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酒井智史池っち店長説

960774メセタさん (ワッチョイ 8828-6781):2022/02/03(木) 23:23:41 ID:iIjuvVGo00
大豆の一大産地である追田の地
この地には節分にまつわる有名な民話が残されている


かつて追田の地には人里を荒らして回る「卑女鬼(ひめき)」という名の邪悪な鬼が居た

卑女鬼は各地で悪逆非道の限りを尽くし、その名は追田の地で知らぬ者がおらぬ程になっていた
卑女鬼を放逐した鬼の里の長は心を痛め、遂にはこの堕落しきった邪鬼を討伐せんと挙兵した

だが卑女鬼は既に以前の阿呆で間抜けの出来損ないではなかった
行く先々で人々を苦しめ、その怨嵯を啜り、苦しみを食らい、悲しみで喉を潤し、常世の穢れの塊そのものとまで成り果てていた

鬼の里の鬼達は修練と研鑚を重ね、遂には鬼神、すなわち神格にまで上り詰めた存在である
その力は強大無比であるが、「穢れ」に対しては極めて脆弱であり、卑女鬼との相性は最悪であった
それでも鬼神衆は人々の為に戦う決意揺るがず、士気は高かった


一方で、鬼の挙兵を察知した卑女鬼は迎え撃つ準備に取り掛かっていた
卑女鬼は全身を激しく掻き毟るとそこで出た垢を集め、思い切り圧縮して牌の形にした
その穢れた「腐苦垢(ふくあか)」で作った牌に妖力を注ぎ込むとやがて受肉し、卑女鬼に似たおぞましい邪鬼の姿となった
これこそが卑女鬼が鬼神を滅するべく生み出した「滅鬼牌(めきぱい)」である
卑女鬼はこの「不苦垢の滅鬼牌(ふくあかのめきぱい)」を大量に作り、鬼神の軍勢を待ち構えた


合戦当日、おびただしい数の滅鬼牌のはるか後方、丘の上の本陣に鎮座する卑女鬼は勝利を確信し、薄笑いを浮かべていた
やがてはるか前方の丘陵の先より鬼神の旗印が見えてくる・・・次の瞬間、卑女鬼のにやけ顔は戦慄に変わった
旗印は鬼神勢のものだけではなかったのだ
武勇で名を馳せる僧院のものから退魔師団、陰陽衆、近隣の侍衆の家紋まで見える

彼らの心は一つ、対する卑女鬼は木偶人形に囲まれたった独り
己が惨めさを認められず逆上した卑女鬼は全ての滅鬼牌に突撃を命じた

だが鬼神連合は動じず迅速かつ的確に陣を展開する
まず侍衆が最前線で敵の突撃を止めるための壁となり、陰陽衆と退魔師が浄化の法力を込めつつ升に大豆を注いでゆき、それを受け取った僧兵団が次々と前線に突出する
僧兵が「滅鬼は外」と言霊を乗せて豆まきを行うと、滅鬼牌を覆っていた穢れた瘴気が瞬く間に祓われてゆく
それを見るや「これ好機」と言わんが先か、鬼神衆が迅雷の如き速さで飛び出してゆき、滅鬼牌を次々と破砕していった

戦いは一方的なものとなった
日の出と同時に始まった大戦だが正午を回った頃には既に大勢は決していた
それから半刻ほど過ぎる頃、卑女鬼の断末魔が平野の全域まで木霊した

もはや卑女鬼には体を動かす力すら残されていなかった

卑女鬼は恨みを込め、「暗地綺所(あんちきっしょ)」(美しい場所にも暗き影がある)と吐き捨てて消滅した


こうして卑女鬼は滅びた
だが人々の心の暗き影が大きく育った時、再び卑女鬼は蘇り災厄をもたらすであろう
故に、年に一度、節分の日に大豆を撒き、災いを遠ざける願を掛ける風習が生まれたという




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