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おんJ艦これ部SSの会
1
:
名無しのおんJ提督
:2015/10/29(木) 13:12:22 ID:RHlKpXUc
えすえすをとうかするところ
320
:
名無しのおんJ提督
:2016/05/14(土) 07:37:31 ID:AqIQMXq.
【悲報】天皇陛下、アニメを見ていたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww【画像あり】
http://waranews.livedoor.biz/archives/2468012.html
321
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/14(土) 16:08:47 ID:XfcmGDXI
>>319
ワイはやってないで
まさにここでしか活動してへん
322
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:37:30 ID:XfcmGDXI
スレにて予告してた、提督性転換SSです
323
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:38:05 ID:XfcmGDXI
大淀「提督ー?どちらにいらっしゃいますかー?」
大淀の声が鎮守府内に響く。
執務室には膨大な書類の山、港には待機したままの遠征組、潜水艦組も出撃命令を待っている。
仕事は山積みなのに、そこに提督の姿はない。
普段業務から逃げる事などない彼が姿を消している現状に、大淀は困惑を隠せずにいた。
ひとしきり鎮守府内を見回っても結局提督を見つける事ができず、大淀は思案に暮れる。
もしかしたら、深海のヤツらに身柄を拘束されたのかもしれない。
既に暗殺されているかもしれない。
最悪の想像をなんとか振り払いつつ、もう一度鎮守府内を回ろうと廊下へと出た、その時。
???「あっ、おーい、大淀ぉー!」
大淀「?」
聞き慣れない声が、大淀の耳に届いた。
振り向くと、そこには妙な顔つきの明石と、一人の少女が立っていた。
無論、明石に関しては大淀もよく知っている。ルームメイトで、仲良くしている間柄だ。
しかし、その隣の少女には見覚えがない。
明石と比べると随分小柄で、見た感じの年頃は駆逐艦娘ぐらいか。着ている服はおそらく支給品のブラウスだろう。
大淀「新しい駆逐艦の子ですか?」
???「違う!俺だよ俺!」
大淀「えっと……」
反応に困った大淀が、明石の方を見る。
明石は一瞬気まずそうに俯いたが、すぐに顔を上げた。
明石「えっと、驚かないで聞いてほしいんだけど……」
大淀「……?」
明石「この子……実は、提督なんだよね」
324
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:38:45 ID:XfcmGDXI
大淀「えー、つまり、明石さん製作のレベルリセット薬を混ぜた牛丼を食べた提督が、何故か女の子になった……と?」
明石「なんでだろねぇ」
大淀「いや、笑い事じゃないですよ、明石さん」
提督「そうだよ(便乗)」
明石「まぁ、薬に関してはまだ試作品だったから、一日もすれば効能は消えて元通りになる……とは思うけど」
大淀「その間はこの姿のままでいてもらわなければならないんですね」
むむぅと唸りながら、大淀は視線を提督に向けた。
たしかに提督だと言われれば、やや気だるそうな目付きや動きの癖などにその証拠は散見される。
しかし癖のない綺麗な髪、艶のある白い肌、そして何よりその可憐な顔立ちにはまるで提督の面影がない。
正直、大淀も驚く程の美少女だ。
とはいえこのまま普段の業務に就いても、他の艦娘への説明の手間や提督自身の仕事量を考えればキツい。
他の鎮守府に女性提督もいない事はないが、その殆どは特別鍛えて体力に自信のある人達ばかりだ。
一見したところ着任したての駆逐艦娘が如き非力な少女の姿である今の提督に、仕事を任せるのは酷であろう。
熟考の末、大淀はぽんと手を打った。
大淀「ではこうしましょう。今日は私が提督の仕事を代わりにやります」
提督「それはありがたい」
明石「私も手伝います!」
大淀「明石さんは薬品の管理を怠った罰として私の代わりに鎮守府内の掃除をお願いします」
明石「えー」
提督「残念でもなく当然」
大淀「それで、その間提督は『見学に来た余所の鎮守府の艦娘』として振る舞って頂ければ。見つかっても問題はないし、不自然ではないかと」
提督「なるほど(HMKZ)」
大淀「あと今の提督は女の子である事を忘れないでください。というか、猛虎弁を使わないでください」
提督「えぇ…わ、わかったですわ」
大淀「……ごめんなさい、無理しなくていいです」
325
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:39:35 ID:XfcmGDXI
斯くして、期せずして一日自由となった提督は、鎮守府内をぶらぶらと散策する事にした。
自分の身が女の子になった事。
それはたしかに提督自身も一度考えてみた事ではあるのだが、実際唐突に女性化すると色々と面倒だ。
いつもと違う歩幅。いつもと違う景色。
感覚も、感触も、全てが新鮮である。
その奇妙な不一致感に苛まれながらも、提督は食堂へと到着した。
そこにいたのは、
長門「ん?」
提督「あっ…」
長門だった。
その瞬間、提督の背筋にぞわっと悪寒が走る。
その理由を、提督自身もよく知っていた。
ながもん「き、きみは…? 新しい子か?」
提督「あ、えっと…」
ながもん「駆逐艦だな、そうだな、そうに違いない。うん」
提督「あー、実は、その…」
ながもん「かわいいな、きみは。そうだ、ちょっとこっちへ…」
提督「失礼します!」
慌てて踵を返す。
そのまま、提督は逃げるように食堂を後にした。
ながもん「あっ……くっ、またかわいい子を逃がしてしまった……しかしあの怯えた表情も、なかなか……」
陸奥「あなた、いい加減その性癖治した方がいいわよ?」
長門「おうっ!? い、いたのか、陸奥」
陸奥「さっきからいたわよ」
326
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:40:20 ID:XfcmGDXI
提督「ゼェ…ハァ…」
食堂から逃げ出した提督は、とりあえず外に出た。
そこではたくさんの艦娘たちが鍛錬に励んでいたり、或いは遊んだりしている。
皆、既に大淀からの通達があったようで、特に訝しむような視線を『彼女』に送る者はいなかった。
そしてその間にも、多くの艦娘たちが『初めて会う少女』に声を掛けてきた。
摩耶「おう!隣の鎮守府の子ってあんたか!よろしくな!」
鳥海「あら、かわいい子。よろしくね」
提督「あ、うん……よろしく」
龍驤「提督はなにしてるのかねぇ……あっ、おはよ」
大鳳「もう、そんな事言わないであげてくださいよ……あら、おはようございます」
提督「あはは……うん、おはよう…ございます」
川内「あっ、きみかー。うん、噂通りの美人さんだね!」
神通「もう、姉さん…ごめんなさい、よろしくお願いしますね」
那珂「今度那珂ちゃんステージも見てねー!」
提督「お、おう…」
響「доброе утро…ところで、鳳翔さんって知ってるよね?」
提督「? …え、まぁ、知ってますけど…」
金剛「この手牌ならまずドラ牌即鳴きに決まってマース!…Oh、グッモーニン!」
比叡「いえいえ!これはホンイツを目指します!…あっ、おはようございます!」
霧島「データによるとこのドラ牌は片方切ってしまった方が…あら、ようこそ」
榛名「…」ぺこり
提督「…(まーた麻雀やってんのか)」
青葉「ども、恐縮です!うちの鎮守府について、一言感想いいですか?」
鬼怒「変態カメラマンがいるって言っていいんだよー」
提督「え、えっと、みんないい人です、はい」
初月「よろしく。一緒にらぁめんを食べに行かないか?」
提督「あー、また今度、じっくりと…」
島風「おっそーい!」
天津風「待ちなさーい!」
提督「仲良いなぁ」
提督も、次第にこの状況を楽しめるようになってきていた。
今までとは違う艦娘たちの対応、言動、表情。
それらを観察するのも悪くないと思えるようになっていたのである。
もしかしたら、提督の知らない一面があるのかもしれない。
艦娘たちの素顔に近い、そんな景色。
新鮮で、そしてとても嬉しい事だった。
そんな中で。
時雨「あれ、きみが噂の子だね?」
提督「あ……う、うん」
時雨「ボクは時雨。よろしく」
提督「……よろしく、です」
秘書艦、時雨。
この鎮守府屈指の古参、水雷戦隊の一番槍、夜戦のエース。
そして、数少ないケッコン艦の一人、それが彼女だ。
327
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:41:10 ID:XfcmGDXI
時雨「わざわざお隣から来てもらって申し訳ないんだけど、大淀さん曰く今日一日提督がいないらしいんだ。代わりにボクが案内しろ、って話だったんだけど」
提督「あー…」
なるほど、と提督は心の中で合点がいった。
この鎮守府の中で、信頼して客人を任せられる艦娘といえばこの時雨を置いて他にない。
それだけでなく、もし仮に『少女』の正体がバレても大きな問題には繋がりにくく、且つちゃんと面倒を見てくれる。
そんな人物を近くに置いておく事で安心させようという大淀の考えらしい。
実際、この状況で時雨に会えたのはかなり大きい。
安心感も桁違いだ。
時雨「案内、って言ってもね。工廠の中は一応秘密にしなきゃいけないし、提督がいないのに執務室に通しても意味ないし……」
提督「……」
別にどっちも問題はないのだが。
時雨「外にいるのも辛いだろうし、ボクの部屋に来るかい?」
提督「えっ」
時雨「お茶ぐらいなら出せるよ」
ここで突然の提案に、思わず提督は面食らう。
そういえば、時雨の部屋に入る事なんてあまりない。
艦娘側から誘われない限り、できるだけプライベートに首を突っ込まないようにしている提督にとって、とても希少な体験である。
また、普段彼女がどういう生活を送っているのかにも興味があった。
提督「じゃあ……お言葉に甘えて」
時雨「うん、じゃあ一緒に行こうか」
そう言って、時雨は手を差し出してきた。
なんとなく気恥ずかしくなりながらも、提督はその手を握り返す。
いつもより大きな時雨の手が、温かく提督の手を包んだ。
328
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:41:54 ID:XfcmGDXI
時雨「お茶、どうかな。口に合う?」
提督「……うん、おいしい」
時雨の部屋は、きちんと整っていた。
武功艦であり秘書艦である彼女には個室を与えているのだが、特に内装を変える事もなく、悪く言えば殺風景である。
しかしそれがまた時雨らしいと言えばらしい光景でもあった。
提督は目の前に置かれたマグカップのお茶に口をつけながら、そんな彼女の部屋を見回した。
時雨「そのお茶、すごくおいしいよね。ボクも好きなんだ」
提督「……」
ふと、提督は机上に置かれた茶筒に目をやった。
それはかつて時雨が敵の拠点を攻撃するという大事な任務でMVPを取った時、褒賞として提督がプレゼントした物だ。
時雨の好みに合わせて、尚且つ提督自身も美味しいと思ったからそのお茶を選んだのであり、口に合わないわけはない。
ちなみにその戦闘では傷付いた仲間を庇いながら奮戦し、遂には敵中枢を破壊、鎮守府近海から南方までの制海権を奪取するに至った。
彼女の輝かしい武功からすれば微々たる褒賞かもしれないが、それでも時雨は喜んでくれた。
そんな時雨の優しさと強さが、彼女を最初のケッコン艦に選ぶに至る決定打だったのである。
しかし今提督の目の前にいる時雨は、あの時の鬼の如く激戦を繰り広げた猛者とは思えない、ごく普通の少女だ。
その優しげな表情には、どこか母性というか、包容力さえ感じる。
時雨「ん、どうしたの?」
提督「! い、いや、なんでもない…です」
いつの間にか私服に着替えていた時雨が微笑を浮かべる。
その顔に、思わず提督の顔も赤らんだ。
329
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:43:19 ID:XfcmGDXI
時雨「んー、暇だね」
提督「うん…」
時雨「提督、どこ行ったのかな」
なんとなく窓の外を眺める時雨。
その横顔を見てる内に、提督はふと思い出す。
常々訊きたかったある質問を投げかけてみた。
提督「ねぇ、時雨」
時雨「うん?」
提督「提督の事、どう思ってる?」
あまりに唐突な質問だと、自分でも思う。
時雨も、その問いかけに一瞬きょとんとした顔を浮かべていたが、すぐに笑顔に戻った。
時雨「そうだね……いっつも眠たそうで、だるそうで、無口だなって思うよ」
提督「……」
だろうな、と提督も思う。
実際、ケッコンしているとはいえ普段時雨と会話する事は滅多にない。
忙しいのもあるが、互いに沈黙を気にするような性格ではないからだ。
それに甘んじていると言えばそれまでだが、それでも彼女は全てを理解してくれていると思っていた。
しかし、ある時ふと思った。
何も言わないのは、何も思っていないのと同じなのではないか、と。
一歩踏み出さなければ、信頼を維持する事はできない。
今の自分を思えば、彼女にそう評されるのも仕方のない事だろう。
そう考え、提督は俯く。
時雨「けどね」
提督「?」
時雨は、ふふっと笑うと、優しい声で続ける。
時雨「ボクはそんな提督を見てるだけで、とても楽しいんだ」
提督「楽しい…?」
時雨「うん。仕事熱心だけど、いつもボクの事気に掛けてくれているのはわかるからね」
提督「そう、なの?」
時雨「勿論だよ。そのお茶だって、提督がボクの為に選んでくれたんだ」
その言葉に、提督は思わず驚く。
たしかにそうだ。
仕事に集中していても、常に時雨の事を頭の片隅で考えている。
今自分が立てている作戦を、時雨はどう思うだろうか。他の子で失敗した作戦を、時雨ならどうするだろうか。大規模な戦闘に臨む時、時雨ならどう戦うだろうか。
『時雨なら』
それは、ある意味純粋な信頼だ。
無論他の艦娘を信頼していないわけではないが、それでも彼女への信頼は他の子とは一線を画している。
そして、その想いがちゃんと伝わっている…。
時雨「それにね。ボクが辛い時も、悲しい時も、いつも傍にいてくれる。こんなに安心する事ってないと思うんだ」
提督「……」
時雨「……ごめん、難しかったね」
提督「うん」
時雨「まぁ…素直に言えばね。大好きだよ、提督の事」
屈託のない笑顔で、時雨はそう言った。
提督も、思わず顔が赤らむ。
彼女に気付かれないようにするのが精いっぱいだった。
その日は結局夜まで時雨の部屋で過ごし、そして時雨が寝た頃にそっと部屋を出て、執務室へと戻った。
330
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:43:52 ID:XfcmGDXI
――翌朝。
提督「あぁ……戻ったわ」
大淀「よかったです。昨日の仕事は私が全て片付けましたので、今日からまたしっかりお願いしますね」
提督「ん」
明石「あっ、あと今回のレベルリセット薬ですけど、今後の運用は…」
提督「使うわけないだろ、アホか」
明石「えー」
その時、執務室の扉が叩かれた。
扉を開けて入ってきたのは、想像通り、時雨だった。
時雨「あっ、提督……戻ってたんですね」
提督「あぁ、ただいま」
時雨「おかえりなさい……あの、隣の鎮守府から来たっていう女の子、見ませんでした?」
提督「……」
大淀「……あぁ、えっと、今朝方隣の鎮守府に戻られましたよ。時雨さんに、ありがとうとの事でした」
時雨「そっか…」しゅん
時雨は目に見えて落ち込んでいる。
提督と大淀も、一瞬目を合わせる。
提督「……どうした、その子に何か用があったのか?」
時雨「ん、ちょっと、ね。言いたい事があったんだけど」
大淀「よろしければ、今度私がお隣に出向く時にお伝えしますよ?」
提督「……おい」
時雨「そう?それじゃ…ちょっと」
そう言うと、時雨は大淀を手招きする。
近づいた大淀に、時雨は耳元で何かを囁いた。
そして、一瞬提督の方を見ると、
時雨「……」
時雨は、急ぎ足で執務室を後にした。
提督「あっ…」
大淀「ふふっ♪」
提督「……なんだよ、大淀。時雨のやつ、なんて言ったんだ?」
大淀「ふふ、それはですね、」
大淀「『自分の気持ちに改めて気づかされたよ。ありがとう』ですって」
提督「……ったく…」
提督も、思わず苦笑する。
その表情を知る由もなく、廊下を走る時雨も笑顔を浮かべていた。
(完)
331
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/27(金) 02:33:28 ID:XfcmGDXI
唐突に、変な短編を
332
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/27(金) 02:34:01 ID:XfcmGDXI
――深海棲艦ガ、ドウヤッテ生マレテクルカ?
簡単ナ話ダ。
海デ死ンダ者ノ魂ガ、怨嗟ノ色ニ染マル事デ誕生スル。
深海棲艦トシテ生マレタ瞬間ハ、皆黒イ塊ノヨウナ姿形ヲシテイルノダ。
貴様ラ地上ノ者ガ『駆逐イ級』ナドト呼ンデイル個体ガソレニ当タル。
奴ラハ意識モ自我モナク、タダ殺戮ヲ繰リ返ス事ダケヲ考エル。
ソシテ多クノ人間ヲ殺シ、怨嗟ヲ体内ニ取リ込ム事デ姿ハ変化シテユクノダ。
殺害数ガ増エレバ増エル程、深海棲艦ハ小型化シ、人型ニ近ヅク。
我々ノ間デハ『進化』ト呼ンデイル現象ダ。
『進化』スレバ戦闘力モ上ガルシ、自我モ芽生エルシ、ソウ……私ノヨウニ喋ル事モデキルヨウニナル。
貴様ラノ言ウトコロノ『鬼』『姫』ナドヘ変化スルノハ更ニソノ先ダガ、ココデ奇妙ナ現象ガ起キル事ガアル。
ソノ領域ニ至ル程ノ強イ深海棲艦ノ内、突然『恋愛感情』ニ芽生エル者ガ存在スル。
トイウヨリ、ソウイウ奴ノ方ガ多イ。
ソウイウ奴ラハ『鬼』ヤ『姫』ニ比ベ大幅ニ弱体化シ、不要ナ存在トナル。
……ココマデ言エバワカルダロウ?
『艦娘』トハ、ソウイウ『弱者』ノ成レノ果テナノダ。
ワカルカ?
貴様ラガ戦力トシ、我ラヲ攻撃サセテイル『艦娘』ハ、元ハ深海棲艦ナノダ。
ゴク稀ニ、普通ノ人間ガ『艦娘適性』ヲ持ッテイル事ガアル。
ソウイウ奴ラハナ……フフ…生キナガラニシテ既ニ怨嗟ニ塗レタ者ダ。
不思議ダロウ?
ダガ気ヲ付ケタ方ガイイゾ、ソウイウ奴ラハ度重ナル出撃デ心身ガ摩耗スルト『深海棲艦化』スル事モアルカラナ。
ツマリ。
君達ハ実ニ無駄ナ抵抗ヲ続ケテイル、トイウ事ダヨ。
マァ、精々頑張ルトイイ。
ン、ドウスレバ争イヲ止メラレルカ?
無駄ダヨ。
マァ、敢エテ言ウナラバ……
人類ガ滅亡スレバ、イインジャナイカ?
――横須賀鎮守府、とある捕虜艦の証言より。
333
:
名無しのおんJ提督
:2016/06/26(日) 21:57:04 ID:IleeSgxg
この話はMI作戦が目前と迫った頃のことである。
第四次の潜水艦派遣作戦が成功したという知らせが、秘書艦の加賀に入る。加賀は大淀から任務報酬を受け取る。次いで、大淀が一連の潜水艦派遣任務の最後の任務を伝える。
「これで海外艦との邂逅準備が整いました。遠征任務成功次第、海外の駆逐艦がこの艦隊に加入します。」
「駆逐艦……ね。戦力が増えるのは嬉しいものね。ところでその遠征、また長くかかるものなの?」
「いえ、遠征自体は2時間で終わります。海外艦の方がすぐ近くに来てくれています。ただ……。」
「ただ?」
「潜水艦4隻、旗艦レベルが60が条件ですが、艦隊の合計レベルが200必要です。」
「あっ、潜水艦だけでは合計レベルが足りないわ。」
「現在の状況ではそういうことになります。ですが、潜水艦4隻さえ入れば、後2枠は他の艦娘を入れても構いません。こうすれば合計レベル200は容易に越えられると思いますが、どうしますか?」
「ということは、問題は誰を選ぶかになってくることね。」
「ええ、そうです。」
「……ちょっと考えさせて欲しいわ。」
「了解いたしました。何かあったらすぐに相談してください。」
「ええ、こちらこそ、大淀さん。」
テーブルに座った加賀は艦娘リストをペラペラめくりながら思いに耽る。ドイツに縁が有る艦娘があればちょうどいいはずだが、思いつかない。高練度となるとなおさらのはず。私は秘書艦業務で手離せないから遠征には出られない。特に思い当たる艦がいないなら鎮守府で2番目の練度である相方を呼ぼうか、と思い彼女の名簿を眺めていると、加賀はあることを思い出した。
そういえば赤城さん、ドイツに技術の提供をしていたような……。
向こうで空母を建造するためのノウハウとして赤城の設計図などを渡したのだとか。彼女はもっと細かにエピソードを語っていた気もするが、私はさり気なく聞き流してしまっていたので、その空母の名前さえ覚えていなかった。でもその空母の最終的な顛末だけは聞いていた。何と未完成で終わって自沈されたらしい。私はその部分だけを妹と重ねながら聞き耳を立てていた。
となれば決まり。早速相方を呼ぼう。
加賀によって指揮官室に呼びだされた赤城が入室する。
「赤城さん。急ですみません。」
「いえいえ、加賀さん。私に何か用事があるために呼んだのですね?」
「もちろんよ。MI作戦直前ということもあるので、貴方には遠征に行ってもらいたいの。」
「遠征……?どういう遠征ですか……?」
「海外艦と会うための遠征ね。できれば旗艦として潜水艦達と一緒に行ってもらいたいわ。」
「海外艦……もしかして空母ですか?」
「いえ、駆逐艦ね。ドイツから来ているみたい。」
「ドイツの船ですか、分かりました。一航戦、赤城、旗艦として邂逅遠征に向かいます!」
「潜水艦たちは今もやる気満々みたい。今も港で待機しているみたいだからそこで合流ね。」
「ええ、行きます!」
「行ってらっしゃい、赤城さん。」
334
:
名無しのおんJ提督
:2016/06/26(日) 21:58:26 ID:IleeSgxg
2時間後、無事に艦隊が帰ってきた。大淀は私に任務の成功、また報酬として海外艦の加入を伝える。
「Guten Morgen.僕はレーベレヒト・マース。レーベと呼んでくれたらいいな。よろしくね!」
「こんにちは。私は航空母艦の加賀よ。ドイツから来た駆逐艦なのね?よろしくお願いするわ。」
「私は同じく空母の赤城です。またよろしくね。」
鎮守府の案内役を相棒に任せ、私加賀は再び秘書艦任務に戻っていった。
私も秘書艦業務が終わった頃。赤城が鎮守府案内から戻ってきた。
「おかえりなさい、赤城さん。」
「お疲れ様、加賀さん。いよいよMI作戦本番が近づいてきましたね。」
「ええ、慢心は禁物ね。」
「もちろんです、加賀さん。ところで、何故私を遠征に出したのでしょうか?」
「1つは練度が高かったから。艦隊全体の練度が高いことが必要だったからね。もう1つはMI作戦直前だから。最近出撃していないから海に出てもらいたかったの。最後の理由は貴方がドイツの艦と縁があるみたいだから。かの国の空母の参考になった話しは貴方から聞いたわ。」
「そうだったのですね。確かにピッタリだったじゃないでしょうか?」
「ええ。私もそのことを思い出していたわ。でも貴方からの話、少ししか覚えていないの。赤城さんを参考にした船の名前、聞かせてくれないかしら?」
「えーと、確か、グラーフ・ツェッペリンという名前だったような気が……。うろ覚えでごめんなさい。」
「グラーフ・ツェッペリン……ね。もしかしたらいつかは会えるのかしら。」
「でも完成しなかった子ですよ、加賀さん?」
「ええ、もしかしたらかなり後になるかもしれないわ。でも私の妹も、貴方のお姉さんもいつかは来るとしたら、彼女も来ても不思議ではないと思うの。」
「そうね。その時を楽しみにしましょう。」
MI作戦は大成功に終わった。今を生きる喜びを知った彼女達に昔の亡霊など敵ではなかった。
そんな秘書艦加賀の今を妨げる者はまだ、いなかった。
(終)
335
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:57:03 ID:rsb4/Ys.
天津風は、いつも一人だった。
幼い頃から。
望まぬ女子であった事もあり両親に冷遇され、最終的に孤児院に送られる。
孤児院でも。
他人との会話がなかなか上手になれず、友達と呼べる者は全くいなかった。
そして、今も。
天津風「……」
艦娘としての適性を見出され、海軍に入隊して。
駆逐艦『天津風』の名と、その力を与えられて。
陽炎型の一員として暮らしている。
そんな今も尚、彼女に『友』はいない。
陽炎型は孤児院や保育所から引き抜かれた寄せ集めのメンバーで構成されている。
それ故に、陽炎型駆逐艦は同郷の者同志で派閥とも言えるグループを築いており、天津風が容易く間に割って入れるような場所は皆無であった。
寮でも。
練習場でも。
遠征先でも。
そして、戦場でも。
天津風はいつも一人で駆け抜けていた。
天津風「だから……」
だから、彼女は。
港湾に陣取る要塞群を相手に奮戦し、初めての殊勲を得た今日この日に。
たった一つだけ、たった一度だけ。
提督に『わがまま』を言ったのだ。
天津風「……友達、がほしい」
336
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:57:37 ID:rsb4/Ys.
島風「おっそーい!」
天津風「こらー!島風、前に出すぎっ!」
硝煙と水飛沫が舞う戦場を、二つの『風』が駆け抜ける。
彼方、白金の風――島風型駆逐艦『島風』。
此方、黒銀の風――陽炎型駆逐艦『天津風』。
艦娘としての船型も違えば、ましてや同郷の者でもない。
二人はただの先輩後輩であり……そして、姉妹以上の絆を結んだ『友』である。
天津風「島風、二時の方向に敵影!いくわよ!」
島風「はいはーい!連装砲ちゃん、やっちゃってー!」
二つの轟音が同時に鳴り響く。
完璧なコンビネーション。波間に顔を覗かせていた敵艦は、一瞬にして砲弾の下に崩れ去る。
島風「やった!」
天津風「よし、いい感じ!」
依然全速で奔りながら、並び立つ二つの船影。
お互いに一度顔を見合わせて、そして笑顔を覗かせて。
次なる目標へと吹き渡ってゆく。
337
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:58:08 ID:rsb4/Ys.
明石「……まぁ、結果論ですけどね」
提督「うん」
明石「科学の発展って、やっぱり道徳とか倫理に囚われちゃいけないんだなーと、あの二人を見てると思いますね」
提督「……そうだな」
明石「……天津風ちゃんには、本当の事を伝えないんですか?」
提督「伝えられるわけがないさ」
明石「そう、ですよね……」
提督「そうさ」
提督「喩え自身のクローンであろうと、アレは彼女にとってかけがえのない『友』なのだから」
(終)
338
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:59:09 ID:rsb4/Ys.
#以下が変わっちゃった…けど、久々に投稿してみた
339
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:42:29 ID:4Azsluro
ダーツのSSです
一応予備知識として
・今回やるゲームはゼロワンという物です。
・1ラウンドに3回矢を投げます。
・数字をぴったりゼロにしなければなりません。(マイナスにしたらラウンド無効)
・下のダーツボード絵を参考に、どこらへんに刺さったか考えながら見てもらうと面白いかもしれません。
http://i.imgur.com/IFn8xXF.jpg
340
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:43:01 ID:4Azsluro
鎮守府内、娯楽室。
そこは艦娘が息抜きをする為に設置された部屋であり、中には麻雀やら将棋やら色々なゲームが置かれている。
使用頻度は人によるが、多い人では毎日のように入り浸っている事もあるのだ。
そして、そんな『ヘビーユーザー』の一人には、意外な艦娘の姿もある。
瑞鶴「ほっ!」ダンッ
娯楽室の片隅。
壁際に設置されたダーツボード、その244㎝前方に立つは五航戦、瑞鶴。
片手には、迷彩柄のシャフトと細身のバレルが特徴的な、彼女のマイダーツ。
放たれた第一矢は違う事なくど真ん中…ブルへと吸い込まれる。
瑞鶴「よしっ!調子いいみたい」
そう言いながら、すぐに次の矢を右手に取る。
リズムを崩さず、いい時の波に乗りながらポンポンと投げるのが彼女のスタイルだ。
もうかれこれ一年程、毎日のように娯楽室で矢を投げている。
あまり鎮守府内に同好の士がいない事もあり、ほぼこのボードは瑞鶴の専用板だ。
翔鶴や葛城も誘ってみたが、結局長続きはせず。
少し寂しいなと思いながら。
瑞鶴は今日も矢を放る。
瑞鶴「あっ……」
そんな事が一瞬脳裏に過ったからか、矢を投げる瞬間に瑞鶴の体が僅かにぶれる。
矢は大きく外れ、ガンッという音と共に外枠に当たった。
その瞬間。
加賀「相変わらず寂しい人ですね、あなたは」
瑞鶴「!」
背後から声がする。
振り返ると、そこにいたのは瑞鶴の先輩であり、この鎮守府の空母機動部隊、正規空母隊指揮官、加賀であった。
341
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:43:45 ID:4Azsluro
加賀「熱中するのは結構だけど、周りが見えなくなるのはどうかと思うわ」
瑞鶴「……別に関係ないでしょ、加賀さんには」
加賀「そうかしら」
瑞鶴「……」
加賀「龍驤さんと将棋を指している時にダーツの音が響く身にもなってみなさい」
瑞鶴「わかったわよ、気を付けるから」
加賀「……」
瑞鶴「……」
二人は、単なる先輩後輩ではない。
師弟であり、上官部下であり、そして同じ部隊で研鑽し合う好敵手でもある。
緊張感の中、瑞鶴は床に落ちた矢を取りに行く。
床に落ちた矢を取って、そして顔を上げた瞬間。
加賀「ちょっと、どきなさい」
瑞鶴「は?」
ストン。
瑞鶴「ッ!」
鋭く飛んできた矢が、瑞鶴の頬を掠めてボードへと突き刺さった。
場所は、ブル。
一瞬、瑞鶴もひやりとする。
瑞鶴「……人に向かって投げるのは、いけないと思うんだけど」
加賀「どきなさいと、言ったわ」
瑞鶴「何ですか、挑発ですか?」
加賀「そう受け取ってもらってもかまわないわ」
その時、瑞鶴の中で何かが弾けた。
瑞鶴「……じゃあその喧嘩、買うわ。ダーツでね」
342
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:44:16 ID:4Azsluro
斯くして。
瑞鶴 対 加賀のダーツ対決が始まった。
瑞鶴「ワンセットだと長いんで、501マスターアウト一本勝負でいいわよね」
加賀「お好きにどうぞ」
イラッとしながらも、台のゲームモードを選択する。
お互いの持ち点を減らし、ちょうどゼロを目指すのが501の基本ルールだ。
マスターアウトは、最後の一投をダブル、トリプル、ブルに入れなければならない。
正確性は勿論、計算力も求められる。
ゲームがスタートした。
瑞鶴「あたしからね」
有無を言わさず、瑞鶴がスローラインに進む。
右前、クローズドスタンス。
スリーフィンガー、手首は柔らかく。
狙いをつけて、小さなテイクバック。
全て、決まりきった瑞鶴の形。
矢はぶれる事なく、まっすぐに飛ぶ。
瑞鶴「ふっ!」
タンッ、タンッ、タンッと素早く三投。
ブル、ブル、17シングル。
計117でロートン。
瑞鶴「ま、いい感じね」
加賀「……」
次いで、加賀の投擲。
右前、ミドルスタンス、前傾。
スリーフィンガー、人差し指が立つ。
狙いをつけて、鞭のようなスローイング。
瑞鶴「……!」
その姿は、自然体なようでいて確実。
瑞鶴には、光輝く星が見えた。
矢はストンストンストンと突き刺さる。
20トリプル、20シングル、20トリプルの順で。
計140、同じくロートン。
加賀「トン80にはならなかったようね」
瑞鶴「ッ……もしかして、やってたの?ダーツ……」
加賀「あなたがこの鎮守府に来る前から、このボードはあるのよ」
瑞鶴「……」
思わず息を飲む。
ダーツでなら、加賀を叩きのめせると思っていた瑞鶴にとって、それは誤算だった。
気の抜けない勝負になると確信した瞬間、瑞鶴の頬に冷や汗が流れた。
343
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:44:55 ID:4Azsluro
2ラウンドは加賀95、瑞鶴111。
3ラウンド、残りはそれぞれ加賀266、瑞鶴273。
瑞鶴の投擲はブル2含む119。
残り154、次ラウンドで20トリプル二つと17ダブルを狙う立ち位置だ。
加賀「あなたは随分とブル狙いがお好きなのね」
瑞鶴「……そういう加賀さんも、20トリ狙いすぎでしょ」
加賀「そうね、それじゃあなたの真似でもしましょうか」
瑞鶴「?」
加賀がスローラインに立つ。
そして、
加賀「……」
瑞鶴「!」
立て続けに投げられた三つの矢は、紛う事なくブルを突き刺した。
ハットトリック。
計150で、残りは116。
瑞鶴「うっそ……」
加賀「鎧袖一触よ」
この数字からならば、容易くあがりを狙える。
瑞鶴は追い詰められた状態だ。
344
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:45:27 ID:4Azsluro
運命の4ラウンド目、瑞鶴がスローラインに立つ。
瑞鶴(ブルに当てたら足りない…正確に20トリ狙わないと……)
切迫。
鼓動が高鳴り、唇が渇く。
先ほどより高く、狙いをつけて。
第一投。
瑞鶴「っ!」
僅かに浮いたが……見事、20トリプル。
ほんの少し、瑞鶴の表情が緩んだ。
しかしまだ気は抜けない。
残り94、やはりここもブルではなく20トリプルを狙い、三投目も17ダブルに当てる必要がある。
或いは18トリプルで40残し、20ダブルを狙ってもいいが、18を狙う事でリズムが崩れると再度20を狙うのは難しい。
やはり20トリプルか。
再び表情を引き締めて……
瑞鶴「ふっ!」
矢を放つ。
しかし。
瑞鶴「あっ……」
矢は、僅かに左へぶれた。
5トリプル。
残り79、これでこのラウンドでのあがりはなくなった。
そうなれば、次で加賀はあがってくるだろう。
瑞鶴「……」
加賀「早く三投目を投げなさい」
瑞鶴「……くっ」
狙いはつけなかった。
当たったのは7シングル。
残り72で4ラウンド目終了。
345
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:45:58 ID:4Azsluro
加賀「もらったわね」
瑞鶴「ふん……」
4回目のスローラインに立つ加賀は、余裕の表情だ。
その横顔を見て、瑞鶴は思わず唇を噛む。
いつでも、そうやって。
その表情で。
彼女は悠然と海を駆け、敵を討ち、そして帰って来るのだ。
加賀「……」
ストン。
ブルへ命中、残り66。
瑞鶴にとって、加賀という存在は。
憧れであり、且つ巨大な壁でもあった。
今も尚、彼女の背中には追い付かない。
何歩も、何十歩も先を行く存在だ。
加賀「……」
瑞鶴「……」
ストン。
同じくブルへ、残り16。
本当は、隣に並びたかった。
彼女の隣で、共に戦場を駆けたかった。
しかしいつも、遅れてしまう。
憧憬も、嫉妬も、届かない。
瑞鶴「うぐ……」
そして、形を変えて戦っている今も。
彼女には敵わない。
自信があったはずの事でさえ。
虚しくて。
悲しくて。
悔しくて。
瑞鶴は、いつの間にか泣いていた。
加賀「……」
そんな瑞鶴の姿を。
顔を伏せたまま、肩を震わせるその姿を。
横目で見つめたまま、加賀は8ダブルへと狙いをつけた。
ストン。
346
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:46:29 ID:4Azsluro
加賀「……あら」
瑞鶴「?」
バリーン、という安っぽい効果音。
ダーツボードの上、液晶画面にはBURSTの文字。
瑞鶴は思わず顔を上げ、ボードを見つめた。
加賀の第三投は、僅かに8ダブルの下――16ダブルへ突き刺さっている。
数値は-16。
数値オーバーにより、ラウンド無効。
瑞鶴「へっ……?」
加賀「あなたの番よ、瑞鶴」
瑞鶴「!」
名前を、呼ばれる。
涼しげに、いつも通りの口調で。
その声に、瑞鶴の涙が消し飛んだ。
瑞鶴「……やってやろうじゃねえかよ!」
347
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:47:14 ID:4Azsluro
結果。
瑞鶴の矢は18ダブルに二回、的確に突き刺さった。
瑞鶴の勝ち。
勝負が終わり、二人はテーブルを挟んでソファーに腰を下ろしていた。
加賀はいつも通り淡々とお茶を啜り、瑞鶴は表情を引き締めながらも……嬉しさを隠し切れないでいる。
加賀「負けました」
瑞鶴「あの16ダブル、手加減したんじゃないでしょうね?」
加賀「……私は、あなたに手加減した事など一度もありませんが」
瑞鶴「!」
加賀「……私についてこれるのはあなたぐらいしかいないのよ。しゃんとしなさい」
瑞鶴「……ずるいわよ……もう」
今日も、日が落ちる。
いつも通りの鎮守府で。
(終)
348
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:48:52 ID:4Azsluro
めっちゃ長かった…クリケットにしなくてよかった。
書き忘れてた予備知識その2
・ボードの外側の赤緑部分がダブル(得点x2)、内側の赤緑部分がトリプル(得点x3)です。
・真ん中がブル、50点です(ルールにより25点部と50点部あり、今回は統一)
349
:
名無しのおんJ提督
:2017/02/05(日) 03:52:10 ID:AHp3Dggc
てす
350
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:53:16 ID:AHp3Dggc
ジョジョ×艦これ、始まります!
351
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:53:51 ID:AHp3Dggc
陸奥「悪霊〜?」
長門「うむ」
戦艦寮は一人一人個別の部屋が与えられている。
しかし今、陸奥は長門からの呼び出しを受けて彼女の部屋にいた。
そして、唐突すぎる話を切り出されたのである。
長門「ついさっき、那珂がCD配っていただろう?」
陸奥「ええ」
長門「そのCDを開けてだな、手に取ってみたらこの様なのだ」
陸奥「……」
陸奥が黙って見上げる先。
長門の背後に『それ』はいた。
筋骨隆々の大男が。
長門「名付けて、『クレイジーダイヤモンド』!どうだろうか」
陸奥「そ、そう……別に悩んでるわけではないのね」
長門「うむ、かっこいいだろう?こいつは私の命令に忠実に動いてくれるのだ」
陸奥「え、ええ……そうなの」
長門「陸奥もたしかCDをもらってただろう?開けてみてはどうだ?」
陸奥「……まぁ、考えておくわ」
陸奥はただ、複雑な表情を浮かべるしかなかった。
352
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:54:25 ID:AHp3Dggc
陸奥「ふぅ……」
長門は妙に子供っぽいというか、無邪気な所がある。
今回の件も、困惑したり拒んだりする事もなく受け入れている。
普通なら、正体不明の悪霊が出たら大騒ぎしそうな物だが。
陸奥「……」
それはともかくとして。
陸奥の手には、件のCDがあった。
那珂が配っていた、謎のCD。パッケージには何も書かれておらず、ディスク自体にも何も書かれていない。
普段の那珂なら新曲発表と称した路上ライブの後にCD配布を行うのだが、今日に限って那珂が歌っていたのは『ハレルヤ』だった。
それが妙に不気味で、結局もらったCDを開けていなかったのだが…。
陸奥「よし……」
陸奥は、意を決した。
パッケージを開け、ディスクを手に取る。
その瞬間。
陸奥「!」
突然、ディスクが陸奥の手に突き刺さった。
陸奥「なっ……」
文字通り、貫通している。
しかし痛みはなく、むしろ体の内から何かが沸き出すような感覚があった。
陸奥「なに、これ……!」
そして、ディスクはゆっくりと溶解していき――。
一瞬の後に、陸奥の目の前には謎の『モノ』が立っていた。
陸奥「ッ!」
陸奥は慌てて後ずさる。
『それ』は、まるで感情などないかのような双眸と、妙に艶のある薄桃色の体を持っている。人型だが、到底人には見えなかった。
陸奥は咄嗟に、近くに置いてあった小銭を掴み、『それ』へと投げつける。
『それ』はそれを右手で受け止め、それからポイと放り投げると――。
陸奥「!」
直後に、小銭が爆発した。
その瞬間、陸奥は『知っていた』。
何故かはわからないが、彼女は本能的に『そいつ』が何者なのかを理解したのだ。
陸奥「……『キラー…クイーン』……」
陸奥の呟きに、『そいつ』は応えるように頭を垂れた。
353
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:55:29 ID:AHp3Dggc
――翌朝。
長門「陸奥……お前、随分と趣味が悪いんじゃあないか?」
陸奥「仕方ないでしょ……出ちゃったもんは出ちゃったんだから……」
鎮守府内は、とんでもない事になっていた。
駆逐艦から戦艦まで、ありとあらゆる艦娘に『悪霊』が発現していたのである。
陸奥を含む全ての『悪霊憑き』は、それが一体何なのかを本能的に理解していた。
それは『スタンド』。
自身の精神が具現化した、一種の特殊能力である。
長門「……これは一度、那珂に『教育』しなくちゃあならないみたいだな」
陸奥「ええ、でもどうすれば『スタンド』を消せるのかも聞き出さなくちゃ」
長門「? 消すのか?」
陸奥「え?」
長門「これがあれば、深海との戦いも有利になるだろう。私はこいつを『使って』いきたい」
陸奥「あ、そう……いや、それは勝手だけど……」
しかし、異常な光景である事に変わりはなかった。
例えば鎮守府随一の実力者である正規空母・加賀には、小さなスタンドの軍隊に取り巻かれている。加賀はそれを『バッド・カンパニー』と呼んでいた。
工作艦・明石には、金色の体が特徴的な人型のスタンドが憑いている。曰くその名は『ゴールド・エクスペリエンス』。
そんなスタンドに溢れた鎮守府の風景はまさに『異様』としか形容できない。
陸奥は食堂でぼんやりと、これからどうするべきかを思案している。
消すにせよ使うにせよ、当の那珂が遠征でしばらく帰らない今、どうする事もできない。
『触れた物を爆弾にする』という危険すぎる能力を持ってしまった陸奥は、ただスタンドが暴走しないよう努めるしかないのだ。
と、その時である。
??「大変だー!電のスタンドが暴走したー!」
長門・陸奥「「!?」」
354
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:57:00 ID:AHp3Dggc
電「は、はわわわわわ…!」
声のした、駆逐艦寮の方へ長門と陸奥が向かうと……そこは惨状となっていた。
あらゆる物が溶けている。
木でできた家具や床板は腐り落ち、無機物も殴られたように捻られている。
駆逐艦娘の中には被害を負った者もいるようで、腕や脚が壊死しかけている凄惨な子もちらほら見受けられた。
長門が『クレイジーD』の能力でそれを治癒しつつ、二人は現場である電の部屋へ辿り着く。
そこには、紫色のスタンドがいた。
涎を垂らし、完全に理性を失っているようだ。
長門「陸奥!電を救助できるか?私はアレを止める!」
陸奥「わ、わかったわ!」
陸奥が駆け出すと、そのスタンドが反応する。
しかしその拳が陸奥に向けられるより早く――
長門「させるか!」
クレイジーDが紫スタンドの拳を掴んだ。
両手首を握り、そして長門は理解する。
長門「なるほど……毒のカプセルか」
??「うばしゃああああああ!!!!」
紫スタンドは抵抗するが、クレイジーDは長門以上のパワーを持っている。
到底逃げられるはずはない。
その間に、陸奥は部屋の隅に縮こまっていた電に到達した。
陸奥「大丈夫?怪我はない?」
電「だ、大丈夫なのです……ご、ごめんなさいなのです……」
陸奥「あなたのせいじゃないわ――けど、ドジっ子には過ぎたスタンドね……」
電「あ、あのお化け、『パープルヘイズ』っていうらしいのです」
陸奥「『紫煙』ねぇ……ともかく、一旦部屋から出るわよ」
陸奥は電を抱えると、来た道を戻っていく。
途中長門の背後を抜けて、そのまま廊下へ飛び出した。
そこで怯えながらも待機していた雷に電を託すと、陸奥は再び室内へと目をやる。
長門は――『パープルヘイズ』の腕を受け止めてはいるものの、膠着状態が続いていた。
クレイジーDの力を以てすれば、その腕をへし折るのは容易いだろう。
しかし長門も陸奥も、本能的に理解していた。
陸奥(もしあいつの腕を折ったら……きっと、本体である電ちゃんの腕も……)
355
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:58:04 ID:AHp3Dggc
長門(さてと、どうしたものか)
長門も、至近距離でパープルヘイズの瞳を見つめながら、自問自答する。
如何にして、電を傷つけずにコイツを無力化するか。
要するに、一旦行動不能にしてしまえばいい。
何か――毒で溶解しない無機物で封じられれば。
同じ事を、陸奥も思案していた。
だが奴を止めるには、かなり分厚い金属で拘束してしまうしかない。
陸奥「!」
その瞬間、陸奥は気付く。
雷と電の方に振り返り、咄嗟に問いかけた。
陸奥「ねぇ、二人とも……今、演習用の魚雷筒はあるかしら?火薬が抜かれているのがいいんだけど」
雷「た、たしか電、持っていたわよね!?」
電「そ、そこの布団の上にあるのです……」
電が指差した先。
それは長門とパープルヘイズが睨みあっている場所より奥にあるベッドだった。
確かに、そこに金属の筒が見える。
陸奥「最高よ…!『キラークイーン』!」
それをしっかりと確かめて、陸奥はキラークイーンを発現させた。
キラークイーンは主の意図をしっかり読み取り、室内へ駆け出す。
陸奥のスタンドがこちらへ――正確にはその更に奥へと向かっているのを視界の端に見た長門は、
長門「……! 成程、わかった!」
陸奥の意図する事を、理解した。
キラークイーンがベッドへ到達する。
その右手が魚雷筒へと触れた。
陸奥「行くわよ、長門!」
長門「ああ……いつでもいいぞ!」
パープルヘイズ「うばあああああ!!!!!」
任務を遂行したキラークイーンは即座に陸奥の下へと戻ってくる。
そして、右手を伸ばした。
356
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:58:37 ID:AHp3Dggc
陸奥「いけっ!」
カチッという音が響く。
何かのスイッチが入ったかのようなその音がキラークイーンの右手から聞こえた――その直後、
ドガンッ!
魚雷筒が爆発した。
長門「うぉおおおお!!!!」
クレイジーD「おおおおおおお!!!!」
それに合わせて長門とクレイジーDが叫ぶ。
そして全身のパワーを込めて、パープルヘイズを投げ飛ばした。
パープルヘイズ「!?」
パープルヘイズの体は爆発四散した魚雷筒の方へ飛翔し――
長門「今だぁああああ!!!!!」
クレイジーD「ドラララララララララ!!!!!!」
クレイジーDのラッシュを浴びた。
その拳に込められた能力は『修復』。
喩え爆発された物でも、元通りに直す事ができる。
パープルヘイズを魚雷筒の中へと閉じ込める形で!
パープルヘイズ「うばああああ!!!!!」
――そして、紫煙の猛威は魚雷筒の中に封じられた。
357
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:59:08 ID:AHp3Dggc
長門「……ふぅ」
戦いは終わった。
長門がクレイジーDを引っ込める。
陸奥も、キラークイーンを消す。
あとは、ぽかんとした顔で戦況を眺めていた電と雷だけが残った。
長門「とりあえず、急場しのぎだがこれで封印はできたな」
陸奥「ええ……長門、私の考えを読み取ってくれてありがとう」
長門「ふふ、造作もない」
その時、電がおずおずと声を掛ける。
電「あ、あの……ありがとう、なのです」
長門「ああ、お礼は後で私の部屋で…むぐ」
陸奥「いいのよ。後で私たちと一緒に掃除しましょうね」
電「は、はい!今からみんなに謝ってくるのです」
そう言い残して、電はぱたぱたと駆け出した。
雷もその背中を追いかけて去って行き、長門と陸奥が残された。
長門「ぷは!……まぁ、とりあえずこれで一件落着、だな」
陸奥「ええ、けど……このスタンド絡みのトラブル、まだまだ続く可能性があるわね……」
長門「……確かにな」
二人には、何か言い知れぬ『予感』があった。
その予感が当たらない事を、今は祈るしかなかった。
(第一話、終)
358
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/28(金) 22:57:08 ID:fpd4SejQ
テスト
359
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/28(金) 23:15:25 ID:2KsGjtDI
てす
360
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:00:55 ID:CGUG4iBM
てst
361
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:42:25 ID:CGUG4iBM
「久しぶりーお兄ちゃん!」
中央線の駅の改札の向こうに僕の妹、早波が現れこちらにあ手を振っているのを見つけた。
半袖の薄い橙色のか生地に丸で模様が描かれたワンピースを着ていて見ていて涼しげでよく似合っていた。
久しぶりに兄と出会えた喜びからか、早波は手に持っていたキャリーケースを改札機にひっかけて台の上の玉が転がるように躓きそうになっていた。
僕が慌てて近付く頃には無事改札を通って、子供のようにこちらに飛び込んで来た。少し恥ずかしかったが、久しぶりに妹の笑顔を見てこちらも顔が綻んでしまう。
早波も公衆の面前で躓きそうになったことが恥ずかしかったのか頬を少し紅く染めていた。
「久しぶり。元気してたか?」
「元気だったよ!早波ね、高校生になったの!それからね!」
可愛い妹が続けようとするも、僕はここが改札前であることを思い出し邪魔にならないよう早波を出口へと促した。歩き始めた僕は以前会った時はまだ中学生であったことを思い出し、時間の流れを感じた。しかし、さっきみたいな早波のおっちょこちょいは高校生になった今も変わらないらしかった。
静岡から東京への大冒険を果たした早波はタピオカドリンクを所望したので、僕がよく行く喫茶店に行くことにした。そこは少し古い店だったがブームに乗じて最近取り扱いを始めていた。
「ここまで遠かっただろ?迷子にならなかったか?」
「えっとね。途中までお母さんに送ってもらったの」
早波の話を要約すると新幹線を乗り過ごさないよう母が熱海駅まで車で送って改札まで着いて行ったそうだ。早波が今回の旅行を心待ちにしていたのは両親にもありありと伝わったらしく、慌てんぼうの早波が無事新幹線に乗れるよう気を配ってくれたらしい。
高校生の妹である早波が東京に行きたいと言い出したのは夏休み前のことだった。なんでも好きなアイドルグループのライブチケットが当たったらしい。こういう場合は親と東京に行くのが通常であろうが、そうもいかなかった。運輸業の会社で働く母と父は繁忙期を迎えておりとても休むことなどできなかったのである。
東京観光には賛成であるが女子高校生一人で東京は危険である、そう両親は判断したため東京で一人暮らししている僕に白羽の矢が立った。また、両親とも都内の大学を卒業しており娘を東京に送ることには抵抗がなかったらしかった。
「母さんと父さんは元気か?」
早波の話を聞いている間に母と父のことが気になった。最後に帰省したのは年末年始で、春休みはゼミの合宿やら課題やらでそれどころではなかった。もう半年以上会っていない。
「お母さんもお父さんも元気だよ!ちょっとお仕事忙しそうだけど…」
早波は少し寂しそうに言うと、僕も母と父が恋しくなってきた。僕は改めて両親からの学費や一人暮らしの援助に感謝しつつ夏休み中には必ず帰ろうと決心したのだった。
362
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:43:00 ID:CGUG4iBM
喫茶店でタピオカドリンクとホットサンドを楽しんだ僕達は、途中スーパーに寄って食料やらジュースやら買ってから僕が根城としているアパートへ向かった。
「わぁー!ここがお兄ちゃんの部屋!」
8畳程の広さのワンルームで台所とユニットバスが付いたよくある部屋だったが早波には物珍しいらしく、あちこち嗅ぎ回るように見て回っていた(ちゃんと掃除しておいて良かった)。
「恥ずかしいからあんまりみないでくれよ」
「ごめんなさーい」
と言つつやはり部屋の小物や装飾が気になるのかソワソワしていた。
「汗かいただろ?シャワー浴びて来いよ」
「じゃあお言葉に甘えて!」
早波がキャリーバッグを開けて中を物色しているのをなんとなく見ていると、急に顔だけこちらに向けた。
「恥ずかしいから向こう行ってて!」
僕は気圧されて逃げるように廊下に出た。そうだよな、早波も年頃の女の子だよなと妹の成長を嬉しいような少し残念なような複雑な気持ちと共に感じる。昔はよく一緒にお風呂に入ったのだが…。
早波がシャワーを浴びている間に僕は晩御飯の用意をしていた。と言ってもスーパーで買ったお惣菜とパックサラダを皿に盛り付けるだけなのだが。しかし、食事と言うのは見た目も大切で、同じ料理でも見た目が違うだけで味や満足度は変わるものだ。
お米が炊けて茶碗によそいインスタント味噌汁と皿に盛り付けられた惣菜達をリビングのテーブルに並べ終わるとちょうど早波のシャワーが終わったようだ。
「お兄ちゃんシャワーありがとう」
「おう、ちょうどご飯できたから…」
振り返りながら言った僕は呆気に取られた。早波が浴衣姿で僕の部屋に現れたからだった。2色の紫のモザイク柄の生地にところどころ藤の枝や花をあしらったデザインだ。帯は後ろで結ぶタイプではなく前でリボン結びにするタイプのものだった。髪はまだ少ししっとりしているように見えた。
「どうかな?」
早波の言葉でやっと我に返った僕は「…よく似合ってる」とありきたりな感想しか出なかったけれども、この紫色の綺麗な浴衣は確かに早波に良く似合っていた。
少し照れながら笑っている早波が座布団に座ると2人でいただきますをして、改めて互いの近況報告を行った。
そして話題は転じて今回の旅行の話になった。早波の東京旅行は10日間だった。
当初の目的であるアイドルグループのライブは八日目でそれまでは大学のオープンキャンパスや若者の街で買い物をする予定らしい。
「それでね、明日はお兄ちゃんの大学に行こうと思ってるの」
起:早波登京
承:早波が微睡んでるお兄ちゃんにキス
転:
結:
363
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:47:48 ID:CGUG4iBM
長くて書き込めなかったから分割したドミ
転の部分でライブを見に来たって設定を使うのととこの2人にセックスさせたいんやけどどうすればいいかね?
一応夕立に振られるっていうベタなの考えてるけど
364
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 08:25:11 ID:fpd4SejQ
>>363
どうでも良いけど、上京やぞ
2つ目は流石に一行長すぎや
もう少し改行したほうが良い
で、近親相姦か…。そもそもこの早波は艦娘じゃないんだよな?
この世界に鎮守府はあるん?
あるんだったら例えば鎮守府の召集はかかる、無いんだったら夕立に振られるのと何か一つ欲しいわね
365
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 12:49:43 ID:CGUG4iBM
>>364
ID違うけど
>>363
や
改行とか登京とかサンガツ
現パロだから鎮守府はないわね…。2019年のこの世界に早波がいる感じや。
近親相姦だからセックスのハードルが高くて難しい。
366
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 13:39:30 ID:fpd4SejQ
>>365
まあ正直、エロさを求めるんだったらあんまり前フリされてもちんこが保たないから都合良くするか
ワイはあくまで過程を求める、って言うんだったら、夕立に失恋以外にやっぱりもう一個理由がほしいよな
367
:
名無しのおんJ提督
:2022/03/20(日) 03:52:22 ID:1f6YGPpE
秘書艦業務は提督を独占できる時間が作りやすい。早朝から髪を整えて提督の寝室に向かおうとしてる自分がまさにそうだ。この日ばかりの恩恵に預かろうとしてる。
「失礼します…ね」
襖を開けて布団に静かに近づき、枕元に座りながらしばらく寝顔を見つめる。
(あぁやっぱり、まだお休みでしたか)
普段の張り詰めた雰囲気とは違った無防備な、穏やかな表情。この時だけ見せてくれる姿。そう思うと心の底から愛おしく感じる。
「んぅ……」
(寝顔を見るなんてわたし、なんだかいけないことをしてるみたい)
少しだけ口角を上げながら提督の頭を撫でると、ふわっと優しい香りが鼻腔を刺激する。その匂いも大好きだったりする。
そのまま手を頬に滑らせていき、柔らかい肌触りを楽しむ。起きる気配は全くない。
(もうすこし近くに…)
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えつつゆっくりと体を近づけていく。自分の吐息がかかるくらいの距離まで近づくと提督の顔がよく見えるようになった。
「………………っ」
自分の鼓動が提督を起こしてしまわないように胸を押さえつけているけど、それでもドキドキする気持ちは抑えられなかった。
(……)
とくん。とくん。とくん。とくん。
心臓の音がうるさい。でもそれが心地いい。提督の唇に触れている快楽の中、不思議な穏やかさに包まれた。
「はっ…はっ…はっ…」
小鳥の囀りとともに朝日が差し込む部屋の中で荒い呼吸を繰り返す。
(わわわわわたしなにを⁉︎なんてことを!!︎いま提督にキ、キスしたの⁉︎やあああどうしようどうしたら!!??)
混乱する頭を抱えながらも無意識のうちに唇を指先でなぞっていた。
「え…」
布団の上からでも分かるくらい膨らんだモノがある。恐る恐る思いながらもやはりそれは男性特有のアレだった。
(キスしたから…⁉︎あんなにせり上がって…どうしよう!)
どきん。どきん。どきん。どきん。心臓が跳ね上がるたびに、自分の体が熱くなる。
「んぅ……」
提督の声を聞くだけでドキッとする。
「あっ……」
布団越しに触れるとビクッとした感触が伝わってきた。
(これって朝勃ちよね……。初めて見た……)
ごくりと唾を飲み込み、ゆっくりと布団をめくっていく。そこにはパンツからはちきれんばかりの男性器があった。
(これが……提督のおちんちん..)
まじまじと見つめてしまう。もっと見たい。触りたい。そんな欲望が生まれてくる。
そっと手を伸ばして触れるとピクンと震えた気がした。
「んっ……」
再び声をあげる提督に思わず手が止まる。
(これを処理するのもわたしのお役目……ですよね…提督)
368
:
名無しのおんJ提督
:2022/03/20(日) 03:53:21 ID:1f6YGPpE
無理矢理納得させながら触れ続けると次第に先っぽからは透明な液体が流れ出し始めた。
(すごい……こんなになるんだ……)
興味本位で指で優しく撫でてみる。
ぴくっ。
反応するように動いたのを見てさらに撫でてみるとまた動く。
(かわいいかも……)
愛おしく思うと撫でるだけでなく頬ずりしていた。どんどん液の量が増えていく。
(これは……舐めた方がいいのかしら……)
ごくん。と喉が鳴る。
(はぁ…♡なんていやらしい臭い)
恐る恐る舌を出して先端をぺろっと舐めると少ししょっぱかった。味わうように何度も舐める。
(おいしい……♡)
段々と臭いが濃くなっていく。その度に頭がクラクラしてくる。夢中でしゃぶりつく。だんだんと口の中に苦みが広がり始めてきた。
じゅるるるるるる
(あぁこの匂い……ずっと嗅いでられる……臭さがクセになります……♡♡♡)
下着の上からでは物足りなくなり、直接触れたくなってきた。意を決して脱がせる。
ブルン‼︎
勢いよく出てきた肉棒に驚く。
(こ、これが提督のおちんちん…!おっき……すぎ…すご…♡)
両手を使って優しく握る。熱いくらいの体温が伝わってくる。脈打ちながら大きくなっていくのを感じると嬉しくなった。
気づくと先っぽに吸い寄せていた。ちゅぱっ。という音とともに口から離すと糸を引いていた。
(提督のおちんちん……いただきます……♡)
すっかり発情してしまった私は今度は口に含んでみた。
「んっ♡」びくんと動く。
ぢゅぽっ♡ぢゅぷっ♡ぢゅるるるるるるるるるるっ♡ 卑猥な音をたてながら激しくストロークしていく。
(腰をビクビクさせて、気持ちいいんですね?もっとご奉仕いたしますから、いっぱい気持ちよくなって…♡)
「ふーっ♡ふーっ♡」
「はっ……♡あっ」
頭を撫でられているような感覚がして、思考が一瞬止まった。
「朝っぱらからがっつきすぎだぞ」
「!?︎」
いつの間にか起きていた提督は呆れたように愛おしそうに私の頭を撫でていた。
「お仕置きが必要だな」
(お仕置き……おちんちん…しゃぶれない…)
そんな風に思った私は提督のおちんぽを口に入れたまま腰に手を回した。
「おい、涼…」
「んっ……♡」
返事の代わりに強く抱きしながら口をすぼめて吸った。
がぼっ!ぐぽぉっ!
「うおっ」突然の刺激に耐えられなかった提督は思わず声を上げた。
「んむっ♡」
ぐぽっ!がぽん!
「涼月……まっ……離せっ、このままだと」
「んっ……んっ……んっ……♡」
提督の静止を無視して続けていく。
「はっ……♡はっ……♡」
「はぁ……はぁ……」
「んっ……♡んっ……♡んっ……♡」
「くぅ……!もう出る!」
どぴゅーっ!!︎どぴゅるるるるっ♡♡♡「〜〜〜ッッッ♡♡♡」
大量の精液が吐き出され、口の中を満たしていく。
(のど…奥に出てる…♡すごい量…私の身体で……♡)
提督が射精した瞬間、私も絶頂を迎えてしまった。
(うれしい…♡わたしもイッちゃいました……♡)
369
:
名無しのおんJ提督
:2022/03/20(日) 03:55:02 ID:1f6YGPpE
Aiのべりすとで作ったから垂れ流しとくわ(事後報告)
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