したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

原則学・痕跡学・運気学・帰霊学・ロリコン研究で真実解明

790メシア・エステバン:2016/03/18(金) 03:44:04
場所に似つかわない洋傘を挿してお茶元から一人のご婦人が出てまいる。
待ってましたとばかりに録之助はおじぎの挨拶をし、人力車に乗せようとご婦人の顔を覗き見た。
驚いた顔の録之助の顔がおかしかったのか阿関はクスクスと口に手をあてて笑みを浮かべた。
録之助の方は照れくさそうにうつむき加減で、普段どおりの仕事ぶりで阿関を乗せるとスタコラ走り出した。

お客さん。行き先は御茶ノ水でよろしいですね。
前もって行き先を告げられていたので録之助はぶっきらぼうに阿関に問いかけた。
御茶ノ水に行く途中、ちょいとあの場所に寄ってくださいな。阿関はあの場所という部分に気持ちを込めて言った。

録之助の方は返事もせず無言ではあったが、途中方角を変えた所をみるやあの場所を理解している風であった。
あの場所とは阿関と録之助が七年ぶりに会い別れた場所であった。

阿関もあの場所に着くまで一言もしゃべらず、ただひたすら録之助の引く人力車の力強さに見とれていた。
ずいぶんと元気になられてよかったよかった。阿関は半年の間会えずにいた録之助が見違えるくらいたくましい男に
成長していたのをうれしく感じた。

お客さん着きました。録之助はぶっきらぼうに答えると人力車の持ち腕を地面に置いた。
少しお話をしてから出発しましょう。阿関は録之助にそう話しかけると録之助に再び会えてうれしかった事。
元気にしていてなによりな話。録之助がずいぶんとたくましくなった話など、畳み掛けるように話しかけていった。

録之助は黙って聞きながらも、嫌そうな仕草はひとつもせずに、阿関に背を向けたまま立ち尽くしていた。
そろそろいいですかい。録之助はぶっきらぼうに出発する合図を出して人力車を持ち上げて走り出した。
録之助さん。あなたが嫌でなければこれからも週に一、二度私を運んでくださいな。どうかしら。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板