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【№49】赤牛崎 黄毬【確定】
2
:
流血少女GK
:2015/07/26(日) 16:32:56
■エピソード
エピソード:
「黄毬(きまり)ちゃん!ねえ、やめなよ黄毬ちゃん!」
平均身長を大きく上回る体を小さく縮めた少女がか細い声で、
それでも気の弱い彼女なりの精一杯の叫び声を上げている。
呼びかけられた相手もまた少女。
妃芽薗学園を取り囲む高く厚い壁の前の堀端に、
小柄ではないが華奢な体でふんぞり返り、カッと開いた目をギラつかせて腕を組む。
「わたしは」といった彼女はムッフッフッフッフと笑うと、
「わたしはさ。こんなとこ望んで入ったわけじゃあないんだよ。
いや!もちろんそんなに悪いとこじゃないよ。友達だっていっぱいいる」
そういって相手にまあまあまあと手を向ける。
「いるけどだけどちょっと待て。
花の乙女がお外の世界を自由に満喫できないっていうのはどういうことよ?」
ふたたび彼女はムッフッフッフッフと笑うと、
「わたしはそういうの我慢しないの!ここから出ていくの!家に帰るの!
帰ったら『どうだっ』ていってもう一度入ってあげるわ!」
「だから今は出ていくの!止めても無駄だからね!」
いうなりポッケから取り出した濃い茶色の小瓶。
青白のラベルに赤い牛が描かれたそれを一息に飲み干した。
たちまち彼女の背に翼が生じフワリとその身を空へと持ち上げる。
天下に名高き赤魔牛ドリンク!
あまたの強壮剤を試してきた赤牛崎黄毬をも唸らせるその確かな効力は、
彼女の信頼を勝ち取り、ついには魔人として覚醒させるに至ったのである。
以来3年彼女のその身を支えてきた翼は今も確かにその力を発揮する!
翼はバサリとひとつ羽ばたいて、彼女は一息に加速する。
堀を越え。壁を越え。
いや、その背の翼は消えて去り、その身は堀へ落ちて消える。
高二力フィールド。
妃芽薗の魔人を封じる驚異的結界。
「き、黄毬ちゃん!」
慌てて堀へ駆けて寄ったその鼻先で、
「エウレカ!我見つけたり!」
ザバリと割ったみなもから赤牛崎黄毬が飛んで出る。
「水中トンネル!見えないところをこっそりひっそり掘ってあげるわ!」
みたびムッフッフッフッフと彼女は笑うと、
水中で拾ったのか、いつの間にやら右手に握られていた棒状の何かを振り回す。
その曲がった先端は鋭く二股に分かれ殺傷力の高さを見せつける。
「きゃあ、そんな物騒なものどうするの?!」
怯えて震えて訊ねる友の目の前に、
「バアル!」
ググイと突き出したそれは確かにそう呼ばれるものだった。
「この見事な2本の牛の角。古代メソポタミアの豊穣の神バアル!
物騒だなんてとんでもないわ!えいっ」
と一声、手にしたそれを地面に突き立てる。
華奢とはいえども魔人は魔人。
常人に勝る膂力によってそれは踏み固められた地面を容易く穿つ。
「これは運命。これは神の思し召し。わたしは家に帰ってみせる!」
よたび。ムッフッフッフッフと彼女は笑った。
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