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おんJ艦これ部SSの会
269
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/21(木) 00:01:19 ID:uWKkXELM
こんばんは、金剛デース。
今日は妹達と一緒に麻雀をやる事になったんですヨー。
東風の四人打ちデース!
比叡「次こそ勝ちます!」
榛名「…」
霧島「ちょっと待って、作戦を考えるわ」
うちはみんな個性的な打ち方をするので楽しいデース!
勿論、斯く言う私だってファンタスティックな打ち方を心がけてマース!
――東一局、親:金剛
まず私の親番ネー。
赤ドラを含む好手、いい配牌ですネー。
私はいつでも先手必勝!弾幕を撒いて戦いマース!
下家の比叡が出した白をポン!対面の霧島が出した八萬をポン!
そして上家の榛名が出した四索をチーして!
ツモ!白と赤ドラ700オールデース!
比叡「ひえ〜…相変わらず早鳴きですねお姉様」
霧島「息つく暇を与えない、とはこの事ね」
榛名「…」
ふふん!どーデスか!
私の早打ちは機敏!瞬殺!高速戦艦の名は伊達じゃないのデース!
――東一局、一本場
…けど、そんな私にも弱点はありマース。
それはクソ配牌デース。
鳴きようのない手ではさながら主砲を失ったかの如くなのデース…。
比叡「あ、お姉様、それロンです!」
ひえっ!?
比叡「役牌とホンイツドラドラ、満貫ですね!」
ひえええぇぇ…
270
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/21(木) 00:01:51 ID:uWKkXELM
そう、私は知っている。お姉様の弱点を!
この比叡、麻雀という戦場においては手加減なし!気合、入れて、和了ります!
お姉様は早鳴きであるが故に手牌に固執する!
圧倒的ツモ切りの多さで手を読み!溜めに溜めた一撃を見舞う!
そう!私の打ち方は弾着観測射撃の如き超火力!
問答無用の鉄槌を浴びせます!
――東二局、親:比叡
さぁ、ここからは私の時間!
手牌は筒子に集中、字牌二種の好手!となればここはやはり混一色!
否!単なるホンイツではなく!そこにイッツーも重ね打ちます!
食い下がりさえ認めません!さぁいきますよお姉様!
リーチ!
金剛「こ、ここでリーチ!?」
霧島「統計学的に考えるとここは殆ど高得点狙い一本…守るしかなさそうね」
霧島、いい読みだよ!そう!形は筒子の単騎待ち!
…と見せかけて!実は既にイッツーの形は成されている!
そう!私が狙うのは字牌!東と發の役待ち!
これによって和了した場合の火力は六飜!跳満確定の航路!
裏ドラ次第で更に高火力に!
霧島「じゃ、まずはここね」一萬
…あれ?
榛名「…」九索
金剛「ふふん!その手には乗らないデスよ、比叡!」五索
…あれれ?
流 局
金剛「いや、ずっと索子と萬子ばっかり出してたら嫌でもわかりますヨー」
霧島「ある意味で正直ですね、すぐに表情に出ますし」
榛名「…」
そう…。
私の弱点…それは、決定的にポーカーフェイスが苦手な事。
そして何より、河ガン無視、捨て牌操作皆無、直線的な突撃…。
いつも結局あがりきれずに負けてしまうのです…。
271
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/21(木) 00:02:26 ID:uWKkXELM
金剛お姉様も、比叡お姉様も、癖が強すぎるのよ。
麻雀は頭脳戦。直球勝負ばかりでは勝つ事はできないわ。
尤も、変化球ばかりでも勝つ事はできない。大切なのはバランスね。
私、霧島流の打ち方は統計に裏打ちされたデータ麻雀。
お姉様たちが狙ってくる箇所を見極め、競り勝つ。
派手さはないけれど堅実な方法なのよ。
――東三局、親:霧島
手牌はごく普通の並び…ふむ、逆に言えば安牌さえ見切れば大敗はない手。
となれば、冷静に河を見切っていけば勝てる。
榛名は字牌、金剛お姉様は九萬、比叡も字牌…うん、特に飛び抜けて好調な家はいなそうね。
ならば、私が攻めるのは今しかない。
第二の捨て牌、そこで私が出すのは六筒。
金剛「いきなり中張牌を出して来るんデスね…!」
比叡「面白い勝負になりそうです!」
榛名「…」
そう、その動揺を誘うのが計略。
勝負に出たと思わせて……実は手は依然として四向聴、大きく進むわけではない。
逆にお姉様たちが勝負に来れば、待ちを早めに察知する事ができる。
その間に私は着実に手を進める。
完璧な計算ね、さすが私。
…十二巡目。
金剛「ポンデース!ふふん、そろそろいい感じに仕上がってきましたネー」
比叡「負けませんよ、お姉様!」
依然手が進まない。
殆ど全てがムダヅモ。ごく少数の有効牌も、当たり牌は金剛お姉様が副露。
これじゃ、意味がない…。
金剛「霧島!ロンデース!」
っ!しまった…!
金剛「霧島はいっつも思わせぶりで、結局和了らないデスねー」
比叡「何狙ってるのかわからなくて怖いですけどね!」
…くっ、私とした事が…。
いや、これもいつもの事か。
私は徹底的にツモ運がない。結局どんなに緻密な計算も運が無ければ意味がないのだ。
272
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/21(木) 00:03:00 ID:uWKkXELM
…。
えっと、榛名です。
今日は麻雀をやってます。…あ、えっと、見ての通りです。
榛名は、他のみんなが楽しんでくれたらいいなと思ってます。
はい、榛名は負けても大丈夫です。
けど、榛名が勝ち続けるときっとみんな楽しくないから。
適度にみんなを勝たせてあげるのが榛名の役割かなって思います。
――東四局オーラス、親:榛名。
…。
だけど、不幸にも榛名は幸運艦です。
できる限り大役を和了しすぎないようにしているのに、大役の方からまるで死神のように榛名に近づいてきます。
この配牌も、そんな手なのでしょう。
19①⑨一九東西南北白發中
…第一ツモ、中。
榛名、全然大丈夫じゃないです。
どうしましょう……とりあえず、ツモ切りです。
金剛「むむむ、なかなか難しいデスねー…けど諦めないデスよー!」
比叡「このまま!逃げ切って!みせます!」
霧島「点棒の移動がここまでは少ない…私の推測では、これから一気に解放されるわ!」
…えっと、二十巡しました。
一度も中張牌が来ません。全て老頭牌です。
このままいくと、流し満貫になってしまうかもしれません。ある意味、一番悔いが残る形です。
どうしたらいいんでしょうか。
そうこうしている間に、海底です。
不運にも、海底牌を引くのも榛名です。
そして、その最後の一枚も、東。
…。
273
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/21(木) 00:03:32 ID:uWKkXELM
榛名「ツモですぅ〜…」
金剛「な、なんですってー!?」
比叡「海底で!ツモですか!」
霧島「…って、ちょっと、国士じゃないの!ってことは、これ今まで打牌全部…当たり牌…」
金剛「Oh...」
榛名「ごめんなさいぃぃ…」
霧島「ちょ、ちょっと!なんで泣いてるのよ榛名!勝ったんだから笑いなさいな!」
比叡「そ、そうです!笑顔です!」
金剛「もう、また気を遣ってたネー?姉妹の間で気を遣うなんてナンセンスデース!」
金剛が優しく榛名の頭を撫でる。
その温かな感触に、涙で濡れた榛名が顔を上げる。
榛名「ありがとうございます…えへ、榛名は、大丈夫です!」
提督「いや、いいんだけどさ、お前らなんで執務室で麻雀やってんの」
(完)
274
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 00:13:03 ID:uWKkXELM
(今更だけど、投下してからIDが変わっている事に気付きました)
(色々と投下してきたID:Ig4yNLbgです)
(今後、このSSの会…及び天鳳の中でのみHNを付ける事にします)
275
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:15:24 ID:uWKkXELM
ついでに、深夜テンション
壁尻青葉の話、一応R-18な感じで
276
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:16:15 ID:uWKkXELM
夜風が涼しい今日この頃。
月明かりの下、鬼怒は妙な表情のまま立ち尽くしていた。
鬼怒「…」
青葉「…あっ、ども…鬼怒、ちょっといいですかね」
鬼怒「どうしたの青葉さん、そのマジパナイ状況は」
青葉「ええ、いえ…ちょっと…あはは…」
ここは軽巡寮……の、外壁。
軽巡量の裏庭と鎮守府の外とを隔てるこの壁は、ごく普通の一般家庭のブロック塀とさほど変わらない。
この外にあるのは市街地であり、そちら側から深海棲艦の攻撃が来る事はまずありえない事から、警備も手薄なのだ。
そして。
その塀を鎮守府の内から見つめている鬼怒の目には、実に珍妙な光景が映っていた。
重巡、青葉。
鎮守府内の新聞を執筆・編集している人物であり、若干過激なパパラッチ行為が賛否両論を巻き起こす、ある意味でこの鎮守府随一のトラブルメーカー。
そんな彼女の『上半身』だけが、鬼怒には見えていた。
鬼怒「えー、つまり?印刷所からの帰りに軽巡寮を覗こうとしたらハマって動けなくなった、と」
青葉「そういう事です!というわけでですね鬼怒、ちょっと悪いのですが青葉の体を曳航…もとい、引っ張ってくれないでしょうか」
鬼怒「…レイテ沖を思い出すね〜」
青葉「そうですねー」
鬼怒「じゃ、また」
青葉「ちょっと待ってー!!!!」
鬼怒「ありゃ、大声出していいのかな、青葉さん?まーたスクープ写真でも撮ろうって算段だったんでしょ?バレちゃまずいんじゃないかな?」
青葉「むむ…ま、まさか強請るのですか!」
鬼怒「相互利益の関係だよ、青葉さん」
鬼怒の楽しそうな笑顔に、思わず青葉もぞっとする。
しかし背に腹は代えられない。この状況を見つけてくれたのが、それなりに親交のある鬼怒であった事をむしろ喜ばなければならない状況だ。
屈辱的ではあるが、悪いのは自分である。
ここは落ち着いて話すしかない。
青葉「わ、わかったよ、鬼怒……もう軽巡寮はパパラッチしないから…」
鬼怒「んー、そんな事はどうでもいいんだけどさぁ」
青葉「?」
鬼怒「人にお願いする時はぁ、ちゃんと『お願いします』って言わないと、ねぇ?」
その微笑は悪魔か鬼か。
青葉は彼女の表情の裏に隠された意図に気付きながらも、選択権がない事も承知している。
やや俯いたまま、青葉は声を潜めた。
青葉「……お、お願いします…助けてください…」
鬼怒「はい、よくできましたー♪」
青葉はようやく知る。
鬼怒がドSであるという事を。
277
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:16:49 ID:uWKkXELM
鬼怒「さて、とりあえず引っ張ってみるかー。手ぇ出してー」
青葉「うん、お願い」
ひょい、と青葉が両腕を前に出す。
その瞬間、鬼怒は素早く青葉の懐に潜り込み――
むに
青葉「ひゃうっ!?ちょ、ちょっと何してるん…!」
鬼怒「んー、ちゃんとお胸が挟まってないか確認しただけだよー」
青葉「ッ〜〜〜〜……も、揉みたいなら後で揉ませてあげるから、今は早く…!」
鬼怒「お、言ったね?」
青葉「……」
鬼怒「んじゃいくよー」
そう言いながら、やっと鬼怒は青葉の両手を取る。
そして、後方に思いっきり体重を掛けた。
青葉「痛い痛い痛い痛い!!!!」
鬼怒「ありゃ、抜けないねー」
青葉「っ……ど、どうやら……完全に引っ掛かっちゃってるみたい」
鬼怒「かと言って塀を崩しちゃったら提督に怒られるしぃ、このまま放置するのが鬼怒にとっては最善手なんだよねぇ」
青葉「い、いやいや、それはやめてよ……朝になったら寮内も外も人が通るし……」
鬼怒「恥ずかしがってる青葉さん見るのも楽しいかなーって思ってねー♪」
青葉「ぐぬぬ…明日の朝刊が間に合わなくなっちゃうよ!?」
鬼怒「あ、それはつまんないなぁ」
青葉「ね、だから早く…」
鬼怒「んじゃちょっと待っててねー」
青葉「えっ、ちょっとどこに行くの!」
278
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:17:26 ID:uWKkXELM
鬼怒は鎮守府の外に回り、青葉の『下半身』と面会した。
軽巡寮のすぐ外は工業地帯であり、今は静まり返っているが朝早くから作業する人もいる。時間的猶予はあまりない。
鬼怒「ぷぷぷwwwww」
青葉「き、鬼怒?外にいるんだね?」
鬼怒「すっごいよぉ、青葉さん。めっちゃ無様!」
青葉「鬼怒、さっきからひどいよ?」
鬼怒「まぁいいや、んじゃこっちから押してみるねー」
むにむに
青葉「あぅっ!…ちょ、ちょっと!お尻撫でてないで……」
鬼怒「ん?お尻じゃなくてこっちがいい?」
青葉「んっ…い、いや、そこはほんとにダメ…あっ……!」
鬼怒「んっふっふ〜♪ 色っぽい声出しちゃってー」
青葉「はぁ…はぁ……ねぇ、ほんとに、早く…」
鬼怒「ところでさぁ、さっきからなんでそんなに焦ってるのさ?一応あと数時間は人通りないと思うよー?」
青葉「! …い、いや、人通りは勿論なんですけどもぉ……」
青葉の足がもぞもぞと動く。
その様子をしばし眺めていた鬼怒は、ふと先程の悪魔的微笑を浮かべた。
黙ったまま、青葉の足元にしゃがむ。
青葉「? …鬼怒、何してるの?」
鬼怒「…」
そして……鬼怒は、青葉のハーフパンツの腰元に手をやると、
青葉「えっ…」
一気にずり下ろした。
279
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:18:03 ID:uWKkXELM
青葉「ひゃっ!?き、鬼怒っ!?」
鬼怒「あ、かわいいパンツだー♪」
青葉「ちょ、ちょっと鬼怒……あんまりふざけてると、いい加減怒りますよ?」
鬼怒「おやおやぁ、そんな態度で助けてもらおうなどと?」
青葉「くっ…」
鬼怒「それからパンツもー」
青葉「えっ…」
鬼怒「えいやっさ!」
青葉「!!!!」
途端に青葉の下半身が涼しくなる。
敏感な部分に夜風が当たっているのが感じられ、壁の向こう側で思わず赤面する。
相手が仲のいい人物だとしても、いきなり局部を露にされた上に何をされるかわからないとあれば、嫌でも最悪の結末を想像してしまう。
青葉「や、やめて……やめてください、鬼怒……」
鬼怒「なぁに、安心してよ。傷つけるような真似はしないからさー」
青葉「! き、鬼怒、まさか…」
鬼怒「さ、ちょっと黙ろうねー」
ぺちん、と鬼怒が平手で青葉の尻を叩く。びくりと青葉の身体が揺れた。
鬼怒「青葉さんさー、今日徹夜仕事だったんでしょー?って事は、お手洗いも行けてないって事だよねぇ?」
青葉「ッ…鬼怒…やっぱり……」
鬼怒「今ズボンもパンツも脱がせてあげたからさ。しちゃいなよ。今」
青葉「そ、そんなっ!き、鬼怒の見てる前で、なんて…」
鬼怒「早く」
もう一度平手が飛び、思わず青葉の目に涙が浮かぶ。
恥辱的だと。屈辱的だと。そう感じるよりも前に、この状況に抗いきれない自分の心が不甲斐なかった。
事実、貯水量ももはや限界に近い。
しかしさすがにそこまで自尊心を蹴落とすのは、この状況下だとしても躊躇われた。
鬼怒「早く、早く、早く」
幾度となく鬼怒の平手が飛ぶ。
青葉「あっ、あっ……」
もう尻は真っ赤になっている事だろう。
仮にも艦娘の攻撃を受け、無事である筈がない。
もはや青葉は心身共に限界だった。
280
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:18:39 ID:uWKkXELM
神通「あの…何をお騒ぎになってるんですか…?」
青葉「っ!?」
その時、突然前方から聞こえた声に思わず青葉は顔を上げた。
そこにいたのは、二水戦の長、神通。
しかも彼女だけではない。
川内「何?夜戦?」
那珂「えー、こんなところでー?お肌が荒れちゃうなぁ」
川内型三姉妹。
青葉も幾度となく彼女達のスクープ写真を収めてきた。あまり頼りたくはない相手だ。
しかし、今はそうも言っていられない。
壁の向こうで鬼怒は未だ平手打ちを繰り返しているし、この機会を逃したら鬼怒の玩具にされて終わりだろう。
青葉は、彼女達を見上げて叫んだ。
青葉「た、助けてくださいっ!お願いですっ!」
神通「えっ……」
川内「どうしたのさ、青葉さんらしくないね」
那珂「ねぇ、青葉さん泣いてるよ?本当にまずいんじゃない?」
神通「そ、そうね…助けてあげましょう……お手を、失礼します」
神通が青葉の右手、川内が青葉の左手をそれぞれ取る。
そして那珂は壁に面して青葉の胴体を抱きかかえた。
神通「いきます!」
――その瞬間、ぐいんと大きな力が青葉の体を揺らした。
軽巡トップクラスの実力者である三人の渾身の引きを受け、ブロック塀の一部が折れるように崩れた。
青葉「わわっ!!」
そして。
そのまま、やや大きめの穴を残して青葉の体は一気に内側へと引き抜かれた。
281
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:19:12 ID:uWKkXELM
神通「きゃっ!」
川内「あいたっ!」
那珂「きゃあ!」
青葉「っ…!」
四人が一気に裏庭の地面に倒れ込む。
鬼怒「んぉ?」
一方で、壁の外にいた鬼怒も突然引っ込んだ青葉に呆然としていた。
川内「いったぁ…みんな、怪我はない?」
那珂「あいたたた…あれ、鬼怒?なんで壁の外にいるの?」
神通「えっ……あら…この時間の外遊は禁止ですよ、鬼怒」
鬼怒「え、あっ…ごめんなさい…」
神通の鬼のような独特の雰囲気に飲まれ、鬼怒は慌てて鎮守府の門の方へと走っていく。
当の青葉は一瞬意識が飛びかけたが、なんとか気を失う事はなかった。
青葉「ども…恐縮です…」
那珂「まぁ、青葉さんが無事でよかっ――」
川内「そうだね、特に何事もな……あっ…」
神通「?」
その瞬間、三人が固まる。
依然立ち上がれずにいた青葉は、その一瞬の沈黙の意味を理解できず、顔を上げた。
三人の視線は青葉の下半身、そしてその下の地面に向いていた。
青葉「えっ?……あ」
三人の視線の先。
青葉は、一瞬の気の緩みから――限界だった貯水槽の門を開けてしまっていた。
しかも、鬼怒に脱がされた為に遮るものなど何もない。
聖水の瀑布が、地面に大きな水たまりを作る……三人は、その瞬間を目撃してしまったのだ。
神通「きゃあああああああああああああ!!!!」
川内「じ、神通!落ち着いて!」
那珂「わわっ…と、とにかく、タオルっ…!」
そして、それを理解した青葉も。
青葉「あ、あ……あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
騒乱の声が夜の鎮守府にこだました。
282
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/21(木) 02:19:43 ID:uWKkXELM
その後。
青葉の痴話で鎮守府内は持ちきりとなった。
青葉はしばらく『壁尻』という渾名を頂戴する事となる。
青葉「いやぁ、まさか記者である青葉が一番のスクープになってしまうとは……」
鬼怒「…」
青葉「…鬼怒?」
鬼怒「……ごめんなさい。マジに調子に乗り過ぎた…よね」
青葉「……いや、いいんです。鬼怒も、まぁ遊びがあったとはいえ、青葉を助けてくれようとしてくれたんですから。だから、提督にもご報告しなかったんですよ。パンツはたまたま脱げてしまっただけだと言い訳しましたから」
鬼怒「……」
青葉「ほら、アイス溶けちゃいますよ?」
鬼怒「ねぇ」
青葉「はい?」
鬼怒「……揉ませてくれるって、言ったよねぇ?」
青葉「……えっ」
鬼怒「後で、いくらでも、揉ませてくれるって、言ったよ、ねぇえ?」
青葉「えっ、いや、それは……た、たしかに言いましたけど、それは、その……」
鬼怒「鬼怒からのお詫び!今夜は寝かせないからねっ!」
青葉「な、なんでそうなるんですかー!!!!」
(完)
283
:
名無しのおんJ提督
:2016/04/23(土) 14:26:15 ID:Q71kOBpM
24駆のはなし
江風「二四駆逐隊でお花見するかな〜、明日は二四駆のみんな非番にしてくれよ」
提督「しばらく暇だしいいぞ」
江風「じゃそゆことで〜」
翌日
江風「よっ」
海風「いい天気になりましたね」
涼風「バッチリだね!」
江風「んー、1人足りないな。ちょっと呼んでくるよ。」
江風「おーい、いるかー」
??「何よ」
江風「入るぞー」
江風「なンだ準備できてるじゃんか、どしたー?」
満潮「・・・私が行っていいのかわからなくて」
江風「何言ってんだ、二四駆じゃないか」
満潮「あなたのことよく知らないし・・・」
江風「なら、今から知っていこうぜ。ほら行こうぜー」
満潮「ん・・・」
江風「これで全員揃ったね!」
涼風「いよっ!主役は遅れて登場だね!」
海風「では、行きましょうか」
満潮「・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
提督「どうして二人は酔い潰れてるんだ?」
涼風「えーと・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーー
江風「満潮はお子様だからな〜ジュースでいいよな」
満潮「はぁ?お酒くらい飲めるわよ!」
江風「おっならこのウォッカにしよう!」
満潮「え・・・い、いいわ!水みたいなもんね!」
海風「江風ぇ・・・そんなに飲んだら・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーー
涼風「というわけで」
海風「すみません本当にすみません」
江風「ウーン…もう吐くわー」
海風「待ってここではしないで!」
江風「なんてウッソー・・・Zzz・・・」
海風「・・・・・」
満潮「ムニャムニャ…今日は…ありがと…ムニャムニャ…」
おわり
284
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/23(土) 18:54:27 ID:uWKkXELM
満潮かわいい(確信)
という事で今度は初月かわいい話をば
285
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/04/23(土) 18:55:00 ID:uWKkXELM
初月「…」
ここは鎮守府内の食事処。
立ち上る湯気に、初月は目を細めた。
初月の目の前にはラーメンが出ている。
さっぱり系のスープと細麺、野菜をふんだんに使って健康面にも気を遣ったこのラーメンは食事処屈指の人気メニューだ。
温かなどんぶりを前に、初月は一旦息を飲む。
輝く褐色の水面が目に映る。
初月「…いただきます」
丁寧に合掌してから、箸とレンゲを手に取る。
麺を具と絡ませてそっと持ち上げ、そして静かに口に運ぶ。
初月「…うん」
普段は冷徹な初月の表情が、ほんの少し緩む。
宵闇の如き初月の双眸が僅かに輝き、咀嚼の度に柔らかな髪が揺れる。
言葉にせずとも、一口のラーメンが初月に与えた充足感は、その顔を見れば瞭然であった。
続いて、レンゲをスープに沈める。
渦を描いて注がれるスープ。その色を確かめながら、レンゲを浮かす。
初月は指先で側頭の髪を耳に掛けながら、その輝く色を確かめるように唇を寄せた。
僅かに熱かったのか、一旦唇を離し、撫でるような息を吹きかけてから再度口を付け、そして一気に喉に注ぐ。
ふわりと広がったスープの優しい香りに、初月の口角が僅かに上がった。
提督「…なぁ、初月」
初月「うん?」
提督「お前さぁ、ほんとに美味しそうに物食べるよな」
初月「そうかな?」
提督「うん。幸せそうな顔してる」
初月「…なんだか恥ずかしいな」
照れくさそうにはにかみながら、初月は尚も食事を続ける。
食事ができる喜びを噛みしめる、そんな表情で。
(完)
286
:
『春の執務室』01
:2016/04/27(水) 11:34:57 ID:j97ucktY
『春の執務室』
フッフーン♪
春の暖かな空気に溢れた鎮守府。
その執務室から、可愛らしい歌声が聞こえてきた。
「はーるがきーたー♪はーるがきーたー♪」
榛名が執務室の飾りを春模様にしている。
「どこへーきたー♪」
綺麗な花がさしてある花瓶を飾りながら陽気に歌っている。
「よし、これで完成です!」
部屋を見渡し、達成感に満ち溢れた表情を浮かべてながら榛名はそう言った。
すると榛名の動きが止まった。視線の先には提督の執務机があった。
榛名の電探がピコンと動いた。回りの様子を伺っているのだ。
そうして榛名は静かに机に向けて歩きだした。
「はーるなきーたー…♪」
「はーるなきーたー…♪」
歌詞もそうだが、歌い方が先程と明らかに違う。
小声で囁くように歌いながら、榛名は机に近づいていく。動きは静かだが、電探が激しくピクピク動いている。かなり周囲を警戒している様子である。
聴かれるのがとても恥ずかしいのだろう。
287
:
『春の執務室』02
:2016/04/27(水) 11:36:06 ID:j97ucktY
提督自慢の豪華絢爛執務机の前で立ち止まった榛名は、もう一度周囲を確認した。
そうして体を提督の椅子に預けた。
ギシッっという椅子の軋む小さな音が、何倍にも増幅されたように静寂の中に響き渡った。
榛名は暫く俯いたままだった。小鳥のさえずりが開けた窓から流れ込んできているが、執務室はとても静まり返っていた。部屋の隅にある振り子時計の音だけがリズミカルに音を鳴らしている。
その時計の分針が一目盛り分動いたときだった、ようやく榛名は顔をあげた。榛名には珍しくどことなく勝ち誇ったような顔をしていた。
「はーるなきーたー♪」
「はーるなきーたー♪」
先程よりは大きな声でまた歌いだした。
「ここへーきたー♪」
そのまま机に突っ伏した。
「ふふっ。提督、榛名はここにいますよ♪」
問いかけるように独り言を言っていた。そして伏したまま机を撫で、また歌いだした。
「はーるなきーたー♪はーるがきー…」
「何をしてるんですか?」
「!?」
いつの間にか目の前に大淀が立っていた。
288
:
『春の執務室』03
:2016/04/27(水) 11:40:01 ID:j97ucktY
「あ…あ…、あの、これは…。」
顔が真っ赤である。
「お、お掃除です!お掃除をしていたんです!」
「なるほど、そうですか。」
大淀は全てを知っているようにニコッと笑った。
「あの…大淀さん。」
「なんですか?」
「今のことは、提督には内緒にしてください…。」
「いいえ、それはできません。」
「そ、そんな…。この事が提督のお耳に入ったら、榛名、恥ずかしくてもう提督の顔を見ることが出来ません。」
「なんでじゃああんな恥ずかしい歌を…。」
「その…ち、ちょっと気分が高揚して…。」
「はぁ…。」
「なので、あの…提督には…内緒で…。」
「それはできません。」
「なんでぇ!」
半分泣き顔になっていた。
289
:
『春の執務室』04
:2016/04/27(水) 11:40:46 ID:j97ucktY
「仕方ないですね、じゃあ条件を出しましょう。」
「え?」
「明日の艦娘幹部会議でその歌を幹部艦娘に披露する。それをやってくれるんでしたら提督には内密にします。」
「ええええ…。そんなぁ…。」
「どうですか?やりますか?」
「そんなの…榛名には…榛名には…」
もはやどうしようもなくなっているようだ。
目を潤めて小刻みに震えている。
「プッ…アハハハハハハ!!」
突然大淀が笑い出した。
「お、大淀さん?」
「いやー、やっぱかわいい奴だなぁお前は。」
バリバリユウバリーっという音と共に、大淀の中から提督が姿を見せた。
290
:
『春の執務室』05
:2016/04/27(水) 11:42:54 ID:j97ucktY
「て、提督!?」
「いやー、大和の変装術はなかなかだなぁ。」
「な、何をされているんですか…?」
「何って、いや、大淀に変装してお前を驚かそうと。」
「じゃあ今のやり取りは…。」
「あんなこと大淀が言うわけないだろ、お馬鹿さんめー。」
ようやく状況が飲み込めたらしく、榛名は涙をぬぐいながら、
「いじわる…。」と小声で言った。
「すまんすまん。榛名ならばれるかなーっと思ったんだがなぁ。変装が完璧すぎたか…。」
「…でも安心しました。」
榛名はようやく落ち着いたようで、笑いながら話し始めた。
「大淀さんがあんなことするわけないですよね。榛名も少し考えが浅かったです。
でも凄い変装ですね!榛名全然分かりませんでした。
でもよかったです、これで…。」
突然声が止まった。それを見た提督は不適な笑みを浮かべた。
291
:
『春の執務室』06
:2016/04/27(水) 11:45:11 ID:j97ucktY
「ん?これでどうしたのかな?」
「あれ?お、大淀さんが提督で大淀さんがさっきの歌を聴いていて…。」
思考回路がプスプス音をたてているのがはっきりとわかった。
「て、提督…あのぅ…先程のお歌は…」
「あぁ、良い歌だったな。できればもう一回聴きたいな。」
「あっ…、あっ…。」
みるみる顔がさっき大淀に見せたものよりも真っ赤になった。
「ん?どうした?歌ってくれないのか?」
榛名は俯きながら唸り声を上げている。
「なんだ歌ってくれないのか、しょうがないなぁ…。」
提督は執務室全体を見渡した。
「おーい比叡!どうだー?うまくいったかぁ?」
「へ!?」
慌てて榛名が顔をあげた。すると振り子時計の方から「はーい!バッチリですよー!」と声が聞こえた。
「おー、そこにいたか!もう出てきていいぞー。」
と提督が呼び掛けると、振り子時計がヴェルヴェルヴェールヌイーっと音をたてて割れた。
中から比叡が出てきた。
292
:
『春の執務室』07
:2016/04/27(水) 11:48:16 ID:j97ucktY
「お、お姉さま!?」
「榛名ぁ、さっきのかわいー歌はバッチリ録らせてもらったよぉー?」
「(*^○^*)そ、そんな…。」
「よし、よくやった比叡。」
「提督!これは一体どういうことですか!」
ここに来て始めて榛名が意見した。
「いやー新年度だし、新規着任艦向けの紹介動画として総隊長の榛名の仕事ぶりを密かに撮ってビデオにしようと思ったんだよ。」
「」でも思わぬものが録れてしまいましたねぇー。」
比叡がニタニタ笑っている。
「それにしても比叡、このビデオどうしようかね?」
「そうですねー、取り敢えずまず金剛おねぇさまに見せてですねぇ…」
「そのあと幹部会で上映といこうかね。」
そんなことを話ながら二人はゲスな笑みを浮かべた。
293
:
『春の執務室』07
:2016/04/27(水) 11:49:39 ID:j97ucktY
榛名は黙ったままである。
「なあ榛名?どうだ?」
「これはみんなに紹介しないとねぇ?」
二人が笑いながら問いかけるが、榛名は俯いたままで返事がない。
「おーい?榛名?」
「榛名ぁ?聞こえてるー?」
「・・・バ…」
「「バ?」」
二人が聞き返した。
「バ・・・バカァァァァァァァァ!!!」
榛名は瞬時に艤装を展開し主砲を二人に向けた。
「お、おい馬鹿やめろ!」
「ひ、ヒエエエエエエ!!」
「勝手は、榛名が、許しませええええええん!!」
ドーンという音と共に執務室から黒煙が上がった。
鎮守府は今日も平和であった。
大和に説教を食らっている若干2名を除いて。
294
:
『春の執務室』09
:2016/04/27(水) 11:50:14 ID:j97ucktY
完!
295
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 20:58:59 ID:XfcmGDXI
久々に書いていきます
長編になります
296
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 20:59:44 ID:XfcmGDXI
タ級「…」
青年「…」
この日、連合海軍所属の横須賀研究所に一隻の『艦船』がやって来た。
深海より現れ、突如人類に襲い掛かった謎の存在、深海棲艦。
艦船の艤装を軽々と扱い、超弩級戦艦をも沈める圧倒的な戦闘力を持つ。
国連は全世界共同の海軍を設立しこれに応戦するも、通常の艦船では相手にならず、幾百幾千の犠牲を払ってきた。
そして深海棲艦の到来から数年後の8月15日、遂に連合海軍はある『敵艦』の鹵獲に成功する。
全ての艤装を剥がれた上に鎖で全身を拘束されたままの姿で、その『艦船』はこの研究室へ運ばれてきた。
その名は、戦艦タ級。
タ級「……」
青年「……」
この研究室の主任である青年は、運ばれてきた『艦船』を見て驚きを隠せないでいた。
伝え聞いていた『深海棲艦』、その戦闘力や凶暴性から、青年はてっきり男性型だとばかり想像していたのである。
しかし白い肌を晒して苦悶の表情を浮かべるその『艦船』は、姿形こそ異形ではあるが、どう見ても女性型だった。
青年「驚いたな。こんな少女だったとは」
タ級「……舐メテイルノカ?小娘デ悪カッタナ」
青年「ふむ、しかも言語体系も人類と同じか」
タ級「貴様……」
青年「安心しろ、殺しはしない。大事な実験体だからな」
タ級「……」
その日から、『人間』と『深海棲艦』の、奇妙な日々が始まった。
297
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:00:17 ID:XfcmGDXI
二日目。
今日は尋問が主な研究内容だ。
とはいえ、無理に聞き出す事はしない。
青年「……なぁ、キミ」
タ級「キミ、ジャナイ。私ノ名ハ『タ級』ダ」
青年「そうか。ところでキミ、飯は食わないのか?」
タ級「グヌヌ……我々ハ食糧ヲ必要トシナイ。燃料サエアレバソレデイイ」
青年「燃料、か。面白いな」
拘束されて独房に入れられたままのタ級を、青年は檻の外から観察する。
病的な程に白い肌や闇夜で輝く双眸などの特異な点はあるが、外見上は人間と殆ど変わらない。
むしろ顔立ちや体型だけを見れば、美人と言って差し支えないだろう。
青年「キミ達『深海棲艦』は女性しかいないのか?」
タ級「オス個体ハ存在シナイ。必要モナイカラナ」
青年「ほう?となると、生殖能力はないのか」
タ級「我々ハ地球ノ怨嗟ニヨッテ生マレ、海ノ闇ニ育ツ」
青年「ふむ、では確認してみてもいいか?キミに生殖能力があるかどうか」
タ級「ハァ!?キ、貴様、何ヲ言ッテ…!」
青年「生殖能力はないのに羞恥心はあるのだな、不思議なヤツだ」
タ級「クッ……キ、貴様…イズレ殺シテヤル…」
298
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:00:57 ID:XfcmGDXI
八日目。
ようやく枷を外していいという命令が下る。
対深海棲艦用の兵器、特製12cm単装砲が完成したからだ。
青年「これで多少戦況は変わるかな」
タ級「貴様ラ…私ノ仲間ヲ殺シタラ、タダジャオカナイゾ…!」
青年「今まで何万と人類を殺してきたキミ達が言えた義理ではないだろうに」
タ級「クッ……」
青年「ところで、まだ腹は減ってないのか?」
タ級「ハァ?…ダカラ、食糧ハ必要ナイと前ニ言ッタダロウ」
青年「燃料さえ口にしてないじゃないか。それに、目に見えてやつれている」
タ級「……敵ニ施シヲ受ケルツモリハナイ」
青年「そうか、残念だな。ここに一本燃料缶があるのだが」
タ級「!」ガタッ
青年「おすわり!」
タ級「ワン! …ッテ、貴様、何ヲサセルンダ」
青年「かわいいとこあるな、キミ」
タ級「……ウルサイ」
299
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:01:31 ID:XfcmGDXI
十三日目。
研究所側が危害を加える事はないとわかったのか、或いは研究員数名を殺したところで脱走は難しいと判断したのか、タ級も表立った反抗はしなくなった。
すっかり大人しくなったタ級は、青年が持ってくる物などに興味を示すようになる。
タ級「……ナァ」
青年「何だ」
タ級「ソノ、ソレハ何ダ?貴様ガ飲ンデイルノハ」
青年「これか?これはコーヒーだが」
タ級「コーヒー……ウマイノカ?」
青年「食糧は必要ないんじゃなかったのか」
タ級「……別ニ、全ク食ベラレナイワケデハナイ。嗜好品トイウ意味合イデ、食事ヲスル事ハアアル」
青年「そうか。じゃあ飲んでみるか?」
小さいマグカップに、ドリッパーからコーヒーを注ぐ。
それを檻の前に置くと、タ級は両手でそれを取り、くんくんと匂いを嗅いだ。
タ級「……味ワッタ事ノナイ香リダナ」
そう言いながら、マグカップにそっと口をつける。
タ級「……苦イ」
青年「まぁ、そうなるな」
タ級「ダガ…悪クナイ味だナ」
青年「そうか、それじゃあ今度紅茶を持ってきてやろう。それなら飲めるだろ」
タ級「コウチャ……ウン、待っテイル」
その瞬間、少しリラックスしたようにタ級が笑顔を見せた。
優しく、温かい笑顔。
その表情に、思わず青年も目を見張る。
喩え異形の者だとしても、彼女もまた一人の生き物なのだ。
喜ぶ事もあれば、悲しむ事もあるのだろう。
その日、青年は報告書に『人間性、及び感情の起伏を確認』と書いた。
300
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:02:03 ID:XfcmGDXI
十九日目。
人類は深海棲艦に対し有効打を見せ始めていた。
近海の安全圏を確保すると共に、複数の洋上基地を制圧するなど、徐々に防衛面が強化されていく。
研究所のある横須賀も、安全圏の一つとなった。
タ級「……」
青年「どうした」
タ級「声がシナイ」
青年「声?」
タ級「私ヲ探ス、仲間達ノ声。ケド、沈んデハイナイ…命ハ感ジる…」
青年「不思議な力があるんだな、キミ達には」
タ級「人間ニハ無いノカ?」
青年「ああ、人間は不便な生き物だからな」
タ級「……ソウ、カ」
目を伏せながら、タ級は紅茶のカップに口をつけた。
その横顔は憂いさえ覗く。
そんな表情を見て、青年は、
青年「……仲間達のところへ、帰りたいか?」
思わず呟く。
タ級も驚いたように顔を上げた。
タ級「……何ヲ」
青年「今までこうして一緒に過ごしてきたが、やはりキミも一人の人間のようにしか思えないんだ。故郷に仲間がいるのなら、帰りたいと思うだろう」
タ級「……帰りタイ、帰リタイヨ。けド……此処ヲ離れタラ、貴様ニモ責任がアルダロウ?」
青年「意外と真面目なんだな、キミは」
タ級「……私ハ捕虜ダ。捕虜ニハ捕虜ノ信条とイウモノがアル」
青年「……そうか」
301
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:02:38 ID:XfcmGDXI
二十四日目。
この日、タ級は初めて檻の外に出る事が許された。
立ち上がり、大きく背伸びをする。
タ級「んっ……アァ、何ダカ嬉しイナ」
青年「一応、報告書に『抵抗の様子なし』と書き続けた甲斐があったかな」
タ級「良イノカ?モシ私が暴レタラ、貴様の責任ダゾ?」
青年「捕虜には捕虜の信条があるんだろ?」
タ級「……フフ、そうダッタナ」
笑顔を見せるタ級、その頭を青年がそっと撫でる。
気持ちよさそうに目を細める様が、まるで子犬のようだ。
よく見ると、肌は随分と血色が良くなっている。
髪色も今までは真っ白だったのが、今では少し色づいたようだ。
やはりというか、肌色が戻ると普通の少女にしか見えない。
青年「そういえば、キミにあげたい物があってな」
タ級「うん?ナンダ?」
青年「ほら」
青年が差し出したのは着物だった。
青年「ずっと服着てなかっただろう?女の子なんだから、ちゃんと服は着てた方がいいだろうさ」
タ級「あっ……ソウ、ダッタナ……アリガトウ」
羞恥心を思い出したように頬を赤らめつつ、タ級が服を受け取る。
袖を通し、すっかり長くなった髪を整えて、帯を締める。
タ級「……似合うカナ?」
青年「うん、似合ってる」
優しい秋の陽射しを受けて、タ級は柔らかな笑みを浮かべた。
302
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:03:32 ID:XfcmGDXI
三十二日目。
戦況に変化が訪れた。
深海棲艦は今までの尖兵に加え、超火力を誇る『姫』を動員。
弾薬を食らう戦艦棲姫、無限に艦載機を放ち続ける飛行場姫、俊敏な動きで前線を蹂躙する軽巡棲姫。
対深海棲艦用の装備も運用方の限界を迎え、遂に戦線は押し戻され始めた。
そして、戦火は横須賀にも及ぶ。
夜の二時、響くサイレンの中、青年は窓の外を見遣る。
青年「来たか」
タ級「皆が…戻って来タ……」
青年「声は、聞こえるか?」
タ級「マダ、遠い……けど、感ジル」
青年「……」
タ級「……」
思わず、二人の目が合う。
このままでは、すぐにこの研究所も破壊されるだろう。
青年「……よかったじゃないか」
タ級「ウン、ダケド……貴様ト離れるノガ…嫌だ」
青年「馬鹿言え。俺が深海棲艦側に行く筈はない」
タ級「……」
青年「そこの扉から、裏路地に出られる。裏路地からはすぐに港だ。キミはそこから仲間達の所へ行け」
タ級「……貴様ハ、どうするンダ…?」
青年「さぁね。キミに殺されるのなら、嬉しいかな」
タ級「馬鹿ナ事言ウナ……貴様ハ殺せナイ」
そう言いながらも、タ級は足早に扉の下へ駆け寄る。
最後に、ちらりと青年の方を振り返る。
タ級「……さよなら」
青年「あぁ、じゃあな」
扉を開けて、タ級は外に出る。
その後ろ姿を見つめながら、青年は一人、残されたティーカップを見つめる。
303
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:04:07 ID:XfcmGDXI
三十二日目の朝。
横須賀近海に現れた深海棲艦の軍は、結局陸地へ進攻する事なく撤退した。
その理由は不明だったが、研究所内も安堵の空気に包まれる。
ただ一人、青年だけは、タ級が合流した事で撤退したのだろうと察していた。
青年は研究室に籠ったまま、報告書にペンを走らせる。
タ級を取り逃がした言い訳を考えつつ、コーヒーカップに口を付けた。
その時。
ドンドン
青年「ん…?」
扉が叩かれた。
廊下に続く表の扉ではない。つい数時間前、タ級が出て行った裏の扉の方だ。
青年「誰だ?」
声を遣ると、扉ががちゃりと開く。
そこには、
青年「…!」
タ級「……ヤァ、ただいま」
青年「なっ…」
タ級がいた。
しかし、明らかに様子がおかしい。
覚束ない足取りで研究室内に入って来ると、そのまま前のめりに倒れ込む。
青年が慌ててその身体を支えると、既に彼女は満身創痍だった。
息も乱れ、よく見れば背中からは血を流している。
青年「おい、大丈夫か!?」
タ級「ハァ…ハァ……ソノ、デキレバ…鋼材が、欲シイ」
青年「鋼材…?」
タ級「我々…深海棲艦は…鋼材デ傷ヲ癒せる…」
青年「そうか、ちょっと待ってろ」
304
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:04:39 ID:XfcmGDXI
数時間後。
とりあえずの応急処置を済ませ、意識もはっきりしたタ級が全てを話してくれた。
深海の仲間達の下へ、急いで向かった事。
誰にも見つからずに海に出て、なんとか合流できた事。
タ級「けど……ミンナは、私ヲ歓迎しなカッタ…」
青年「何故?」
タ級「ワカラナイ……突然砲撃を受けテ…なんトカ逃げテキタ…」
青年「…」
青年もなんとなく理由を察する。
もう既にタ級の見た目は当初と全く違う。
何故そうなったのかはわからないが、本当の人間の姿に限りなく近くなっているのだ。
彼女の姿を見た深海棲艦は、彼女を敵を判断したのか、或いはもう不要な存在だと判断したのか。
いずれにせよ、タ級はもう『深海棲艦』と認められなくなったのだ。
タ級「ネェ…私は、コレからどうシタらイイ…?」
涙を浮かべ、縋るように訊ねてくるタ級に、青年も考える。
しかし、何も言えない。
彼女の迷いを察してやれない程、彼も鈍感ではなかった。
タ級「もう、みんなト一緒ニハ戦えナイ……ケど、人間にナル事はデキナイ……ドウすれバイイの……」
青年の胸に顔を埋め、涙を流す。
深海棲艦でも、人間でもない、一人の少女がそこにはいた。
青年も、迷って、考えて、そして。
そっと、彼女の肩を抱いた。
青年「そうだ……それなら、こうすればいい」
タ級「……?」
305
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:05:14 ID:XfcmGDXI
時は進み、5月18日。
横須賀研究所は、対深海棲艦用に作られた特製35.6cm連装砲を仕入れる。
あまりの火力故に運用が困難とされた専用大型砲。
その特殊な艤装は、ある『一隻の艦船』に与えられる。
青年「行けるか?」
???「艤装OK、推力OK、行けマス!」
青年「よし、それじゃあ行こうか……戦艦『金剛』、抜錨せよ」
金剛「任せてくだサイ!」
連合海軍に突如としてもたらされた新たな戦力、『艦娘』。
横須賀研究所はこの日より『横須賀鎮守府』と名を変え、深海棲艦掃討の前線基地として始動する。
初代提督は、旧横須賀研究所の元主任。
そして第一号艦娘『金剛』、彼女の経歴を知る者はいない。
後に、提督はこう語る。
『艦娘ハ人ニ非ズ。愛情ニヨッテ成リ、恋慕ニヨッテ成長ス』
(完)
306
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/10(火) 21:06:27 ID:XfcmGDXI
なっが…要約力なさすぎやろワイ…
すまんな
307
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:09:52 ID:O8ZjopLw
ワイ、イベントで忙しいのに何故か突然短編を書く
ろーちゃんとグラーフがラーメン二郎に行く話やで
308
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:10:39 ID:O8ZjopLw
ろー「グラーフさんも日本に慣れてきた頃だと思いますって!」
グラ「うむ、ユーは慣れすぎだと思うが」
ろー「突然ですが、ろーちゃんは提案しますって!
せっかくなので、日本の誇る『ラーメン』を食べてみたくはありませんか!?」
グラ「本当に突然だな。まぁ、ヤーパンに来たからには食べてみるのも悪くないな。
『Andere Länder, andere Sitten.』、『郷に入らば郷に従え』というやつか」
ろー「その通り!ということで、さっそく行きましょう!」
グラ「その前にお願いだから下は穿いてくれ」
309
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:11:45 ID:O8ZjopLw
グラ「何だこの行列は!?えーと、ラーメン……何だ?」
ろー「『ラーメンジロー』ですって。ここ、いっつも混んでるんですって」
グラ(あの黄色と黒の看板……神聖ローマを彷彿とさせるいいデザインだ。
それに並んでいるのは男たち、それに皆屈強だ……
なるほど、ここは男たちが精神鍛錬のため為に長時間並び、
そしてがっつり食べて身体を作るといった趣旨なのだな。実に興味深い)
ろー「グラーフさん、先に食券買いますって! 小と大があるけど……
初めてなら小にした方がいいですって」
グラ「いや、ここは大にすべきではないか?」
ろー「えっ」
グラ「食事も自己鍛錬のうち。しっかり食べて身体を作ることも重要だ」
ろー(多分途中でやられちゃうと思うしこっそり小にしてもバレないですよね。
ろーちゃんはちょっと攻めて小ブタです!)
店員「お客様、大ですか小ですか?」
ろー「小と小ブタでお願いしますって」
店員「かしこまりましたお待ちください」
310
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:12:32 ID:O8ZjopLw
店主「二名様どうぞー」
ろー「さぁ入店です!」
グラ「うむ、失礼する…………!?」
グラ(なんだこの熱気は!?まるでサウナのような……
工廠よりもさらに熱に満ちている……そして蒸し暑い……
あの巨大な釜は!?中身は湯気でよく見えないが……魔女の釜もかくや、といったところか
……そして一心不乱に麺を食す男たち……何とも異様な空間だ……)
グラ「ユーよ、これがヤーパンの『ラーメン』だというのか。イメージとはずいぶん違うな」
ゆー「いやまぁ『ジロー』はちょっとトクベツなんだけど……」
グラ「俗に『チューカソバ』とも呼ばれるものを私は想像していたのだが……」
ゆー「あれとはかなり違いますって。ジローはジローです、はい!」
グラ「そ、そうか……」
311
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:13:28 ID:O8ZjopLw
店員「お客さんニンニクいれますか?」
グラ「わ、私か?」
店員「小ブタの方です」
ゆー「ニンニクヤサイマシアブラマシマシで」
グラ(なんだ今のは……!?呪文としか思えない文言だ……
あの大鍋に今の呪文……いったい何を呼び出すつもりなんだ!?
しかもここは鍛錬の場……ということは何か敵意を持った『ラーメン』が出てきて戦うとか、
そんなことではあるまいな!?艤装も何もない状態で戦わねばならないのか……)
店員「隣の方ニンニクいれますか?」
グラ(いや、ここは己を鍛えるためだ、挑戦するほかあるまい……!)
グラ「とびきり強いのを頼む」
店員「……?」
ゆー「ニンニクアリ普通でお願いしますって」
店員「はーい」
グラ(……………………何か間違ったらしいな、私は)
312
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:14:10 ID:O8ZjopLw
店員「はいこちら小ブタニンニクヤサイマシアブラマシマシです。
んでこちらが普通ニンニクアリです」
ろー「ダンケ、ですって!」
グラ「んなっ……!?」
グラ(なんだこれは……アルプスの峰と見紛うばかりの白いもやしの山、
強烈な刻みたてニンニクの香り、拳ほどもある肉塊……
日本人はこれを完食できるというのか!?)
ろー「いただきまーす!」
グラ(というか、ろーは一切臆しない……それどころか何だ、あの技術は。
山盛りの野菜が一瞬で消えて麺が出てきたではないか。
この一瞬で食べた……いや、ひっくり返したのか。
なかなか面白いことをするじゃないか。)
ろー「グラーフさん、早く食べないと伸びちゃいますよ? ねぇ?」
グラ(…………よかろう、私とてドイツの誇る艦娘だ。
ヤーパンの男たちにだって負けぬ屈強なゲルマン魂で、この試練を食らいつくしてやろう)
313
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:15:30 ID:O8ZjopLw
グラ「うぅ……きつい……」
グラ(舐めきっていた……!小麦とはこんなに重量のあるものだったのか……?
いや、それだけではない。
初めの単調だったただの茹で野菜にショーユをかけ、スープに浸して食べるあのほくほくした食感に
私は騙されていたというのか!?
ああやってさくさくと食べ進め、ご褒美とばかりに肉にありつく。そこまではいい。
だが肉を食べ終えると、そこには一面極太麺の海だ。
既に野菜で顎が痛いのに、この仕打ちは苦行以外何と表現すればいいんだ?)
ろー「やっぱりヤサイ少なめの方がよかったのかなぁ」
グラ「案ずるな、この程度容易い……!」
グラ(ろーに心配されるようではドイツ空母の名折れ……!
私の誇りはこのようなところで折れたりはしない!)
ろー「おお、かっ込みますねぇ!」
グラ(さっきまでは気にならなかった背脂が、ここに来て口の中に飛び込む感覚が明瞭になってきた。
液体をずるりと重くさせている。できるだけスープを飲まずに、啜る!)
グラ(よし、どうにかなりそうだ。水を補給して……ふぅ。麺はあと半分もない。
これも一気に片付けて、残りはスープか。)
314
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:16:22 ID:O8ZjopLw
グラ(しかし、何故わざわざこんな大盛りのトッピングにするんだ?
豚骨から煮出した濃厚なスープ。普通に食べても美味そうなものだが……)
グラ(否、これはあえてやっているのだろう。
私自身が初めに気付いたではないか、これは精神鍛錬のための店であると。
確かにこれは一種の鍛錬に近いものがある。
野菜、肉、麺、スープと段階を踏んだ試練が次々に押し寄せてくる様は
航空機の波状攻撃にも似ている。そしてこの熱気立ち込める店内も
南方での戦闘に際して暑さに慣れておくためにはちょうどいい。
待機も重要な戦術だ、そのために店内を狭くして行列を作らせるのだろう。
なるほど、日本人の合理主義には見習うべき部分が多いようだ)
グラ「ごちそうさま」
ろー「おぉ……初ジローで完食完飲、すごいですって!」
グラ「この程度、精神鍛錬と思えば何のこゲッフッフフ!!」
ろー「あーすごいむせてますって!大丈夫ですか!?」
グラ「ああ……よし、帰ろうか」
315
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:17:33 ID:O8ZjopLw
アイオワ「Uh?Grafはどうしたの?」
ビスマルク「ごめんなさいね……あの子おとといからお腹下してるみたいで。
なんでもうちの潜水艦と一緒にラーメン食べにいったらしいんだけど」
アイオワ「せっかくMeの歓迎会なのに……Well,まぁいいわ。
あとでPizzaでもお見舞いに持って行ってあげましょ」
ビスマルク「あなた本当に今の話聞いてたの?」
グラ「今度はニンニク……少な目だな……(グルルー」
ろー「ほどほどにしておきましょ?ねぇ?」
おわり
316
:
以前喧嘩望月と約束舞風書いた人
:2016/05/12(木) 01:19:10 ID:O8ZjopLw
以上やで
グラーフとろーちゃんは持ってるにしてもビス子とアイオワはいなかったしキャラぶれてたらすまンゴ
ワイは二郎といえば仙台店ばっかり行っとるから皆の行きつけと違うところがあれば勘弁してや
317
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/12(木) 13:33:41 ID:XfcmGDXI
ワイ、普段あんま二郎行かんのだが、こーいうの読むと行きたくなるな
イベントとか仕事とか全部放棄して飯食いに行きたいンゴ
318
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/12(木) 22:09:53 ID:XfcmGDXI
なんとなく、短編をば
午後八時、艦娘専用大浴場の脱衣所での会話。
島風「…あのさぁ」
天津風「ん?何よ」
島風「前から思ってたんだけどさ、その下着ってどうなってるの?」
天津風「はぁ?」
島風「変な形してるよね」
天津風「あんたに言われたくないんだけど」
島風「島風はちゃんとしたパンツだよ、ほら」
天津風「ばっ…み、見せなくていいわよ…」
島風「それで、どうなってるの?」
天津風「……あんまりじろじろ見るんじゃないわよ」
島風「……」
天津風「…ほら」
島風「おぅ」
天津風「もういいでしょ?」
島風「えー、はっやーい!よく見えなかったー」
天津風「っっ〜〜……し、仕方ないわね……ほら、ちゃんと見なさい」
島風「お腹かわいー」
天津風「どこ見てんのよ、ばか」
島風「あーなるほどー、これ全部繋がってるんだー」
天津風「あんたみたいに作戦中に脱げたりしないようにしてるのよ」
島風「脱げないよー」
天津風「いっつもずり落ちかけてるのよ!あんた、自分じゃわからないからって…」
島風「いっつも?」
天津風「いっつもよ!お尻がちらちら見えてて…恥ずかしくないの?」
島風「シースルーの服着てる人に言われたくないなぁ……てゆーかさぁ」
天津風「何よ」
島風「そんなにいっつも島風のお尻見てたの?」
天津風「! な、な、何言ってるのよ!か、勘違いしないでよね!」
島風「あ、ツンデレだー」
天津風「〜〜〜!!! うるさい!」
雷「あー、またあの二人喧嘩してる」
電「いつもの事なのです」
響「喧嘩する程仲がいい…ハラショー」
暁「どうでもいいけど、お風呂入らないのかしら」
(完)
319
:
名無しのおんJ提督
:2016/05/14(土) 02:11:17 ID:O8ZjopLw
そういやここで同人活動やってるニキってワイ以外おるんやろか
イベントとかで会えたら交流とかしてみたいもんやけど
320
:
名無しのおんJ提督
:2016/05/14(土) 07:37:31 ID:AqIQMXq.
【悲報】天皇陛下、アニメを見ていたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww【画像あり】
http://waranews.livedoor.biz/archives/2468012.html
321
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/14(土) 16:08:47 ID:XfcmGDXI
>>319
ワイはやってないで
まさにここでしか活動してへん
322
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:37:30 ID:XfcmGDXI
スレにて予告してた、提督性転換SSです
323
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:38:05 ID:XfcmGDXI
大淀「提督ー?どちらにいらっしゃいますかー?」
大淀の声が鎮守府内に響く。
執務室には膨大な書類の山、港には待機したままの遠征組、潜水艦組も出撃命令を待っている。
仕事は山積みなのに、そこに提督の姿はない。
普段業務から逃げる事などない彼が姿を消している現状に、大淀は困惑を隠せずにいた。
ひとしきり鎮守府内を見回っても結局提督を見つける事ができず、大淀は思案に暮れる。
もしかしたら、深海のヤツらに身柄を拘束されたのかもしれない。
既に暗殺されているかもしれない。
最悪の想像をなんとか振り払いつつ、もう一度鎮守府内を回ろうと廊下へと出た、その時。
???「あっ、おーい、大淀ぉー!」
大淀「?」
聞き慣れない声が、大淀の耳に届いた。
振り向くと、そこには妙な顔つきの明石と、一人の少女が立っていた。
無論、明石に関しては大淀もよく知っている。ルームメイトで、仲良くしている間柄だ。
しかし、その隣の少女には見覚えがない。
明石と比べると随分小柄で、見た感じの年頃は駆逐艦娘ぐらいか。着ている服はおそらく支給品のブラウスだろう。
大淀「新しい駆逐艦の子ですか?」
???「違う!俺だよ俺!」
大淀「えっと……」
反応に困った大淀が、明石の方を見る。
明石は一瞬気まずそうに俯いたが、すぐに顔を上げた。
明石「えっと、驚かないで聞いてほしいんだけど……」
大淀「……?」
明石「この子……実は、提督なんだよね」
324
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:38:45 ID:XfcmGDXI
大淀「えー、つまり、明石さん製作のレベルリセット薬を混ぜた牛丼を食べた提督が、何故か女の子になった……と?」
明石「なんでだろねぇ」
大淀「いや、笑い事じゃないですよ、明石さん」
提督「そうだよ(便乗)」
明石「まぁ、薬に関してはまだ試作品だったから、一日もすれば効能は消えて元通りになる……とは思うけど」
大淀「その間はこの姿のままでいてもらわなければならないんですね」
むむぅと唸りながら、大淀は視線を提督に向けた。
たしかに提督だと言われれば、やや気だるそうな目付きや動きの癖などにその証拠は散見される。
しかし癖のない綺麗な髪、艶のある白い肌、そして何よりその可憐な顔立ちにはまるで提督の面影がない。
正直、大淀も驚く程の美少女だ。
とはいえこのまま普段の業務に就いても、他の艦娘への説明の手間や提督自身の仕事量を考えればキツい。
他の鎮守府に女性提督もいない事はないが、その殆どは特別鍛えて体力に自信のある人達ばかりだ。
一見したところ着任したての駆逐艦娘が如き非力な少女の姿である今の提督に、仕事を任せるのは酷であろう。
熟考の末、大淀はぽんと手を打った。
大淀「ではこうしましょう。今日は私が提督の仕事を代わりにやります」
提督「それはありがたい」
明石「私も手伝います!」
大淀「明石さんは薬品の管理を怠った罰として私の代わりに鎮守府内の掃除をお願いします」
明石「えー」
提督「残念でもなく当然」
大淀「それで、その間提督は『見学に来た余所の鎮守府の艦娘』として振る舞って頂ければ。見つかっても問題はないし、不自然ではないかと」
提督「なるほど(HMKZ)」
大淀「あと今の提督は女の子である事を忘れないでください。というか、猛虎弁を使わないでください」
提督「えぇ…わ、わかったですわ」
大淀「……ごめんなさい、無理しなくていいです」
325
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:39:35 ID:XfcmGDXI
斯くして、期せずして一日自由となった提督は、鎮守府内をぶらぶらと散策する事にした。
自分の身が女の子になった事。
それはたしかに提督自身も一度考えてみた事ではあるのだが、実際唐突に女性化すると色々と面倒だ。
いつもと違う歩幅。いつもと違う景色。
感覚も、感触も、全てが新鮮である。
その奇妙な不一致感に苛まれながらも、提督は食堂へと到着した。
そこにいたのは、
長門「ん?」
提督「あっ…」
長門だった。
その瞬間、提督の背筋にぞわっと悪寒が走る。
その理由を、提督自身もよく知っていた。
ながもん「き、きみは…? 新しい子か?」
提督「あ、えっと…」
ながもん「駆逐艦だな、そうだな、そうに違いない。うん」
提督「あー、実は、その…」
ながもん「かわいいな、きみは。そうだ、ちょっとこっちへ…」
提督「失礼します!」
慌てて踵を返す。
そのまま、提督は逃げるように食堂を後にした。
ながもん「あっ……くっ、またかわいい子を逃がしてしまった……しかしあの怯えた表情も、なかなか……」
陸奥「あなた、いい加減その性癖治した方がいいわよ?」
長門「おうっ!? い、いたのか、陸奥」
陸奥「さっきからいたわよ」
326
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:40:20 ID:XfcmGDXI
提督「ゼェ…ハァ…」
食堂から逃げ出した提督は、とりあえず外に出た。
そこではたくさんの艦娘たちが鍛錬に励んでいたり、或いは遊んだりしている。
皆、既に大淀からの通達があったようで、特に訝しむような視線を『彼女』に送る者はいなかった。
そしてその間にも、多くの艦娘たちが『初めて会う少女』に声を掛けてきた。
摩耶「おう!隣の鎮守府の子ってあんたか!よろしくな!」
鳥海「あら、かわいい子。よろしくね」
提督「あ、うん……よろしく」
龍驤「提督はなにしてるのかねぇ……あっ、おはよ」
大鳳「もう、そんな事言わないであげてくださいよ……あら、おはようございます」
提督「あはは……うん、おはよう…ございます」
川内「あっ、きみかー。うん、噂通りの美人さんだね!」
神通「もう、姉さん…ごめんなさい、よろしくお願いしますね」
那珂「今度那珂ちゃんステージも見てねー!」
提督「お、おう…」
響「доброе утро…ところで、鳳翔さんって知ってるよね?」
提督「? …え、まぁ、知ってますけど…」
金剛「この手牌ならまずドラ牌即鳴きに決まってマース!…Oh、グッモーニン!」
比叡「いえいえ!これはホンイツを目指します!…あっ、おはようございます!」
霧島「データによるとこのドラ牌は片方切ってしまった方が…あら、ようこそ」
榛名「…」ぺこり
提督「…(まーた麻雀やってんのか)」
青葉「ども、恐縮です!うちの鎮守府について、一言感想いいですか?」
鬼怒「変態カメラマンがいるって言っていいんだよー」
提督「え、えっと、みんないい人です、はい」
初月「よろしく。一緒にらぁめんを食べに行かないか?」
提督「あー、また今度、じっくりと…」
島風「おっそーい!」
天津風「待ちなさーい!」
提督「仲良いなぁ」
提督も、次第にこの状況を楽しめるようになってきていた。
今までとは違う艦娘たちの対応、言動、表情。
それらを観察するのも悪くないと思えるようになっていたのである。
もしかしたら、提督の知らない一面があるのかもしれない。
艦娘たちの素顔に近い、そんな景色。
新鮮で、そしてとても嬉しい事だった。
そんな中で。
時雨「あれ、きみが噂の子だね?」
提督「あ……う、うん」
時雨「ボクは時雨。よろしく」
提督「……よろしく、です」
秘書艦、時雨。
この鎮守府屈指の古参、水雷戦隊の一番槍、夜戦のエース。
そして、数少ないケッコン艦の一人、それが彼女だ。
327
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:41:10 ID:XfcmGDXI
時雨「わざわざお隣から来てもらって申し訳ないんだけど、大淀さん曰く今日一日提督がいないらしいんだ。代わりにボクが案内しろ、って話だったんだけど」
提督「あー…」
なるほど、と提督は心の中で合点がいった。
この鎮守府の中で、信頼して客人を任せられる艦娘といえばこの時雨を置いて他にない。
それだけでなく、もし仮に『少女』の正体がバレても大きな問題には繋がりにくく、且つちゃんと面倒を見てくれる。
そんな人物を近くに置いておく事で安心させようという大淀の考えらしい。
実際、この状況で時雨に会えたのはかなり大きい。
安心感も桁違いだ。
時雨「案内、って言ってもね。工廠の中は一応秘密にしなきゃいけないし、提督がいないのに執務室に通しても意味ないし……」
提督「……」
別にどっちも問題はないのだが。
時雨「外にいるのも辛いだろうし、ボクの部屋に来るかい?」
提督「えっ」
時雨「お茶ぐらいなら出せるよ」
ここで突然の提案に、思わず提督は面食らう。
そういえば、時雨の部屋に入る事なんてあまりない。
艦娘側から誘われない限り、できるだけプライベートに首を突っ込まないようにしている提督にとって、とても希少な体験である。
また、普段彼女がどういう生活を送っているのかにも興味があった。
提督「じゃあ……お言葉に甘えて」
時雨「うん、じゃあ一緒に行こうか」
そう言って、時雨は手を差し出してきた。
なんとなく気恥ずかしくなりながらも、提督はその手を握り返す。
いつもより大きな時雨の手が、温かく提督の手を包んだ。
328
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:41:54 ID:XfcmGDXI
時雨「お茶、どうかな。口に合う?」
提督「……うん、おいしい」
時雨の部屋は、きちんと整っていた。
武功艦であり秘書艦である彼女には個室を与えているのだが、特に内装を変える事もなく、悪く言えば殺風景である。
しかしそれがまた時雨らしいと言えばらしい光景でもあった。
提督は目の前に置かれたマグカップのお茶に口をつけながら、そんな彼女の部屋を見回した。
時雨「そのお茶、すごくおいしいよね。ボクも好きなんだ」
提督「……」
ふと、提督は机上に置かれた茶筒に目をやった。
それはかつて時雨が敵の拠点を攻撃するという大事な任務でMVPを取った時、褒賞として提督がプレゼントした物だ。
時雨の好みに合わせて、尚且つ提督自身も美味しいと思ったからそのお茶を選んだのであり、口に合わないわけはない。
ちなみにその戦闘では傷付いた仲間を庇いながら奮戦し、遂には敵中枢を破壊、鎮守府近海から南方までの制海権を奪取するに至った。
彼女の輝かしい武功からすれば微々たる褒賞かもしれないが、それでも時雨は喜んでくれた。
そんな時雨の優しさと強さが、彼女を最初のケッコン艦に選ぶに至る決定打だったのである。
しかし今提督の目の前にいる時雨は、あの時の鬼の如く激戦を繰り広げた猛者とは思えない、ごく普通の少女だ。
その優しげな表情には、どこか母性というか、包容力さえ感じる。
時雨「ん、どうしたの?」
提督「! い、いや、なんでもない…です」
いつの間にか私服に着替えていた時雨が微笑を浮かべる。
その顔に、思わず提督の顔も赤らんだ。
329
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:43:19 ID:XfcmGDXI
時雨「んー、暇だね」
提督「うん…」
時雨「提督、どこ行ったのかな」
なんとなく窓の外を眺める時雨。
その横顔を見てる内に、提督はふと思い出す。
常々訊きたかったある質問を投げかけてみた。
提督「ねぇ、時雨」
時雨「うん?」
提督「提督の事、どう思ってる?」
あまりに唐突な質問だと、自分でも思う。
時雨も、その問いかけに一瞬きょとんとした顔を浮かべていたが、すぐに笑顔に戻った。
時雨「そうだね……いっつも眠たそうで、だるそうで、無口だなって思うよ」
提督「……」
だろうな、と提督も思う。
実際、ケッコンしているとはいえ普段時雨と会話する事は滅多にない。
忙しいのもあるが、互いに沈黙を気にするような性格ではないからだ。
それに甘んじていると言えばそれまでだが、それでも彼女は全てを理解してくれていると思っていた。
しかし、ある時ふと思った。
何も言わないのは、何も思っていないのと同じなのではないか、と。
一歩踏み出さなければ、信頼を維持する事はできない。
今の自分を思えば、彼女にそう評されるのも仕方のない事だろう。
そう考え、提督は俯く。
時雨「けどね」
提督「?」
時雨は、ふふっと笑うと、優しい声で続ける。
時雨「ボクはそんな提督を見てるだけで、とても楽しいんだ」
提督「楽しい…?」
時雨「うん。仕事熱心だけど、いつもボクの事気に掛けてくれているのはわかるからね」
提督「そう、なの?」
時雨「勿論だよ。そのお茶だって、提督がボクの為に選んでくれたんだ」
その言葉に、提督は思わず驚く。
たしかにそうだ。
仕事に集中していても、常に時雨の事を頭の片隅で考えている。
今自分が立てている作戦を、時雨はどう思うだろうか。他の子で失敗した作戦を、時雨ならどうするだろうか。大規模な戦闘に臨む時、時雨ならどう戦うだろうか。
『時雨なら』
それは、ある意味純粋な信頼だ。
無論他の艦娘を信頼していないわけではないが、それでも彼女への信頼は他の子とは一線を画している。
そして、その想いがちゃんと伝わっている…。
時雨「それにね。ボクが辛い時も、悲しい時も、いつも傍にいてくれる。こんなに安心する事ってないと思うんだ」
提督「……」
時雨「……ごめん、難しかったね」
提督「うん」
時雨「まぁ…素直に言えばね。大好きだよ、提督の事」
屈託のない笑顔で、時雨はそう言った。
提督も、思わず顔が赤らむ。
彼女に気付かれないようにするのが精いっぱいだった。
その日は結局夜まで時雨の部屋で過ごし、そして時雨が寝た頃にそっと部屋を出て、執務室へと戻った。
330
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/19(木) 05:43:52 ID:XfcmGDXI
――翌朝。
提督「あぁ……戻ったわ」
大淀「よかったです。昨日の仕事は私が全て片付けましたので、今日からまたしっかりお願いしますね」
提督「ん」
明石「あっ、あと今回のレベルリセット薬ですけど、今後の運用は…」
提督「使うわけないだろ、アホか」
明石「えー」
その時、執務室の扉が叩かれた。
扉を開けて入ってきたのは、想像通り、時雨だった。
時雨「あっ、提督……戻ってたんですね」
提督「あぁ、ただいま」
時雨「おかえりなさい……あの、隣の鎮守府から来たっていう女の子、見ませんでした?」
提督「……」
大淀「……あぁ、えっと、今朝方隣の鎮守府に戻られましたよ。時雨さんに、ありがとうとの事でした」
時雨「そっか…」しゅん
時雨は目に見えて落ち込んでいる。
提督と大淀も、一瞬目を合わせる。
提督「……どうした、その子に何か用があったのか?」
時雨「ん、ちょっと、ね。言いたい事があったんだけど」
大淀「よろしければ、今度私がお隣に出向く時にお伝えしますよ?」
提督「……おい」
時雨「そう?それじゃ…ちょっと」
そう言うと、時雨は大淀を手招きする。
近づいた大淀に、時雨は耳元で何かを囁いた。
そして、一瞬提督の方を見ると、
時雨「……」
時雨は、急ぎ足で執務室を後にした。
提督「あっ…」
大淀「ふふっ♪」
提督「……なんだよ、大淀。時雨のやつ、なんて言ったんだ?」
大淀「ふふ、それはですね、」
大淀「『自分の気持ちに改めて気づかされたよ。ありがとう』ですって」
提督「……ったく…」
提督も、思わず苦笑する。
その表情を知る由もなく、廊下を走る時雨も笑顔を浮かべていた。
(完)
331
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/27(金) 02:33:28 ID:XfcmGDXI
唐突に、変な短編を
332
:
RJ-72A
◆hU0qIpE8R2
:2016/05/27(金) 02:34:01 ID:XfcmGDXI
――深海棲艦ガ、ドウヤッテ生マレテクルカ?
簡単ナ話ダ。
海デ死ンダ者ノ魂ガ、怨嗟ノ色ニ染マル事デ誕生スル。
深海棲艦トシテ生マレタ瞬間ハ、皆黒イ塊ノヨウナ姿形ヲシテイルノダ。
貴様ラ地上ノ者ガ『駆逐イ級』ナドト呼ンデイル個体ガソレニ当タル。
奴ラハ意識モ自我モナク、タダ殺戮ヲ繰リ返ス事ダケヲ考エル。
ソシテ多クノ人間ヲ殺シ、怨嗟ヲ体内ニ取リ込ム事デ姿ハ変化シテユクノダ。
殺害数ガ増エレバ増エル程、深海棲艦ハ小型化シ、人型ニ近ヅク。
我々ノ間デハ『進化』ト呼ンデイル現象ダ。
『進化』スレバ戦闘力モ上ガルシ、自我モ芽生エルシ、ソウ……私ノヨウニ喋ル事モデキルヨウニナル。
貴様ラノ言ウトコロノ『鬼』『姫』ナドヘ変化スルノハ更ニソノ先ダガ、ココデ奇妙ナ現象ガ起キル事ガアル。
ソノ領域ニ至ル程ノ強イ深海棲艦ノ内、突然『恋愛感情』ニ芽生エル者ガ存在スル。
トイウヨリ、ソウイウ奴ノ方ガ多イ。
ソウイウ奴ラハ『鬼』ヤ『姫』ニ比ベ大幅ニ弱体化シ、不要ナ存在トナル。
……ココマデ言エバワカルダロウ?
『艦娘』トハ、ソウイウ『弱者』ノ成レノ果テナノダ。
ワカルカ?
貴様ラガ戦力トシ、我ラヲ攻撃サセテイル『艦娘』ハ、元ハ深海棲艦ナノダ。
ゴク稀ニ、普通ノ人間ガ『艦娘適性』ヲ持ッテイル事ガアル。
ソウイウ奴ラハナ……フフ…生キナガラニシテ既ニ怨嗟ニ塗レタ者ダ。
不思議ダロウ?
ダガ気ヲ付ケタ方ガイイゾ、ソウイウ奴ラハ度重ナル出撃デ心身ガ摩耗スルト『深海棲艦化』スル事モアルカラナ。
ツマリ。
君達ハ実ニ無駄ナ抵抗ヲ続ケテイル、トイウ事ダヨ。
マァ、精々頑張ルトイイ。
ン、ドウスレバ争イヲ止メラレルカ?
無駄ダヨ。
マァ、敢エテ言ウナラバ……
人類ガ滅亡スレバ、イインジャナイカ?
――横須賀鎮守府、とある捕虜艦の証言より。
333
:
名無しのおんJ提督
:2016/06/26(日) 21:57:04 ID:IleeSgxg
この話はMI作戦が目前と迫った頃のことである。
第四次の潜水艦派遣作戦が成功したという知らせが、秘書艦の加賀に入る。加賀は大淀から任務報酬を受け取る。次いで、大淀が一連の潜水艦派遣任務の最後の任務を伝える。
「これで海外艦との邂逅準備が整いました。遠征任務成功次第、海外の駆逐艦がこの艦隊に加入します。」
「駆逐艦……ね。戦力が増えるのは嬉しいものね。ところでその遠征、また長くかかるものなの?」
「いえ、遠征自体は2時間で終わります。海外艦の方がすぐ近くに来てくれています。ただ……。」
「ただ?」
「潜水艦4隻、旗艦レベルが60が条件ですが、艦隊の合計レベルが200必要です。」
「あっ、潜水艦だけでは合計レベルが足りないわ。」
「現在の状況ではそういうことになります。ですが、潜水艦4隻さえ入れば、後2枠は他の艦娘を入れても構いません。こうすれば合計レベル200は容易に越えられると思いますが、どうしますか?」
「ということは、問題は誰を選ぶかになってくることね。」
「ええ、そうです。」
「……ちょっと考えさせて欲しいわ。」
「了解いたしました。何かあったらすぐに相談してください。」
「ええ、こちらこそ、大淀さん。」
テーブルに座った加賀は艦娘リストをペラペラめくりながら思いに耽る。ドイツに縁が有る艦娘があればちょうどいいはずだが、思いつかない。高練度となるとなおさらのはず。私は秘書艦業務で手離せないから遠征には出られない。特に思い当たる艦がいないなら鎮守府で2番目の練度である相方を呼ぼうか、と思い彼女の名簿を眺めていると、加賀はあることを思い出した。
そういえば赤城さん、ドイツに技術の提供をしていたような……。
向こうで空母を建造するためのノウハウとして赤城の設計図などを渡したのだとか。彼女はもっと細かにエピソードを語っていた気もするが、私はさり気なく聞き流してしまっていたので、その空母の名前さえ覚えていなかった。でもその空母の最終的な顛末だけは聞いていた。何と未完成で終わって自沈されたらしい。私はその部分だけを妹と重ねながら聞き耳を立てていた。
となれば決まり。早速相方を呼ぼう。
加賀によって指揮官室に呼びだされた赤城が入室する。
「赤城さん。急ですみません。」
「いえいえ、加賀さん。私に何か用事があるために呼んだのですね?」
「もちろんよ。MI作戦直前ということもあるので、貴方には遠征に行ってもらいたいの。」
「遠征……?どういう遠征ですか……?」
「海外艦と会うための遠征ね。できれば旗艦として潜水艦達と一緒に行ってもらいたいわ。」
「海外艦……もしかして空母ですか?」
「いえ、駆逐艦ね。ドイツから来ているみたい。」
「ドイツの船ですか、分かりました。一航戦、赤城、旗艦として邂逅遠征に向かいます!」
「潜水艦たちは今もやる気満々みたい。今も港で待機しているみたいだからそこで合流ね。」
「ええ、行きます!」
「行ってらっしゃい、赤城さん。」
334
:
名無しのおんJ提督
:2016/06/26(日) 21:58:26 ID:IleeSgxg
2時間後、無事に艦隊が帰ってきた。大淀は私に任務の成功、また報酬として海外艦の加入を伝える。
「Guten Morgen.僕はレーベレヒト・マース。レーベと呼んでくれたらいいな。よろしくね!」
「こんにちは。私は航空母艦の加賀よ。ドイツから来た駆逐艦なのね?よろしくお願いするわ。」
「私は同じく空母の赤城です。またよろしくね。」
鎮守府の案内役を相棒に任せ、私加賀は再び秘書艦任務に戻っていった。
私も秘書艦業務が終わった頃。赤城が鎮守府案内から戻ってきた。
「おかえりなさい、赤城さん。」
「お疲れ様、加賀さん。いよいよMI作戦本番が近づいてきましたね。」
「ええ、慢心は禁物ね。」
「もちろんです、加賀さん。ところで、何故私を遠征に出したのでしょうか?」
「1つは練度が高かったから。艦隊全体の練度が高いことが必要だったからね。もう1つはMI作戦直前だから。最近出撃していないから海に出てもらいたかったの。最後の理由は貴方がドイツの艦と縁があるみたいだから。かの国の空母の参考になった話しは貴方から聞いたわ。」
「そうだったのですね。確かにピッタリだったじゃないでしょうか?」
「ええ。私もそのことを思い出していたわ。でも貴方からの話、少ししか覚えていないの。赤城さんを参考にした船の名前、聞かせてくれないかしら?」
「えーと、確か、グラーフ・ツェッペリンという名前だったような気が……。うろ覚えでごめんなさい。」
「グラーフ・ツェッペリン……ね。もしかしたらいつかは会えるのかしら。」
「でも完成しなかった子ですよ、加賀さん?」
「ええ、もしかしたらかなり後になるかもしれないわ。でも私の妹も、貴方のお姉さんもいつかは来るとしたら、彼女も来ても不思議ではないと思うの。」
「そうね。その時を楽しみにしましょう。」
MI作戦は大成功に終わった。今を生きる喜びを知った彼女達に昔の亡霊など敵ではなかった。
そんな秘書艦加賀の今を妨げる者はまだ、いなかった。
(終)
335
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:57:03 ID:rsb4/Ys.
天津風は、いつも一人だった。
幼い頃から。
望まぬ女子であった事もあり両親に冷遇され、最終的に孤児院に送られる。
孤児院でも。
他人との会話がなかなか上手になれず、友達と呼べる者は全くいなかった。
そして、今も。
天津風「……」
艦娘としての適性を見出され、海軍に入隊して。
駆逐艦『天津風』の名と、その力を与えられて。
陽炎型の一員として暮らしている。
そんな今も尚、彼女に『友』はいない。
陽炎型は孤児院や保育所から引き抜かれた寄せ集めのメンバーで構成されている。
それ故に、陽炎型駆逐艦は同郷の者同志で派閥とも言えるグループを築いており、天津風が容易く間に割って入れるような場所は皆無であった。
寮でも。
練習場でも。
遠征先でも。
そして、戦場でも。
天津風はいつも一人で駆け抜けていた。
天津風「だから……」
だから、彼女は。
港湾に陣取る要塞群を相手に奮戦し、初めての殊勲を得た今日この日に。
たった一つだけ、たった一度だけ。
提督に『わがまま』を言ったのだ。
天津風「……友達、がほしい」
336
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:57:37 ID:rsb4/Ys.
島風「おっそーい!」
天津風「こらー!島風、前に出すぎっ!」
硝煙と水飛沫が舞う戦場を、二つの『風』が駆け抜ける。
彼方、白金の風――島風型駆逐艦『島風』。
此方、黒銀の風――陽炎型駆逐艦『天津風』。
艦娘としての船型も違えば、ましてや同郷の者でもない。
二人はただの先輩後輩であり……そして、姉妹以上の絆を結んだ『友』である。
天津風「島風、二時の方向に敵影!いくわよ!」
島風「はいはーい!連装砲ちゃん、やっちゃってー!」
二つの轟音が同時に鳴り響く。
完璧なコンビネーション。波間に顔を覗かせていた敵艦は、一瞬にして砲弾の下に崩れ去る。
島風「やった!」
天津風「よし、いい感じ!」
依然全速で奔りながら、並び立つ二つの船影。
お互いに一度顔を見合わせて、そして笑顔を覗かせて。
次なる目標へと吹き渡ってゆく。
337
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:58:08 ID:rsb4/Ys.
明石「……まぁ、結果論ですけどね」
提督「うん」
明石「科学の発展って、やっぱり道徳とか倫理に囚われちゃいけないんだなーと、あの二人を見てると思いますね」
提督「……そうだな」
明石「……天津風ちゃんには、本当の事を伝えないんですか?」
提督「伝えられるわけがないさ」
明石「そう、ですよね……」
提督「そうさ」
提督「喩え自身のクローンであろうと、アレは彼女にとってかけがえのない『友』なのだから」
(終)
338
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/18(木) 00:59:09 ID:rsb4/Ys.
#以下が変わっちゃった…けど、久々に投稿してみた
339
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:42:29 ID:4Azsluro
ダーツのSSです
一応予備知識として
・今回やるゲームはゼロワンという物です。
・1ラウンドに3回矢を投げます。
・数字をぴったりゼロにしなければなりません。(マイナスにしたらラウンド無効)
・下のダーツボード絵を参考に、どこらへんに刺さったか考えながら見てもらうと面白いかもしれません。
http://i.imgur.com/IFn8xXF.jpg
340
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:43:01 ID:4Azsluro
鎮守府内、娯楽室。
そこは艦娘が息抜きをする為に設置された部屋であり、中には麻雀やら将棋やら色々なゲームが置かれている。
使用頻度は人によるが、多い人では毎日のように入り浸っている事もあるのだ。
そして、そんな『ヘビーユーザー』の一人には、意外な艦娘の姿もある。
瑞鶴「ほっ!」ダンッ
娯楽室の片隅。
壁際に設置されたダーツボード、その244㎝前方に立つは五航戦、瑞鶴。
片手には、迷彩柄のシャフトと細身のバレルが特徴的な、彼女のマイダーツ。
放たれた第一矢は違う事なくど真ん中…ブルへと吸い込まれる。
瑞鶴「よしっ!調子いいみたい」
そう言いながら、すぐに次の矢を右手に取る。
リズムを崩さず、いい時の波に乗りながらポンポンと投げるのが彼女のスタイルだ。
もうかれこれ一年程、毎日のように娯楽室で矢を投げている。
あまり鎮守府内に同好の士がいない事もあり、ほぼこのボードは瑞鶴の専用板だ。
翔鶴や葛城も誘ってみたが、結局長続きはせず。
少し寂しいなと思いながら。
瑞鶴は今日も矢を放る。
瑞鶴「あっ……」
そんな事が一瞬脳裏に過ったからか、矢を投げる瞬間に瑞鶴の体が僅かにぶれる。
矢は大きく外れ、ガンッという音と共に外枠に当たった。
その瞬間。
加賀「相変わらず寂しい人ですね、あなたは」
瑞鶴「!」
背後から声がする。
振り返ると、そこにいたのは瑞鶴の先輩であり、この鎮守府の空母機動部隊、正規空母隊指揮官、加賀であった。
341
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:43:45 ID:4Azsluro
加賀「熱中するのは結構だけど、周りが見えなくなるのはどうかと思うわ」
瑞鶴「……別に関係ないでしょ、加賀さんには」
加賀「そうかしら」
瑞鶴「……」
加賀「龍驤さんと将棋を指している時にダーツの音が響く身にもなってみなさい」
瑞鶴「わかったわよ、気を付けるから」
加賀「……」
瑞鶴「……」
二人は、単なる先輩後輩ではない。
師弟であり、上官部下であり、そして同じ部隊で研鑽し合う好敵手でもある。
緊張感の中、瑞鶴は床に落ちた矢を取りに行く。
床に落ちた矢を取って、そして顔を上げた瞬間。
加賀「ちょっと、どきなさい」
瑞鶴「は?」
ストン。
瑞鶴「ッ!」
鋭く飛んできた矢が、瑞鶴の頬を掠めてボードへと突き刺さった。
場所は、ブル。
一瞬、瑞鶴もひやりとする。
瑞鶴「……人に向かって投げるのは、いけないと思うんだけど」
加賀「どきなさいと、言ったわ」
瑞鶴「何ですか、挑発ですか?」
加賀「そう受け取ってもらってもかまわないわ」
その時、瑞鶴の中で何かが弾けた。
瑞鶴「……じゃあその喧嘩、買うわ。ダーツでね」
342
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:44:16 ID:4Azsluro
斯くして。
瑞鶴 対 加賀のダーツ対決が始まった。
瑞鶴「ワンセットだと長いんで、501マスターアウト一本勝負でいいわよね」
加賀「お好きにどうぞ」
イラッとしながらも、台のゲームモードを選択する。
お互いの持ち点を減らし、ちょうどゼロを目指すのが501の基本ルールだ。
マスターアウトは、最後の一投をダブル、トリプル、ブルに入れなければならない。
正確性は勿論、計算力も求められる。
ゲームがスタートした。
瑞鶴「あたしからね」
有無を言わさず、瑞鶴がスローラインに進む。
右前、クローズドスタンス。
スリーフィンガー、手首は柔らかく。
狙いをつけて、小さなテイクバック。
全て、決まりきった瑞鶴の形。
矢はぶれる事なく、まっすぐに飛ぶ。
瑞鶴「ふっ!」
タンッ、タンッ、タンッと素早く三投。
ブル、ブル、17シングル。
計117でロートン。
瑞鶴「ま、いい感じね」
加賀「……」
次いで、加賀の投擲。
右前、ミドルスタンス、前傾。
スリーフィンガー、人差し指が立つ。
狙いをつけて、鞭のようなスローイング。
瑞鶴「……!」
その姿は、自然体なようでいて確実。
瑞鶴には、光輝く星が見えた。
矢はストンストンストンと突き刺さる。
20トリプル、20シングル、20トリプルの順で。
計140、同じくロートン。
加賀「トン80にはならなかったようね」
瑞鶴「ッ……もしかして、やってたの?ダーツ……」
加賀「あなたがこの鎮守府に来る前から、このボードはあるのよ」
瑞鶴「……」
思わず息を飲む。
ダーツでなら、加賀を叩きのめせると思っていた瑞鶴にとって、それは誤算だった。
気の抜けない勝負になると確信した瞬間、瑞鶴の頬に冷や汗が流れた。
343
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:44:55 ID:4Azsluro
2ラウンドは加賀95、瑞鶴111。
3ラウンド、残りはそれぞれ加賀266、瑞鶴273。
瑞鶴の投擲はブル2含む119。
残り154、次ラウンドで20トリプル二つと17ダブルを狙う立ち位置だ。
加賀「あなたは随分とブル狙いがお好きなのね」
瑞鶴「……そういう加賀さんも、20トリ狙いすぎでしょ」
加賀「そうね、それじゃあなたの真似でもしましょうか」
瑞鶴「?」
加賀がスローラインに立つ。
そして、
加賀「……」
瑞鶴「!」
立て続けに投げられた三つの矢は、紛う事なくブルを突き刺した。
ハットトリック。
計150で、残りは116。
瑞鶴「うっそ……」
加賀「鎧袖一触よ」
この数字からならば、容易くあがりを狙える。
瑞鶴は追い詰められた状態だ。
344
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:45:27 ID:4Azsluro
運命の4ラウンド目、瑞鶴がスローラインに立つ。
瑞鶴(ブルに当てたら足りない…正確に20トリ狙わないと……)
切迫。
鼓動が高鳴り、唇が渇く。
先ほどより高く、狙いをつけて。
第一投。
瑞鶴「っ!」
僅かに浮いたが……見事、20トリプル。
ほんの少し、瑞鶴の表情が緩んだ。
しかしまだ気は抜けない。
残り94、やはりここもブルではなく20トリプルを狙い、三投目も17ダブルに当てる必要がある。
或いは18トリプルで40残し、20ダブルを狙ってもいいが、18を狙う事でリズムが崩れると再度20を狙うのは難しい。
やはり20トリプルか。
再び表情を引き締めて……
瑞鶴「ふっ!」
矢を放つ。
しかし。
瑞鶴「あっ……」
矢は、僅かに左へぶれた。
5トリプル。
残り79、これでこのラウンドでのあがりはなくなった。
そうなれば、次で加賀はあがってくるだろう。
瑞鶴「……」
加賀「早く三投目を投げなさい」
瑞鶴「……くっ」
狙いはつけなかった。
当たったのは7シングル。
残り72で4ラウンド目終了。
345
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:45:58 ID:4Azsluro
加賀「もらったわね」
瑞鶴「ふん……」
4回目のスローラインに立つ加賀は、余裕の表情だ。
その横顔を見て、瑞鶴は思わず唇を噛む。
いつでも、そうやって。
その表情で。
彼女は悠然と海を駆け、敵を討ち、そして帰って来るのだ。
加賀「……」
ストン。
ブルへ命中、残り66。
瑞鶴にとって、加賀という存在は。
憧れであり、且つ巨大な壁でもあった。
今も尚、彼女の背中には追い付かない。
何歩も、何十歩も先を行く存在だ。
加賀「……」
瑞鶴「……」
ストン。
同じくブルへ、残り16。
本当は、隣に並びたかった。
彼女の隣で、共に戦場を駆けたかった。
しかしいつも、遅れてしまう。
憧憬も、嫉妬も、届かない。
瑞鶴「うぐ……」
そして、形を変えて戦っている今も。
彼女には敵わない。
自信があったはずの事でさえ。
虚しくて。
悲しくて。
悔しくて。
瑞鶴は、いつの間にか泣いていた。
加賀「……」
そんな瑞鶴の姿を。
顔を伏せたまま、肩を震わせるその姿を。
横目で見つめたまま、加賀は8ダブルへと狙いをつけた。
ストン。
346
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:46:29 ID:4Azsluro
加賀「……あら」
瑞鶴「?」
バリーン、という安っぽい効果音。
ダーツボードの上、液晶画面にはBURSTの文字。
瑞鶴は思わず顔を上げ、ボードを見つめた。
加賀の第三投は、僅かに8ダブルの下――16ダブルへ突き刺さっている。
数値は-16。
数値オーバーにより、ラウンド無効。
瑞鶴「へっ……?」
加賀「あなたの番よ、瑞鶴」
瑞鶴「!」
名前を、呼ばれる。
涼しげに、いつも通りの口調で。
その声に、瑞鶴の涙が消し飛んだ。
瑞鶴「……やってやろうじゃねえかよ!」
347
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:47:14 ID:4Azsluro
結果。
瑞鶴の矢は18ダブルに二回、的確に突き刺さった。
瑞鶴の勝ち。
勝負が終わり、二人はテーブルを挟んでソファーに腰を下ろしていた。
加賀はいつも通り淡々とお茶を啜り、瑞鶴は表情を引き締めながらも……嬉しさを隠し切れないでいる。
加賀「負けました」
瑞鶴「あの16ダブル、手加減したんじゃないでしょうね?」
加賀「……私は、あなたに手加減した事など一度もありませんが」
瑞鶴「!」
加賀「……私についてこれるのはあなたぐらいしかいないのよ。しゃんとしなさい」
瑞鶴「……ずるいわよ……もう」
今日も、日が落ちる。
いつも通りの鎮守府で。
(終)
348
:
RJ-72A
◆4x.BscqYyY
:2016/08/30(火) 22:48:52 ID:4Azsluro
めっちゃ長かった…クリケットにしなくてよかった。
書き忘れてた予備知識その2
・ボードの外側の赤緑部分がダブル(得点x2)、内側の赤緑部分がトリプル(得点x3)です。
・真ん中がブル、50点です(ルールにより25点部と50点部あり、今回は統一)
349
:
名無しのおんJ提督
:2017/02/05(日) 03:52:10 ID:AHp3Dggc
てす
350
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:53:16 ID:AHp3Dggc
ジョジョ×艦これ、始まります!
351
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:53:51 ID:AHp3Dggc
陸奥「悪霊〜?」
長門「うむ」
戦艦寮は一人一人個別の部屋が与えられている。
しかし今、陸奥は長門からの呼び出しを受けて彼女の部屋にいた。
そして、唐突すぎる話を切り出されたのである。
長門「ついさっき、那珂がCD配っていただろう?」
陸奥「ええ」
長門「そのCDを開けてだな、手に取ってみたらこの様なのだ」
陸奥「……」
陸奥が黙って見上げる先。
長門の背後に『それ』はいた。
筋骨隆々の大男が。
長門「名付けて、『クレイジーダイヤモンド』!どうだろうか」
陸奥「そ、そう……別に悩んでるわけではないのね」
長門「うむ、かっこいいだろう?こいつは私の命令に忠実に動いてくれるのだ」
陸奥「え、ええ……そうなの」
長門「陸奥もたしかCDをもらってただろう?開けてみてはどうだ?」
陸奥「……まぁ、考えておくわ」
陸奥はただ、複雑な表情を浮かべるしかなかった。
352
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:54:25 ID:AHp3Dggc
陸奥「ふぅ……」
長門は妙に子供っぽいというか、無邪気な所がある。
今回の件も、困惑したり拒んだりする事もなく受け入れている。
普通なら、正体不明の悪霊が出たら大騒ぎしそうな物だが。
陸奥「……」
それはともかくとして。
陸奥の手には、件のCDがあった。
那珂が配っていた、謎のCD。パッケージには何も書かれておらず、ディスク自体にも何も書かれていない。
普段の那珂なら新曲発表と称した路上ライブの後にCD配布を行うのだが、今日に限って那珂が歌っていたのは『ハレルヤ』だった。
それが妙に不気味で、結局もらったCDを開けていなかったのだが…。
陸奥「よし……」
陸奥は、意を決した。
パッケージを開け、ディスクを手に取る。
その瞬間。
陸奥「!」
突然、ディスクが陸奥の手に突き刺さった。
陸奥「なっ……」
文字通り、貫通している。
しかし痛みはなく、むしろ体の内から何かが沸き出すような感覚があった。
陸奥「なに、これ……!」
そして、ディスクはゆっくりと溶解していき――。
一瞬の後に、陸奥の目の前には謎の『モノ』が立っていた。
陸奥「ッ!」
陸奥は慌てて後ずさる。
『それ』は、まるで感情などないかのような双眸と、妙に艶のある薄桃色の体を持っている。人型だが、到底人には見えなかった。
陸奥は咄嗟に、近くに置いてあった小銭を掴み、『それ』へと投げつける。
『それ』はそれを右手で受け止め、それからポイと放り投げると――。
陸奥「!」
直後に、小銭が爆発した。
その瞬間、陸奥は『知っていた』。
何故かはわからないが、彼女は本能的に『そいつ』が何者なのかを理解したのだ。
陸奥「……『キラー…クイーン』……」
陸奥の呟きに、『そいつ』は応えるように頭を垂れた。
353
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:55:29 ID:AHp3Dggc
――翌朝。
長門「陸奥……お前、随分と趣味が悪いんじゃあないか?」
陸奥「仕方ないでしょ……出ちゃったもんは出ちゃったんだから……」
鎮守府内は、とんでもない事になっていた。
駆逐艦から戦艦まで、ありとあらゆる艦娘に『悪霊』が発現していたのである。
陸奥を含む全ての『悪霊憑き』は、それが一体何なのかを本能的に理解していた。
それは『スタンド』。
自身の精神が具現化した、一種の特殊能力である。
長門「……これは一度、那珂に『教育』しなくちゃあならないみたいだな」
陸奥「ええ、でもどうすれば『スタンド』を消せるのかも聞き出さなくちゃ」
長門「? 消すのか?」
陸奥「え?」
長門「これがあれば、深海との戦いも有利になるだろう。私はこいつを『使って』いきたい」
陸奥「あ、そう……いや、それは勝手だけど……」
しかし、異常な光景である事に変わりはなかった。
例えば鎮守府随一の実力者である正規空母・加賀には、小さなスタンドの軍隊に取り巻かれている。加賀はそれを『バッド・カンパニー』と呼んでいた。
工作艦・明石には、金色の体が特徴的な人型のスタンドが憑いている。曰くその名は『ゴールド・エクスペリエンス』。
そんなスタンドに溢れた鎮守府の風景はまさに『異様』としか形容できない。
陸奥は食堂でぼんやりと、これからどうするべきかを思案している。
消すにせよ使うにせよ、当の那珂が遠征でしばらく帰らない今、どうする事もできない。
『触れた物を爆弾にする』という危険すぎる能力を持ってしまった陸奥は、ただスタンドが暴走しないよう努めるしかないのだ。
と、その時である。
??「大変だー!電のスタンドが暴走したー!」
長門・陸奥「「!?」」
354
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:57:00 ID:AHp3Dggc
電「は、はわわわわわ…!」
声のした、駆逐艦寮の方へ長門と陸奥が向かうと……そこは惨状となっていた。
あらゆる物が溶けている。
木でできた家具や床板は腐り落ち、無機物も殴られたように捻られている。
駆逐艦娘の中には被害を負った者もいるようで、腕や脚が壊死しかけている凄惨な子もちらほら見受けられた。
長門が『クレイジーD』の能力でそれを治癒しつつ、二人は現場である電の部屋へ辿り着く。
そこには、紫色のスタンドがいた。
涎を垂らし、完全に理性を失っているようだ。
長門「陸奥!電を救助できるか?私はアレを止める!」
陸奥「わ、わかったわ!」
陸奥が駆け出すと、そのスタンドが反応する。
しかしその拳が陸奥に向けられるより早く――
長門「させるか!」
クレイジーDが紫スタンドの拳を掴んだ。
両手首を握り、そして長門は理解する。
長門「なるほど……毒のカプセルか」
??「うばしゃああああああ!!!!」
紫スタンドは抵抗するが、クレイジーDは長門以上のパワーを持っている。
到底逃げられるはずはない。
その間に、陸奥は部屋の隅に縮こまっていた電に到達した。
陸奥「大丈夫?怪我はない?」
電「だ、大丈夫なのです……ご、ごめんなさいなのです……」
陸奥「あなたのせいじゃないわ――けど、ドジっ子には過ぎたスタンドね……」
電「あ、あのお化け、『パープルヘイズ』っていうらしいのです」
陸奥「『紫煙』ねぇ……ともかく、一旦部屋から出るわよ」
陸奥は電を抱えると、来た道を戻っていく。
途中長門の背後を抜けて、そのまま廊下へ飛び出した。
そこで怯えながらも待機していた雷に電を託すと、陸奥は再び室内へと目をやる。
長門は――『パープルヘイズ』の腕を受け止めてはいるものの、膠着状態が続いていた。
クレイジーDの力を以てすれば、その腕をへし折るのは容易いだろう。
しかし長門も陸奥も、本能的に理解していた。
陸奥(もしあいつの腕を折ったら……きっと、本体である電ちゃんの腕も……)
355
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:58:04 ID:AHp3Dggc
長門(さてと、どうしたものか)
長門も、至近距離でパープルヘイズの瞳を見つめながら、自問自答する。
如何にして、電を傷つけずにコイツを無力化するか。
要するに、一旦行動不能にしてしまえばいい。
何か――毒で溶解しない無機物で封じられれば。
同じ事を、陸奥も思案していた。
だが奴を止めるには、かなり分厚い金属で拘束してしまうしかない。
陸奥「!」
その瞬間、陸奥は気付く。
雷と電の方に振り返り、咄嗟に問いかけた。
陸奥「ねぇ、二人とも……今、演習用の魚雷筒はあるかしら?火薬が抜かれているのがいいんだけど」
雷「た、たしか電、持っていたわよね!?」
電「そ、そこの布団の上にあるのです……」
電が指差した先。
それは長門とパープルヘイズが睨みあっている場所より奥にあるベッドだった。
確かに、そこに金属の筒が見える。
陸奥「最高よ…!『キラークイーン』!」
それをしっかりと確かめて、陸奥はキラークイーンを発現させた。
キラークイーンは主の意図をしっかり読み取り、室内へ駆け出す。
陸奥のスタンドがこちらへ――正確にはその更に奥へと向かっているのを視界の端に見た長門は、
長門「……! 成程、わかった!」
陸奥の意図する事を、理解した。
キラークイーンがベッドへ到達する。
その右手が魚雷筒へと触れた。
陸奥「行くわよ、長門!」
長門「ああ……いつでもいいぞ!」
パープルヘイズ「うばあああああ!!!!!」
任務を遂行したキラークイーンは即座に陸奥の下へと戻ってくる。
そして、右手を伸ばした。
356
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:58:37 ID:AHp3Dggc
陸奥「いけっ!」
カチッという音が響く。
何かのスイッチが入ったかのようなその音がキラークイーンの右手から聞こえた――その直後、
ドガンッ!
魚雷筒が爆発した。
長門「うぉおおおお!!!!」
クレイジーD「おおおおおおお!!!!」
それに合わせて長門とクレイジーDが叫ぶ。
そして全身のパワーを込めて、パープルヘイズを投げ飛ばした。
パープルヘイズ「!?」
パープルヘイズの体は爆発四散した魚雷筒の方へ飛翔し――
長門「今だぁああああ!!!!!」
クレイジーD「ドラララララララララ!!!!!!」
クレイジーDのラッシュを浴びた。
その拳に込められた能力は『修復』。
喩え爆発された物でも、元通りに直す事ができる。
パープルヘイズを魚雷筒の中へと閉じ込める形で!
パープルヘイズ「うばああああ!!!!!」
――そして、紫煙の猛威は魚雷筒の中に封じられた。
357
:
ながもんの奇妙な冒険
:2017/02/05(日) 03:59:08 ID:AHp3Dggc
長門「……ふぅ」
戦いは終わった。
長門がクレイジーDを引っ込める。
陸奥も、キラークイーンを消す。
あとは、ぽかんとした顔で戦況を眺めていた電と雷だけが残った。
長門「とりあえず、急場しのぎだがこれで封印はできたな」
陸奥「ええ……長門、私の考えを読み取ってくれてありがとう」
長門「ふふ、造作もない」
その時、電がおずおずと声を掛ける。
電「あ、あの……ありがとう、なのです」
長門「ああ、お礼は後で私の部屋で…むぐ」
陸奥「いいのよ。後で私たちと一緒に掃除しましょうね」
電「は、はい!今からみんなに謝ってくるのです」
そう言い残して、電はぱたぱたと駆け出した。
雷もその背中を追いかけて去って行き、長門と陸奥が残された。
長門「ぷは!……まぁ、とりあえずこれで一件落着、だな」
陸奥「ええ、けど……このスタンド絡みのトラブル、まだまだ続く可能性があるわね……」
長門「……確かにな」
二人には、何か言い知れぬ『予感』があった。
その予感が当たらない事を、今は祈るしかなかった。
(第一話、終)
358
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/28(金) 22:57:08 ID:fpd4SejQ
テスト
359
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/28(金) 23:15:25 ID:2KsGjtDI
てす
360
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:00:55 ID:CGUG4iBM
てst
361
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:42:25 ID:CGUG4iBM
「久しぶりーお兄ちゃん!」
中央線の駅の改札の向こうに僕の妹、早波が現れこちらにあ手を振っているのを見つけた。
半袖の薄い橙色のか生地に丸で模様が描かれたワンピースを着ていて見ていて涼しげでよく似合っていた。
久しぶりに兄と出会えた喜びからか、早波は手に持っていたキャリーケースを改札機にひっかけて台の上の玉が転がるように躓きそうになっていた。
僕が慌てて近付く頃には無事改札を通って、子供のようにこちらに飛び込んで来た。少し恥ずかしかったが、久しぶりに妹の笑顔を見てこちらも顔が綻んでしまう。
早波も公衆の面前で躓きそうになったことが恥ずかしかったのか頬を少し紅く染めていた。
「久しぶり。元気してたか?」
「元気だったよ!早波ね、高校生になったの!それからね!」
可愛い妹が続けようとするも、僕はここが改札前であることを思い出し邪魔にならないよう早波を出口へと促した。歩き始めた僕は以前会った時はまだ中学生であったことを思い出し、時間の流れを感じた。しかし、さっきみたいな早波のおっちょこちょいは高校生になった今も変わらないらしかった。
静岡から東京への大冒険を果たした早波はタピオカドリンクを所望したので、僕がよく行く喫茶店に行くことにした。そこは少し古い店だったがブームに乗じて最近取り扱いを始めていた。
「ここまで遠かっただろ?迷子にならなかったか?」
「えっとね。途中までお母さんに送ってもらったの」
早波の話を要約すると新幹線を乗り過ごさないよう母が熱海駅まで車で送って改札まで着いて行ったそうだ。早波が今回の旅行を心待ちにしていたのは両親にもありありと伝わったらしく、慌てんぼうの早波が無事新幹線に乗れるよう気を配ってくれたらしい。
高校生の妹である早波が東京に行きたいと言い出したのは夏休み前のことだった。なんでも好きなアイドルグループのライブチケットが当たったらしい。こういう場合は親と東京に行くのが通常であろうが、そうもいかなかった。運輸業の会社で働く母と父は繁忙期を迎えておりとても休むことなどできなかったのである。
東京観光には賛成であるが女子高校生一人で東京は危険である、そう両親は判断したため東京で一人暮らししている僕に白羽の矢が立った。また、両親とも都内の大学を卒業しており娘を東京に送ることには抵抗がなかったらしかった。
「母さんと父さんは元気か?」
早波の話を聞いている間に母と父のことが気になった。最後に帰省したのは年末年始で、春休みはゼミの合宿やら課題やらでそれどころではなかった。もう半年以上会っていない。
「お母さんもお父さんも元気だよ!ちょっとお仕事忙しそうだけど…」
早波は少し寂しそうに言うと、僕も母と父が恋しくなってきた。僕は改めて両親からの学費や一人暮らしの援助に感謝しつつ夏休み中には必ず帰ろうと決心したのだった。
362
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:43:00 ID:CGUG4iBM
喫茶店でタピオカドリンクとホットサンドを楽しんだ僕達は、途中スーパーに寄って食料やらジュースやら買ってから僕が根城としているアパートへ向かった。
「わぁー!ここがお兄ちゃんの部屋!」
8畳程の広さのワンルームで台所とユニットバスが付いたよくある部屋だったが早波には物珍しいらしく、あちこち嗅ぎ回るように見て回っていた(ちゃんと掃除しておいて良かった)。
「恥ずかしいからあんまりみないでくれよ」
「ごめんなさーい」
と言つつやはり部屋の小物や装飾が気になるのかソワソワしていた。
「汗かいただろ?シャワー浴びて来いよ」
「じゃあお言葉に甘えて!」
早波がキャリーバッグを開けて中を物色しているのをなんとなく見ていると、急に顔だけこちらに向けた。
「恥ずかしいから向こう行ってて!」
僕は気圧されて逃げるように廊下に出た。そうだよな、早波も年頃の女の子だよなと妹の成長を嬉しいような少し残念なような複雑な気持ちと共に感じる。昔はよく一緒にお風呂に入ったのだが…。
早波がシャワーを浴びている間に僕は晩御飯の用意をしていた。と言ってもスーパーで買ったお惣菜とパックサラダを皿に盛り付けるだけなのだが。しかし、食事と言うのは見た目も大切で、同じ料理でも見た目が違うだけで味や満足度は変わるものだ。
お米が炊けて茶碗によそいインスタント味噌汁と皿に盛り付けられた惣菜達をリビングのテーブルに並べ終わるとちょうど早波のシャワーが終わったようだ。
「お兄ちゃんシャワーありがとう」
「おう、ちょうどご飯できたから…」
振り返りながら言った僕は呆気に取られた。早波が浴衣姿で僕の部屋に現れたからだった。2色の紫のモザイク柄の生地にところどころ藤の枝や花をあしらったデザインだ。帯は後ろで結ぶタイプではなく前でリボン結びにするタイプのものだった。髪はまだ少ししっとりしているように見えた。
「どうかな?」
早波の言葉でやっと我に返った僕は「…よく似合ってる」とありきたりな感想しか出なかったけれども、この紫色の綺麗な浴衣は確かに早波に良く似合っていた。
少し照れながら笑っている早波が座布団に座ると2人でいただきますをして、改めて互いの近況報告を行った。
そして話題は転じて今回の旅行の話になった。早波の東京旅行は10日間だった。
当初の目的であるアイドルグループのライブは八日目でそれまでは大学のオープンキャンパスや若者の街で買い物をする予定らしい。
「それでね、明日はお兄ちゃんの大学に行こうと思ってるの」
起:早波登京
承:早波が微睡んでるお兄ちゃんにキス
転:
結:
363
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 00:47:48 ID:CGUG4iBM
長くて書き込めなかったから分割したドミ
転の部分でライブを見に来たって設定を使うのととこの2人にセックスさせたいんやけどどうすればいいかね?
一応夕立に振られるっていうベタなの考えてるけど
364
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 08:25:11 ID:fpd4SejQ
>>363
どうでも良いけど、上京やぞ
2つ目は流石に一行長すぎや
もう少し改行したほうが良い
で、近親相姦か…。そもそもこの早波は艦娘じゃないんだよな?
この世界に鎮守府はあるん?
あるんだったら例えば鎮守府の召集はかかる、無いんだったら夕立に振られるのと何か一つ欲しいわね
365
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 12:49:43 ID:CGUG4iBM
>>364
ID違うけど
>>363
や
改行とか登京とかサンガツ
現パロだから鎮守府はないわね…。2019年のこの世界に早波がいる感じや。
近親相姦だからセックスのハードルが高くて難しい。
366
:
名無しのおんJ提督
:2022/01/29(土) 13:39:30 ID:fpd4SejQ
>>365
まあ正直、エロさを求めるんだったらあんまり前フリされてもちんこが保たないから都合良くするか
ワイはあくまで過程を求める、って言うんだったら、夕立に失恋以外にやっぱりもう一個理由がほしいよな
367
:
名無しのおんJ提督
:2022/03/20(日) 03:52:22 ID:1f6YGPpE
秘書艦業務は提督を独占できる時間が作りやすい。早朝から髪を整えて提督の寝室に向かおうとしてる自分がまさにそうだ。この日ばかりの恩恵に預かろうとしてる。
「失礼します…ね」
襖を開けて布団に静かに近づき、枕元に座りながらしばらく寝顔を見つめる。
(あぁやっぱり、まだお休みでしたか)
普段の張り詰めた雰囲気とは違った無防備な、穏やかな表情。この時だけ見せてくれる姿。そう思うと心の底から愛おしく感じる。
「んぅ……」
(寝顔を見るなんてわたし、なんだかいけないことをしてるみたい)
少しだけ口角を上げながら提督の頭を撫でると、ふわっと優しい香りが鼻腔を刺激する。その匂いも大好きだったりする。
そのまま手を頬に滑らせていき、柔らかい肌触りを楽しむ。起きる気配は全くない。
(もうすこし近くに…)
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えつつゆっくりと体を近づけていく。自分の吐息がかかるくらいの距離まで近づくと提督の顔がよく見えるようになった。
「………………っ」
自分の鼓動が提督を起こしてしまわないように胸を押さえつけているけど、それでもドキドキする気持ちは抑えられなかった。
(……)
とくん。とくん。とくん。とくん。
心臓の音がうるさい。でもそれが心地いい。提督の唇に触れている快楽の中、不思議な穏やかさに包まれた。
「はっ…はっ…はっ…」
小鳥の囀りとともに朝日が差し込む部屋の中で荒い呼吸を繰り返す。
(わわわわわたしなにを⁉︎なんてことを!!︎いま提督にキ、キスしたの⁉︎やあああどうしようどうしたら!!??)
混乱する頭を抱えながらも無意識のうちに唇を指先でなぞっていた。
「え…」
布団の上からでも分かるくらい膨らんだモノがある。恐る恐る思いながらもやはりそれは男性特有のアレだった。
(キスしたから…⁉︎あんなにせり上がって…どうしよう!)
どきん。どきん。どきん。どきん。心臓が跳ね上がるたびに、自分の体が熱くなる。
「んぅ……」
提督の声を聞くだけでドキッとする。
「あっ……」
布団越しに触れるとビクッとした感触が伝わってきた。
(これって朝勃ちよね……。初めて見た……)
ごくりと唾を飲み込み、ゆっくりと布団をめくっていく。そこにはパンツからはちきれんばかりの男性器があった。
(これが……提督のおちんちん..)
まじまじと見つめてしまう。もっと見たい。触りたい。そんな欲望が生まれてくる。
そっと手を伸ばして触れるとピクンと震えた気がした。
「んっ……」
再び声をあげる提督に思わず手が止まる。
(これを処理するのもわたしのお役目……ですよね…提督)
368
:
名無しのおんJ提督
:2022/03/20(日) 03:53:21 ID:1f6YGPpE
無理矢理納得させながら触れ続けると次第に先っぽからは透明な液体が流れ出し始めた。
(すごい……こんなになるんだ……)
興味本位で指で優しく撫でてみる。
ぴくっ。
反応するように動いたのを見てさらに撫でてみるとまた動く。
(かわいいかも……)
愛おしく思うと撫でるだけでなく頬ずりしていた。どんどん液の量が増えていく。
(これは……舐めた方がいいのかしら……)
ごくん。と喉が鳴る。
(はぁ…♡なんていやらしい臭い)
恐る恐る舌を出して先端をぺろっと舐めると少ししょっぱかった。味わうように何度も舐める。
(おいしい……♡)
段々と臭いが濃くなっていく。その度に頭がクラクラしてくる。夢中でしゃぶりつく。だんだんと口の中に苦みが広がり始めてきた。
じゅるるるるるる
(あぁこの匂い……ずっと嗅いでられる……臭さがクセになります……♡♡♡)
下着の上からでは物足りなくなり、直接触れたくなってきた。意を決して脱がせる。
ブルン‼︎
勢いよく出てきた肉棒に驚く。
(こ、これが提督のおちんちん…!おっき……すぎ…すご…♡)
両手を使って優しく握る。熱いくらいの体温が伝わってくる。脈打ちながら大きくなっていくのを感じると嬉しくなった。
気づくと先っぽに吸い寄せていた。ちゅぱっ。という音とともに口から離すと糸を引いていた。
(提督のおちんちん……いただきます……♡)
すっかり発情してしまった私は今度は口に含んでみた。
「んっ♡」びくんと動く。
ぢゅぽっ♡ぢゅぷっ♡ぢゅるるるるるるるるるるっ♡ 卑猥な音をたてながら激しくストロークしていく。
(腰をビクビクさせて、気持ちいいんですね?もっとご奉仕いたしますから、いっぱい気持ちよくなって…♡)
「ふーっ♡ふーっ♡」
「はっ……♡あっ」
頭を撫でられているような感覚がして、思考が一瞬止まった。
「朝っぱらからがっつきすぎだぞ」
「!?︎」
いつの間にか起きていた提督は呆れたように愛おしそうに私の頭を撫でていた。
「お仕置きが必要だな」
(お仕置き……おちんちん…しゃぶれない…)
そんな風に思った私は提督のおちんぽを口に入れたまま腰に手を回した。
「おい、涼…」
「んっ……♡」
返事の代わりに強く抱きしながら口をすぼめて吸った。
がぼっ!ぐぽぉっ!
「うおっ」突然の刺激に耐えられなかった提督は思わず声を上げた。
「んむっ♡」
ぐぽっ!がぽん!
「涼月……まっ……離せっ、このままだと」
「んっ……んっ……んっ……♡」
提督の静止を無視して続けていく。
「はっ……♡はっ……♡」
「はぁ……はぁ……」
「んっ……♡んっ……♡んっ……♡」
「くぅ……!もう出る!」
どぴゅーっ!!︎どぴゅるるるるっ♡♡♡「〜〜〜ッッッ♡♡♡」
大量の精液が吐き出され、口の中を満たしていく。
(のど…奥に出てる…♡すごい量…私の身体で……♡)
提督が射精した瞬間、私も絶頂を迎えてしまった。
(うれしい…♡わたしもイッちゃいました……♡)
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