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ホモ文章コピペ保管所

100管理ホモ★:2016/10/23(日) 12:51:03 ID:???0
第七章 双胴の巨鶴

柱島に碇泊する瑞翔に塚原が将旗を翻したのは、十一月初めのことだった。
基準排水量五万二〇〇〇トン、速力三四ノット、搭載機常用百十四機、補用二十四機の巨大な浮かべる要塞が、ついに完成したのである。
「いやあ、こうして飛行甲板に上がってみると、まるで飛行場ですな」
大石が驚きの声を上げる。塚原以下一航艦司令部は、この日初めて瑞翔の上部飛行甲板に足を踏み入れたのだ。
(確かに広い。これなら技量の低い搭乗員でも、着艦は容易だろう)
飛行場というより、運動場に近い感覚を覚える。塚原は全体を見回すと、中央甲板で熱心に足元を見つめている源田に歩み寄った。
「どんな感じかね?」
「伸縮継手がところ狭しと埋め込まれています。裏側がビームになっているので、人間が踏んだ位では沈んだりはしませんが、これなら力を逃せるので、荒天時の激しい動揺にも十分に対応できると思います」
「そうか」
塚原も源田と並び、しゃがんで表面の様子を確かめた。この中央甲板だけが、まるでアコーディオンの蛇腹のような構造となっている。
「飛行機の長さや運用についてはどうだろう?一応、福田の設計した通りになっているようだが」
塚原は艦首を向いた。
「そうですね…」
源田は上部飛行甲板を前のほうに向かって歩いていく。やはり彼ほどの飛行機乗りになると、具体的な数字よりも感覚が物を言うのだろう。塚原も後からついていった。
二人は前縁の部分で立ち止まると、崖の上から見下ろすように、中部飛行甲板と下部飛行甲板を眼下に見た。
「これだけの長さと幅があれば十分です。上から艦戦、艦爆、艦攻と配置すれば、一斉発艦も問題なくできるでしょう」
源田は太鼓判を押した。
「リフトは随分と大きくなったようですが、スピードが気になります」
塚原と源田は、今度は飛行甲板後部に一基だけ設けられた大型リフトへ歩いていった。
「赤城の1.5倍はありそうだな」
「ええ、むしろよくこのサイズで収まったというべきでしょう」
一度に二機を昇降できるよう設計された大型リフトは、翼が触れ合わないよう、一機を前向きに、もう一機を横向きに載せることになっている。
「飛行長、我々が乗ったら、リフトを下部飛行甲板まで下げてくれ」
塚原は、近くにいた飛行長に頼んだ。
「わかりました」
飛行長はリフトを操作するため、発着艦指揮所へ飛んでいった。塚原と源田が乗ると、大型リフトはチン、チンと警報を鳴らしながら、下へと降りていく。
「結構速いじゃないか」
「ええ、これなら十分ですよ。加賀のリフトは遅かったですからね」
二人を乗せたリフトは中部飛行甲板を突き抜け、その下の下部飛行甲板に到達して止まった。
「おう、これは広いな…」
トップヘビーになるのを避けるために、天井は低く抑えられているものの、その広さは空母の格納庫というより、飛行場の大型格納庫を思わせた。
シャッターの開けられた艦首方向からは、眩いばかりに陽光が降り注いでくる。
「特に開口部が広いのがありがたいですね。赤城や加賀は狭すぎて、大型の艦攻一機分の幅しかありませんでしたから、合成風速を得るには不都合でしたので」
源田も十分に満足している様子だ。格納庫後部にもシャッターが設けられており、発艦時には解放して、風が後方に抜けるようになっている。
「これなら飛行甲板として申し分あるまい」
二人はがらんどうの格納庫を、艦首に向かってゆっくり歩いていった。
開口部は真下に立つとますます大きく見え、天井には見たこともないような巨大なシャッターが巻き上げられていた。
「いや、これは本当に頼もしい」


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