎『イージー・ワールド』:2013/09/12(木) 20:22:19
>>63

さて、博物館から出よう。
今日の寝床と仕事を探さないとね。

「ごちそうさま」

カップを丁寧に洗って博物館を出ていく。

65『ロフト・シンガーズ』:2014/02/02(日) 09:14:15
展示:黄金町のスタンド使い その2 『古崎』

スタンド名:『イージー・ワールド』
能力:『世界旅行』
(やや遠くから撮った、古崎、スタンドの写真)
(およびヒマラヤ山脈の写真、そして地球儀の写真)
※撮影者→『ザ・カメラ』(いつの間にか撮っていたらしい)

『キュレーターの解説』
古崎氏(残念ながら名は聞きそびれてしまいました)のスタンドは屈強な人型。
その力『世界旅行』は文字通り世界の何処かに転移するという物。

キュレーターも体験させて頂きましたが、気付いた時には目の前に本物の『ヒマラヤ山脈』の絶景。
身の安全を考慮し長期間の滞在は断念しましたが、まさしく簡易世界旅行(イージー・ワールド)と言えるでしょう。

唯一難点があるとすれば、それは彼にも行き先が選べない事。
ですが、それはある意味では『利点』とも考えられます。
自分自身にすら縛られず、世界のすべてを、存分に楽しむ事が出来るのですから。

良さばかりを挙げましたが、誰の許しも得ず、気まぐれに聖地を踏み荒らす事も出来るのも、この力。
あるいは戦闘状況においても、その価値は凄まじい物となるでしょう。

精神の具現化であるスタンドが人の精神を示すならば――彼の秘める可能性は、良くも、悪くも、途方もない物であると、私は考えます。

66烙『クライムウェイヴ』:2014/02/14(金) 22:48:02
「ちぇっ」

ヘンなところだ。
クレーンゲームで3000円使って何も取れなかった無力感ゆえに壁にもたれかかったら、

  ことり

とここに来てしまった・・・ということにしとこう。
雰囲気は博物館。博物館は好きだ。
しかし『DIONモール』には博物館なんてブースは無かったし、イベントもやってなかったし、大体ゲームコーナーから入る博物館とか斬新すぎる。
でもせっかくだから、見ていくことにしよう。

67『ロフト・シンガーズ』:2014/02/14(金) 23:05:15
>>66

そこは博物館――というには、あまりにも寂しい空間である。
見当たる展示品は僅かばかりで、客は貴方しかいない……

「おや、珍しいな」

そんな『烙』に、声が掛かる。
若い男の声である。

「いや失礼、あまり繁盛していなくてね……」
「ようこそ、異能博物館『ロフト・シンガーズ』へ。私は『芥川』」

「…………この場所の『キュレーター』(学芸員)です」

声の方に目を向けたならば、そこに着流し姿の男が居る。
漫画みたいな丸い眼鏡を掛け、右腕にはコマドリのマークの黒い腕章。

「何も無いところですが……コーヒーを出すくらいは出来ますよ」
「ああ、もちろん、無料で」

……彼がいる所はちょうど、カフェのようなスペースになっている。

お言葉に甘えても、いいかもしれない……なんせ『無料』だ。

68烙『クライムウェイヴ』:2014/02/14(金) 23:27:50
>>67
「無料? タダ?」「じゃあ、もらおう」

遠慮なく座ってコーヒーをたのもう。

「『異能博物館』? ってことはこれも『悪霊・・・いや『スタンド』?」「もしかして」
「ここに住んでるの?」

きょろきょろするが、展示品が少ないならあんまり面白くもなさそうだ。失礼!
ここから見える『展示品』はどんな感じだろう。

69『ロフト・シンガーズ』:2014/02/14(金) 23:48:37
>>68

「ええ、無料」
「たいして美味いものでもないのでね……金を取るのは悪いでしょう」

そう言いつつ、彼は質素なコーヒーカップをテーブルに二つ置いた。

そしてコーヒーの粉末を、瓶から2掬いほど入れる。

お湯は、まだ湧いていないらしい。
奥の簡易なキッチンの中には、電気ポットが見える。

「ああ、今はここに滞在してます」

「なんせ家賃が要らないんでね。寒さや暑さにも無縁……」
「電気やガスだって通っている。まあ、汚したりするのは厳禁故に、私の城……とは言わないが」

「そしてお察しの通り、ここは『オカルト現象』の博物館……」
「博物館の存在も、展示品についてもね……まあ、今はまだまだ数が足りませんが」

見える範囲には……いくつかの小さな展示ケースがある。
中身は……写真と、文章のようだが、ここからは良く見えない。

「ここに来るという事は、貴方もスタンド使い……と見ても?」
「展示品の寄付に来た、というのなら、より嬉しいのですが……」

70烙『クライムウェイヴ』:2014/02/14(金) 23:56:42
>>69
「インスタントかよ!」

様式として突っ込んでおくが、別に不満だとかがあるわけじゃない。

「ははあ。なるほど。『これから集めていく』ってわけだ」

『寄付が嬉しい』ってことはそういうことなんだろう。
でも、残念ながら寄付できるようなものは何もないね。見かけたら駆除している『赤いスタンド使い』の首でも、今度もってきてやろうかな。

「電気もガスもタダか・・・いいなあ。オレも住んじゃダメ? ああ、オレも『スタンド使い』ってヤツだよ」

   『カカ!』

本体の影に踞るように蟠る『骸骨』が笑う。小さなツノが生えて、歯がギザギザの、なんだか『悪い』感じの顔だ。
よく見れば本体の歯もギザギザ。義歯だ。
黒いスーツに金のピアス。どうも派手好きな男であることは間違いない。

71『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 00:22:51
>>70

「便利ですし、安かったんでね」

淡白な回答である。客商売向きの男では無い。
そして、瓶には「割引シール」が貼ってある。

「まあ、そうなりますね」
「義務でも無いんで、ゆっくりになるでしょうが……善意で集まって行くでしょう、善意で」

読み取れる本心としては、『烙』のスタンドも展示したいのだろう。

が、強制はしない。なんのメリットも無いからだ。まさに寄付だ。

「はは、構いませんが……一応博物館なんでね」
「飲み食いやら何やらは制限されますよ。汚したりするのも厳禁」

無駄にだだっ広い空間だ。
たかが人が一人増えたところで困る事も無いのだろう。

「しかし、怖いスタンドだ。理科室の骨格標本が動く『怪談』を思い出しますね」
「それでちなみに……えー、名を聞いても? ああ……その『スタンド』の、です」

『芥川』は骸骨を観察している。
熱意のなさそうな男だが、今、その目は真剣味を帯びていた。

72烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 00:29:05
>>71
人となりは分かった。嫌いな人間じゃあない。
あんまりこだわりの無い人間。でも何か一つのことに熱中している感じだ。
それがこの『博物館』なのだろうか。

「名前? オレは十板部 烙」「あ、こっちか。『クライムウェイヴ』だよ」

何をするでもなく『骸骨』はけたけた笑っている。

「ちなみに住む云々は冗談だから忘れてくれよ」

73『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 00:39:59
>>72

「はは、冗談でなくても良かったんですがね」
「私からすれば、『スタンド使いの生活』を展示してるのと同じこと」

冗談っぽい口ぶりだが、本心は不明である。
少なくとも、彼は困らないだろう。

「十板部さん、ですか。よろしく」
「そして改めて自己紹介すると、私は芥川 晴之丞(あくたがわ はれのじょう)」

事務的ではない笑みを浮かべた。
やはり、そう気分の悪い人間ではなさそうだ。

「そしてこのスタンドは『クライムウェイヴ』……ですか」
「『犯罪率の急激な上昇』」

「……じつに不吉な名前だ。だが、似合う。名付けは貴方自身が?」

74烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 01:10:16
>>73
「檻の中は、ぞっとしないなあ」

コーヒーはまだかなあ。
『骸骨』は相変わらず笑っている。BGMのようだ。

「名付け?」
「・・・」「・・・・・・」「・・・・・・・・・」
「どうだったかな。誰かに教えてもらった気もするし、思いついただけのようにも思うし、何かで読んだんだったかな。どうでもいいから覚えてないや」

本当に興味がないのだ。大事なのは、この『鎧/骨』のスタンドの名が『クライムウェイヴ』であること。
もっとも、まだ『鎧』は見せていないがね。

75『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 01:22:49
>>74

「この空間自体、檻のようなものですがね。むろん閉じ込める気はありませんが……」

         『ピッ、ピッ、ピッ』

電子音が鳴る。ポットの方からだ。

「まあ、それはさておき、やっとお湯が湧いたらしい」
「今淹れますよ」

彼はカップを持ち、電気ポットの所に向かった。
その間、電子音が鳴っている。骸骨の笑いと混ざる。

      『ピッ、ピッ』『カチッ』   『……』

……電子音の方は止まった。

「そんなものですか」
「まあ何にせよ、いい名前だ……私は、そう思いますよ」

         『ゴポポポポポポ……』

お湯を注いでいるらしい。多分目分量だ。薄いか、濃いかだろう。

「ミルクとか砂糖は……どうしますかね。一応置いてありますよ」

76烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 01:32:49
>>75
「オレはブラックでいいよ」

そう伝え、

「それにしても『博物館』といっても、『スタンド』を展示してるふうでもないし、どういうカンジなんだ?」
「将来的に『スタンド使いの剥製』でも置くの?」

またその場合買取してくれるの?

77『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 01:58:47
>>76

「楽でいい」

などと、コーヒーを舐めてるのかと言われそうな発言。

実際彼は、コーヒーを舐めている。
しかし彼はキュレーターだ。コーヒーを深く知るのは彼の仕事では無いのだ……

「はい、ブラックコーヒー」

ゆえに。
少し経ってから、お盆に乗せて持って来た、湯気を立てている『ブラックコーヒー』がどんな味でも……彼に過失は無いのではないか?
彼の仕事ではなく、これは善意。サービスなのだから……

彼は、自分の分のカップを木のスプーンで掻き混ぜはじめる。
スプーンはもう一つある。これは烙の使う分だろう。

「いや、写真や文章で記録することにしています」
「カメラマンがいるのでね」

「……剥製? 人間の剥製は、ちょっと過激過ぎるのでは?」
「価値はあるだろうがね……はは」

本気にはしていないのだろう。そういう笑いだ。

78烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 02:06:31
>>77
「?」

ちょっと考えてから、『楽』と言ったことに気付いて勝手に納得した。
コーヒーをすする。うちでつくるのと似たような味だ。でもたまには豆を挽いてみたりもするんだ。オレは。

「『カメラマン』」「ふーん。その人も同居? 同居はおかしいかな。でもまあ、そういう展示か」
「パンチが無いよね。やっぱり『わかり易い』のが大事だと思うよ。パネルと蝋人形の『原爆博物館』より、戦車だ飛行機だとにぎやかな『戦争博物館』のほうが人気あるんだよ」
「そこいくと剥製は悪くないと思ったんだけどなあ。精巧なマネキンでも・・・あ、いやそうか。『スタンド』を見せないとだもんな」
「マネキン人形とか『3Dプリンタ』使って作れないのかな。あれってクソ高いんだっけ?」

  ズズ―

勝手に喋っている。
でもわりと剥製が要らない事実は残念そうだ。

「価値があったら是非やるべきだと思うけどなあオレは」

79『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 02:26:45
>>78

「ブラックだと薄いか、濃いかくらいで済むのでね」

ちょうどいい、にはならない。
彼の淹れるコーヒーは決して美味くないのだ……

「ふむ、それは確かに」

「ですが自ら剥製になってくれるような『善意』もないでしょう?」
「3Dプリンタは……悪くないかもしれませんが、そう。貴方の言うように、『高い』」
「あいにく、具体的な『経費』というものが無いものでして」

「しばらくは写真と文章の展示ということに……なるでしょうね」

それで満足しているらしい。
彼個人としては、剥製が『貰える』なら、それを飾ることに抵抗は無さそうだが。

しかしながら『剥製のために町の人を殺す』ということには、納得しないだろう。

「ああ、急かすわけでもないですが」

「帰るときは、あの扉に触れれば帰れますよ」

烙が入ってきた扉の事である。


「見るものも少ないですが、まあゆっくりしていっても構いません。ここは寒くないですし」

80烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 02:40:16
>>79
「あたりまえじゃないか。オレは死にたいわけじゃないからね」
「ただ『タチの悪いスタンド使い』には心当たりがあって。『際限なく増える』から、見つけ次第始末しないといけないヤツなんだ」
「増え方が最悪でね。オレもやられそうになったんだが、強制的に妊娠させて産ませるっていう。もちろんスゴく体力を消耗するから、何度もやられたら餓死してしまう」
「でもそいつにはそんなことは関係ない。増えりゃいいんだからね。つまりそういう能力で、そういうヤツさ」
「幸いなのはおつむのレベルが虫だから、非常に『楽』ではあるんだけれど」

しれっと日常の『殺人』を告白する図。『増えるスタンド使い』については、【ミ】『Phantom Castle』を参照。
むしろ『害虫駆除』ってレベルだから是非感謝してもらいたい。
もっともそのあとの気晴らし憂さ晴らし口直しは欠かさないわけだが、それは言わなくてもいいから言わない。

「あ、でも写真くらいなら撮ってもいいんだぜ?」

冗談ぽく、オレの考えるかっこいいコーヒーを飲むポーズを決めつつ。

81『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 03:01:48
>>80

「…………なるほど」

「つまり、ソレの『剥製』……なるほど、なるほど」
「『悪くない』ね……人権とかそういうのは気になるが、貴方の言葉を信じるならば『人』かすら怪しいというわけか」
「……善意で、とは言わない。ソレの剥製……買取りたいな」

「あいにく、金はあまり持ってないが……どうかな」

――悪か、『悪ではない』か。

このやり取りは……芥川は、後者だと考える。
スタンドで産まれた『人に似た危険生物』なら……そもそも、どうせ烙はそれを殺すのだ。

『どうせ殺されるもの』なら……剥製として展示するのも悪くない。
芥川は、そう考えている……

「写真……いいんですか?」
「スタンド使いと、スタンドの写真というだけでも十分展示にはなりえるからね、ありがたい」

ふと、芥川の背後に怪しい男が現れる……あるいは元から奥に潜んでいたのか?
それは分からないが……

その男は顔の代わりに『カメラ』が付いている。そういう男である……

「彼は『ザ・カメラ』」

「『ロフト・シンガーズ』の専属カメラマンで……凄腕です」

82烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 03:09:19
>>81
「いやあ、まあ、お試しっていうか」
「ほんとそこら中にゴキブリみたいに居るから、お金なんていらないよ。試しに置いてみたらどうかな、っていう『来館者の意見』みたいな?」

ごく自然に、不自然な会話と契約が成されつつあるわけだが、(そして十板部烙は躊躇い無くそうするわけだが)

「うおっ」「ビックリしたあー・・・」「カメラ?」

見たままの名前と能力だ。
彼の『スタンド』か。いや、『博物館』の、ということは――

「全然、オレは写真オッケーだよ」「もちろん『クライムウェイヴ』もな」

   ビシ

     ビシィ

かっこよくコーヒーを飲むポーズを決め直した。

83『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 04:01:07
>>82

「無料? それは嬉しいですね」
「まあ、確かに、どっかからクレームとか来るかもしれないし……お試しと行こうか」

「では、今度持って来てくれないか……いや、私が取りに行く方が穏やかに済むか」

ここに死体を、しかも、新鮮なうちに持ち込むのは、なかなか難しそうである。
芥川はその辺りを考慮しているらしい…………ロクでもない考慮だ。

「『ザ・カメラ』」

正しく言えは、『カメラ状の仮面』だが……まあ、そう変わらない。
パッと見では、カメラ男だ。

「この命名規則だと…………私は言わば『ザ・キュレーター』といった所ですね」
「まあ、彼は撮影の専門家で、私はキュレーターの素人ですが」

         『パシャ』
                    『パシャ』

『ザ・カメラ』が写真を撮る。
顔のカメラではなく、手に持ったカメラで、だ。

「いや、ありがたい人だ、貴方は」

「で、これ……展示してもよろしいんですかね?」
「不特定多数が貴方と、スタンドの見た目を知ることになるが」

あまりよろしく無い話である。
少なくとも、スタンド使いであると広めたくない者には。

84烙『クライムウェイヴ』:2014/02/15(土) 22:53:08
>>83
「どっちが持ち込むかは、どっちでも構わないよ。連絡先を交換しよう。いいのがとれたら、連絡をするよ」
「しかし問題は『どうやって剥製にするか』だが」「まあ、いくらでも居るから練習代わりと思えばいいか」

始末することは、もはや『クライムウェイヴ』をもってすれば極めて容易い。エンピツを折るよりカンタンだ。
ただその後の加工はもちろんやったことはない。手先の器用さは、まあまあ自信があるとはいえ。

「考えてたってどうしようもないし、行動あるのみさ。ところでカッコよく撮れた?」
「ン? ああ、オレが隠したがってるんじゃないか、ってことかな。いや、全然問題はないよ」
「『クライムウェイヴ』。この『ガイコツのスタンド』だって、知られたところで別にいいんだ」「だから気にしないでよ」

展示は快く承諾する。
なかなか面白いところだ、と思い始めているのだ。

85『ロフト・シンガーズ』:2014/02/15(土) 23:26:12
>>84

「ええ、そうしましょう。吉報を期待しています」

「ただ、剥製にする専門家は、こっちにも居なくてね……そちらにお任せしても?」
「貴方は『要らない』と言われるかもしれませんが……手間賃くらいは出せますよ」

スタンド生物の剥製。この寂しい博物館には十分過ぎる貢献だ。

芥川は協力者に賃金を渡す権利を持っている。正確には、バイトという形で、だが。
汚れ仕事を任せる以上、そこをケチる事はしない…………

「ええ、写真の腕に関して、彼は超一流……完璧でしょうね」

「そして、嬉しいお言葉だ」
「では遠慮なく、展示に使わせていただきますよ」

芥川としては、『スタンド使い』というだけで価値がある。

能力の真相とか、そういうのも、気にはなっているが……無理やり聞き出す事はしない。

86烙『クライムウェイヴ』:2014/02/16(日) 00:19:49
>>85
「うーん。将来役に立たなさそうだなあ。覚えても」

スマホで剥製の作り方って検索できるんだろうか。
まず場所とか設備の確保が先という気もするが・・・でもまあ、いいか。いいか?

「いいや」

ズズ―

コーヒーもらったし。
さてそろそろ飲み終えたし、帰るとしよう。席を立ち、会釈して出ていくことにする。呼び止められなければ。

87『ロフト・シンガーズ』:2014/02/16(日) 00:30:00
>>86

「はは、まあ、こちらは頼む側ですからね……急かしたり、催促したりはしません」
「気が向いたら……という感じで」

彼もコーヒーを飲み終えたらしい。
カップをお盆に乗せる。
貴方の飲み終えた分も、だ。

「お帰りですか。じゃあ、また」
「貴方の展示は……まあ、なるたけ早く作っておきますよ」

それだけ言うと、特に呼び止めたりはしない。
キッチンに引っ込んで行く。

出口の扉に触れば、元いたゲームセンターに戻っているだろう……

88クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 00:00:45
「なんだここは」

扉の絵とか見たら触りたくなっちゃう系喪女なこの女は、
ついついイラストの扉に触れてみたらなんかこの空間にやって来ていたのだった。

「だだっぴろいなあ……」 「十中八九スタンドなんだろうが」

キョロキョロしている。

89『ロフト・シンガーズ』:2014/07/18(金) 00:16:26
>>88


「…………久しぶりの『来館者』」

「というわけか」
「別に喜ばしくもないが」

ほんとうにだだっ広い空間である。
……そして、何もない。

ちらほらと『パネル』らしきものがあるが、数は極めて少ない。


「ようこそ、異能博物館『ロフト・シンガーズ』へ」
「もっとも、展示もほとんどありませんが」

そして、男が一人。
着流し姿の、若くも老けてもいない男だ。丸眼鏡を掛けている。

その腕には『腕章』があった。
ここの関係者、ということだろう。

「ゆっくりする分には何ら問題ありませんので……ご自由に」

「それとも、貴女が展示になってくれますか」

眼鏡の奥の目が細まる。対人に向いていなさそうな目だ。

90クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 00:19:36
>>89
「ほおぉお〜〜」 「を゛っ!?」

女は急に話しかけられて飛び跳ねるように驚いた。

「……こほん。随分ゆったりとした『博物館』だな」
「いや、『博物館』と言ったらそんなものなのか?」
「若い時分に不勉強だったからよく分からないが……」

とか何とか言いつつ、そこで『展示』という言葉に気付く。

「……『展示』というのは?」
「まさか『注文の多い料理店』みたいに、展示物を見に来たものを展示しにきたとかじゃないだろうな」

スタンドならそれもあり得るか、と思いつつ、そう言う。
近くに蛇口とか地下室への入り口みたいなものは……ないか。

91『ロフト・シンガーズ』:2014/07/18(金) 00:42:39
>>90

「そんな驚くこともないだろう」

やや冷めた口調で男が言う。
あるいはこれが平時の口調なのかもしれない。

「……ああ、まだまだ発展途上というわけでしてね」

「弛まぬ努力というのもしておらんので、この有様です」
「まあ、客が増えすぎて嬉しいこともありませんが」

そう言う男はとくに悔しげでも悲しげでもない。

「これでは少し寂しすぎるか」
「まあ仕方ないですが」

ただ館内を見渡しながらそう言っただけだ。なにもない館内を。

>「……『展示』というのは?」

「……あいにく、人食趣味はありませんで」
「さっきのはジョークのつもりでしたが、言葉足らずというやつか」

「申し訳ない」

クリスの見える範囲に、そういった物はなさそうだ。

「実際のところは、うちは異能専門の博物館」
「貴女が異能を持っているなら、パネルなりなんなり……相応しい展示になります」

すくなくとも、取って食う気はなさそうだ。

92クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 00:49:47
>>91
「なんだ」

女はあからさまに安心した様子だった。
さしもの『ゾンビ球団』も『穴』がなくては文字通り手も足も出せない。
出せるのは地の底からのヤジくらいか?

「なるほど、『スタンドの博物館』であり、『博物館のスタンド』というわけか」

女はうむ、と鷹揚に頷いた。
どうやら先程の失態を、威厳とかそんなので帳消しにしたいらしい。
器の大きさが知れる言動だった。

「だが、残念なことに私のスタンド――『アストロ・ゾンビーズ』は今は出せない」
「……何か『穴』みたいなものはないかね?」 「蛇口でも良いんだが」
「なければ外に出てエレベータから連れて来るが」

色々と統一性がなさすぎる『必要なモノ』の数々だった。

93『ロフト・シンガーズ』:2014/07/18(金) 07:27:45
>>92

「スタンドの、と言うのは語弊がありますがね」
「異能・怪奇であれば当博物館は極めて『雑食』」

男はそう言うと、品定めするように貴女を見る。

「『アストロ・ゾンビーズ』」
「噂はかねがね。そうか、実在か」

貴女の事を知っているらしい。
やや喜色を帯びた声色。

「何もない空間ではあるが……カフェがありましてね」
「つまり調理場もある」

「存分にどうぞ。一度、見てみたかったんでね……」

男が指差す先には、なるほど簡素なカフェスペースがある。
その奥に調理場。

「どこから繋がっているのかはよくわからんのだが……」

とにかく調理場ということは蛇口はあるのだろう。

「ついでだからコーヒーでも淹れましょうか?

        ……ウマいと評判、ということは全然無いがね」
「いろいろ話が聞きたい」

94クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 21:55:14
>>93
「フム?」 「……まあ、『ゾンビーズ』もまるっきりスタンドというわけでもないしな」

確かに『呼び出す』のは女のスタンド能力だが、彼らのうちに入り込んでいるのは
『本物』の、過去に実在した存在の魂。つまり、『アストロ・ゾンビーズ』の本質は
                            、 、、、 、 、 、 、 、 、、 、 、 、 、
ゾンビ球団、という目に見える部分ではなく、それらを呼び出す見えない力の方で、
実際の選手たちはスタンドの副産物と『スタンドとは関係のない何か』の複合物だといえる。

「ありがとう」 「まさかふらりと立ち寄った博物館でファンに出くわすとはって感じだが」
「お言葉に甘えさしてもらうとしようか」 「コーヒーも蛇口も」

貧乏舌だから、コーヒーの美味い不味いなど分からない。
いつも安物のインスタントコーヒーばかり飲んでいるのだ。
ともあれ、調理場の方へと移動していく。

95『ロフト・シンガーズ』:2014/07/18(金) 22:31:09
>>94

「私はあらゆる異能、オカルトのファンなので……この黄金町はいい町ですね、そういう意味で」

「中でも『ゾンビーズ』みたく個性的なのは……」
「いいオカルトだ。記憶に残る」

男は喋りながら調理場に入る。
内装は簡素だった。

ほとんど必要なものだけで構成された、そんな空間である。

「ああ、そうだ……」
「インスタント・コーヒーのレパートリーには自信があるが」

電気ポットのスイッチを押す。
水はすでに入っていたようだ。

「そっちのが良いだろうか? 私としては手間が省けるんですが」
「どうです?」

そしてこの男も、このだだっ広い何もない博物館に見合った男らしい。

マグカップを用意しつつ、真心の見えない提案。

「……ああ、蛇口はそこに」

「お湯はまだ湧かんので……私は椅子を持ってきます」「立ち話もなんでしょう? 私も座りたいしな」

指差す先には流し場、そしてもちろん蛇口がある。

そして男は調理場を出た。
カフェ・スペースには椅子があったので、それだろう。

96クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 22:45:44
>>95
「ああ、ありがとう」 「コーヒーはインスタントでも何でもいいよ」

椅子を持ってくるという芥川に、そう答える。
芥川も芥川だが、この女もこの女で施し甲斐のない人間だった。
もっとも、受けられる施しを受けることに躊躇いを覚えない性格なので、
あれこれ世話を焼きたがる相手とは相性はいいのだが。

「ついでに消臭スプレーか鼻をつまむものも持ってくると良いぞ」

遠ざかる背中に声を掛けつつ、蛇口を視界に収める。

「……消臭剤がなかったら、最悪洗剤でも良いか?」
「油膜で臭いが密閉されてくれるかもしれないしな……」

もっとも、ヌルヌルの液体で覆われたゾンビなどホラー以外の何物でもないが。

「それはゾンビの時点で今さらか」

なんてことを呟きつつ、『入場』開始。

――――。
芥川が調理場に戻って来ると、そこは既に『世界』が変わっていることに気付けるだろう。
それまでの、『人が全くいないさびれた博物館』という法則は完全に通用しない。
そこには。腐りきった屍が九つある。それらの屍は野球のユニフォームを身に纏い、
そして奇妙なことに普通の人間と同じように生き生きとした(軋むようなぎこちなさはあるが)動作をしている。
『異界から呼び出された屍たちの世界』。そういう法則でもって、場が塗り替えられている。
見知った空間のはずなのに、彼らという『異物』のせいで、まったくの別世界のように変貌した『調理場』。

    ゴ ゴ      ゴ

……ちなみに、人間は視覚以外でも嗅覚で場所を認識したりするらしい。

97『ロフト・シンガーズ』:2014/07/18(金) 23:17:18
>>96

男はすぐには帰って来なかった。
電気ポットが音を鳴らす。湧いたというわけだ。

そして、『アストロ・ゾンビーズ』は滞りなく入場する。

・・・数分後。


「待たせた」
「……なるほど、これが。ははあ」

戻ってきた男は消臭スプレーを片手に持っていた。
興味深げに『ゾンビーズ』を眺めるその顔は顰められている。臭いだ。

「かなり臭いますね。死体だからこんなものか、はは」
「貴女は慣れてるんですか? 私としてはかなりキツイな」

「スプレーふりますよ。無香料のやつなんで、匂いが混じるとかは無いはずだが……」

無遠慮にスプレーを撒き散らす。
マグカップには掛からないようにしているようだが。

もう片手には椅子だ。
パイプ椅子が二つ。

「……ああ、ゾンビーズの皆さんの分も用意すべきか」
「どうです? 要りますか?」

「ただあいにく、お湯は二人分ちょっとしか無いんで……コーヒーは出せませんが」
「いや、ゾンビに飲食は不要……失礼、生ゾンビは初めてでね、少し舞い上がってる」

パイプ椅子を用意しつつ。スプレーはその辺に置いてある。

「衛生的にマズい気もするな」
「ゾンビには代え難いが……」

98クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/18(金) 23:27:35
>>97
           「あーいいよいいよ」  「むしろお構いなくっていうかな」
                  「オレ達慣れっこだしなそういう扱い」
              「監督ってば俺らのこと邪険に扱うからよー」
                           「あとゾンビだから立ってても疲れねーし」

ざわざわと返答が来た。
一を聞けば十を帰って来るのを真っ当にやってくるというのも珍しい経験だ。

「衛生面なら気にしないで良い」 「『退場』すれば全部綺麗さっぱりヨゴレもなくなる」
「後に残るのはどこか土臭い匂いだけということだ」 「コイツら原材料『土』だから」

たとえ土でも不衛生なことに変わりはないが、ヨゴレがなくなるというのならまあ良いだろう。
そんな芥川を横目に、女はどっかとパイプ椅子に座った。ぎぃ……とパイプ椅子が軋み、音を立てる。
かなり偉そうな態度だ。あるいはそういうポーズをとることで、インタビューされる側っぽい感じを出そうとしているのか。
多分そっちの方だろう。

「野球に詳しいなら、対応する死人を呼び出してサインを書かせることもできるぞ」
「私は野球とか全然知らないから名前を言ってくれないと分からないが」

99『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 00:07:03
>>98

「それはそれは。まあ椅子にせよコーヒーにせよ、人数が多いと大変だからな」
「謙虚な方々で助かります」

マグカップにインスタント・コーヒーの粉を入れる。

選択肢の多さとやらのわりに、選ぶ余地はないらしい。
なんとも適当なやり方だ。

「土。そりゃエコだ」
「ニオイも……今よりヒドイって事は無いなら、それでかまいません」

そして電気ポットからお湯を注ぐ。

              『ドボボボボボ!』

コーヒーに自信のある者が見たら卒倒しそうなくらい適当だ。

「…………よし」

ややお湯を跳ねさせつつ、淹れ終えた。いかにもな安物コーヒーだ。

「どうぞ。……ああ、お盆かなにか……そう、置く場所があった方がいいかな」
「無くてもいいですか? 手が熱いと思うが」

「……カフェスペースに移動した方が早い気もするな」

なんとも無駄の多いやつだ。

「……ほー、実在選手のゾンビなんですか? そりゃすごいな」
「まあ、私も野球は詳しくないんですが……」

「大リーガーが死後に書いたサインなんて展示として面白そうだ」「オカルトでもある」

笑顔でそう言いつつ、男はコーヒーを淹れたマグカップ二つを持ってカフェスペースに向かう。

結局移動することになったらしい。
座ったクリスからすると無駄骨だ。

100クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 00:19:24
>>99
「ん」 「移動するのか」

無駄にかっこつけた女のダメージばかりが大きくなった格好だ。
ちょっと恥ずかしそうにしながら立ち上がる。

「あ、椅子持って行ってくれ」
                        「やだよ」 「野球関係ないしなー」
                     「オレ達野球バカだから、野球以外のことはしねーぞ?」
                          「場スレだからうやむやになるとでも思ってたか?」
「こ、コイツら……」

『ゾンビーズ』は『野球』以外の労働は文字通り死んでもやらないので、
女は仕方がなく自分でパイプ椅子を持ってカフェスペースに移動する。

                            「あ、でもファンへのサインはするぜ」
                           「ファンへのサインは労働じゃなくてサービスだし野球関係あるしな」
                              「寄せ書きしよーぜー」 「ヤフオクで売られてたらキレるけどな」
                             「ヤフオクって何?」 「あー、お前が死んだときなかったのかアレ」

『ゾンビーズ』はめいめいに好きなことを言い合っている。

「ところで私から質問したいんだが、お前も『刺青』か?」
「私もご覧のとおり『刺青』だが」

そう言って、自らの二の腕を指差す。
肉づきに乏しいそこには、コミカルなデザインの『ZOMBIE!』というタトゥーがあった。
ファッションとしてはおかしくない部類だが、いかんせん細身の女には似合っていない。

101『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 00:40:23
>>100

「まあ、せっかくのカフェスペースを使いたいというのもある」

「こっちの方が綺麗ですしね」

掃除だけは行き届いている。
机も椅子も埃一つ……というほどでもないが綺麗だ。

男は適当な机にマグカップを二つ置くと、椅子に座る。

向かいには椅子がない。
クリスが持っているそれは、この席から取った物らしい。

「……残念ながら、色紙がないのだが。今から買って来ましょうかね」

「展示物は増やしたい」
「まして、とんでもないレア物だ」

男はコーヒーをすする。
とくに何ともなさそうな顔だ。美味くはないのだろう。

「ああ……ミルクとか、要りましたっけ? 聞くの忘れてたな」
「必要なら取ってきますが」

「……刺青? ええ、私も――少々経緯は異なりますが」
「厳密には、私はスタンド使いでは無いのでね」

刺青の外見に、とくにコメントは無いらしい。
ファッションには疎そうな男だ。

「スタンドの付属品……と言ったところだろうか、まあそんな感じだ」

刺青を見せる様子は無い。
服の下なのだろう、脱ぐ気は無さそうに見える。

「それより色紙だが……普通の紙というのはあまりに味気ないよな」
「名前だけでも、価値はあるでしょうが」

「名前。ああ自己紹介してなかったな……要りますか?」

102クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 00:54:01
>>101
「いや」 「このままでけっこう」
「ブラックに慣れてるんでね」 「甘いのもそれはそれで好きだが」

椅子に座り、コーヒーをすする。

「ふぅむ……。なるほど」 「『窓口』……というわけか」
「よけいに親近感が湧くな。何せ私もコントロールできるのは『入退場』くらいのものだ」
「そして本体ではなく『監督』だし」 「まあ大体好意的に動いてくれるが」

芥川の『スタンドの付属品』という発言に、そんな反応を漏らす女。
『ゾンビーズ』の面々は扱いとしては『自立型実体化スタンド』なので、結構持て余している感もある。

                    「写真に寄せ書きでも良いぜー」
                   「いや、寄せ書きするスペースないだろ写真だと」
                       「壁とかに書くっていうのもアリだぞ」 「ナシだろ」
              「一枚一枚撮っていけば良いだろ。オレら単体でも有名なんだし」

「名前。そういえば伺ってなかったな」
「私はクリス・クロス」 「『アストロ・ゾンビーズ』のマネージャー兼監督をしている……」

そう言って、女は名刺を持ち出してきた。
Tシャツにジャージの女でもこういうところはしっかりしているらしい。

103『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 01:28:18
>>102

「なるほど。良い好みです」

そういう彼のコーヒーもブラックだが、好みとかではなさそうだ。

単にミルクとかを取りに戻るのがめんどくさかったのだろう。
それでいて、無気力といった風ではないのだが。

「私にいたっては、コントロールすら出来ませんが……それこそ入場くらいでして」
「まあ一介の『キュレーター』としては十分な能力だが」

「……しかし、往年の名選手達の『監督』か……野球ファンが聞けば泣いて羨ましがるでしょう」

笑う。……ちなみに親近感については、彼は感じていない。
悪い感情も無いが。

「ああ……どうも。名刺とは本格的だな……私も作ろう」
「というわけで不躾ながら名刺交換とは行きませんが……」

「『ロフト・シンガーズ』……黄金町支部、キュレーターの『芥川 晴乃丞』」
「ま……よろしく」

握手ということか、手を差し出す。
差し出しつつ、ゾンビーズの方に視線を向ける。

「それで、そう……写真。良いアイディアだ。すばらしい」
「腕の良いカメラマンがいます。相応しい腕前のがね」


「……『ザ・カメラ』氏」

気付けば、どこからともなく『スーツ姿の男』が歩いて来た。

そして、その顔は『カメラ』だ。
カメラの仮面を被った奇妙な男だ。

「奇抜だが、腕は確かですよ。そして寡黙で、無駄のない人だ」

            ペコー

頭を下げる『ザ・カメラ』……無駄のないとは言うが、常識はありそうなやつだ。

104クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 01:39:49
>>103
「やあ」 「ご丁寧にどうも」 「『ザ・カメラ』」
「なるほど。『従業員』か」 「いよいよ親近感が湧くな」

『キュレーター』という肩書からして、彼と『ザ・カメラ』の間に分かりやすい優劣はないのだろうが……。
しかし、『協力関係にはあるし大抵の望みは聞いてくれるが完璧に優越している訳ではない』立場というのはやはり女と似ている。

                        「お?」 「ポーズ取った方が良いかね?」
                         「バット持ってきてねーよバット」 「監督ーバットー」
                        「馬っ鹿身一つでポーズとるのが良いんだろ」 「『ザ・カメラ』君動画撮れない?」

『ゾンビーズ』の連中がまたざわざわしだした。

「さて、何から話すべきか……」

本体の方は本体の方でなんかもうインタビューされてる気になってる。色々と収集がつかない感がある。

105『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 02:02:48
>>104

「『ザ・カメラ』氏はコーヒーは要ります?」

              ブンブン(否定の意)

「そうですか、まあいいや」
「……ええ、従業員……現時点にして唯一の同僚というわけだ」

「つまり言うなら、私は『ザ・キュレーター』ですかね……」


              パシャ  パシャパシャー

『ザ・カメラ』は既に撮り始めている。……手に持ったカメラで。

とりあえず全員まとめて、といったところか。

            スッ、スッ

そしてハンドサインで『順番を決めろ』と指示しているようだが……

「そういえば野球選手の名前なんて全然知らないな」
「指名とかはナシになりますね」

笑う。

「……話か、そうだなァ、こうなってくると貴女個人には……いや、失敬。ゾンビーズのインパクトが強い分ね……十分興味深いが」

「……ああ、都市伝説。どんな気分なんです、噂されるというのは」

今や都市伝説サイトでは一躍ブームなゾンビーズだ。
当事者の気持ちというのは知ってみたいものであった。

106クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 02:24:21
>>105
「そうだな……あれはいつのことだったか」
「私はどこにでもいるゾンビフリークだった」

なんか話が始まったぞ。

          「おっもうシャッター切ってやがるし」 「だから動画撮れないの???」
               「列に並べってよー」 「行列ってオレどーも馴染めないんだよなー」
       「並べって言われてんだから並べよ」 「その風潮に反逆する」
                          「ガキかよ」 「ガキだな」

「……だが、問題が一つ出てきた。
 『ゾンビーズ』のことを、『人食いゾンビ』のように語る都市伝説の登場だ……!」
「確かに『ゾンビ野球』は危険も伴う。
 だが、我々が誰かを積極的に襲うようなことはしていないというのに……!」

「SNSサイトのアカウントをとったのは、その悪しき誤解をとく為というのもある」
「結果として、そのことが火付けとなって都市伝説サイトで有名になれたのは幸運だったが……」

女の長話は山場を迎えている。

107『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 12:44:49
>>106

「私も元は単なるオカルトマニアでしたよ。はは」
「こういうのが親近感というものでしょうか」

と、言いつつ、『芥川』はゾンビーズの方を向く。彼らの声が、気になる声が耳に入った。

「『動画』」

「せっかくのメンバー、『動画』は悪くないアイディアですが」

「展示にするとなると……いや、経費で落ちるか。そっちのが面白いし……価値もある」

「個別写真の後に撮らせていただけますか? 先のがいい?」
「ビデオカメラは何処に置いてあったかな」

芥川としては、面白い展示が増えるのは好ましいのだ。

客を呼びたい訳ではないが……蒐集の楽しみだろうか、そういうもの。

               スッスッスッ!

早く並べとジェスチャーする『ザ・カメラ』
並んだら順番に撮って行くだろう。

「……えーと、そうだ、話を聞いてるんだった」
「注意がそれてすまない」

クリスの方に向き直る。笑う。

「有名になったのは良かったですね。ウチは無名だから……まあそれで良いのだが」
「野球チームとしては……有名になってこそでしょうね」

「ああ……続けてください。ちゃんと聞いてるんで」

コーヒーを啜りつつ。味については描写の必要を感じない程度。

108クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 21:29:48
>>107
「ほらお前達、並べー監督命令だぞー」

                      「へーい」 「あいあいさー」 「分かったよー」
                         「押すな押すな」 「横入りしたなお前!?」
                       「オレは昨日の夜から並んでて……」 「下半身不随にすんぞテメェ!」

「アイサーじゃなくてアイマムな」

ざわざわしつつも、『ゾンビーズ』は女の号令で列に並び始める。
なんだかんだで、この女が『ゾンビーズ』の中心として機能しているということなのだろう。

「さて、何の話をしていたか」

注意が逸れたのはお互い様と言いたいようだ。目でウインクしてきた。ウザイ。

「そうそう、SNSサイトの話だったな」
「私の最終目的は先程も話した通り『ゾンビーズ』の広告収入によって、
 不労所得だけで一生遊んで暮らしていくことなのだが…………」
「色々あって、『学園』のレクリエーションを企画する為の交渉の約束をとりつけるところまで行った」
「秋映学園さ。お前もこの街の住人なら名前くらい聞いたことあるだろう?」 「あるいは母校か?」

また長い話が始まった。

                   「なあ『ザ・カメラ』君よーアンタ年棒幾らよ?」
                 「アスリート以外も年棒って言うの?」 「年収じゃね?」
                    「っつか、オレらも別に給料もらってやってるわけじゃないよな」
                  「そりゃー野球やってるだけで幸せだし」 「だなー」

「……そして最近、驚愕の事実を知った」
「『アストロ・ゾンビーズ』には『成長』の余地がある」
「その成長とは……『ゾンビーズ・スタジアム』」

女の話はついにクライマックスを迎えているらしい。

109『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 22:44:38
>>108

「……いいオカルトだ」

ゾンビーズの様子を。
そして『クリス』を視界に収めてそう呟く。

眼鏡の奥の目をやや細めつつ。

「ああ、構いません……お互い様だからな」

ウィンクには特に反応なし。
興味がないようだ。

「……秋映。そうとう、ムチャな学校らしいですね」
「しかし、仮にも一般人の通う学校にゾンビを招く企画……? 少々ネジを疑うが……」

眉をひそめる。さすがに、ある程度の常識はあるようだ。

「まあそれはいいか。一生遊んで暮らせるのは確かに夢ですね」
「相応に難しいだろうが……まあ、夢だからな」

(……我々の給料? 『ザ・カメラ』氏はいくら貰ってるんだ?)
(なんとなく生きてるが……そういえば給料なんてあるのか? ここに)

一つ疑問が出来たが、それの答えは今出ないだろう。

「……まあ、私も趣味だしな」

と、つぶやき。

「スタジアムとは、大きく出ましたね……色んな意味で」
「いったいどんなモンなんです?」

「野球チームといえば、確かにスタジアムが付き物だが……」

110クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/19(土) 23:02:01
>>109
                         「野球したくなってきたわ」 「あー分かる分かる」
                   「ここめっちゃ広いしな」 「ミニゲームくらいならできるんじゃねーのー?」
                            「博物館で野球するのは流石にマズイと思うがね」

「詳細は『不明』だ」
「だが『スタジアム』は確実に『建設できる』」 「それが『成長』」
「『刺青師』がそう言っていたのだから、間違いないさ」「こないだ聞いた」

ただ……と女はもったいぶって溜めて、

「『一〇〇〇万』」

「その『成長』を勝ち取るには、それだけの金が必要になるらしい」
「スタジアムの建設費としては破格なのは間違いないが、
 やはり個人で集めるにはかなりキツイ額でね……」
「やはりメディアミックスの必要性を感じているわけだよ」
「ブログの書籍化とか、映画化とか、冠番組とか」 「CDデビューとかな」

「そういうわけで、此処に『ゾンビーズ募金』とか置けないか?」
「『黄金町にスタンドのスタジアムを作りましょう!』みたいなさ」

……この女。
あろうことか、金の無心じみたことを持ちかけてきたぞ……。

111『ロフト・シンガーズ』:2014/07/19(土) 23:21:00
>>110

「野球。ここでされると流石に困りますが……」
「展示として、それ以上相応しいものもなさそうだ」

ゾンビの大リーガーという展示。
そこに、野球をしている姿を。

芥川はそれを良いアイデアだと感じたし、実行したくなった。

「前向きに検討だな」
「どこか広くて安全な場所を……今日じゃなくてもいいか」

すっかりその気のようだ。
そもそもここで野球をされて困るのも、修繕費とかそういう問題だ。

べつに野球をされる事それ自体は構わないのである。

「……っと、スタジアムの話だ」
「一千万とは、なんともはや」

「高いのか安いのか……まあ、夢のある話です」
「夢らしい夢というか」

間違いなく実現困難。とはいえ興味は、ある。

「書籍化がまだ現実的では」

「それで……募金。ははぁ、それはむろん構いませんが……ここに人は来ませんね」

「物好きも物好きくらいで」
「……ああいや、それだとちょうどいいか」

その募金に協力するのも、相当な物好きだろうから。

「私もまあ、気分が良い日に入れるくらいはします」

なんにせよ、それなりに協力的だ。

112クリス・クロス『アストロ・ゾンビーズ』:2014/07/20(日) 00:13:57
>>111
「おお! 本当か!」 「ありがとう晴乃丞!」

募金を前向きに検討、という芥川に、女はぱっと顔を明るくさせた。
どうやら金策はどれほどやっても足りないくらいらしい。

「そうと決まればまずはゾンビ好きで物好きなイラストレーターと知り合わなくては……」
「書籍化で印税ガッポで『ゾンビーズ・スタジアム』を建設するのだ!」

頭の中が腐ってるんじゃないかと思うような思考回路だった。

「それじゃあ晴乃丞」 「撮影も終わったみたいだし私は帰るとしよう」

                     「あん?」 「もう帰るのか」 「ありがとな『ザ・カメラ』君」
                              「撮られるカイカンに目覚めちまったぜ」
                       「生前の『アレ』を思い出すな……」 「パパラッチ?」

「募金の件」 「本当に頼んだぞ!」

                          「あと野球もな〜」

ざわざわと――。
『ゾンビーズ』達とその監督は、最後まで騒がしくしながら立ち去って行った。

113『ロフト・シンガーズ』:2014/07/20(日) 00:21:41
>>112

立ち去って行く『アストロ・ゾンビーズ』を見る芥川。

「……少し、騒がしかったな」
「だがまあ」

席を立つ。

「……いいオカルトだ。楽しくなりそうだぞ」

「まずは募金箱」
「野球のスペースも用意だな」

ブツブツ呟きながら、博物館の時間は過ぎて行く……

→『またの御来館を。』

114『ロフト・シンガーズ』:2015/02/06(金) 05:46:23


      どん!

-----

『ゾンビーズ・スタジアム募金』

アストロ・ゾンビーズのスタジアム設立に愛の手を。
あなたのやさしさが、この町に新しいオカルト・スポットを作ります。

目標金額→1000万円

-----

と、書かれた箱だ。入口近くの壁際に置かれている。
そしてなるほど、金を入れる穴がある。

壁には、ゾンビーズの『個人写真』が展示されている。
(撮影:『ザ・カメラ』)


「あとは……」

「……まァ、ここに好きで来るような人間なら、ゾンビーズのことは知っているだろうが……」

……一応、ゾンビーズについての説明が簡単に書かれたパネル展示も、そばにある。

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『アストロ・ゾンビーズ』とは?

地の底より蘇った、往年のベースボール・スター・ゾンビ達です。
キュレーターは知りませんが野球ファンなら誰もが驚く名選手ばかり。

近年この町の『都市伝説』の一角を担うようになった『真夜中の草野球』は、何を隠そう彼らと、そのマネージャーの仕業。
どうやら見学も出来るようですが、近づきすぎると刺激が強過ぎるかもしれません。

そんな彼らが運営するSNSアカウントも存在します。
気になる方は、ぜひフォローを。
(ここにURL。)

-----


「……こんなもの、か。」

115太田垣良『ザ・サードマン』:2015/02/14(土) 07:25:16
>>114
「…SNSを見てやってきたッス」

「…………」

「募金……『PLマネー』もOK、……なんスかね?」


PLマネーより、『100万』 寄付します。PLマネーがダメなら、取り下げますが…

116『ロフト・シンガーズ』:2015/02/14(土) 11:08:50
>>115

出迎えた、丸眼鏡の男。
彼は自分を、『キュレーター』と名乗ったが……

        「『100万』」

「……ですか。」

その寄付額を聞いて、唖然、といった顔つきだった。

「あいや、失礼。少々額にぶったまげましたが……ご寄付、ありがとうございます。」

      ガシャガシャ   チーン

『ゾンビーズ・スタジアム募金』
 現在の額:100万円
 のこり:900万円

「全額スタジアムのために使われる事を保証します。

 私も見てみたいからな……」

何度か頷いている……

……このキュレーター、歓待とかオモシロトークとかの期待出来そうな男ではない。
この場所に用が無いなら、帰ってよさそうだ。

117太田垣良『ザ・サードマン』:2015/02/14(土) 11:40:16
「そうッスね…」

「それじゃあ………………」

「……『PLマネー』から『70』 『PCマネー』から『30』」
「倍プッシュ…」


「『もう100万』ッス!もってけドロボーっ!死ね!バーカバーカ!また来るからなッ」


そう言って、太田垣少年はクールに去るぜ……

118『ロフト・シンガーズ』:2015/02/14(土) 11:52:37
>>117

「さらに『100万』……」

「いや、たまげたな。」
「ご寄付ありがとうございます。」


      ガシャガシャ   チーン

『ゾンビーズ・スタジアム募金』
 現在の額:200万円
 のこり:800万円

「もっと少額からでも受け付けております……またのご来館を。」

そうして、太田垣は出て行った。

「……いや、太っ腹な少年だ。ゾンビーズの追っかけだろうか?」

「ともかく……これは案外、スタジアムの建設も夢ではなさそうだ。」

119古崎 達郎『イージー・ワールド』:2015/02/14(土) 15:17:54
>>118
アタッシュケースに敷き詰められた『九十万』をねじ込む『イージー・ワールド』。

「ホームレス仲間がね、スタジアムを見たいって騒ぐからねじ込むぞい!」

「というか、黄金町に心霊スポットが少ないからねぇ」

120『ロフト・シンガーズ』:2015/02/14(土) 17:13:52
>>119

『ゾンビーズ・スタジアム募金』
 現在の額:290万円
 のこり:710万円


「ご無沙汰でしたね。成る程、都市伝説は多いがオカルトスポットとなると少ないか……」

「とはいえ、随分太っ腹ですね。出処は聞かない方がいい?」

121古崎 達郎『イージー・ワールド』:2015/02/14(土) 21:15:13
>>120
『キュレーター』に無言で微笑む。

「経済は綺麗な金だけじゃ動かないって話。紙幣に麻薬の粉末が云々ってあるだろ。ね?」

日本経済の黒い一面を説いて立ち去る。

122『ロフト・シンガーズ』:2015/05/10(日) 22:44:25
【場】『DIONモール』 その2 より。
(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1395578249/935-954)


>>門倉


      ――門倉は『壁の絵の扉』に触れた。


その少し後、門倉は『ここ』にいた。
だだっ広い、白い壁の空間。

ほとんど何も見当たらない。
――が、ちらほらと、写真と文章の『パネル展示』がある。

その他……『カフェ』らしきスペースがある。
また『シアター』のような設備も見える。どちらも人っ子一人おらず、閑散としているが。

「ようこそ。ここが異能博物館……『ロフト・シンガーズ』。」

                    「此の世のあらゆる怪異を、蒐集する。
                     それがここの掲げる目標で、私の生涯を賭す趣味ということになります。」

芥川は、そこまで楽しくはなさそうな声色で言った。
だが、ほんのわずかに、口角は上がっていた。

「……コーヒーでも出しましょうか?」

123門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/10(日) 22:59:07
>>122
「『ロフト・シンガーズ』―――
  あらゆる怪異を、蒐集―――」

 『芥川』の言葉を繰り返す『門倉』。
  興味深そうに『部屋』の中を丹念に眺めている。

「………あ、コーヒーで構わないよ。
     ただ、ミルクだけは入れて欲しい」

124『ロフト・シンガーズ』:2015/05/10(日) 23:15:33
>>123

「私も全容を把握しているわけではありません。
 なんせほら、キュレーターに過ぎない身分だから。」

                 「……ミルクありで。
                    わかりました。」

芥川はカフェスペースへと歩いていく。

「……ああ、貴方もこちらへ。
 カフェスペース以外での飲食は禁止――ですので。」

入り口からカフェスペースの間には『募金箱』くらいしかめぼしいものは見当たらない。
……『ゾンビーズ・スタジアム募金』だそうだ。(>>114参照。)

「ご存知ですか? アストロ・ゾンビーズ。
 都市伝説ですが……現実だ。ゾンビたちのオールスターリーグだ。」

               「湯を沸かすので、少しお待ちを。
                ペットボトルのでいいならすぐですが。」

そして、その奥のキッチンへと入っていった。
カフェスペースの机といすは、清潔に手入れされている。

125門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/10(日) 23:22:28
>>124
『芥川』に促されるまま、ついていく。

「『アストロ・ゾンビーズ』? ゾンビたちのオールスターリーグ?

  いや、いや、いや――― これは凄い。

  『部屋』もそうだが、『怪異』という名の『話の種』。
   そんなものがここにはたくさん、蒐集されているというわけなのか!

     いや本当に――― しばらくここに住みたいくらいだ」

『門倉』が目を輝かせながら、そう応える。

「ああ――― コーヒーは沸かしてもらえると嬉しいな」

126『ロフト・シンガーズ』:2015/05/10(日) 23:35:05
>>125

「……あいにく、まだまだ発展途上でしてね。
 怪異は多いが、蒐集するとなるとなかなかどうして、骨が折れる。」

     「つまり――蒐集『されていく』わけです。」

事実、『らしい』展示は見当たらない。
パネル展示がいくつかあるだけだ……大きな物とかは、ない。

「住む分にはまったくもって問題ありません。
 無駄にだだっ広いし……ここにスタンド使いが住み着けば、それが『展示』になる。」

                 「Win-winだ。」

冗談だか何だかわからない口調だ。
……奥のキッチンで、芥川は電気ケトルのスイッチを入れた。すぐ沸くだろう。

         「……」
                    「今のは冗談ですよ。半分くらいは。」

そういうことらしい。

127門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/10(日) 23:45:18
>>126
「なるほど――― つまり、まだまだ未完成なわけだ。

で、その『蒐集』というのは具体的にどうやるのかな?
 貴方が実際に体験した事が『ここ』に自動的に展示される?」

『門倉』は周囲をぐるりと見回しながら、問う。

「住むの関しては吝かじゃあないけど、
 生憎仕事もあるんでね、時々、寄らせてもらうだけになるかな」

『門倉』の方も冗談とも本気ともつかぬ口調でそう返してくる。

128『ロフト・シンガーズ』:2015/05/11(月) 00:03:23
>>127

             『コポポポポポポ……!!!』

                  『カチリ』

電気ケトルを止めた。
そしてコーヒーカップを棚から取り出し、インスタントコーヒーの粉を入れる。

「インスタントのがウマいんです。
 私が淹れるのよりは。……将来的には、それ専門のスタッフも導入する、かも。」

そこに、お湯をゆっくり注いでいく。
量は少なめだ。粉が溶けきる程度……その後、ミルクも入れる。

見た目からして普通な、ミルクコーヒーの出来上がりだ。

「蒐集……アナログですよ。
 私が聞いて、写真係が撮って、それでパネルを作るとか――」

                   「――あるいは。  
                        怪異をそのまま飾ってしまう、とか。」

便利な機能は無いのだ。
展示数が少ない理由の一つかもしれない。

「ええ、それで十分です。
 私はだいたいいつでも……ここにいるので。」

芥川は頷いた。

               「……コーヒーをどうぞ。」

129門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/11(月) 00:12:40
>>128
「ありがとう」

 コーヒーを受け取る『門倉』。ゆっくりと口をつける。

「『写真係』や『スタッフ』なんかも居るのか。
 それはそれは………なかなか本格的なんだね。

 『怪異』―――『怪異』ね。
  世間にとっては不可思議な事でも、
   『スタンド使い』にとっては、『能力』の範囲って事でも、『怪異』に入るのかな?

   『ゲームを映写する幽霊』とか、『不治の病でも死なないお嬢様』の話だったら知っているけど
    もうすでに『終わった話』だから残念ながら『写真』とかは提供出来ないな」

130『ロフト・シンガーズ』:2015/05/11(月) 00:19:24
>>129

味はふつーだ。

「ええ、スタンドって存在自体が怪異ですからね。
 既にスタンド使いに関する展示も数件ほど――」

             「ああ、展示のネタはいつでも歓迎します。
              話だけでも、パネルにすれば展示にはなる……寂しい感じはしますが。」

芥川は門倉の挙げた二つの例に食いつく。
運営熱意は微妙だが……怪異への熱意は強い。


「……まァ、プライバシーなんて概念もありますからね。
            その辺は配慮するかもしれませんが……」

つまり、本人の許可は欲しい、ってところだ。
物言わぬ展示ならともかく、人間を取り扱う場合は一応

131門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/11(月) 00:29:21
>>130
「『プライバシー』か。さすがに『博物館』というからにはしっかりしているね」

 『門倉』は素直に感心しているようだ。

「今挙げた話は双方、許可は取り辛いかな。
 『お嬢様』は故あって傷心でそんな話はし辛そうだし、
  『幽霊』はもう成仏しているし………うん、難しそうだ」

 話しながら、コーヒーをぐぐっと飲む。

「まあ今後、許可の取れそうな『怪異』を見つけたら知らせに来るよ。
 いつも、この場所に『ある』、という事でいいんだよね?」

132『ロフト・シンガーズ』:2015/05/11(月) 00:34:54
>>131

「私個人はまあいいんですがね。
 展示する以上、あとでケチがつくのは面白くもない……」

「しかし幽霊か……
 やはりいるところにはいるもんなんですね。」

この場所に展示しているのは――今のところ裏のとれた怪異だけ。
そこを曲げるのは芥川としても『ロフト・シンガーズ』としても面白くない。


「ええ――ぜひ。
 我々の『ロフト・シンガーズ』は年中無休。」

               「いつでも、ここでお待ちしてますよ。
                展示になりたくなった時も、どうぞ。」

芥川はそう言って、陰気な笑みを浮かべる。

133門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/11(月) 00:47:00
>>132
「なるほど―――まあ、俺からしてみると、
 この場所がすでにひとつの『怪異』に見えるな」

『門倉』はもう一度ぐるっと室内を見回す。

「では、そろそろお暇しようかな。
 ………少し、恥ずかしいところも見られたしね」

 『恥ずかしいところ』とは、少女の『思い出』に浸っていた事だろう。

「―――俺の双子の『姉』でね、幼い頃に別れた。
      とても社交的な人で、今は俺以上の
       お喋りになっているんじゃあないかな」

134『ロフト・シンガーズ』:2015/05/11(月) 01:05:11
>>133

「まあ、そうですね。
 この世のあらゆる怪異を受け入れる場所が、怪異でない道理もない……」

その理屈は、芥川にも納得ができた。
「それは――」

            「まいったな、色々と私は知り過ぎたか。
             まあ、プライバシーということで……墓の下まで持っていこう。」

そう言って頷く。
あとは、門倉が去るのを見送るだろう。

「……それでは、またのご来館を。」

135門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/05/11(月) 01:19:49
>>134
「そうだね。また、是非寄らせてもらうよ」

 『門倉』はそう言って席を立つ。

「ああ――― そうだ、さっきの話の『姉』。
 もし貴方が会ったら、どうぞよしなに。

 ただし俺の話はしなくて構わない。
  彼女にとっても、もう過去の話だろうからね。

     『まこと』、『かどくら まこと』。

        ああいや、母親に引き取られたんだから、

              にし………

                      ――― 『西真寿(にし まこと)』か」

    『それでは』、と告げて、『門倉』はその場を後にした。

136朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/11(火) 22:27:02
「なんだか今日は調子が良くないなぁー…」
ゲームコーナーでしばらく格ゲーをしていた涙音であったが…
どうにも対戦成績が良くない。

「今日はレベルの高いプレイヤーばっかりみたいだなぁ…」
涙音はゲームコーナーによく行くようになった。
それというのもスタンドを手に入れたからというのも理由の一つだ。
万が一怖いお兄さんに絡まれた時でもどうにか出来るかもしれないと考えたからである。

…幸いここにいるユーザーはマナーの良い客ばかりだったので
彼女の心配はとうの昔に杞憂になっていたのだが…


「ん、ま、いいか。
 ちょっと一休みしよ…」
そう言って涙音が何気なしに背中に腰掛けた場所…

『DIONモール四階、遊戯コーナー壁イラストの扉』に
腰掛ける。割と全力で。

137『ロフト・シンガーズ』:2015/08/11(火) 22:38:12
>>136

壁に『腰掛ける』というのも妙な話だが――

ともかく。

       ギィ ィィィ 

            『バタン』



――気づけば朱鷺宮は真っ白な空間にいた。

いや、完全な真っ白ではない。
幾つかの『パネル』や、何も入っていない展示ケース。

それから……奇妙な『募金箱』(>>114)


      「……ご来館ありがとうございます?」


そして、朱鷺宮を見る一人の男。
丸メガネが古臭い、やせぎすの男だ。

「いや、その顔は――」

     「……『誤』来館、の方が正しいか。
      いや、この洒落は言うべきじゃなかったな……」

腕には、『はちどり』の腕章。
朱鷺宮の様子を、あまり興味なさげに覗っている。

「……で、何か御用ですか?
 それともただ壁に凭れただけ?」

         ・・・・この謎めいた空間の、関係者だろうか。

138朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/11(火) 22:47:43
>>137
「…ん?」
ふと、気が付くと今までいた遊戯コーナーではなく…
展示ケースやパネル、募金箱が置かれた妙な空間になっていた。

「…募金箱…
 アストロゾンビーズ…?そんな球団あったかな…」
不思議そうな顔をしながら取り敢えずあたりを見回して見る涙音。

と、そこに居たのは
「…あ、そのこんにちは…。
 えっと、そうですね。色々と気になるところはあるんですがその…」
そう言ってあたりを見回す。

「ここって、どういうところなんですか?」
少々不安げな顔で答える。
…だが別に怖がっているわけではなく、興味がありそうな感じだ。

139『ロフト・シンガーズ』:2015/08/11(火) 22:57:24
>>138

近くに『ゾンビの写真』がある。また、パネル展示もだ。(>>114参照)
ゾンビの野球チームだからゾンビーズらしい。

          ・・・・男は質問に頷く。

「異能博物館『ロフトシンガーズ』。
 ……ああ失礼、この場所の名前です。
 別に貴女を取って食う場所ではないです。」

異能博物館。
つまり、そういう場所なのだろう。

「貴女も――異能を持っているはずだ。
 ここに入るための『入場券』は、それですから。」

異能。それはスタンドを示しているのだろう。
あるいは朱鷺宮の『災難』も異能の域だが……

            「……ああ、コーヒーでも飲みますか?
             一応、ココアとかも仕入れてますが……」

男は、奥にある『カフェスペース』を顎で指し示す。

140朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/11(火) 23:05:06
>>139
(ゾンビ球団…?
 なんだか面白そう…)
まだ出会ったことはない。
しかし楽しそう。とは思えた。

「異能…博物館?
 不思議な場所ですね…
 その…そういえば覚えはあります。
 異能というと…」
少し考え事している…

「別に鳩尾に何かがぶつかってくるっていうのとは違って…
 『スタンド』のことでいいんでしょうか?」
そう言ってからカフェスペースに目を向ける。

「うーん、コーヒーは苦いのでちょっと苦手ですから…
 ココアを飲みたいですね。どちらかと言えば。」
そう答えてから、カフェスペースの手頃な場所に座ることにした。

141『ロフト・シンガーズ』:2015/08/11(火) 23:15:04
>>140

ゾンビーズのSNSアカウントもあるようだ。
会おうと思えば、会えるだろう。

「覚え。」

男は復唱する。
そして、朱鷺宮の言葉に頷く。

「ええそう。いわゆるスタンド、です。
 鳩尾? というのは、よくわからないが……」

カフェスペースへ歩いていく。
・・・・そして。

「では、ココアを。ああ料金は無料です……入館料もね。
 我々の給料がない訳ではないんでご安心を。」

男はさらに奥の、キッチンらしきスペースへと入って行った。

               カチ

          コポポポ

静かな館内。
電気ケトルのスイッチ音と、湯の沸く音が聞こえる。

142朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/11(火) 23:21:37
>>141
「…一応登録しておこうかな…」
そう言ってなんとなくゾンビーズのアカウントをスマホで探しておいた。

「…まぁ、鳩尾に関してはこっちの話…
 そうですか、なるほど…
 アナタもスタンド使いってことですけど…
 やっぱりこの『博物館』…なんですか?」
建物がスタンド、と言うのは涙音も一つ覚えがあった。
だからこそ、博物館のスタンドがあったとしても違和感を感じなかったのだろう。

「へー…
 料金が無料ですか、なかなかいい場所ですね。
 ただ…まだ展示物があんまりないみたいです…」
そう言って椅子の上でまた、博物館を見渡した。

143『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 00:08:47
>>142

登録した。これでゾンビーズ情報が手に入る。
・・・・どんな情報があるのかは知らないが。


           コツ

              コツ


奥から、男がカップを持って帰ってきた。

「ええ、私もスタンド使いです。
 もっとも、貴女方のような能力ではないが、な。」

辺りを見渡して頷いた。
意味するところは――朱鷺宮の想像通り、か。

「展示が少ないのは、仕様です。
 異能とはそうホイホイ沸いてくるものでもない。」

「それとも貴女が生きた展示になってくれます?
 食事くらいは経費で下りると思いますが。」

冗談っぽく言った。

144朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 00:20:57
>>143
「まぁ…これはこれとして…」
そう言ってスマホを元の場所にしまう。

「…なるほど、
 やはりココがアナタのスタンド…
 空間なのか建物なのかはわかりませんが…
 あの壁が入り口なんでしょうかね?」
そう言って何気なく背中を預けていた壁を思い出す。

「まぁ…確かに何百人も現れたりはしませんよね…
 ましてや、入り方が特殊だとなおさらでしょうか。」

「…生きた展示物になるのはさすがに勘弁して下さい…
 その、せめてあのゾンビさんたちのようなぐらいならまだいいんですけど…」
そう言ってゾンビーズの写真を慌てて指さした。

145『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 01:07:34
>>144

「ちなみに当館での撮影は今のところOKです。
 まあ、プライバシー的な部分はご遠慮願うかもだが……」

とのことらしい。
ともかく。

「ええ、絵の扉。
 どういう理由なのかは、謎ですが。」

「……外に出れば、探せば何百とある。
 でも、展示を作るのは私です。
 どうせそんな大量には、増えませんよ。」

つまり……噛み砕けば、彼の怠慢らしい。
いや、マイペースというべきか?

「それと、さっきのは冗談……
 写真を撮っていいんですか? 出来れば能力も見たいな。」

          ズイッ

     「おっと」

      __
      |.(' )i! ̄i|
      ||_゚_||. ̄
     f<|只/7ヽ
     ||<V//、\
     |.! o  {_/ /
     lノハ  (_|]/
     t,Y.|\/
      | |  |
      | |  |
      | |  |
      |_|_|
      (__t___)


写真、という言葉を発した時、いきなり妙な男が現れた。
そいつは……頭がカメラだ!

「……彼こそ、カメラマンの『ザ・カメラ』氏。」

男が付け加える。

146朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 01:16:33
>>145
「…まぁ、美術館や博物館は普通撮影禁止ですけど…」
取り敢えず自撮りはしないつもりのようだ。

「ふーん…
 確かに入館無料で見学無料となると…
 のんびりやるのが一番なのかもしれないですね。」
涙音はどこか落ち着いた様子である。
ざわついてない静かな場所が好きなようだ。

「写真…
 ええ、構いませんけど…でも能力ってカメラに写っ…」
そこまで言ったところで突如

「ぬあっ!?」
頭がカメラの妙な男が現れたのを見て、思わず倒れそうになった。

ガコッ!
「あいたっ…」
テーブルの角に鳩尾が軽く命中した。痛そうだ…

「あ…はぁ…
 スタンドですね…
 いきなりでびっくりしました…」
建物がスタンド、と考えていただけにこういうのは不意打ちだったのかもしれない。

「…ふむ…
 撮影されるのも結構好きです。
 いいですよ…では…」
改めて、涙音は席を軽く経ってから

『フォートレス・アンダー・シージッ!!』

ドゴォン!!
自らのスタンドをその場に出現させた。

…その外見は関節各所と鳩尾にターゲットスコープ状のパーツが装着された
女性軍人を思わせるスタンドであった。
そしてライフルを背負っており…

「私の能力は…」
そう言ってライフルを構える。

「あっ…逃げないでくださいね!」
そう言ってカメラ男の斜め前の床に向けて引き金を引く!

…命中すればそこに描かれた的が設置されるだろう。
「…この通り、『的』を設置することです。」

147『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 01:39:52
>>146
  
      パシャ!

シャッター音。

「ははあ、鳩尾。」

合点がいったような声。

      「……そういう能力で? いえ、冗談。
       救急箱はないので、ご自愛を。」

    カチャ

『ザ・カメラ』はその様子も撮っていたようだ。
そして――

「展示が増えること自体は歓迎です。
 それでは、よろしく。」

     パシャ!

       パシャ!

         パシャ!

『ザ・カメラ』が次々シャッターを切る。


      ドキュン!

          パシャー!

放たれた弾丸にも、描かれた的にも動じず。
凄まじい……プロ根性だ。

「……ご協力、感謝します。
 展示は近いうちにできるでしょう。」

男は満足げに頷いた。

「しかし軍人みたいな外見ですが――ミリタリーなどに興味が?
 それとも、ご家系に軍属の方など?」

これは個人的興味の質問だろう。

148朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 01:47:05
>>147
「あっその…
 もしかして、ぶつかった瞬間も撮影を…?」
カメラのシャッター音を聞いて、とてつもなく恥ずかしい表情で答えた。
さしもの涙音も、そんな瞬間を残されるのは恥ずかしいものである。

「わ、わからないです…
 これは災難としか…言い様が無いです…
 あ、平気ですよ。慣れてますから…今日はどちらかと言えば軽い方です。」

そして本番のスタンド撮影は…

パシャ パシャ パシャ!
「…ありがとうございます。
 さすがですね。これが…カメラマン魂というものでしょうか…」
…見事に成功。プロ根性がかいま見える瞬間であった。

「…えっと…何でしょうねえ…
 家系とかを探したことないのでわからないですが…
 私も、ガンシューティングはやりますけど特別好きってわけでもありませんし…」
どうやら何故なのかはわからないらしい。
あるいは彼女の本質なのだろうか…

「…知ってるのはウチのお母さんは学生時代に
 『秋映の破壊神』なんて言われるくらいの不良だったらしいってことぐらいしか…ないですね。」
…さらりとなんかすごいことを言っている。

149『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 02:09:32
>>148

「もちろん嫌なら載せません。
 責任をもって、写真は処分します。」

       コクリ

カメラマンも頷いた。

        「だが、その奇妙な災難――
         それもまた、異能と言える。」

つまり、朱鷺宮次第だ。
嫌なら嫌というべきだ。なんせ展示されるのだし。

         ・・・・そして。

   ペコー

カメラマンは一礼し、下がる。


「……なるほど、なるほど。不良というのは関係なさそうですね。
 いや、弱者を『的』にしていた――とかそういう意地の悪い解釈は出来るが。」

あまり愉快でもなさそうに彼は言った。
不良を尊敬するタイプには、見えない男だ。

「……今のは失言かな。
 お詫びと言っては何だが、サブレでも食べます?」

やや気まずげな顔だった。

150朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 21:36:31
>>149
「ん…まぁ、そうですね…
 展示するのであれば…その、お焚き上げ供養をお願いします…
 もしかしたら、災いを消してくれるかもしれない…」
恥ずかしいというだけでどうやら嫌というわけではないらしい。
取り敢えずは、オッケーということだろうか。

「はぁ…異能…ですか。
 …できればこういう異能は欲しくないですけどねー。」
ちょっと自嘲気味に笑う。

「むっ…何を言ってるんですか!
 今のお母さんはとても優しいんですよ!」
ちょっとムキになって立ち上がる。
軽く怒ってるふうだったが…

「…んっ、サブレ美味しそうですね。
 頂きます。」
食べ物の話となれば、すぐに機嫌が良くなった

151『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 22:02:12
>>150

「供養……ああ。写真のですか。
 経費で落ちるかな……まあ、やっておきましょう。」

「異能というよりは、呪いめいていますしね。
 供養するのは、いいかもしれない……」

男は頷いた。

「それと、お母さんに悪いことを言ったことは、謝ります。
 ですが……覚えておくといい。歴史が消えることは、ない。」

          「……喋りすぎましたね。」

サブレを食べる朱鷺宮を見て、ひと時だけ目に灯った熱は消えた。
……不良、というものに思い入れがあるのかもしれない。

「そのサブレは下の階で売っています。
 宣伝するつもりはないが、なかなかウマい。」

あまり関心深くはなさそうだが、味は確かに良い。
もっとも、朱鷺宮の好み次第だが。

152朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 22:14:50
>>151
「よくわからないことですけど…
 まぁよろしくおねがいしますね…」
ちょっと申し訳無さそうに答える。

「…たしかにそうですけど…
 もぐもぐ…さすがにいきなり言われるとびっくりしますよ…
 もぐもぐ…ちょっと怒ってしまって…こちらこそすみません。」
サブレを食べながら答える。
機嫌は治っているようである。

「ふむ…しかし、不良の話をしたら急に目に力が入ったように見えましたが…」
と言って、軽く館長である彼の目を見つめる。

「いいですね。後で買いに行ってみましょうかね。」
そう言ってドンドンとサブレを食べ続ける。

153『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 22:33:35
>>152

「いきなり破壊神がどうのと言われて、ビックリした男が私です。」

男は苦笑した。

「それと、私なんぞが言うのもなんですが……
 思ったことを全て口に出すのは、知的ではない。」

        「……気を悪くしたなら、すいません。」

男の目は明らかに朱鷺宮への友好は示していない。
かといって、嫌悪の色もないが。

「……それは今、セール品です。
 500円もしなかったんじゃあないかな……
 安くて美味いというのは、いいことだ。」

          「……少し、失礼します。」

そう言いつつ、奥のキッチンに引っ込む。
……自分の飲み物でも淹れるのだろうか。

154朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 22:47:00
>>153
「…その件はどうもすいませんでした。
 思い当たることかもっていうのを考えてたら…
 はっきり言うというのは、もうちょっと自重したいです。」
どうやら涙音も申し訳なく思っているらしい。
彼がどう思っているのか少し心配しているようだ。


「じゃあ、後で買ってみます!
 …あ、どうぞー」
奥に引っ込んでいった彼に少し気になる表情を浮かべる。

…取り敢えず待つべきかな?と少しそわそわし始める。

155『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 23:10:43
>>154

男がどう思っているのかは不明だ。返答もない(奥にいるので当然かもだが。)
少なくとも良くは思っていないから、指摘したのだろうけども。

          ……カチャ

     コポポポ

「……別に、いつ帰ってくれても構いませんよ。
 ここは博物館ですので。」

奥から声が聞こえた。
……別に待たなくてもいいらしい。

       「あいにく、飲み物とサブレ……
        それから私の話。
        それ以外の歓待は、出来ません。」

朱鷺宮を特別邪険にしているということでは、なさそうだ。

156朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 23:14:15
>>155
「…ふむ、
 分かりました。」
取り敢えず涙音は下の階へ歩いて行くことにした。

「あ、サブレを買いに行っておきますねー。
 あれはなかなか気に入りました!」
そう言って下の階へと降りていった。

157『ロフト・シンガーズ』:2015/08/12(水) 23:19:52
>>156

「ええ、お好きに。
 サブレは一階の物産展です。」

奥から声が聞こえた。
そして朱鷺宮は『絵の扉』をくぐり、外へ――

       ギギィー ・ ・ ・

           ザワ

            ザワ

……無事に、ゲーセン内の絵の扉前に出た。
サブレを買うなら、そうするといいだろう。

いずれにせよ――

       ザワ
               ワイ ワイ

              ・・・・博物館の静かな日々は続く。

158朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/12(水) 23:21:56
>>157
「…ふむ、まるで夢の中のような場所でしたね」
そう言って元のゲーセン前に出た。

「ただの落書きじゃなかった…
 ふむ、機会があればたまに…
 あ、まあとりあえず…」
そう言ってサブレを買いに歩き始めた。


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