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生ゴミ資料庫
821
:
続き2
:2021/01/27(水) 13:43:23 ID:FZzMTY4A
以下、もう、一直線に駆け抜けます。
それは、のんが、ただみつ子というキャラクターにではなく、30代の、男社会に生きづらさ、違和感を持っている女性というもの全体に憑依していたからだと思うのだ。一個の人間ではなく、世代というか群れというか、とにかく次元の違うレイヤを演じていたからだと思うのだ(かなり確信していますが『あま(以下略)な私としては「思う」でとどめる)。だから私はそれをスクリーンの上の一個人の物語として観やる(流す)ことができなかったのだ。
しかし、人が、一個の人間ではなく、人間集団に憑依して、それを演じることなどできるのか、という向きもいらっしゃるかもしれない。
しかし、そういうシステムは古来からあり、それは一般に「神話」と呼ばれている。血肉の通ったリアルな人間ではなく、元型、アーキタイプを描く物語だ。
そして、ここから逆にたどると、1.から3.ののんがすべて腑に落ちるのだ。JR西日本の乗客インターフェースに憑依したのん。空襲地域の生活人に憑依したのん。怪獣や星人を前に人類に憑依したのん。うまくいくときもいかないときもあるだろう。しかも、彼女は大きな物語を演じるわけではない。現代(近代)日本人のどちらかというと細やかな感情に沿った、物語を演じているのだ。リアリズムの劇構造を神話的な憑依演技で貫徹することなど出来るのか?
そんなことが、果たして可能なのか。
という問いは、しかし、意味をなさない。果たしてそれを可能にしてしまった俳優が厳に存在するからだ。(みせかけの)多様性がかしましい世の中で、実は皆、同じ構造にすくい取られ、類型に回収されそうなのだ。そんな世界の中で、この多様と類のキワを体現してしまった俳優がいるからだ。
その驚きに、今はただ驚こう。
彼女の名はのん、という。本名は能年玲奈。だが俳優である限り、その名を封印された俳優である。
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