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「日々、ひよちんのたわごと」

93ひげ:2006/05/30(火) 23:15:44
せつ子 〜薔薇の逃避行〜 第38話

「だから僕は往かねばならない」
正弘が視線をそらせながらそうつぶやくと、せつ子の頬は濡れた。
「なら、私も一緒に往きたい」
せつ子は頬を拭いもせずに答えた。
正弘はただ振り向いて、夜汽車のドアーへと足を進めた。
「無理だ。君も承知しているはずだ」
わかっているわ、せつ子は声にも出さずにうめいた。
「忘れる事だ」
「忘れられません」
理性と感情が交錯する中で、せつ子の感情がそう答えた。
しかしせつ子の理性はわかっていた。
正弘の薔薇の花束から始まったこの物語が、
もうこれで終わってしまう事を。
無情の夜汽車の警笛がホームにこだまする。

そしてふたりの運命はバラバラに動き始めた。


注意事項:第37話までの公開及び第39話の執筆の予定はありません。


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