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【個】『朱雀院邸』【場】

1朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』:2012/01/09(月) 01:24:56

今、幼いあなたは眠っている

まだ私の言葉の意味はわからないでしょう

でもいつか、新しい命を腕に抱いたとき

この歌を歌って聴かせてあげてほしい


Hasta manha 

Hasta manha

Hasta manha 

Hasta manha



詳細:>>2-3

248黒畝 白波『ヴィデオ・ドローム』:2014/02/09(日) 23:05:11
>>246
「あ、どーも。コレはすみません」

ペコペコして去った。

249ロンパリ『落伍人』:2014/04/01(火) 22:55:54
(【場】メインストリート その3
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1395578072/l50
>>46より朱雀院邸へ移行)

・・・アレからどの位、時間が経っただろうか?
数日? 数週間? 数ヶ月、いや或いはたった数時間程しか過ぎてないのかも知れない。

いや、多分月が沈み日が昇るのは一度は有った筈だ。だが確信持てない理由は
此処が自分の今まで腐敗に浸かりきっていた所よりも、余りに澄み切っていて
途方もなく清涼で陰ると言うモノが無い‥‥‥『ロンパリ』の語学力では到底相応しい
説明は出来ないものの自分が今まで生きた中で、これ程に恐怖する程丁重な
扱い無いし、このように癒しと憩い、安らぎで囲まれたような場所に居る事。
ロンパリにとって全て初めての体験であった。

「‥‥‥」

虚ろ。麻薬中毒による幻覚症状が発露してる訳でもない、だけど何をすべきか
定まる事が出来ず胎児のように体を丸め出来る限り自分と言う存在を萎縮させ
ロンパリは『庭園』の自然林、その一つの木陰に身を預け座っていた。

(あの人は‥‥‥どう言う方なんだロぅ)

不思議で、堪らなかった。

ロンパリは認知してる、自分と言う存在が決して望まれて生まれてきた命で無い事を。

物心ついた時には既に馬車馬の如く『何か』に言われるがままに命じられ働いてた。
事ある毎に殴られ蹴られ、満たされる、と言うモノに縁は無かった。

だが然し、此処『朱雀院邸』には自分に無い、欲する事も願う事も無かった
輝き目が眩む数々の宝玉に囲まれてる! ロンパリは今の現況を受け入れずに居る。
その眼前に有る多幸に抱え込んだ罪業と負の意識が恐怖で拒絶していた。

未知なる福音による恐怖と当惑、現状に対する必死の理解の中でロンパリが
扱いかねていたのは一つ、救い主であり女神と見紛った其の人『朱雀院 エレナ』である。

行き倒れた自分を救ってくれた恩人、どうも、この豪邸の当主であったらしい。

‥‥‥何故、自分を助けてくれたのだろう?

ロンパリの胸中と脳内を埋め尽くすのは疑惑、疑問である。
善なる存在、慈善事業家、世間を知らぬ深窓の令嬢の気紛れ。理由は様々想像は
自由には出来る。然れども、ロンパリは目覚めた時に、アノ人に向けられた
微笑に、単なる気紛れで理由を片付けるには彼の感情は複雑過ぎた。



――『あなたの場所に『帰りたい』とお望みになる日までは』

――『どうぞ、ここを『我が家』と思い、お過ごしください』

 ‥‥‥帰郷ヲ望む場所。

そんなものは彼には無い、『城山 譲』と言う名を授けてくれた養父母は
決して自分、ロンパリを虐待などはしない。それどころか自分へ精一杯の愛情
与えようとしてた真人間の人達だった。

だが、アノ人達は己のように居るだけで空気を穢し誰かの毒となる者を預けるべき
人では無い。そう知ってこそロンパリは精一杯の抗いで其の場所を抜け出した。
逃避、そう蔑まれても仕方がない。だがロンパリは己が知る限りの優しい人には眼前で
不幸になる事を避けたいと願う程の善性を持っては居る証拠で有るのだろう。

(‥‥‥マンティコア‥‥‥聞こえてるか? マンティコア)

先の指針、これからどうするかと言う不安も有るがロンパリにはもう一つ重大な懸念が有った。
自分の頭の中、大麻やシンナーを摂取する以前から夢や終いに何時如何なる場所でも
言葉の爪や牙を降ろす恐ろしき悪夢の象徴、マンティコアの声が唐突に消えた事だった。

前例が無い訳で無い、時折気まぐれに自分を揶揄する時が無かった訳が無くもないけども
ロンパリには、その途切れ方が今まで馴染みあった時と些細なズレ。
そう奇妙な違和感、目を凝らしてようやっと知れる小骨が喉に刺さるような何か
得も知れぬ胸騒ぎがして、それも彼の心をかき乱していた。

(‥‥‥今のおいらは、一人ぼっちだ)

庭園の自然林に身を預けながら。ロンパリは孤独に横たえて空を見上げる。

幻聴でも構わない、ロンパリは何か『声』を現在望んでいた。

この今を変える『声』を、だ。

250朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/03(木) 23:17:35
>>249
―――――――

時という存在さえも、容易く否定しそうな空間。
衣、食、住――
多くの人間が、手にする為に日々他人を蹴落とし足掻かねばならないものが、ふと気づけばそこに用意されている空間。

『彼』が、物心ついてこのかた存在していた『世界』とは、なにもかもがあまりに違い過ぎる場所。
見つめれば眼を灼く太陽のように、人の本能が正面から向き合うことを拒ませるほどの眩しさ、暖かさに満ちたその場所は、
『彼』にとって、『楽園』なるがゆえに『楽園』たり得ない場所だった。



     バ バ バ  バ バ バ バ バ

                     ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

が、この夜は、若干違っていた。


        ザザ  ザ

『彼』の頬を撫ぜる、不穏な『風』。

それが、『邸宅』のそこここから飛び立ってゆく何十機ともつかない『ヘリコプター』の回転翼が起こしているものだと、
『彼』は察した。
それらが、自衛隊や軍隊で用いられるような、一機で数十人を運べる大型のものであることも。



   「  『譲』 様  」

                 「   『譲』 様!  」


『彼』の心の檻に住まう『相棒』の答えより先に、その『声』が耳に飛び込んだ。

    ――――
 
木々の間を縫い近づいてくる、『純白』。
背の透明な翅で舞うように、『彼』へと駆け寄って来る。


     「………こちらに、おいででしたか」

251ロンパリ『落伍人』:2014/04/04(金) 13:09:44
>>250



「ぅ   っぉ‥‥‥ぁ」





―心臓に    悪い‥‥

 近寄る、その人影をはっきり視認してロンパリは抑えきれない奮え震える鼓動
その爆発でもしそうな心臓を腸(はらわた)に感じながら思う。

 闇夜を照らす一純の白光 突如劈(つんざ)くように喚くヘリの回転の唸りより
木々のざわめき、透明な妖精の罵倒よりもソレは鮮明で耳を抜け心に何かポォと
不思議と受けれいてしまう熱を点す声をしている。

 そして、勘違いでなければ己の名をいま、まさか呼んでくれたのではないか?
いや、止そう。それはきっと切の願望ゆえの幻聴だ。事実ならばロンパリは
余りの福音に気を本当に違ってしまう。そう思い心落ち着かせようとした。

 きっと、永遠に慣れない。反射的に立ち上がり、触れれば穢れる事を恐れて
後ずさりながら其の人『朱雀院 エレナ』を見つめる

何もかもが、自分と違う。そして、未だかつて邂逅した事ない 白い 全てが白く

 (嗟呼 やはり‥‥‥この人は何て    何て‥‥‥)

思い浮かんだ賞賛? 表現?? は途切れる。 詩的な言い方、最上級の絶賛や例え方。
どれもが其の人を言い表すに陳腐と感じた。

だが肝心な事は其処で無い、ロンパリは必死に意識を切り替える。
 
大事な事に気づいたのだ。この御方はどのような用件か知れぬもの
己を、こんな不肖の輩の為に貴重な自分の時を使い、自分を探しに来てくれたと言う事実!

近づきながらの声の内容に気づく。この人は自分を探しに来てくれたのだ!!
こんな卑しくマンホールの裏側にへばりついた泥のような、そんな己の為に何の
目的かは知れぬもの、この御方は自分の為に!!!

 その事実だけで足が地に付いてないようなフワフワした感覚に陥る。スピリタスでもロックで
流し込まれたかのように顔が火照ってきそうだ。

「ぇ ぁ‥‥‥おいら、ぇや‥‥‥俺、に、何、か‥‥‥御用でしょうか」

緊張と恐怖とはまた異なる感情が責めぎ合いながら必死に失礼ないような言い方をする。

「ぁ と、その‥‥‥そうだ、あのヘリは一体‥‥‥?」

ロンパリは、このまま真っ向から朱雀院 エレナを見ればきっとどうにかなってしまう。
そう思い、いま起きてる出来事について尋ね、ヘリの方向へ顔を向ける。

起きてる現象について実際はどうでも良かった。ただ、その儚げ且つ夢幻の住人のような人を
ただ、その澄み切った瞳が自分を見る事が途方もなく恐れ多く逃げたのだ。

夜の帳は不思議と胸をざわつかせる、今宵は普段と違う虫の報せのように何か不安も有る。

だが、その不安も目の前の誉れ高き人の御蔭も相まって感覚は現在麻痺していた。

252朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/05(土) 22:16:33
>>251
見る間にこちらへ近づく『純白』―――
その両肩が、わずかだが上下している。

息を切らせている……それに気づいた時、

 
  「『譲』様」

精霊リャナンシーに命の精の全てを代償に差し出して得た詩歌の才をもってしても、表現しきることの叶わない輝きをたたえた瞳――
それが、『彼』のすぐ眼前にある。

   
   「由々しき事態が」

    「お願いでございます」


後ずさる間もなく、『彼』の両肩に、少女の掌の温もりが触れる。


    「どうか」

     「いますぐ、地下に」

      「『シェルター』に、ご避難くださいませ」


    ス

細い指が指し示した先、木々の梢の間に浮かぶ『月』。
それは、『彼』の目からは、満月の端を少し欠いただけの『いつもの月』としか見えないだろう。

253ロンパリ『落伍人』:2014/04/05(土) 23:03:47
>>252

「へ ぇ ァ !?」

『シェルター』に避難しろ。と言う指示の内容より一番ロンパリのド肝を抜かせたとすれば
間違いなく、その肩に置かれた熱だった。一瞬火傷するように その手の温もりに戦慄を感じた

 「ぁ あああのあのあののののノノ…!!?!」

混乱しどもりながらも、何とか呼吸を整えて狼狽えながらも尋ねる余力を産む。

「ぶ……無礼かも知れねぇ…知れないですが聞かせて下さい。

     

            ……『何故』なんですか?」


 ……何故、自分を助けてくれた。

 ……何故、自分にこんなにも優しくしてくれるのか。

 ……何故、自分のような醜穢(しゅうわい)と獣心(じゅうしん)で
懲り固められたモノを、そんな純真な目で見る。

 ……何故シェルターに? 何故月を指して?? 

そう言う、色々な過去から現在までの絡み合ったものを凝縮させた『何故』である。

朱雀院 エレナに、この路上の影にある沁みよりも翳りを心に侵されし咎人は
輝けし人(と己が信ずる)へ尋ねるのである。

 この問いに、ただ沈黙を返されてもロンパリが彼女に対し侮蔑の芽を産む事はない。

ただ、ほんの少し天の配剤がまだ残ってるなら。この御方の口から、真実を聞かせて貰いたい。

そう、ただ其れだけを願い質問し、その答えをロンパリは待つ。

聖瑞(せいずい)を伴うような其の女性『エレナ』の瞳を あらゆる黒と人の犯してきた闇と病み
に浸かれ濁りきった斜視でに、ロンパリは勇気とも違う立ち向かう奇妙な陽炎を携え見つめ。

254朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/07(月) 22:23:08
>>253
「間もなく、この街に、
 すべてを『滅び』に導くほどの『災厄』が訪れます」

 「あのヘリは、
  街に住まう一人でも多くの方々を、当家所有地内のシェルターにお連れする為のもの」

  「……ですが」


その災厄の最も恐ろしい点は、『見える者』と、『彼』のように『見えない者』とが居ること。
見えていない者の多くは、『災厄』の存在を信じず、ヘリに乗ることを拒むだろう。

朱雀院 エレナは、『無力』だ。
自分自身をどれほど完全に『護る』ことができても、
自分以外の誰かを、『確実に護る』ことは、けっしてできない。

  ――― しかし。


>            ……『何故』なんですか?」


真っすぐに投げかけられた『問い』を、真っすぐに受け止め、
真っすぐな言葉をもって答える。



    「 貴方と、わたくしは 」


    「 『似ている』のでございます 」


    「 とても。 『とても』 」



『心』が、『孤独』であること。

『心』を、誰かに歩み寄らせようとすれば、
常にその相手には災いが降りかかる。
それゆえに、他者との間に、『心の距離』を置いてきた。
それが、無力な自分にとって、災いの火の粉から相手を護る唯一の方法―――――そう、信じてきた。


そのままでいたほうが、良かったのかもしれない。

しかし、朱雀院 エレナは、『出逢って』しまった。

他の誰とも分かち合えない『心の孤独』を封印した、見えない檻――その中を自身の居場所としてきた、
あまりにも自分と『良く似た』………『彼』と。



     「 『貴方』に 」


     「 『生きて』いただきたいのです 」

       
     「 わたくしのできる、すべてで 」

        
     「 『貴方』を、『護りたい』のです 」



  ――――――

『彼』の両掌に、両掌を重ねる。
包み込むことなど叶わない細い指に力を込め、
『温もり』を、言葉とともに、真っすぐに伝える。

       
人が人を救いたがるなど、驕りであり傲慢―――
何者にそう嘲り罵られようと、
この心を、『朱雀院 エレナ』は、『譲れない』。

255ロンパリ『落伍人』:2014/04/07(月) 23:50:18
>>254

 「    ―――――――  ッ  」

 声にならない絶叫もとい咆哮。

感情の奔流 冷え冷えと頑なに伝導せぬ石の如き心の根幹に呼び覚まされる外気

目の前の『彼女』 朱雀院 エレナの言葉に、その嘘偽りない誠実と真実の携えられた言霊に

 ロンパリは その歪みきった『斜視(ロンパリ)』から決壊するように熱い液体を迸った。

 「ゥ  ぉ  おっ˝ …… ク ぅ  ノレ˝ ェ あ ァ˝  ぁ ……」

何か言わなければいけない、そう頭で理解しても声は声にならず嗚咽に化していた。

 ロンパリが、物心付いた時より獣心を傍らに文字通り獣のような家畜か奴隷の扱いを受け
時を過ごしてきた男が初めて言われた 初めて授けられた


        『     生きて     』


実の母も父の腕(かいな)の温もりも 声も顔も知れない。 味わってきたものは
罵倒の羅列 嘲笑と自分の特徴を揶揄する品の評価を背負い 恨めしさと諦めを慰めに歩いてきた

 だけども この方は この人は  この巡り会った女性は……

この自分に ロンパリに     生きてくれと   護る       と……


 【ロンパリ  オィ˝!!!  ロンパリ!!! キ様  何を考工てノレ!!!??】

 頭の裏側 鈍くも獣の声がした   だが……   今の『俺』には 届かない。

(決めたんだ  マンティコア     見つけた  んだ

 この人 こそ  俺の『全て』ヲ  魂の   安穏になって くれる きっとそうだ


       この方の為に 生きよう   この方の為に  死のう
 
 末期の果てに この人の白いタオルケットのように優しい両腕に抱きすくめられ

 その微笑みと一滴の一輪の零れゆ蜜のような雫と化す涙を受けて眠れるならば  

                 ……本望ダ

【ロンパリ……ッ˝ テめェフザケんジャね工ゾ゛ッ
 オ前ハ永遠二運命ノ奴隷ダ 終焉まデ堕落ト混沌ノ中ヲ俺ノクそ溜メん中デ
窒息シて彷徨ウんだョヲ゛!!!! 今更其ノ魂力゛潅がれるナんゾ都合ノ良イ゛幻覚を
発動すンじャね工ェェ゛!!゛ 口 `ノ /\゜リ ィ ィ イ ! !゛ ! !!゛】

 マンティコア     

               ――俺は     


                                『城山 譲』だ)

 精神の中で人と獣の交錯する諍いは一瞬ながらも数か月の戦のように長く行われた。
その決着が付いのは現実にして瞬き一度ほど。だが其の一瞬で人は人に成るには十分な時間を得た。


…………。


 「 ……ぁ り  が  と    ぅ…… 」

 嗚咽混じりに、大の良い年の青年は鼻水と涙で吹き出物が右頬に激しく出来た顔を
歪め精一杯の感謝の礼を述べた。

  このまま、素直にロンパリこと城山 譲はエレナ嬢の指示に従い見えぬ月の脅威から
避難するべく、シェルターに移動する。


    そう  思えた。


       「    ――ダ力゛       断ノレ      」

                   
            ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 「有難いが ッ  ……その言葉に隷従する訳にはいかね『ェ』 ッ!」

 ロンパリは何やら決意した必死の顔つきで、エレナ嬢が自分の包んだ両手を精一杯の傷つけぬ
力で振りほどき、そして彼女の望みを拒む。

 何を考えている……!?

256朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/10(木) 00:10:36
>>255

 「  ――――――  」

立ちつくす。
ありったけで伝えた『心』を、『撥ねのけられた』―――――


――――いや、そうではない。

『彼』は、自分の手を、『傷つけぬ力』で振りほどいた。
「望まぬ隷従を強いられる」と心底から思い、それを拒もうとするなら、
自分を殴り突き飛ばし、一目散に自由へ向け駆け出している。 ――それは容易なことのはず。

なのに、『彼』はそうはしない。


   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

『滅びの災厄』が迫っている……見えぬがゆえに、その言葉を信じられないとしても、それは無理からぬこと。
しかし、それが事実であることを納得しうるまで話し続ける時間は、いまは無い。


一瞬、前髪を隔て『彼』の視界から隠れた少女の瞳が、ふたたび『彼』に向き直る。

失望も悲しみも一片たりと無い、穏やかな微笑みをたたえて。


  「 では 」

   「 よろしければ 」

  「 わたくしの『ピアノ』、お聴きいただけますか? 」


感情の激流を『いなす』静水のごとく、
ぶつかり来る心を、一転してその行き場を見失わせ、立ち止まる『空白』を作り出し。


   「 ご案内いたしますわ 」


あえて返答を待つことなく、
くるりと背を向け、木々の間へ分け入っていく。

漆黒の闇の中の、ただ一点の純白。
それを見失えば、文字通り西も東も見て取れぬ『不安』の中に「取り残される」―――心以前に、『彼』の眼にはそのように感じられるだろう。

257ロンパリ『落伍人』:2014/04/10(木) 21:19:47
>>256

(ぁ   嗚呼 ア  )

 ち、違う  違う違う 違う そんな そんな優しすぎる微笑みを向けないでくれ

 ロンパリは向けられた穏やかな微笑みを見て、感じ、理解した。

己の短慮な言い回し、決して悪気あってでは無かった。だが だが今の言葉、それは。

それは きっと きっと きっととても『彼女(朱雀院 エレナ)を傷つけた』 

そうロンパリは 許されれば地面に頭を擦り付け頭を抱え打ち付け謝罪したい心境に陥りながら
心を狂わせ罵詈雑言を降らせる 何をトチ狂った言葉の刃を振ったのだ 手前は と。

違うのです 貴方に そのように一瞬でも 悲しみを刻みたいが為に告げたのでないのです

違うのです 違うんだ 俺は おいらは ロンパリは 城山 譲は……

 巡るましく、蟻地獄の流砂 螺旋を刻む海流のように激しく感情の波が襲ってくる

紡いだ言葉を飲み込み今更無しにする事など誰にも出来やしない。
 そして、己は目の前の方に悪意を伴って、その気高き唯一無二の厚意をドブへ
捨て去り愉悦したいが為に吐いた訳では無い。

否定したい、このような言い方で決して彼の人に自分の気持ちをぶつけたかった訳では無い。

何を言えば良い? 何と取り直す発言をする?? どう言う謝罪を口にする気だ貴様(自分)は???

 どんな慰めを どんな事をほざき 許してもらおうと取り繕うとしてる

 何を告げれば 手が届きそうなのに関わらず 何処よりも遠い場所へ誘われ
そうな この儚くて神々よりも美しい人を引き止められる??

ロンパリは彼女『朱雀院 エレナ』が反転し、木々の間に分け入ろうとする

その姿 それが今にも世界から隔絶しそうに見え彼女に 


                       気づけばこう告げていた




   「 ぇ えっ   えっっ  『エレナ』!!!」

 ―叫ぶ ロンパリは禁忌を犯す。この期に及びアダムとイブが口にしたよりも
遥かに重い、その誰より清らかな人の名を薄汚い己が敬称付けず呼ぶと言う愚行を。

 そして、更に     この男は果実を口にする以上に重い罪を犯した


 「おっ   おっ……!     俺がッ!」

 ―グッゥ……!![左手の拳を握りしめ 掲げ]




           『「俺が月を消す」』!!!!!!



 ……目をカッと見開き、血走らせ。

動揺しきっていた顔色は見えない 一丁前の騎士に成ろうとする顔つき
ロンパリは大胆不敵 無謀にも 忠誠を立てんがせんと胸に拳を掲げ宣言した

258朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/12(土) 23:04:59
>>257

>   「 ぇ えっ   えっっ  『エレナ』!!!」


  「 ! 」

振り返る。
その名で呼ばれたことは、祖父が世を去って以来、ついぞ無かった。



>           『「俺が月を消す」』!!!!!!


  「 …!  …… 」

『彼』の胸で固く固く握られた拳を見つめる。
そして、真っすぐに自分を見据えたその瞳を。

汲めなかった。 気づけなかった。
彼が自分の「避難しろ」という言葉を拒んだ理由は―――『それ』だったことを。


  【  ………  】

自分は間違っていた。
『彼』を、『護りたい』―――それはまさしく、おこがましき思い上がりだった。

『彼』は、自分を、この街を、『護ってくれる』……そう言ったのだ。



     「  『譲』 様  っ  」

                       ヒ  シ  ィ


気づいた時には、
彼を、強く抱きしめていた。


     「 わたくし 」
   
     「 大きな過ちを犯すところでした 」


       ――――――― 
    

拳に落ちかかる、澄んだ熱い雫を、彼は感じただろう。


      「 お教えくださいませ 」

      「 わたくしが、いま、貴方のために、何をすべきかを 」

      「 わたくしのできる、すべてで 」

      「 貴方の、お手伝いをさせていただきます 」

259ロンパリ『落伍人』:2014/04/13(日) 00:05:45
>>258

 
      >「 お教えくださいませ 」

      >「 わたくしが、いま、貴方のために、何をすべきかを 」

      >「 わたくしのできる、すべてで 」

      >「 貴方の、お手伝いをさせていただきます 」

 ( あぁ きっと俺は……死ねば地獄に落ちる運命だろう。何故なら……

     いま此処が  俺の
 

                  『天国』だから )

 ― 十分です

その御言葉だけで その想いだけで  こんな鬱屈と不潔に身を染めた手に
純粋たる雫を一滴落として頂けた それだけでこの自分は世界で唯一無二の果報者だ

 ……だが願わくば

 「 う  た を……」

 抱きすくめられ、ロンパリは今にも失神しかねぬ程の衝撃を全身に受けながらも
ロンパリが出来れば望む ただ一つの我儘を ただ一つの授けて欲しいものを強請った

 「唄   を  一つだけ……」

歌、あの時 暗い路地裏で 最初に貴方に助け起こされた時

聞いた気がした とても優しい 何時か昔 遠い遠い遥か彼方の先で

懐かしい と言う感覚とも違う 何時までも聞き続けたい不思議な永久(とこしえ)の唄を

「いやっ、嫌なら、良い んだ! 直ぐ、俺は行く。
だ、けど もし叶うなら 歌を……一つ、この俺に」

 願い事一つ、出過ぎた真似である事を承知ゆえにビクビクと縮こまる子供のように
心なし全身は委縮する。

 けどロンパリは思えたのだ。この方から一つでも教われる事 それを授けて頂ければ
きっと月であろうと大いなる運命の終焉も割かつ事可能だ と。

260朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/16(水) 02:35:52
>>259

 「 ……… 」


そっと、涙を拭う。

泣きじゃくる幼な子のようだった表情が、決意に満ちたものとなる。

迷わない。
自分の選ぶべき道を、示してくれた『彼』の心に、こたえるために。


  「 かしこまりました 」


少しだけ身を離し、背筋を整え、
『彼』の瞳を真っすぐに見つめて。

ヘリの爆音も、木々のざわめきも、
伝えんとする『心』を、妨げることはできない。

  
   「 お聴き、くださいませ 」


   − − − − − − − − −


【 ttp://www.youtube.com/watch?v=MlVjUYalU8M 】


   彼の心に、届ける。
   それのみを、ひたすらに願いつつ、唄う。

261ロンパリ『落伍人』:2014/04/16(水) 21:55:25
>>260

       ―映えるのは 白光

頭に木霊(こだま)する眩いのに突き刺さる事のない不思議な柔らいだ 色彩

 唄の意味合いを理解する程の語学はロンパリには無い だが彼には歌の意味を知るよりも
何より大事なものを その視界に咲く白き一輪の化身から必死に汲み取ろうと 
ただ一心にそれだけを想い その御方(朱雀院 エレナ)の唄を聞く

 そして ロンパリは 彼の淀んだ眼と歪んだ心は  不躾であるを承知の上

 『願い』を    その唄から感じ取った。

 希望・信頼・不安・縋り・悲痛・祈祷・享受・達観・愛情……己は愚答しか出来ないが
もし回答しろと強いられるなら、そう 彼女の愛くるしい口元から漏れるどんな喧噪でも
聞き逃す事のない響きから その『心』をロンパリは 城山 譲は受け取ったのだ。

 (俺は    いま     嗚呼 なんて言えばいいのだろう? この気持ちを)

 (そうだ 俺は         ―満たされきっている   世界中の誰よりも)

抱くのは感謝 感謝 感謝 猶予あるならば許される限り手を組んで頭を項垂れて自分の
思いの丈を示したかった。 だが今は駄目だ   今は……


     ―ク  ノレ  ン

 背を反転する 彼女(朱雀院 エレナ)には唐突に唄の終わりに、この男が背を向け
立ち去ろうとするかのように見えるかも知れない。

 だが未だ立ち去らない。ロンパリは 城山は両肩を震わせ 瞼を二つとも閉じて 空を
仰ぎ感情の堰が決壊するのを防ごうと試みた だが呆気なく、その両目から先ほどの彼女
同じく 透明な二つの細い流動は地面に零れた。

 「……必ず」           ―ス   ゥ ッ

片腕を掲げる 幾度もの自傷で文様の如く描く新古一体の傷の呪符を掲げ 男は呟く。

 「『変わりない明日を』……太陽を   貴方に」

 そして、顔を向けた。こすっても泣き腫らしたのが解りやすい、泣き笑うような顔で。

 然し少し異なる点。それは 涙を落とした次に開かれた其の『斜視』に

 ―奇妙な  『輝き(決意)』が爛々と星々のように照らされた事だ。

 「……だから え、エ、工……エレナ。ぴ……ピアノ」

 「……『明日』 ピアノを  ……弾いて 欲しい」

 「お おいら……俺が上手く聞いてるが ……ちょっと自信ないが」

 ……拙い約束 月が振り堕ちれば この黄金町は壊滅する 

無謀な男は 単身では不可能な誓いを 残酷にも無垢なる少女へ立てる。

 

『明日』が有ると信じての 約束を

262朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/17(木) 23:17:59
>>261

 「 …… ! 」

一瞬、背を向けた『彼』を追おうと、踏み出しかけて、

振り向いたその瞳に、『決意』の輝きを見る。


もう、迷うことは無い。

『彼』の瞳に宿る星々は、
                   ブラインド・フェイス
心の距離を現実のものとする 『無力なる力』 を介して、
如何なる距離をも飛び越えて、朱雀院 エレナの心に届き、
太陽にもまさる希望の灯火となって、歩む道を照らし続ける。

  
    「  はい  」

     「  『明日』  」


自分にできることは、『信じ、見送る』―――ただ、それのみ。
しかし、それはもはや苦しみではない。
『彼』―――『城山 譲』は、いつも『ここ』にいる。
そして、『朱雀院 エレナ』の心は、いつも『彼』のそばに。


   −−−−−

             ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

森の切れ間を縫い、一機のヘリが『彼』の頭上へ降下してくる。
小型で高い速度の出せる機体は、
『彼』が望むまま、黄金町の何処へでも『彼』を運ぶだろう。



   「 お帰りを、お待ち申し上げております 」

      
      「  『 譲 』 様  」

 
ピアノ室の扉を、開かなければ。
あの曲を、練習しなければ。
災厄が去ったとき、いつでも『彼』に聞いてもらえるように。

263ロンパリ『落伍人』:2014/04/19(土) 19:56:30
>>262

>『彼』―――『城山 譲』は、いつも『ここ』にいる。
>そして、『朱雀院 エレナ』の心は、いつも『彼』のそばに。

 奇しくも いや 当然か…… その『心』は咎と自責を刻む彼も同じ
『朱雀院 エレナ』 彼女の心を 想いを 傍(スタンド)として赴く

> ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

庭園の木々を揺るがせ 降り立つ其の機体は これより先のラグナログを
思わせる暗黒へ誘う鐵(くろがね)の竜か それとも希望を伴う神鳥か

 ―タッ

跳び乗る。そして最後かもしれない 暖かな 春と夏の隙間を埋めるような
喘ぐ程に手放し難い呼びかけに ロンパリ、城山 譲は振り返るのを懸命に堪える

いま振り返ればきっと 決心が いま先ほど 数秒前に立てた誓いが揺るいでしまう
 そう思い ギュッ……と。爪を食い込ませ拳を握り唇を噛みしめる。

 【才ィ   ……オリャァド――zノデモッ! イィケト ゛ ョ
 ……セメテ気ノ利ィタ応答シ口ッ ヤ】

 だが たった一人、いや一匹 の観衆は苛立ち混じりの唸りを伴わせ
意気地ない男に発破をかける。それは数年に一度ある気紛れの善意か
それとも同じ雄として、その態度は如何なものだと思った故の頭の声だったのか。

とにもかくにも、その脳内に響く声で 

>「 お帰りを、お待ち申し上げております 」

      
>      「  『 譲 』 様  」

                 
     「……      必ず

                          ……『エレナ』 」


  ……パラパラパラパラ

 ヘリは飛び立つ 既に恐らく 支配人より指示を受けてたであろう操縦者は
その乗り込んだ異様な恰好 通常お客としては御帰り頂きたい姿恰好の男に
対し眼前の黄金町が一風する高所へ 朱雀院邸が段々小さくなりながら
簡潔に『どちらへ?』 と聞いた。

                       ……既に答えは決まってる。


     「      電波塔へ     」

 彼女が差し示した場所 災厄の根源が織りなすだろう場所へ


   (   ―待っていてくれ きっと  月は消して見せる)

   (月は二つも要らない  俺にとっての月はただ一つ)

             ( 貴方だけだ)


 狂信と教心 狭隘と共愛  矛盾したつきはぎを秘めた 無力な男はいざ
見えない月を目指し 飛ぶ

264ロンパリ『落伍人』:2014/04/19(土) 20:10:28
>>263蛇足

 例え 行き着く果てでロンパリ 城山 譲は死しても

人生の全てが拳を振り落され 養豚場より刺激のある悪臭に
晒された中で過ごし 自分の本当の名前や誕生月すら知らずも

『光』に呼びかけられた事で『城山 譲』は彼にとって本当の名前となり

出会え、そして心に宙の星をも凌ぐ大きな喜びを爆誕した この日が彼を
本当の意味合いで 『光』は彼を産ませた

 今宵と共に ロンパリの其のロンパリたる名前の由来と意味合いも
大きく大きく 人の目では見えない巨大な流れと共に変わっていく


 寄り集まった性質の異なる凝固な悪から 小さな芽(善)は大きな樹となる

 ヘリは向かう『終わる夜』へと

 

 だが 『夜明け』は来るものだ

265朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/04/19(土) 22:05:38
>>263-264

  ≪  了 解  ≫
                 ヒュヒュヒュヒュヒュ

ヘリの自動操縦装置に移設された『ジェンキンス』の人工知能が、穏やかな音声で答え、
『彼』を電波塔へと運んでいく。

  ―――――


   ttp://www.youtube.com/watch?v=wpffneIbog4


闇に沁み渡るように響くピアノの調べ。
災厄が去り、『彼』が戻るその時まで、弾き続ける。
朱雀院家の使用人達と、地下に避難している人々は、
ピアノが途切れた時、それを地上に出てもよい合図として聞くだろう。


朱雀院 エレナは、『祈る』ことをしない。


>     「……      必ず


その言葉を、心を、『信じ』………そして『待つ』。



     『ロンパリ』 こと 『城山 譲』  …   『朱雀院 エレナ』 の 『信ずる人』 となる

266錏葉九郎『ザ・シグマ』:2014/05/06(火) 00:07:21
「ンッンンー」

色々考えた結果、はやにえっぽいディスプレイにすることにした。
何をって?『地乃の手足』に決まっている。

とりあえず串刺しにした手足を四つ並べて『朱雀院』の門前に立て、その傍で酒を飲みつつなにごとか起こるのを待とう。
待とう。

267朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/05/13(火) 00:54:26
>>266
  ( 【場】『松前 総合病院』 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/netgame/9003/1327326457/ より移動 )

 
   ヒュン  ヒュン  ヒュン  ヒュン  ヒュン


二つの回転翼を備えた巨大な『ヘリ』が、門の向こうに広がるヘリポートの中央に降りてくる。

ヘリの扉から現れる『純白』の衣装。

 
   「………!」


陽炎が舞い立つ中、『錏葉』のいる方へと速足で近づいてくる。

268黒畝 白波『ヴィデオ・ドローム』:2014/05/13(火) 23:03:06
>>267(朱雀院)

『黒畝』:
「ふふふふ……寒いわ。世間の風が寒い」

『朱雀院邸』の前に『段ボールハウス』が出現している。
そして、火に当たっている『闇医者』が一人。

>>266(錏葉)

『黒畝』:
「アンタ、ほどほどにしときなさいよ。
 別にやったっていいけど。どうせアレだし」

もしかしたら居ないかもしれないが、声はかけておいた。

269貝橋詩織『バベッツ・ギャスタブッド』:2014/05/13(火) 23:13:37
>>266-268
「ふぅ……」

降りるなり、軽く溜息を吐く。

く、クッソ疲れた……。
心労とか、そういう方向性で……・。寿命が削れたわ……。
(まあ、特に会話がなかったって言う点では、有難かったけどね)

って。

 「し」 「錏葉アアア――――ッッ!!」

  「てっテメーその『四肢』……」

     「正気かきさまは!?」

  「って、『ボス』!?」

  「う、うぐおお……」 「完全に後手後手に……」

こ、こんなことなら無理やりにでも動けば良かったかもしれないわ……。

270錏葉九郎『ザ・シグマ』:2014/05/13(火) 23:29:08
>>267-269
待った甲斐はあったかな?
それはこれから分かることだ。のそっと起き上がり、順繰りに見る。

「・・・」「ンン〜」

伸び。

      コキ☆

首を鳴らす。
まだ何も言ったりとかしたりはしない。何もせず立つだけ。

271朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/05/21(水) 22:22:43
>>268
>>269
>>270

 「  …  」

  「 それ、は 」

並べられた『手足』を、凝視する。
見覚えのある、腕の先端の『義指』を。

 
    ―――−‐

     グラリ
          ズ ッ

黒髪が、貝橋の肩にもたれるように、
操り糸の切れた人形の如く崩れかかる。

272黒畝 白波『ヴィデオ・ドローム』:2014/05/21(水) 22:33:24
>>269(貝橋)

「あら、貝橋。よく来たわね。さっさと話を締めたいのよね。
 そうしないと『連中』が来るだろうし。面倒くさいし……」

『闇医者』は疲れ顔だった。

>>270(錏葉)

「フン。アンタは何も言わなくていいわよ。
 というか『好きにやりなさい』。任せるわ」

          ザッ

並んで立った。

>>271(朱雀院)

「アンタがショック受けるのは勝手だけど。
 さっさと『賞金』取り下げなさいよね。

 『私闘』で手足もがれたぐらいで『逆恨み』は勘弁してくれない?
 アンタの手足ってワケじゃないでしょ? しかも『地乃』のよ」

「取り下げない、とことんやるって言うなら『対抗』するわ」

273貝橋詩織『バベッツ・ギャスタブッド』:2014/05/21(水) 22:51:08
>>271-272
「……見ての通り、組織間の抗争に発展しないうちに
 最小限で話を収めようとして、完全に後手後手になってる図って訳よ……」

ボスに肩を竦める。

   「それと、『連中』がライカさん達を差してるなら、『もう手遅れ』」
   「【The Outfit】は既に動き出してるわ」「さっき病院で出くわした」

と答え――、

      『ナオウン』 パッ

  「飲んでください」

『精神安定』の効能を持った『お茶』を発現、お嬢様に渡す。
これで、感情レベルを一旦ゼロに引き戻させる。
完全に『冷静』な状態で、一切の先入観なく話を進ませたいからね。

  「ボス」 「あのメイドさんは――『朱雀院』の人間よ」
  「私闘だろうと何だろうと……『組織の人間』が『組織の人間』を
   攻撃して、組織の長がそれを看過しなかった時点で、それは個人間の問題じゃない」

少なくとも、『大きな目』で見れば。
俗な言い方すれば、『面子』ってモンが関わって来るわけね。

 「『落としどころ』は、見つけないといけない」

そう言いながら、『お茶』を新たに発現。
『鎮痛作用』と、『血圧低下』の効能を備えたものを。

…………さて。
此処まで良いトコなしだからな〜〜あたし。
でも、あたしにも『通したい我儘』ってのは、あんのよね。

274錏葉九郎『ザ・シグマ』:2014/05/21(水) 23:21:02
>>271-273

チラ

黒畝、

   チラ  ジロ

朱雀院、貝橋、

 ス

手足。の順にもう一度見回し、

「オ前ラ」

「ヒマ人カ?」「イチイチイチイチ」「トロくセェ〜 ン ダ ヨ」「アト黙っテロクローネ」

群れるのは勝手だ。殺しにかかってくるのは非常に良い。飛び入りで横合いから殴られるのも大歓迎だ。
『うだうだ延々喋くるだけの駄弁り会はとてもムカつく』。
とりあえず横に立ったのを黙らせるために軽く(はないかも知れないが黒畝の能力なら死んだりはしない)顔面に裏拳を入れる。(破スBB

275錏葉九郎『ザ・シグマ』:2014/07/02(水) 23:31:16
>>all
「・・・」

なんか殴ったら(言い切り)本当に黙ってしまった黒畝を見てたら気まずくなった。

  ササ

すばやく手足を回収。執着があるわけではない。
死んだ人間が人の形をした肉なのと同じように、千切れた手足は使える棒だ。その程度の理由でしかない。
そういうわけで、基本的にこの場の誰にも追いつけない速度で去る。またね。

276黒畝 白波『ヴィデオ・ドローム』:2014/07/12(土) 02:02:50
>>274-275

    「だーかーらッ」

 「いつもジャレさせると、思うなッ」

       グァ  バンッ!

打たんとした箇所が『裂ける』。
鋭い牙を備えた『大咢』が開き、噛み止めた。

        バリバリ バリイッ

逃げるならば肉が大きく削げ、噛み千切られるだろう。


    「まったく野良犬がッ! 」

「そして『朱雀院』ッ!
  『賞金』に関しては取り下げてもらうわッ!」

「イイこと、寝たふりなんかじゃ誤魔化されないわよ……」

――――――――――――――――――――――――――――

『闇医者』はまくし立てた……以下のような内容をだ。

1.錏葉の賞金撤回
2.朱雀院との『連盟』の撤回
3.地乃の治療費はこちらが負ったので預からせてもらう。
  今後朱雀院には出入りさせない。

――――――――――――――――――――――――――――

「文句があるならダイナーに来なさい!
 そこで話を聞いてあげるわッ!」

               ザッ  ザッザッザッ

『黒畝』は去っていった……

277朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/07/23(水) 23:23:21
>>272-276

――  コクッ

「……かたじけのう存じます…貝橋様」

『お茶』を飲み込み、眼を開き立ち上がる。


「委細、承知いたしました」

  「『瀬洲』」

        シュン

傍らに控えていたメイドが走り去る。
明日の夜明けには、『錏葉』の名を記したビラは街中から一枚残らず消えているだろう。

『友』を失うことは、自分の軽率さの代償。
彼女の体が元に戻るのならば…誰かを憎み、追う故は無い。


「ご足労をおかけ致しました」

去る『黒畝』を見送り、空を見上げる。


――もう、『あの月』は出ていない。


   ―――――


  「 ………『あの方』を 」

    「 お迎えに参らなくては 」

278朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/01(土) 23:05:08
( 【場】『湖畔』 その2
   ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/netgame/9003/1371219014/874-893 より )


   「「「「 ようこそお越しくださいました、お客様 」」」」


      「「「「 お帰りなさいませ、お嬢様 」」」」


柔らかな光を投げかける壁の照明器具。
重力の存在さえ疑いたく思えるような、ふかふかの絨毯の敷き詰められた床。

朱雀院家を『当主の客人』として訪れた『ココロ』は、
邸宅の広い通路を、『エレナ』の背を斜め前方に見つつ進んでいる。

出会う『執事』や『メイド』姿の男女は、
みな機械のように無駄のない所作で通路の端へと動き、深々と一礼する。
映画か小説の世界に迷い込んだかのような空間。

歩いているというよりも、世界が勝手に背後へ流れているのでは―――そう思いそうになった時、
通路は、高性能の防音素材とみられる重々しい扉につきあたる。
開いた扉の端を片手で支えるメイドが、二人に一礼する。


  「 調律は出来ていて? 」

                「はい、お嬢様」


短いやり取りの後、扉の脇へ寄りココロに振り返るエレナ。


   「 どうぞ、ココロ様。 こちらでございます 」

279ココロ『RLP』:2014/11/01(土) 23:17:36
>>278

「ひ、ひぃぃ……」

(ひぃぃ……)

……未だ嘗てない状況だ。
変な汗が出る……

(こ、これがお金持ち……本物のお嬢様だというの……? なんなのこの絨毯……通路……)

(……あっ、汗なんてかくんじゃないわよ、私の身体……! 汚れるわ、絨毯とかが……)
(……も、もし、これ、汚したりしたら……私、一生奴隷みたいにされるかもしれない……)

ココロだって、その辺の同年代よりはずっと豊かに生きている……

しかし、これは。

「ごめんなさいごめんなさい……」

(違う、違うわよ、今の人はエレナさんに頭を下げたの、私なんかじゃないわ……)

あまりにも格が違う、といったところだろうか……?

視線を低い位置で忙しなく動かしながら、歩いて行く……
と。

(す……すごい扉だわ…………ここが、その……ぴ、ピアノの、部屋なのかしら?)

(ど、どんな内装でも、気をしっかり持つのよ……)

「……わ、私から、入るの? い、いいのかしら……?」

「…………は、はいる、わね。」

扉の中に、踏み入る。
いかにも不安そうな歩調、視線は彷徨っている。

280朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/02(日) 22:47:48
>>279
何もかもが想像さえ飛び越える世界に怯えつつも、震える足を前へ運ぶココロ。

  ―  ――  ――

扉をくぐった彼女の目に飛び込む、眩しい光。


その部屋の在り様は、ココロが知る『音楽室』の概念を粉々にするもの。
ちょっとした体育館ほどの高さの天井。
吸音壁特有の凹凸がまったく見て取れないなめらかな壁。
円形の部屋の半分近くを占める、継ぎ目のないガラス張りの窓。
その向こうに広がる、湖から海までを一望する風景。

床の中央に鎮座する、
秋の空と鱗雲を映し出す、磨き上げられたグランドピアノ。
――その近くに据えられた、黒壇のテーブルと2脚の椅子。

ピアノを嗜む者なら、「こんな場所で弾いてみたい」……一度はそう願うような場所。


 「 お運びを、あらためて感謝いたします。 ココロ様 」

 「 このお部屋に、お客様をご案内するのは、はじめてかもしれませんわ 」

背後からのエレナの声――
その響きは、室内が『音を奏で、聴く』ための理想的な環境にあることを、ココロの耳に伝えるだろう。

281ココロ『RLP』:2014/11/02(日) 23:10:48
>>280

「きゃ……」

(眩し……っ)

まさか外にでも繋がっているのだろうか、それとも――


「う、わ……」

            「なんなの、これ……すご……」

   わなわな…

指先が震える。
それが、全身に広がる……恐怖とかじゃ、ない。

へたりこむ。

(わ、わけ、わかんな……お金持ちって、こんな……こんなこと……)

愕然とした……そういう顔だ。
……エレナをちら、と見る。

(この人は、ずっとこの部屋で、ピアノを……弾いてた……?)

「……」

      「なん、だか……」

(…………)
「……ご、ごめんなさい。」

「わからない……わ……すっ、凄すぎて、私……こんなの、初めて。」

ここで、ピアノを弾かせてもらったら……もう、戻れないのでは?

そんな、おかしな事まで……考えてしまうほどに……

「エレナさん……って、本当に、ピアノが好きなのね……?」

「それだけは、凄く分かる」
「ピアノのための部屋……とても素敵だわ……ええ。」

なにか、格……スケールの、絶対的な違いは、感じざるを得ない、が。

「……外が見えるわ……」

282朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/03(月) 20:42:59
>>281
ココロと同じく、窓外に広がる空に目をやる。

>「エレナさん……って、本当に、ピアノが好きなのね……?」

   「 はい 」

   「 はじめてピアノに触れたのは……祖父が亡くなった時でございました 」

   「 それ以来 」

   「 悲しみ、寂しさ……心が乱れ、自分を見失いそうになった時、
     いつも、このピアノがわたくしの思いを受けとめ、支えてくれました 」


   ――――

なかば茫然自失としかけたココロの鼻腔を、芳しい紅茶の香りがくすぐる。
ティーポット、一対のカップ、瑞々しいフルーツに彩られた数種のケーキを、
二人のメイドが、ワゴンからてきぱきとテーブルの上に並べてゆく。


   「 お耳汚しかとは存じますが 」

   「 お茶とご一緒に 」

   「 一曲、お付き合いをいただけますかしら? 」


メイドの一人が、ココロに近い側の椅子を引き、ココロが掛けやすい角度に動かす。

283ココロ『RLP』:2014/11/04(火) 00:05:42
>>282

「……」

「……そう、なのね……ごめんなさい、私……軽率だったわ。」

(お金持ちだからって、何もかも上手くいってるわけじゃない……)

(……そりゃ、そうだわ。)
(なのに私ったら……嫉妬みたいな事ばっかり考えて……本当に浅はかな女よ。)

(……)
(…………で、でも……この部屋はちょっと凄すぎるわよ……)

と、嗅覚が香りをキャッチする。
そちらを向いた。

(……こ、これって、アフタヌーンティーというものかしら……お、おっしゃれ……)

(や、や、やっぱり、お嬢様感、ほんとうにすごいわ……この人……この家……)
(夢物語みたいに……は、白馬の王子様だって出て来かねないわ……どうしましょ……!)

いろいろと多分『違う』のだが、妄想たくましい。

……ともかく。

「あ、ご、ごめんなさいね。」

ちょっと申し訳なさげに、椅子に腰掛ける。
そして、落ち着かない様子で。

「……ええ……是非。」
「み、耳汚しなんて、とんでもないわ……聞かせて下さる?」

(なんだか私まで、いつもよりお嬢様言葉だわ。)

エレナに笑みかける。

284朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/04(火) 22:57:10
>>283

  コクッ…

心地よい温かさがココロの喉を滑り下りていく。
それを見計らうように、一礼し、鍵盤の蓋を上げるエレナ。


ttps://www.youtube.com/watch?v=bKwf_x4XcYk

  ―――

音には、若干の『荒削り』さが感じられる。
他人の前で演奏することにあまり慣れていないのかもしれない。

ただ、曲が進むうちに、
エレナの表情に現れる変化を、ココロは感じ取る。
そこには、優美・優雅な匠の手になる『人形』ではなく、
頬を桜色の情熱に染め、ひたむきに『表現』しようとする、紛う事なき『人間』たる少女の姿がある。
――表現の手段としてのピアノを知るココロには、そのひたむきさは確かに『伝わった』。

     ―――――

曲が終わる。
ピアノチェアから立ち上がり、
まだ頬をかすかに上記させたまま、ココロの瞳をしっかりと見つめ、再び一礼するエレナ。

 「 ……お粗末でございました 」

285ココロ『RLP』:2014/11/04(火) 23:36:11
>>284

      「……ふう……」

   コト…

カップを置く。
内側から温まると、心まで少し落ち着く気がする。


「……」

静かに、エレナの演奏を聴く。
目を閉じたりは、しない。

エレナの演奏は、音だけでなく、その総てを感じるべきだと思った。

演奏を終えた。
エレナと目が合う。一礼に、小さく礼を返す。

「…………」

      ぱち ぱち ぱち ぱち

少し、拍手する。

「……素敵でした。」
「『上手』なだけが、ピアノの良さじゃあない……」

「貴女の演奏は、完ぺきでは無かったけれど……とても、響いたわ。」

「……」
「…………な、なんて。ちょっと気取ったコメントをしてみちゃったりして……ね、ご、ごめんなさい、変だわ私ったら」

「ち、違うの、今は違うわ。忘れてちょうだい……で、でも、良かったのよ、それは……良かったけど、違うのよ……ね?」

取り繕いつつ、少し多く、紅茶を喉に通す。

(落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃいけない……わ。ええ。)

「わ、私も何か弾こうかしら!?」

咄嗟に提案する。
そして、おずおずと立ち上がる。その目は錯乱気味に渦巻いている。

286朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/05(水) 00:26:32
>>285

  「 ……ありがとう存じます 」

それは、心からの感謝。
自分の未熟さを、歯に衣着せることなく指摘してくれた方への。
祖父が世を去って以来、この家の中に、自分に対してそうしてくれる人は、居なかった。


  「 はい 」

  「 拝聴させていただきます 」

ココロの向かい側の椅子に腰を下ろし、膝の上で掌を重ね、聴く態勢をとる。

287ココロ『RLP』:2014/11/05(水) 01:05:16
>>286

「ち、違……」

    「…………」

何か思ったのか、目をぱち、ぱちと二回ほど。

「いえ、ごめんなさい。でも、お礼なんて、いいのよ……」

「……」

エレナのピアノに向かい合う。
一礼して、座る。

            『ポロン♪』       『ポロ』 『ピロ』

確かめるように運指し音を鳴らす。

      『ポロン』

(私は……ピアノを弾く人間)
(観客は一人)

(一人のために……全力で……)

「……」

(ttp://youtube.com/watch?v=-uVmGm9yiGg)

 ―――

演奏の中の水溜 意は、平静だ。
同世代では、彼女の腕は一級の物だろう……

エレナに聴かせるための音。
少しでも、響かせる……演奏に、打ち込む。

エレナほど、『直向き』ではないけれど……人間の弾く、ピアノの音。

 ―――

      『トォーーン……』

「……」

弾き終えた。
立ち上がり、一礼する……

「ありがとう。聴いてくれて……」

288朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/06(木) 23:24:01
>>287

パチパチパチパチパチパチパチ


演奏を終えたココロの耳に飛び込む、拍手。
おざなりな社交辞令ではない、全力の。


 「 ………やはり…… そうでしたのね 」

  「 湖で聞こえてきた、あの旋律 」

   「 弾いていらっしゃったのは…… ココロ様 」
                                   パチパチパチパチ

頬を伝う光の筋を拭うこともせず、
椅子から立ち上がり、一心に掌を打ち鳴らし続けるエレナ。


  ―――   ―――   ―――


緊張を続けていた脳に、ケーキの爽やかな甘味が快く染みこむ。
テーブルをはさみ、お互いの事を語り合う二人の少女。
張りつめた空気は、いつしか穏やかにほどけていく。


  「 ……ココロ様 」

  「 本日お会いしたばかりで、不躾とは重々承知しておりますが 」

ふと、改まった口調に戻り、エレナが切り出す。


  「 お願いしたいことが、ございます 」

289ココロ『RLP』:2014/11/07(金) 00:34:17
>>288

「えっ……あ……」

            「や、やだ、き……聞かれてたの……? 恥ずかしいわ、なんだか」

(……聴こえるの? この人も?)
(……あんまり驚かないわ。毒されてるわ、私。)

「……あの、その」「ええと」

「ひゃっ、な、涙……なんて、そんな……私、私……」

      わなわな…

何かしらの感極まる物に包まれる。
ココロは……充実していた。

「うぁ……」

溢れ出すように、涙が零れる。

  ―――   ―――   ―――


(私ったら、泣きグセついたのかしら……?)


「……」 モッ モッ
「ん」   ゴクン

やや慌てて、咀嚼していたケーキを飲み込む。

「……ご、ごめんなさいね。それでええと……何かしら?」

不安げな様子は、薄い。
慣れて来た……らしい。

「え……お願いごと? 私……に?」
「ええと……?」

検討もつかない、といった様子だ。

290朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/07(金) 23:26:10
>>289

 「 わたくしの… 」

 「 『先生』に、なっていただけませんか? 」

 「 ピアノを、教えていただきたいのです 」

 「 お時間のあるときだけで結構です 」


あくまで真摯な瞳で、ココロの碧い瞳を真っすぐに見つめて。


 「 いままで、わたくしは、
   自分自身を励ますために、ピアノを弾いておりました 」

 「 ですが…… 」

 「 ココロ様のご演奏を耳にして、初めて、思ったのです 」

 「 ココロ様のように、
   『聴く方の心』に『何かを残せる』演奏が、できるようになりたい……と 」


立ち上がり、ココロの前へ歩み寄り、
黒髪の先を両肩から床へと滑らせ、深く、一礼。

 
 「 お願い申し上げます 」

 「 ココロ様 」

291ココロ『RLP』:2014/11/07(金) 23:49:28
>>290

「……えっ?」
「え、えぇっ!? せ、せんせ……いやいやいやいや、ない、無いわっ、だ、だって、そんな……ば、罰当たりだわ……」

「私、まだまだひよっこよ、そ……それこそ、せ、せ、先生についてる身よ?」
「ひ……ひとに、教えるなんて、とてもとても……だわ……お、怒られちゃうわ……いっぱい……お母さんとか……」

緑の瞳が忙しなく動く……感情の色は『嫌』ではなく、『困惑』だ。

まさか、先生とは。
ココロの予想の遥か上だ……

(じょ……冗談、とかじゃ、ないのよね……? 本気なの?)

「わ……私なんかより、百倍は上手い人だっているわ……」

「それこそ、感動させるのだって」
「わ、私なんか、全然……そんなこと……だって……」

俯き加減に、ぶつぶつと続ける。
内容は判別しづらいが、卑下の嵐のようだ。

「……」
「…………」

「……どうしても? ど、ど、どうしても……なの?」
「教わりたい……の?」

じ、っと、エレナを見つめる……

292朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/08(土) 19:45:07
>>291
『世界的ピアニスト』と呼ばれる人々の演奏は、今までに幾度も耳にしてきた。
しかし、
『この方』の演奏ほどに、魂の一滴までが『揺さぶられる』音楽は、かつて無かった。

今日、自分がこの方と出逢えたことが、もしも何ものかの導きであったとしたら、
その恩に報いることのできる者に、自分はなりたい。

非礼、我が儘との謗りは、甘んじて受ける。
この『出逢い』を、のがさぬために。

一度顔を上げ、
さきほどよりも近い距離から、ココロの瞳をしっかり見つめ返す。


  「 はい 」

  「 ココロ様でなければ、駄目なのでございます 」


――――真っすぐに。

293ココロ『RLP』:2014/11/08(土) 23:47:23
>>292

「…………う、うぅ……」

(そんな目で見ないでよぉ……)

「……」

         「……で、でも……」

小さく俯く……

「…………」

「……で、も……私……本当に、たまにしか来れないわ。」

「…………」
「……ごめんなさい、あ、貴女がそれで良いって、言ったのよね。」

「……」

         「…………分かった、わ。あ、貴女が、そう言うんだもの」

「そんな顔されたら……断れないわ、私……」

視線を合わせる。
……エレナほど、真っすぐに、ではないが……

294朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/09(日) 01:20:54
>>293

パ ァ ァ

  「 ありがとう存じます! 」

少女の頬に、薔薇色の歓びが溢れる。


  「 当家では、親交をお結びくださった方に、
    『歌』をお贈りする習わしがございますの 」

  「 お聞きいただけますか? 」

   − − − −

 ttps://www.youtube.com/watch?v=LDiX4QJL-8U
 
   − − − −

凛と澄んだ歌声が一段落すると、
それを見計らうように、メイドの一人がココロに恭しく銀の盆を捧げる。
――その上には、湖畔でエレナが使っていたのと同じ、
『桜貝』を連想させる愛らしい形の器具が載っている。

  「 お越しになる際には、そちらでご連絡くださいませ 」

  「 お耳に当てて、『これから行く』とお伝えいただければ、 
    お迎えの準備をしてお待ちいたします 」

  「 もちろん、
    このお部屋とピアノは、いつなりとご随意にお使いいただけますよう、家の者に申し伝えます 」

295ココロ『RLP』:2014/11/09(日) 01:32:51
>>294

「そ、そ、そ、そんなに、喜ばないでちょうだい……なんだか、て、照れるわ。うふふ……」

困惑を含んだ笑顔で応じる。
……残りは、いい感情だ。

……と。

「歌……ええ、聞くわ。」

なんとなく、目を閉じる。
耳を澄ませる。




・・・目を、開ける。

「……」

      「……ありがとう。いい歌、だわ。」

と、微笑む。
そこに、銀の盆。『桜貝』。

「……これ、貴女の……」
「…………」

「ええ、分かったわ。大切に、するわ。きっとよ。それで、ちゃんと使うわ……」

「でも……こんないいお部屋が使えるなんて、何だか夢みたいね……うふふ。」

桜貝をしまいこむ。これは、かなり大切なもらいものだ……

296朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/09(日) 01:48:21
>>295
 「 わたくしも……夢のようでございます 」

 「 『出逢い』とは、こんなにも素敵なものですのね 」

ココロの笑顔に誘われるように、瞼を笑みに細めて。

 「 今後とも、よろしくお願いいたします 」

 「 ココロ様 」


穏やかに。
あくまで、穏やかに。

窓の外の空が、かすかな夕陽の色を帯び、時を知らせるまで、
二人の少女の語らいは続いてゆく。


  ココロ『RLP』 ⇒ 朱雀院 エレナ@当主の『友人』と認定

              朱雀院家『ピアノ室』に自由に出入り可能

297朱雀院 エレナ『ブラインド・フェイス』@当主:2014/11/09(日) 02:25:44
>>296一部訂正。

ココロ『RLP』 ⇒ 朱雀院 エレナ@当主の『友人』と認定

              朱雀院家『ピアノ室』に自由に出入り可能

              + 朱雀院家との『ホットライン』入手


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