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【ミ】『鏡の中の鏡』

1ようこそ、名無しの世界へ…:2012/06/02(土) 03:37:21

バートリ・エルジェーベト/エリーザベト・バートリ(1560年8月7日-1614年8月21日)は、
ハンガリー王国の貴族。
史上名高い連続殺人者とされ、吸血鬼伝説のモデルともなった。
「血の伯爵夫人」という異名を持つ。

エルジェーベトの近親者には悪魔崇拝者(叔父)、色情狂(兄弟)等と噂された者もいる。
エルジェーベト本人も幼いときから感情の起伏が激しく、
エキセントリックな性格を有していたという。
これは一族が財産及び権力を保つ為に血族結婚を繰り返してきた影響だとも言われる。

(Wikipediaより抜粋)



――『バートリーの鏡』関連の専用スレッド。

333『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/11(日) 05:34:08
>>332(麟)
小さな岩によじ登り、腰掛ける。
ここなら疲労なく、隠れ続けられるだろう。

無言で佇みながら、水面を見つめ続ける麟。

胸を去来する、名状しがたい感情に目じりを震わせたその時。
――その声は、どこからともなく届いた。


  【   皆様   】

    【   わたくしは……ここまでのようでございます   】
  
         【   どうか   】

      【   皆様が信ずる、 『正しき道』を   】


                                パキ 
                                   ン

>>331(エレナ)

【……わかったよ。あんたは十分によくやった。】

【後は任せな】

【あんたの稼いだ時間、俺らが無駄にしねえ……
 麟は絶対に救ってやるからよォ……安心して逝きな】

相模の『声』が返るのが聞こえた。

それが最期――
近しい者全てに、遺言と遺影を残して。
自らの肉体の一部でも、『砂』となり敵を討つ事を願って。


          オ オ    オ  オオオ・・・・


『朱雀院エレナ』の意識は――穴よりなお深い闇の中に消えた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・     ・  ・  ・    ・・・
  ・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・・・・ ・・ ・ ・ ・・ ・  ・
・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・  ・・ ・ ・・ ・  ・・ ・・ ・ ・ ・ 
       ・    ・・ ・ ・  ・ ・ ・
  ・ ・ ・ ・・  ・・・ ・ ・ ・ ・   ・ ・  ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ 
         ・    ・     ・・      ・  ・・ ・  ・ ・・ ・ ・



                                      シャコッ

>>330(椎野)
エレナの最期の『声』は、椎名にも届いた。
自分の『声』はエレナに届いていたのだろうか?
それを考える意味は、もはや『ない』。
それを考える時間すら、椎名には残されていなかった。

アスファルトを焼きながら迫り来る、『黒炎』の車輪。
彼我の速度差は一目瞭然だ。
自分がスタジアムに到達するより速く、追いつかれるだろう。
ならば――
                  ジャッ!

椎野はある程度まで走ると、『深淵』に向き直る。

スタジアムまで『5m』、『深淵』からは『15m』の距離。
予想通り、スタジアムにつく寸前で『深淵』の手は自分に届く。

         バッ!

左手のひらを『深淵』に向け、右手には『罅割れ水晶玉』。
『深淵』の手の傷を見れば、『鳴き砂』によるものであることは明白だ。
当然、警戒するだろう――椎名はそう踏んだのだが。

「カカカ・・・・ッ!
 所詮は『裏切り者』というところか!」

          ギュルゥウン! ボ! ボボボ ボボボ

『黒炎』の『車輪』は、一切勢いを緩めない。
まるで『火車』のように、『深淵』を抱いたまま、椎名へと突っ込んでくる――!

「オレに『鳴き砂』は効かんぞ。
 『無敵の令嬢』は、『報復絶倒』に屈した。
 次は貴様だ――藁のように焼け落ちろッッ!!!」

                   ゴウゥン!!

(『深淵』までの距離:『7m』。スB)

334麟『マイ・レリジョン』:2012/11/11(日) 22:38:47
>>333
声が、何処からともなく届いた。


反射的に他のざつおんを耳に入れないよう、
耳をふさいで、そして耳を傾ける。

~~~~~

              ~~~~~~

        ~~~~


        ハァ
          ~~~

あぁいけない、ふるえてきた。
ききのがしてはいけないのに……

なにか、われるようなおともしたけどなんだろうこれは。
じぶん? それとも、このこえの人?

『正しき道』を、今一度考えながら、今起きたことについて
確認の目、耳をめぐらす。

335椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/12(月) 02:11:48
>>333
(え?)

普通に話しかけた相手が、ここが鉄火場であれ一応は安全圏に達したと思った相手が。

(死んだ?)

……この感覚は何と言うのだろう。
寂しい? 悲しい? 辛い?
いや、そんな心優しいショックを得たと、今更気取る気はない。
言うなれば――『階段を上っていてあると思っていた次の段がなかった』ような気分だ。
反射的で即物的な手ごたえのなさ。そして駆けあがる不快で冷たい浮遊感。

(……しかし)

バランスを崩し転ぶわけにはいかない。足を前に踏み出して体を支えろ。
『深淵』を見る。

(対策を取られた? ネタを割られた? こんな短時間で? どうやって?)

分からない。
取れる対策など耳を塞ぐことくらいだろうが、それでも完全に音を遮断するのは難しいはず。
全ての『鳴き砂』を熱で溶かされたろうか。
分からないが、まだ諦めはしない。
耳を塞がれ声が聞こえないかもしれないことに備え、はっきり口を空け、一語一語区切るように声をかける。

「『カ・ガ・ミ・ニ・ハ・?』」

『鏡には』? 『鏡には『鳴き砂』は効かないのか?』
『レクイエム・フォー・ドリーム』が握ったまま(だろう)の、鏡の破片をひらひらとふり、
改めて『深淵』を制止するような手つきをする。
『深淵』が密かに身に付け、存在する拠り所にしているであろう『鏡の破片』、
それを破壊する手立てがあることを――ここで明かす。
『鏡砂』の存在……と言うよりも、『深淵』が『鏡』を拠り所にここにいられるとこちらが知っていることは、
もう残り少ない手札の一つだ。それを使う。
不意打ちで『鏡砂』を使えば、今からでも奴を追い返すことはできたかもしれない。
だがそれではいけないのだ。追い返しては、逃がしてはいけない。
だから、今バッグの中に入っている『鏡の罅割れ水晶玉』のベストな使い方は、
攻撃のためではなく抑止力、交渉材料だ、と椎野は判断する。
だから、

それ以上近づくとお前の鏡を破壊して追い返すぞ中二病。

そのメッセージを込めて睨みつける。

もはや奴の射程距離内、『深淵』が制止を無視し攻撃をしてきたら、
相模が『能力』を込めてくれた上着の袖、ないしどこかの部分でガードする。
こしゃくにも不遜にも『深淵』様を止めるような手つきをしているのだから、
その腕を切り落とすような攻撃をしてくるかもしれない、それならガードしやすい。

336『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/13(火) 03:35:42
>>334(麟)
――エレナの最後の言葉を『理解』する。

そっと目を開け、耳を澄ますも、
周囲にあるのは、湛えられた水と頑強な岩肌・・・・
どちらも割れない、割れそうにないものだ。

しくしくと痛む胸・・・・
『音』は、そこから聞こえたようにも思われた。

>>335(椎野)
唐突過ぎる同志の死に、椎野は重力を失うような感覚を覚える。

だが、それに浸る時間はない。
『深淵』――エレナを殺した存在は、
次の標的として自分を選び、今まさに眼前に立ちはだかっているのだから。

                     ザッ 
「『カ・ガ・ミ・ニ・ハ・?』」

                     「・・・・ほう。どこで、それを知った?」

椎野の問いかけに、『深淵』は瞠目する。
『車輪』が急激にほどけ、『深淵』は距離『7m』の地点で、地面に降り立った。

「だが――どうでもいいことか。
 オレに触れることすら出来ぬ貴様らが、『鏡』を狙うなど愚かの極みよ」


倣岸なまでに椎野を見下す、その顔に臆した様子は・・・・ない。
『鏡』への攻撃すら防ぐという磐石の自信か、それとも『鳴き砂』への理解不足か。


    ギャオォオオオオオ――z_____________ッ!!


『車輪』を形作っていた『黒炎』が、勢いもそのままに放たれた時、
抑止や交渉といった椎野の目論見もまた、水泡に消えた。

周囲に逃げ場もなく、圧倒的な速度差で迫る『炎』の渦を前に、
椎野は反射的に突き出した左手で防御する――

  ジジッ ジジジ…… シュオ!
                     ビリリリィ――z_____________ッ

左腕が燃えるような熱に包まれると同時に、
『ブームタウン・ラッツ』の能力――『レールガン』が発動する。
椎野の体と『黒炎』に挟まれた上着は、
少女の体を持ち上げんばかりの勢いで突き上げられ、袖は縫い目から引き裂かれた。
衝撃は完全に逃がされ、燃えた布が千切れ飛んだため、火傷も軽微で済む。

しかし――
            ゴ    ゴ  ゴ 
 
椎野の眼前に静止する『黒炎』が消えたわけではない。
『黒炎』の長い鎖で繋がれた不定形の『怪物』は、
獲物の前にして、主人の命令を待ち構える――『猟犬』のように。

「・・・・今のは、もう一人の男の能力か。
 ただの足掻きに過ぎんな・・・・『数秒』、寿命が延びただけだ」


     ゴ  ゴ               ゴ ゴ
                  ゴ ゴ 

「死ね――
 その『水晶球』を割るより速く、貴様の命を吹き消してやる」


椎野の目前で、『黒炎』が膨張する――

337麟『マイ・レリジョン』:2012/11/13(火) 20:46:53
>>336
(ちょっ  ちょっとまってちょっとまってちょっとまって……)

もう『言葉』が聞こえない。ということはやはり『そう』か。
あの馬鹿力(深淵のこと)、やってくれやがった……!


そのたった一つの出来事で
早速早鐘を乱打し始めた心臓を押さえ……

『音』がそこから聞こえたらしいことに気づき、すぐに手を離す。

頭と体、両方の緊張を落ち着かせるべきか、
持続させるべきか、迷ったまま時間が過ぎていきそうだ。

338椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/15(木) 23:58:13
>>336
「……実際の所、どっちでもよかったんですよ、本当に。
いえ、今だってどっちでもいいんです。
ただ『復讐』さえできれば――麟ちゃんが正義だろうとあなたが正義だろうと構わない。
彼女と会話が出来たということはどうやら彼女は心から私を信頼していたようですが、
私はそこまで善良じゃないんですよね……。
とりあえず麟ちゃん側の方についていれば、生き延びた後に復讐しやすいかなあと思っただけで……」

『数秒』、寿命が伸びたろうか。
数秒。それは一瞬の修辞的表現だろうか。
本当にそれが数秒なら、まだ出来ることはあるかもしれない。

『DREEEEAM!!』

『レクイエム・フォー・ドリーム』で、千切り飛ばされ燃えながら宙を舞う袖を掴む。
『ジャキ・ヴェラスケス』の周囲の空気が熱せられ膨張しているなら、
上昇気流と共に空気は少し椎野側に寄るように吹いてきており、掴みやすいはず。
即座に、『服』の『罅割れ水晶玉』を抜き出す。
厚さ的に『水晶玉』が取り出せるかく難しいところだが、丸めるように掴むことで出来る限りの厚さを持たせる。
カーディガンなので(>>5)、ただのシャツよりは丸めて掴んだ時に厚さが発生するだろう。
服の全体は椎野が着続けて残っており機能を保っているが、
袖の方はもはや機能を持っておらず破壊物とみなされ、『罅割れ水晶玉』が抜き出せていいはずだ。
(ミラーハウス全体が一応まだ立っていても、その破片から『罅割れ水晶玉』が抜き出せたように)
抜き出せたなら、間髪入れず握りつぶし『服鳴き砂』を作る。
『服鳴き砂』は、もちろん椎野の服を崩壊させる。とんだ野外ストリップだが、それはどうでもいい。
重要なのは――『深淵』が、自分の身を守るように『黒炎のスーツ』を纏っているなら
(相模からの射撃を警戒しているならあり得る話だ)
その『黒炎』も一種の『服』ではないかということだ。
そして、今椎野の目前で膨れ上がる『黒炎』も、『スーツ』から伸びているなら……『服の一種』ではないか?
楽観的推測に推測を重ねたが、全てが目論見通りいったならば。
『レクイエム・フォー・ドリーム』は、『深淵』に繋がる『黒炎』全てを崩壊させ、
今まさに己を殺さんとする攻撃をかき消す『鳴き砂』を作りだせる。

失敗しそうならそれを悟った瞬間に、椎野は右手の『瓦礫水晶玉』を握りつぶす。

339『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/17(土) 01:01:25
>>337(麟)
二度とは還らぬ『声』が、この沈黙が『答え』だというのか。
不安に胸を潰しながら、少女は滝の裏に隠れ続ける。

>>338(椎野)
「カカカッ、『選択』を間違えたな。
 その程度の感情では、この程度のスタンドなのも当然よ。
 このオレの本物の『正義』に対峙すべくもない」

『深淵』の返答は簡潔だった。

弾け飛んだ袖を探す椎野だが、
『黒炎』の衝突をそのまま受け流した勢いは、
気流に左右されるようなものではない・・・・手の届かない距離だ。

仮に手が届いたところで、『水晶玉』を探り出す『数秒』をどう稼ぐというのか。
『黒炎』は邪悪な太陽のように渦巻き、膨張し、そして瞬時に――


   ドゴォ オオオオ――z___________ ン
                                      !!!!


容赦の欠片もなく、椎野の前で『爆発』した。




激しい熱を感じ、目を開ける椎野。
それは目前に立ち尽くす、人の大きさの炎の塊のものだ。
『黒炎』の爆弾に背を向け、自分との間に割って入った存在。
その傍らにスタンド――『ブームタウン・ラッツ』が浮かぶ。

「……ちィとな……思い出し……ンだよ」

    ド ド ド
                                ド ド ド ド
――黒い松明のように燃えていた。
スタンドも、その本体も。

「ガキの頃……『なりたかった』……のさ……」

炎の向こうで、男が笑った気がした。
『深淵』すら言葉もない、凍えた時の中を、
相模は振り返りり、『深淵』に焼けた指を突きつける。

「これが……『正義の味方』ッてヤツだぜ……
 ……テメーなんかのことじゃあ……ねえ……ッ!」

                  「………………」

           ボ ボボボ  
                        グラ・・・・・

――その背中が満足げに崩れ、燃え落ちていく。

パリィン!
           ゾゾ ゾゾゾ  ゾゾゾゾゾ

     『ギャ リリリリ ィィ――z_____________ ンン!!』


その傍らを駆け抜けるのは、『鳴き砂』だ。
『鏡』を砕く共鳴を発しながら、一路、憎き『深淵』へと這い寄って行く――

340椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/17(土) 04:31:16
>>339

開いた目からは涙などこぼれない。
今椎野が涙を流すとしたら間近で燃える炎の熱で目が乾燥したという理由だけだし、
そんなことが起きる程茫然と突っ立ってもいない。息を飲んだのは一瞬だ。
その一瞬で思う。

(――なんてこと)

この椎野が、母の復讐以外なんの目的もない椎野妙子が。

(かばわれ、凄くほっとして感謝した……なんて……)

相模宗吾……恐らく彼は、ずっとこうするつもりで、自分を『弾丸』にして待っていたのだ。
他の弾丸を準備していたなら、すぐに自分を撃ち出しかばうなどできなかったろう。
その覚悟を思い――

「まあ、私はその上で踏みにじりますけど」

肩をすくめ、乾いた調子で呟いた。
相模が自分をかばってくれた、いいことだ。
体が燃えて崩れ落ちようとしている、問題ない。
死にそうなのはちょっと困るが、自分が死ぬよりいい。
では、正義の味方気取りの相模を踏みにじろう。

「所詮『その程度の感情』しか持たない冷血女ですからね」

ただしその心をではなく、身体を。

「相模さん、できれば最後の力でそこで動くのを止めてください」

崩れ落ちるように(四つん這いのような姿勢になりつつあるということだろう)体勢を低くしつつあった相模、
その背中に『レクイエム・フォー・ドリーム』が足をかけ、踏み台にし、高く跳ぶ。
弾け飛んだ袖に手が届く距離まで。足の熱さは我慢する。
『レクイエム・フォー・ドリーム』が片手に持った鏡の破片で少しでも届く距離を伸ばす。
仮に手が届いたなら、『水晶玉』を探り出す『数秒』は――今作りだした『瓦礫鳴き砂』に稼いでもらう。
>>328でバッグから取り出してから椎野が手に持っていた『罅割れ水晶玉』は『瓦礫』由来のものなので、
今『深淵』に向かっていくのは鏡を砕くのではなく、周囲の舗装を崩壊させる『鳴き砂』)
『深淵』が『鳴き砂』に対しどんな対策を取っているのか分からないが、
地面をどんどんと砕き量を増して迫ってくる『鳴き砂』は、全部始末するのが少し厄介な相手だろう。
まして、『深淵』は今発生した『鳴き砂』が鏡を砕くと思っていたろうから、
予想とは違う現象に少しは意表を突かれ、行動に迷うはず
その時間を利用し、>>338で書いたように即座に『罅割れ水晶玉』を抜き出し『服鳴き砂』を作りたい。
服、そして、椎野の思惑通りなら『深淵』のスーツから繋がる『黒炎』も砕く『鳴き砂』を作れたなら、
周囲に零して『黒炎』を砕かせつつ、『レクイエム・フォー・ドリーム』の片手に少し砂を握り込んでおく。

「正義かどうかは私からは口を慎みますが――相模さんは私の味方でしたね。
『レクイエム・フォー・ドリーム(幽冥でまた会いましょう)』」

341『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/18(日) 01:45:46
>>340(椎野)
自分を庇うべく飛び出した相模の背中。
崩れ落ちるそれに涙することなく、椎野はそれを『踏み台』にする。

――椎野の言葉が聞こえたのだろうか。
今にも地に崩れそうだった相模は、スタンドの負荷を束の間、支え切った。

『レクイエム・フォー・ドリーム』が、中空に駆け上がる。
千切れ、宙を舞う袖の破片に、『レクイエム・フォー・ドリーム』の手が届く――


                ズ
                   パァ   
                       ン 
                          !

その腕が――くるくると回りながら、飛んでいく。
肘から先を切り飛ばされて。
掴みかけた袖も――決して椎野の手の届かないところまで。

      ブシュウウウウ――z________ッッ


噴き出す鮮血が、椎野に自らの欠損を教えた。
腕を失ったのはスタンドだけではない・・・・椎野もだ。
右の前腕が切り飛ばされている。
痛みを感じさせないほどの、圧倒的な切れ味とパワーで。
――燃え上がる相模を包む、『黒炎』から生じた『炎の刃』によって。

「息の根を止める前に、
 貴様のスタンドがいかに無力か教えてやろう」

不遜な響きを隠さぬ、耳障りな『深淵』の声が聞こえた。


                 ゾゾゾ ゾゾゾゾゾゾ

『アスファルト』を分解し、爆発的に眷属を増やしながら、『深淵』に迫る『鳴き砂』。
早足で距離を詰めていく粒子状の暴力に対するは、『黒き炎』。

『深淵』の身を再び包んだのは、『車輪』の生んだ轍に生じた『黒炎』だ。
相模を滅した『爆発』で減じた以上の量を、すでに『作り置いて』いたのだ。

    ボ  ボ   ボウンッ!!

そして、瞬時に――球状に膨れ上がる。
『深淵』を中心に収めたおいた、『黒炎』の『風船』だ。
それがただの『風船』でないことは、半透明な炎越しに見て取れた。
『風船』の内部は、無数の房――『部屋』に分かれている。
『空気』を挟み込んだ無数の『遮断壁』・・・・

それは、『断熱素材』としてのみならず、
『防音素材』としても優れた性質を発揮する――


  『ギャリリ」ィィ――z____________リリリリ』


圧倒的な量の『鳴き砂』が『風船』を包囲し、飲み込んだ。
だが、『風船』は割れない。
むしろ逆だ・・・・『鳴き砂』が燃えている。
漆黒に燃え上がりながら、蠢き、さらなる『鳴き砂』を燃やし、
そうして『黒炎』の球体を膨張させていく――!

342椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/18(日) 02:46:46
>>341
視界がくらむ。眩んで、暗んで。

「っああああああああああああああああああああ!!!!」

思い切り叫んだ。悲鳴とも雄叫びともつかない、罅割れた、破壊された声で。
……人の頭は、同時に一つのことしか考えられないそうだ。
布団に入って色々なことを考えてしまいなかなか眠れない人は、
ずっと「ああああああ」と考えることに集中すると疑似的に無心になれ眠れるという。
それをする。もう斜めに構えてスカした態度で誤魔化せる状況じゃない。
叫びで頭を満たして恐怖も痛みも排除する。
叫びながら、椎野は後ろに飛んで『深淵』から距離を取り、攻撃されるまでの時間を少しでも稼ぐ。
エルガマルによれば、『ジャキ・ヴェラスケス』の動きの細やかさは『レクイエム・フォー・ドリーム』と同程度、
優れてはいるが『スタンド』として比類ないという程ではなく、空気を取り込みつつ無数の小部屋を膨れさせるのは、
少しばかり神経と時間を使うのではないだろうか。そのタイムラグで離れる。
また、切断された腕をもう片方の手で強く握りしめ出血を抑えたいが、他の作業の邪魔になるならしない。
そして、宙に残された『レクイエム・フォー・ドリーム』は手がかりも足がかりもなく、

「あああああああああああああああああああああ!!!!」

いや。
『レクイエム・フォー・ドリーム』の腕が足元からの斬撃で斬り飛ばされたなら、それは上に飛んだろう。
本体である椎野の右腕も、同様に上に。椎野の上には何がある? 『レクイエム・フォー・ドリーム』がいるはずだ。
下から切り飛ばされてきた椎野の右腕を、『レクイエム・フォー・ドリーム』が残った左腕で空中で掴む。
先程千切り飛ばされた袖は左腕>>336、右腕にはまだ袖が残っているはず。
腕は、『人体の罅割れ水晶』も『服の罅割れ水晶』も生み出せる絶好の材料だ――自分の肉体だろうと材料だ。
空中で掴み、落下しながら『服の罅割れ水晶玉』を抜き出し(腕を取り落とすだろうが構わない)、
抜き出せ次第(着地後かもしれない)割る。
上手く『服の鳴き砂』が作れたなら少し左手に握り込んでおく。

だが痛みを感じないほどの勢いだ、気付いた時には既に椎野の腕も遠くに飛ばされているかもしれない。
それなら、『レクイエム・フォー・ドリーム』はとりあえず着地する。
けれど何もしないわけではない。
落下地点に椎野が走り込み、『レクイエム・フォー・ドリーム』が落下の勢いで椎野のカーディガンの胸元を千切り取る。
千切り取れたら、スタンド本体ともども『深淵』から素早く距離をとり時間を稼ぎつつ、
そこから『服の罅割れ水晶玉』を抜き取り、握り割り、『服の鳴き砂』を作り出す。
極力多くを『レクイエム・フォー・ドリーム』の左手に握り込んでおく。
自分で壊した物から『鳴き砂』を作ると、
自分が襲われそして『24時間』逃げ続ける自信もなく緩慢な自殺になるためやりたくなかったのだが――
『最後の手』だ。『24時間』のような条件ならエルガマルが省略してくれることを期待しよう。
それよりも、今この場を切り抜けられることを期待しよう。

『服の鳴き砂』が『深淵』の身を包み膨れ上がる『黒炎』に効いたなら。
いくら空気の小部屋で防音処理を施そうと、その一番外側の『黒炎』には音が届く。
椎野と『レクイエム・フォー・ドリーム』の身を焼くはずの『黒炎』は……こちらに近づいた傍から崩れていく。

343『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/19(月) 04:10:01
>>342(椎野)
喉を裂くような絶叫を発する椎野。
痛みや恐怖からではない――むしろ逆だ。
失った右腕の痛みと恐怖を忘れるため、
なおも『戦う』ことをあきらめないため、だった。

いまや『深淵』の姿は、膨張する『黒炎球』にすっかり呑まれている。
『鳴き砂』に対応する今なら、逃げる隙があるかもしれない。
そう考え、距離を取りかけた椎野だが、その時、閃くものがあった。

切り飛ばされた右腕は、すでに手の届かない距離にある。
だが、自身の着る衣服なら――自らの手で破きさえすれば、
『水晶玉』の材料にはなる。
その『鳴き砂』は椎野自身を襲うだろうが、『共鳴』は『黒炎』を砕くはず――

                  ダッ!!

椎野は退かず、一歩前に出る。
地上に降りてくる『レクイエム・フォードリーム』。
残された左手を伸ばし、自身のカーディガンの胸元を掴ませた!

 ――ビリィッ!
               ズパ! ズパァア !

切れ端を掴んだスタンドの左腕が、そのまま地落ちるのを椎野は見た。
同時に、自身の左腕の重みが消失する。

スタンドの足元に突き立った、『黒炎』の刃。
右腕を切った凶刃が、返す刀で『振り下ろされた』ことを椎野は知る。

噴き出す鮮血も痛みも、どこか遠い。
傾いでいく視界が、自身が倒れつつあることを報せるも、
それすら他人事のようだ。
傍らに棒のように転がった右脚も、自分のものだという実感がない。

         ド ザッ

投げ出されたアスファルトだけが、熱を帯びていた。
一早く崩れ落ちた相模が、手の届く場所に転がっている。
数秒前まで威勢が嘘のように、微動だにしない。
まだ生きているのだろうか・・・・完全に『焼却』されている。

                     カツ カツ カツ

「――『身の程』は知れたか?」

『深淵』の声が降る。
もはや顔を上げる力もない。ただ感じる。
世界を飲み込まんばかりの『陽炎』が、近づいて来る・・・・

「貴様ら程度のスタンド使いが何人歯向かおうと、
 炎に飛び込む『羽虫』同然だ。
 このオレの『炎』を消すことなど、永劫叶うことはない。
 真の『正義』とは『不滅』だからな・・・・カッカカカ!」

「然らば――死ね。
 愚かさ故身を焦がす虫のように」


              ―――ゴォ オ オ ン!!



圧倒的な『熱量』が、瀕死の二人を飲み込む――

344椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/20(火) 05:50:42
>>343
「あああああ…………ぁ」

叫ぶ吐息に限界が来た。それが色んなことの限界だった。
体積の減った体を激痛にのたうたせていたその耳へ、『深淵』の声が入ってくる。
まだ自分は声を発せるのか。発せるなら、言いたいことがあった。
『深淵』の言葉の途中でも、震える唇を開く。

「……あなたがこの場を無事切り抜けたら……片手間でいいから母の仇討ちをしてくれませんか。
ただのお願い……お礼はできませんけど、嘘でも一瞬あなたの味方になって、
そしてあなたに僅かなりと傷をつけたスタンド使いが、羽虫よりはマシな身の程だったと思ったら……
是非、頼みたい、ですね……」

『深淵』の勝利宣言に一抹の悔しさも見せず、麟たちのことなど触れもせず、掠れた『遺言』を口にしようとする。
椎野はやはり母の復讐以外に望むものはなく、『深淵』に嘲られても麟を守りきれなくてもどうでもよく、
目の前で多くの者が己の正義に殉じ、自分をかばい、殺されていくのを見ても変わりはしなかった。

……だろうか?

『深淵』と戦うことを決めた時から、死にそうになったら言おうと思っていた内容はこうだ。

――私が死んだら、適当に私の家を探し出して、私の部屋に忍びこんで、
――机の引き出しに入ってる『罅割れた水晶玉』を盗んで、家と父から離れた場所で割ってください。
――母の遺体から作った『水晶玉』なので、『鳴き砂』は殺した犯人を追跡して殺すはずです。
――巻き添えが出るのが嫌で使わずにいたんですが、もう、仕方ないですね。
――ああ、お礼に私の部屋の他の物は何を持ってってもいいですよ。貯金箱でも下着でもどうぞ。

ただ仇討ちを願うより、こちらの方がより具体的で果たしてもらえる可能性は高いはず。
だが言わなかった。何故か。
それは、これを口にしたら、『椎野が死んでも水晶玉と鳴き砂が残る』ことがばれてしまうからだ。
『深淵』の声が、確かに椎野に『聞こえた』。
それは、『黒炎の遮断壁』が、その防音性を緩めたということ。
もし、まだ近くに焼き尽くされていない『瓦礫の鳴き砂』が残っていたら……『旋律』が、『深淵』に届きうるということ。
椎野を殺したも同然と思って、殺したら能力が解除できると思って、奴は油断した。
『旋律』が『深淵』の足元に届いたら、足元から身体を覆うように『鳴き砂』が纏わりつく。
不意に襲い来るそれへの対処に、またいくらかの時間がかかるだろう。時間稼ぎは、まだできる。
椎野の、初めての理解者であった女の『掠れた』声を『深淵』が聞こうとしてくれたなら、
防音性をさらに緩め、『旋律』が届く確率が高くなるかもしれない。
椎野の遺言は遺言ではない。次の一手だ。目的に向かう意思だ。その目的は最期に違ってしまったが。

(お父さん)

妻と娘を失う男の気持ちとはどんなものだろう。

(お母さん)

左の胸元を見る。
そこにあった黒いリボンは、母への喪章は、もはやない。自らカーディガンを千切り取ったから。

自分の信じる正義すら貫けなかった椎野妙子は、きっと正義でも正義の味方でもない。
では一体何だったのか。それは誰かが考えてくれればいい。椎野はサンドマンに砂をかけられたように目を閉じた。

345『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/22(木) 02:58:39
>>344(椎野)
「――だが、断る」

無慈悲な返答は、眠るように目を閉じた椎野に届いたか。


  ゴォオ !!                               ォ     オ
           ォ  オ  オ    オ   オ  オ   オ     


                                           『シャコ』『シャコッ』
 

それを確かめすらせず、無慈悲な『火球』は相模と椎野を飲み込み、
ほとんど瞬時にして、荼毘に付した。

「……いや、そうでもないか。
 この『報復絶倒』の世界に一片の『悪』も残さぬ以上、
 貴様の仇とやらもどこかで滅するだろう……カカカ、カカカカッ!」

膨大な『黒炎』のさ中で、高笑いする『深淵』。
無防備なその姿を襲う者は、『砂』の一粒たりとも存在しない。
膨大な『鳴き砂』・・・・『瓦礫』によって増えたそれらは、
全て焼き尽くされ、『黒炎』にとって代わられた後だ。
それを確認した後だからこそ、『防音壁』を開き、椎野に近づいたのだ。


「カカカ、カカカカ………………」
                          「…………!?」

耳障りな笑い声が途絶えたのは、その時だった。

「……死体が……『ない』……『跡形も』」

見開かれた目が、食い入るように二人の倒れた地面を睨む。
『ジャキ』の『黒炎』は、骨をも焼き尽くす『1800度』――
だが、残留物がないということはない。
衣服、所持品、金属。何かしらの痕跡は必ず残る。

それが見当たらないことに、『深淵』はようやくにして気付いたのだ。

「……馬鹿な」

鬼気迫る形相で振り返る。
ゼンチが死んだ場所。エレナの息絶えた穴の底。

どちらにも『痕跡』はない・・・・
エレナに至っては『遺体』さえ残っていない。

「……何だ、これは。
 一体何が起こっているッッ!?」

346『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/22(木) 03:04:29

ゴ  ゴ ゴ
              ゴ ゴ    ゴ ゴ   ゴ ゴ

叫ぶ声に、応える者ももはやない。
四人のスタンド使いを続けざまに葬った最強の『深淵』は、
今、理解の外にある事態を悟り、明らかに畏怖していた。

まさか、他にスタンド使いがいるのか。
そう考えた時、『深淵』の脳裏に閃く人影があった。

                         「――麟、か?」

『神山 挫』と同じ記憶を持つ『深淵』は、
彼女の『マイ・レリジョン』の能力を知悉し、完全な『戦力外』と見なしていた。
その見解は、今でもいささかも揺るがない。
だからこそ、『深淵』の感覚で彼女の居場所を把握しながらも、
彼女を放置し、先にスタンド使いを潰す『遊び』に興じていたのだ。

しかし改めて考えれば、麟の行動は『不可解』だ。
逃げるだけなら、誰でも遊園地の入り口に向かう。
だが、そうではない・・・・麟は何故か、この遊園地内に残っている。
『ジャキ・ヴェラスケス』の力を身をもって知る人間が、
ただ身を隠し、やり過ごそうなどと考えるだろうか?

明確な答えは出ない――ならば。


「……確かめねばならん。
 あの小娘が、敵足りえないという事実を」

                   ド ド 
                          ド ド ド ド

『黒炎』の『大火球』が、動き出す。
地上を焦熱地獄に変えながら、西へ――
麟の隠れる場所へと、移動を始める。


    ド  ド   ド ド   ド  ド 
                            ド  ド  ド  ド

347『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 22:23:25
                                       オ
   ビュ
       オ                     オ
          オ   オ  オ       オ   


『黄金ゴールデンパーク』――メインゲート。
(ttp://www.nankai.co.jp/misaki/guide/index.html 地図下)


白く波打ったゲートの屋根の上に、五つの人影がある。
三人は女、一人は男。
それぞれタイプの異なる外見だが、意識を失い、
夏の日差しに温まったコンクリートに突っ伏している点は共通している。
服はひどい有様だが、誰にも外傷は――『ない』。

「・・・・そろそろ、始まるゼ?」

残る一人だけが、空翔る風の中で立っている。
風にそよぐ奇妙な『髭』は、自慢の形を止めていないが、
それすら気に留めぬ集中力で、斜面に広がる遊園地の一角を見つめている。

『目を覚ます』には、いい頃合だ」


眼差しの先にあるのは、『急流下り』の細長いコースと、『丸太小屋』だ。
冗談のようなサイズの『黒炎』が、そこに迫りつつある。
建物を焼き、森を拓きながら、無人の遊園地を、くろい『太陽』が進む。

唯一の残留者――麟の隠れ潜む、その場所を目指して。

348『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 22:28:21
>麟

 ド   ド ド
              ド  ド
        ド ド         ド ド    ド  ド


誰でもわかる――実感できる。
滝の裏に潜んですら、明らかに空気が変わるのを麟は感じていた。
トンネルに入った時のように、それは歴然だった。

温度が違う。緊張感が違う。
かつてない『危機』が、潜み隠れるそぶりもなく、近づいてくる。
その意味を、麟は悟っている。

                          ピキッ

胸の中から、またあの音が聞こえた。

349麟『マイ・レリジョン』:2012/11/23(金) 22:34:15
>>348
……。


奴が来たか。
『みんな』を全員*して。


一直線に向かってくるだろうか。

ともあれ、短い時間だが隠れさせてもらった。
足の怪我など、体の具合を見ながら、『危機』の情報を感じ取ろうとする


エレナお嬢、
ゼンチさん、
椎野さん、相模さん。

なんとか、やってみます。

350『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 22:45:21
>>349
右足の傷は地味に痛む。
移動はともかく、走るのはまだ難しいと思われた。
それ以外の体調は問題ない・・・・
懸念があるとすれば心の状態と、例の奇妙な音だけだ。


        ゴォン ゴォン ゴォン

異音に顔を上げた麟は、一瞬、目を疑った。
まるで地獄に飛ばされでもしたかのように、
落ちる水の幕を通した視界全てが、『黒く』燃え上がっている。

その幅は、麟の前に広がる池よりも、なお広かった。

「ここか――麟」

神山の・・・・いや、神山同然の声が、届いた。

「水に潜めば、この『神山 挫』の『ジャキ』を凌げると思ったわけか」

「カカカッ――」

                         ドゥウン!!!

瞬時にして、丸太小屋が延焼した。

「――子供の浅知恵だな」

                       ゴ ゴ     ゴ ゴ   ゴ   ゴ ゴ

351麟『マイ・レリジョン』:2012/11/23(金) 23:02:32
>>350
「……お見通し、ですか」

居場所をかぎつけたこと、狙いの両方にだ。


問題があるのは足だけか……体は。
心は……落ち着きたいところだが、

ココにいるのがあいつと、私だけ。
という状況(そしてその結果の元となった出来事)に、ひたすらに心がささくれ立つ。

奇妙な音を今一度確かめるように、胸を押さえながら。

水の奥の『敵』を、見据える。

352『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 23:10:32
>>351
黒く燃え上がる世界の中で、
『深淵』の立ち姿だけが、何故か浮かび上がる。
池を挟んだ正面――そこにいるのがわかる。

「おまえの仲間は、全員『処刑』済みだ」

「『水の銃』の女は、おまえの目の前で焼き殺した。
 『無敵の令嬢』は、穴の底で息絶えた。
 弾丸の男は愚かな自己満足で椎野を庇い、勝手に死んだ。
 椎野は、このオレを騙そうとした罪により焼き尽くした・・・・・・」

歌うように並べ上げた『深淵』の声が、不意に低くなる。

「だが・・・・『懸念』はまだ残っている。
 貴様か?それとも――他の誰かなのか?
 答えろ、小林 麟。
 それとも、その池の中で、『瓶詰めのカエル』のように死にたいか?」

353『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 23:14:44
>>352
訂正

『小林 麟』 ⇒ 『天之樹 麟』

354椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/23(金) 23:20:15
>>347
「…………」

女の一人が、ゾンビが目覚めるように、ゆっくりと上体を起こした。
周囲を見下ろし、立っている男を見上げ、そして燃える太陽――空のそれと、地のそれを見る。
そして吹きつける風に目を細め、呟いた。

「……『ドラゴンボール』で生き返ったキャラの気持ちが分かりましたよ。
若干、恥ずかしい。色々と」

自分で引き裂いたカーディガンの胸元に溜息をつき、それを脱ぐ。
中にシャツくらいは着ている。

「……『目は覚め』たんでしょうか?
ああ、私たちのことではなく――」

誰にともなく問いかけ、エルガマルと同じ方を見る。
……どうやら、まだ。

「Need a little time to wake up.......」

『Morning Glory』を呟いた。

355朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』:2012/11/23(金) 23:26:16
>>347

 
    《   ……さま   》

                     《   お嬢さまッ!  》


いつもより遅く目覚めた朝―――
『大切な人』の朗らかな声を聞いたような思いがして…………瞼を開き、身を起こす。


   「ここ、は……?」

自分の話す言葉を耳にし、そして気づく。
肺に流れ込む『空気』―――『声』が出せる。


     「…!」

禍々しく輝く『黒い光』に目を向け……そして、悟る。
自分は『敗れた』―――
この先に待つものを、ただ『見届ける』ことしか、今の自分には出来ない。


       ( 麟様………! )

356麟『マイ・レリジョン』:2012/11/23(金) 23:28:10
>>352

>「『水の銃』の女は、おまえの目の前で焼き殺した。
> 『無敵の令嬢』は、穴の底で息絶えた。

……う

> 弾丸の男は愚かな自己満足で椎野を庇い、勝手に死んだ。


             ……そう……

> 椎野は、このオレを騙そうとした罪により焼き尽くした・・・・・・」

                            そう……!


「で、そこまでスラスラならべ立てておいて
 何が……『けねん』ですって……?」


水越しに、にらみつける。

目はひくつき、歯は子供にあるまじき歯軋りを立て、
体は強烈に震えながらも、だ。

整理がつかない気持ちが、むき出しのまま燃え出したような気分だ。


単純な真っ向勝負じゃどうしようもないとは解っているが、そんな理屈はどうでもいい。

357『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/23(金) 23:42:56
>>354(椎野)
麟が逃げたという池より、なおも大きい『黒炎』の塊。
椎野が寸前まで立ち向かった地獄が、いま、麟を追い詰めている。

「じきに『神サマ』の気持ちもわかるサ」

『髭の男』――エルガマルが笑うのが見えた。

「まだだ・・・・だが、『ヒビ』は十分に入ッてる。
 あとは『破る』気持ちだけだな。
 『卵の中のヒヨコ』みてーなもんサ」

>>355(エレナ)
「あとは、祈ッてやンな」

『髭の男』のつぶやきが聞こえた。

「オマエさんらは、『役目』を果たした。
 あとは『祈り』で十分・・・・届くはずさ。
  『声』を使う必要もねえ」

地獄のような『黒炎』に包囲された池。
姿はないが、そこに麟はいる――それは確信できる。

                      ゥ……

風にのって、聞こえるは『サイレン』の音。
まだ遠い――だが、ここに近づいてくるのは間違いない。


>>356(麟)
                       ピキッ
          パシッ

死んだ友人のことを考えるだけで、胸が痛む。
そして、あの音が鳴る・・・・前よりも激しく。
痛みと音が、自身を『ガラス細工』のように錯覚させる・・・・

「このオレは『馬鹿』じゃあない。
 『ジャキ・ヴェラスケス』は無敵だが、用心は常に必要だ。
 しらばっくれるならそれもいだろう。
 貴様を人質にするのはやめ、そっ首を『神山 挫』に送れば、それで済む」


  ゴォン!
           ボゴォオオ  オ オ オ 

水の向こうで、突如、『黒い球体』が浮き上がった。
小屋ほどもある、巨大な塊だ。
そのまま、上昇していく――急速度で、麟の頭上へと!!

358麟『マイ・レリジョン』:2012/11/23(金) 23:58:21
>>357
(あ……だめだこれ、じせいきかないわ)

子供にあるまじき冷静な頭、この小ざかしさ。
自分を抑制して、ある程度は良い子で居ようとする事。
それはある意味、この小娘の武器でもあった。


でも、やっぱり今となっては、だめだ。
目の前で、『**』した、なんていわれて


「……お前が」


頭にこない奴はいない。


「お前が、みんなをォォ―――――――――――ッ!!!!!!!!」


自分が、もしガラス細工みたいだとしたら、

それが、割れてしまいそうなぐらい声を上げ、水の滝を突き破って外の湖に飛び出す。

359朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』:2012/11/24(土) 00:05:16
>>357
『エルガマル』の言葉に、両手が自然に『祈る』形に組まれる。


    ( 麟様 )


       ( どうか )

            
               ( ………生きて、ください! )


『言葉』には決して出来ない、魂の底からの『願い』―――それのみを、『麟』のこころに届けんとする。

360『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 00:17:22
>>358(麟)
全身が砕けるほどに叫び、滝の外へ飛び出す麟。
だが、そこは水の中だ。
気持ちはあれど、すぐに『深淵』に至る術を、少女は持ち得ない。

そして――

      ゴ! ガァァア――z___________ン!!


頭上ではじけた轟音に、麟は『深淵』の意図を知った。
人口山の岩肌――滝の噴出口。
岩ほどもある『黒炎』の直撃を受け、大量の瓦礫が、
水と『黒炎』を纏いながら、落下してくる!!

その数、範囲――水中で避ける術があろうか?
一抱えもあろう瓦礫の『大量爆撃』を前にして!

「何を驚く必要がある。
 『正義』を前にした『悪』が滅ぶ。当たり前のことだ」

『深淵』の言葉に、感慨はない。
あれほどの量の『黒炎』を放ちながら、その体の周囲には、
なおも大量の『黒炎』が待機し、その身を覆っている――『磐石』だ。


「そして、貴様もここで死ぬ。
 『マイ・レリジョン』ごときで、防ぐ術はない――『滅べ』」


     パキッ ピキピキ

                 パ キィィ――z_____________ ン

無慈悲な瓦礫の下。
胸が『破れた』――そう感じた。

361麟『マイ・レリジョン』:2012/11/24(土) 00:34:14
>>360
――当人はまだ気づいちゃ居ないが、

このパークで麟が一番多く発した感情は恐怖ではなく、

結局のところ、巻き込んだ自分とか、巻き込んできた『敵』とか
それら全てを相手にした、いろいろな情もない交ぜになった『怒り』だった。

そして、直接の原因である『深淵』が目の前に居ることで、

         深淵
その全てを、『コイツ』に叩きつけよう。そう決めたのだ。


『すぐに至る術を持ち得ない』?

『磐石』? 『防ぐ術はない』? 


      『そんな事は知るか、私の拳を喰らえ』。だ


「……っぁあああアアアアアァ――――――――――!!!!」

胸が裂けたような、そんな感覚とともに、

……殴るための『拳』、『マイ・レリジョン』を発現し、水面をがむしゃらに進む。

362『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 00:57:58
>>359(エレナ)
「あー、きっちり『届いた』みたいだゼ」

エルガマルの声が、珍しく熱を帯びている。

「殻は、『割れた』。
 『深淵』への怒りで『目覚めた』ソイツが、
 どうやって『立ち向かう』のか・・・・特等席で拝見しようじャねエか」


>>361(麟)
頭上に殺到する、岩雪崩。
だが、それすら、『深淵』への怒りにたぎる麟にとっては、
意に介する必要のない現象に過ぎなかった。

前へ出る――『深淵』を倒す。

それだけを考え、それだけを胸に、スタンドを発現する――

  ドッ    ド  ドッ
                      ド ド    ド ド ドッ
                ド ド

現れたスタンドは、『黒炎』の色だった。
その上背は麟より高く、目の下には涙のようなライン。
全身を覆う泡は霧散し、背中は黒檀のように艶やかだ。

そこには、ぽっかりと『穴』が開いていた。
蜘蛛の巣のように走った亀裂の中央に、
胸から背中へ貫通した、痛々しいばかりの『穴』が開いていた。


                         プ ア

その『穴』から浮き上がった、小さな『泡』。
麟の肩越しに、軽やかに舞い上がる――


            プシ ュ   ポ ウ   !!


瓦礫が――落ちてこない。一つとて。



「……何……だと……!?」



   ド ド   ド ド      ド  ド

363椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/24(土) 01:05:06
>>357-361
「……ふう」

溜息をつき、つ、と炎から目を逸らす。
別になんてことはない。なんてことはなく、ごく普通に、当然のように、ただひたすらに、怖かった。
ずらした視界の中、エレナが意識を取り戻す。

「…………」

エレナからも目を逸らす。どうにも、彼女には合わせる顔がない気がした。
他の面々にもそうだが、自分を信頼したということが誤魔化しようもない手段で伝わってきた彼女には特に。
椎野は『深淵』にとっても麟たちにとっても、裏切り者のようなものだ。
居場所のない視線はさまよい続け、

「……『割れた』、か」

エルガマルの言葉に、結局、いまたった一人になっている少女に向かった。

「――あれが、麟さんの『次』、ですか。禍々しい見た目ですね。
なんていうか……特撮変身ヒーローの、ライバルキャラみたいな……」

364麟『    』:2012/11/24(土) 01:06:47
>>362
……!

いつもの見知った『泡』型じゃない
謎のスタンドが現れたことに、何事だと一瞬ためらうも、


自分の意思に応じて動いてくれるのであれば
それは私を助けてくれる『何か』だ。力を貸してもらおう。


『奴を倒す』

そのために水の中を進みながら、
瓦礫のこと、浮き上がった泡、……これは何かと自問する。

365『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 01:42:02
>>363(椎野)
「――短い人生じャあるが、出会ッた全てを飲み込む。
 それが麟って人間の本質だッた。
 絶望も怒りも内に秘め、感情に出さない。
 他人を傷つけないように・・・・まるでそう、『泡』に『閉じ込める』みてーに」

何故、そんなことまで知っているのか。
しかしそれも、『エルガマル』なら納得できる気がする。

「そんな麟に、オレは『ジャキ』の力を与えるよう動いた。
 『ジャキ』を倒す方法は、『ジャキ』の『力』にこそある。
 おまえさんら友人の『死』が、麟の中に眠る何かに火をつけ、
 『黒炎』とともに発現すれば、勝てると踏んでたのサ」

「今だから言うがヨ。
 『時間稼ぎ』つーアレは『ウソ』だ。
 本当に必要だッたのは、あんたら全員が『殺される』ことだッた。
 激しい怒りが『マイ・レリジョン』を凶悪なスタンドに押し上げる・・・・そう思ッてたンだが」

言葉を切り、苦笑するエルガマル。

視線の先に浮かぶもの――それは巨大な『泡』だ。
『直径5m』はあろう『泡』が、池の上、麟の頭上で静止している。
黒光りするその中に、瓦礫も水も、『黒炎』すらも納まっている・・・・!


「ありャあ一体、『どっち』だと思う?
 ――お二人さん」
 
                 ド ド   ド ド    ド ド ド ド ド

>>364(麟)
自問する・・・・までもない。

池に映った影は、巨大な『泡』のものだった。
黒光りする、圧倒的に巨大な『泡』。
黒光りするその中に、瓦礫も水も、『黒炎』すらも納まっている・・・・!
 
          クルゥン!

見知らぬスタンドが振り返り、口を動かす。
声は出ないようだが、何かを語っている。
その唇を、不思議と麟は読むことが出来た。


  『ア』 『ワ』 『ヲ』 『ウ』 『ゴ』 『カ』 『セ』


――そう、読めた。

366麟『    』:2012/11/24(土) 01:48:32
>>365
『泡』 を 『動かせ』。

そうか……わかったわ、『みしらぬわたし』


じゃぁ、動かして……ぶつけてやろう。

          きっとできる。


あの時、頭の中に誓ったとおり(>>269
このクソッタレが奪おうとしたもの、奪ったものすべてのツケを払わせてやる。

両の手を広げ、意識を集中させ、
『泡を動かして……深淵にぶつける』

367『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 02:06:56
>>366
スタンドの助言を信じ、両手を広げる麟。
スタンドも同様に両手を突き出す――
その両の手首にも『穴』が開いていることに、麟は気がついた。

         フォ  オン  ッ 

『泡』が、軽やかに動いた。
内包物の重量を無視した動きとスピードで、
麟の考えるまま、ほとんど自在に宙を進む。
人が走るくらいの速度だが、
大きさと比すると、異常に速く感じられた。

「この巨大な『泡』……『成長』しただと?」

しばし自失していた『深淵』だが、
向かってくる『巨大泡』を前に、己を取り戻す。

「だが、この程度で!
 『抱腹絶倒』に勝てるなどと・・・・笑止!!」

   ボ! グゥ オ オ   オオオオオオ

丸太小屋を焼く『黒炎』を全て掻き集め、形勢を立て直すなり、
『黒炎』は見る間に、巨大な『槍』に変わり、

                     ドズゥ!  ウ ウ

鋭い切っ先で、『泡』を貫いた。
『泡』は瞬時に弾け、中の瓦礫が激しく水を叩く。

ニヤリ、と『深淵』の口に笑み。


「『泡』がどれだけ大きくなろうと、しょせん『あぶく』に過ぎぬ。
 この『ジャキ』に勝てるはずもないッッ!」

       バ! バ!

巨大な『槍』の柄から、さらに無数の小さな『槍』が生えた。
全ての先端を麟の頭に向ける――

368麟『    』:2012/11/24(土) 02:15:52
>>367
両手首にも、穴。  胸の穴から、泡。

       ……もしかして。

     手首からも、出るのか?



『目的』はひとつしかないのだ。
そのために……出来るかもと思ったことは全部やるまで。

そう感じたままに。
何かを出せるなら、手首から出してみる。

そして、胸からも。

369『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 02:25:11
>>368(麟)
             コクリ

スタンドが、ちいさくうなずくのが見えた。

         ポ   ポワン

右手首と、そして胸から――『泡』が現れる。
『ピンポン玉』のようなそれは、頼りなく宙に浮いている。

「――灰燼に帰せよ!!」


『深淵』の叫びとともに、『黒炎』の槍が繰り出された。
滝を出た麟は、射程距離『9m』ギリギリの範囲内。
矢のように飛び出した巨大な『槍』の切っ先を、
無数の『細槍』が囲むように追いかけて来る。

そのどれもが、『深淵』とつながる限り、自在に動くのだ。
誰が、この包囲網から逃れることが出来ようか?

「カカカッ、『水に潜れば』などと思うなよ!
 この程度の水深――火を消される前に貴様を貫いてくれる!」

370椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/24(土) 02:35:22
>>365
「……人身御供にされたことに文句の一つも言うべきかもしれませんが、
他に彼を止める手立てもなさそうな状況、飲みこんでおきますよ」

その言葉が十分に皮肉げではあったが。

「『泡』、『泡』ですか……『全てを飲み込む』……」

暗誦するように繰り返し、チチチ、と舌を鳴らした。

「あのスタンドはなんなんですかねえ。
燃やしつくす凶悪さではなさそうに見えますが――火を消すには泡がいいんでしたっけ?――
しかしまあ、巨大ということはそれだけで割と凶悪ですからね。
他人を攻撃するにしても、丸く収めるにしても、巨大だと抗いがたい」

371麟『    』:2012/11/24(土) 02:36:11
>>369
目の前の『馬鹿力』がなにか言っているが、どうせたいしたことじゃない。

でも、とりあえず目の前の『これ』はどうにかしないと、
アイツを殴って*せないじゃないの。排除しなきゃだね……


で、この状態の泡は動く……のかな?

だとしたら動かして、そうでなければさらに浮かべて『黒炎』へぶつけてみる。


『あまり、人を、舐めるんじゃない。』と思いながら。

372『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 03:00:10
>>371(麟)
『泡』を、動かす。

そう考えた瞬間、スタンドが手をかざす。
この動作が、『動かす』には必要なのだろう。

泡は風を受けたようにゆれ、思いの方向に動いた。
水上を疾駆する勢いで迫る、『炎の大槍』。
ちっぽけな『泡』など気にすることなく、麟の顔面に軌道を合わせる。

仮に『泡』が『槍』を阻もうと、無数の『細槍』を防ぐ術はない。
無限の手数に支えられた、圧倒的火力。
『鳴き砂』でさえ太刀打ちできないそれが、
『ジャキ』が最強の理由であると、『深淵』は理解し、
その信念が揺らぐことはついぞなかった。

  パシ!
           フォ    オ ン ッ

麟と『深淵』の間――
池の上の空間に膨れ上がった、巨大な『泡』を見るまでは。

『黒炎』の槍は消えた。細槍も。
それどころか、『深淵』の身を覆った『鎧』さえ。

全て――全て、『泡』の中。

茫然と立ち尽くす『深淵』ただ一人を残し、
『黒炎』を詰め込んだ『泡』は、悠然と宙に浮かぶ・・・・!


「な……なんだ……と……?」


   ド ド ド   ド ド ド    ド ド  ド 


>>370(椎野)
『泡』が一瞬にして、全ての『黒炎』を飲み込む。
それを目の当たりにしては、流石のエルガマルも言葉を失った。

「・・・・おまえさんが正解だッたなア」

やっとそれだけ言うと、口笛を吹く。

「オレは内に秘めた『爆発力』に期待してたんだが。
 麟の『成長』はそッちには行かなかッた」
 
「おまえさんら友人の『死』を飲み切れず、
 ぽッかり開いたのが、あの『胸の穴』だ。
 『失った』ことへの衝撃が、『泡』を『貪欲』にしたンだな。

 失くして初めてわかるもの・・・・
 麟は怒っているが、それ以上に『悲しんでいる』」


「『ファーレンハイト』に代わって、
 オレが名付けるなら・・・・
 
 あのスタンドの名は、『ルージング・マイ・レリジョン』」


                                     オ  オ オ

373麟『    』:2012/11/24(土) 03:06:52
>>372
道はすべて開いた。


……行く。



『深淵』を鎧う炎全てを包み込んだ『泡』を、
『深淵』の手の届かないところまで上げ、


そうして、湖を進み、上がろうとする。

裸の王気取りを射程内へ捕らえに。

374椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/24(土) 03:12:28
>>372
「私を褒めても何も出ません、『無駄』です『無駄』」

肩をすくめつつも、エルガマルの話を聞いた。

「『死』を――飲み込み切れずに」

そういう目覚め方をする力には心当たりがあると一瞬思って、
しかしそんな分かったようなことを思うのは麟への侮辱だと恥じる。
麟の悲しみは椎野には分からない。
椎野の悲しみは燐には分からない。

「……そんなに悲しませてしまったというのに、
ここでのうのうと生きているというのはどうも居心地が悪いですね。
とんだドッキリ大成功です」

結局、そんな斜めの角度の軽口を叩いて、
内心では私にもそんなドッキリが起きてくれればいいのにと思って、
そうして、膨らんだ『泡』を――『ルージング・マイ・レリジョン』の能力を見る。

「膨らんだものは、弾けるかしぼむか……いずれ『黒炎』への対抗手段としては、十分なようで。
頑張ってくださいよ、麟さん」

頑張ってもらうために、右腕を落とされ左腕を落とされ右足を落とされ裏切り者になったのだから。

375『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/24(土) 03:25:28
>>374(椎野)
「おまえさんには、おまえさんの闘いがある。
 それだけのこッたろ。
 裏切るも裏切らないもねェ。麟もそう言うと思うがね」

心を見透かしたような、エルガマルの言葉。

二人の距離が池の中で近づいていく。
最後の決着の時だ。


>>373(麟)
         フオォ  オ


『黒炎』を閉じ込めた『泡』を、手の一振りで宙の高みへと移動させ、
麟は前に進む――海を割ったモーゼの如く。

        ジャバ   ジャバ ジャバッ


対する『深淵』もまた、水の中に飛び込んだ。
ザバザバと水を掻きながら、届かぬ場所にある『泡』へ、懸命に手を伸ばす。

「動け……動け!動け! 動けよクソ炎がッッ!!」

高度差にして『数m』――『泡』の中では、『黒炎』が揺れている。
だが、決して操ることは出来ない。
その腕の『刺青』から離れた以上、『黒炎』が彼に従うことは『ない』のだ。

「こんなはずがねえ……
 オレは、オレは『報復絶倒』だ……
 腑抜けになった『神山』に代わって、
 『正義』をもって、この世の全てを支配する男だ……」

「こんなガキに……
 このオレが……このオレがァァア!!
 おおおおお、おおおおおおおお――――ッ!!!」


その顔に狂気を貼り付けながら、単身、『深淵』が向かってくる。
腰まで水に漬かったまま、拳の間合いに入る両者。

ゴ ゴ  ゴ
                     ゴ  ゴ  ゴ


    『 』『 』『 』『 』『 』

『深淵』を前に、拳を構えたスタンドの唇が動くのが見えた。
それは――

376麟『    』:2012/11/24(土) 03:38:15
>>375
『ぶちのめす』。

そうだ。

「お前は『罪』を犯した」

     宣告。


「1つ。

 あの人を、そして私を殺す為に無関係の人を巻き込んだ」

残っていた情全てを、改めて呼び起こすように。

  ブオンッ!!!


拳を、深淵に打ち据える。


「2つ。

 私の無力を良いことに、あの4人にも凶手を振るった。
 ゆがんだ正義と、借り物の力の上に胡坐をかいて!!」

  ヒュ、バッ
           バッ  バッ
                   バッバッバッ

1度や2度ではない。
『殴る』というのは、人を*すのには十分なのだ。

*ぬまで、動かなくなるまで


「最後に、あの人の鏡写しの癖にッ!

 あの人の声で!!、あの人の姿でッ!!!

 偉そうなことを垂れながら平然と罪を犯したァ!!!」


すべての感情を吐き出し、それとともに。

                   バッバッバッバババババババ

「……す。消す……!!」

バババババババババババババババババババババババ
バババババババババババババババババババババババッ!!!!!!




コイツを


「消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す――──消えろォッ!」



……肉辺になるまで、殴り潰し、消し去ってやる。

377椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』:2012/11/24(土) 04:57:59
>>375
「さあ、麟さんは実際どう言うでしょう。分かりませんよ」

麟が彼に何を言っているのかは、ここからでは聞こえないし見えないけれど、
振りかぶった拳の勢いは、『他人を傷つけないように』加減されたものではなさそうだ。

「……スタンドって精神の表れでしたっけ。他人のスタンドが混ざったら――心も変わるんですかね。
少なくともあのスタンド、今の麟さんには似合ってるみたいです。
全て飲み込んで……しかも……」

言葉を途切れさせる。
人には人の闘いがあり、人には人の正義があるならば。
違いはどれだけ正義を信じるかだ。己が、己の正義の味方に『なってしまう』かどうかだ。

麟と、そのスタンドと、神山になりたがった彼から目を背けた。
あそこで打ちすえられるのが自分でもおかしくない気がして。
それでいてすっとしたりほっとしたりする自分がいることも恐ろしい気がして。

「多分、私と彼は似ていたんです。
今日の所は、私の方が生きている――私の方が強かったみたいですが」

378朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』:2012/11/24(土) 17:32:26
>>372

  「……………」

言葉もなく、ただ見守る。

無敵にして無力――それ故に、他の何ものにも干渉し得ない『力』に護られてきた自分にとって、
あらゆる理解を超越した、『かたちある力』。
死と破壊の暴風とさえ言えた『深淵』を、いままさに『飲み込んでゆく』力。

が、いま自分の眼に焼き付けるべきは、それではない。

その『力』に『飲み込まれない』唯一つのもの――――『麟』の、心。
夜空の星々にも、天空の太陽にさえも翳ることの無い………『黄金の精神』。

見つめる。
決して、眼を逸らさずに。

379ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2012/11/24(土) 18:17:30
>>347

             フラァッ

「……ああ」

「私は死んでましたか。」

漸く私も、立ち上がる。

「今――どうなっていますか?」

「麟さんは……麟さんは、どうなったんですか?」

380『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/25(日) 23:44:38
>>376(麟)
「1つ。

 あの人を、そして私を殺す為に無関係の人を巻き込んだ」

    ド ボォ !!

前のめりに突っ込んできた『深淵』の鳩尾に、拳がめり込む。
かつての『マイ・レリジョン』を遥かに上回る、その『破壊力』――!


>>377(椎野)
「・・・・『混ざった』には違いねェな。
 だが、オレが予想したよりは、遥かに平和な能力さ。
 『最強武器』を丸々取り上げられた『深淵』には悪魔みてーだろうが、
 つまりは『相性』・・・・イワユル『天敵』だ。
 『ジャキ』を知る麟が、『ジャキ』に等しい『力』を得たからこその、
 あの『成長』ッて考えりャあ、何も不思議じャねエ」

『決着』の付き始めた二人から目を逸らし、
椎野は『正義』について、思う。
『深淵』の言葉には、真実も含まれていたのではないか。
今日は『選択』を間違えた・・・・それだけではないのか。

「――おまえさんは『選択』を誤らなかった。
 『今日のところ』は、それでいいだろ」

エルガマルの返事が、風に千切れ、飛ばされる。

>>376(麟)

「2つ。

 私の無力を良いことに、あの4人にも凶手を振るった。
 ゆがんだ正義と、借り物の力の上に胡坐をかいて!!」

    ドボォ!  
           バグッ ゴスッ
                   ボゴゴゴン!!

連撃――拳の嵐を、受けることすら出来ず。
水に没することすら、叶うことなく。

>>378(エレナ)
空に浮かぶ、巨大な『暗黒色』の『泡』。
あれほど圧倒的だった『黒炎』を瞬時に収める『力』に、
麟の心もまた、飲まれてしまうのではないか――

数多の拳を叩き込む麟の姿を、エレナは見つめる。
そこに『黄金の精神』が在ることを確かめる――


>>376(麟)

「最後に、あの人の鏡写しの癖にッ!

 あの人の声で!!、あの人の姿でッ!!!

 偉そうなことを垂れながら平然と罪を犯したァ!!!」


                   バッバッバッバババババババ

内に秘めた怒りを、二つの拳に集約させ――
麟は、『ルージング・マイ・レリジョン』は、解き放った。

>>379(ゼンチ)

「今、終わるトコさ」


>>376(麟)

「消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す
 消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す――──消えろォッ!」


ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――z_____________ッ!!



                         パ  キィィイイン!


骨肉を砕かれた『深淵』の目から生の光が消えた瞬間、
その体は粉々に『砕け散る』――鏡の破片のように。

           バシャッ

緊張の糸が途切れ、水面に倒れる麟。
宙の『泡』が解除され、その中身を拡散させる。

   バッ !
                 ボン ボン ボン 
                                ポポン

『黒炎』であることをなくした、巨大な炎の散華。
それは、昼下がりの遊園地に相応しい、真昼の『花火』であった――

  


          バァ ――z_____________ ン ン



                     『Blaze・Babble・Breakout』――END

381『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/25(日) 23:50:10

麟『ルージング・マイ・レリジョン』 ⇒ 『右足首貫通傷』『衰弱』(全治一ヶ月)

ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』
椎野妙子『レクイエム・フォー・ドリーム』
朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』    ⇒『無傷』
                            賞金『60万』get

相模宗吾『ブームタウン・ラッツ』       ⇒『無傷』
                            賞金『30万』get
      


【深淵】神山『ジャキ・ヴェラスケス』 ⇒ 『消滅』『再起不能』

382『Blaze・Babble・Breakout』:2012/11/30(金) 16:19:53
――『マイ・レリジョン』は『成長』した。


黒檀の質感を持つ、女性的なヴィジョン。
両掌と胸に、裏まで貫通した『穴』を備える。

万物を閉じ込める『泡』を生み出す能力。
『穴』から生じる『泡』は、手を翳すことで扇ぐように
軌道を操作され、触れた物質を無条件に閉じ込める。
液体や瓦礫などの不定形物は『一塊』として『呑み込む』。
『泡』は常に球形を維持し、内包物に沿って『膨張』するが、
最大径である『半径5m』以上にはならない。

『泡』の内部は特殊な『異空間』であり、内部からの破壊は『不可能』。
『距離』の概念がないため、『泡』の中のスタンドは強制解除されない。
内側から干渉すれば、ある程度『泡』を動かすことは出来る。

『泡』は黒い光沢を帯び、内部が見透かせないが、
『半径50cm』を超えて膨張すると、黒味が薄れていく。

解除以外で『泡』を破壊する方法は三つ。
鋭利な先端によって『泡』を突くか、
『最大径』を超える大きさ・量を持つ『環境以外の物質』に触れさせるか、
『最大径』より狭い場所で、それを上回る『膨張』を強要するか。
ただし、内包物のない『泡』は、完全な『異空間』のため、
対象の形状に関係なく、まさに万物を『閉じ込める』。

『泡』の最大数は『5つ』。同時に操作出来数は『2つ』まで。
自身やスタンドを『泡』に入れ、移動手段にすることも出来る。

『ルージング・マイ・レリジョン』
破壊力:B スピード:B 射程距離:E
持続力:C 精密動作性:C 成長性:D


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