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君の知らない救世主物語 『第二幕』
61
:
メシア・エステバン
:2020/08/27(木) 15:31:15
こんな複雑な仕組みを完全理解するためには、人間をやめるのが手っ取り早い。
人間をやめるといっても、死んでしまえといっているわけでもなく、
肉体から魂だけを分離して霊魂になれといっているわけでもない。
それじゃあ、俗界から離れた仙人になれというのか?
うーん。ちょっと違うなそれは。
古今東西、西洋も東洋も問わず、何千年の昔から人間は修行と称しては、人間の集落から離れて
人里離れた山奥や洞窟(どうくつ)に何年も何十年も引きこもっては、
欲にまみれた俗世界との縁を絶つ修行をしてきた。
俗世(ぞくせ)とは無縁の生活をしてきた者が、ごくたまに集落に現れたり、山奥で遭遇したりすると、
変わり者、奇人変人、仙人、修行僧とか名付けて、人間社会は人々は、彼らの事を
変な人、頭のおかしい人、得体の知れない人、雲の上の人、仏様や神様のような人、と口々に噂(うわさ)するようになる。
そういう俗世とは無縁の生活を何年から何十年も続けてきた人の中から、
悟りの境地を開いたとばかりに人間社会の下界に降りてきて、人々に説法を始める者も現れて来る。
中には、宗教の開祖として、預言者として、不思議な術を使う占いとして、術者として、
神の声や神の神託(しんたく)が聞こえる審神者(さには)や祈祷師(きとうし)や神官として、
霊魂を呼び出せれる霊術師として、地位や権威を持ったり、名声を得る者まで現れて来る。
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