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変わり種ニュース
364
:
名無しさん
:2004/01/04(日) 00:10 ID:SR.GCyDE
ユーゴ“再興”の夢、セルビア男性が新国家建設運動
世界地図から消滅した「ユーゴスラビア」を再興しようとしている男性がいる。
過去十余年、相次ぐ民族紛争でユーゴ連邦が崩壊していく様子を目にし、「民族共存」に大きな夢を描いた。チトー元大統領の孫も参加、「ユーゴ」という“新国家”建設をめざす運動は広がりを見せている。(セルビア・モンテネグロのスボティツァで、島崎雅夫)
この男性は、スボティツァ郊外で印刷業を営むブラシュコ・ガブリッチさん(61)。カナダ・ハミルトンの印刷会社で13年間働いた後、91年に帰国すると、6共和国・2自治州で構成されていた旧ユーゴの崩壊が始まった。
91年、クロアチア、スロベニアで、翌92年にはボスニア・ヘルツェゴビナで民族紛争が発生し、その後、3国は独立。91年にはマケドニアも独立し、旧ユーゴは、セルビア(ボイボジナ、コソボ自治州含む)、モンテネグロ両共和国で構成されるユーゴに縮小した。そのユーゴも昨年2月、国家連合のセルビア・モンテネグロに移行した。
「昔は、民族名をお互い聞いたことなどなかった。今でも自分を『ユーゴ人』とする人は旧ユーゴで数百万人おり、これらの人々を再結集したい」とガブリッチさん。
昨年5月、自宅の敷地3・5ヘクタールを“新国家”「ユーゴ」のために開放、記念式典を開いた。国歌、国旗を制定するとともに、市民権登録を開始した。同式典には、コシュトゥニツァ元ユーゴ大統領ら約1万人が参加、人々の関心の高さを示した。
新国家の敷地内では、旧ユーゴの国土を“再現”する試みが続けられている。敷地の西端には、旧ユーゴ最高峰だったトリグラブ山を造成、アドリア海を想定してプールも建設中だ。敷地内には約1万本の木の苗を植樹、レクリエーションの場として多くの人々に利用してもらう予定だ。
「山は高さ8メートル、アドリア海も長さ25メートルしかないが、決しておもしろ半分じゃない。多民族共存の良き時代がかつてあった史実を考える機会にしたい」
新国家は、広がりを見せている。セルビア共和国北部プランディシュではレストランのオーナーがレストランを新国家の“支部”とすることを宣言。市民権登録者は、スロベニア、クロアチア、ボスニアなど旧ユーゴに住む人々を中心に、欧米各国に住む旧ユーゴの人々にまで及んでいる。
新国家に招待されたチトー元大統領の孫、ヨシプ・ブローズ・チトーさん(55)も「民族が平和に共存していたユーゴノスタルジーから新国家に参加した」と話す。
市民権登録はまだ、これらの支部を含めて約2500人だが、ガブリッチさんは、市民権登録が1万人に達したら、国連に加盟申請を行う方針。かつて6共和国を束ねた「連邦」の再興にはほど遠く、政治形態、財政基盤など真の国家とするには整備すべき点も多い。新国家は当面、民族共存をアピールする象徴的なものにとどまりそうだ。
しかし、ガブリッチさんは「旧ユーゴ時代は米国にもロシアにもビザなしで訪問できた。旧ユーゴに愛着を抱く人々を1人でも多く結集したい」と意気軒高だ。
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