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あ艦これ文藝部
169
:
名無しの提督さん
:2015/11/15(日) 02:01:36 ID:DjV7cxvY
日刊提督新聞 十一月十四日号 社会面より
【潜入取材 キスカ缶詰工場】
[1] 一波、潜入す
この一年、各鎮守府で「駆逐余り」が叫ばれている。
大本営調べによれば、鎮守府で出撃任務を与えられる
駆逐艦の数は平均4.3。駆逐の活躍の場たる遠征任務を
与えられる艦も7.1に過ぎない。対して、鎮守府所属の
駆逐艦は平均34.2。これの意味するところは
「任務なき駆逐」が大量に存在するという事実に他ならない。
大本営もこの事実を重く見ており、出撃・遠征以外にも
各駆逐艦娘の適性に応じた任務を与えるよう指導している。
キスカ島に存在するカニ缶工場「アケボノ」は、大本営指導を
受けて開設された、駆逐艦娘が働く工場の第一号である。
しかし、「艦娘能力開発」の成功例として知られるこの工場には
数々の黒い噂が絶えない。記者は工場の実態を知るため、
決死の潜入取材を試みることとした。
まずは綾波型のセーラー服を調達し、体毛を処理する。
40を超えた身でスネ毛の脱毛は流石に辛いが、
真実の追求には犠牲がつきものである。
三年ほど切らずにおいた長髪をリボンで束ね、
鉄屑屋で買った鉄パイプで艤装を自作し装着。
ほぼ完璧な駆逐艦娘の姿となることができた。
綾波型は非常に数が多いため、それらしい名前を名乗れば
実在を疑うものはいない。私は駆逐艦「一波《ひとなみ》」を
名乗り、10月にして既に斬りつけるような風の吹く、
晩秋のアリューシャンに向かった。 [続]
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